(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記識別部による貨幣の識別結果、および前記入力部により入力された有価媒体に関する情報を区別可能に外部装置に送信する制御部を、さらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理機。
前記識別部による貨幣の識別結果、および前記入力部により入力された有価媒体に関する情報を、第1の管理権限とは異なる第2の管理権限下の外部装置に送信する制御部を、さらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の貨幣処理機。
前記制御部は、前記識別部による貨幣の識別結果と、前記収納部に収納されている貨幣および有価媒体の合計金額に係る情報とを区別して前記外部装置に送信することを特徴とする請求項4記載の貨幣処理機。
前記制御部は、前記入力部により入力された有価媒体に関する情報と、前記収納部に収納されている貨幣および有価媒体の合計金額に係る情報とを区別して前記外部装置に送信することを特徴とする請求項4記載の貨幣処理機。
前記収納部には、前記識別部により識別された貨幣、および前記識別部により識別されていない有価媒体が混合状態で収納されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の貨幣処理機。
前記収納部は複数の収納部分から構成されており、前記識別部により識別された貨幣、および前記識別部により識別されていない有価媒体は互いに異なる収納部分に収納されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の貨幣処理機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、特許文献1等に開示されるように、従来の現金管理システムでは、警備会社が店舗の警備を契約により担当している場合、警備会社の作業員は、入金機に収納された貨幣や有価媒体を定期的に回収するようになっている。そして、入金機に収納された貨幣や有価媒体が警備会社の作業員により回収されると、警備会社の管理権限下にある現金センターは、回収された貨幣および有価媒体の合計金額分の現金を、店舗の管理権限下の銀行口座に振り込むようになっている。このようにして、店舗側としては、警備会社の作業員により入金機から回収された貨幣および有価媒体の合計金額分の現金が、当該店舗の管理権限下の銀行口座に振り込まれるようになる。
【0005】
このような現金管理システムにおいて、入金機の識別部による貨幣の識別結果は、当該入金機から、警備会社の管理権限下にある現金センターに送信されるようになっている。一方、入金機の識別部で識別できない損券・損貨や、商品券、小切手等の現金以外の有価媒体は、手書きの伝票と合わせて入金機とは別に管理されるようになっているが、このような有価媒体は、入金機の貨幣を回収する警備会社の作業員に手渡された後、現金センターへ運ばれるようになる。しかしながら、このような有価媒体は入金機の機外で別管理されるため、手間がかかる。
【0006】
而して、上述のような現金管理システムでは、現金センターへ持ち帰った伝票の記載内容と、有価媒体の現物とを照合して、両者が一致することを確認したときに、店舗の管理権限下の銀行口座への現金の振り込みが行われるようになっているため、店舗の管理権限下の銀行口座への現金の振り込み作業を迅速に行うことができず、店舗側としては、入金機から回収された貨幣や有価媒体の合計金額が、当該店舗の管理権限下の銀行口座に振り込まれるまでの期間が長くなってしまうという問題があった。また、入金機に貨幣を入金できないときに、店舗側の管理者が手持ちの他の貨幣を代わりに入金する行為が行われる場合があり、現金管理上、好ましくない状態になることがあった。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、店舗の管理権限下の銀行口座への現金の振り込みを迅速に行うことができ、また、外部装置において貨幣処理機から送信された有価媒体に関する情報と、実際に貨幣処理機から回収されて外部装置に運ばれた有価媒体とを照合することができる貨幣処理機、貨幣処理システムおよび貨幣処理方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明の他の目的は、店舗の管理権限下の銀行口座への現金の振り込みを迅速に行うことができ、また、外部装置において有価媒体処理機から送信された第2の有価媒体に関する情報と、実際に有価媒体処理機から回収されて外部装置に運ばれた第2の有価媒体とを照合することができる有価媒体処理機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の貨幣処理機は、貨幣の識別を行う識別部と、前記識別部により識別された貨幣、および前記識別部により識別されていない有価媒体を収納する収納部と、前記収納部に収納される有価媒体に関する情報を入力するための入力部と、前記識別部による貨幣の識別結果、および前記入力部により入力された有価媒体に関する情報を区別可能に外部装置に送信する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
このような貨幣処理機によれば、識別部による貨幣の識別結果、および入力部により入力された有価媒体に関する情報が外部装置に送信されるので、外部装置による、店舗の管理権限下の銀行口座への現金の振り込みを迅速に行うことができるようになる。また、外部装置において貨幣処理機から送信された有価媒体に関する情報と、実際に貨幣処理機から回収されて外部装置に運ばれた有価媒体とを照合することができるようになる。
【0011】
本発明の他の貨幣処理機は、貨幣の識別を行う識別部と、前記識別部により識別された貨幣、および前記識別部により識別されていない有価媒体を収納する収納部と、第1の管理権限を有する管理者により、前記収納部に収納される有価媒体に関する情報を入力するための入力部と、前記識別部による貨幣の識別結果、および前記入力部により入力された有価媒体に関する情報を、第1の管理権限とは異なる第2の管理権限下の外部装置に送信する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
このような貨幣処理機によれば、識別部による貨幣の識別結果、および入力部により入力された有価媒体に関する情報が、第1の管理権限とは異なる第2の管理権限下の外部装置に送信されるので、外部装置による、店舗の管理権限下の銀行口座への現金の振り込みを迅速に行うことができるようになる。また、外部装置において貨幣処理機から送信された有価媒体に関する情報と、実際に貨幣処理機から回収されて外部装置に運ばれた有価媒体とを照合することができるようになる。
【0013】
本発明の貨幣処理機においては、前記収納部に収納された貨幣および有価媒体は第2の管理権限下にあるようになっていてもよい。
【0014】
本発明の貨幣処理機においては、前記制御部は、前記識別部による貨幣の識別結果と、前記入力部により入力された有価媒体に関する情報とを区別して前記外部装置に送信するようになっていてもよい。
【0015】
また、前記制御部は、前記識別部による貨幣の識別結果と、前記収納部に収納されている貨幣および有価媒体の合計金額に係る情報とを区別して前記外部装置に送信するようになっていてもよい。
【0016】
また、前記制御部は、前記入力部により入力された有価媒体に関する情報と、前記収納部に収納されている貨幣および有価媒体の合計金額に係る情報とを区別して前記外部装置に送信するようになっていてもよい。
【0017】
本発明の貨幣処理機においては、前記収納部には、前記識別部により識別された貨幣、および前記識別部により識別されていない有価媒体が混合状態で収納されるようになっていてもよい。
【0018】
あるいは、前記収納部は複数の収納部分から構成されており、前記識別部により識別された貨幣、および前記識別部により識別されていない有価媒体は互いに異なる収納部分に収納されるようになっていてもよい。
【0019】
本発明の貨幣処理機においては、前記収納部には、有価媒体以外の金額に紐付けられない媒体も収納することができるようになっており、前記識別部により識別された貨幣以外の媒体を前記収納部に収納する際に、当該媒体が金額に紐付けられた媒体であるか否かが選択され、前記収納部に収納される媒体が金額に紐付けられた媒体である場合にのみ、当該媒体の金額に関する情報を前記入力部により入力するようになっていてもよい。
【0020】
本発明の貨幣処理システムは、貨幣の処理を行う貨幣処理機と、前記貨幣処理機とは別に設けられ、当該貨幣処理機に通信接続された外部装置と、を備えた貨幣処理システムであって、前記貨幣処理機は、貨幣の識別を行う識別部と、前記識別部により識別された貨幣、および前記識別部により識別されていない有価媒体を収納する収納部と、前記収納部に収納される有価媒体に関する情報を入力するための入力部と、前記識別部による貨幣の識別結果、および前記入力部により入力された有価媒体に関する情報を区別可能に前記外部装置へ送信する制御部と、を有し、前記外部装置は、前記貨幣処理機から取得した情報に基づいて、前記識別部による貨幣の識別結果と、前記入力部により入力された有価媒体に関する情報とを区別して処理することを特徴とする。
【0021】
本発明の他の貨幣処理システムは、貨幣の処理を行う貨幣処理機と、前記貨幣処理機とは別に設けられ、当該貨幣処理機に通信接続された外部装置と、を備えた貨幣処理システムであって、前記貨幣処理機は、貨幣の識別を行う識別部と、前記識別部により識別された貨幣、および前記識別部により識別されていない有価媒体を収納する収納部と、第1の管理権限を有する管理者により、前記収納部に収納される有価媒体に関する情報を入力するための入力部と、前記識別部による貨幣の識別結果、および前記入力部により入力された有価媒体に関する情報を前記外部装置に送信する制御部と、を有し、前記外部装置は、第1の管理権限とは異なる第2の管理権限下にあることを特徴とする。
【0022】
本発明の貨幣処理方法は、識別部により貨幣の識別を行う工程と、前記識別部により識別された貨幣、および前記識別部により識別されていない有価媒体を収納部に収納する工程と、前記収納部に収納される有価媒体に関する情報を入力部により入力する工程と、前記識別部による貨幣の識別結果、および前記入力部により入力された有価媒体に関する情報を区別可能に外部装置に送信する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
本発明の他の貨幣処理方法は、識別部により貨幣の識別を行う工程と、前記識別部により識別された貨幣、および前記識別部により識別されていない有価媒体を収納部に収納する工程と、第1の管理権限を有する管理者により、前記収納部に収納される有価媒体に関する情報を入力部により入力する工程と、前記識別部による貨幣の識別結果、および前記入力部により入力された有価媒体に関する情報を、第1の管理権限とは異なる第2の管理権限下の外部装置に送信する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明の有価媒体処理機は、有価媒体の識別を行う識別部と、前記識別部により識別された第1の有価媒体、および前記識別部により識別されていない第2の有価媒体を収納する収納部と、第1の管理権限を有する管理者により、前記収納部に収納された、前記識別部により識別されていない第2の有価媒体に関する情報を入力するための入力部と、前記識別部による第1の有価媒体の識別結果、および前記入力部により入力された第2の有価媒体に関する情報を、第1の管理権限とは異なる第2の管理権限下の外部装置に送信する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
このような有価媒体処理機によれば、識別部による第1の有価媒体の識別結果、および入力部により入力された第2の有価媒体に関する情報が、第1の管理権限とは異なる第2の管理権限下の外部装置に送信されるようになっているので、外部装置による、店舗の管理権限下の銀行口座への現金の振り込みを迅速に行うことができるようになる。また、外部装置において有価媒体処理機から送信された第2の有価媒体に関する情報と、実際に有価媒体処理機から回収されて外部装置に運ばれた第2の有価媒体とを照合することができるようになる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の貨幣処理機、貨幣処理システムおよび貨幣処理方法によれば、識別部によって識別される貨幣量と識別されない有価媒体量を正確に管理することができるとともに、店舗の管理権限下の銀行口座への現金の振り込みを迅速に行うことができ、また、外部装置において貨幣処理機から送信された有価媒体に関する情報と、実際に貨幣処理機から回収されて外部装置に運ばれた有価媒体とを照合することができる。
【0027】
本発明の有価媒体処理機によれば、識別部によって識別される第1の有価媒体量と識別されない第2の有価媒体量を正確に管理することができるとともに、店舗の管理権限下の銀行口座への現金の振り込みを迅速に行うことができ、また、外部装置において有価媒体処理機から送信された第2の有価媒体に関する情報と、実際に有価媒体処理機から回収されて外部装置に運ばれた第2の有価媒体とを照合することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。
図1乃至
図8は、本実施の形態に係る紙幣入金機(貨幣処理機)およびこの紙幣入金機を備えた貨幣処理システムを示す図である。
【0030】
まず、本実施の形態による紙幣入金機が設けられた貨幣処理システムについて
図1を用いて説明する。
図1に示すように、貨幣処理システムは、紙幣の入金処理を行う紙幣入金機1と、紙幣入金機1とは別に設けられ、当該紙幣入金機1に通信接続された店舗サーバー100と、店舗サーバー100に通信接続された本店サーバー110と、紙幣入金機1とは別に設けられ、当該紙幣入金機1に通信接続された現金センター200とを備えている。紙幣入金機1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗に設置されており、この紙幣入金機1は、店舗の売上金を入金して識別計数するような入金処理を行うようになっている。また、このような紙幣入金機1では、当該紙幣入金機1で識別できない損券・損貨や、商品券、小切手等の現金以外の有価媒体については、当該有価媒体を収納カセット70(後述)に収納させる際に店員(操作者)が手動で計数してその金額を紙幣入金機1に手入力するようになっている。
【0031】
店舗サーバー100は、紙幣入金機1が設置された店舗に設置されており、この店舗サーバー100は紙幣入金機1の上位装置に該当するものである。一方、本店サーバー110は、各店舗とは別の場所(例えば、本店)に設置されており、各店舗からの情報を集約するようになっている。
【0032】
また、本実施の形態の貨幣処理システムでは、警備会社が店舗の警備を契約により担当するようになっている。現金センター200は警備会社の管理権限下にあり、この現金センター200は、紙幣入金機1が設置された店舗とは別の場所に設置されている。そして、警備会社の作業員は、紙幣入金機1に収納された紙幣や有価媒体を定期的に回収するようになっている。紙幣入金機1に収納された紙幣や有価媒体が警備会社の作業員により回収されると、回収された紙幣や有価媒体は警備会社の作業員により現金センター200に配送される。また、警備会社の管理権限下にある現金センター200は、回収された紙幣および有価媒体の合計金額分の現金に係る情報を現金振り込み情報として銀行300に送信し、当該金額分の現金を店舗の管理権限下の銀行口座に振り込ませるようになっている。このようにして、店舗側としては、警備会社の作業員により紙幣入金機1から回収された紙幣および有価媒体の合計金額分の現金が、当該店舗の管理権限下の銀行口座に振り込まれるようになる。
【0033】
以下、紙幣入金機1の構成の詳細について
図2乃至
図5を用いて説明する。
【0034】
図2は、
図1に示す貨幣処理システムにおける紙幣入金機1の構成を示す斜視図であり、
図3は、
図2に示す紙幣入金機1の側方断面図である。
図2および
図3に示すように、紙幣入金機1は、筐体1aと、筐体1aに設けられて複数の紙幣Pが載置される載置部20と、載置部20に載置された複数の紙幣Pを1枚ずつ筐体1a内に取り込む受入部25と、受入部25により取り込まれた紙幣Pを搬送する搬送部30と、搬送部30で搬送された紙幣Pを集積する集積部60と、搬送部30に設けられ、当該搬送部30で搬送される紙幣Pの金種や真偽等を識別するとともに計数する識別部40と、集積部60に集積された紙幣Pを受け入れて収納する収納カセット70と、を備えている。
【0035】
このうち、受入部25は、
図3に示すように、載置部20に載置された複数の紙幣Pのうち最も下方に位置する紙幣Pに駆動力を与えるキッカローラ26と、紙幣Pの繰出方向においてキッカローラ26の下流側に配置され、キッカローラ26により蹴り出された紙幣Pの筐体1aの内部への繰り出しを行うフィードローラ27aとを有している。また、フィードローラ27aに対向してゲートローラ(逆転ローラ)27bが設けられており、フィードローラ27aとゲートローラ27bとの間にゲート部が形成されている。
【0036】
また、
図3に示すように、搬送部30は、紙幣Pを搬送する搬送ベルト31、搬送ローラ32等で構成されている。また、搬送部30の最下流部で、集積部60近傍には、搬送部30で搬送された紙幣Pを1枚毎に羽根35aの間で受け止めて集積部60に整列集積させる羽根車35が設けられている。
【0037】
また、
図3に示すように、集積部60は、集積紙幣Pを前面側に傾斜させた状態で集積させる形状となっており、搬送部30から送られた紙幣Pを支持部64で支持させることで、前面側に傾斜させた立位状態で紙幣Pを集積するように構成されている。なお、本願で前面側とは、操作者が紙幣Pを載置部20に載置したり、集積部60から紙幣Pを取り出したりする側のことを意味し、
図3の右側のことを意味している。他方、本願で後面側とは、前面側と反対側を意味し、
図3の左側のことを意味している。
【0038】
また、
図2および
図3に示すように、集積部60の前面側には、集積された紙幣Pを外部から取り出すための前面開口を開閉するための前面シャッター部62が設けられている。この前面シャッター部62は、後述する制御部50によって、少なくとも挟持搬送機構10(後述)によって紙幣Pを収納カセット70へ搬送しているときに開放不可能となるように制御されている。
【0039】
また、
図3に示すように、集積部60には、当該集積部60に集積された紙幣Pの表面を挟持し、その表面と平行な方向へ当該紙幣Pを搬送することで収納カセット70へ紙幣Pを収納させる挟持搬送機構10が設けられている。より具体的には、挟持搬送機構10は、集積部60に集積された複数の紙幣Pのうち最も前面側に位置する紙幣Pの表面と最も後面側に位置する紙幣Pの表面を挟持し、当該複数の紙幣Pを一括して収納カセット70へ搬送することができるように構成されている(
図3の矢印A
1参照)。
【0040】
また、
図3に示すように、収納カセット70には、挟持搬送機構10で搬送される紙幣Pを取り込むためのスリット状のスリット開口部71と、当該スリット開口部71を開閉するためのスリットシャッター部72が設けられている。なお、収納カセット70は
図2に示す収納筐体75内に取り出し自在に収納されている。また、
図2に示すように、収納カセット70は、扉77を開けて、紙幣入金機1への装填及び取り外しが可能である。より詳細には、扉77には把手76および電磁キー(図示せず)が設けられており、制御的に電磁キーを解錠し、把手76を回して扉77を開くようになっている。収納カセット70の取り外しは、警備会社の作業員により行われる。なお、制御的に電磁キーを解錠し、把手76を回して扉77を開くという動作は、警備会社の作業員のみならず店舗の店員が行うことができるように設定されていてもよい。警備会社の作業員により収納筐体75から取り外された収納カセット70は、現金センター200へ移送されるようになっている。
【0041】
紙幣入金機1に紙幣を投入した場合の紙幣の流れや、外部から投入される有価媒体の流れを簡単に説明する。紙幣入金機1に紙幣を投入する際に、載置部20に複数の紙幣が載置されると、受入部25によって紙幣が1枚ずつ機体内に取り込まれ、識別部40によって識別された後、集積部60やリジェクト部65へ送られる。その後、集積部60に集積された紙幣は収納カセット70に収納される。また、紙幣入金機1に有価媒体を投入する際には、集積部60の前面シャッター部62が開放され、有価媒体が入った封筒を集積部60にセットすると、有価媒体が入った封筒は収納カセット70に収納されるようになる。
【0042】
このように、本実施の形態の紙幣入金機1では、収納カセット70には紙幣Pおよび有価媒体が混合状態で収納されるようになっている。また、収納カセット70に収納された紙幣Pおよび有価媒体は、店舗の管理権限下ではなく警備会社の管理権限下となる。
【0043】
また、
図2に示すように、紙幣入金機1の筐体1aには、所定の情報を表示する機能とデータ入力を可能とする機能を有する表示入力部5が設けられている。このような表示入力部5の具体的構成を
図4に示す。
図4に示すように、表示入力部5は、紙幣Pの計数結果等を表示するモニタ5aと、操作者が様々な指令を入力するための複数の入力キー5bとから構成されている。モニタ5aには、例えば、収納カセット70に収納された紙幣Pの金種毎の枚数等が表示されるようになっている。
図4に示すように、複数の入力キー5bは、メニューキー、交換キー、クリアキー、確定キー、上下左右各方向の矢印キー、シフトキー、モードキー、締めキー、回収キー、スタート/ストップキー等から構成されている。
【0044】
また、
図2に示すように、紙幣入金機1の筐体1aには、紙幣Pの計数結果等を印字するプリンター6や、後述する制御部50に対して操作者が様々な入力を行うためのテンキー7、操作者のID情報を得るために当該操作者が保持するIDカードの読み取りを行うカード読取部8がそれぞれ設けられている。
【0045】
また、
図3に示すように、搬送部30には、異常時に、集積部60に搬送されない紙幣Pが搬送されるリジェクト部65が設けられている。
【0046】
ここで言う異常とは、識別異常および搬送異常を意味している。識別異常とは、識別部40で識別された情報が制御部50に予め記憶された情報と一致しない場合のことを意味している。そして、このような識別異常としては、例えば、識別された紙幣Pが予定していた種類と異なる種類の紙幣Pであると識別されたときや、そもそも紙幣Pの種類を識別することができなかったときなどを挙げることができる。
【0047】
また、搬送異常とは、搬送部30によって紙幣Pを搬送する際の異常を意味している。そして、このような搬送異常としては、例えば、紙幣Pが斜めに搬送されている場合(斜行)や、複数の紙幣Pが所定の間隔を隔てないで搬送されている場合(連鎖)、複数の紙幣Pが重なって搬送されている場合(重送)などを挙げることができる。
【0048】
本実施の形態の紙幣入金機1には、
図5に示すような制御部50が設けられており、この制御部50が、紙幣入金機1の各構成要素を制御するようになっている。
図5に示すように、制御部50には、受入部25、搬送部30、識別部40、前面シャッター部62、挟持搬送機構10、スリットシャッター部72、表示入力部5、プリンター6、テンキー7、カード読取部8等がそれぞれ接続されている。そして、識別部40により識別計数された紙幣Pの識別計数情報は制御部50に送られるようになっている。また、表示入力部5の各入力キー5bやテンキー7により入力された操作者からの様々な指令は制御部50に送られるようになっている。また、カード読取部8により読み取られた操作者のID情報等も制御部50に送られるようになっている。また、制御部50は、受入部25、搬送部30、前面シャッター部62、挟持搬送機構10、スリットシャッター部72、表示入力部5、プリンター6等の各構成要素に制御信号を送り、これらの構成要素の制御を行うようになっている。
【0049】
また、
図5に示すように、制御部50には記憶部54が接続されている。記憶部54には、紙幣入金機1を特定する装置IDや同装置を利用可能な操作者ID等の事前に設定される情報や、紙幣Pの計数結果等が記憶されるようになっている。
【0050】
また、
図5に示すように、制御部50にはインターフェース部56が接続されており、このインターフェース部56を介して制御部50は店舗サーバー100や現金センター200等の外部装置と信号の送受信を行うことができるようになっている。
【0051】
次に、このような構成からなる紙幣入金機1の動作について説明する。
【0052】
まず、紙幣入金機1における入金処理の全体の流れについて
図6Aに示すフローチャートを用いて説明する。最初に、制御部50において、計数入金処理を行うか否かの確認が行われる(STEP101)。具体的には、操作者によって、紙幣Pの入金処理を行う旨の指令が表示入力部5によって制御部50に入力されると、後述する計数入金処理が行われるようになる(STEP102)。また、制御部50において、有価媒体入金処理を行うか否かの確認が行われる(STEP103)。具体的には、操作者によって、紙幣P以外の有価媒体の入金処理を行う旨の指令が表示入力部5によって制御部50に入力されると、後述する有価媒体入金処理が行われるようになる(STEP104)。そして、計数入機処理や有価媒体入金処理が行われ、取引が終了すると(STEP105の「YES」)、プリンター6によりジャーナル(控)が印字される(STEP106)。その後、入金データが制御部50からインターフェース部56を介して店舗サーバー100や現金センター200に送信されるようになる(STEP107)。
【0053】
次に、紙幣入金機1に紙幣Pを入金し、入金された紙幣Pを識別計数するとともに収納カセット70に収納させる動作について
図6Bに示すフローチャートを用いて説明する。なお、以下に示す動作は、明示しない限り制御部50から各部位へ送信される信号に基づいて行われる。
【0054】
まず、操作者によって、紙幣Pの入金処理を行う旨の指令を表示入力部5によって制御部50に入力する。より具体的には、操作者は、表示入力部5によって「計数入金」のコマンドを選択する(STEP1)。この際に、表示入力部5またはカード読取部8によって操作者のID情報も制御部50に入力する。そして、このような信号を制御部50が受け取ると、当該制御部50によって、前面シャッター部62は開放不可能となるように制御される。
【0055】
次に、操作者によって、載置部20に複数の紙幣Pが載置されると(STEP2の「YES」)、受入部25によって、載置部20に載置された複数の紙幣Pが一枚ずつ機内に取り込まれる(STEP3)。このとき、キッカローラ26によって載置部20に載置された複数の紙幣Pのうち最も下方に位置する紙幣Pが蹴り出されるとともに、フィードローラ27aによって繰り出され、ゲートローラ27bの作用により紙幣Pが1枚ずつ繰り出される。
【0056】
次に、搬送部30によって、受入部25で取り込まれた紙幣Pが搬送される。このとき、搬送部30に設けられた識別部40によって、搬送部30で搬送される紙幣Pが識別計数される(STEP4)。
【0057】
このように搬送部30で紙幣Pが搬送されているときに識別異常や搬送異常が発生した場合には(STEP5の「YES」)、当該紙幣Pはリジェクト部65へと搬送される(STEP6)。他方、このような識別異常や搬送異常が発生しない場合には(STEP5の「NO」)、搬送されている紙幣Pは集積部60に搬送される(STEP7)。
【0058】
このように集積部60へ紙幣Pが搬送される際には、当該紙幣Pは、羽根車35の羽根35aの間で受け止められて集積部60に整列集積される。そして、羽根車35によって搬送された紙幣Pは、集積部60内で、前面側に傾斜させた立位状態で集積されることとなる。表示入力部5には、集積部60内に集積された紙幣Pの合計金額が表示されるようになる。また、識別結果(金種別の枚数や合計金額等)が操作者のIDと合わせて記憶部54に記憶される。
【0059】
上述のようにして、載置部20に載置された複数の紙幣Pの全てが集積部60に搬送されて、載置部20に紙幣Pが存在しなくなると(STEP8の「YES」)、集積部60に集積された紙幣Pの合計金額に対する承認指示を求める表示が表示入力部5に表示される(STEP9)。
【0060】
そして、STEP10の「YES」に示すように、操作者により承認指示が表示入力部5から入力されると(具体的には、操作者が表示入力部5の確定キーを押下すると)、集積部60に集積された複数の紙幣Pが、挟持搬送機構10によって、スリット開口部71を通過して、収納カセット70内に収納される(STEP11)(
図3の矢印A
1参照)。なおこのとき、スリットシャッター部72が前面側に移動されており、スリット状のスリット開口部71が開状態となっている。他方、紙幣Pが収納カセット70内に収納されるとき以外は、スリットシャッター部72は後面側に移動されており、スリット開口部71は閉状態となっている。また、紙幣Pが収納カセット70内に収納されると、収納カセット70内の紙幣Pは店舗の管理権限下ではなく警備会社の管理権限下となる。
【0061】
なお、リジェクト部65に紙幣Pが存在する場合には、操作者が、その紙幣Pを再度、載置部20に載置して、前述と同様の工程が繰り返されて、全ての紙幣Pが集積部60へ搬送されるようにする。しかしながら、何度やってもリジェクト部65に搬送される紙幣Pについては、受付できない紙幣Pとして判断されて収納対象から除かれる。また、操作者が合計金額について承認できない場合には(STEP10の「NO」)、返却指示が表示入力部5から入力されることにより前面シャッター部62が開放されて集積紙幣Pを取り出し可能となり(STEP12)(
図3の矢印A
2参照)、集積部60に集積された紙幣Pが操作者により回収されると(STEP13の「YES」)、処理が終了される。
【0062】
次に、紙幣入金機1の識別部40で識別できない損券・損貨や、商品券、小切手等の現金以外の有価媒体を、紙幣入金機1の収納カセット70に収納させる動作について
図7Aに示すフローチャートを用いて説明する。なお、以下に示す動作は、明示しない限り制御部50から各部位へ送信される信号に基づいて行われる。
【0063】
まず、操作者によって、紙幣P以外の有価媒体の入金処理を行う旨の指令を表示入力部5によって制御部50に入力する。より具体的には、操作者は、表示入力部5によって「有価媒体入金(現外入金)」のコマンドを選択する(STEP21)。この際に、表示入力部5によって操作者のID情報も制御部50に入力する。このときに、入力されたデータは、手入力データとして記憶部54に記憶される。
【0064】
そして、操作者は、表示入力部5により、有価媒体に係る情報、具体的には有価媒体の金額等を制御部50に入力し、確定キーを押下する(STEP22)。そうすると、プリンター6により、操作者によって制御部50に入力された有価媒体に係る情報がジャーナルに印字される(STEP23)。また、このときに、当該制御部50によって、前面シャッター部62が開放され(STEP24)、有価媒体が入った封筒を集積部60に入れることができるようになる。
【0065】
その後、操作者が、有価媒体が入った封筒と、有価媒体の情報が印字されたジャーナルを集積部60にセットし、確定キーを押下すると(STEP25)、前面シャッター部62が閉止する(STEP26)。そして、集積部60にセットされた、有価媒体が入った封筒およびジャーナルが、挟持搬送機構10によって、スリット開口部71を通過して、収納カセット70内に収納される(STEP27)(
図3の矢印A
1参照)。また、有価媒体が入った封筒が収納カセット70内に収納されると、収納カセット70内の有価媒体は店舗の管理権限下ではなく警備会社の管理権限下となる。このようにして、有価媒体を収納カセット70に収納させる動作が終了する。
【0066】
なお、本実施の形態では、金額に紐付けられる有価媒体以外に、金額に紐付けられない媒体も紙幣入金機1の収納カセット70に収納させることができるようになっていてもよい。具体的には、金額に紐付けられない媒体として、例えば店舗の売上伝票、店舗が発行している割引券やサービス券、当日以外の売上金が印字されたジャーナル、あるいは店舗と警備会社との間で行き来するレターや連絡帳等が、収納カセット70に収納されるようになっていてもよい。この場合には、これらの媒体が収納カセット70とともに店舗から警備会社まで送られたり、警備会社から店舗まで送られたりするようになる。金額に紐付けられない媒体を紙幣入金機1の収納カセット70に収納可能な場合において、金額に紐付けられる有価媒体や金額に紐付けられない媒体を選択的に紙幣入金機1の収納カセット70に収納させる動作について
図7Bに示すフローチャートおよび
図7Cに示す表示入力部5のモニタ5aの表示画面を用いて説明する。
【0067】
まず、操作者によって、紙幣P以外の媒体の入金処理を行う旨の指令を表示入力部5によって制御部50に入力する。より具体的には、操作者は、表示入力部5によって「媒体投入」のコマンドを選択する(STEP31)。この際に、表示入力部5によって操作者のID情報も制御部50に入力する。このときに、入力されたデータは、手入力データとして記憶部54に記憶される。
【0068】
表示入力部5によって「媒体投入」のコマンドを選択すると、表示入力部5のモニタ5aには
図7C(a)に示すような表示画面が表示される。具体的には、
図7C(a)に示すように、複数の媒体の種類の一覧が表示される。ここで、「UNFIT NOTE」とは、損券のことをいい、「COIN」とは、硬貨のことをいい、「CHECK」とは、小切手のことをいう。また、「COUPON」とは、クーポン券のことをいい、「TICKET」とは、商品券のことをいい、「OTHERS」とは、それ以外の媒体のことをいう。更に詳細に説明すると、損券、硬貨、小切手、クーポン券、商品券は、金額に紐付けられる有価媒体であり、一方、「OTHERS」に対応する、それ以外の媒体は、金額に紐付けられない媒体である。操作者は、
図7C(a)に示す表示画面から、表示入力部5の入力キー5b(具体的には左右のテンキー)を押下することにより、媒体の種類を選択する(STEP32)。なお、
図7C(a)に示す表示画面における複数の媒体の種類の一覧について、各項目の名前や順番は操作者が表示入力部5により変更可能となっている。
【0069】
選択された媒体が、金額に紐付けられる媒体、具体的には、損券、硬貨、小切手、クーポン券、商品券である場合には(STEP33のYES)、操作者は、表示入力部5により、有価媒体の金額に係る情報を制御部50に入力し、確定キーを押下する(STEP34)。より詳細には、
図7C(a)に示す表示画面において、金額に紐付けられる媒体、例えば損券を選択すると、表示入力部5のモニタ5aには
図7C(b)に示すような表示画面が表示され、損券の枚数が入力可能となる。そして、損券の枚数を入力し、確定キーを押下すると、操作者によって制御部50に入力された有価媒体の金額に係る情報がジャーナルに印字される(STEP35)。その後、前面シャッター部62が開放され(STEP36)、有価媒体が入った封筒、および有価媒体の金額に係る情報が印字されたジャーナルを集積部60に入れることができるようになる。
【0070】
一方、選択された媒体が、金額に紐付けられない媒体である場合には(具体的には
図7C(a)における「MANUAL006:OTHERS」が選択された場合には)(STEP33のNO)、表示入力部5のモニタ5aには
図7C(c)に示すような表示画面が表示される。この場合には、媒体の枚数を制御部50に入力することはない。表示入力部5のモニタ5aに
図7C(c)に示すような表示画面が表示されているときに、操作者が確定キーを押下すると、前面シャッター部62が開放され(STEP36)、媒体自体を集積部60に入れることができるようになる。なお、この際に、ジャーナルに「その他」と印字されたり、金額に紐付けられない媒体の数が印字されたりするようになっていてもよい。
【0071】
操作者が、有価媒体が入った封筒や、金額が紐付けられていない媒体を集積部60にセットし、確定キーを押下すると(STEP37)、前面シャッター部62が閉止する(STEP38)。そして、集積部60にセットされた媒体が、挟持搬送機構10によって、スリット開口部71を通過して、収納カセット70内に収納される(STEP39)。このようにして、有価媒体以外の媒体も収納カセット70に収納させることができるようになる。
【0072】
以上のように、
図7Bに示すフローチャートによる動作によれば、収納カセット70には、有価媒体以外の金額に紐付けられない媒体も収納することができるようになっており、識別部40により識別された紙幣以外の媒体を収納カセット70に収納する際に、当該媒体が金額に紐付けられた媒体であるか否かが選択され、収納カセット70に収納される媒体が金額に紐付けられた媒体である場合にのみ、当該媒体の金額に関する情報を表示入力部5により入力するようになっている。このことにより、店舗の売上伝票や、店舗と警備会社との間で行き来するレターや連絡帳のような、金額に紐付けられない媒体を収納カセット70に収納する際に、媒体の金額に関する情報を入力する必要がなくなる。すなわち、識別部40により識別された紙幣以外の媒体を収納カセット70に収納する際に、もし仮に全ての媒体について媒体の金額に関する情報を必ず入力しなければならない場合には、金額に紐付けられない媒体を収納カセット70に収納する際に、ダミーの金額を仮に入力することになるが、この際に、制御部50により管理される収納カセット70内の貨幣や有価媒体の合計金額が、実際に収納カセット70に収納されている貨幣や有価媒体の状態と合わなくなってしまうおそれがある。これに対して、
図7Bに示すフローチャートによる動作によれば、このようなトラブルを防止することができる。
【0073】
本実施の形態の貨幣処理システムにおいては、紙幣入金機1の識別部40による紙幣Pの識別結果は、当該紙幣入金機1から、店舗サーバー100に送信されるとともに、警備会社の管理権限下にある現金センター200に送信されるようになっている。また、表示入力部5により手入力された有価媒体に関する情報も、店舗サーバー100に送信されるとともに、警備会社の管理権限下にある現金センター200に送信されるようになっている。
【0074】
具体的には、
図6Bのフローチャートに示すような紙幣Pの計数入金処理や、
図7Aのフローチャートに示すような有価媒体の入金処理が終了すると、識別部40による紙幣Pの識別結果や、表示入力部5により手入力された有価媒体に関する情報が、紙幣入金機1の制御部50からインターフェース部56により店舗サーバー100および現金センター200にそれぞれ送信される。より詳細には、表示入力部5により制御部50に入力された操作者のID情報、識別部40による紙幣Pの計数データ、表示入力部5またはカード読取部8により制御部50に手入力された有価媒体の金額等の手入力データが、装置IDや処理日時情報を合わせて、紙幣入金機1の制御部50からインターフェース部56により店舗サーバー100および現金センター200にそれぞれ送信される。また、この際に、有価媒体の現物と、表示入力部5により制御部50に手入力された有価媒体の金額等の手入力データとを結びつけるシリアル番号も、紙幣入金機1の制御部50からインターフェース部56により店舗サーバー100および現金センター200にそれぞれ送信されるようになる。
【0075】
図8に、紙幣入金機1の制御部50からインターフェース部56により店舗サーバー100および現金センター200にそれぞれ送信される情報の内容を示す。
図8に示すように、装置ID情報、処理日時(
図8では、YYYY(西暦)MM(月)DD(日)/HH(時間):MM(分)で表示)、操作者のID情報、識別部40による紙幣Pの計数データ、表示入力部5により制御部50に手入力された有価媒体の金額等の手入力データ、シリアル番号、収納カセット70に収納されている紙幣Pおよび有価媒体の合計金額に係る情報が、紙幣入金機1の制御部50からインターフェース部56により店舗サーバー100および現金センター200にそれぞれ送信されるようになっている。
【0076】
また、本実施の形態では、紙幣入金機1の制御部50は、識別部40による紙幣Pの計数データと、表示入力部5により制御部50に手入力された有価媒体の金額等の手入力データとを区別して店舗サーバー100および現金センター200にそれぞれ送信するようになっている。すなわち、紙幣Pの計数データおよび有価媒体の金額等の手入力データが一体的な情報として店舗サーバー100や現金センター200に送られるのではなく、紙幣Pの計数データおよび有価媒体の金額等の手入力データは別々の情報としてそれぞれ店舗サーバー100や現金センター200に送られるようになっている。
【0077】
また、紙幣入金機1の制御部50は、識別部40による紙幣Pの計数データと、収納カセット70に収納されている紙幣Pおよび有価媒体の合計金額に係る情報とを区別して店舗サーバー100および現金センター200にそれぞれ送信するようになっていてもよい。また、紙幣入金機1の制御部50は、表示入力部5により制御部50に手入力された有価媒体の金額等の手入力データと、収納カセット70に収納されている紙幣Pおよび有価媒体の合計金額に係る情報とを区別して店舗サーバー100および現金センター200にそれぞれ送信するようになっていてもよい。
【0078】
このようにして
図8に示すような内容の情報が警備会社の管理権限下にある現金センター200に送信されると、現金センター200は、紙幣入金機1の制御部50から送信された、収納カセット70に収納されている紙幣Pおよび有価媒体の合計金額分の現金に係る情報を現金振り込み情報として銀行300に送信し、当該金額分の現金を店舗の管理権限下の銀行口座に振り込ませるようになっている。このようにして、店舗側としては、警備会社の作業員により紙幣入金機1から回収された紙幣Pおよび有価媒体の合計金額分の現金が、当該店舗の管理権限下の銀行口座に速やかに振り込まれるようになる。
【0079】
また、現金センター200では、紙幣入金機1の制御部50から送信された有価媒体に関する情報と、実際に警備会社の作業員により紙幣入金機1から回収されて当該現金センター200に運ばれた有価媒体とを照合する作業が行われる。ここで、両者の情報が一致しない場合には、銀行300に対して過不足金額に係る情報を送信し、店舗の管理権限下の銀行口座に対して過不足分の現金の入金または出金を行わせるようになる。
【0080】
以上のように本実施の形態の紙幣入金機1(貨幣処理機)およびこの紙幣入金機1を備えた貨幣処理システムによれば、紙幣入金機1において、第1の管理権限を有する管理者(具体的には、店舗の店員)によって、収納カセット70に収納される有価媒体に関する情報が表示入力部5により入力されるようになっており、紙幣入金機1の制御部50は、識別部40による紙幣Pの識別結果、および表示入力部5により入力された有価媒体に関する情報を、第1の管理権限とは異なる第2の管理権限下(具体的には、警備会社の管理権限下)の現金センター200に送信するようになっている。このことにより、現金センター200による、店舗の管理権限下の銀行口座への現金の振り込みを迅速に行うことができるようになる。また、現金センター200において紙幣入金機1から送信された有価媒体に関する情報と、実際に紙幣入金機1から回収されて現金センター200に運ばれた有価媒体とを照合することができるようになる。
【0081】
また、本実施の形態の紙幣入金機1においては、収納カセット70に収納された紙幣Pおよび有価媒体は第2の管理権限下(具体的には、警備会社の管理権限下)となる。
【0082】
また、前述のように、本実施の形態の紙幣入金機1においては、制御部50は、識別部40による紙幣Pの識別結果と、表示入力部5により入力された有価媒体に関する情報とを区別して現金センター200に送信するようになっている。このことにより、店舗の管理権限下の銀行口座への現金の振り込みを現金センター200により行う際に、識別部40による紙幣Pの識別結果に対応する現金を即座に店舗の管理権限下の銀行口座に振り込み、一方、表示入力部5により入力された有価媒体に関する情報については、実際に紙幣入金機1から回収されて現金センター200に運ばれた有価媒体と照合した後に店舗の管理権限下の銀行口座に現金を振り込むといった運用が可能となる。また、紙幣識別分と手入力分を分けて集計することも可能となる。
【0083】
また、本実施の形態の紙幣入金機1においては、制御部50は、識別部40による紙幣Pの識別結果と、収納カセット70に収納されている紙幣Pおよび有価媒体の合計金額に係る情報とを区別して現金センター200に送信するようになっていてもよい。また、制御部50は、表示入力部5により入力された有価媒体に関する情報と、収納カセット70に収納されている紙幣Pおよび有価媒体の合計金額に係る情報とを区別して現金センター200に送信するようになっていてもよい。
【0084】
また、本実施の形態の紙幣入金機1においては、収納カセット70には、識別部40により識別された紙幣P、および識別部40により識別されていない有価媒体が混合状態で収納されるようになっている。なお、本実施の形態では、収納カセット70はこのような態様に限定されることはない。他の例として、収納カセットは複数の収納部分から構成されており、識別部40により識別された紙幣P、および識別部40により識別されていない有価媒体が互いに異なる収納部分に収納されるようになっていてもよい。
【0085】
なお、本実施の形態による紙幣入金機1およびこの紙幣入金機1を備えた貨幣処理システムは、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
【0086】
変形例に係る紙幣入金機1では、制御部50は、識別部40により識別された紙幣Pを収納カセット70に収納させるような通常入金モード、および収納カセット70に紙幣や硬貨等の貨幣を強制的に収納させるような強制入金モードのうちいずれか一方のモードを選択して実行することができるようになっている。強制入金モードでは、紙幣入金機1の載置部20に載置された紙幣を機体内に繰り出して、識別部40により識別することなく計数のみを行い、その後、集積部60に集積した後、承認動作に基づいて収納カセット70に送り込むようになる。このような強制入金モードで回収されるのはバラ紙幣となる。この際に、操作者は、入金すべき金額等を表示入力部5により手入力し、制御部50は、手入力されたデータに計数枚数等を追加して、インターフェース部56を介して上位装置等の外部装置に送信する。
【0087】
変形例に係る紙幣入金機1では、制御部50は、通常入金モードにおける、識別部40による紙幣Pの識別結果、および、強制入金モードにおける、表示入力部5により入力された、強制入金される紙幣に関する情報を、店舗サーバー100および現金センター200にそれぞれ送信するようになっている。このことにより、現金センター200による、店舗の管理権限下の銀行口座への現金の振り込みを迅速に行うことができるようになる。また、現金センター200において紙幣入金機1から送信された、強制入金される紙幣に関する情報と、実際に紙幣入金機1から回収されて現金センター200に運ばれた紙幣とを照合することができるようになる。
【0088】
また、店舗サーバー100や現金センター200等の外部装置は、紙幣入金機1から取得した情報に基づいて、識別部40による紙幣の識別結果と、表示入力部5により入力された有価媒体に関する情報とを区別して処理するようになっていてもよい。
【0089】
また、更なる変形例に係る紙幣処理機では、識別部40により識別されて入金された紙幣と、手入力に基づいて入金された有価媒体とを、別々の収納部に収納するようになっていてもよい。
【0090】
また、本発明における貨幣処理機は、
図2等に示すような紙幣入金機1に限定されることはない。本発明における貨幣処理機として、硬貨入金機を用いてもよく、また、入金機以外のものを用いてもよい。また、この際に、識別部40により識別できなかった紙幣や、小切手等の有価証券以外に、硬貨(バラ硬貨、棒金硬貨)を手入力に基づいて入金してもよい。また、入金データを店舗サーバー100や現金センター200等の外部装置に送信するタイミングは、取引終了毎に送信することに限定されることはない。他のタイミングとして、入金データを記憶部54で累積記憶し、取引数が所定数(例えば、30取引)となれば、入金データを外部装置に送信するようになっていてもよい。また、入金データを記憶部54で累積記憶し、一定時間毎に入金データを外部装置に送信するようになっていてもよい。また、入金データを記憶部54で累積記憶し、上位装置等の外部装置からの指示に基づいて入金データを外部装置に送信するようになっていてもよい。このように、入金データをまとめて送信することにより、通信の負荷を低減することができる。また、店舗サーバー100へ入金データを送信するタイミングと、現金センター200へ入金データを送信するタイミングを異ならせてもよい。
【0091】
また、識別部40による識別に基づく入金データと、手入力に基づく入金データを上位装置等の外部装置へ区別して送信するとは、必ずしも、送信するタイミングやデータ構成を分けて送る必要はなく、タイミングやデータ構成が単一であっても、受けた側が分けて集計できるデータ内容であれば、「外部装置へ区別して送信する」という概念に含まれるものとする。
【0092】
また、本発明では、貨幣処理機の代わりに、有価媒体の処理を行う有価媒体処理機を用いてもよい。このような有価媒体処理機は、
図2等に示す紙幣入金機1と類似の構成となっているが、
図2等に示す紙幣入金機1と異なる点としては、識別部40により特定の種類の有価媒体(例えば、小切手等)が識別可能となっており、識別部40により識別された第1の有価媒体および識別部40により識別されていない第2の有価媒体がそれぞれ収納カセット70に収納されるようになっている。また、このような有価媒体処理機では、第1の管理権限を有する管理者(例えば、店舗の店員)により、表示入力部5によって、収納カセット70に収納された第2の有価媒体に関する情報が入力されるようになっている。そして、本発明による有価媒体処理機では、制御部50は、識別部40による第1の有価媒体の識別結果、および表示入力部5により入力された第2の有価媒体に関する情報を、第1の管理権限とは異なる第2の管理権限下(例えば、警備会社の管理権限下)の現金センター200に送信するようになっている。
【0093】
このような有価媒体処理機によれば、識別部40による第1の有価媒体の識別結果、および表示入力部5により入力された第2の有価媒体に関する情報が、第1の管理権限とは異なる第2の管理権限下(例えば、警備会社の管理権限下)の現金センター200に送信されるようになっているので、現金センター200による、店舗の管理権限下の銀行口座への現金の振り込みを迅速に行うことができるようになる。また、現金センター200において有価媒体処理機から送信された第2の有価媒体に関する情報と、実際に有価媒体処理機から回収されて現金センター200に運ばれた第2の有価媒体とを照合することができるようになる。