(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記合成樹脂は、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂およびポリエーテルエーテルケトン樹脂から選ばれる1種である、請求項1に記載の頭蓋骨用プレート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、加工性に優れ、かつ術後の位置確認および経過観察が可能な頭蓋骨用プレートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)プレート状であるとともに、合成樹脂製の本体部と、前記本体部に取り付けられるとともに、ワイヤー状またはピン状であり、かつX線および核磁気共鳴画像法のうち少なくとも一方による造影性を有する、位置確認部材と、を備える、頭蓋骨用プレート。
(2)前記合成樹脂は、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂およびポリエーテルエーテルケトン樹脂から選ばれる1種である、前記(1)に記載の頭蓋骨用プレート。
(3)前記位置確認部材が、前記ワイヤー状であるとともに、金属製である、前記(1)または(2)に記載の頭蓋骨用プレート。
(4)前記位置確認部材が、前記ワイヤー状であり、前記本体部は、その表面および外周面のうち少なくとも一方に位置している溝部を有し、前記ワイヤー状の位置確認部材が、前記溝部内に収容された状態で前記本体部に取り付けられている、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の頭蓋骨用プレート。
(5)前記溝部は、一端部が前記表面または前記外周面に位置している外方溝と、前記外方溝よりも内方側に位置しており前記外方溝の他端部に接続しているとともに、前記溝部の長手方向に垂直な断面視において略円形状である内方溝と、を有し、前記ワイヤー状の位置確認部材の直径をd1、前記外方溝の溝幅をW、前記内方溝の直径をD1としたとき、前記d1、WおよびD1は、W<d1≦D1の関係を有する、前記(4)に記載の頭蓋骨用プレート。
(6)前記本体部は、複数の前記溝部を有する、前記(4)または(5)に記載の頭蓋骨用プレート。
(7)前記複数の溝部のうち少なくとも2つの溝部が互いに交差している、前記(6)に記載の頭蓋骨用プレート。
(8)前記位置確認部材が、前記ワイヤー状であり、前記本体部は、その表面または外周面に開口している少なくとも1つの開口部を有する、孔部を有し、前記ワイヤー状の位置確認部材が、前記少なくとも1つの開口部から前記孔部内に挿入された状態で前記本体部に取り付けられている、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の頭蓋骨用プレート。
(9)前記ワイヤー状の位置確認部材の直径をd1、前記孔部の直径をD2としたとき、前記d1およびD2は、d1≧D2の関係を有する、前記(8)に記載の頭蓋骨用プレート。
(10)前記位置確認部材が、前記ピン状であるとともに、金属製またはセラミックス製である、前記(1)または(2)に記載の頭蓋骨用プレート。
(11)前記位置確認部材が、ピン頭部および前記ピン頭部に接続している略柱状のピン挿入部を有する、前記ピン状であり、前記本体部は、その表面から裏面まで貫通している貫通孔を有し、前記ピン状の位置確認部材が、前記ピン挿入部を前記貫通孔に挿入した状態で前記本体部に取り付けられている、前記(1)、(2)または(10)に記載の頭蓋骨用プレート。
(12)前記ピン挿入部の直径をd2、前記貫通孔の直径をD3としたとき、前記d2およびD3は、d2≧D3の関係を有する、前記(11)に記載の頭蓋骨用プレート。
(13)前記ピン挿入部は、先端部側に位置している第1領域と、前記第1領域に接続しており前記ピン頭部側に位置している第2領域と、を有し、前記第1領域は、その直径が前記第2領域に向かうにつれて大きくなっており、前記第1領域の前記直径のうち最大直径をd3、前記貫通孔の直径をD3としたとき、前記d3およびD3は、d3>D3の関係を有し、かつ前記第2領域の長さをh、前記貫通孔の長さをHとしたとき、前記hおよびHは、h≧Hの関係を有する、前記(11)に記載の頭蓋骨用プレート。
(14)前記ピン挿入部は、先端部から前記ピン頭部に向かって延びているスリットを有する、前記(11)〜(13)のいずれかに記載の頭蓋骨用プレート。
(15)前記本体部は、複数の前記貫通孔を有する、前記(11)〜(14)のいずれかに記載の頭蓋骨用プレート。
(16)複数の前記ピン状の位置確認部材を備えるとともに、前記複数のピン状の位置確認部材を互いに連結している、前記(15)に記載の頭蓋骨用プレート。
(17)前記ピン挿入部は、凸部または凹部を有し、前記貫通孔は、その内壁面に位置しており前記ピン挿入部の前記凸部または前記凹部に凹凸嵌合可能な凹部または凸部を有する、前記(11)〜(16)のいずれかに記載の頭蓋骨用プレート。
(18)前記ピン挿入部が、スクリュー状である、前記(11)〜(16)のいずれかに記載の頭蓋骨用プレート。
(19)前記スクリュー状のピン挿入部は、先端部に位置している切り欠き部を有する、前記(18)に記載の頭蓋骨用プレート。
(20)前記ピン状の位置確認部材が、中空状である、前記(10)〜(19)のいずれかに記載の頭蓋骨用プレート。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本体部が合成樹脂製であることから、加工性に優れ、それゆえ頭蓋骨欠損部の複雑な形状に対応することができ、頭蓋骨欠損部の形状ごとに所謂カスタムメイドできるという効果がある。また、合成樹脂は、通常、軽量であるとともに、可撓性を有する。したがって、本体部を合成樹脂で構成することによって、軽量化に対応することができ、破砕リスクを小さくすることもできる。しかも、本体部にX線またはMRIによる造影性を有する位置確認部材を取り付けることから、X線撮影またはMRI検査によって、術後のプレートの位置確認および経過観察を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る頭蓋骨用プレートについて、
図1〜
図4を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態のプレート1Aは、頭蓋骨100の欠損部101を塞ぐことによって、欠損部101を修復するものである。本実施形態のプレート1Aは、
図2に示すように、本体部2Aおよび位置確認部材3を備えている。
【0012】
本体部2Aは、
図1〜
図3に示すように、欠損部101の形状に対応しており、欠損部101を塞いだときに頭皮側に位置する表面21と、脳側に位置する裏面22と、表面21および裏面22の間に位置している外周面23と、を有するプレート状である。このようなプレート状に本体部2Aを加工する方法としては、例えば切削加工等が挙げられる。
【0013】
なお、表面21および外周面23の交差部、および裏面22および外周面23の交差部のそれぞれは、必要に応じて面取りすることができる。本体部2Aの厚み等については、欠損部101に応じて所望の値を採用することができ、特に限定されるものではない。
【0014】
本体部2Aは、合成樹脂製である。これにより、加工性に優れ、軽量化に対応することができ、破砕リスクを小さくすることができる。合成樹脂としては、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂およびポリエーテルエーテルケトン樹脂から選ばれる1種であるのが好ましく、例示した合成樹脂のうち超高分子量ポリエチレン樹脂であるのが好ましい。
【0015】
超高分子量ポリエチレン樹脂は、重量平均分子量が100万以上のポリエチレン樹脂であり、例えば低圧の懸濁重合法によってエチレンモノマーを反応させつつ、反応時間を長くすることによって製造することができる。超高分子量ポリエチレン樹脂の重量平均分子量としては、通常、100万〜700万程度である。
【0016】
一方、位置確認部材3は、上述した本体部2Aに取り付けられるとともに、X線およびMRIのうち少なくとも一方による造影性を有する。これにより、X線撮影またはMRI検査によって、術後のプレート1Aの位置確認および経過観察を行うことができる。
【0017】
具体的に説明すると、本実施形態の位置確認部材3は、
図2に示すようにワイヤー状である。すなわち、本実施形態の位置確認部材3は、ワイヤー31である。ワイヤー31は、以下のようにして本体部2Aに取り付けられる。
【0018】
本実施形態のプレート1Aは、複数のワイヤー31を備えている。また、本実施形態の本体部2Aは、複数の溝部24を有する。複数の溝部24は、
図3に示すように、本体部2Aの表面21および外周面23に位置している。複数のワイヤー31は、これらの溝部24内に収容された状態で本体部2Aに取り付けられる。
【0019】
ここで、本実施形態の溝部24は、
図4に示すように、外方溝241および内方溝242を有する。外方溝241は、その一端部241aが表面21または外周面23に位置している。内方溝242は、外方溝241よりも内方側に位置しているとともに、外方溝241の他端部241bに接続している。また、内方溝242は、溝部24の長手方向に垂直な断面視において、略円形状である。同様に、ワイヤー31も、その長手方向に垂直な断面視において、略円形状である。
【0020】
そして、ワイヤー31の直径をd1、外方溝241の溝幅をW、内方溝242の直径をD1としたとき、d1、WおよびD1は、W<d1≦D1の関係を有するのが好ましい。本実施形態では、d1、WおよびD1は、W<d1=D1の関係を有する。このような構成によれば、以下の効果を奏することができる。
【0021】
すなわち、本体部2Aは上述の通り合成樹脂製であることから、W<d1の関係であっても、ワイヤー31を矢印iii方向に動かして内方溝242内に軽い力で押し込むことができ、それゆえ手術場、術中等において比較的簡単にワイヤー31を本体部2Aに取り付けることができる。また、d1≦D1の関係を有することから、ワイヤー31を、適度な保持力で内方溝242内に収容することができ、ワイヤー31が本体部2Aから脱落するのを抑制することができる。
【0022】
ワイヤー31の長さは、溝部24の長さと同じか、または溝部24の長さよりも若干短いのが好ましい。これにより、溝部24内へのワイヤー31の収容性を向上することができる。
【0023】
ワイヤー31は、金属製であるのが好ましい。これにより、ワイヤー31がX線およびMRIのうち少なくとも一方による造影性を有するようになる。金属としては、例えばチタン、チタン合金、コバルト−クロム合金、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。例示したこれらの金属は、X線およびMRIによる造影性を有する。
【0024】
なお、本実施形態では、ワイヤー31の数は複数であるが、術後のプレート1Aの位置確認および経過観察が可能な限り、ワイヤー31の数は1つであってもよい。また、ワイヤー31の数は、溝部24の数と同じであってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、術後のプレート1Aの位置確認および経過観察が可能な限り、複数の溝部24の全てにワイヤー31を収容してもよいし、複数の溝部24のうち所望の溝部24にのみワイヤー31を収容してもよい。
【0025】
複数のワイヤー31の各々の構成は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。同様に、複数の溝部24の各々の構成は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施形態では、
図3(a)に示すように、表面21における複数の溝部24は、互いに異なる長さで構成され、略等間隔に位置している。また、
図3(b)に示すように、外周面23における溝部24は、外周面23の一部に位置している。なお、外周面23における溝部24は、外周面23の全周に渡って位置していてもよい。溝部24は、表面21および外周面23のうち少なくとも一方に位置していればよい。
【0026】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るプレートについて、
図5を参照して詳細に説明する。なお、
図5においては、上述した
図1〜
図4と同一の構成部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0027】
図5に示すように、本実施形態のプレート1Bが備える本体部2Bは、複数の溝部24を有する。複数の溝部24は、本体部2Bの表面21に位置している。そして、本実施形態では、複数の溝部24のうち少なくとも2つの溝部24Bが互いに交差している。このような構成によれば、本体部2Bに対する上述したワイヤー31の取り付け自由度を向上することができる。
その他の構成は、上述した第1実施形態に係るプレート1Aと同様であるので、説明を省略する。
【0028】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るプレートについて、
図6を参照して詳細に説明する。なお、
図6においては、上述した
図1〜
図5と同一の構成部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0029】
図6に示すように、本実施形態のプレート1Cが備える本体部2Cは、複数の孔部25を有する。複数の孔部25のそれぞれは、本体部2Cの表面21に開口している一対の開口部25a,25aを有する。本実施形態では、上述したワイヤー31が、一対の開口部25a,25aのうち一方から孔部25内に挿入された状態で、本体部2Cに取り付けられる。このような構成によれば、ワイヤー31が本体部2Cから脱落するのを抑制することができる。
【0030】
特に、孔部25の直径をD2としたとき、D2と上述したワイヤー31の直径d1とは、d1≧D2の関係を有するのが好ましい。このような構成によれば、ワイヤー31を孔部25内に保持する保持力を向上することができる。
【0031】
なお、本実施形態では、孔部25の数は複数であるが、術後のプレート1Cの位置確認および経過観察が可能な限り、孔部25の数は1つであってもよい。複数の孔部25の各々の構成は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、開口部25aは本体部2Cの表面21に一対で開口しているが、開口部25aは本体部2Cの外周面23に開口していてもよいし、少なくとも1つであればよい。
その他の構成は、上述した第1,第2実施形態に係るプレート1A,1Bと同様であるので、説明を省略する。
【0033】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係るプレートについて、
図7〜
図9を参照して詳細に説明する。なお、
図7〜
図9においては、上述した
図1〜
図6と同一の構成部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0034】
図7に示すように、本実施形態のプレート1Dが備える位置確認部材3は、ピン状である。すなわち、本実施形態の位置確認部材3は、ピン32である。ピン32は、
図9に示すように、ピン頭部321と、ピン頭部321に接続している略柱状のピン挿入部322と、を有する。本実施形態では、ピン頭部321は略平板状であり、ピン挿入部322は略円柱状である。また、本実施形態では、ピン頭部321の直径が、ピン挿入部322および下記で説明する貫通孔26のいずれの直径よりも大きい。このような構成を有するピン32は、以下のようにして本体部2Dに取り付けられる。
【0035】
本実施形態のプレート1Dは、
図7に示すように、複数のピン32を備えている。また、本実施形態の本体部2Dは、複数の貫通孔26を有する。複数の貫通孔26のそれぞれは、
図8および
図9に示すように、本体部2Dの表面21から裏面22まで貫通している。また、複数の貫通孔26のそれぞれは、
図8(a)に示すように、表面21側から見たときに略円形状である。ピン32は、このような貫通孔26内にピン挿入部322を挿入した状態で、本体部2Dに取り付けられる。
【0036】
具体的に説明すると、
図9(a)に示すように、まず、ピン32を矢印vi方向に動かす。そして、
図9(b)に示すように、ピン頭部321が本体部2Dの表面21に当接するまで、ピン挿入部322を貫通孔26内に挿入することによって、ピン32が本体部2Dに取り付けられる。
【0037】
ここで、ピン挿入部322の直径をd2、貫通孔26の直径をD3としたとき、d2およびD3は、d2≧D3の関係を有するのが好ましい。本実施形態では、d2およびD3は、d2=D3の関係を有する。このような構成によれば、ピン挿入部322を適度な保持力で貫通孔26内に保持することができ、ピン32の抜けを抑制することができる。
【0038】
また、ピン32の抜けを抑制する上で、ピン挿入部322の長さは、貫通孔26の長さと同じか、または貫通孔26の長さよりも若干大きいのが好ましい。本実施形態では、
図9(b)に示すように、ピン挿入部322の長さは、貫通孔26の長さよりも若干大きい。
【0039】
ピン32は、金属製またはセラミックス製であるのが好ましい。これにより、ピン32がX線およびMRIのうち少なくとも一方による造影性を有するようになる。特に、ピン32が金属製の場合には、ピン32を加工する際の加工性を向上することができる。また、ピン32がセラミックス製の場合には、金属アレルギーに対応することができる。金属としては、ワイヤー31で例示したのと同じ金属が挙げられる。セラミックスとしては、例えばアルミナ、ジルコニア等が挙げられる。例示したこれらのセラミックスは、X線およびMRIによる造影性を有する。
【0040】
なお、本実施形態では、ピン32および貫通孔26のそれぞれの数は複数であるが、術後のプレート1Dの位置確認および経過観察が可能な限り、ピン32および貫通孔26のそれぞれの数を1つにすることもできる。また、ピン32の数は、貫通孔26の数と同じであってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、術後のプレート1Dの位置確認および経過観察が可能な限り、複数の貫通孔26の全てにピン32を挿入してもよいし、複数の貫通孔26のうち所望の貫通孔26にのみピン32を挿入してもよい。本実施形態によれば、術中に術者が意図した箇所に位置している貫通孔26に対してピン32を簡単に挿入できる。
【0041】
複数のピン32の各々の構成は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。同様に、複数の貫通孔26の各々の構成は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施形態では、
図8(a)に示すように、表面21側から見たとき、複数の貫通孔26は互いに略等間隔に位置している。
【0042】
なお、本実施形態の貫通孔26は、脳の硬膜を引き上げるための部位としても機能する。すなわち、貫通孔26に所定の金属ワイヤーを挿通すれば、脳の硬膜を引き上げることができる。このとき、必要に応じて本体部2Dの縁部近傍に位置している複数の挿通孔27を用いることもできる。すなわち、
図7および
図8に示すように、本実施形態の本体部2Dは、その縁部近傍に位置しており本体部2Dの表面21から裏面22まで貫通している複数の挿通孔27をさらに有する。
その他の構成は、上述した第1〜第3実施形態に係るプレート1A〜1Cと同様であるので、説明を省略する。
【0043】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係るプレートについて、
図10を参照して詳細に説明する。なお、
図10においては、上述した
図1〜
図9と同一の構成部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0044】
図10(a)に示すように、本実施形態のプレート1Eは、ピン32Eを備えている。ピン32Eが有するピン挿入部322Eは、先端部側に位置している第1領域322aと、第1領域322aに接続しておりピン頭部321側に位置している第2領域322bと、を有する。第1領域322aは、その直径が第2領域322bに向かうにつれて大きくなっている。
【0045】
ここで、第1領域322aの直径のうち最大直径をd3としたとき、d3と上述した貫通孔26の直径D3とは、d3>D3の関係を有する。また、第2領域322bの長さをh、貫通孔26の長さをHとしたとき、hおよびHは、h≧Hの関係を有するのが好ましい。本実施形態では、hおよびHは、h=Hの関係を有する。このような構成によれば、以下の効果を奏することができる。
【0046】
すなわち、第1領域322aの直径が第2領域322bに向かうにつれて大きくなっていることから、ピン挿入部322Eを貫通孔26内に挿入するときの挿入性を向上することができる。また、本体部2Eは合成樹脂製であることから、d3>D3の関係であっても、ピン32Eを矢印vi方向に動かして貫通孔26内に軽い力で押し込むことができ、それゆえ手術場、術中等において比較的簡単にピン32Eを本体部2Eに取り付けることができる。さらに、ピン頭部321が本体部2Eの表面21に当接するまで、ピン挿入部322Eを貫通孔26内に挿入すると、
図10(b)に示すように、第1領域322aが本体部2Eの裏面22に係合することから、ピン32Eの抜けを抑制することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、第2領域322bの直径をd4としたとき、d4およびD3は、d4=D3の関係を有する。
その他の構成は、上述した第1〜第4実施形態に係るプレート1A〜1Dと同様であるので、説明を省略する。
【0048】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係るプレートについて、
図11を参照して詳細に説明する。なお、
図11においては、上述した
図1〜
図10と同一の構成部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0049】
図11に示すように、本実施形態のプレート1Fは、ピン32Fを備えている。ピン32Fが有するピン挿入部322Fは、先端部からピン頭部321に向かって延びているスリット322cをさらに有する。
【0050】
このような構成によれば、本体部2Fが有する貫通孔26内へのピン32Fの挿入性を向上することができる。すなわち、ピン32Fのピン挿入部322Fを貫通孔26内に挿入するとき、スリット322cの幅wが小さくなるようにピン挿入部322Fが変形する。その結果、貫通孔26内へピン32Fをスムーズに挿入することができる。
その他の構成は、上述した第1〜第5実施形態に係るプレート1A〜1Eと同様であるので、説明を省略する。
【0051】
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態に係るプレートについて、
図12を参照して詳細に説明する。なお、
図12においては、上述した
図1〜
図11と同一の構成部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0052】
図12(a)に示すように、本実施形態のプレート1Gは、複数のピン32Gを備えている。本実施形態では、複数のピン32Gを互いに連結している。このような構成によれば、ピン32Gを図示しない本体部2Gに取り付けたとき、ピン32Gが回旋するのを抑制することができる。
【0053】
本実施形態では、複数のピン32Gを連結部材33aと一体に成形することによって互いに連結している。より具体的に説明すると、本実施形態では、ピン32Gのピン頭部321と、連結部材33aとを一体に成形している。このような構成によれば、ピン32Gの貫通孔26内への挿入性を維持しつつ、上述した効果を奏することができる。
【0054】
また、本実施形態は、その変形例として、
図12(b)に示すような構成を採用することができる。すなわち、本変形例では、
図12(b)に示すように、複数のピン32Gを板状の連結部材33bを介して互いに連結する。板状の連結部材33bは、複数の連結孔331を有する。これら複数の連結孔331のそれぞれに、ピン32Gを矢印vii方向に動かし、ピン挿入部322を挿入することによって、複数のピン32Gを互いに連結することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、連結部材33a,33bによって複数のピン32Gを互いに連結しているが、連結部材33a,33bを介さずに複数のピン32Gを互いに連結することもできる。具体例を挙げると、複数のピン32Gのそれぞれのピン頭部321を直接連結する構成等が挙げられる。
その他の構成は、上述した第1〜第6実施形態に係るプレート1A〜1Fと同様であるので、説明を省略する。
【0056】
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態に係るプレートについて、
図13を参照して詳細に説明する。なお、
図13においては、上述した
図1〜
図12と同一の構成部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0057】
図13(a)に示すように、本実施形態のプレート1Hは、本体部2Hおよびピン32Hを備えている。本実施形態では、ピン32Hのピン挿入部322Hが、その略中央部の全周に渡って位置しており、外方に向かって凸状である凸部322dを有する。
【0058】
また、本実施形態では、本体部2Hの貫通孔26Hが、その内壁面261における略中央部の全周に渡って位置しており、本体部2Hの内方に向かって凹状である凹部261aを有する。凹部261aは、ピン挿入部322Hの凸部322dに対し、凹凸嵌合可能に構成されている。
【0059】
このような構成によれば、
図13(b)に示すように、ピン挿入部322Hを貫通孔26H内に挿入すると、凹部261aおよび凸部322dが互いに凹凸嵌合することから、ピン32Hの抜けを抑制することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、ピン挿入部322Hが凸部322dを有し、貫通孔26Hが凹部261aを有するが、逆の構成を採用することもできる。すなわち、ピン挿入部322Hが凹部を有し、貫通孔26Hが、その内壁面261に位置しておりピン挿入部322Hの凹部に凹凸嵌合可能な凸部を有する構成にしてもよい。
その他の構成は、上述した第1〜第7実施形態に係るプレート1A〜1Gと同様であるので、説明を省略する。
【0061】
<第9実施形態>
次に、本発明の第9実施形態に係るプレートについて、
図14を参照して詳細に説明する。なお、
図14においては、上述した
図1〜
図13と同一の構成部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0062】
図14(a)に示すように、本実施形態のプレート1Iは、ピン32Iを備えている。ピン32Iが有するピン挿入部322Iは、スクリュー状である。このような構成によれば、本体部2Iが有する貫通孔26内にピン挿入部322Iを螺入できることから、ピン32Iを貫通孔26内に保持する保持力を向上することができる。
【0063】
また、本実施形態は、その変形例として、
図14(b)に示すような構成を採用することができる。すなわち、本変形例では、
図14(b)に示すように、スクリュー状のピン挿入部322Iが、先端部に位置している切り欠き部322eを有する。このような構成によれば、貫通孔26内にピン挿入部322Iを螺入するときに生じる切屑を、切り欠き部322eを介して排出できることから、切屑による目詰まりを抑制することができる。
その他の構成は、上述した第1〜第8実施形態に係るプレート1A〜1Hと同様であるので、説明を省略する。
【0064】
<第10実施形態>
次に、本発明の第10実施形態に係るプレートについて、
図15を参照して詳細に説明する。なお、
図15においては、上述した
図1〜
図14と同一の構成部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0065】
図15に示すように、本実施形態のプレート1Jは、ピン32Jを備えている。本実施形態では、ピン32Jが中空状である。このような構成によれば、ピン32Jを本体部2Jに取り付けることによって、ピン32Jを介して体液を矢印viii方向に排出することができる。
その他の構成は、上述した第1〜第9実施形態に係るプレート1A〜1Iと同様であるので、説明を省略する。
【0066】
以上、本発明に係るいくつかの実施形態について例示したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることは言うまでもない。
【0067】
例えば、本発明に係るプレートは、上述した第1〜第10実施形態に係るそれぞれのプレートに限定されるものではなく、各実施形態に係るプレートを組み合わせた実施形態に係るプレートであってもよい。
【0068】
また、本体部自体にX線およびMRIのうち少なくとも一方による造影性を付与するようにしてもよい。具体例を挙げると、本体部を構成する合成樹脂に金属粉末またはセラミックス粉末を含有させるか、または本体部の表面に金属粉末またはセラミックス粉末をブラスト処理等によって吹き付け、本体部の表面に金属粉末またはセラミックス粉末を食い込ませる構成等が挙げられる。このような構成によれば、本体部自体にX線およびMRIのうち少なくとも一方による造影性を付与することが可能となる。