【実施例】
【0042】
〔二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの作成〕
実施例1ないし13及び比較例1ないし7の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムについて、後出の表1ないし5に示した配合割合(重量パーセント(wt%))に基づき、原料となる樹脂を溶融、混練して四層共押出Tダイフィルム成形機、テンター二軸延伸機を用い逐次二軸延伸により製膜した。二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの厚さ(30μm)及び自己粘着層の厚さ(3μm)はいずれも共通とした。各実施例並びに比較例のフィルムを製膜するに際し、フィルムの膜厚は、実施例、比較例毎に作り分けた。3層品については第1粗面化層を省略して三層共押出しとした。比較例5については、製膜不能であったため、評価、測定を省略した。
【0043】
〔使用樹脂〕
各層を形成する原料樹脂として、以下の原料を使用した。樹脂の特定を容易にするため、以降かっこ表記の符号を用いる。
・自己粘着層11の原料樹脂
水添スチレン系エラストマーとして「JSR株式会社製,製品名:D−1320P」を使用した([A01])。
同層11のポリプロピレン系樹脂として「日本ポリプロ株式会社製,製品名:FX4G」を使用した([A02])。
【0044】
・中間層12のポリプロピレン系樹脂(B)
軟質ポリプロピレン系樹脂として、下記の樹脂r1を65wt%と、樹脂r2を35wt%との多段重合体よりなる混合樹脂(MFR2.8g/10min)を使用した([B01])。
樹脂r1は、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分:プロピレン含有量;99.2重量%である。
樹脂r2は、プロピレン−エチレン−1ブテンランダム共重合体成分:プロピレン含有量;75重量%である。
他のポリプロピレン系樹脂としてプロピレン単独重合体「日本ポリプロ株式会社製,製品名:FY4」を使用した([B02])。
対照成分として直鎖低密度ポリエチレン樹脂「日本ポリエチレン株式会社製,製品名KF380」を使用した([B03])。
【0045】
・第1粗面化層14の原料樹脂
第1ポリプロピレン系樹脂(C1)にプロピレン単独重合体「日本ポリプロ株式会社製,製品名:FY4」を使用した([B02])。
第1高密度ポリエチレン樹脂(C2)に高密度ポリエチレン「京葉ポリエチレン株式会社製,製品名:G1800」を使用した([C021])。
・第2粗面化層15の原料樹脂
第2ポリプロピレン系樹脂(D1)にプロピレン単独重合体「日本ポリプロ株式会社製,製品名:FY6H」を使用した([D011])。
第2高密度ポリエチレン樹脂(D2)として、密度の異なる3種類を用意した。
高密度ポリエチレン「京葉ポリエチレン株式会社製,製品名:G1800,密度0.961」([C021])
高密度ポリエチレン「京葉ポリエチレン株式会社製,製品名:G1900,密度0.956」([D022])
高密度ポリエチレン「京葉ポリエチレン株式会社製,製品名:B5102,密度0.946」([D023])
【0046】
〔曲げ弾性率の測定〕
軟質ポリプロピレン系樹脂[B01]を溶融後、平坦な型に流し入れ、冷却後に取り出し、4mmとする曲げ用試験片を作成した。これをJIS K 7171(2008)に規定する曲げ弾性率の計測に準拠して測定した。当該測定において、軟質ポリプロピレン系樹脂[B01]の曲げ弾性率は400MPaであった。
【0047】
〔層厚の測定〕
実施例及び比較例のそれぞれの二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムをフィルムの面方向に直交する垂直断面を薄切片として切り出した。顕微鏡により観察し、各層の厚さを計測した。
【0048】
〔外観不良の評価〕
実施例及び比較例の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの表面を目視により観察した。当該表面全体が均一に粗面化され、粗面化されていない部分が全く存在していないフィルムについては「◎」と評価した。フィルム表面の粗面化は必ずしも均一ではないものの粗面化されていない部分が存在しないフィルムについては「○」と評価した。フィルム表面に粗面化されていない部分が一部に生じているフィルムについて「△」とし、フィルム表面に粗面化されていない部分が顕著なフィルムについては「×」と評価した。
【0049】
〔剥離性の測定〕
実施例及び比較例の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムを100mm幅×250mm長のカットサンプルとし、それぞれについて2枚ずつ準備した。2枚のカットサンプルを表裏合わさる形で重ね合わせ、熱傾斜試験機を使用して加熱サイズ25mm幅×10mm長とし、加熱温度60℃、加圧力0.35MPa、加圧時間60秒の条件でヒートシールして2枚重ねの測定用サンプルを作製した。23℃、50%RH雰囲気下に測定用サンプルを保持後、ヒートシールにより2枚重ねとなった測定用サンプルを15mm幅×250mm長にカットした。測定用サンプルの片側を固定した状態で同サンプルのもう一方の一端側から300mm/minの一定速度で引っ張り、測定用サンプルが側面視でT字状となる180°に両端部同士を開くようにして引き剥がした。この引き剥がした時の数値を15mm幅における剥離性(N)とした。
【0050】
〔粘着力の測定〕
粘着力の測定はJIS Z 0237(2009)に規定の方法に準拠し測定した。同規定中のSUS304番のステンレス板の代わりに鏡面状のアクリル樹脂板(三菱レイヨン株式会社製,製品名:アクリライトL001,3mm板)を用いた。実施例及び比較例の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムについて、それぞれを幅25mm、全長200mmの短冊状に切り取り、自己粘着層側を前記のアクリル樹脂板に貼り合わせた。そして、質量2kgのゴムローラーを用いて押圧し均一に密着した。23℃、50%RHの雰囲気下に24時間静置後、アクリル樹脂板を固定してプロテクトフィルムの一端側から300mm/minの一定速度により引張し、当該プロテクトフィルムをアクリル樹脂板に対して180°の角度となるように引き剥がした。そこで、25mm幅における粘着力(N)とした。
【0051】
〔表面粗さの測定〕
表面粗さは、JIS B 0601(2001)に準拠し、実施例及び比較例の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムのそれぞれについて、中心線平均粗さ(Ra)及び十点平均高さ(Rz)を測定した。単位はμmである。測定に際し、小坂研究所株式会社製,二次元・三次元表面粗さ測定機「SE3500K」を使用した。
【0052】
〔ヘーズの測定〕
ヘーズは、JIS K 7105(1981)に準拠し、実施例及び比較例の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムのそれぞれについて測定した。
【0053】
〔総合評価〕
前述の測定項目、評価の結果を踏まえ、実施例並びに比較例の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムに関し、実際の商品として相応しいか否かを実需要の観点から総合的に考慮し大きく分けて4段階の良否により判断した。
自己粘着性プロテクトフィルムとしていずれの項目とも十分に優れた性能を有する例を「◎」とした。
自己粘着性プロテクトフィルムとして通常の性能を有する例を「○」とした。
自己粘着性プロテクトフィルムとして使用に適さない例を「×」とした。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
〔結果・考察〕
実施例1ないし13の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムはいずれも好適な評価となり、特に実施例1、2、4、実施例9ないし12は優れた結果であった。そこで、実施例、比較例のフィルムの層組成から配合樹脂と配合割合、構造を検討する。
【0060】
中間層12については、軟質ポリプロピレン系樹脂(B1)を含むポリプロピレン系樹脂(B)とする必要がある。これは比較例5のポリエチレン樹脂の配合との対比から導き出すことができる。軟質ポリプロピレン系樹脂(B1)自体の配合割合は、実施例9と10のとおり、広い範囲まで許容される。
【0061】
第1粗面化層14の組成において、第1高密度ポリエチレン樹脂(C2)に着目すると、重量配合割合が20ないし40重量%の実施例は高評価であった。しかしながら、同樹脂(C2)の重量配合割合が50重量%の比較例4、100重量%の比較例3は不適格であった。従って、第1高密度ポリエチレン樹脂(C2)の配合を必須とすることから、第1ポリプロピレン系樹脂(C1)と第1高密度ポリエチレン樹脂(C2)の調和のとれた配合割合は、60〜80重量%:40〜20重量%に収斂する。
【0062】
第2粗面化層15の組成において、第2高密度ポリエチレン樹脂(D2)に着目すると、重量配合割合が60ないし80重量%の実施例は高評価であった。これに対し、同樹脂(D2)の重量配合割合が50重量%の比較例2、100重量%の比較例1は不適格であった。従って、第2高密度ポリエチレン樹脂(D2)は少なくとも60重量%以上の配合割合とする必要がある。また、第2粗面化層15にあっても第1粗面化層14との接着強度の点から第2ポリプロピレン系樹脂(D1)の配合は必須である。このことから、同樹脂(D1)を少なくとも20重量%配合することとした。ゆえに、第2ポリプロピレン系樹脂(D1)と第2高密度ポリエチレン樹脂(D2)の重量配合割合は20〜40重量%:80〜60重量%に収斂する。
【0063】
第2粗面化層15に配合した第2高密度ポリエチレン樹脂(D2)に着目すると、密度0.946以上であれば、良評価を得ることができた。高密度ポリエチレン樹脂[D023]を使用した実施例13については、剥離性の評価が他の実施例1ないし12よりもいくらか劣りがちである。そこで、密度を大きくした高密度ポリエチレン樹脂[C021]や[D022]の使用がより好ましい。このため、第2高密度ポリエチレン樹脂の密度は0.95以上の条件も導き出すことができる。
【0064】
比較例6,7の評価結果にあるように、粗面化層を単層とした合計3層の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムでは、粗面化していない部分が生じフィルム表面の均一な仕上がりを得ることができなかった。このため、安定した粗面化層を得るため、粗面化層の数を2層とし、フィルム全体で4層構造とすることが望ましい。加えて、実施例1や2のとおり、第1粗面化層14または第2粗面化層15の粗面化に寄与する層の層厚は、少なくともいずれかを2μm以上、より好ましくは3μm以上としている。