特許第5997914号(P5997914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997914
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】天井下地構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20160915BHJP
   E04B 9/06 20060101ALI20160915BHJP
   E04B 9/16 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   E04B5/58 B
   E04B5/58 S
   E04B5/55 A
   E04B5/55 L
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-46545(P2012-46545)
(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公開番号】特開2013-181342(P2013-181342A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】594062260
【氏名又は名称】株式会社佐藤型鋼製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 孝治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公章
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−259239(JP,A)
【文献】 特開平11−280238(JP,A)
【文献】 特開平11−200557(JP,A)
【文献】 特開平07−324424(JP,A)
【文献】 特開平06−073833(JP,A)
【文献】 実開平04−130604(JP,U)
【文献】 特開2007−239441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00−9/36
F16B 7/00−7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で平行に並ぶ金属製角形筒(1),(1)・・と、該金属製角形筒(1),(1)・・に直交して、所定の間隔で平行に並ぶ金属製角形筒(2),(2)・・とからなり、前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製角形筒(1),(1)・・に直交する前記金属製角形筒(2),(2)・・を吊りボルト(3),(3)・・を用いて建物の構造物(26)に吊り下げるように構成された天井下地構造であって、前記金属製角形筒(1),(1)・・の上部側に位置して前記金属製角筒(1),(1)・・に交差する金属製角形筒からなる補強用の梁部材(7)を設け、該梁部材(7)と前記金属製角筒(1),(1)・・を、それら相互の交差部において、当該梁部材(7)の上面(7a)および両側面(7b)、(7c)を抱持する断面コ字状の第1抱持金具(8a)と該第1抱持金具(8a)の両下端部からそれぞれ一体に延設され、前記金属製角形筒(1)の上面(1a)および両側面(1b)、(1c)を抱持する断面コ字状の第2抱持金具(8b)、(8b)とからなる取付金具(8)を用いて結合したことを特徴とする天井下地構造。
【請求項2】
所定の間隔で平行に並ぶ金属製角形筒(1),(1)・・と、該金属製角形筒(1),(1)・・の上部側に位置し、該金属製角形筒(1),(1)・・に交差する状態で所定の間隔で平行に並ぶ補強用の金属製角形筒(7),(7)・・とからなり、前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製角形筒(1),(1)・・に交差する前記金属製角形筒(7),(7)・・を吊りボルト(3),(3)・・を用いて建物の構造物(26)に吊り下げるように構成した天井下地構造であって、前記金属製角形筒(7)、(7)・・を梁部材により構成するとともに、該梁部材よりなる金属製角筒(7)、(7)・・と前記金属製角筒(1),(1)・・を、それら相互の交差部において、前記金属製角筒(7)の上面(7a)および両側面(7b)、(7c)を抱持する断面コ字状の第1抱持金具(8a)と該第1抱持金具(8a)の両下端部からそれぞれ一体に延設され、前記金属製角形筒(1)の上面(1a)および両側面(1b)、(1c)を抱持する断面コ字状の第2抱持金具(8b)、(8b)とからなる取付金具(8)を用いて結合したことを特徴とする天井下地構造。
【請求項3】
前記金属製角筒(1),(1)・・および前記金属製角筒(1),(1)・・に直交する前記金属製角筒(2),(2)・・のうちの選ばれたものと前記吊りボルト(3),(3)・・のうちの選ばれたものの上端部あるいは前記建物の構造物(26)とを、金属製角形筒からなる斜め補強部材(20),(20)で連結したことを特徴とする請求項1記載の天井下地構造。
【請求項4】
前記金属製角筒(1),(1)・・および前記金属製角筒(1),(1)・・に交差する前記梁部材(7)、(7)・・のうちの選ばれたものと前記吊りボルト(3),(3)・・のうちの選ばれたものの上端部あるいは前記建物の構造物(26)とを、金属製角形筒からなる斜め補強部材(20),(20)で連結したことを特徴とする請求項2記載の天井下地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、天井下地構造に関し、さらに詳しくは耐震性能を高めた天井下地構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来型の天井下地構造としては、野縁と該野縁と直交する野縁受けとからなり、建物の構造体から吊りボルトで吊り下げて支持され、隣り合う吊りボルト同士をブレース材(筋交い状の部材)で連結することにより、耐震性を強化しているものがある(例えば、特許文献1参照) 。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−50784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示されている天井下地構造の場合、野縁に対して天井仕上げボードが専用のビスで取り付けられることとなっている。また、天井には、照明器具や空調機器等が建物の構造体から吊りボルト等で吊り下げられ、天井開口部に天井仕上げボード面と同じ高さで取り付けられており、建物の竣工後、通常は作業員が天井点検口から天井裏を覗いて照明器具や空調機器等の点検・修理を行うこととなっているが、劇場・ホールや体育館、工場等のように、天井に沢山の照明器具・空調機器等がある場合には、天井裏に人が歩けるぐらいの高さを取って、キャットウォークという点検・修理専用の狭い通路を設けることとなっている。但し、キャットウォークは、全ての天井面を網羅出来るように設置されているわけではないので、やむを得ず従来型の天井下地材の上を作業員が歩いて点検・修理を行っている場合がある。従来型の天井下地材は、人が野縁の上に乗れるような耐荷重構造となっていないので、吊りボルトと野縁あるいは野縁受けとを結合しているハンガーという金具が開いたり、野縁受けが倒れたりして、天井面がガタガタになったり、最悪の場合には、天井下地材と天井仕上げボードが落下してしまうという事故が発生するおそれがある。
【0005】
そこで、複数の人が乗っても大丈夫なように、予じめ角形鋼を建物の構造体から吊り下げて、一定間隔に並べたぶどう棚という吊天井構造が採用されている。このような吊天井構造であっても、地震等の激しい揺れに対する耐振性が問題となる場合がある。
【0006】
上記のような問題に対処するために、上記特許文献1に開示されているように、建物の構造体から吊りボルトで吊り下げて支持され、隣り合う吊りボルト同士をブレース材(筋交い状の部材)で連結することにより、耐振性を強化することが考えられるが、特許文献1に開示されているものは、ブレース材として、断面C型形状の溝形鋼(チャンネル鋼材)が用いられているため、地震発生時の揺れに対する強度が十分でなく、耐震性の強化に限界があった。また、ブレース材と吊りボルトとの結合部分の構造によっては、十分な耐振性強化が得られない場合が生ずる。
【0007】
ところで、地震発生時には、縦方向(即ち、X方向)と横方向(即ち、Y方向)に同時に揺れるが、ぶどう棚の場合、交差する部材のうち一方の剛性が他方の剛性に比べて弱い構造となっているため、交差する部材の両方に耐震構造(例えば、斜め補強部材を取り付ける構造)とした場合、一方の部材(弱い方の部材)に過度の負荷がかかってしまい、十分な効果が得られない場合が生ずる。
【0008】
本願発明は、上記のような課題を解決するために行われたものであり、天井下地材上を作業員が歩いて点検・修理を行う場合にも、十分な棚強度を維持できるとともに、地震に対する耐震性能に優れた天井下地構造を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)第1の課題解決手段
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、所定の間隔で平行に並ぶ金属製角形筒(1),(1)・・と、該金属製角形筒(1),(1)・・に直交して、所定の間隔で平行に並ぶ金属製角形筒(2),(2)・・とからなり、前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製角形筒(1),(1)・・に直交する前記金属製角形筒(2),(2)・・を吊りボルト(3),(3)・・を用いて建物の構造物(26)に吊り下げるように構成された天井下地構造であって、前記金属製角形筒(1),(1)・・の上部側に位置して前記金属製角筒(1),(1)・・に交差する金属製角形筒からなる補強用の梁部材(7)を設け、該梁部材(7)と前記金属製角筒(1),(1)・・を、それら相互の交差部において、当該梁部材(7)の上面(7a)および両側面(7b)、(7c)を抱持する断面コ字状の第1抱持金具(8a)と該第1抱持金具(8a)の両下端部からそれぞれ一体に延設され、前記金属製角形筒(1)の上面(1a)および両側面(1b)、(1c)を抱持する断面コ字状の第2抱持金具(8b)、(8b)とからなる取付金具(8)を用いて結合したことを特徴としている。
【0010】
上記のような構成によると、所定の間隔で平行に並ぶ金属製角形筒(1),(1)・・と、該金属製角形筒(1),(1)・・に直交して、所定の間隔で平行に並ぶ金属製角形筒(2),(2)・・とからなり、前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは金属製角形筒(2),(2)・・を吊りボルト(3),(3)・・を用いて建物の構造物(26)に吊り下げるように構成された天井下地構造において、前記金属製角形筒(1),(1)・・の上部側に位置して前記金属製角筒(1),(1)・・に交差する状態で金属製角形筒からなる補強用の梁部材(7)が設けられることになり、しかも、同補強用の梁部材(7)と前記金属製角筒(1),(1)・・が、それら相互の交差部において、当該梁部材(7)の上面(7a)および両側面(7b)、(7c)を抱持する断面コ字状の第1抱持金具(8a)と該第1抱持金具(8a)の両下端部からそれぞれ一体に延設され、前記金属製角形筒(1)の上面(1a)および両側面(1b),(1c)を抱持する断面コ字状の第2抱持金具(8b)、(8b)とからなる取付金具(8)により、相互に結合されることになる。
【0011】
その結果、金属製角形筒(2),(2)・・を直交状態で支持する金属製角形筒(1),(1)が、取付金具(8)を介して補強用の梁部材(7)により確実に支持されるようになり、棚強度が有効に向上し、金属製角形筒(1)および梁部材(7)の上を作業員が安心して歩くことができるようになり、地震発生時の左右方向の揺れにも対応することができるようになる。
(2)第2の課題解決手段
本願発明では、上記課題を解決するための第2の手段として、所定の間隔で平行に並ぶ金属製角形筒(1),(1)・・と、該金属製角形筒(1),(1)・・の上部側に位置し、該金属製角形筒(1),(1)・・に交差する状態で所定の間隔で平行に並ぶ金属製角形筒(7),(7)・・とからなり、前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製角形筒(1),(1)・・に交差する前記金属製角形筒(7),(7)・・を吊りボルト(3),(3)・・を用いて建物の構造物(26)に吊り下げるように構成した天井下地構造であって、前記金属製角形筒(7)、(7)・・を補強用の梁部材により構成するとともに、該梁部材よりなる金属製角形筒(7)、(7)・・と前記金属製角形筒(1),(1)・・を、それら相互の交差部において、前記金属製角形筒(7)の上面(7a)および両側面(7b)、(7c)を抱持する断面コ字状の第1抱持金具(8a)と該第1抱持金具(8a)の両下端部からそれぞれ一体に延設され、前記金属製角形筒(1)の上面(1a)および両側面(1b)、(1c)を抱持する断面コ字状の第2抱持金具(8b)、(8b)とからなる取付金具(8)を用いて結合したことを特徴としている。
【0012】
上記のような構成によると、所定の間隔で平行に並ぶ金属製角形筒(1),(1)・・と、該金属製角形筒(1),(1)・・の上部側に位置し、該金属製角形筒(1),(1)・・に交差する状態で所定の間隔で平行に並ぶ金属製角形筒(7),(7)・・とからなり、前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製角形筒(1),(1)・・に交差する前記金属製角形筒(7),(7)・・を吊りボルト(3),(3)・・を用いて建物の構造物(26)に吊り下げるように構成した天井下地構造において、前記金属製角形筒(7)、(7)・・が補強用の梁部材によって構成されているとともに、該梁部材よりなる金属製角形筒(7)、(7)・・と前記金属製角形筒(1),(1)・・が、それら相互の交差部において、前記金属製角形筒(7)の上面(7a)および両側面(7b)、(7c)を抱持する断面コ字状の第1抱持金具(8a)と該第1抱持金具(8a)の両下端部からそれぞれ一体に延設され、前記金属製角形筒(1)の上面(1a)および両側面(1b)、(1c)を抱持する断面コ字状の第2抱持金具(8b)、(8b)とからなる取付金具(8)によって相互に結合されることになる。
【0013】
その結果、前記金属製角形筒(1),(1)・・が、前記取付金具(8)を介して補強用の梁部材(7),(7)・・により確実に支持されるようになって、ぶどう棚強度が向上し、金属製角形筒(1),(1)・・および梁部材(7),(7)・・の上を作業員が安心して歩くことができるようになり、地震発生時の左右方向の揺れにも対応することができるようになる。
【0014】
また、金属製角形筒(1),(1)・・と直交する部材(第1の課題解決手段における金属製角形筒(2))を省略することが可能となり、低コスト化を図ることができる。
(3)第3の課題解決手段
本願発明では、また、上記課題を解決するための第3の手段として、上記第1の手段を備えた天井下地構造において、前記金属製角筒(1),(1)・・および前記金属製角形筒(1),(1)・・に直交する前記金属製角筒(2),(2)・・のうちの選ばれたものと前記吊りボルト(3),(3)・・のうちの選ばれたものの上端部あるいは前記建物の構造物(26)とを、金属製角形筒からなる斜め補強部材(20),(20)で連結したことを特徴としている。
【0015】
このような構成の場合、天井下地構造を構成する、金属製角筒(1),(1)・・および金属製角筒(1),(1)・・に直交する金属製角筒(2),(2)・・のうちの選ばれたものと吊りボルト(3),(3)・・のうちの選ばれたものの上端部あるいは建物の構造物(26)とが、金属製角形筒からなる斜め補強部材(20),(20)により連結されるので、地震発生時の左右方向への揺れに対して、より十分に対応することができるようになり、一層耐震性能が向上する。
(4)第4の課題解決手段
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第4の手段として、上記第2の手段を備えた天井下地構造において、前記金属製角筒(1),(1)・・および前記金属製角筒(1),(1)・・に交差する前記梁部材(7)、(7)・・のうちの選ばれたものと前記吊りボルト(3),(3)・・のうちの選ばれたものの上端部あるいは前記建物の構造物(26)とを、金属製角形筒からなる斜め補強部材(20),(20)で連結したことを特徴としている。
【0016】
このような構成の場合、天井下地構造を構成する、前記金属製角筒(1),(1)・・および前記金属製角筒(1),(1)・・に交差する前記梁部材(7)、(7)・・のうちの選ばれたものと前記吊りボルト(3),(3)・・のうちの選ばれたものの上端部あるいは建物の構造物(26)とが、金属製角形筒からなる斜め補強部材(20),(20)により連結されるので、地震発生時の左右方向への揺れに対して、より十分に対応することができるようになり、一層耐震性能が向上する。
【発明の効果】
【0017】
以上の結果、本願発明によると、ぶどう棚としての棚強度および地震に対する耐震強度の何れにも優れた天井下地構造の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造を示す全体斜視図である。
図2図1に示す天井下地構造における斜め補強部材の取付状態を示す拡大斜視図である。
図3】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における縦方向の金属製角形筒と、横方向の金属製角形筒との結合構造を示す拡大斜視図である。
図4】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における縦方向の金属製角形筒と梁部材との結合構造を示す拡大斜視図である。
図5】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における金属製角形筒、梁部材および斜め補強部材の構造を示す拡大斜視図である。
図6】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における下部固定金具を示す拡大斜視図である。
図7】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具を示す拡大斜視図である。
図8】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造において斜め補強部材が取付られている縦方向の金属製角形筒とこれと直交する横方向の金属製角形筒との取付部位を示す拡大正面図である。
図9】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造において斜め補強部材が取付られている縦方向の金属製角形筒とこれと直交する横方向の金属製角形筒との取付部位を示す拡大側面図である。
図10】(イ)、(ロ)および(ハ)は、本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造において斜め補強部材が取付られている縦方向の金属製角形筒とこれと直交する横方向の金属製角形筒との取付部位を補強する補強板の3種の具体例を示す拡大斜視図である。
図11】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における梁部材と縦方向の金属製角形筒との結合に用いる取付金具の拡大斜視図である。
図12】本願発明の第2の実施の形態にかかる天井下地構造における斜め補強部材の取付状態を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾つかの実施の形態について説明する。
【0020】
第1の実施の形態
図1ないし図2には、本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造が示されている。
【0021】
この天井下地構造は、図1ないし図3に示すように、所定間隔で平行に並ぶ多数の中空な金属製角形筒1,1・・と該金属製角形筒1,1・・の間に直交架設されて所定間隔で平行に並ぶ多数の金属製角形筒2,2・・とからなっており、前記金属製角形筒1,1・・あるいは2,2・・を吊りボルト3, 3・・を用いて建物の構造物26から吊り下げるように構成されている。そして、前記金属製角形筒1,1・・および2,2・・と、前記吊りボルト3,3・・のうちの選ばれたものの上端部とは、中空な金属製角形筒からなる斜め補強部材20,20でそれぞれ連結されている。
【0022】
また、この天井下地構造においては、前記金属製角形筒1,1・・には、該金属製角形筒1,1・・に対して直交し且つ部屋の端から端に到る金属製角形筒からなる梁部材7が後述する取付金具8を介して取り付けられている(図4参照)。この梁部材7は、ぶどう棚を補強するために設けられている。符号4は前記金属製角形筒1,1・・の端部を支持する断面コ字状の支持部材、5は前記金属製角形筒2,2・・の下面に取り付けられた天井板、6は前記金属製角形筒1,1・・に対して直交するチャンネルである。
【0023】
そして、前記各金属製角形筒1,2、前記梁部材7および前記各斜め補強部材20は、図5に示すように、所定の幅に切断された金属板をその両端がコーナの一点において接するように四角筒状に折曲して構成された中空な金属板四角筒によって構成されている。前記金属板の一方の端部には、前記金属板角形筒の内側に折曲され、さらにその先端部が外側に向かって折山されてなる逆J字状折曲部a が設けられ、前記金属板の他方の端部には、内側に逆U字状折曲部bが設けられており、両者を連続して嵌合圧着せしめて水平方向に連続するコーナ型接続部cとして成形されている。そして、該コーナ型接続部cにおける逆U宇状折曲部bの基端から内側に向かってコの字状に突出するリブdが水平方向に連続して形成されている。このように構成したことにより、金属製角形筒のいずれの四面を、開口形成部およびボード貼付面として選択することが可能となる。また、コーナ型接続部cの外れをリブdにより防止できるとともに金属製角形筒の剛性強化も図れる。
【0024】
前記各金属製角形筒1には、図2に示すように、前記チャンネル6が挿通された嵌挿穴11に連続する開口12が形成されており、該開口12の口縁には、前記チャンネル6に近接される固定片13が取り付けられている。このように構成することにより、固定片13を取り付けることにより、金属製角形筒1へのチャンネル6の組付を容易且つ確実に行うことができる。
【0025】
ところで、本実施の形態においては、図2ないし図4に示すように、前記金属製角形筒1,1・・および2,2・・のうちの選ばれたものと前記吊りボルト3,3・・のうちの選ばれたものの上端部とは、中空な金属製角形筒からなる斜め補強部材20で連結されている。
【0026】
前記吊りボルト3の下端部は、図2ないし図4および図6に示すように、支持金具25を介して前記金属製角形筒1に支持されている。該支持金具25は、前記吊りボルト3の下端に対して螺着された下向きコ字状の上部支持金具25aと、前記金属製角形筒1を抱持した状態でビス止めされた上向きコ字状の下部支持金具25bとからなっており、該下部支持金具25bの上端部と前記上部支持金具25aの下端部とはボルト25cで結合されている。そして、前記上部固定金具25bにおいて前記吊りボルト3が螺着される部位には、上部固定金具25bの変形を防止するための補強板25dが介設されている。このようにすると、金属製角形筒1に過度の荷重が掛かったとしても、上部固定金具25bの変形を防止することができる。
【0027】
一方、前記吊りボルト3の上端部は、図2および図7に示すように、建物の構造物であるH型鋼26の下部水平片26aに取り付けられた箱型の結合金具23に螺着されている。該結合金具23は、断面直方体形状の筒体からなっており、その一端側には、前記H型鋼26の下部水平片26aが挿入される切欠開口23aが形成されていて、該切欠開口23aに挿入された下部水平片26aを前記結合金具23の下面側から螺着された締付ボルト23bで締め付けることにより取り付けられることとなっている。このようにすると、吊りボルト3による金属製角形筒1を吊り下げる力が強固となり、地震発生時における耐振性を確保することができる。
【0028】
前記斜め補強部材20の下端部と前記金属製角形筒1との間には、図6に示すように、該斜め補強部材20の下端部における相対向する二面を抱持した状態でビス21b,21b・・で取り付けられる一対の抱持片21a,21a備えた取付手段21Aと前記金属製角形筒1に対して結合される結合手段21Bとを備えた下部固定金具21が介設されている。この場合、前記取付手段21Aは、前記抱持片21a,21aと該抱持片21a,21aの下端間を一体に連結する連結片21cにより一体に連結される一方、前記結合手段21Bは、前記金属製角形筒1おける相対向する二面を抱持した状態でビス21d,21d・・で取り付けられる一対の抱持片21e,21eと該抱持片21e,21eの上端間を一体に連結する連結片21fとからなっており、前記連結片21cと前記連結片21fとはボルト21gで結合されている。このようにすると、斜め補強部材20の下端部と金属製角形筒1との結合強度が大幅に強化されることとなり、取付が簡単になるとともに、より一層耐震性能に優れたものとなる。
【0029】
続いて、本実施の形態における前記斜め補強部材20の上端部と前記吊りボルト3の上端部との間に取り付けられる上部固定金具22の構成について説明する。
【0030】
前記斜め補強部材20の上端部と前記吊りボルト3の上端部との間には、図7に示すように、前記斜め補強部材20の上端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片22a,22aを備えた取付手段22Aと前記吊りボルト3の上端部に対して結合される結合手段22Bとを備えた上部固定金具22が介設されているが、該上部固定金具22は、図7に示すように、前記抱持片22a,22aの上端を連結片22bで一体に連結してなる断面コ状の取付手段22Aと、建物の構造物であるH型鋼26の下部水平片26aに取り付けられた結合金具23の相対向する側面に対してボルト22c,22cで螺着された一対の抱持片22d,22dに下端を連結片22eで一体に連結してなる断面コ字状の結合手段22Bとからなっており、前記連結片22bと前記連結片22eとをボルト22fを用いて結合して構成されている。
【0031】
次に、前記金属製角形筒2の両端と金属製角形筒1の側面との結合構造について、図3および図8図10を参照して説明する。
【0032】
金属製角形筒2の両端と金属製角形筒1の側面とは、固定金具27を介して結合されている。該固定金具27は、前記金属製角形筒1の側面に対してネジ28により固着される基部27aと、該基部27aの両側端から同方向に直角に屈曲延設され、前記金属製角形筒2の相対向する2側面にネジ29,29・・により固着される一対の抱持部27b,27bとによって構成されており、該両抱持部27b,27bの一端側における略上半分部分には、前記金属製角形筒2を位置決めする位置決め用突片27c,27cが直角に屈曲されて一体に形成されている。
【0033】
さらに、前記抱持部27b,27bにおける前記基部27a側端部の一部(即ち、中央部)を該基部27aと連続するように切り起こして前記金属製角形筒1にネジ28により固着される支持部27d,27dが設けられている。符号30は支持部27dを切り起こした跡に形成される開口部、31は開口部30の両側に形成された補強用ビードである。
【0034】
さらにまた、前記支持部27d,27dと前記基部27aとに跨がって連続する補強用ビード32が形成されている。該補強用ビード32の頂面32aは平面とされており、前該頂面32aには、前記ネジ28を螺着するためのネジ穴が所定間隔で形成されている。
【0035】
ところで、上記固定金具27と金属製角形筒1との取付強度を強化する必要があるところから、金属製角形筒1における金属製角形筒2の両端が突き合わせる部分には、図10に示す補強板33が取り付けられる。この補強板33としては、図10(イ)に示すように、金属製角形筒1における上面1aおよび側面1bに対して被嵌される水平部33aおよび垂直部33bを有する断面L字状の鋼板製の板材が採用されている。この補強板33の水平部33aの端部には、前記金属製角形筒1の反対側の側面1cの上端部に対して引っかけられるリブ33cが一体に延設されている。
【0036】
また、この補強板33の他の例としては、図10(ロ)および(ハ)に示すように、断面コ字状の鋼板製の板材を採用することもできる。
【0037】
要するに、この補強板33は、金属製角形筒1の上面1aおよび側面1bを覆う形状であればよいのである。符号34は補強板33を金属製角形筒1に取り付けるためのネジである。
【0038】
上記したように、金属製角形筒1における金属製角形筒2の両端が突き合わせる部分に補強板33を取り付けることにより、当該部分における鉄板の厚さが2枚板のようになるところから、固定金具27を取り付けるためのネジ28の締め付け強度が格段に向上することとなる。従って、地震発生時に揺れが繰り返した場合にも、金属製角形筒1と固定金具27とを締結しているネジが緩むおそれがなくなり、より一層耐震強度が向上することとなる。
【0039】
次に、梁部材7と金属製角形筒1との結合構造について、図4および図11を参照して説明する。
【0040】
前記金属製角形筒1と梁部材7とは、図4に示すように、取付金具8を介して結合されており、該取付金具8は、図11に示すように、前記梁部材7の上面7aと該上面7aに連続する両側面7b,7cを抱持する断面コ字状の第1抱持金具8aと該第1抱持金具8aの両下端部から一体に延設され且つ前記金属製角形筒1の上面1aと該上面1aに連続する両側面1b,1cを抱持する第2抱持金具8bとによって構成されている。そして、前記第1抱持金具8aにおける両側面と前記梁部材7の両側面7b,7cとおよび前記第2抱持金具における両側面と前記金属製角形筒1の両側面1b,1cとは、ネジ35,35・・により固着されている。
【0041】
上記のように構成したことにより、金属製角形筒1および梁部材7の上を作業員が安心して歩くことができるとともに、地震発生時には左右方向に同時に揺れるが、この左右方向の揺れに対応することができる。しかも、金属製角形筒1,1・・および2,2・・のうちの選ばれたものと吊りボルト3,3・・のうちの選ばれたものの上端部あるいは建物の構造物26とが、中空な金属製角形筒からなる斜め補強部材20,20でそれぞれ連結されることにより、金属製角形筒1,1・・あるいは金属製部材2,2・・の上を作業員が安心して歩くことができるとともに、地震時には左右方向に同時に揺れるが、天井下地構造を構成する直交状態の金属製角形筒1,1・・および2,2・・に対して斜め補強部材20,20でそれぞれ連結されることにより、地震時における左右方向の揺れに対応することができる。また、斜め補強部材20,20を、捩れおよび上下左右方向に対する強度を有する中空な金属製角形筒で構成したことにより、地震時における激震に耐え得る耐震性能に優れた天井下地構造となる。さらにまた、取付金具8を、梁部材7を抱持する断面コ字状の第1抱持金具8aと該第1抱持金具8aの両下端部から一体に延設され且つ各金属製角形筒1を抱持する第2抱持金具8bとによって構成したことにより、直交する金属製角形筒1と梁部材7との直交部分を強固に結合することができる。
【0042】
第2の実施の形態
図12には、本願発明の第2の実施の形態にかかる天井下地構造が示されている。
【0043】
この場合、金属製角形筒2,2・・を省略し、梁部材7,7・・の選ばれたものに対して斜め補強部材20,20の下端部が結合されている。その他の構成は、第1の実施の形態におけると同様なので、説明を省略する。
【0044】
なお、上記した本実施の形態にかかる天井下地構造においては、吊りボルト3は金属製角形筒1,1・・のうちの選ばれたものを吊り下げるように構成されているが、前記金属製角形筒2,2・・のうちの選ばれたものを吊りボルト3を用いて吊り下げるように構成する場合もある。
【0045】
本願発明は、上記各実施の形態において説明したものに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0046】

1は金属製角形筒
2は金属製角形筒
3は吊りボルト
7は梁部材(金属製角形筒)
8は取付金具
8aは第1抱持金具
8bは第2抱持金具
20は斜め補強部材
26は建物の構造物(H型鋼)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12