特許第5997971号(P5997971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997971
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】リードフレーム
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   H01L23/50 B
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-176902(P2012-176902)
(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公開番号】特開2014-36129(P2014-36129A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(72)【発明者】
【氏名】石橋 貴弘
【審査官】 小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−114354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の単位リードフレームが接続されてなり、隣り合う前記単位リードフレームにおける複数のリードがコネクティングバーを介して接続され、前記リードの裏面が樹脂封止部より露出する半導体装置のリードフレームにおいて、
前記リードフレームのダイシング部には、前記ダイシングの幅よりも狭い幅のハーフエッチング部が、前記コネクティングバーと前記リードそれぞれに、幅方向両側に分けて形成され、前記ハーフエッチング部内には強度保持部が形成され、
前記強度保持部は前記コネクティングバーのダイシング方向に沿って連続して形成される第一の強度保持部と、前記リードに沿って連続して形成される第二の強度保持部とを有し、前記第二の強度保持部は前記コネクティングバーを介して接続された隣り合う前記各リード間にまたがって1つ形成されていることを特徴とするリードフレーム。
【請求項2】
請求項1記載のリードフレームにおいて、前記第一の強度保持部の幅を前記コネクティングバーの幅の0.25〜0.50倍とすることを特徴とするリードフレーム。
【請求項3】
請求項1記載のリードフレームにおいて、前記第二の強度保持部の幅を前記コネクティングバーの幅の0.25〜0.50倍とすることを特徴とするリードフレーム。
【請求項4】
複数個の単位リードフレームが接続されてなり、隣り合う前記単位リードフレームにおける複数のリードがコネクティングバーを介して接続され、前記リードの裏面が樹脂封止部より露出する半導体装置のリードフレームにおいて、
前記リードフレームのダイシング部には前記ダイシング部の幅よりも狭い幅のハーフエッチング部が形成され、前記ハーフエッチング部内には強度保持部が形成され、前記強度保持部は前記コネクティングバーのダイシング方向に沿って連続して形成される第一の強度保持部と、前記リードに沿って連続して形成される第二の強度保持部とを有し、前記第二の強度保持部は前記コネクティングバーを介して隣り合う前記各リード間にまたがって1つ形成され、
前記ハーフエッチング部の第一の強度保持部側の端部からリード側の端部までの距離を前記コネクティングバーの幅の0.50〜0.75倍とすることを特徴とするリードフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体装置を一括して樹脂封止するMAP(Mold Alley Process)モールド成型技術を用いて製造されるQFN(Quad Flat Non−Leaded)型半導体装置に係り、特に、樹脂封止した後に隣り合う半導体装置を回転刃物によってダイシングする際に発生する切断バリの発生を最小に抑えるとともに、リードフレームの強度も保つことのできる、半導体装置に使用するリードフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
このQFN型半導体装置は、複数の半導体装置をまとめて樹脂封止を行なう方法であるMAPモールド成型技術を用いて製造される。まず、MAP用リードフレームとして、隣り合う単位リードフレームにおける複数のリード部同士がコネクティングバーを介して連結されたリードフレームを用意する。このリードフレームの半導体素子搭載部に半導体素子をボンディングし、半導体素子とリードフレームのリードとをワイヤーで接続した後に、このリードフレームを、樹脂により封止し、その後、コネクティングバー(ダムバーとも言う)をダイシングによって除去することにより、個々の単位リードフレームに切断する。
【0003】
しかしながら、このままコネクティングバーをダイシングした場合には、切断部における板厚が大きく、切断時の負荷が大きいため回転刃物の摩耗が早く、ダイシング性が悪化して切断バリが発生する問題がある。
【0004】
そこで、特許文献1に記載のように、素子搭載部の裏面及び前記リードの裏面端子部を除いて、裏面側からハーフエッチングされ、ダムバー全体をハーフエッチングする技術がある。これにより、ダイシング時の回転刃物の摩耗の進行を抑制し、切断バリの発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−166695
【特許文献2】特開2008−182175
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では、多ピン化による半導体装置の大型化や、半導体装置の薄型化に合わせてリードフレームの薄板化が進み、一方では、リードフレーム1枚あたりからの単位リードフレームの取り個数を増やすため、リードフレームが大判化する傾向にある。そのため、特許文献1の方法のようにコネクティングバー全体を薄肉化した構造では、単位リードフレーム間の接続を担うコネクティングバーの強度が足りず、コネクティングバーやその近傍部が外力に耐えることが出来ずに、リードフレームが変形する問題が発生している。
【0007】
そこで特許文献2に記載のように、リードフレームのダムバー410をハーフエッチングにより薄肉化し、ダムバー410にダイシング方向に沿って薄肉加工された部分414よりも厚い部分411を形成することで、ダイシング時の切断バリを防止しつつ、ダムバー410の強度を保つ技術がある。
しかしながら、この方法では、リード12とダムバー410との接続部分とその近傍全てがハーフエッチングされるため、強度低下を招くだけでなく、リードやダムバーの非ハーフエッチング部分まで侵食したりするなど、エッチング加工が非常に難しいという問題がある。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、ダイシングによる切断バリの発生を抑えつつ、コネクティングバーやその近傍部が変形することを防止し、さらにエッチング加工が容易となるコネクティングバー形状を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成すべく、請求項1の発明に係るリードフレームは、複数個の単位リードフレームが接続されてなり、隣り合う前記単位リードフレームにおける複数のリードがコネクティングバーを介して接続され、前記リードの裏面が樹脂封止部より露出する半導体装置のリードフレームにおいて、
前記リードフレームのダイシング部には、前記ダイシングの幅よりも狭い幅のハーフエッチング部が、前記コネクティングバーと前記リードそれぞれに、幅方向両側に分けて形成され、前記ハーフエッチング部内には強度保持部が形成され、
前記強度保持部は前記コネクティングバーのダイシング方向に沿って連続して形成される第一の強度保持部と、前記リードに沿って連続して形成される第二の強度保持部とを有し、前記第二の強度保持部は前記コネクティングバーを介して接続された隣り合う前記各リード間にまたがって1つ形成されている。
【0010】
請求項2の発明に係るリードフレームは、請求項1の発明に係るリードフレームにおいて、前記第一の強度保持部の幅を前記コネクティングバーの幅の0.25〜0.50倍とする。
【0011】
請求項3の発明に係るリードフレームは、請求項1の発明に係るリードフレームにおいて、前記第二の強度保持部の幅を前記コネクティングバーの幅の0.25〜0.50倍とする。
【0012】
請求項4の発明に係るリードフレームは、複数個の単位リードフレームが接続されてなり、隣り合う前記単位リードフレームにおける複数のリードがコネクティングバーを介して接続され、前記リードの裏面が樹脂封止部より露出する半導体装置のリードフレームにおいて、
前記リードフレームのダイシング部には前記ダイシング部の幅よりも狭い幅のハーフエッチング部が形成され、前記ハーフエッチング部内には強度保持部が形成され、前記強度保持部は前記コネクティングバーのダイシング方向に沿って連続して形成される第一の強度保持部と、前記リードに沿って連続して形成される第二の強度保持部とを有し、前記第二の強度保持部は前記コネクティングバーを介して隣り合う前記各リード間にまたがって1つ形成され、
前記ハーフエッチング部の第一の強度保持部側の端部からリード側の端部までの距離を前記コネクティングバーの幅の0.50〜0.75倍とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項14記載のリードフレームにおいては、ハーフエッチング部により、回転刃物によるダイシング時に、回転刃物が切断するダイシング部の金属の板厚が薄くなることで、切断バリの発生を防止することができると同時に、切断時の負荷が減少するため回転刃物の寿命が長くなる。また、強度保持部により、多方向から外力が加わっても耐えることができ、リードフレームの強度が上がるため、半導体装置の大型化やリードフレームの薄板化に対応できる。更に強度保持部が第一の強度保持部と第二の強度保持部を有することで、リードのハーフエッチング部の幅方向端部と第一の強度保持部の間のエッチング加工が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係るリードフレームの平面図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るリードフレームのコネクティングバー周辺を示した図であり、(a)はコネクティングバー周辺の裏面側を示した平面図を示し、(b)は(a)中のC−C断面を示し、(c)は(a)中D−D断面を示す。
図3】本発明の一実施の形態に係るリードフレームのダイシング工程を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明の一実施の形態に係るリードフレームについて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るリードフレーム10裏面の模式的な平面図を示し、点線部は図3に示すようにリードフレーム10の一方の面を樹脂18で封止した後に、回転刃物で切断されるダイシングラインを示す。このダイシングラインに挟まれた部位がダイシングによって除去されるダイシング部である。
図2(a)は、図1中符号Bで示すリードフレーム10裏面のダイシング部A内のコネクティングバー11周辺の拡大平面図を示し、図2(b)はコネクティングバー11周辺の拡大断面図(図2(a)中のC−C断面)を示し、図2(c)はコネクティングバー11の拡大断面図(図2(a)中のD−D断面)。
図3は、本発明の一実施の形態に係るリードフレーム10を用いた半導体装置の断面図を示す。
なお、この図2(a)において、識別を容易にするためハーフエッチング部12にハッチングを施してある。
【0016】
リードフレーム10はダイシング部にハーフエッチング部12が形成されており、ハーフエッチング部12内には強度保持部13が形成されている。
ここで、ハーフエッチング部12の幅Eはダイシング部の幅Aより狭く形成されている。このハーフエッチング部12により、ダイシングの際に回転刃物が切断するダイシング部の金属の板厚が薄くなることで、切断バリが発生することを抑制することができると同時に、切断時の負荷が減少するため回転刃物の寿命が長くなる。また、ハーフエッチング部12の幅Eがダイシング部の幅Aより狭く形成されることで、図3に示すように、ハーフエッチング部12がダイシングによって全て切断され、リード14が半導体装置の実装面から側面にかけて露出するため、半田付けの際に半田がリード14側面まで濡れ、半田付け性が向上する。ハーフエッチング部12の幅Eがダイシング部の幅Aより広く形成されると、ダイシングによってハーフエッチング部12が切断しきれないためリードが露出する面が減り、半田付け性が悪くなる。
【0017】
強度保持部13はダイシング方向に沿ってコネクティングバー11に連続して形成される第一の強度保持部13aとリード14に沿って形成される第二の強度保持部13bとを有し、図2(a)に示すように、第二の強度保持部13bは、コネクティングバーを介して隣り合う各リード14間にまたがって1つ形成される。
第一の強度保持部13aと第二の強度保持部13bを形成することで、エッチング液の回り込み易いところのみにハーフエッチングするため、エッチング加工が容易になる。また、第一の強度保持部13aと第二の強度保持部13bとは共に連続して形成されるため、多方向から外力に耐えられるようになり、リードフレーム10の強度も向上する。
【0018】
ここで、コネクティングバー11の幅をa、第一の強度保持部13aの幅をb、第二の強度保持部13bの幅をc、ハーフエッチング部12の第一の強度保持部13a側の端部からリード14側の端部までの距離をdとすると、この実施の形態ではa=0.1mm、b=0.05mm、c=0.05mm、d=0.075mmであるが、
bとcがaの0.25〜0.50倍、dがaの0.50〜0.75倍であれば適応可能である。
【0019】
bまたはcが下限値を下回った場合、または、dが上限値を上回った場合、つまり、強度保持部13が細くなり、ハーフエッチング部12が広くなる場合は、エッチングの際のバラツキにより強度保持部13が部分的に欠損し、連続して形成出来ずにリードフレーム10の強度を保てなくなることがある。また、bまたはcが上限値を上回った場合、またはdが下限値を下回った場合、つまり、強度保持部13が太くなり、ハーフエッチング部12が狭くなる場合は、ダイシングの際の切断バリを防ぐことができなくなる。
【0020】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
【符号の説明】
【0021】
10:リードフレーム、11:コネクティングバー、12:ハーフエッチング部、13:強度保持部、13a:第一の強度保持部、13b:第二の強度保持部、14:リード、15:半導体素子搭載部、16:半導体素子、17:ワイヤー、18:樹脂
図1
図2
図3