(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ケース本体内に設けたモータの下面領域に減速ギア群を設け、この減速ギア群の最終段歯車にこの最終段歯車の回転に伴って回動する突出カム部を固着し、この突出カム部を前記モータの底面より延出させ、かつ、前記最終段歯車の外周囲よりやや突出させると共に、前記ケース本体内に設けたリミットスイッチを前記モータ側面の空間領域に配置し、前記突出カム部の回動操作で前記リミットスイッチを接離させるようにしたことを特徴とするバルブのアクチュエータ。
前記突出カム部の先端部を前記モータの側面に沿って上方に突出させたインジケータ部を形成し、前記ケース本体に固着したカバー体に透明又は半透明の視認部を設け、この視認部を介してカバー体の外方より前記インジケータ部の動作状態を視認できるようにした請求項1に記載のバルブのアクチュエータ。
前記モータを固定する地板を前記ケース本体に固着し、前記地板の下面には前記モータの下面領域に設けた前記減速ギア群の各歯車の回転軸の上端を軸受する軸受部を設け、前記回転軸の下端を前記ケース本体の底面に設けた軸受部で軸受した請求項1又は2に記載のバルブのアクチュエータ。
前記突出カム部の後端部を前記最終段歯車の軸部に固着し、かつ前記突出カム部の両側を固定する突起部を前記最終段歯車に固着し、この突起部を係合するストッパ部を前記地板の下面に設けて前記突出カム部を略90°回動操作可能に設けた請求項3に記載のバルブのアクチュエータ。
前記最終段歯車の下部に設けた出力段軸と前記減速ギア群の各歯車の回転軸とを貫通する貫通穴を有する配線押えをケース本体内に固着し、このケース本体の底面に配置した配線を前記配線押えで収納した請求項1に記載のバルブのアクチュエータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、弁開度表示部がバルブとの間に設けられるアクチュエータの場合、この弁開度表示部を設けるための空間がこれらの間に必要になるため全体のコンパクト化が難しくなる。しかも、このアクチュエータの弁開度表示部は遠くからの視認性が悪く、作業者はこの弁開度表示部を確認するためにアクチュエータの近傍まで移動する必要が生じることもある。このアクチュエータを機器内の狭い設置スペースに配設した場合には、アクチュエータ自体やバルブが邪魔になることで外部から弁開度表示部を覗き込むようにしながら弁開度を確認することもある。
【0006】
駆動軸の上部にインジケータを設けたアクチュエータの場合、駆動軸が上方側に延長することでコンパクト化を図ることが難しい。しかも、この種のアクチュエータ内部には平歯車列が設けられることが多く、この場合には出力軸の上部に各種部品が配置されることになるため、出力軸の上部に弁開度表示部を設けることが困難になる。このため、所定の減速比の歯車列を有するアクチュエータに対し、出力軸やこの出力軸上部の部品を迂回しながらアクチュエータ上部に開度表示部を設けることも考えられるが、この場合、歯車の増加により伝達効率が低下し、部品の増加によって内部構造が複雑化してアクチュエータ全体の大型化を回避できない。
しかも、何れのアクチュエータの場合にも、特許文献1のように減速機構がモータとステムとの間に設けられた構造になってこの減速機構を設けるためにモータとステムとを横方向に大きくずらす必要があるため、アクチュエータが横方向に延長した形状になり、全体が大型化していた。
【0007】
本発明は、従来の課題点に鑑みて開発したものであり、その目的とするところは、必要最小限の部品点数により極力コンパクト化を図り、例えば機器などにコンパクトに組み込むことを可能とし、小型でありながら省スペース化を図って狭い設置場所にも配設可能にしつつ、優れた視認性を確保して外部から覗き込むことなく容易に弁開度を確認できるバルブのアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ケース本体内に設けたモータの下面領域に減速ギア群を設け、この減速ギア群の最終段歯車にこの最終段歯車の回転に伴って回動する突出カム部を固着し、この突出カム部をモータの底面より延出させ、かつ、最終段歯車の外周囲よりやや突出させると共に、ケース本体内に設けたリミットスイッチをモータ側面の空間領域に配置し、突出カム部の回動操作でリミットスイッチを接離させるようにしたバルブのアクチュエータである。
【0009】
請求項2に係る発明は、突出カム部の先端部をモータの側面に沿って上方に突出させたインジケータ部を形成し、ケース本体に固着したカバー体に透明又は半透明の視認部を設け、この視認部を介してカバー体の外方よりインジケータの動作状態を視認できるようにしたバルブのインジケータである。
【0010】
請求項3に係る発明は、モータを固定する地板をケース本体に固着し、地板の下面にはモータの下面領域に設けた減速ギア群の各歯車の回転軸の上端を軸受する軸受部を設け、回転軸の下端をケース本体の底面に設けた軸受部で軸受したバルブのアクチュエータである。
【0011】
請求項4に係る発明は、突出カム部の後端部を最終段歯車の軸部に固着し、かつ突出カム部の両側を固定する突起部を最終段歯車に固着し、この突起部を係合するストッパ部を地板の下面に設けて突出カム部を略90°回動操作可能に設けたバルブのアクチュエータである。
【0012】
請求項5に係る発明は、突出カム部の後端部に設けた圧入
状態の嵌合部
と最終段歯車の軸部
とが固定
され、かつ、一対の突起部
で嵌合部の両側
が挟持さ
れた状態で嵌合部に設けた突出カム片
が最終段歯車に固着したバルブのアクチュエータである。
【0013】
請求項6に係る発明は、突起部は、一対のストッパピンであるバルブのアクチュエータである。
【0014】
請求項7に係る発明は、最終段歯車の下部に設けた出力段軸と減速ギア群の各歯車の回転軸とを貫通する貫通穴を有する配線押えをケース本体内に固着し、このケース本体の底面に配置した配線を配線押えで収納したバルブのアクチュエータである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によると、減速ギア群の最終段歯車に固着した突出カム部の回動操作によりケース本体内の空間領域に配置したリミットスイッチを接離させるようにしたことにより、必要最小限の部品による少ない部品点数で極力コンパクト化を図ることができ、例えば機器などにコンパクトに組み込むことが可能になり、小型でありながら省スペース化を図って狭い設置場所にも配設可能にしつつ、突出カム部を視認することで優れた視認性を確保して外部から覗き込むことなく容易に弁開度を確認できる。
【0017】
請求項2に係る発明によると、モータの側面の最終段歯車の上方位置の空間を利用して省スペース内にインジケータ部を設けることでコンパクト化を維持でき、カバー体の透明或は半透明の視認部を介してインジケータ部を視認して上方向及び側面方向から容易に弁開度を確認でき、遠くからの視認性も高まる。しかも、狭い設置スペースに配置した場合にも、外部からこの上方に突出したインジケータ部を確認することで弁開度状態を把握しやすい。
【0018】
請求項3に係る発明によると、モータを固定する地板とケース本体とにより減速ギア群の各歯車の回転軸を軸受することで、各歯車を所定位置に正確に位置決めしながら取付けでき、この高精度の各歯車の取付けにより軸装時の強度を向上させつつ各歯車の振れを抑えて動作時の振動も少なくできる。
【0019】
請求項4に係る発明によると、突起部とストッパ部とを係合させて突出カム部を略90°回動操作可能に設けていることにより、突出カム部の過度の回転によるリミットスイッチの接点不良や故障を防いでバルブの弁開度を高精度に制御することが可能になる。
【0020】
請求項5に係る発明によると、突出カム部の圧入嵌合部が緩んだり、破断したりした場合でも、突起部により最終段歯車に対する突出カム片の位置を維持してリミットスイッチを確実に作動できる。これにより、製品の機能を阻害することのないフェールセーフ機能が発揮される。突起物を利用して突出カム部のストップ機能を発揮しているので、仮にリミットスイッチが破損した場合でも、バルブを規定の回転動作範囲に収めることができる。突起部は、製品構造上必要な位置となる最終段歯車に設けられるため、製品のコンパクト性を維持したままでフェールセーフ機能を追加できる。
【0021】
請求項6に係る発明によると、突起部を一対のストッパピンとして設けることができ、このストッパピンを圧入等の固着手段で最終段歯車に取付けることで簡単に突起部を形成できる。
【0022】
請求項7に係る発明によると、配線押えにより減速ギア群のスムーズな回転動作を確保しつつケース本体内のコンパクトな収納スペースに配線を収納でき、この配線が減速ギア群に接触したり巻き付いたりすることも防止する。
【0023】
なお、ケース本体にカバー体を超音波溶着することにより、このケース本体とカバー体との間にOリング等のシール部材や接合用の装着段部を設ける必要がなくなるため、全体の高さを最小に抑えて優れたコンパクト性を発揮しながらアクチュエータ内への塵埃などのごみや水滴の浸入を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明におけるバルブのアクチュエータの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1には本発明のバルブのアクチュエータの分離斜視図、
図3、
図6にはバルブとアクチュエータとの接続状態、
図10にはアクチュエータの分離斜視図を示している。
【0026】
図において、本発明におけるバルブのアクチュエータは、バルブ1、アクチュエータ本体2、接続プレート体3を有し、バルブ1とアクチュエータ本体2とが接続プレート体3を介して着脱可能になっている。本発明のアクチュエータを搭載した回転弁は、自動操作用バルブとして、例えば、図示しない各種機器の内部やプラントの一部などに配設される。
【0027】
図2に示すように、バルブ1は、例えば、図に示すボールバルブからなる回転弁構造を呈し、このバルブ1のボデー4内部にはポート5aを有する弁体5が内蔵され、この弁体5にボデー4に形成されたステム軸装部6を介してステム7が接続されている。バルブ1はこのステム7を介して弁体5を回転可能になっており、ステム7はボデー4に接続したアクチュエータ本体2により回動可能となる。ボデー4内には流路4aが設けられ、この流路4aが弁体5の回転により開閉される。
【0028】
ボデー4のステム軸装部6の周囲には外周頂面部8が形成され、この外周頂面部8と同等又は同等以下のボデー4の両側面位置には、接続プレート体3を固着するための一対の取付部9、9が横方向に互い違いに突出形成され、この取付部9には、ボルト10を挿入可能な貫通穴11が形成されている。ステム7の上端には平行二面部12が形成され、この平行二面部12はステム軸装部6の上面よりもやや突設して形成される。
【0029】
ここにいう外周頂面部8とは、ボデー4のステム軸装部6側の頂部位置をいい、本例のようにボデー4が断面6角形であればボデー4とステム軸装部6側の頂部をいい、この頂部に
図2に示すようなフラット面を形成すればこのフラット面の頂部面をいい、また、ボデー4が断面円形であればボデー4のステム軸装部6側の円形頂部をいう。
しかも、
図6において、外周頂部面8とボデー4のテーパ面との間に設けた隙間Sの領域内、または、断面円形のボデー(図示せず)であれば、頂部とアール面との間の隙間Sの領域内に後述の
図8の接続機構90や
図7の補強リブ80cが収容されている。したがって、
図4に示したアクチュエータ2のケース本体20の底面部20aを接続プレート体3のフランジ部80に載置することによってアクチュエータ付き回転弁を構成できるから、一体化したアクチュエータと回転弁との高さを極力小さくすることが可能となり、もって、製品のコンパクト化に著しく寄与することができる。
【0030】
本実施形態においては、取付部9はボデーの外周頂面部8と同等又は同等以下で且つボデー4の流路軸芯よりも上方に配置している。そして、ボルト10は、取付部9の貫通穴11に下側のみから挿入し、後述の接続プレート体3の雄ネジ80bに螺合している。これにより、アクチュエータ2とバルブ1との距離を小さくして、全体の高さを低く抑えつつ、アクチュエータ2とバルブ1との接続を可能としている。
【0031】
図1、
図10において、本発明のバルブのアクチュエータ本体2は、電動式からなっており、このアクチュエータ本体2のケース本体20には電動モータ21、このモータ21からの回転を減速して伝達する減速ギア群22、出力軸23、リミットスイッチ24、突出カム部25、インジケータ部26、コンデンサ等の制御部27が設けられる。これらの各部品は地板30、配線押え31を介してケース本体20内の所定位置に収納され、このケース本体20には被覆用のカバー体32が固着される。
【0032】
図5に示すように、ケース本体20は半円弧状部20aと矩形状部20bとを有し、これらが繋がった形状になっている。ケース本体20内には、軸受部33、雌ねじ34、載置面35が形成されている。軸受部33はケース本体20の底面36に設けられ、この軸受部33により減速ギア群22の第1歯車41、第2歯車42、第3歯車43、第4歯車44、最終段歯車45の各歯車の回転軸46の下端47を軸受可能になっている。雌ねじ34はケース本体20の内周縁側に設けられ、載置面35はケース本体20の底面36よりも高い位置に設けられ、この載置面35に配線押えを載置することが可能になっている。ケース本体20の底部側面には連通穴部48が設けられ、この連通穴部48にブッシュ49が取り付けられている。
【0033】
モータ21の底部外周には鍔部50が設けられ、この鍔部50に設けられた切欠部51を介して地板30の上面30aにモータ21が取付けられる。モータ21はこの固定用地板30を介して雄ねじ52によりケース本体20の雌ねじ34に螺着固定される。
地板30には雄ねじ52を挿通可能な貫通穴54が設けられ、モータ21は切欠部51、貫通穴54を介して地板30とともにケース本体20に位置決め固着される。地板30の下面30bには軸受部55が設けられ、この軸受部55によりモータ21の下面領域Rに設けられる減速ギア群22の各歯車40、41、42、43、44、45の回転軸46の上端56を軸受するようになっている。更に、
図14〜
図16に示すように、地板30の下面30bには後述するストッパピン57係合用のストッパ部58も設けられている。地板30のインジケータ部26側には、減速ギア群22の最終段歯車45の円弧形状に合わせて円弧部59が膨出形成されている。これにより、最終段歯車45が円弧部59で保護されている。
【0034】
図14において、モータ21の出力側の回転軸部60にはピニオン40が取り付けられ、減速ギア群22は、このピニオン40、第1歯車41、第2歯車42、第3歯車43、第4歯車44、最終段歯車45を有し、各歯車41、42、43、44の中心にそれぞれ回転軸46としてピンが挿入される。
図12に示すように、減速ギア群22は、ケース本体20のモータ21の下面領域Rに設けられ、モータ21と縦に並列した状態でケース本体20内に収納される。
【0035】
図19においては、バルブのアクチュエータの他例を示している。このバルブのアクチュエータは、モータ21、地板30、出力軸23、インジケータ部26を有し、モータ21内部に図示しない減速ギア群が設けられることで、モータ21がギアードモータの態様に設けたものである。
【0036】
地板30は、モータ21の下面側に固着され、この地板30の上面側にはモータ21内の減速ギア群の各歯車の回転軸の下端を軸受する、図示しない軸受部が形成されている。一方、各歯車の上端は、ケース本体20内に設けられた図示しない軸受部で軸支されている。
【0037】
出力軸23は、モータ21内の図示しない最終段歯車の軸部に同軸に取付けられ、この出力軸23に突出カム部25が固着されている。突出カム部25は、ケース本体20の内部で最終段歯車の外周囲よりやや突出され、この突出カム部25の回動操作でケース本体20内に設けた図示しないリミットスイッチを接離可能になっている。
【0038】
インジケータ部26は、最終段歯車の軸部(出力軸23)に同軸に固着され、この出力軸23の回転に伴って回転する。インジケータ部26は突出カム部25の動作と同じになるように設けられ、これにより、ユニット化されたモータ21の外部で、出力軸23の出力側に直接設けたインジケータ部26を視認してアクチュエータの動作を確認できるようになっている。更に、図に示すようにインジケータ部26には視認部26aを立設するように取付けてもよく、この場合、アクチュエータの状態をより確認しやすくなる。
【0039】
この例のように、減速ギア群をモータ21内部に設けるようにしてもよく、この場合にも、減速ギア群をモータの下面領域に設ける場合と同様に、突出カム部25の回動操作によりリミットスイッチを接離可能な構造にできる。このアクチュエータでは地板30をモータ21の下面側に固着し、インジケータ部26をケース本体20の外部に設けた構造にしていることでコンパクト性を一層高めることができ、小型化を図りながら機器などに組み込んで、狭い設置場所にも省スペース化を図りつつ配設可能となる。インジケータ部26をケース本体20の外部に露出させているため、このインジケータ部26の状態を確認しやすくなり、遠くからでも簡単にアクチュエータの状態を確認できる。
【0040】
図14の減速ギア群22において、ピニオン40は第1歯車41、第1歯車41は第2歯車42、第2歯車42は第3歯車43、第3歯車43は第4歯車44、第4歯車44は最終段歯車45に噛合している。モータ21の回転軸部60の回転は、これらの減速ギア群22によって減速され、最終段歯車45に同軸に取付けられた出力軸23よりバルブ1のステム7に伝達される。
【0041】
突出カム部25は、
図14〜
図17に示すように、その後端部25aが最終段歯車45の軸部45aに同軸に取付けられた出力軸23に固着された状態で取付けられ、この出力軸23の回転に伴って回動する。突出カム部25は、モータ21の底面36より延出し、かつ、最終段歯車45の外周囲よりやや突出した状態に設けられ、この突出カム部25の回動操作によりリミットスイッチ24を接離させることが可能になっている。突出カム部25において、後端部25aには円柱状の出力軸23を圧入固定するための円筒状の圧入嵌合部28が設けられ、この圧入嵌合部28から突出カム片29が形成されている。突出カム片29は、リミットスイッチ29に接離可能な長さに設けられており、この突出カム片29の圧入嵌合部28側は幅広状の基部38が形成されている。この基部38により、突出カム片29の圧入嵌合部28の強度が高まり、出力軸23から伝達されるトルクにも耐え得るようになっている。前記したインジケータ部26は、突出カム片29の先端側に固着されている。
【0042】
最終段歯車45の突出カム部25の両側には、固定用の一対の突起部57、57が固着されており、この突起部57が上記の地板30に設けたストッパ部58に係合することにより、突出カム部25を、規定の角度、例えば、略90°回動操作可能になっている。本実施形態において、一対の突起部57は、ストッパピンからなっており、このストッパピン57は圧入等の適宜の固着手段で最終段歯車45に出力軸23と同軸方向に取付けられている。これにより、ストッパピン57を簡単に最終段歯車45に設けることができる。
【0043】
この場合、
図16(a)に示すように、最終段歯車45の中間開度の位置を基準として、この最終段歯車45が全閉方向に45°、全開方向に45°の角度αで回転可能になる位置にストッパピン57が配設されている。更に、
図16(b)、
図16(c)に示すように、全開、全閉位置側にそれぞれ最終段歯車45が45°よりも多く回転するための遊び角度βを設けるようにしてもよい。このときの遊び角度βとしては4°程度とすればよく、この遊び角度βを設けることにより、最終段歯車45が全開、全閉方向に45°以上に回転して、突出カム部25によってリミットスイッチ24を確実にオン状態にすることが可能になる。
【0044】
ここで、前記のようにモータ21の動力を停止するときには、突出カム部25がリミットスイッチ24を作動させることで行われるが、これを過度に繰り返した場合、突出カム部25が破断することがあり、これによって出力軸23が突出カム部25に対して空転してこの出力軸23の動作を突出カム部25がリミットスイッチ24に伝達できなくなったり、モータ21への電源を切断することができなくなる。これらの場合、モータ21の動作を停止できなくなり、バルブ1が回転し続けて開閉を繰りかえすおそれがある。
【0045】
特に、突出カム部25を出力軸23に配置する場合に圧入して行った場合、突出カム部25の圧入部分に応力が集中して緩みが生じたり破断したりする可能性が高い。突出カム部25は、樹脂成形で製造されることが多いため、強度計算、解析などにより圧入部分の寸法に充分な強度を持たせていたとしても外的要因による強度、耐久性の低下を予測しづらい。
【0046】
そのため、
図17、
図18に示すように、突出カム部25の圧入嵌合部28を最終段歯車45の軸部45a(出力軸23)に固定し、かつ、一対の突起部57、57で圧入嵌合部28の両側を挟持させて、この圧入嵌合部28に設けた突出カム片29を最終段歯車45に固着した。
【0047】
このことにより、出力軸23の回転動作の繰り返しによって、この出力軸23が突出カム部25に対して空転しようとしても、突出カム部25両側のストッパピン57が当該突出カム部25を支えている。この場合、圧入嵌合部28と出力軸23との固定と、突出カム片29を回転方向に押圧する側のストッパピン57と突出カム片29(基部38)との当接とによる二点支持により、突出カム部25が出力軸23(最終段歯車45)とともに回転する。その結果、出力軸23(最終段歯車45の軸部45a)の回転に伴って確実に突出カム部25が正確に回転動作してこの突出カム部25によりリミットスイッチ24をオンにする機能が維持され、バルブ1の空転を確実に防止することが可能となる。この場合、突起部57は、ストッパピン以外であってもよく、圧入嵌合部28の両側を挟持して突出カム片29を最終段歯車に固着できれば、各種の態様に設けることができる。
【0048】
前述のように、突出カム部25は、規定の角度(90°)で回転できるように出力軸23に配置される。そのため、ストッパピン57も規定の位置に配設されている必要がある。仮に、リミットスイッチ24が破損してモータ21の動力を停止できなくなった場合でも、ストッパピン57を利用してバルブ1の空転を防止し、
図16のストッパ部58との係合により、バルブ1を規定の位置で停止させるストッパ機能が図られる。このため、バルブの規定角度による回転動作を維持できる。
【0049】
例えば、
図17において、突出カム部25が回転するときの規定の角度γが90°である場合、突出カム部25が破断したときに、突出カム部25には最終段歯車45とこの最終段車45に噛合している第4歯車44との間に生じる噛合の隙間によって角度δ×2の回転角度が加算される。例として、規定の角度γ=90°であるときの角度δ=0°38′とすると、突出カム部25が破断したときの回転角度は、角度γ+2×角度δ=90°+2×0°38′=91°16′となる。このように回転角度がほぼ規定の角度から変わらないことから、バルブの空転を確実に防止できる。
【0050】
図11、
図13、
図15に示すように、突出カム部25の先端部25bには、モータ21の側面21aに沿って上方に突出するようにインジケータ部26が形成されている。このインジケータ部26は突出カム部25と一体に回転動作し、このインジケータ部26をアクチュエータ本体2の上方向及び側面方向から視認可能な大きさに設けていることで、突出カム部25の回転状態を外部より確認しやすくなっている。
【0051】
図12に示すように、リミットスイッチ24はケース本体20内に2つ設けられ、モータ側面21aの空間領域Tに配置されている。リミットスイッチ24は、突出カム部25が回転するときの端部側に近接して止め輪61によりケース本体20に設けた取付け突部62に固定されてケース本体20の矩形状部20bの隅部位に配置される。リミットスイッチ24、24の間には、このリミットスイッチ24制御用のコンデンサや基板からなる制御部27が配設される。
【0052】
最終段歯車45が回転したときには、何れかのリミットスイッチ24に突出カム部25が接触してオン状態になり、最終段歯車45の回転状態、すなわち出力軸23の回転状態をリミットスイッチ24に伝達可能になっている。このようにしてリミットスイッチ24でアクチュエータ本体2の全開又は全閉位置を検知可能になっており、このとき、突出カム部25を外部より視認することでアクチュエータ本体2の動作状態を確認できる。
【0053】
減速ギア群22とケース本体20との間には配線押え31が設けられ、この配線押え31は貫通穴63を有し、この貫通穴63に最終段歯車45の下部に設けた出力段軸64と減速ギア群22の各歯車の回転軸46とが貫通し、出力段軸64や回転軸部60の回転動作に支障のないようになっている。配線押え31は、ケース本体20の載置面35に載置された状態で固定される。ケース本体20の底面36にはモータ21やリミットスイッチ24、制御部27の配線(ケーブル)37が配置されており、このケーブル37が配線押え31によりケース本体20の底面36側に収納される。ケーブル37は連通穴部48を介してアクチュエータ本体2の外部に引き出され、図示しない機器等に接続される。
【0054】
この場合、小型のアクチュエータでは、配線用のケーブル37の保持、及びケーブルシース37a外周側からの浸水や湿気の通過を防止して気密性を向上させるために、通常、図示しない市販のケーブルブッシュを利用したり、ゴムブッシュを使用して行ったり、金属もしくは樹脂製のブッシュにて内部のゴム部材を潰して行うことが多い。
【0055】
しかし、市販のケーブルブッシュを用いた場合、コストがかかり、汎用性が求められるために組み込んだ製品をコンパクト化できない問題もある。更に、一般的にケーブルブッシュは、ねじ込みもしくはパネルマウントによって組み込まれるが、この場合、施工者ごとに気密性の確保の状態にバラツキが生じる可能性がある。
【0056】
一方、ゴムブッシュを使用した場合には、一般的にケーブルのシース外周寸法に寸法や形状のバラツキが多くなり、このゴムブッシュだけで気密性を維持しようとするためには、ケーブルを通す部分の寸法をぎりぎりまで小さくして隙間を小さくする必要がある。その結果、ケーブルを通しにくくなって施工性が悪くなる。
気密性、ケーブル保持機能を確保するためには、ケーブルを通す部分と、ケース本体への組み込む部分の両方でこれらを確保しなければならないため、ゴムブッシュの内周側、外周側ともに隙間寸法がなくなり、施工時にはこのゴムブッシュを大きく潰す必要がある。そのため、ケーブルを通すときだけでなく、組み込み時にも施工性が悪くなる。
【0057】
他方、金属もしくは樹脂製のブッシュの場合、一般的にこれらのブッシュを組み込むときには、ケース本体に圧入することでゴムを潰し、ケーブルのシース外周、ケース本体への組込み部分でケーブル保持機能、気密性の確保を行っているが、これらのブッシュを圧入するためには専用のプレス治具が必要になる。しかも、ブッシュと、ブッシュの組み込み側との両方の強度を圧入に耐え得るように確保する必要があるため、コンパクト化が難しい。
金属或は樹脂製ブッシュをねじ込み型とする場合には専用のプレス治具は不要となるが、ねじ込部分の強度やスペースが必要になるため、コンパクト化が難しくなる。
【0058】
これらのことから、
図20、
図21に示したバルブのアクチュエータにおいては、コンパクト化したアクチュエータのケース本体20に対して、Oリング100、接着剤101を用いて気密性を確保しながらケーブルを取付けるようにしたものである。
図に示すように、ケース本体20のケーブル37の組込み位置のケーブル取付け用の連通穴部48には、テーパ部103、Oリング収納部104、接着剤充填部105、接着剤導入部106が設けられている。
【0059】
テーパ部103は、Oリング100をスムーズに縮径して奥まで押し込み可能にするために設けられ、このテーパ部103に続いて奥側にOリング収納部104が形成されている。接着剤充填部105には適宜の接着剤101が充填可能に設けられ、接着剤導入部106は、接着剤充填部105に接着剤101を充填するための図示しないディスペンサー(定量吐出装置)を挿入可能な穴径及び深さに設けられており、本実施形態においては、連通穴部48の軸芯と直交方向かつ、ケース本体20の底部に設けられている。
【0060】
Oリング収納部104に装着されるOリング100は、ケーブル37のシース外周部37a及びケース本体20との保持及び気密性を維持可能な内周径及び外周径に設けられる。接着剤101は、接着剤充填部105に充填されたときにOリング100の飛び出しを防止し、このOリング100とともに保持して気密性を維持できる材料からなっている。
【0061】
接着剤充填部105の拡径側には接着止め板107を取付け可能になっており、この接着止め板107を設けることで、流し込んだ接着剤101の外部への漏れを防ぎ、接着剤充填部105内に均等に接着剤101を充填可能になっている。
【0062】
ケース本体20にケーブル37を取付ける場合には、ケーブル37の先端側にOリング100を装着し、図示しない治具を利用してケーブル37をケース本体20の連通穴部48に挿入する。このとき、Oリング100が連通穴部48のテーパ部103により徐々に縮径されるようにしてOリング収納部104に収まるようになっている。そのため、小さい挿入力によりOリング100をOリング収納部104の規定の位置に収納できる。続いて、治具を取り外し、接着止め板107をケーブル37に通しながら連通穴部48の拡径側に当接させる。この状態で接着剤導入部106にディスペンサーをセットし、接着止め板107で連通穴部48を塞いた状態で接着剤101を規定量流し込み、接着剤充填部105に充填する。
【0063】
上記のようにして、Oリング100を装着したケーブル37の挿入後にディスペンサーを使用して接着剤101を接着剤充填部105に流し込み、Oリング100の飛び出し防止を図っている。しかも、接着剤101が接着剤充填部105内で固まることで、ケーブル37の保持機能及び気密性の維持が、Oリング単独で装着する場合に比較して高まることとなる。そのため、Oリング100の潰し代を最少に設計でき、ケーブル37を通しやすくなって施工性がよくなる。このように、ケース本体20にOリング収納部104、接着剤充填部105を有する連通穴部48を設けてケーブル37を取付けているため、ケース本体20が大型化することなくアクチュエータ全体のコンパクト性を維持したままケーブル37を接続可能に設けることができる。
【0064】
しかも、接着止め板107を設けていることで、接着剤101が固まるまでこの接着剤101が外部に流れ出すことが防がれる。その際、接着剤101が固まるまでケーブル37が自重により垂れ下がり、このケーブル37の重みによりOリング100に摩擦力が働いてケーブル37が落下することが防がれる。
【0065】
接着剤101は、接着剤充填部105から接着剤導入部106まで充填されているため、この接着剤101が固まった後には、その固着力によりケーブル37を保持して抜けを防止することに加えて、接着剤導入部106の接着剤101がケース本体20に引っ掛かるため、より強固な抜け防止機能が発揮される。
【0066】
更に、接着止め板107を透明にすることで、接着剤充填部105への接着剤101の充填量を目視で確認でき、施工者による充填量のバラツキを防ぐことができる。
また、ケーブルシース37aの外周側、及び
図22に示したケーブル37が有する絶縁体37bと芯線37cとの間に接着剤101を塗布して穴埋めしてもよい。このときには、ケーブルシース37a外周側の気密性だけでなく、毛細管現象によりケーブル37内部を伝わって浸水することも防止できる。
【0067】
以上のように、ケーブルシース37a外周側の気密性をOリング100及び接着剤101で確保しているため、二重に気密を取ることが可能になり、Oリング単独による場合に比べて気密性が高い。その結果、Oリング100の潰し代を最少に設計でき、ケーブル37を通りやすくなることで施工性が高まる。ケース本体20内にOリング収納部104、接着剤充填部105を設けていることから、ケース本体20が大型化することがなく、アクチュエータ全体のコンパクト化を図れる。
【0068】
図22、
図23においては、
図20のケース本体20内にリミットスイッチ24制御用の基板110、コンデンサ111を収納した状態を示しており、これらの基板110、コンデンサ111は、ケース本体20のリミットスイッチ24、24の間に収納されている。基板110には、リミットスイッチケーブル、モータケーブル、入出力用ケーブルなどのケーブル37が図示しない半田によりそれぞれまとめて接続され、基板110をケース本体20内に収納するときには、各ケーブル37をアクチュエータ内の部品を迂回させるようにケース本体20内側の両側付近を通し、配線押え31とケース本体20の底面36との間を通過させた上で、連通穴部48の付近で図示しない結束バンドでまとめるようにした。これによって、ケース本体20内の基板110、コンデンサ111を配設するときに、ケース本体20内に残された限られたスペースを有効に利用してケーブル37を配置でき、全体のコンパクト化を確保できる。
【0069】
出力軸23は金属製であり、その上部側が金属製の最終段歯車45に圧入されてこの最終段歯車45に同軸に設けられ、ステム7と接続可能に設けられる。出力軸23の中間位置付近は、軸受65、Oリング66を介してケース本体20に回動可能に取り付けられ、出力軸23の先端にはステム7の平行二面部12と嵌合可能な凹状溝67が形成されている。
【0070】
アクチュエータ本体2は、上記の部品を介してモータ21の回転を減速して出力軸23まで出力し、この出力軸23の凹状溝67に嵌合した平行二面部12を介してステム7に伝達し、弁体5を所定の開度に回転制御可能になっている。アクチュエータ本体2は、いわゆるクォーターターン式の回転弁の回転操作用であり、前述したように、出力軸23(最終段歯車45)が略90°の回転角度で回転制御されたときに、この回転状態が突出カム部25により外部に表示される。
【0071】
カバー体32は、透明又は半透明の樹脂により成形され、モータ21や突出カム部25、インジケータ部26を収納するための膨出部68が膨出形成されている。カバー体32は、例えばシボ加工によって表面加工され、膨出部68の突出カム部25が位置する付近シボ加工を設けないことによる透明又は半透明の視認部70が設けられている。この視認部70を介してカバー体32の外方よりインジケータ部26の動作状態を視認できるようになっている。
カバー体32は、ケース本体20に対して、例えば超音波溶着により接合される。
【0072】
一方、
図4の二点鎖線のハッチングの領域に示すように、アクチュエータ本体2の出力軸23を囲む底面36には、接続プレート体3取付け用の嵌入凹部71が形成されている。この嵌入凹部71は、接続プレート体3に設けられた後述の嵌合筒部72に嵌合可能な形状に形成されている。
アクチュエータ底面36の外周側には接続プレート体3の着脱用の着脱部73が突出形成され、この着脱部73には後述する固定ピン74のおねじ部75が螺着可能な一対のめねじ部76が2組形成されている。めねじ部76は、ステム7の横方向に所定角度θ(例えば30°)で放射方向に向けて形成される。
【0073】
図7に示すように、バルブ1とアクチュエータ2接続用の接続プレート体3には、フランジ部80、嵌合筒部72、嵌入穴81が形成されている。フランジ部80は、バルブ1への取付け用として接続プレート体3に対して互い違いに一対に形成され、それぞれのフランジ部80の端部80aにはボルト10の雄ネジ10aと螺合する雌ネジ80bが形成されている。フランジ部80の端部80aと前述したバルブ1の取付部9とは、この取付部9の下方より貫通穴11を介して挿入したボルト10の螺着により固着可能になっている。フランジ部80の底面側には補強リブ80cが形成されている。
【0074】
一対のフランジ部80、80の間には、一対の嵌合筒部72、72が突設形成され、嵌合筒部72は嵌入凹部71と嵌合可能な形状に設けられ、この嵌合筒部72に嵌入凹部71を嵌合することにより、接続プレート体3にアクチュエータ本体2を位置決めしながら仮着することが可能になる。フランジ部80と嵌合筒部72とは、接続プレート体3の図示しない中心に対して点対称の形状に設けられている。
【0075】
図8、
図9において、嵌合筒部72の横方向外周には、2つの有底の装着穴82、82が放射方向に向けて2組形成されている。装着穴82はめねじ部76の位置に対応しており、このめねじ部76と同じ所定角度(本実施形態においては30°)θにより、高さ方向において同一平面上に形成される。装着穴82は先端縮径状のテーパ穴部からなっており、この装着穴82には固定ピン74の先端74aが装着可能になっている。この2組の装着穴82とめねじ部76とは、嵌合筒部72に対して対称位置に配置されている。
【0076】
嵌入穴81は、接続プレート体3の嵌合筒部72の中央位置に形成され、ステム軸装部6に嵌入可能な穴径に形成されている。この嵌入穴81をステム軸装部6に嵌入することにより接続プレート体3を位置決めしながらバルブ1に仮着できる。
【0077】
図8において、固定ピン74は、アクチュエータ本体2と接続プレート体3とを位置決めしながら接続するために設けられる。固定ピン74の先端74aにはテーパ部83が設けられ、このテーパ部83に続いてアクチュエータ本体2のめねじ部76に螺合するおねじ部75、回転操作用の頭部84が設けられている。
【0078】
テーパ部83は、装着穴82に取付け可能な図示しない所定のテーパ角度に形成され、おねじ部75をめねじ部76に螺入したときにこのテーパ部83が装着穴82に沿うようにして位置決めされる。これにより、接続プレート体3とアクチュエータ本体2とが所定位置に正確に位置決めされた状態で固定される。図に示すように、おねじ部75はめねじ部76に螺着する部分のみにねじ部分が形成されていればよく、その中間部分は省略されていてもよい。この場合、めねじ部76に対して螺合するおねじ部75が少なくなることから、固定ピン74の締付け或は緩める作業が簡単になる。
【0079】
頭部84には図示しない一般工具などの工具により一方向に回転可能な凹部85が形成され、この凹部85を介して工具を用いて回転することで固定ピン74を緩めることができるようになっている。一方、頭部84の外周を手で把持したり特殊工具などの任意の手法により回転させて固定ピン74を締付けることが可能である。凹部85は、一般工具を取付けて回転操作であれば適宜の形状に設けることができる。頭部84の形状は、一般工具等の工具を用いて緩め、手で把持したり特殊工具などの任意の手法で締付ける態様とする以外にも、任意の手法で緩め、工具を用いて締付ける態様に設けることも可能である。
【0080】
上記の構成により、
図2に示すように、ボデー4のステム軸装側の外周頂面部8にアクチュエータ接続用の接続プレート体3を固着し、この接続プレート体3にアクチュエータ本体2を搭載すると共に、ステム7の軸方向に交叉する横方向より挿脱する固定手段からなる接続機構90でバルブ1とアクチュエータ本体2とを着脱可能に設けている。
この接続機構90は、一対のめねじ部76、76が形成されたアクチュエータ底面36の着脱部73と、この着脱部73に螺入した固定ピン74の先端74aを装着穴82に位置決め固定した構造から成っている。
【0081】
なお、上記実施形態においては、バルブ1をボールバルブとしているが、アクチュエータ本体2で駆動可能なバルブであればバタフライバルブを用いるようにしてもよい。この場合にも、ボールバルブの場合と同様にアクチュエータ本体2を着脱可能な構造に設けることができる。また、アクチュエータ本体2を電動式としているが、空圧駆動のアクチュエータとしてもよい。
【0082】
バルブ1のステム7の上端側に平行二面部12、アクチュエータ本体2の出力軸23の先端側に凹状溝67を設けているが、これらを逆に設けてもよい。固定ピン74の数を2つとしているが、この固定ピン74を3つ以上設けるようにしてもよい。この場合には、固定ピン74を装着するための装着穴82及びめねじ部76を、固定ピン74の数に応じて予め接続プレート体3及びアクチュエータ本体2に形成すればよい。
【0083】
続いて、前述したバルブ1とアクチュエータ本体2とを一体に接続するときの組み立て手順を説明する。
図2、
図7に示すように、嵌入穴81にステム軸装部6を嵌入しつつ、取付部9にフランジ部80を載置しながら接続プレート体3をバルブ1に位置決め調心する。取付部9の貫通穴11を介してフランジ部80の下側のボデー4側からフランジ部80の雌ネジ80bに雄ネジ10aを螺着してボルト10を仮止めする。これにより、接続プレート体3をバルブ1に対して横方向に位置決めしながら仮止めする。
【0084】
この状態で弁体5のポート5aを流路4aと平行になるように全開状態にし、一方、アクチュエータ本体2も全開位置に調整する。
図8(a)に示すように、平行二面部12を凹状溝67に嵌合させながら嵌合筒部72を嵌入凹部71に嵌合させ、バルブ1とアクチュエータ本体2との間に接続プレート体3を装着してこのバルブ1とアクチュエータ本体2を仮着する。接続プレート体3は、バルブ1の外周頂面部8とアクチュエータ本体2の底面36との隙間Sに配設される。このとき、接続プレート体3のフランジ部80、嵌合筒部72が点対称の形状であることから、バルブ1に対してアクチュエータ本体2を180°回転した状態で接続する可能である。
【0085】
次いで、めねじ部76に固定ピン74のおねじ部75を螺着し、嵌合筒部72の装着穴82に固定ピン74の先端74aを装着する。この固定ピン74の装着により、アクチュエータ本体2は、バルブ1に固定されている接続プレート体3の嵌合筒部72に同軸状態で位置決め固定される。このとき、バルブ1、アクチュエータ本体2を全開状態に保持しながら固定ピン74を締め込むことにより、アクチュエータ本体2の全開位置でポート5aが流路4aに平行な状態になり、正常な取付け位置に調整しながら位置決めできる。
【0086】
更に、フランジ部80にボルト10で仮止め状態のバルブ1の位置をアクチュエータ本体2に対して微調整し、この状態でボルト80を締結することでより、より正確な位置決めを実施できる。ボルト80の固定時には、取付部9がボデー4の横方向に突出形成されているためにバルブ1に干渉させることなくボルト10を取付部9の下側から締付けることが可能になる。これによりアクチュエータ本体2の全開位置、ポート5aの流路4aに対する全開位置がずれることなく、バルブ1とアクチュエータ本体2とを一体化できる。
取付部9、フランジ部80が互い違いに突出形成されていることにより、接続プレート体3のアクチュエータ本体2との着脱部位である嵌合筒部72への干渉を回避し、着脱に必要な空間が確保される。
【0087】
バルブ1からアクチュエータ2を取り外す際には、
図8(b)に示すように、固定ピン74を緩めることでバルブ1及び接続プレート体3からアクチュエータ2を取り外す。
【0088】
このように、接続プレート体3を介してバルブ1とアクチュエータ本体2とを着脱できる構造であり、その接続時には、接続プレート体3の嵌入穴81をボデー4のステム軸装部6に嵌入し、アクチュエータ本体2の嵌入凹部71を接続プレート体3の嵌合筒部72に嵌合することでステム7と出力軸23とを同軸方向及び高さ方向に位置決めし、この状態で接続プレート体3により固定できる。
図8(a)に示すように、バルブ1とアクチュエータ本体2との隙間Sに接続プレート体3を配置することで、
図3、
図6の接続時には、全体の高さを抑えながらこれらを一体化できる。
【0089】
その際、2つの固定ピン74の先端74aを、放射方向に向けて形成された装着穴82に装着しているので、この固定ピン74の接触部位である2つの支点部位で支えながら固定してアクチュエータ本体2の傾倒を防止でき、ステム7が回転したときにも固定ピン74の緩みを防止できる。
【0090】
しかも、接続プレート体3を対称位置に形成された2組のめねじ部76及び装着穴82の何れか一方側に固定ピン74を固着して接続プレート体3を位置決めできることで、メンテナンススペースを削減しながら、バルブ1やアクチュエータ本体2の接続向きに応じて任意の横方向からこの固定ピン74を緩めたり締付けたりすることができる。固定ピン74による固定位置を必要に応じて変えるようにすれば、機器内の限られた設置スペースにもフレキシブルに対応しながらアクチュエータ本体2とバルブ1とを配設でき、この回転弁の横方向から固定ピン74を着脱できるため作業性にも優れている。
【0091】
この場合、2つの固定ピン74、74の角度θを鋭角に設けることで、固定ピン74が1つの場合以上の摩擦力を得ることができ、角度θをより鋭角に設けることで摩擦力を増加させることが可能になる。この摩擦力の増加により、各固定ピン74、74が軸方向に回転することを防ぎ、固定ピン74が緩んだり外れたりすることを防止する機能が向上する。
【0092】
一対のめねじ部76、76が形成された着脱部73と、この着脱部73に螺入した固定ピン74の先端74aを位置決め固定する構造からなる接続機構90により、バルブ1とアクチュエータ本体2とをガタツキを防ぎながら固着でき、しかも、装着穴82を先端縮径状のテーパ穴部に形成し、このテーパ穴部82に固定ピン74のテーパ部83を装着することで、アクチュエータ本体2と接続プレート体3との位置決め精度がより高まっている。その際、装着穴82にはテーパ部83から摩擦力が働くため、手締めによっても十分な締め込み強度を得ることができる。更に、固定ピン74の推力で発生する摩擦力が接続プレート体3に伝わるため、この固定ピン74を装着した逆側の横側の接続プレート体3の浮き上がりを防止している。仮に、固定ピン74が1本である場合には、この固定ピン74にステム7の回転方向の回転力が発生したときに少量の動作で摩擦力が大きく減少し、固定ピン74の緩みが発生しやすくなる。
【0093】
上述したように、ボデー4のステム軸装側の外周頂面部8にアクチュエータ2接続用の接続プレート体3を固着し、この接続プレート体3にアクチュエータ2を搭載すると共に、ステム7の軸方向に交叉する横方向より挿脱する固定手段からなる接続機構90でバルブ1とアクチュエータ2とを着脱可能に設けているので、接続プレート体3をバルブ1とアクチュエータ2との間に装着したときに隙間Sの領域に接続機構90や接続プレートの補強リブ80cを収容しており、アクチュエータ2とバルブ1との距離を小さくし全体の高さを低く抑えて極力コンパクト化を図ることができる。この省スペース化により、狭い設置スペースにも簡単に位置決めしながら装着できる。
【0094】
しかも、ボデー4の外周頂面部8と同等又は同等以下に形成した一対の取付部9、9に、接続プレート体3の一対のフランジ部80、80を取付部9の下方よりボルト10で固着することにより、接続プレート体3によるバルブ1とアクチュエータ本体2との着脱部位の高さ寸法をより低く抑えることができ、アクチュエータ本体2の嵌入凹部71を接続プレート体3の嵌合筒部72に嵌合して接続プレート体3にアクチュエータ本体2を位置決めした構成により、ステム軸装部6の高さを低くすることで接続プレート体3によるバルブ1とアクチュエータ本体2との着脱部位の高さ寸法を極限まで抑えることも可能になる。これによって、アクチュエータ付き回転弁全体を最大限コンパクト化できる。
【0095】
バルブ1とアクチュエータ本体2との接続時には、前述したようにこれらを全開状態にしながら接続プレート体3を介して固定ピン74、ボルト10により固定することにより取付け精度を高めながら容易に一体化でき、接続する度に流路4aの調整をおこなうことなく所定の状態に接続できる。
【0096】
本発明におけるバルブのアクチュエータは、モータ21の下面領域Rに又はモータ21内部に減速ギア群22を設け、この減速ギア群22の最終段歯車45に突出カム部25を固着し、この突出カム部25をモータ21の底面より延出させ、かつ、最終段歯車45の外周囲よりやや突出させると共に、リミットスイッチ24をモータ側面の空間領域Tに配置し、突出カム部25の回動操作でリミットスイッチ24を接離させるようにしているので、バルブ1とアクチュエータ本体2との間に大きなスペースを必要としたり、アクチュエータ本体2を上方側に延長したり、減速ギア群22を配設するために全体を横方向に大きく延長することなく全体のコンパクト化を図りながら突出カム部25を設け、この突出カム部25を外部より視認することで弁開度の確認が可能になる。
【0097】
この場合、リミットスイッチ24のオンオフ用の突出カム部25を弁開度表示用として共用していることで、必要最小限の部品点数でアクチュエータ本体2の省スペースの空間内に弁開度表示部分を設けてコンパクト化を図ることが可能になる。
【0098】
更に、突出カム部25の先端部25bをモータ21の側面21aに沿って上方に突出させたインジケータ部26を形成し、カバー体32に設けた透明又は半透明の視認部70を介してカバー体32の外方よりインジケータ部26の動作状態を視認できるため、インジケータ部26をアクチュエータ本体2の上方向及び側面方向から視認したり遠い距離から視認することが可能になり、外部から覗き込むことなく容易に弁開度を視認可能になる。