【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシャッター装置の巻取軸保護構造は、シャッター装置のシャッターカーテンの端部が連結され、このシャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸の全周が保護シートで覆われているシャッター装置の巻取軸保護構造において、前記保護シートは、前記巻取軸の円周方向における前記保護シートの一方の端部から前記巻取軸の外周に巻かれていて他方の端部が前記一方の端部を越えていることにより、前記巻取軸の円周方向の重なり代をもって前記巻取軸の外周に少なくとも1回巻かれており、前記保護シートは取り外し可能の止着具によって前記巻取軸に止着されていることを特徴とするものである。
【0007】
この巻取軸保護構造では、保護シートは、巻取軸の円周方向の重なり代をもって巻取軸の外周に少なくとも1回巻かれているため、巻取軸の全周が保護シートで保護されていることになり、これにより、巻取軸を塩害等から保護できるとともに、巻取軸に錆等が発生することも防止できる。また、保護シートは取り外し可能の止着具によって巻取軸に止着されているため、この止着具を取り外すことにより、保護シートの全体を簡単に巻取軸から取り外すことができ、これにより、巻取軸の全体についてメンテナンス作業を容易に行うことが可能となる。また、保護シートを巻取軸の外周に巻いて止着具で巻取軸に止着することにより、保護シートを再度巻取軸に取り外し可能に止着することもできる。
【0008】
なお、保護シートが巻取軸の円周方向の重なり代をもって巻取軸の外周に巻かれる回数は、1回でもよく、2回以上でもよい。
【0009】
本発明において、保護シートは不透明のシートでもよく、あるいは、透明又は半透明のシートでもよい。
【0010】
保護シートを透明シート又は半透明シートとすると、保護シートを巻取軸から取り外さなくても、巻取軸の状態を視認することができるため、巻取軸についてのメンテナンス作業が必要か否かを確認できる。
【0011】
また、保護シートを取り外し可能に止着するための止着具は、任意な止着具でよく、その一例の止着具は、巻取軸にねじ込まれるビスである。
【0012】
このビスは、なべビスや丸ビス、さらには、バインドビスやトラスビス等でもよいが、皿ビスとすることが好ましい。
【0013】
ビスを皿ビスとすると、この皿ビスの逆三角錐状となっている頭部の上面は平坦であって、保護シートからの頭部の突出量が小さくなるため、シャッターカーテンの端部が保護シートを間に介在させて巻取軸に連結されても、このシャッターカーテンが巻取軸に巻き取られ、巻取軸から繰り出される際に、皿ビスの大きな影響を受けることなく、この巻き取り、繰り出しを円滑に行えることになる。
【0014】
また、本発明において、保護シートにおける巻取軸の円周方向の前述の重なり代を形成している部分同士を、これらの部分の間に介設された接合テープにより分離可能に接合することが好ましい。
【0015】
これによると、保護シートが巻取軸の全周を覆っているときに、前述の重なり代を形成している部分同士が分離状態となることを接合テープにより防止できる。
【0016】
この接合テープの長さは、巻取軸の軸方向である保護シートの幅方向の全長に渡る長さでもよく、あるいは、この全長よりも短い長さでもよく、また、巻取軸の軸方向の長さが短い複数個の接合テープを、保護シートの幅方向に間隔を開けて又は開けずに配置してもよい。
【0017】
また、本発明において、保護シートの枚数を1枚とし、この1枚の保護シートにより巻取軸の全長又は略全長を覆ってもよく、あるいは、保護シートの枚数を巻取軸の軸方向に並べられた複数枚とし、これらの保護シートによって巻取軸の全長又は略全長を覆ってもよい。
【0018】
保護シートの枚数を巻取軸の軸方向に並べられた複数枚とする場合には、これらの保護シートのうち、巻取軸の軸方向に互いに隣り合っている2枚の保護シートの一部同士を、巻取軸の軸方向の重なり代をもって重ねるとともに、それぞれの保護シートを取り外し可能の止着具により巻取軸に止着するようにしてもよい。
【0019】
これによると、全長が長い巻取軸であっても、複数枚の保護シートによりこの巻取軸の全長又は略全長を隙間なく覆うことができ、また、それぞれの止着具を取り外すことにより、それぞれの保護シートの全体を簡単に巻取軸から取り外すことができるため、巻取軸の全体についてメンテナンス作業を容易に行うことが可能となる。
【0020】
さらに、以上のように保護シートの枚数を巻取軸の軸方向に並べられた複数枚とし、これらの保護シートのうち、巻取軸の軸方向に互いに隣り合っている2枚の保護シートの一部同士を、巻取軸の軸方向の重なり代をもって重ねるとともに、それぞれの保護シートを取り外し可能の止着具により巻取軸に止着する場合には、それぞれの保護シートにおける巻取軸の円周方向の重なり代を形成している部分同士を、これらの部分の間に介設された接合テープにより分離可能に接合することが好ましい。
【0021】
これによると、それぞれの保護シートが巻取軸の全周を覆っているときに、巻取軸の円周方向の重なり代を形成している部分同士が分離状態となることを、それぞれの接合テープにより阻止できる。
【0022】
これらの接合テープの長さは、巻取軸の軸方向であるそれぞれの保護シートの幅方向の全長に渡る長さでもよく、あるいは、この全長よりも短い長さでもよく、また、巻取軸の軸方向の長さが短い複数個の接合テープを、保護シートの幅方向に間隔を開けて又は開けずに配置してもよい。
【0023】
また、それぞれの保護シートが透明シート又は半透明シートである場合には、巻取軸の軸方向に互いに隣り合っている前述の2枚の保護シートにおける接合テープの少なくとも一部同士を、巻取軸の軸方向の重なり代をもって重ねてもよい。
【0024】
これによると、接合テープが不透明テープとなっているために、透明シート又は半透明シートである保護シートに接合テープを設けることで保護シートに不透明部分が生じても、前述の2枚の保護シートの接合テープの少なくとも一部同士を、巻取軸の軸方向の重なり代をもって重ねることにより、全部の保護シートにおける不透明部分の面積が減少し、これにより、保護シートを通して巻取軸の状態を確認できる面積を拡大できる。
【0025】
なお、以上説明した本発明において、接合テープは、例えば、両面粘着テープでもよく、平面ファスナでもよく、保護シートにおける巻取軸の円周方向の重なり代を形成している部分同士を分離可能に接合できるものであれば、任意な形式の接合テープでよい。
【0026】
また、以上説明した本発明に係る巻取軸保護構造は、任意な構造で構成されている巻取軸に適用でき、その一例の巻取軸は、例えば、中空の1本又は軸方向に連結された複数本のパイプで形成された巻取軸であり、また、他の例の巻取軸は、回転しない中心軸と、この中心軸の外側に回転自在に配設され、シャッターカーテンの端部が連結される回転体とを含んで構成されている巻取軸である。
【0027】
本発明に係る巻取軸保護構造が後者の巻取軸に適用される場合には、上述の回転体に保護シートが前述の取り外し可能の止着具によって止着される。
【0028】
そして、この回転体が、巻取軸の軸方向に間隔を開けて配置された複数個のホイール部材と、これらのホイール部材同士を連結するバー部材とを含んで構成されている場合には、それぞれのホイール部材に保護シートを前述の止着具によって止着してもよい。
【0029】
また、本発明に係る巻取軸には、任意な部材や手段、装置等が付設物として配置されていてもよい。これを具体的に説明すると、本発明に係る巻取軸には、シャッターカーテンを繰り出すときの巻取軸の回転で蓄圧力が蓄圧され、この蓄圧力により、シャッターカーテンを巻き取るときの巻取軸の回転を補助するための戻しばねが配置されていてもよく、あるいは、シャッターカーテンの巻き取り、繰り出しのための巻取軸の回転を行わせる駆動装置となっている開閉機が配置されていてもよく、さらには、戻しばねと開閉機の両方が配置されていてもよく、戻しばねや開閉機以外の付設物が配置されていてもよい。
【0030】
保護シートの全体を巻取軸から取り外すことにより、このような付設物についてのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0031】
また、以上説明した本発明に係る巻取軸保護構造は、任意な用途のシャッター装置に適用でき、このシャッター装置は、例えば、車庫用シャッター装置でもよく、店舗の出入口用シャッター装置でもよく、火災等の災害発生時に全閉となったシャッターカーテンで防災区画を形成するための防災用シャッター装置でもよい。さらに、本発明に係る巻取軸保護構造は、例えば、出入口用シャッター装置と防災用シャッター装置のように、複数の用途のための併用式のシャッター装置でもよい。
【0032】
また、巻取軸に端部が連結されるシャッターカーテンの全部又は主要部を形成する部材は、スラットでもよく、シートでもよく、パネルでもよく、ネットでもよく、リンクで連結されたパイプでもよく、さらには、例えば、スラットとシートのように、異種部材が組み合わせられたものでもよい。