特許第5997915号(P5997915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997915
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】シャッター装置の巻取軸保護構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/56 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   E06B9/56 A
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-53982(P2012-53982)
(22)【出願日】2012年3月12日
(65)【公開番号】特開2013-185424(P2013-185424A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】重村 正和
(72)【発明者】
【氏名】小林 正典
(72)【発明者】
【氏名】村上 勝彦
【審査官】 多田 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−054374(JP,A)
【文献】 特開2002−235486(JP,A)
【文献】 特開平11−081833(JP,A)
【文献】 特開2001−065277(JP,A)
【文献】 米国特許第06497267(US,B1)
【文献】 特開平11−081832(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0016313(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0070708(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッターカーテンの端部が連結され、このシャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸の全周が保護シートで覆われているシャッター装置の巻取軸保護構造において、
前記保護シートは、前記巻取軸の円周方向における前記保護シートの一方の端部から前記巻取軸の外周に巻かれていて他方の端部が前記一方の端部を越えていることにより、前記巻取軸の円周方向の重なり代をもって前記巻取軸の外周に少なくとも1回巻かれており、前記保護シートは取り外し可能の止着具によって前記巻取軸に止着されており、
前記保護シートにおける前記巻取軸の円周方向の前記重なり代を形成している部分同士は、これらの部分の間に介設された接合テープにより分離可能に接合されており、
前記巻取軸は、回転しない中心軸と、この中心軸の外側に回転自在に配設され、前記シャッターカーテンの端部が連結される回転体とを含んで構成されているとともに、この回転体は、前記巻取軸の軸方向に間隔を開けて配置された複数個のホイール部材と、これらのホイール部材同士を連結するバー部材とを含んで構成されており、
前記保護シートは、前記重なり代の箇所において、前記止着具により前記ホイール部材に止着されているとともに、この止着は、前記ホイール部材の箇所と一致して前記保護シートに配置されている前記接合テープを前記止着具が貫通して行われており、
前記保護シートは、前記回転体における前記巻取軸の軸方向の両端部からはみ出してこの回転体の外周に巻き付けられていることを特徴とするシャッター装置の巻取軸保護構造。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッター装置の巻取軸保護構造において、前記接合テープは、前記保護シートに、前記巻取軸の軸方向の間隔を開けて複数個設けられており、これらの接合テープのなかに、前記ホイール部材の箇所と一致して前記保護シートに配置され、かつ前記止着具が貫通している前記接合テープが存在していることを特徴とするシャッター装置の巻取軸保護構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシャッター装置の巻取軸保護構造において、前記接合テープは、両面粘着テープであることを特徴とするシャッター装置の巻取軸保護構造
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のシャッター装置の巻取軸保護構造において、前記保護シートは、透明シート又は半透明シートであることを特徴とするシャッター装置の巻取軸保護構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のシャッター装置の巻取軸保護構造において、前記止着具は、前記ホイール部材にねじ込まれているビスであることを特徴とするシャッター装置の巻取軸保護構造。
【請求項6】
請求項5に記載のシャッター装置の巻取軸保護構造において、前記ビスは皿ビスであることを特徴とするシャッター装置の巻取軸保護構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のシャッター装置の巻取軸保護構造において、前記保護シートの枚数は、前記巻取軸の軸方向に並べられた複数枚あり、これらの保護シートのうち、前記巻取軸の軸方向に互いに隣り合っている2枚の保護シートの一部同士は、前記巻取軸の軸方向の重なり代をもって重ねられているとともに、それぞれの前記保護シートが取り外し可能の前記止着具によって前記ホイール部材に止着されていることを特徴とするシャッター装置の巻取軸保護構造。
【請求項8】
請求項7に記載のシャッター装置の巻取軸保護構造において、それぞれの前記保護シートにおける前記巻取軸の円周方向の前記重なり代を形成している部分同士が、これらの部分の間に介設された前記接合テープにより分離可能に接合されていることを特徴とするシャッター装置の巻取軸保護構造。
【請求項9】
請求項8に記載のシャッター装置の巻取軸保護構造において、それぞれの前記保護シートは透明シート又は半透明シートであるとともに、前記巻取軸の軸方向に互いに隣り合っている前記2枚の保護シートにおける前記接合テープの少なくとも一部同士は、前記巻取軸の軸方向の重なり代をもって重ねられていることを特徴とするシャッター装置の巻取軸保護構造。
【請求項10】
請求項9に記載のシャッター装置の巻取軸保護構造において、前記接合テープについての前記巻取軸の軸方向の前記重なり代の箇所において、前記巻取軸の軸方向に互いに隣り合っている前記2枚の保護シートが前記止着具により前記ホイール部材に共締め状態で止着されていることを特徴とするシャッター装置の巻取軸保護構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置のシャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸の保護構造に係り、例えば、車庫用シャッター装置や店舗の出入口用シャッター装置等の各種のシャッター装置のための巻取軸に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
シャッターカーテンが巻き取り式になっているシャッター装置では、シャッターカーテンの巻き取り、繰り出しは、シャッターカーテンの端部が連結されている巻取軸により行なわれる。下記の特許文献1及び特許文献2に示されている技術では、巻取軸の防錆のためや塩害対策等のために、巻取軸の全周を保護シートで覆うことが行われている。これらの技術では、巻取軸の全周を保護シートで覆うために、保護シートとなっている筒状の被覆材を巻取軸に被せ、この被覆材を熱収縮させること等により巻取軸に密着固定しており、また、被覆材の一部にスライドファスナー等で開閉可能となった窓部を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−81832号公報
【特許文献2】特開平11−81833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
巻取軸についてのメンテナンス作業を行う際には、巻取軸から被覆材を取り外すことが行なわれ、上述の技術では、被覆材が筒状となっているため、巻取軸から被覆材を取り外すために多くの手間と時間がかかり、また、被覆材の一部にスライドファスナー等で開閉可能となった窓部を設けても、メンテナンス作業を行える箇所は、この窓部が設けられている箇所及びその周辺箇所だけとなる。
【0005】
本発明の目的は、保護シートの全体を巻取軸から簡単に取り外すことができて、巻取軸のメンテナンス作業を容易に行えるようになるシャッター装置の巻取軸保護構造を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシャッター装置の巻取軸保護構造は、シャッター装置のシャッターカーテンの端部が連結され、このシャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸の全周が保護シートで覆われているシャッター装置の巻取軸保護構造において、前記保護シートは、前記巻取軸の円周方向における前記保護シートの一方の端部から前記巻取軸の外周に巻かれていて他方の端部が前記一方の端部を越えていることにより、前記巻取軸の円周方向の重なり代をもって前記巻取軸の外周に少なくとも1回巻かれており、前記保護シートは取り外し可能の止着具によって前記巻取軸に止着されていることを特徴とするものである。
【0007】
この巻取軸保護構造では、保護シートは、巻取軸の円周方向の重なり代をもって巻取軸の外周に少なくとも1回巻かれているため、巻取軸の全周が保護シートで保護されていることになり、これにより、巻取軸を塩害等から保護できるとともに、巻取軸に錆等が発生することも防止できる。また、保護シートは取り外し可能の止着具によって巻取軸に止着されているため、この止着具を取り外すことにより、保護シートの全体を簡単に巻取軸から取り外すことができ、これにより、巻取軸の全体についてメンテナンス作業を容易に行うことが可能となる。また、保護シートを巻取軸の外周に巻いて止着具で巻取軸に止着することにより、保護シートを再度巻取軸に取り外し可能に止着することもできる。
【0008】
なお、保護シートが巻取軸の円周方向の重なり代をもって巻取軸の外周に巻かれる回数は、1回でもよく、2回以上でもよい。
【0009】
本発明において、保護シートは不透明のシートでもよく、あるいは、透明又は半透明のシートでもよい。
【0010】
保護シートを透明シート又は半透明シートとすると、保護シートを巻取軸から取り外さなくても、巻取軸の状態を視認することができるため、巻取軸についてのメンテナンス作業が必要か否かを確認できる。
【0011】
また、保護シートを取り外し可能に止着するための止着具は、任意な止着具でよく、その一例の止着具は、巻取軸にねじ込まれるビスである。
【0012】
このビスは、なべビスや丸ビス、さらには、バインドビスやトラスビス等でもよいが、皿ビスとすることが好ましい。
【0013】
ビスを皿ビスとすると、この皿ビスの逆三角錐状となっている頭部の上面は平坦であって、保護シートからの頭部の突出量が小さくなるため、シャッターカーテンの端部が保護シートを間に介在させて巻取軸に連結されても、このシャッターカーテンが巻取軸に巻き取られ、巻取軸から繰り出される際に、皿ビスの大きな影響を受けることなく、この巻き取り、繰り出しを円滑に行えることになる。
【0014】
また、本発明において、保護シートにおける巻取軸の円周方向の前述の重なり代を形成している部分同士を、これらの部分の間に介設された接合テープにより分離可能に接合することが好ましい。
【0015】
これによると、保護シートが巻取軸の全周を覆っているときに、前述の重なり代を形成している部分同士が分離状態となることを接合テープにより防止できる。
【0016】
この接合テープの長さは、巻取軸の軸方向である保護シートの幅方向の全長に渡る長さでもよく、あるいは、この全長よりも短い長さでもよく、また、巻取軸の軸方向の長さが短い複数個の接合テープを、保護シートの幅方向に間隔を開けて又は開けずに配置してもよい。
【0017】
また、本発明において、保護シートの枚数を1枚とし、この1枚の保護シートにより巻取軸の全長又は略全長を覆ってもよく、あるいは、保護シートの枚数を巻取軸の軸方向に並べられた複数枚とし、これらの保護シートによって巻取軸の全長又は略全長を覆ってもよい。
【0018】
保護シートの枚数を巻取軸の軸方向に並べられた複数枚とする場合には、これらの保護シートのうち、巻取軸の軸方向に互いに隣り合っている2枚の保護シートの一部同士を、巻取軸の軸方向の重なり代をもって重ねるとともに、それぞれの保護シートを取り外し可能の止着具により巻取軸に止着するようにしてもよい。
【0019】
これによると、全長が長い巻取軸であっても、複数枚の保護シートによりこの巻取軸の全長又は略全長を隙間なく覆うことができ、また、それぞれの止着具を取り外すことにより、それぞれの保護シートの全体を簡単に巻取軸から取り外すことができるため、巻取軸の全体についてメンテナンス作業を容易に行うことが可能となる。
【0020】
さらに、以上のように保護シートの枚数を巻取軸の軸方向に並べられた複数枚とし、これらの保護シートのうち、巻取軸の軸方向に互いに隣り合っている2枚の保護シートの一部同士を、巻取軸の軸方向の重なり代をもって重ねるとともに、それぞれの保護シートを取り外し可能の止着具により巻取軸に止着する場合には、それぞれの保護シートにおける巻取軸の円周方向の重なり代を形成している部分同士を、これらの部分の間に介設された接合テープにより分離可能に接合することが好ましい。
【0021】
これによると、それぞれの保護シートが巻取軸の全周を覆っているときに、巻取軸の円周方向の重なり代を形成している部分同士が分離状態となることを、それぞれの接合テープにより阻止できる。
【0022】
これらの接合テープの長さは、巻取軸の軸方向であるそれぞれの保護シートの幅方向の全長に渡る長さでもよく、あるいは、この全長よりも短い長さでもよく、また、巻取軸の軸方向の長さが短い複数個の接合テープを、保護シートの幅方向に間隔を開けて又は開けずに配置してもよい。
【0023】
また、それぞれの保護シートが透明シート又は半透明シートである場合には、巻取軸の軸方向に互いに隣り合っている前述の2枚の保護シートにおける接合テープの少なくとも一部同士を、巻取軸の軸方向の重なり代をもって重ねてもよい。
【0024】
これによると、接合テープが不透明テープとなっているために、透明シート又は半透明シートである保護シートに接合テープを設けることで保護シートに不透明部分が生じても、前述の2枚の保護シートの接合テープの少なくとも一部同士を、巻取軸の軸方向の重なり代をもって重ねることにより、全部の保護シートにおける不透明部分の面積が減少し、これにより、保護シートを通して巻取軸の状態を確認できる面積を拡大できる。
【0025】
なお、以上説明した本発明において、接合テープは、例えば、両面粘着テープでもよく、平面ファスナでもよく、保護シートにおける巻取軸の円周方向の重なり代を形成している部分同士を分離可能に接合できるものであれば、任意な形式の接合テープでよい。
【0026】
また、以上説明した本発明に係る巻取軸保護構造は、任意な構造で構成されている巻取軸に適用でき、その一例の巻取軸は、例えば、中空の1本又は軸方向に連結された複数本のパイプで形成された巻取軸であり、また、他の例の巻取軸は、回転しない中心軸と、この中心軸の外側に回転自在に配設され、シャッターカーテンの端部が連結される回転体とを含んで構成されている巻取軸である。
【0027】
本発明に係る巻取軸保護構造が後者の巻取軸に適用される場合には、上述の回転体に保護シートが前述の取り外し可能の止着具によって止着される。
【0028】
そして、この回転体が、巻取軸の軸方向に間隔を開けて配置された複数個のホイール部材と、これらのホイール部材同士を連結するバー部材とを含んで構成されている場合には、それぞれのホイール部材に保護シートを前述の止着具によって止着してもよい。
【0029】
また、本発明に係る巻取軸には、任意な部材や手段、装置等が付設物として配置されていてもよい。これを具体的に説明すると、本発明に係る巻取軸には、シャッターカーテンを繰り出すときの巻取軸の回転で蓄圧力が蓄圧され、この蓄圧力により、シャッターカーテンを巻き取るときの巻取軸の回転を補助するための戻しばねが配置されていてもよく、あるいは、シャッターカーテンの巻き取り、繰り出しのための巻取軸の回転を行わせる駆動装置となっている開閉機が配置されていてもよく、さらには、戻しばねと開閉機の両方が配置されていてもよく、戻しばねや開閉機以外の付設物が配置されていてもよい。
【0030】
保護シートの全体を巻取軸から取り外すことにより、このような付設物についてのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0031】
また、以上説明した本発明に係る巻取軸保護構造は、任意な用途のシャッター装置に適用でき、このシャッター装置は、例えば、車庫用シャッター装置でもよく、店舗の出入口用シャッター装置でもよく、火災等の災害発生時に全閉となったシャッターカーテンで防災区画を形成するための防災用シャッター装置でもよい。さらに、本発明に係る巻取軸保護構造は、例えば、出入口用シャッター装置と防災用シャッター装置のように、複数の用途のための併用式のシャッター装置でもよい。
【0032】
また、巻取軸に端部が連結されるシャッターカーテンの全部又は主要部を形成する部材は、スラットでもよく、シートでもよく、パネルでもよく、ネットでもよく、リンクで連結されたパイプでもよく、さらには、例えば、スラットとシートのように、異種部材が組み合わせられたものでもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、保護シートの全体を巻取軸から簡単に取り外すことができて、巻取軸のメンテナンス作業を容易に行えるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る巻取軸保護構造が適用されているシャッター装置の全体を示す正面図である。
図2図2は、図1の巻取軸を示す図であって、保護シートで覆う前の巻取軸の正面図である。
図3図3は、保護シートで覆った後の巻取軸を示す正面図である。
図4図4は、図3で示されているそれぞれの保護シートについての巻取軸の軸方向の配置位置関係を示す図である。
図5図5は、保護シートで覆った後の巻取軸を示す側面図である。
図6図6は、保護シートを巻取軸に覆う作業を示す図5と同様の図である。
図7図7は、別実施形態を示す図3と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る巻取軸保護構造が適用されたシャッター装置の全体正面図が示されている。このシャッター装置は、車庫用シャッター装置である。
【0036】
この車庫用シャッター装置のシャッターカーテン1は、左右のガイドレール2に案内されて上下方向に開閉移動し、このため、シャッターカーテン1の幅方向である左右方向の両端部が左右のガイドレール2の内部にスライド自在に挿入されている。シャッターカーテン1で開閉される開口部となっている車両出入口3の上部にはシャッターケース4が設けられ、このシャッターケース4の内部に挿入されているシャッターカーテン1の上端は、シャッターケース4の内部に水平に収納されている巻取軸10に連結されている。
【0037】
シャッターカーテン1は、下端部の座板1Aと、この座板1Aより上側のカーテン本体1Bとを含んで構成され、カーテン本体1Bの要部又は主要部は、上下に連設された多数のスラット5によって形成されている。
図2には、保護シートで覆われる前の巻取軸10が示されている。この巻取軸10は、回転しないパイプ製の中心軸11と、この中心軸11の外側に回転自在に配設され、シャッターカーテン1の端部が連結されている回転体12とを含んで構成されたものとなっている。また、回転体12は、巻取軸10の軸方向に間隔を開けて配置された複数個の板金製のホイール部材13と、これらのホイール部材13同士を連結し、巻取軸10の円周方向に複数本が配設されているパイプ製又は中実棒製のバー部材14(巻取軸10の側面図である図5を参照)とを含んで構成されている。
【0038】
中心軸11のそれぞれの端部は、図2で示されているシャッターケース4の左右のブラケット部4A,4Bに設けられている受け部材15で支持され、また、中心軸11のそれぞれの端部は、これらの端部と受け部材15とを貫通するボルトによってそれぞれの受け部材15に結合されている。このため、中心軸11は回転しない軸となっている。
【0039】
また、回転体12のそれぞれのホイール部材13は、円板状の基部13Aと、この基部13Aの外端部に巻取軸10の軸方向への幅をもって形成された外面部13Bとからなり、このため、ホイール部材13は、深さが浅い皿状の部材(図5も参照)となっている。円板状の基部13Aの中心部には、中心軸11が挿通されているとともに、基部13Aと中心軸11との間には、ホイール部材13を中心軸11の軸方向に位置決めするとともに、ホイール部材13を中心軸11に対して回転自在とするための軸受け部材16が設けられている。このため、回転体12は、中心軸11の外側で中心軸11を中心として回転自在となっている。
【0040】
中心軸11の外周には、ねじりコイルばねによる戻しばね17が巻装状態で配置され、この戻しばね17の一方の端部は、ボルト等の結合具18で中心軸11に結合されているとともに、他方の端部は、ボルト等の結合具19でホイール部材13に結合されている。
【0041】
シャッターカーテン1の上端部は、吊り元部材を介して又は介さずに回転体12のそれぞれのホイール部材13にボルト等の結合具で結合される。この結合作業は、後述する保護シートによって回転体12の全周を覆った後に行われる。
【0042】
図1で示したシャッターカーテン1の座板1Aがシャッターケース4の下面まで達しているシャッターカーテン1の全開時等において、シャッターカーテン1を下方へ閉じ移動させるときには、図示しない操作棒の先端を座板1Aに引っ掛けてこの操作棒の操作により、シャッターカーテン1を引き下げる。これにより、シャッターカーテン1は、巻取軸10の回転体12を正回転させてこの巻取軸10から繰り出され、この繰り出し時に、戻しばね17は巻き締められて蓄圧力が蓄圧される。全閉等となっているシャッターカーテン1を上方へ開き移動させるときには、手操作や上述の操作棒の操作によりシャッターカーテン1を押し上げ、これにより、シャッターカーテン1は、回転体12を逆回転させてこの巻取軸10に巻き取られ、この巻き取り時に、戻しばね17に蓄圧されている蓄圧力は、回転体12を逆回転させてシャッターカーテン1を開き移動させるための補助力として利用される。
【0043】
このため、本実施形態に係る巻取軸10の回転体12の内部には、戻しばね17が巻取軸10の付設物として配置されている。
【0044】
なお、回転体12の内部に配置する巻取軸10の付設物は、回転体12の正逆回転及び停止を、図示しない操作装置からの信号が入力する制御装置で駆動制御されて行う開閉機でもよい。すなわち、巻取軸10の駆動装置となっているこの開閉機は、電動モータとブレーキとを有し、中心軸11に固定設置される開閉機の電動モータによって回転体12を正逆回転させるためのものである。
【0045】
そして、巻取軸10の内部に配置する巻取軸10の付設物は、戻しばね17と開閉機の両方でもよく、さらに、回転体12の内部に、シャッター装置に求められる機能等に基づき他の付設物を配置してもよい。
【0046】
図3は、巻取軸10の外周を3枚の保護シート21〜23により覆った後を示している。これらの保護シート21〜23は、巻取軸10を構成する部材のうち、回転体12の全周及び全長を覆うものとなっている。それぞれの保護シート21〜23は、透明の合成樹脂製のシート、より具体的には、例えば、透明のPET(ポリエチレンテレフタラート)製のシートである。
【0047】
図4には、それぞれの保護シート21〜23が回転体12を覆う前、言い換えると、それぞれの保護シート21〜23が回転体12の外周に巻かれる前の保護シート21〜23の展開図が示されている。これらの保護シート21〜23の長さ寸法はLであり、また、幅寸法はW1,W2,W3である。長さ寸法Lは、回転体12の全周長さ寸法よりも少し長い寸法であり、また、幅寸法はW1,W2,W3の合計寸法は、回転体12における巻取軸10の軸方向Nの長さ、言い換えると、回転体12の全長よりも大きい寸法である。
【0048】
図4には、それぞれの保護シート21〜23についての巻取軸10の軸方向Nにおける配置位置関係も示されている。これらの保護シート21〜23は軸方向Nに並べられているとともに、軸方向Nに隣り合っている2枚の保護シート21と22は、軸方向Nの重なり代Aをもって配置され、また、軸方向Nに隣り合っている2枚の保護シート22と23は、軸方向Nの重なり代Bをもって配置される。
【0049】
これらの保護シート21〜23の表裏両面のうち、裏面には、言い換えると、回転体12の外周に巻かれたときにこの回転体12と対面する面には、保護シート21〜23を又は保護シート21〜23から取り外し可能な接合テープとなっている両面粘着テープ30が配置され、巻取軸10の軸方向Nの長さを有しているこの両面粘着テープ30は、本実施形態では、それぞれの保護シート21〜23に軸方向Nに間隔を開けて複数個ずつ(図示では3個ずつ)設けられているとともに、それぞれの両面粘着テープ30は、それぞれの保護シート21〜23における長さ方向の一方の端部21A〜23Aと、他方の端部21B〜23Bのうち、端部21B〜23Bに近い箇所に配置されている。なお、それぞれの両面粘着テープ30を配置する箇所を、保護シート21〜23の表面における端部21A〜23Aに近い箇所としてもよい。
【0050】
3枚の保護シート21を回転体12の外周に巻き付けるためには、初めに、図6に示されているように、保護シート21の一方の端部21Aから回転体12の外周に巻き付けて、他方の端部21Bを一方の端部21Aを越えさせることにより、この保護シート21を回転体12の円周方向の重なり代C(図5を参照)をもって回転体12の外周に1回巻き付ける。この後に、保護シート22の一方の端部22Aを保護シート21の一方の端部21Aと一致又は略一致させ、かつ保護シート22を保護シート21との軸方向Nの重なり代A(図3を参照)をもってこの保護シート22の一方の端部22Aから回転体12の外周に巻き付けて、他方の端部22Bを一方の端部22Aを越えさせることにより、この保護シート22を回転体12の円周方向の重なり代Cをもって回転体12の外周に1回巻き付ける。次いで、保護シート23の一方の端部23Aを保護シート22の一方の端部22Aと一致又は略一致させ、かつ保護シート23を保護シート22との軸方向Nの重なり代B(図3を参照)をもってこの保護シート23の一方の端部23Aから回転体12の外周に巻き付けて、他方の端部23Bを一方の端部23Aを越えさせることにより、この保護シート23を回転体12の円周方向の重なり代Cをもって回転体12の外周に1回巻き付ける。
【0051】
そして、これらの保護シート21〜23を回転体12の巻き付けるごとに、保護シート21〜23における回転体12の円周方向の重なり代Cを形成している部分同士を、これらの部分の間に介設されている両面粘着テープ30によって接合する。
【0052】
また、それぞれの保護シート21〜23を、皿ビス31により、座金を用いて又は用いずに、回転体12の構成部材となっているホイール部材13に止着する。本実施形態では、この皿ビス31による保護シート21〜23のホイール部材13への止着は、それぞれの保護シート21〜23における上述の重なり代Cの箇所で行なわれる。このため、それぞれの皿ビス31は、保護シート21〜23における回転体12の円周方向の重なり代Cを形成している部分同士を貫通し、ホイール部材13の外面部13Bに予め形成されているねじ孔にねじ込まれる。
【0053】
このため、本実施形態のそれぞれの保護シート21〜23は、少なくとも1個のホイール部材13の外周を覆うようになっている。これにより、それぞれの保護シート21〜23を、回転体12に皿ビス31によって一層確実に取り付けることができる。
【0054】
また、本実施形態では、図3に示されているように、それぞれの皿ビス31は、それぞれの両面粘着テープ30のうち、ホイール部材13の箇所と一致して保護シート21〜23に配置されている両面粘着テープ30を貫通してホイール部材13にねじ込まれている。
【0055】
以上により、巻取軸10の回転体12の全周及び全長は、この回転体12の外周に巻き付けられた3枚の保護シート21〜23により隙間なく覆われたことになり、このようにして保護シート21〜23を回転体12の外周に装着した後に、前述したようにシャッターカーテン1の上端部を回転体12のホイール部材13に結合する作業が行われる。
【0056】
なお、本実施形態では、巻取軸10の軸方向Nに並べられている3枚の保護シート21〜23のうち、両側に配置されている2枚の保護シート21,23は、回転体12から少しはみ出して回転体12の外周に巻き付けられている。
【0057】
また、回転体12の全周及び全長を3枚の保護シート21〜23で覆う作業は、シャッター装置の施工現場で行ってもよく、この施工現場に搬送される前の工場で行ってもよい。
【0058】
以上説明した本実施形態によると、保護シート21〜23を回転体12に止着している皿ビス31は、取り外し可能の止着具であり、また、保護シート21〜23における回転体12の円周方向の重なり代Cを形成している部分同士は、両面粘着テープ30により分離可能に接合されているため、巻取軸10に配置されている前述の付設物、すなわち、前述の戻しばね17や開閉機等についてのメンテナンス作業を行うときには、皿ビス31を取り外して、保護シート21〜23における上述の重なり代Cを形成している部分同士を、両面粘着テープ30から分離することにより、これらの保護シート21〜23の全体を簡単に回転体12から取り外すことができ、これにより、戻しばね17や開閉機等についてのメンテナンス作業を容易に行うことが可能となる。
【0059】
また、再び保護シート21〜23を回転体12の外周に巻いて両面粘着テープ30で上述の重なり代Cを形成している部分同士を接合するとともに、皿ビス31で保護シート21〜23を回転体12に止着することにより、これらの保護シート21〜23を再度回転体12に取り外し可能に装着することもできる。
【0060】
また、それぞれの保護シート21〜23は透明のシートであるため、これらの保護シート21〜23を回転体12から取り外さなくても、回転体12の内部に配置されている戻しばね17や開閉機等についての状態を保護シート21〜23を通して視認できるため、戻しばね17や開閉機等についてのメンテナンス作業が必要か否かを確認できる。
【0061】
また、保護シート21〜23を回転体12に止着している止着具は、皿ビス31であり、この皿ビス31の頭部31A(図6を参照)は逆三角錐状であって、この頭部31Aの上面は平坦であるため、保護シート21〜23からの頭部31Aの突出量は小さい。このため、シャッターカーテン1の上端部を、保護シート21〜23を間に介在させて回転体12に連結しても、シャッターカーテン1が巻取軸10に巻き取られ、巻取軸10から繰り出される際に、皿ビス31の大きな影響を受けることなく、この巻き取り、繰り出しを円滑に行えることになる。
【0062】
また、本実施形態では、保護シート21〜23における回転体12の円周方向の重なり代Cを形成している部分同士は、これらの部分の間に介設された両面粘着テープ30により接合されているため、保護シート21〜23が回転体12の全周を覆っているときに、重なり代Cを形成している部分同士が分離状態となることを両面粘着テープ30で防止できる。
【0063】
また、両面粘着テープ30は、それぞれの保護シート21〜23における巻取軸10の軸方向Nである幅方向の全長に渡る長さ寸法となっておらず、それぞれの両面粘着テープ30の長さ寸法は、保護シート21〜23の幅方向の全長より短く、このような長さ寸法を有する両面粘着テープ30がそれぞれの保護シート21〜23に巻取軸10の軸方向に間隔を開けて配置されているため、それぞれの両面粘着テープ30が不透明のテープであっても、両面粘着テープ30を保護シート21〜23の幅方向の全長に渡る長さ寸法とした場合よりも、透明の保護シート21〜23における不透明部分の面積を少なくでき、これにより、戻しばね17や開閉機等についての状態を保護シート21〜23を通して一層容易に視認できる。
【0064】
また、本実施形態では、巻取軸10の軸方向に並べられた3枚の保護シート21〜23が用いられているため、全長が長い回転体12であっても、この回転体12の全長を覆うことができ、また、これらの保護シート21〜23は、巻取軸10の軸方向Nの重なり代A,Bをもって重ねられているため、回転体12の全長を隙間なく覆うことができる。
【0065】
また、本実施形態では、図3に示されているように、巻取軸10の軸方向Nに隣り合っている2枚の保護シート21と22の一部同士は、軸方向Nの重なり代Aをもって重なっているとともに、これらの保護シート21,22に配置されている両面粘着テープ30のうち、保護シート21の両面粘着テープ30Aと、保護シート22の両面粘着テープ30Bとが、巻取軸10の軸方向Nの重なり代Dをもって重なっている(このような重なり代は、図4から分かるように、保護シート22の両面粘着テープ30Cと、保護シート23の両面粘着テープ30Dとでも生ずる。)ため、重なり代Dの分だけ、不透明テープとなっている両面粘着テープ30による保護シート21,22の不透明部分の面積が減少し、これにより、保護シート21,22を通して回転体12の内部に配置されている戻しばね17を確認できる面積を拡大できることになる。
【0066】
図7の実施形態では、巻取軸10の回転体12の全周及び全長が2枚の保護シート24,25により覆われているとともに、この実施形態でも、巻取軸10の軸方向に隣り合っているこれらの保護シート24と25の一部同士は、巻取軸10の軸方向の重なり代Eをもって重なっており、また、これらの保護シート21,22に配置されている両面粘着テープ30のうち、保護シート24の両面粘着テープ30Eと、保護シート25の両面粘着テープ30Fとが、巻取軸10の軸方向の重なり代Fをもって重なっている。
【0067】
そして、保護シート24と25は、この重なり代Fにおいて、回転体12に複数個設けられているホイール部材13のうち、1個のホイール部材13に皿ビス31によって共締め状態で止着されている。
【0068】
このため、この実施形態によると、重なり代Fにより、図3の重なり代Dと同様の効果を得られるとともに、巻取軸10の軸方向に隣り合っている2枚の保護シート24と25を、1個のホイール部材13に、保護シート24と25で共通となっている皿ビス31によって共締め状態で止着することができ、これにより、用いる皿ビス31の個数を削減できることになる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、例えば、車庫用シャッター装置や店舗の出入口用シャッター装置等の各種のシャッター装置の巻取軸を保護するために利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 シャッターカーテン
10 巻取軸
11 中心軸
12 回転体
13 ホイール部材
14 バー部材
21〜25 保護シート
21A〜23A 一方の端部
21B〜23B 他方の端部
30 接合テープである両面粘着テープ
31 止着具である皿ビス
A,B,D,E,F 軸方向の重なり代
C 円周方向の重なり代
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7