(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、始動入賞口に遊技球が入る度に液晶表示装置などの図柄表示装置により複数種類の図柄が表示され、表示図柄が所定図柄で停止すると大当たり状態になるパチンコ遊技機が知られている。この種のパチンコ遊技機では、始動入賞口として、例えば、遊技盤の盤面中央下部などに可変入賞装置が備えられているものがある。
可変入賞装置は、一対の開閉部材を電気的に作動させて遊技球を内部へ導入不能な形態と導入可能な形態との間を動作可能に構成されている。
可変入賞装置の開閉部材(可動片)は、入賞口を開設した台板と、台板の前面に設けられた支持部材と、の間に橋架された軸部材(回動軸)によって回動可能に軸支されている。
しかし、可動片が回動を繰り返すことにより回動軸が緩み、支持部材や可動片の組み付けにがたつきが生じるという問題がある。従って、可動片の回動によっても回動軸に緩みが生じることがないように、軸部材を抜け止め固定する必要がある。
例えば、特許文献1には、台板や支持部材の裏面に設けた軸止め部によって軸部材を軸止めした可変入賞装置が記載されている。
図7は、従来の可変入賞装置において回動軸の抜け止めを防止する構成を説明する断面図である。
図7に示すように、従来は、可変入賞装置の台板の前面に、開閉部材(可動片)271の支持部材を兼ねた装飾部材260を設ける場合、可動片271を軸支する軸部材270の一方の端部を、装飾部材260の裏面に設けた抑え部260aに収容して抜け止め固定するとともに、他方の端部を、可変入賞装置台板240の裏面に設けた、もう一方の抑え部240aに収容して抜け止め固定するようにしていた。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機の全体正面図である。
この
図1に示すパチンコ遊技機1は、矩形形状の枠101を有し、この枠101の窓孔に対して遊技盤10が着脱可能に取り付けられている。
遊技盤10の前面側には、図示しないガラス枠が開閉可能に取り付けられている。また遊技盤10の下部には、遊技球を貯留する図示しない受け皿と、この受け皿の遊技球を発射する操作用ハンドル103等が設けられている。
受け皿の上面には、操作手段として例えば遊技者自身に操作を行わせて遊技に対する参加感を演出する演出ボタン104が設けられている。また、図示しないが受け皿の上面には、遊技球の購入ボタン、購入取り消しボタン、受け皿内の遊技球を下方から外部に抜くための球抜きボタン等が設けられている。
遊技盤10の裏面には、液晶画面、主制御基板とサブ制御基板等、遊技の進行、演出に関わる裏部品を組み付けた合成樹脂製の機構板(何れも図示せず)が装着されている。遊技盤10における遊技領域10aの周囲には、外レールR1及び内レールR2が設けられている。これら外レールR1及び内レールR2は、操作用ハンドル103を操作したときに発射装置から発射された遊技球を遊技領域10aの上部に案内したり、アウト口18に案内したりする。
【0009】
遊技盤10のほぼ中央には、画像表示装置11が配置されている。画像表示装置11は、例えば、液晶表示装置等の液晶表示パネルにより構成され、通常動作状態の時は、特別図柄に応じた装飾図柄、例えば数字図柄、アルファベット図柄、キャラクター図柄等の画像が表示される。また、所謂リーチ状態や特別遊技状態の時は、それぞれの遊技状態であることを示す演出画像等も表示される。
画像表示装置11の下方には、上始動口13と、左右一対の開閉爪(可動片)を有する可変入賞装置としての電動式チューリップ(以下、「電チュー」と称する)17と、が配置されている。
上始動口13は、遊技球が入賞したときに第1特別図柄表示器21の第1特別図柄を変動表示させる権利を発生させる。また電チュー14は、遊技球が入賞したときに第2特別図柄表示器22の第2特別図柄を変動表示させる権利を発生させる。
このため、上始動口13の内部には、遊技球の入球を検出する第1始動口スイッチ(SW)が設けられている。また電チュー14の内部には、遊技球の入球を検出する第2始動口スイッチ(SW)が設けられている。
【0010】
電チュー14は、普通図柄表示器23の普通図柄が所定態様で停止したときに所定時間、開成動作するように構成されている。
なお、本実施形態では、上始動口13及び電チュー14の内部にそれぞれ別々に始動口SWを設けるようにしているが、始動口SWは共有であってもよい。
画像表示装置11の左側には、後述する普通図柄表示器23を作動させるためのゲート15が設けられている。ゲート15は、その内部にゲートスイッチが設けられている。
また上始動口13及び電チュー14の下方には、特別遊技状態のときに開成状態になる大入賞装置の大入賞口16が配置されている。
さらに遊技盤10の遊技領域10aには、一般入賞口17が配置されていると共に、風車や図示しない多数の遊技釘が突設されている。遊技釘は、遊技球の落下速度を遅くすると共に、落下方向を複雑に変化させて遊技進行上の興趣を高めている。
【0011】
遊技盤10の右側下方の遊技領域外には、第1特別図柄の変動と表示を行う第1特別図柄表示器21、第2特別図柄の変動と表示を行う第2特別図柄表示器22、及び普通図柄の変動と表示を行う普通図柄表示器23が設けられている。
第1特別図柄表示器21及び第2特別図柄表示器22は、特別図柄を変動表示させ所定時間経過後に当該変動表示を停止させることにより特別図柄が当たりに当選したか否か表示する。
普通図柄表示器23は、遊技球がゲートSWを通過したときに、普通図柄を変動表示させ所定時間経過後に当該変動表示を停止させることにより普通図柄が当たりに当選したか否か表示する。
【0012】
第1特別図柄保留ランプ24は、第1特別図柄の変動表示を開始させる権利(保留球)の保留個数を表示する。第2特別図柄保留ランプ25は、第2特別図柄の変動表示を開始させる権利の保留個数を表示する。なお、本実施形態では、第1特別図柄の保留球と、第2特別図柄の保留球が保留されている場合は、第2特別図柄の保留球を優先的に消化するものとして説明するが、第1特別図柄と第2特別図柄の保留球を入賞順に消化するように構成してもよい
普通図柄保留ランプ26は、普通図柄が変動中に遊技球がゲート15を通過したときに、ゲート15の通過によって得られる普通図柄の変動表示を開始させる権利(最大4個)の保留個数を表示する。
なお、本実施形態では、第1、第2特別図柄表示器21、22、普通図柄表示器23、第1、第2特別図柄保留ランプ24、25、及び普通図柄保留ランプ26を、遊技盤10の遊技領域外に配置するようにしているがこれはあくまでも一例であり、これらの表示器を遊技盤10の遊技領域10a内に配置することも勿論可能である。
【0013】
図2は、本実施形態の遊技機の遊技制御を行う遊技制御装置の構成を示したブロック図である。
この
図2に示す遊技制御装置には、遊技の進行を制御する主制御基板として遊技制御基板111が設けられている、また副制御基板として、演出制御基板121、画像制御基板131、ランプ制御基板141、払出制御基板151等が設けられている。
遊技制御基板111は、CPU112、ROM113、及びRAM114等を有し、当該遊技機の主たる制御を行う。
【0014】
遊技制御基板111には、上始動口13内に設けられた第1始動口SW13a、電チュー14内に設けられた第2始動口SW14a、電チュー14を開閉動作させるための電チューソレノイド(SOL)14b、ゲート15内に設けられたゲートSW15a、大入賞口16に入賞した遊技球を検出する大入賞口SW16aが接続されている。また大入賞口16の開閉扉を開閉動作させるための大入賞口ソレノイド(SOL)16b、普通入賞口SW17a、第1特別図柄表示器21、第2特別図柄表示器22、普通図柄表示器23、第1特別図柄保留ランプ24、第2特別図柄保留ランプ25、普通図柄保留ランプ26等が接続されている。
また遊技制御基板111には、演出制御基板121、及び払出制御基板151が接続されている。
【0015】
演出制御基板121は、CPU122、ROM123、RAM124、RTC(リアルタイムクロック)125等を有し、遊技演出全体の制御を行う。
演出制御基板121には、画像及び音声の制御を行う画像制御基板131、各種ランプ及び可動役物の制御を行うランプ制御基板141、第1演出用ボタン検出SW104及び第2演出用ボタン検出SW105、マイク(音声入力装置)109が接続されている。
【0016】
画像制御基板131は、CPU132、ROM133、RAM134等を有し、演出制御基板121の指示に基づいて、画像及び音声の制御を行う。
ROM133には、パチンコ遊技機における演出のベースとして画像表示装置11に表示される背景画像のデータが複数格納されている。本発明の遊技機では、ある条件が満たされた時に、複数の背景画像の中で、表示される背景画像が切り替えられる。
これは本発明の遊技システムにおいて特徴的な構成であり、後に詳しく説明をする。
また、画像制御基板131には、画像表示装置11及びスピーカー(音声出力装置)109が接続されている。
ランプ制御基板141は、CPU142、ROM143、RAM144等を有し、枠ランプ145や盤ランプ146、演出役物147の制御を行う。
【0017】
払出制御基板151は、CPU152、ROM153、RAM154等を有し、遊技球払出装置の払出モータ155、払出球検出SW156、球有り検出SW157、満タン検出SW158等の制御を行う。
払出制御基板151には、発射制御基板180が接続されている。この発射制御基板180は、遊技盤10の遊技領域10aに対して遊技球を発射するためのモータやソレノイドなどで構成された発射部185を制御するものである。
発射制御基板180は、払出制御基板151から遊技球の発射に関する許可或いは不許可の信号を受信し、払出制御基板151から遊技球の発射が許可されている状態で、操作用ハンドル103に対する遊技者のハンドル操作に基づいて発射部185を駆動し、遊技領域10aに対して遊技球を所定の時間間隔で打ち出すように制御する。
【0018】
[第1の実施形態]
図3は、本発明の実施の形態に係る可変入賞装置の概略正面図、
図4は、本発明の第1の実施形態にかかる可変入賞装置(電チュー)の分解斜視図、
図5は、第1の実施形態に係る可変入賞装置の断面図である。
図3乃至
図5に示すように、本実施形態にかかる可変入賞装置は、遊技盤10の面上に取り付けられた台板40と、台板40面に形成された始動口(始動領域)47と、始動口47を挟んで配置され始動口47に遊技球を誘導する一対の可動片(羽根)43と、台板40の前面との間に空所を介して固定され、空所内に可動片43を収容した可動片の支持部材としての装飾部材50と、台板40と装飾部材50との間に橋架されて可動片43を軸支する軸部材としての軸部材45と、を備えている。
また、本実施形態において、特に装飾部材50は、前方側のアウター部材(前飾りアウター)51と、アウター部材51の内側に収容される後方側のインナー部材55と、から構成されている。
【0019】
また、
図4に示すように、その始動口47の左右両側方には、軸部材45が後方から挿入され抜止される軸孔46が穿設されている。さらにその下方には支持部材50の位置決め手段として図示しない突起が嵌着する一対の位置決め孔62が開設されている。
また、台板40の後方には、始動口47に連通する通路部48(
図5)が形成されると共に、上述した電気的駆動源としてのソレノイド14bが装着される取付枠体81が設けられている(
図5)。
ソレノイド14bの直線的な駆動力を、作動部材82によって可動片43を回動させる駆動力として用いることが出来る。
図3に示すように、可動片43は左右略対称の翼形状をしており、下方には前後方向に貫通する軸孔43aが開設され、軸孔43aに軸部材45が遊嵌されることにより、各可動片43はこの軸部材45を中心として回動自在に装着される。
【0020】
図4、
図5に示すように、可動片43の裏面側には、軸孔43aに対して内方かつ下方に偏心した位置に、操作部として軸状のピン部43bが一体的に突設されている。
ピン部43bは、
図5に示すように台板40の後方において、ピン部43bは台板40に開設した、始動口47と連通するガイド孔49を介して作動部材82に係合しており、ソレノイド14bの駆動力を、作動部材82を介して伝達されて、可動片43を回動させる。
なお、ピン部43bの軌道は、軸部材45を中心として内方に移動しながら上方に回動する円弧状である。
【0021】
支持部材50は、合成樹脂により可動片43の下部を囲うように前板部50aと、可動片間を通過した遊技球が落下して、始動口47に案内される皿状の底部50bと、を有する。
前板部50aの前面に装飾効果を高める装飾部材としての装飾シールを貼り付け可能となっている。
なお、本実施例の場合、インナー部材55の底部が、支持部材50の底部50bである。
ソレノイド14bは、取付枠体81に水平に配置されており、図示しないスプリングを装着したプランジャ80aが前後方向に水平に進退動するようになっており、プランジャ80aの前端部にフランジにより連係部80bが形成されている。そして、この連係部80bに作動部材82の従動ピン82aが収容保持されてソレノイド14bと作動部材82が連係され、ソレノイド14bの駆動力が作動部材82を介して可動片43に伝達される。
【0022】
図5に示すように、軸部材45は、装飾部材50側の端部45aにフランジ部45aを備えている。
そして、軸部材45は、アウター部材51とインナー部材55との間に、フランジ部45aを挟持されることにより、装飾部材(支持部材)50に抜け止め固定される。
さらに、軸部材45の台板40側の他端部45bは、台板40に設けた貫通孔である軸孔46に挿通されて固定されている。
なお、インナー部材55は、軸部材45を収容するための収容穴56を備えており、台板40とアウター部材51間に軸部材45の橋架する際に、インナー部材55が干渉しないように構成されている。
また、フランジ部45aは、収容穴56内で両部材51、55間に狭持される。
【0023】
このように、フランジ部45aを、アウター部材51、インナー部材55間に挟み込むことによって軸部材45を固定出来るので、台板40には軸部材の先端を支持するための貫通孔(軸孔)46を形成するだけで良く、上記の
図7の場合とは異なり、裏面側に軸部材45の抑え部を形成する必要がなくなる。
従って、台板40の前面に意匠フィルムをインモールド形成することが可能となり、意匠性に富んだ電チューを実現することが出来る。
さらに、アウター部材51と軸部材45を別体に構成して、金属製の軸部材を用いることが可能となる。
なお、軸部材45の台板40側の適所にフランジ部を設け、そのフランジ面を台板に当接させるようにすれば、さらに強固に軸部材45を抜け止めすることが出来る。
【0024】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る可変入賞装置の構成について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る可変入賞装置の要部を示す断面図であり、台板、装飾部材、軸部材の構成を示す断面図である。なお、
図6では、皿状の底部は図示を省略している。
図6に示すように、第2の実施形態の可変入賞装置は、第1の実施形態とは異なり、装飾部材60が一部材からなっている。すなわち、インナー部材、アウター部材の2部材から構成されていない。
インナー部材、アウター部材の2部材間に軸部材のフランジ部を挟んで固定する構成に代わり、装飾部材60の裏面側に軸部材70の端部を挿入して固定する軸部材抑え部61を設けている。
【0025】
本発明の可変入賞装置において装飾部材60は、意匠フィルムをインモールド形成しないので、裏面側に軸部材抑え部61を設けることが可能である。
さらに、第1の実施形態と同様に、台板40には、軸部材70の他端部を挿入して固定する軸孔(貫通孔)46を設けている。
加えて、軸部材70の他端側には、台板の前面に当接するフランジ面を有するフランジ部71を備えている。
軸部材70は、装飾部材60の軸部材抑え部61と、台板40の軸孔46、さらに、フランジ部71にけるフランジ面の台板40に対する当接によって、台板・装飾部材間に抜け止め固定される。
この構成によっても、台板40の裏面側に軸部材抑え部を形成する必要がなく、台板40における意匠フィルムのインモールド形成に支障が生じることはない。