特許第5997929号(P5997929)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997929
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】蓄電素子用の外装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/02 20060101AFI20160915BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20160915BHJP
【FI】
   H01M2/02 A
   H01G11/78
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-107776(P2012-107776)
(22)【出願日】2012年5月9日
(65)【公開番号】特開2013-235730(P2013-235730A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239219
【氏名又は名称】福伸電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(72)【発明者】
【氏名】林 圭一
(72)【発明者】
【氏名】柳井 隆志
(72)【発明者】
【氏名】下薗 武司
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓
【審査官】 松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−146645(JP,A)
【文献】 特開2000−021365(JP,A)
【文献】 特開2001−236929(JP,A)
【文献】 特開2000−133211(JP,A)
【文献】 特開2002−198011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する胴部であって、電極体を包囲可能な環状の胴部と、前記開口部を閉じる閉塞部とを備えた蓄電素子用の外装体の製造方法において、
前記閉塞部になる第一領域と、該第一領域の両側に接続され且つ前記胴部になる二つの第二領域と、を有する展開プレートを曲げ加工することで、前記閉塞部及び前記胴部を形成する曲げ加工ステップと、
前記曲げ加工ステップによって形成された前記閉塞部の周縁のうちの前記胴部と連続していない部分と、前記曲げ加工ステップによって形成された前記胴部とをレーザー溶接する溶接ステップとを含み、
前記展開プレートにおいて、
前記第一領域は、前記展開プレートが広がる面の法線方向から視て、対向する一対の長辺、及び対向する一対の短辺に囲まれた矩形状であり、
前記第二領域のそれぞれは、前記長辺を境界として前記第一領域と連続し、
前記曲げ加工ステップでは、前記第二領域と前記第一領域との境界がそれぞれ曲げ加工されると共に、前記第二領域が曲げ加工されることで、前記環状の胴部が形成されると共に、前記閉塞部における前記短辺を含む端部が前記環状の胴部の外周から外側にはみ出すように前記閉塞部が形成され、
前記溶接ステップでは、前記閉塞部の前記短辺を含む端部と、前記環状の胴部とをレーザー溶接する
ことを特徴とする蓄電素子用の外装体の製造方法。
【請求項2】
げ加工された前記展開プレートにおける二つの前記第二領域を突合せ溶接し、前記閉塞部と交差する方向に延びる溶接ラインを形成するステップをさらに含み、前記溶接ステップにおいて、前記溶接ライン上が溶接開始位置に設定される請求項1に記載の蓄電素子用の外装体の製造方法。
【請求項3】
げ加工された前記展開プレートにおける二つの前記第二領域を突合せ溶接し、前記閉塞部と交差する方向に延びる溶接ラインを形成するステップをさらに含み、前記溶接ステップにおいて、前記溶接ラインの端部を通過するように、前記胴部の外周と前記閉塞部の端部とをレーザー溶接する請求項1に記載の蓄電素子用の外装体の製造方法。
【請求項4】
前記曲げ加工ステップにおいて、前記胴部の外周からはみ出す前記閉塞部の前記短辺を含む端部のはみ出し量が、前記閉塞部の厚みの1/4〜1/3にされる請求項1乃至の何れか1項に記載の蓄電素子用の外装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極体を内装する蓄電素子用の外装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種機器の電力源に採用される蓄電素子として、正極及び負極を含む電極体と、電極体を収容する金属製の外装体とを備えたものが提供されている。
【0003】
この種の蓄電素子の外装体は、電極体を包囲する環状の胴部であって、両端に開口部を有する胴部と、該胴部の両端の開口部を閉じる一対の閉塞部とを備える。そして、この種の外装体には、一対の閉塞部のうちの少なくとも何れか一方の閉塞部が胴部に対して溶接されることで、胴部の少なくとも何れか一方の開口部が密閉されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
より具体的に説明する。外装体には、開口部を有する胴部と、胴部の外形及びサイズに対応して形成された閉塞部であって、胴部と別体で構成された閉塞部とによって形成されたものがある。かかる外装体においては、胴部の開口端に重ね合わされた閉塞部の外周と胴部の外周とが溶接されることで、胴部の開口部が密閉されている。
【0005】
また、外装体には、胴部及び閉塞部を展開した形状に打ち抜いた展開プレートを加工して形成されたものがある。すなわち、外装体には、完成後の閉塞部の形状に対応して形状設定された第一領域と、完成後の胴部の展開形状に対応して形状設定された少なくとも一つの第二領域であって、第一領域の外縁に接続された少なくとも一つの第二領域とを有する展開プレートによって形成されたものがある。
【0006】
この種の外装体においては、展開プレートを立体形状にした上で、非接続状態にある部位を溶接することで、胴部と閉塞部との間が密封されている。
【0007】
具体的には、展開プレートから外装体を形成するに当り、展開プレートにおける第一領域と第二領域との境界が曲げ加工され、第二領域が第一領域に対して起立状態にされる。
【0008】
そして、第二領域が一つの場合には、第二領域が第一領域の外形に即して曲げ加工され、該第二領域の周方向の両端が突合せ溶接される。これに対し、第二領域が二つ以上の場合には、第二領域のそれぞれが第一領域の外形(外縁)に即して曲げ加工され、隣り合う第二領域同士が突合せ溶接される。これにより、第二領域が連続して第一領域の外形に即した環状にされて胴部になり、また、第一領域が胴部の開口部に重なった閉塞部となる。
【0009】
そして、上記の何れの場合においても、胴部と閉塞部との境界上にある部位であって、曲げ部分(展開プレートにおける第一領域と第二領域との接続部分に相当する部分)以外の部位において、胴部が閉塞部と非接続状態で該閉塞部の端部に重なった状態になる。
【0010】
これに伴い、この種の外装体は、閉塞部の端部上に位置する胴部の外周と、閉塞部の外周とが溶接されることで、胴部の開口部が密閉されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011−210464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、蓄電素子の外装体内には、電解液が入れられる。また、充放電に伴って外装体内でガスが発生する。そのため、外装体は、液密性及び気密性が要求される。これに伴い、胴部及び閉塞部は、相互の溶け込み量を多くすることのできる深溶込み型レーザー溶接(キーホール型レーザー溶接)によって溶接される。
【0013】
しかしながら、深溶込み型レーザー溶接によって胴部と閉塞部とを溶接すると、胴部と閉塞部とが溶け落ちてしまい、液密性及び気密性が確保されなくなる場合がある。すなわち、深溶込み型レーザー溶接は、レーザービームの照射によって溶接部位にキーホールを作りつつ溶融池を作るため、胴部と閉塞部との密接状態や、レーザービームの照射位置或いは照射方向によって、胴部及び閉塞部の溶融部位が脱落してしまうことがある。そのため、胴部と閉塞部との間の液密性及び気密性が確保できなくなる場合がある。特に、胴部及び閉塞部の溶接開始位置が溶接ライン上に設定されると、胴部及び閉塞部の溶け落ちが顕著になってしまう。
【0014】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、電極体を包囲可能な胴部と、胴部の開口部を閉じる閉塞部とをレーザー溶接するに当り、溶接不良の発生を抑制することのできる蓄電素子用の外装体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、開口部を有する胴部であって、電極体を包囲可能な環状の胴部と、前記開口部を閉じる閉塞部とを備えた蓄電素子用の外装体の製造方法において、前記閉塞部になる第一領域と、該第一領域の両側に接続され且つ前記胴部になる二つの第二領域と、を有する展開プレートを曲げ加工することで、前記閉塞部及び前記胴部を形成する曲げ加工ステップと、前記曲げ加工ステップによって形成された前記閉塞部の周縁のうちの前記胴部と連続していない部分と、前記曲げ加工ステップによって形成された前記胴部とをレーザー溶接する溶接ステップとを含み、前記展開プレートにおいて、前記第一領域は、前記展開プレートが広がる面の法線方向から視て、対向する一対の長辺、及び対向する一対の短辺に囲まれた矩形状であり、前記第二領域のそれぞれは、前記長辺を境界として前記第一領域と連続し、前記曲げ加工ステップでは、前記第二領域と前記第一領域との境界がそれぞれ曲げ加工されると共に、前記第二領域が曲げ加工されることで、前記環状の胴部が形成されると共に、前記閉塞部における前記短辺を含む端部が前記環状の胴部の外周から外側にはみ出すように前記閉塞部が形成され、前記溶接ステップでは、前記閉塞部の前記短辺を含む端部と、前記環状の胴部とをレーザー溶接することを特徴とする。
【0016】
上記方法によれば、レーザー溶接するステップにおいて、胴部の外周とともに閉塞部の端部が溶融する。これに伴い、レーザー溶接することで、胴部及び閉塞部の一部が溶け落ちたとしても、溶融した閉塞部の端部が溶け落ちた部分(欠落した部分)に流れ込み、その部分を埋める。これにより、胴部と閉塞部とが溶け込み、胴部と閉塞部との間の液密性及び気密性が確保される。
【0017】
本発明の一態様として、げ加工された前記展開プレートにおける二つの前記第二領域を突合せ溶接し、前記閉塞部と交差する方向に延びる溶接ラインを形成するステップをさらに含み、前記溶接ステップにおいて、前記溶接ライン上が溶接開始位置に設定される、ようにし得る。
【0018】
このようにすれば、外装体を製造するに当たって、形状や寸法上の制限が少なくなるため、要求される形態の外装体を適正に作製することができる。また、胴部を作製するステップにおいて、高価な金型を必要としないため、コストの低減を図ることができる。さらに、レーザー溶接するステップにおいて、溶接ライン上が溶接開始位置に設定されるため、レーザー溶接の溶接開始時に出来る溶接痕が溶接ラインと重なって目立たなくなり、胴部と閉塞部との溶接部分(溶接線)が外観良好になる。
また、このようにすれば、展開プレートにおける胴部になる領域と閉塞部になる領域とが連続するため、曲げ加工するステップが完了すると、胴部になる領域及び閉塞部になる領域とは、部分的に繋がった状態で、溶接ラインを形成するステップ(溶接するステップ)と、レーザー溶接するステップに移行可能な配置になる。従って、溶接ラインを形成するステップ(溶接するステップ)、及びレーザー溶接するステップにおいて、胴部と閉塞部との相対的な位置決めが不要となり、作業性が向上する。
【0019】
本発明の他態様として、げ加工された前記展開プレートにおける二つの前記第二領域を突合せ溶接し、前記閉塞部と交差する方向に延びる溶接ラインを形成するステップをさらに含み、前記溶接ステップにおいて、前記溶接ラインの端部を通過するように、前記胴部の外周と前記閉塞部の端部とをレーザー溶接する、ようにし得る。
【0020】
このようにすれば、胴部を作製する(胴部になる領域を突き合わせ溶接する)ことで閉塞部近傍に形成される溶接ラインの溶接痕に対し、胴部の外周と閉塞部の端部とをレーザー溶接することによって形成される溶接ラインが重複して形成される。従って、閉塞部近傍にあった溶接ラインの溶接痕が、レーザー溶接によって形成される溶接ラインによって消されるため、外観良好になる。
また、このようにすれば、展開プレートにおける胴部になる領域と閉塞部になる領域とが連続するため、曲げ加工するステップが完了すると、胴部になる領域及び閉塞部になる領域とは、部分的に繋がった状態で、溶接ラインを形成するステップ(溶接するステップ)と、レーザー溶接するステップに移行可能な配置になる。従って、溶接ラインを形成するステップ(溶接するステップ)、及びレーザー溶接するステップにおいて、胴部と閉塞部との相対的な位置決めが不要となり、作業性が向上する。
【0023】
本発明の他態様として、前記曲げ加工するステップにおいて、前記胴部の外周からはみ出す前記閉塞部の前記短辺を含む端部のはみ出し量が、前記閉塞部の厚みの1/4〜1/3にされる、ようにし得る。
【0024】
このようにすれば、レーザー溶接するステップにおいて、閉塞部の端部の全体又は略全体が溶融し、溶接後に閉塞部の端部が胴部の外周からはみ出た状態で残らず、外装体を体裁よく形成できる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、電極体を包囲可能な胴部と、胴部の開口部を閉じる閉塞部とをレーザー溶接するに当り、溶接不良の発生を抑制することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電素子用の外装体の製造方法によって作製された外装体を備える蓄電素子の全体斜視図である。
図2図2は、図1のI−I断面図である。
図3図3は、図1のII−II断面図である。
図4図4は、外装体の胴部及び一方の閉塞部を作製するための展開プレートの平面図である。
図5図5は、他方の閉塞部である蓋プレートの平面図である。
図6図6は、展開プレートを曲げ加工した状態(溶接前の状態)の部分拡大図であって、図6Aは、部分拡大正面図であり、図6Bは、部分拡大側面図である。
図7図7は、胴部上に他方の閉塞部(蓋プレート)を配置した状態(溶接前の状態)の部分拡大図であって、図7Aは、部分拡大正面図であり、図7Bは、部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る蓄電素子用の外装体の製造方法(以下、単に製造方法という)について、添付図面を参照しつつ説明する。まず、製造方法の説明に先立ち、蓄電素子について概略説明する。
【0028】
図1図3に示す如く、蓄電素子1は、正極及び負極を含む電極体10と、電極体10を収容する外装体11と、外装体11の外面上に配置された外部端子12とを備える。
【0029】
そして、外装体11は、開口部を有する胴部13であって、電極体10を包囲可能な環状の胴部13と、胴部13の開口部を閉じる閉塞部14,15とを備える。
【0030】
胴部13は、両端に開口部を有する。すなわち、胴部13は、全長に亘って貫通した内部空間を画定する。本実施形態において、胴部13は、角環状に形成される。
【0031】
より具体的に説明すると、胴部13は、第一方向(図に示すX軸方向)に互いに間隔をあけて配置される一対の第一壁130,130と、第一方向と直交する第二方向(図に示すY軸方向)で互いに間隔をあけて配置される一対の第二壁131,131であって、一対の第一壁130,130間で互いに対向する一対の第二壁131,131とを有する。
【0032】
一対の第一壁130,130のそれぞれにおける第二方向の両端は、隣り合う第二壁131,131の第一方向の端縁に接続されている。そして、第一壁130,130と第二壁131,131との接続部分は、丸みをもって形成されている。すなわち、第一壁130,130と第二壁131,131との境界領域は、第一方向及び第二方向のそれぞれと直交する第三方向(図に示すZ軸方向)に延びる仮想線を中心にして断面円弧状に形成されている。
【0033】
一対の第一壁130,130及び一対の第二壁131,131のそれぞれは、第三方向に第一端と第二端とを有する。そして、一対の第一壁130,130の第一端及び一対の第二壁131,131の第一端によって一方の開口部が画定され、一対の第一壁130,130の第二端及び一対の第二壁131,131の第二端によって他方の開口部が画定されている。即ち、胴部13(第一壁130,第二壁131)は、第三方向の両端に四角状の開口部を形成している。
【0034】
本実施形態において、胴部13は、扁平している。具体的には、胴部13の第一方向の寸法(外寸)が、該胴部13の第二方向の寸法(外寸)よりも長く設定されている。すなわち、本実施形態において、第一壁130の第二方向の長さは、第二壁131の第一方向の長さよりも短く設定されている。
【0035】
そして、胴部13が両端に開口部を有するに伴い、閉塞部14,15は、胴部13の開口部に対応して一対設けられる。一対の閉塞部14,15のうちの一方の閉塞部(以下、第一閉塞部という)14は、胴部13の一方の開口部を密閉している。
【0036】
本実施形態において、第一閉塞部14は、胴部13の開口部に対応して略四角形状に形成される。これにより、第一閉塞部14は、第一方向に第一端と反端側の第二端とを有するとともに、第二方向に第三端と反対側の第四端とを有する。
【0037】
そして、胴部13が扁平状に形成されるに伴い、第一方向における第一閉塞部14の長さが第二方向の長さよりも長く設定されている。また、上述の如く、第一壁130と第二壁131との接続部分が丸みをもって形成されるに伴い、第一閉塞部14の四つの角部は、第一壁130と第二壁131との接続部分と対応して丸みをもって形成される。
【0038】
そして、第一閉塞部14の第一端は、全長に亘って一方の第一壁130の第一端に接続され、第一閉塞部14の第二端は、全長に亘って他方の第一壁130の第一端に接続されている。また、第一閉塞部14の第三端は、全長に亘って一方の第二壁131の第一端に接続され、第一閉塞部15の第四端は、全長に亘って他方の第二壁131の第一端に接続されている。これにより、胴部13及び第一閉塞部14は、有底筒状の容器を構成している。すなわち、第一閉塞部14は、容器の底部を構成している。なお、本実施形態においては、第一閉塞部14と第二壁131との接続部分についても丸みをもって形成される(断面円弧状に形成される)。すなわち、第一閉塞部14と第二壁131との境界領域は、第一方向に延びる仮想線を中心にして断面円弧状に形成されている。
【0039】
一対の第一閉塞部14,15のうちの他方の閉塞部(以下、第二閉塞部という)15は、胴部13の他方の開口部を密閉している。
【0040】
本実施形態において、第二閉塞部15は、胴部13の開口部に対応して略四角形状に形成される。これにより、第二閉塞部15は、第一方向に第一端と反端側の第二端とを有するとともに、第二方向に第三端と反対側の第四端とを有する。
【0041】
そして、胴部13が扁平状に形成されるに伴い、第一方向における第二閉塞部15の長さ第二方向の長さよりも長く設定されている。また、上述の如く、第一壁130と第二壁131との接続部分が丸みをもって形成されるに伴い、第二閉塞部15の四つの角部は、第一壁130と第二壁131との接続部分と対応して丸みをもって形成される。
【0042】
そして、第二閉塞部15は、胴部13内(胴部13及び第一閉塞部14によって構成される容器)内に電極体10が入れられた後に、胴部13の開口端上に配置された上で、全周に亘って胴部13に接続される。すなわち、第二閉塞部15の第一端は、全長に亘って一方の第一壁130の第二端に接続され、第二閉塞部15の第二端は、全長に亘って他方の第一壁130の第二端に接続されている。また、第二閉塞部15の第三端は、全長に亘って一方の第二壁131の第二端に接続され、第二閉塞部15の第四端は、全長に亘って他方の第二壁131の第二端に接続されている。
【0043】
従って、本実施形態に係る外装体11において、胴部13及び第一閉塞部14が容器を構成し、第二閉塞部15が容器の開口を閉塞する蓋部を構成している。なお、本実施形態において、外部端子12は第二閉塞部15の外面上に配置され、外装体11内の電極体10に電気的に接続される。
【0044】
上記構成の外装体11は、第一閉塞部14及び胴部13を展開させた展開プレート2(図4参照)と、第二閉塞部15を構成する蓋プレート3(図5参照)とで作製される。
【0045】
展開プレート2は、金属プレートを打ち抜いたもので、図4に示す如く、第一閉塞部14になる領域(以下、第一領域という)20と、胴部13になる領域(以下、第二領域という)21,21とを有する。より具体的に説明する。本実施形態において、展開プレート2は、第一方向の第一端及び第二端を有するとともに、第二方向に第三端及び第四端を有する平面視四角形状の第一領域20と、第一領域20の第三端及び第四端のそれぞれに接続された一対の第二領域21,21とを備える。
【0046】
第一領域20は、完成後の第一閉塞部(底部)14の形状に対応して形成される。従って、本実施形態において、第一方向における第一領域20の長さは、第二方向における第一領域20の長さよりも長く設定されている。
【0047】
そして、本実施形態において、展開プレート2を加工して形成される途中段階の胴部13(両端が開放した状態の胴部13)と完成後の胴部13(開口部が閉じられた状態の胴部13)の第一方向及び第二方向の寸法が同じであることを前提に、第一方向における第一領域20の長さLa1は、完成後の胴部13(完成後の第一閉塞部14)の第一方向の寸法Lb1に所定長さ2αを加算した長さに設定されている。すなわち、第一方向における胴部13の両側の外面(一対の第一壁130,130の外面)のそれぞれから第一領域20(完成前の第一閉塞部14)が所定の延出量αで外側にはみ出るように、第一方向における第一領域20の長さLa1は、完成後の胴部13の第一方向の寸法Lb1に所定の延出量αの二倍の長さ2αを加算した長さに設定される。
【0048】
第一方向で第一領域20を第一壁130,130からはみ出させる量(延出量)αは、自己の厚みに応じて設定される。具体的には、第一方向における第一領域20の延出量αは、自己の厚みの1/4〜1/3に設定される。本実施形態において、展開プレート2(胴部13及び第一閉塞部14)の厚み(板厚)が0.3mm〜0.8mmに設定され、第一方向における第一領域20(第一閉塞部14)の延出量αが展開プレート2の厚みの1/4〜1/3(好ましくは1/3)に設定される。なお、重量と剛性のバランスを考慮すれば、展開プレート2(胴部13及び第一閉塞部14)の厚み(板厚)は、0.6mmに設定されることが好ましく、この場合、第一方向における第一領域20(第一閉塞部14)の延出量αは、展開プレート2の厚みの1/3に設定される。
【0049】
一対の第二領域21,21のそれぞれは、第一領域20に連続した領域である。本実施形態において、一対の第二領域21,21のそれぞれは、第二壁131になる主壁領域210と、第一壁130になる副壁領域211,211とを備えている。より具体的に説明すると、第二領域21は、第一壁130,130全面に対応した主壁領域210と、第二壁131,131における第二方向の半分の領域に対応した副壁領域211,211とを備える。
【0050】
主壁領域210は、第二方向に第一端及び第二端を有するとともに、第一方向に第三端及び第四端を有する。そして、主壁領域210の第一端は、全長に亘って第一領域20に接続されている。本実施形態においては、第一閉塞部14と胴部13との接続部分が丸みをもって形成される(断面円弧状に形成される)ため、第一領域20と主壁領域210との境界には曲げ領域(以下、第一曲げ領域という)22が設けられている。なお、第二方向における第一曲げ領域22の長さは、完成後における第一閉塞部14と第一壁130,130との間の丸み(曲率半径)に応じて設定される。
【0051】
そして、上述の如く、第一方向における第一領域20の長さが完成後の胴部13(第一閉塞部14)の長さよりも長く設定されているため、第一方向における主壁領域210の長さは、第一領域20よりも短くなっている。
【0052】
副壁領域211,211は、主壁領域210の第一方向の両側のそれぞれに延出している。すなわち、副壁領域211,211は、主壁領域210の第一方向の両側に一対設けられている。副壁領域211,211は、第二方向に第一端及び第二端を有するとともに、第一方向に第三端及び第四端を有する。
【0053】
そして、一方の副壁領域211においては、第三端が主壁領域210の第三端に接続され、他方の副壁領域211においては、第三端が主壁領域210の第四端に接続されている。本実施形態においては、第一閉塞部14の角部が丸みをもって形成される(断面円弧状に形成される)ため、主壁領域210と副壁領域211との境界には曲げ領域(以下、第二曲げ領域212という)が設けられる。なお、第一方向における第二曲げ領域212の長さは、完成後の第一閉塞部14の角部の丸み(曲率半径)に応じて設定される。
【0054】
第二方向における副壁領域211,211の長さは、第二方向における主壁領域210の長さと同一又は略同一に設定される。そして、副壁領域211,211の第一端は、主壁領域210の第一端と同列に配置される。これに伴い、副壁領域211,211の第二端は、主壁領域210の第二端と同列に配置されている。
【0055】
蓋プレート3は、図5に示す如く、完成後の第二閉塞部15の形状に対応して形成される。従って、本実施形態に係る蓋プレート3は、平面視四角形状に形成される。これに伴い、蓋プレート3は、第二方向の第一端及び第二端を有するとともに、第一方向に第三端及び第四端を有する。また、本実施形態において、第一方向における蓋プレート3の長さは、第二方向における蓋プレート3の長さよりも長く設定されている。
【0056】
蓋プレート3は、完成後の第二閉塞部(底部)15の形状に対応して形成される。従って、本実施形態において、第一方向における蓋プレート3の長さは、第二方向における蓋プレート3の長さよりも長く設定されている。
【0057】
具体的には、本実施形態において、展開プレート2を加工して形成される途中段階の胴部13(両端が開放した状態の胴部13)と完成後の胴部13(開口部が閉じられた状態の胴部13)の第一方向及び第二方向の寸法が同じであることを前提に、第一方向における蓋プレート3の長さLa2は、完成後の胴部13(完成後の第二閉塞部15)の第一方向の寸法Lb1に所定長さ2αを加算した長さに設定されている。すなわち、第一方向における胴部13の両側の外面(一対の第一壁130,130の外面)のそれぞれから蓋プレート3(完成前の第二閉塞部15)が所定の延出量αで外側にはみ出るように、第一方向における蓋プレート3の長さLa1は、完成後の胴部13の第一方向の寸法Lb1に所定の延出量αの二倍の長さ2αを加算した長さに設定される。
【0058】
第一方向で蓋プレート3を第一壁130,130からはみ出させる量(延出量)αは、自己の厚みに応じて設定される。具体的には、第一方向における蓋プレート3の延出量αは、自己の厚みの1/4〜1/3に設定される。本実施形態において、蓋プレート3の厚み(板厚)が0.3mm〜0.8mmに設定され、第一方向における蓋プレート3(第二閉塞部15)の延出量αが蓋プレート3の厚みの1/4〜1/3(好ましくは1/3)に設定される。なお、重量と剛性のバランスを考慮すれば、展開プレート2と同様に、蓋プレート3の厚み(板厚)は、0.6mmに設定されることが好ましく、この場合、第一方向における蓋プレート3の延出量αは、展開プレート2の厚みの1/3に設定される。
【0059】
また、蓋プレート3が展開プレート2に対して独立した部材であることを前提に、第二方向における蓋プレート3の長さLa3は、完成後の胴部13(完成後の第二閉塞部15)の第二方向の寸法Lb2に所定長さ2αを加算した長さに設定されている。すなわち、第二方向における胴部13の両側の外面(一対の第二壁131,131の外面)のそれぞれから蓋プレート3(完成前の第二閉塞部15)が所定の延出量αで外側にはみ出るように、第二方向における蓋プレート3の長さLa3は、完成後の胴部13の第二方向の寸法Lb2に所定の延出量αの二倍の長さ2αを加算した長さに設定される。
【0060】
第二方向で蓋プレート3を第二壁131,131からはみ出させる量(延出量)αについても、自己の厚みに応じて設定される。具体的には、第二方向における蓋プレート3の延出量αが自己の厚みの1/4〜1/3に設定される。本実施形態において、蓋プレート3の厚み(板厚)が0.3mm〜0.8mmに設定され、第二方向における蓋プレート3(第二閉塞部15)の延出量αが蓋プレート3の厚みの1/4〜1/3(好ましくは1/3)に設定される。そして、上述の如く、蓋プレート3の厚み(板厚)は、0.6mmに設定されることが好ましく、この場合、第二方向における蓋プレート3の延出量αについても、展開プレート2の厚みの1/3に設定される。なお、図において採番しないが、蓋プレート3には、外部端子12と電極体10とを導通させるための孔が設けられる。
【0061】
展開プレート2及び蓋プレート3は、以上の通りである。続いて、これらを用いて外装体11を作製する方法(手順)について説明する。
【0062】
まず、展開プレート2が曲げ加工される。より具体的には、展開プレート2は、図6A及び図6Bに示す如く、第一領域20と第二領域21,21(主壁領域210)との境界(第一曲げ領域22)が曲げ加工されるとともに、主壁領域210と副壁領域211,211との境界(第二曲げ領域212)が曲げ加工される。すなわち、プレスブレーキを用い、第一曲げ領域22が第二方向に円弧状に曲げ加工され、第二曲げ領域212が第一方向に円弧状に曲げ加工される。なお、第一曲げ領域22及び第二曲げ領域212に対する曲げ加工は、何れを先に行ってもよい。
【0063】
このように、展開プレート2が曲げ加工されることで、一対の第二領域21,21のそれぞれが、第一領域20に対して直角又は略直角をなすように、第一領域20に対して起立した状態にされる。すなわち、第二領域21,21における主壁領域210及び副壁領域211,211は、互いに直角又は略直角をなした状態で、第一領域20に対して起立した状態にされる。
【0064】
これにより、一方の第二領域21の主壁領域210は、第一領域20の第一端に沿って起立する。これに伴い、一方の第二領域21において、一方の副壁領域211が第一領域20の第一端上で起立するとともに、他方の副壁領域211が第一領域20の第二端上で起立する。これに対し、他方の第二領域21の主壁領域210は、第一領域20の第二端に沿って起立する。これに伴い、他方の第二領域21において、一方の副壁領域211が第一領域20の第一端上で起立するとともに、他方の副壁領域211が第一領域20の第二端上で起立する。
【0065】
そして、一対の第二領域21,21の一方の副壁領域211,211の第四端同士が近接した状態で対向し、一対の第二領域21,21の他方の副壁領域211,211の第四端同士が近接した状態で対向した状態になる。これに伴い、互いに近接した副壁領域211,211の第四端同士が突き合わせ溶接される。
【0066】
より具体的に説明すると、副壁領域211,211の第四端同士が近接した状態にされた後、互いに近接した副壁領域211,211の第四端同士がレーザー溶接機を用いて突き合わせ溶接される。このとき、副壁領域211,211の第一端上が溶接開始位置SP1に設定され、副壁領域211,211の第二端側が溶接終了位置に設定される。このように、副壁領域211,211同士が溶接されることで、一対の第二領域21,21は、互いに連なり、角環状の胴部13となる。また、これに伴い、第一領域20は、胴部13の開口端上に配置された第一閉塞部14となる。
【0067】
本実施形態に係る展開プレート2において、上述の如く、第一方向における第一領域20の長さが、第一方向における胴部13の長さLb1よりも所定長さ2α分長く設定さている。そのため、上述の如く、胴部13が形成されることで、第一方向における第一閉塞部14の端部が胴部13の外周から外側に所定の延出量αではみ出るように、胴部13の開口端上に第一閉塞部14が配置される。本実施形態において、第一方向における第一閉塞部14の両端部が胴部13の外周(一対の第一壁130,130のそれぞれの外面)から外側にはみ出るように、胴部13の開口端上に第一閉塞部14が配置される。
【0068】
この状態で、胴部13の外周と、胴部13の外周からはみ出た第一閉塞部14の端部とがレーザー溶接される。本実施形態において、副壁領域211,211の第四端同士がレーザー溶接されて胴部13が形成されるため、胴部13には、第一閉塞部14と面直交する方向に延びる溶接ラインWLが形成される(図6B参照)。これに伴い、胴部13と第一閉塞部14とを溶接するに当り、溶接ラインWL上が溶接開始位置SP1に設定される。従って、本実施形態においては、胴部13の第二壁131のうちの第二方向における半分の領域と第一閉塞部14とが溶接された後、胴部13の第二壁131のうちの第二方向における残りの半分の領域と第一閉塞部14とが溶接される。
【0069】
このように胴部13(第二壁131,131)と第一閉塞部14とを溶接する際(レーザー溶接するステップにおいて)、胴部13の外周とともに該胴部13の外周からはみ出た第一閉塞部14の端部が溶融される。これに伴い、レーザー溶接(キーホール型溶接)することで、溶接対象である胴部13及び閉塞部の一部が溶け落ちたとしても、溶融した第一閉塞部14の端部が溶け落ちた部分(欠落した部分)に流れ込み、その部分を埋める。これにより、胴部13と第一閉塞部14とが溶け込み、胴部13と第一閉塞部14との間の液密性及び気密性が確保される。
【0070】
この状態で、胴部13及び第一閉塞部14は、一面に開口部を形成した容器を構成する。すなわち、胴部13の第一壁130,130及び第二壁131,131の第二端で開放した開口部が形成され、胴部13の第一壁130,130及び第二壁131,131の第一端で形成される開口部が第一閉塞部14によって密閉された容器が形成される。従って、この状態で第一閉塞部14は、容器の底部を構成する。
【0071】
本実施形態においては、胴部13(容器)の開口部から該胴部13内に電極体10が挿入された上で、図7A及び図7Bに示す如く、第二閉塞部15(蓋プレート3)が胴部13の開口端上に配置される。本実施形態において、第二閉塞部15(蓋プレート3)は、上述の如く、第一方向の長さLa2及び第二方向の長さLa3が胴部13の第一方向の長さLb1及び第二方向の長さLb2よりも長く設定されている。従って、第二閉塞部15の端部(外周端部全周)が胴部13の外周全周から外側にはみ出るように、胴部13の開口端上に第二閉塞部15(蓋プレート3)が配置される。
【0072】
この状態で、胴部13の外周全周と、胴部13の外周からはみ出た第二閉塞部15の端部全周とがレーザー溶接される。本実施形態において、上述の如く、胴部13に溶接ラインWLが形成されるため、該溶接ラインWL上が溶接開始位置SP2に設定される。これに伴い、胴部13と第二閉塞部15とを溶接するに当り、一方の第一壁130及び該第一壁130の両側にある第二壁131,131のそれぞれの第二方向における半分の領域が第二閉塞部15と溶接された後、他方の第一壁130及び該第一壁130の両側にある第二壁131,131のそれぞれの第二方向における半分の領域(残りの半分の領域)が第二閉塞部15と溶接される。
【0073】
このように胴部13(第二壁131,131)と第二閉塞部15とが溶接される際(レーザー溶接するステップにおいて)、胴部13の外周とともに該胴部13の外周からはみ出た第二閉塞部15の端部が溶融する。これに伴い、レーザー溶接(キーホール型溶接)することで、溶接対象である胴部13及び第二閉塞部15の一部が溶け落ちたとしても、溶融した第二閉塞部15の端部が溶け落ちた部分(欠落した部分)に流れ込み、その部分を埋める。これにより、胴部13と第二閉塞部15とが溶け込み、胴部13と第二閉塞部15との間の液密性及び気密性が確保される。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る蓄電素子1用の外装体11の製造方法によれば、レーザー溶接(キーホール型溶接)することで、溶接対象である胴部13及び閉塞部の一部が溶け落ちたとしても、溶け落ちた部分(欠落する部分)が閉塞部の端部(はみ出た部分)によって埋められるため、胴部13と閉塞部との間の液密性及び気密性が確保される。
【0075】
従って、本実施形態に係る製造方法は、電極体10を包囲可能な胴部13と、胴部13の開口部を閉じる閉塞部14,15とをレーザー溶接するに当り、溶接不良の発生を抑制することができるという優れた効果を奏し得る。
【0076】
そして、本実施形態に係る製造方法は、胴部13を作製するステップとして、胴部13になる領域を有する展開プレート2を曲げ加工するステップと、曲げ加工された展開プレート2における胴部13になる領域をレーザー溶接によって突き合わせ溶接し、閉塞部14,15と交差する方向に延びる溶接ラインWLを形成するステップとを含むため、外装体11を製造するに当たって、形状や寸法上の制限が少なくなる。従って、要求される形態の外装体11を適正に作製することができる。また、胴部13を作製するステップにおいて、高価な金型を必要としないため、コストの低減を図ることができる。
【0077】
また、レーザー溶接するステップにおいて、溶接ラインWL上が溶接開始位置SP1,SP2に設定されるため、レーザー溶接の溶接開始時に出来る溶接痕が溶接ラインWLと重なって目立たなくなり、胴部13及び閉塞部14,15との溶接部分(溶接線)が外観良好になる。
【0078】
そして、胴部13開口端部上に閉塞部14,15を配置するステップにおいて、胴部13の外周からはみ出す閉塞部14,15の端部のはみ出し量αが、閉塞部14,15の厚みの1/4〜1/3にされるため、レーザー溶接するステップにおいて、閉塞部14,15の端部の全体又は略全体を溶融させることができ、溶接後に閉塞部14,15の端部が胴部13の外周からはみ出た状態で残らず、外装体11を体裁よく形成できる。
【0079】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更し得ることは勿論である。
【0080】
上記実施形態において、胴部13と閉塞部14,15とをレーザー溶接するステップにおいて、溶接ラインWL上が溶接開始位置SP1,SP2に設定されたが、これに限定されない。例えば、レーザー溶接するステップにおいて、溶接ラインWLの端部(上記実施形態において溶接開始位置SP1,SP2に設定された位置)を通過するように、胴部13の外周と閉塞部14,15の端部とをレーザー溶接するようにしてもよい。すなわち、レーザー溶接するステップにおいて、溶接ラインWLから離れた位置(例えば、胴部13と閉塞部14,15との未溶接部位の両端のうちの一方の端)を溶接開始位置に設定し、その溶接開始位置に対して対称な位置(例えば、胴部13と閉塞部14,15との未溶接部位の両端のうちの他方の端)に向けてレーザー溶接するようにしてもよい。このようにすれば、胴部13を作製する(胴部になる領域(第二領域)21を突き合わせ溶接する)ことで閉塞部14,15近傍に形成される溶接ラインWLの溶接痕に対し、胴部13の外周と閉塞部14,15の端部とをレーザー溶接することによって形成される溶接ラインが重複して形成される。従って、閉塞部14,15近傍にあった溶接ラインWLの溶接痕が、レーザー溶接によって形成される溶接ラインによって消されるため、外観良好に仕上げることができる。
【0081】
上記実施形態において、一枚の展開プレート2が曲げ加工及び溶接加工されることで、第一閉塞部14及び胴部13(容器)が形成されたが、本発明は、これに限定されない。例えば、第一閉塞部14及び胴部13は、金属材料をプレス成形したり絞り成型したりすることで、継ぎ目無く連続的に形成されてもよい。この場合、胴部13及び第一閉塞部14を形成するに当たって溶接工程を行う必要がないが、第二閉塞部15については、上記実施形態と同様に、胴部13の外周からはみ出るように配置され、胴部13の外周からはみ出た端部と胴部13の外周とが全周に亘ってレーザー溶接される。従って、この場合においても、胴部13と第二閉塞部15とがレーザー溶接されるに当り、溶接不良の発生を抑制することができるという優れた効果を奏し得る。
【0082】
また、上記実施形態において、展開プレート2を加工することで、第一閉塞部14及び胴部13(容器)が溶接せずとも部分的に接続された態様にされたが、これに限定されない。例えば、第一閉塞部14は、第二閉塞部15と同様に、胴部13と別体で構成されてもよい。この場合、第二閉塞部15と同様に、第一方向及び第二方向における第一閉塞部14の長さが第一方向及び第二方向における胴部13の長さLb1,Lb2よりも長く設定される。そして、第一閉塞部14の端部が胴部13の外周から外側にはみ出るように、胴部13の開口端上に第一閉塞部14が配置され、胴部13の開口端部の外周と、第一閉塞部14の端部とがレーザー溶接される。従って、上記実施形態の第二閉塞部15を胴部13に溶接する場合と同様に、胴部13と第一閉塞部14とが溶け込みあうことになるため、溶接不良の発生を抑制することができる。
【0083】
上記実施形態において、第一領域20に対して一対の第二領域21,21が対称的に接続された展開プレート2から胴部13及び第一閉塞部14を形成したが、これに限定されない。例えば、第一領域20に対して一つの第二領域21,21(両端が突き合わせ溶接されることで胴部13になる第二領域21,21)が接続された展開プレート2や、第一領域20に対して三つ以上の第二領域21,21(隣同士が突き合わせ溶接されることで胴部13になる三つ以上の第二領域21,21)が接続された展開プレート2から、胴部13及び第一閉塞部14を形成するようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態において、胴部13が角環状に形成されたが、これに限定されない。例えば、胴部13が円環状に形成されたものであってもよい。
【0085】
上記実施形態において、第一閉塞部14の外周の一部が胴部13に対して溶接されるとともに、第二閉塞部15の外周全周が胴部13に対して溶接されること前提に説明したが、これに限定されない。例えば、第一閉塞部14及び第二閉塞部15の何れか一方の外周全周又は外周の一部が胴部13に対して溶接され、第一閉塞部14及び第二閉塞部15の何れか他方が胴部13に対して溶接以外の方法で取り付けられるものであってもよい。
【0086】
従って、本発明は、胴部13と閉塞部14,15とをレーザー溶接することを前提に、胴部13の何れか一方の開口部が開放した上記容器を外装体11として製造することを包含する。また、上記実施形態において、特に言及しなかったが、本発明における「蓄電素子」の用語は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の各種電池、キャパシタ(電気二重層キャパシタ等)を包含する。
【符号の説明】
【0087】
1…蓄電素子、2…展開プレート、3…蓋プレート、10…電極体、11…外装体、12…外部端子、13…胴部、14…第一閉塞部(閉塞部)、15…第二閉塞部(閉塞部)、20…第一領域、21…第二領域、22…第一曲げ領域(曲げ領域)、130…第一壁、131…第二壁、210…主壁領域、211…副壁領域、212…第二曲げ領域(曲げ領域)、E…エッジ、SP1,SP2…溶接開始位置、WL…溶接ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7