(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記樹脂粒子は架橋性モノマーと非架橋性モノマーを含む単量体成分から形成されており、前記単量体成分中の架橋性モノマー含有率が40質量%以下であり、かつ前記非架橋性モノマーとしてスチレン系単官能モノマーを含む請求項1〜3のいずれかに記載の導電性微粒子。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の導電性微粒子は、樹脂粒子からなる基材と、該基材の表面に形成された少なくとも一層の導電性金属層とから構成される。
【0015】
1.樹脂粒子(基材)
本発明における樹脂粒子は、粒子を直径が60%変位するまで圧縮したときの回復率(60%圧縮時回復率)をA、該樹脂粒子を直径が40%変位するまで圧縮したときの回復率(40%圧縮時回復率)をBとしたときに、A/Bの値が3.0以上となるものである。この60%圧縮時回復率/40%圧縮時回復率(A/B)の値が前記範囲であると、回復率の変形量依存性が高いため、該樹脂粒子を十分に軟質化して初期抵抗値を十分に下げた時でも良好な接続信頼性を維持することができる。低温低圧実装では導電性微粒子の粒子径の50%以上変形させた状態で使用されることが多い。つまり、40%変形時点での回復率は電極との接触面積を拡げる為、スムーズな変形が求められ、小さな値であることが好ましく、実装状態に近い60%変形時点での回復率は、長期的な接続信頼性を高める為、高い値であることが好ましい。よって、A/Bは高い値であることが好ましい。前記A/Bの値は、好ましくは4.0以上、より好ましくは5.0以上である。本発明では、例えば後述する特定の単量体成分で樹脂粒子を形成することにより、60%圧縮時回復率Aおよび40%圧縮時回復率Bを制御し、ひいては60%圧縮時回復率/40%圧縮時回復率(A/B)の値を前記範囲に制御することができる。
【0016】
前記樹脂粒子の60%圧縮時回復率Aは、特に制限されないが、1.0%以上であることが好ましく、より好ましくは2.0%以上、さらに好ましくは3.0%以上である。樹脂粒子の60%圧縮時回復率Aが前記範囲よりも低すぎると、60%圧縮時回復率/40%圧縮時回復率(A/B)の値を上述した範囲に制御しにくくなり、その結果、長期的な接続信頼性が得られない虞がある。一方、樹脂粒子の60%圧縮時回復率Aの上限は、特に制限されないが、電極との広い接触面積を得る観点からは、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下である。
【0017】
前記樹脂粒子の40%圧縮時回復率Bは、1.2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.9%以下である。樹脂粒子の40%圧縮時回復率Bが前記範囲よりも高すぎると、60%圧縮時回復率/40%圧縮時回復率(A/B)の値を上述した範囲に制御しにくくなり、その結果、低圧接続に供した際の接続信頼性が低下する虞がある。一方、樹脂粒子の40%圧縮時回復率Bの下限は、特に制限されないが、バインダー排除性の観点からは、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.02%以上、さらに好ましくは0.03%以上である。
【0018】
なお本発明において前記60%圧縮時回復率Aおよび前記40%圧縮時回復率Bは、例えば、公知の微小圧縮試験機(例えば、島津製作所製「MCT−W500」など)を用いて、以下のようにして測定できる。すなわち、粒子の中心方向へ荷重をかけていく圧縮試験において、まず一定の荷重負荷速度で荷重をかけていき粒子の直径が60%または40%変位するときの圧縮荷重(60%圧縮荷重値または40%圧縮荷重値)をあらかじめ測定しておき、当該圧縮荷重値まで圧縮したときの変位量(すなわち粒子直径の60%または40%)を最大変位量L1とする。そして一定の荷重負荷速度で60%圧縮荷重値または40%圧縮荷重値が最大荷重となる様に粒子を圧縮した後、荷重負荷速度と同程度の除荷重負荷速度で最小荷重0.049mNまで荷重を減らしていったときの最大荷重から最小荷重までの間の変位量を回復変位量L2として求める。そうして得られた最大変位量L1および回復変位量L2から下記式に基づき算出すればよい。具体的には、後述する実施例に記載のように荷重負荷速度(除荷重負荷速度)を0.441N/秒程度として測定することができる。なお前記圧縮試験に供する試験粒子は、未試験の粒子に限られ、圧縮試験に一度供した粒子を用いて再度圧縮試験を行うことはない。また、上記測定は、室温で行うことが好ましく、より具体的には、25℃の恒温雰囲気中で行うことが好ましい。
回復率(%)=(L2/L1)×100
【0019】
本発明における樹脂粒子は、粒子の直径が10%変位したときの圧縮弾性率(10%K値)が100〜3000N/mm
2である。樹脂粒子の10%K値が前記範囲であると、軟質でありながら、樹脂粒子の表面に導電性金属層を形成する際のメッキ加工時などに確実に球形を維持して均一な導電性金属層を形成できるので、電気的接続に供した際に低圧接続でも初期抵抗値を低く抑えることができる。樹脂粒子の10%K値が100N/mm
2未満であると、粒子が軟らかくなりすぎてメッキ加工時などに球形を維持しにくくなり、一方、3000N/mm
2を超えると、粒子が硬くなりすぎて低圧接続では接続面積が不充分となり、接続初期の抵抗値が高くなる。前記樹脂粒子の10%K値は、好ましくは300N/mm
2以上、より好ましくは800N/mm
2以上、さらに好ましくは1000N/mm
2以上、最も好ましくは2000N/mm
2以上であり、好ましくは2950N/mm
2以下、より好ましくは2900N/mm
2以下、さらに好ましくは2850N/mm
2以下、最も好ましくは2800N/mm
2以下である。本発明では、例えば後述する特定の単量体成分で樹脂粒子を形成することにより、10%K値を前記範囲に制御することができる。
【0020】
前記樹脂粒子の10%K値は、公知の微小圧縮試験機を用いた圧縮試験にて測定することができ、例えば、公知の微小圧縮試験機(例えば、島津製作所製「MCT−W500」など)を用い、室温で粒子の中心方向へ荷重負荷速度0.441N/秒で荷重をかける圧縮試験において、粒子の直径が10%変位するまで粒子を変形させたときの圧縮荷重(N)と圧縮変位(mm)を測定し、下記式に基づき求めることができる。なお、上記測定は、室温で行うことが好ましく、より具体的には、25℃の恒温雰囲気中で行うことが好ましい。
【0021】
【数1】
(ここで、E:圧縮弾性率(N/mm
2)、F:圧縮荷重(N)、S:圧縮変位(mm)、R:粒子の半径(mm)である。)
【0022】
本発明における樹脂粒子の個数平均粒子径は8〜50μmである。樹脂粒子の個数平均粒子径が前記範囲内であれば、例えばタッチパネル用、LED用などに用いる半導体実装における電極や配線の電気接続に対して、好適に使用できる。タッチパネル用としては、例えばタッチパネル引き出し回路とフレキシブルプリント配線板(FPC)との接続が例示される。樹脂粒子の個数平均粒子径は、好ましくは8.0μm以上、より好ましくは8.5μm以上、さらに好ましくは9μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。
【0023】
前記樹脂粒子の粒子径の個数基準の変動係数(CV値)は、10.0%以下であることが好ましく、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、一層好ましくは4.0%以下、特に好ましくは3.0%以下である。このように粒子径の変動係数が小さい樹脂粒子は、単に一次粒子径の大きさが揃っているだけでなく、一次粒子径の単一分散性が極めて高い。そのため、このような樹脂粒子を基材として用いることにより、粒子径が揃っており、かつ凝集が抑制された導電性微粒子が得られる。前記樹脂粒子のCV値の下限は、通常0.5%以上である。
なお、本発明でいう樹脂粒子の個数平均粒子径や粒子径の変動係数は、コールターカウンター法により測定した値であり、測定方法については実施例において後述する。
【0024】
前記樹脂粒子(基材)の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、回転楕円体状、金平糖状、薄板状、針状、まゆ状等のいずれでも良いが、球状が好ましく、特に真球状が好ましい。
【0025】
本発明において樹脂粒子は、架橋性モノマーと非架橋性モノマーとを含む単量体成分から形成されることが好ましく、通常、該単量体成分の重合反応および/または縮合反応により形成される。
樹脂粒子を構成する前記架橋性モノマーとしては、架橋可能なものであればよく、具体的には、ビニル基を少なくとも含むビニル系架橋性単量体、少なくともケイ素原子を含むとともに加水分解性基(アルコキシ基(アルコキシシリル基)等の加水分解可能な基の他、ヒドロキシ基(シラノール基)も含む)および/またはビニル基を含むシラン系架橋性単量体等が挙げられる。ビニル基を有する単量体を用いれば、ビニル基が重合した骨格(ビニル重合体骨格ともいう)が形成され、かかる骨格が加圧接続時の優れた弾性変形に寄与する。一方、加水分解性基を有するシラン系単量体を用いれば、加水分解縮合反応により生じるシロキサン結合によりポリシロキサン骨格が形成され、かかる骨格が加圧接続時の被接続体に対する高い接触圧に寄与する。
本発明における樹脂粒子としては、本発明の回復率特性を有する粒子を製造し易く、しかも該回復率特性を制御し易い点から、上記ビニル重合体骨格を含む樹脂粒子が好ましい。
【0026】
なお、本発明において「ビニル基」とは、炭素−炭素二重結合のみならず、(メタ)アクリロイル基、アリル基、イソプロペニル基、ビニルフェニル基、イソプロペニルフェニル基のような重合性炭素−炭素二重結合を有する置換基も含むものとする。また、本明細書において「(メタ)アクリロイル基」、「(メタ)アクリレート」や「(メタ)アクリル」は、「アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」や「アクリル及び/又はメタクリル」を各々示すものとする。
【0027】
前記ビニル系架橋性単量体としては、具体的には、1分子中に2個以上のビニル基を有する単量体(ビニル系単量体(1))、または、1分子中に1個のビニル基とビニル基以外の官能基(カルボキシル基、ヒドロキシ基等のプロトン性水素含有基、アルコキシ基等の末端官能基等)を有する単量体(ビニル系単量体(2))が挙げられる。ただし、ビニル系単量体(2)の場合、ビニル系架橋性単量体として架橋構造を形成させるには、当該ビニル系単量体(2)が有するカルボキシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基等の反応(結合)相手となる基が他の単量体に存在することが必要となる。
【0028】
前記ビニル系架橋性単量体のうち前記ビニル系単量体(1)の例としては、例えば、アリル(メタ)アクリレート等のアリル(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート類;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のヘキサ(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族炭化水素系架橋剤(好ましくはジビニルベンゼン等のスチレン系多官能モノマー);N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸等のヘテロ原子含有架橋剤;等が挙げられる。ビニル系単量体(1)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記ビニル系架橋性単量体のうち前記ビニル系単量体(2)の例としては、例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート類、p−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシ基含有スチレン類等のヒドロキシ基を有する単量体;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート類、p−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン類等のアルコキシ基を有する単量体;等が挙げられる。ビニル系単量体(2)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
前記シラン系架橋性単量体としては、具体的には、1分子中にビニル基を2個以上有する単量体(シラン系単量体(1))、1分子中に加水分解性基(アルコキシ基(アルコキシシリル基)等の加水分解可能な基の他、ヒドロキシ基(シラノール基)も含む)を3個以上有する単量体(シラン系単量体(2))、1分子中に加水分解性基(アルコキシ基(アルコキシシリル基)等の加水分解可能な基の他、ヒドロキシ基(シラノール基)も含む)およびビニル系架橋性単量体と結合可能な基(ビニル基、上記ビニル系単量体(2)が有するカルボキシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基等の反応(結合)相手となる基)を合わせて3個以上有する単量体(シラン系単量体(3))が挙げられる。これらのなかでは、シラン系単量体(3)が好ましい。
【0031】
前記シラン系架橋性単量体のうち前記シラン系単量体(1)の例としては、例えば、ジメチルジビニルシラン、メチルトリビニルシラン、テトラビニルシラン等が挙げられる。シラン系単量体(1)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
前記シラン系架橋性単量体のうち前記シラン系単量体(2)の例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能性シラン系単量体;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等の3官能性シラン系単量体等が挙げられる。シラン系単量体(2)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。シラン系単量体(2)は単独または他のシラン系単量体との(部分)加水分解および/または縮合物の形態で用いることもできる。
【0033】
前記シラン系架橋性単量体のうち前記シラン系単量体(3)の例としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基を有するもの;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等のビニル基を有するもの;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するもの;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するもの;が挙げられる。シラン系単量体(3)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。シラン系単量体(3)は単独または他のシラン系単量体との(部分)加水分解および/または縮合物の形態で用いることもできる。
【0034】
樹脂粒子を構成する前記非架橋性モノマーは、前記架橋性モノマーのいずれかと結合可能なものであれば特に限定されないが、例えば、ビニル基を含有する非架橋性単量体、ケイ素含有基を含有する非架橋性単量体が含まれる。前記ビニル基を含有する非架橋性単量体としては、1分子中に1個のビニル基を有する単量体(ビニル系単量体(3))か、もしくは前記ビニル系単量体(2)が有するビニル基以外の官能基と反応する基を有する他の単量体が単量体成分に存在しない場合のビニル系単量体(2)が挙げられる。また前記ケイ素含有基を含有する非架橋性単量体は、より詳細には、1分子中に1個または2個の加水分解性基(アルコキシ基(アルコキシシリル基)等の加水分解可能な基の他、ヒドロキシ基(シラノール基)も含む)を有する一方、他の結合性基(ビニル基など)は有さない単量体(シラン系単量体(4))である。
【0035】
前記ビニル系非架橋性単量体のうち前記ビニル系単量体(3)の例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロウンデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート類;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等のアルキルスチレン類、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等のハロゲン基含有スチレン類等のスチレン系単官能モノマー;等が挙げられる。ビニル系単量体(3)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
前記シラン系非架橋性単量体(シラン系単量体(4))としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルキルシラン等の2官能性シラン系単量体;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のトリアルキルシラン等の1官能性シラン系単量体等が挙げられる。シラン系単量体(4)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。シラン系単量体(4)は単独または他のシラン系単量体との(部分)加水分解および/または縮合物の形態で用いることもできる。
【0037】
本発明における樹脂粒子を形成する単量体成分は以上のような架橋性モノマーおよび非架橋性モノマーから構成されるが、樹脂粒子の60%圧縮時回復率/40%圧縮時回復率(A/B)および10%K値を上述した範囲に制御するためには、前記単量体成分は、前記架橋性モノマーの含有率が40質量%以下であり、かつ非架橋性モノマーとしてスチレン系単官能モノマーを含むことが好ましい。
【0038】
前記単量体成分中に占める架橋性モノマーの含有率(本明細書では該含有率を「架橋度」と称することもある)は、上述したとおり、樹脂粒子の特性(3.0以上の60%圧縮時回復率/40%圧縮時回復率および100〜3000N/mm
2の10%K値)を制御する上で、単量体成分中40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは35質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。単量体成分中に占める架橋性モノマーの含有率の下限は、樹脂粒子を優れた耐溶剤性を有するものとする観点から、1質量%以上が好ましく、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上である。
【0039】
前記単量体成分が含有する前記非架橋性モノマーは、樹脂粒子の特性(3.0以上の60%圧縮時回復率/40%圧縮時回復率および100〜3000N/mm
2の10%K値)を制御する上で、スチレン系単官能モノマーを含むことが好ましい。スチレン系単官能モノマーとしては、上述したアルキルスチレン類、ハロゲン基含有スチレン類等が挙げられるが、中でもアルキルスチレン類が好ましく、特にスチレンが好ましい。
前記スチレン系単官能モノマーの含有量は、全非架橋性モノマー中、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。なお、単量体成分中に占める非架橋性モノマーの含有量は、単量体成分から全架橋性モノマーを除いた残部に相当する。
【0040】
2.導電性微粒子
本発明の導電性微粒子は、前記樹脂粒子(基材)の表面に少なくとも一層の導電性金属層が形成されている。導電性金属層を構成する金属としては特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、白金、鉄、鉛、アルミニウム、クロム、パラジウム、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、スズ、コバルト、インジウム及びニッケル−リン、ニッケル−ホウ素等の金属や金属化合物、及び、これらの合金等が挙げられる。これらの中でも、金、ニッケル、パラジウム、銀、銅、錫が導電性に優れた導電性微粒子となることから好ましい。また、安価な点で、ニッケル、ニッケル合金(Ni−Au、Ni−Pd、Ni−Pd−Au、Ni−Ag、Ni−P、Ni−B、Ni−Zn、Ni−Sn、Ni−W、Ni−Co、Ni−Ti);銅、銅合金(CuとFe、Co、Ni、Zn、Sn、In、Ga、Tl、Zr、W、Mo、Rh、Ru、Ir、Ag、Au、Bi、Al、Mn、Mg、P、Bからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素との合金、好ましくはAg、Ni、Sn、Znとの合金);銀、銀合金(AgとFe、Co、Ni、Zn、Sn、In、Ga、Tl、Zr、W、Mo、Rh、Ru、Ir、Au、Bi、Al、Mn、Mg、P、Bからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素との合金、好ましくはAg−Ni、Ag−Sn、Ag−Zn);錫、錫合金(たとえばSn−Ag、Sn−Cu、Sn−Cu−Ag、Sn−Zn、Sn−Sb、Sn−Bi−Ag、Sn−Bi−In、Sn−Au、Sn−Pb等)等が好ましい。中でもニッケル、ニッケル合金が好ましい。また、導電性金属層は、単層でもよいし複層であってもよく、複層の場合には、例えば、ニッケル−金、ニッケル−パラジウム、ニッケル−パラジウム−金、ニッケル−銀等の組合せが好ましく挙げられる。
【0041】
前記導電性金属層の厚さは、0.010μm以上が好ましく、より好ましくは0.030μm以上、さらに好ましくは0.050μm以上であり、0.30μm以下が好ましく、より好ましくは0.25μm以下、さらに好ましくは0.20μm以下、特に好ましくは、0.15μm以下である。導電性金属層の厚さが上記範囲内であれば、導電性微粒子を異方性導電材料として用いる際に、安定した電気的接続が維持できる。導電性金属層の厚さは、例えば実施例で後述する方法で測定することができる。
【0042】
なお、前記導電性金属層は、樹脂粒子表面の少なくとも一部を被覆していればよいが、導電性金属層の表面には、実質的な割れや、導電性金属層が形成されていない面が存在しないことが好ましい。ここで、「実質的な割れや、導電性金属層が形成されていない面」とは、電子顕微鏡(倍率1000倍)を用いて任意の10000個の導電性微粒子の表面を観察したときに、導電性金属層の割れ、および、樹脂粒子表面の露出が、実質的に目視で観察されないことを意味する。
【0043】
本発明の導電性微粒子の個数平均粒子径は、8.0μm以上が好ましく、より好ましくは8.5μm以上、さらに好ましくは9.0μm以上、さらに好ましくは10.0μm以上、51.0μm以下が好ましく、より好ましくは41.0μm以下、さらに好ましくは31.0μm以下、さらに好ましくは26.0μm以下である。個数平均粒子径がこの範囲内であれば、例えばタッチパネル用、LED用などに用いる半導体実装における電極や配線の電気接続に対して、好適に使用できる。タッチパネル用としては、例えばタッチパネル引き出し回路とフレキシブルプリント配線板(FPC)との接続が例示される。
なお、導電性微粒子の個数平均粒子径としては、フロー式粒子像解析装置(シスメックス社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて求めた、3000個の粒子の個数基準の平均粒子径を採用することが好ましい。
【0044】
本発明の導電性微粒子は、表面の少なくとも一部に絶縁性樹脂層を有することもできる。つまり、前記導電性金属層の表面にさらに絶縁性樹脂層を設けた態様であってもよい。このように表面の導電性金属層にさらに絶縁性樹脂層が積層されていると、高密度回路の形成時や端子接続時などに生じやすい横導通を防ぐことができる。
前記絶縁性樹脂層としては、導電性微粒子の粒子間における絶縁性が確保でき、一定の圧力及び/又は加熱により容易にその絶縁性樹脂層が崩壊あるいは剥離するものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンなどのポリオレフィン類;ポリメチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート重合体および共重合体;ポリスチレン;等の熱可塑性樹脂やその架橋物;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂(メラミン樹脂等)等の熱硬化性樹脂;ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂およびこれらの混合物;等が挙げられる。但し、基材粒子(樹脂粒子)に比べて絶縁性樹脂層が余りにも硬過ぎる場合には、絶縁性樹脂層の破壊よりも先に基材粒子自体が破壊してしまうおそれがある。したがって、絶縁性樹脂層には、未架橋または比較的架橋度の低い樹脂を用いることが好ましい。
【0045】
前記絶縁性樹脂層は、単層であっても、複数の層からなるものであってもよい。例えば、単一又は複数の皮膜状の層が形成されていてもよいし、絶縁性を有する粒状、球状、塊状、鱗片状その他の形状の粒子を導電性金属層の表面に付着させた層であってもよいし、さらには、導電性金属層の表面を化学修飾することにより形成された層であってもよく、または、これらが組み合わされたものであってもよい。絶縁性樹脂層の厚さは0.01〜1.0μmが好ましく、より好ましくは0.02μm以上0.5μm以下、さらに好ましくは0.03μm以上0.4μm以下である。絶縁性樹脂層の厚さが前記範囲内であれば、導電性粒子による導通特性を良好に維持しつつ、粒子間の電気絶縁性が良好となる。
【0046】
本発明の導電性微粒子は、その表面が平滑であっても凹凸状であっても良いが、バインダー樹脂を効果的に排除して電極との接続を行える点で複数の突起を有することが好ましい。突起を有することで、本発明の導電性微粒子を電極間の接続に用いた際に、初期抵抗値の低い接続が得られ易く、また接続信頼性を一層高めることができる。
【0047】
本発明の導電性微粒子の表面に突起を形成させる方法としては、(1)基材粒子合成における重合工程において、高分子の相分離現象を利用して表面に突起の形成された基材粒子を得た後、無電解メッキにより導電性金属層を形成させる方法;(2)基材粒子表面に、金属粒子、金属酸化物粒子等の無機粒子或いは有機重合体からなる有機粒子を付着させた後、無電解メッキにより導電性金属層を形成させる方法;(3)基材粒子表面に無電解メッキを行った後、金属粒子、金属酸化物粒子等の無機粒子或いは有機重合体からなる有機粒子を付着させ、さらに無電解メッキを行う方法;(4)無電解メッキ反応時におけるメッキ浴の自己分解を利用して、基材粒子表面に突起の核となる金属を析出させ、さらに無電解メッキを行うことによって、突起部を含む導電性金属層が連続皮膜となった導電性金属層を形成する方法;等が挙げられる。
【0048】
前記突起の高さは20nm〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは30nm〜800nm、さらに好ましくは40nm〜600nm、特に好ましくは50nm〜500nmである。突起の高さが前記範囲であると、接続信頼性が一層向上する。なお、突起の高さは、任意の導電性微粒子10個を電子顕微鏡で観察して求める。具体的には、観察される導電性微粒子の周縁部の突起について、導電性微粒子1個につき任意の10個の突起高さを測定し、その測定値を算術平均することにより求められる。
前記突起の数は特に限定されないが、高い接続信頼性を確保する点から導電性微粒子の表面を電子顕微鏡で観察したときの任意の正投影面において、少なくとも1個以上の突起を有することが好ましく、より好ましくは5個以上、さらに好ましくは10個以上である。
【0049】
3.製造方法
まず基材とする前記樹脂粒子の製造方法について説明する。
樹脂粒子の製造方法としては、上述の単量体成分を重合するものであれば、特に制限はなく、乳化重合、懸濁重合、分散重合、シード重合、ゾルゲルシード重合法等の従来公知の方法を採用できる。樹脂粒子の粒子径の制御が容易であり粒度分布の小さい樹脂粒子が得られやすいという点では、例えば、シード重合法により樹脂粒子を合成した後、分級する方法等が好ましく採用される。
【0050】
前記シード重合法は、単量体成分の一部(シード粒子形成モノマー)からシード粒子調製工程、シード粒子に単量体成分の残部(吸収モノマー)を吸収させる吸収工程、シード粒子に吸収させた単量体成分を重合反応させる重合工程を経て樹脂粒子を得る方法である。各工程における手法や条件等は、公知のシード重合法の手法を適宜採用すればよく特に制限されないが、例えば以下の手法等が好ましく採用される。
【0051】
前記シード粒子調製工程において、ビニル系架橋性単量体またはビニル系非架橋性単量体をシード形成モノマーとして用いる場合には、ソープフリー乳化重合、分散重合等の方法で前記モノマーを重合させることにより、シード粒子を調製すればよい。この場合、シード形成モノマーとしてスチレン等のスチレン系単官能モノマーを用いることが好ましい。また、加水分解性基を有するシラン系架橋性単量体またはシラン系非架橋性単量体をシード形成モノマーとして用いる場合には、水を含む溶媒(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、(シクロ)パラフィン類、芳香族炭化水素類等の有機溶剤と水との混合溶媒)中で加水分解して前記モノマーを縮重合させることにより、シード粒子(ポリシロキサン粒子)を調製すればよい。加水分解し、縮重合させるにあたっては、触媒として、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の塩基性触媒を好ましく用いることができ、さらに必要に応じて、アニオン性、カチオン性、非イオン性の界面活性剤や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の高分子分散剤を併用することができる。
【0052】
前記吸収工程においてシード粒子に単量体成分の残部(吸収モノマー)を吸収させる方法としては、特に制限はなく、例えば、予めシード粒子を溶媒中に分散させたシード粒子分散液に吸収モノマーを加えてもよいし、吸収モノマーを含む溶媒中にシード粒子を加えてもよいが、特に、前者の手法において、重合または加水分解、縮合により得られた反応液をそのままシード粒子分散液とすることが、工程の簡略化、生産性の観点から好ましい。吸収モノマーは、それ単独で添加してもよいし、溶媒に溶解させた溶液として添加してもよいが、シード粒子に効率よく吸収させるうえでは、乳化剤を用いて予め水又は水性媒体(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類等の水溶性有機溶剤またはこれらと水との混合溶媒)に乳化、分散させて乳化液としておき添加することが好ましい。
【0053】
前記吸収モノマーを乳化剤で乳化分散させる際には、乳化剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン性界面活性剤が、シード粒子が吸収モノマーを吸収した後のシード粒子の分散状態を安定化させることもできる点で好ましく用いられる。また、乳化分散の際に用いる水又は水性媒体の量は、通常、吸収モノマーの質量に対して0.3倍以上10倍以下である。
【0054】
吸収工程において、吸収モノマーがシード粒子に吸収されたかどうかの判断については、例えば、吸収モノマーを加える前及び吸収段階終了後に、顕微鏡により粒子を観察し、吸収モノマーの吸収により粒子径が大きくなっていることを確認することで容易に判断できる。なお、本発明における樹脂粒子を得るためには、下記式で示される吸収倍率は、特に限定されるものではないが、1.0倍以上、50倍以下であることが好ましい。
吸収倍率=(吸収させる吸収モノマーの総質量)/(シード粒子の質量)
【0055】
前記重合工程において採用する重合方法は、特に限定されず、例えば、ラジカル重合開始剤(例えば、過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤等)を用いる方法など公知の方法を用いることができる。ラジカル重合を行う際の反応温度は40℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上であり、100℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以下である。反応温度が低すぎると、重合度が十分に上がらず得られる粒子の機械的特性が不充分となる傾向があり、一方、反応温度が高すぎると、重合中に粒子間の凝集が起こりやすくなる傾向がある。なお、ラジカル重合を行う際の反応時間は、用いる重合開始剤の種類に応じて適宜変更すればよいが、通常、5分以上が好ましく、より好ましくは10分以上であり、600分以下が好ましく、より好ましくは300分以下である。反応時間が短すぎると、重合度が十分に上がらない場合があり、反応時間が長すぎると、粒子間で凝集が起こり易くなる傾向がある。
【0056】
上記のようにして合成した樹脂粒子は、所定の粒子径となるように分級に供することが好ましい。分級方法は特に限定されず、例えば、電成ふるい等によるふるい分け;メンブランフィルター、プリーツフィルター、セラミック膜フィルター等のフィルターを使用した濾過;質量差及び流体抵抗差の相互作用によって分級する公知の装置(粒子の落下速度等の重力差が原理である重力分級機、自由渦又は半自由渦による遠心力と空気抗力の釣り合いを原理とする(半)自由渦遠心分級、回転する分級羽根(ローター)によってつくられる回転流によって生じる遠心力と空気による抗力の釣り合いを原理とする回転羽根付き遠心分級)を用いた分級;等が挙げられる。これらの中でも、分級精度と生産性の観点から電成ふるいを用いた分級が好ましい。
合成後、必要に応じて分級された樹脂粒子は、通常、乾燥され、場合によっては焼成に付される。乾燥温度は特に限定されないが、通常50℃〜250℃の範囲である。
【0057】
次に、以上のようにして得られた樹脂粒子(基材)に導電性金属層を形成し、必要に応じてさらに絶縁性樹脂層を形成することにより、導電性微粒子が得られる。
導電性金属層の形成方法および絶縁性樹脂層の形成方法は特に限定されないが、例えば導電性金属層は、基材表面に無電解メッキ法、電解メッキ法等によってメッキを施す方法;基材表面に真空蒸着、イオンプレーティング、イオンスパッタリング等の物理的蒸着方法により導電性金属層を形成する方法;等により形成できる。これらの中でも特に無電解メッキ法が、大掛かりな装置を必要とせず容易に導電性金属層を形成できる点で好ましい。
【0058】
4.異方性導電材料
本発明の異方性導電材料は、上記本発明の導電性微粒子がバインダー樹脂に分散してなるものである。かかる異方性導電材料は、低圧での加圧接続に供した際にも、接続信頼性を損なうことなく初期抵抗を十分に下げることができる。
異方性導電材料の形態は特に限定されず、例えば、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、異方性導電接着剤、異方性導電インクなど様々な形態が挙げられる。これらの異方性導電材料を相対向する基板同士や電極端子間に設けることにより、良好な電気的接続が可能になる。なお、本発明の導電性微粒子を用いた異方性導電材料には、液晶表示素子用導通材料(導通スペーサーおよびその組成物)も含まれる。異方性導電材料の好適な用途としてはタッチパネルの入力用、LED用などが挙げられ、特にタッチパネルの実装用に好適に用いられる。
【0059】
前記バインダー樹脂としては、絶縁性の樹脂であれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などの熱可塑性樹脂;グリシジル基を有するモノマーやオリゴマーおよびイソシアネートなどの硬化剤との反応により硬化する硬化性樹脂組成物;光や熱により硬化する硬化性樹脂組成物;等が挙げられる。
なお、本発明の異方性導電材料は、前記バインダー樹脂中に本発明の導電性微粒子を分散させ、所望の形態とすることで得られるが、例えば、バインダー樹脂と導電性微粒子とを別々に使用し、接続しようとする基材間や電極端子間に導電性微粒子をバインダー樹脂とともに存在させることによって接続してもかまわない。
【0060】
本発明の異方性導電材料において、導電性微粒子の含有量は、用途に応じて適宜決定すればよいが、例えば、異方性導電材料の全量に対して1体積%以上が好ましく、より好ましくは2体積%以上、さらに好ましくは5体積%以上であり、50体積%以下が好ましく、より好ましくは30体積%以下、さらに好ましくは20体積%以下である。導電性微粒子の含有量が少なすぎると、充分な電気的導通が得られ難い場合があり、一方、導電性微粒子の含有量が多すぎると、導電性微粒子同士が接触してしまい、異方性導電材料としての機能が発揮され難い場合がある。
【0061】
本発明の異方性導電材料におけるフィルム膜厚、ペーストや接着剤の塗工膜厚、印刷膜厚等については、使用する本発明の導電性微粒子の粒子径と、接続すべき電極の仕様とを考慮し、接続すべき電極間に導電性微粒子が狭持され、且つ接続すべき電極が形成された接合基板同士の空隙がバインダー樹脂層により充分に満たされるように、適宜設定することが好ましい。
【実施例】
【0062】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
【0063】
1.物性測定方法
各種物性の測定は以下の方法で行った。
<シード粒子および樹脂粒子の個数平均粒子径・変動係数(CV値)>
樹脂粒子の場合には、樹脂粒子0.1部に、乳化剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬株式会社製「ハイテノール(登録商標)N−08」)の1%水溶液20部を加え、超音波で10分間分散させた分散液を測定試料とした。シード粒子の場合には、加水分解、縮合反応で得られた分散液をポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬株式会社製「ハイテノール(登録商標)N−08」)の1%水溶液により希釈したものを測定試料とした。これら測定試料を用い、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「コールターマルチサイザーIII型」)により30000個の粒子の粒子径(μm)を測定し、個数平均粒子径を求めた。また樹脂粒子については、個数平均粒子径とともに個数基準での粒子径の標準偏差をも求め、下記式に従って粒子径の変動係数(CV値)を算出した。
粒子の変動係数(%)=100×(粒子径の標準偏差/個数平均粒子径)
【0064】
<導電性金属層の膜厚>
フロー式粒子像解析装置(シスメックス社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて、基材粒子(樹脂粒子)3000個の個数平均粒子径X(μm)および導電性微粒子3000個の個数平均粒子径Y(μm)を測定した。なお、測定は、粒子0.25部に、乳化剤であるポリオキシエチレンオレイルエーテル(花王株式会社製「エマルゲン(登録商標)430」)の1.4%水溶液17.5部を加え、超音波で10分間分散させた後に行なった。そして、下記式に従って導電性金属層の膜厚を算出した。
導電性金属層膜厚(μm)=(Y−X)/2
【0065】
<樹脂粒子の10%K値、40%圧縮荷重値および60%圧縮荷重値>
微小圧縮試験機(島津製作所社製「MCT−W500」)を用いて、室温(25℃)において、試料台(材質:SKS材平板)上に散布した粒子1個について、直径50μmの円形平板圧子(材質:ダイヤモンド)を用いて、「軟質表面検出」モードで、粒子の中心方向へ一定の負荷速度(0.441N/秒(0.045kgf/秒))で荷重をかけ、圧縮変位が粒子径の10%になったときの荷重値(10%圧縮荷重値)(mN)とそのときの変位量(μm)を測定した。他方、同様にして、圧縮変位が粒子径の40%になったときの荷重値(40%圧縮荷重値)(mN)と、圧縮変位が粒子径の60%になったときの荷重値(60%圧縮荷重値)(mN)とを測定した。なお、測定は各試料について、異なる10個の粒子に対して行い、平均した値を測定値とした。10%K値は、得られた10%圧縮荷重値(mN)を圧縮荷重(N)に換算し、そのとき得られた変位量(μm)を圧縮変位(mm)に換算し、樹脂粒子の平均粒子径(μm)から粒子の半径(mm)を算出し、これらを用いて下記式に基づき算出した。なお上記測定は、25℃の恒温雰囲気下で行った。
【0066】
【数2】
(ここで、E:圧縮弾性率(N/mm
2)、F:圧縮荷重(N)、S:圧縮変位(mm)、R:粒子の半径(mm)である。)
【0067】
<樹脂粒子の回復率(40%圧縮時、60%圧縮時)>
微小圧縮試験機(島津製作所社製「MCT−W500」)を用いて、室温(25℃)において、試料台(材質:SKS材平板)上に散布した粒子1個について、直径50μmの円形平板圧子(材質:ダイヤモンド)を用い、「軟質表面検出」モードで、粒子の中心方向へ一定の負荷速度(0.441N/秒(0.045kgf/秒))で上記で求めた40%圧縮荷重値または60%圧縮荷重値が最大荷重となる様に圧縮し、そのときの変位量(μm)を測定し、これを最大変位量L1とした。次いで、一定の除負荷速度(0.441N/秒(0.045kgf/秒))で最小荷重(0.049mN)まで荷重を減らしていったときの最大荷重から最小荷重までの間の変位量(μm)を測定し、これを回復変位量L2とした。回復率は、最大変位量L1および回復変位量L2から下記式に基づき算出した。なお、測定は各試料について、異なる10個の粒子に対して行い、平均した値を測定値とした。また40%圧縮時の回復率と60%圧縮時の回復率とは別々に測定した。上記測定は25℃の恒温雰囲気下で行った。
回復率(%)=(L2/L1)×100
【0068】
2.導電性微粒子の製造
2−1.基材(樹脂粒子)の作製
(製造例1)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水1003.1部と、25%アンモニア水15.4部を入れ、攪拌下、滴下口から、単量体成分(シード形成モノマー)として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以下「MPTMS」と称することもある)100.0部、及びメタノール173.9部を添加し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解、縮合反応を行って、メタクリロイル基を有する重合性ポリシロキサン粒子(シード粒子)の分散液を調製した。このポリシロキサン粒子の個数基準の平均粒子径は4.30μmであった。
【0069】
次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製「ハイテノール(登録商標)NF−08」)の20%水溶液12.5部をイオン交換水500部に溶解した溶液に、単量体成分(吸収モノマー)としてジビニルベンゼン(新日鐡化学社製「DVB960」:ジビニルベンゼン96%、ビニル系非架橋性単量体(エチルビニルベンゼン等)4%含有品)(以下「DVB」と称することもある)500.0部と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)12.0部とを溶解した溶液を加え、乳化分散させて単量体成分(吸収モノマー)の乳化液を調製した。乳化分散の開始から2時間後、得られた乳化液を、ポリシロキサン粒子(シード粒子)の分散液中に添加して、さらに攪拌を行った。乳化液の添加から1時間後、混合液をサンプリングして顕微鏡で観察を行ったところ、ポリシロキサン粒子が吸収モノマーを吸収して肥大化していることが確認された。
【0070】
次いで、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製「ハイテノール(登録商標)NF−08」)の20%水溶液25.0部を加え、窒素雰囲気下で反応液を65℃まで昇温させて、65℃で2時間保持し、単量体成分のラジカル重合を行った。ラジカル重合後の乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、メタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下280℃で1時間焼成し、樹脂粒子(1)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
【0071】
(製造例2)
イオン交換水、メタノール、アンモニア水の量を適宜変更し、個数基準の平均粒子径が4.94μmのシード粒子を作製した後、吸収モノマーの種類と使用量をジビニルベンゼン(新日鐡化学社製「DVB960」:ジビニルベンゼン96%、ビニル系非架橋性単量体(エチルビニルベンゼン等)4%含有品;DVB)375.0部とスチレン(以下「St」と称することもある)125.0部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(2)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
【0072】
(製造例3)
吸収モノマーの種類と使用量をジビニルベンゼン(新日鐡化学社製「DVB960」:ジビニルベンゼン96%、ビニル系非架橋性単量体(エチルビニルベンゼン等)4%含有品;DVB)250.0部とスチレン(St)250.0部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(3)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
【0073】
(製造例4)
吸収モノマーの種類と使用量をシクロヘキシルメタクリレート(以下「CHMA」と称することもある)800.0部と1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(以下「1.6HX」と称することもある)200.0部に変更し、焼成の代わりに窒素雰囲気下80℃で4時間乾燥したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(4)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
【0074】
(製造例5)
イオン交換水、メタノール、アンモニア水の量を適宜変更し、個数基準の平均粒子径が3.24μmのシード粒子を作製した後、吸収モノマーの種類と使用量をシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)2000.0部に変更し、焼成の代わりに窒素雰囲気下40℃で12時間乾燥したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(5)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
【0075】
(製造例6)
イオン交換水、メタノール、アンモニア水の量を適宜変更し、個数基準の平均粒子径が3.24μmのシード粒子を作製した後、吸収モノマーの種類と使用量をメチルメタクリレート(以下「MMA」と称することもある)2000.0部に変更し、焼成の代わりに窒素雰囲気下80℃で4時間乾燥したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(6)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
【0076】
(製造例7)
イオン交換水、メタノール、アンモニア水の量を適宜変更し、個数基準の平均粒子径が4.57μmのシード粒子を作製した後、吸収モノマーの種類と使用量をメチルメタクリレート(MMA)750.0部に変更し、焼成の代わりに窒素雰囲気下80℃で4時間乾燥したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(7)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
【0077】
(製造例8)
イオン交換水、メタノール、アンモニア水の量を適宜変更し、個数基準の平均粒子径が3.24μmのシード粒子を作製した後、吸収モノマーの種類と使用量をt−ブチルメタクリレート(以下「tBMA」と称することもある)2000.0部に変更し、焼成の代わりに窒素雰囲気下40℃で12時間乾燥したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(8)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
【0078】
(製造例9)
イオン交換水、メタノール、アンモニア水の量を適宜変更し、個数基準の平均粒子径が4.95μmのシード粒子を作製した後、吸収モノマーの種類と使用量をスチレン(St)600.0部に変更し、焼成の代わりに窒素雰囲気下80℃で4時間乾燥したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(9)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
【0079】
(製造例10)
イオン交換水、メタノール、アンモニア水の量を適宜変更し、個数基準の平均粒子径が4.76μmのシード粒子を作製した後、吸収モノマーの種類と使用量をエチルメタクリレート(以下「EMA」と称することもある)2000.0部に変更し、焼成の代わりに窒素雰囲気下40℃で12時間乾燥したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(10)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
【0080】
(製造例11)
イオン交換水、メタノール、アンモニア水の量を適宜変更し、個数基準の平均粒子径が4.41μmのシード粒子を作製した後、吸収モノマーの種類と使用量をスチレン(St)1000.0部に変更し、焼成の代わりに窒素雰囲気下80℃で4時間乾燥したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(11)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
【0081】
(製造例12)
イオン交換水、メタノール、アンモニア水の量を適宜変更し、個数基準の平均粒子径が4.76μmのシード粒子を作製した後、吸収モノマーの種類と使用量をn−ブチルメタクリレート(以下「nBMA」と称することもある)900.0部と1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(1.6HX)100.0部に変更し、焼成の代わりに窒素雰囲気下40℃で12時間乾燥したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(12)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
【0082】
(製造例13)
イオン交換水、メタノール、アンモニア水の量を適宜変更し、個数基準の平均粒子径が4.76μmのシード粒子を作製した後、吸収モノマーの種類と使用量をn−ブチルメタクリレート(nBMA)900.0部と1,9−ノナンジオールジアクリレート(以下「1.9NDA」と称することもある)100.0部に変更し、焼成の代わりに窒素雰囲気下40℃で12時間乾燥したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(13)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
【0083】
(製造例14)
イオン交換水、メタノール、アンモニア水の量を適宜変更し、個数基準の平均粒子径が4.76μmのシード粒子を作製した後、吸収モノマーの種類と使用量をn−ブチルメタクリレート(nBMA)900.0部と1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(以下「1.6HXA」と称することもある)100.0部に変更し、焼成の代わりに窒素雰囲気下40℃で12時間乾燥したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(14)を得た。得られた樹脂粒子の各物性は表1に示すとおりであった。
【0084】
2−2.導電性微粒子の作製(導電性金属層の形成)
(実施例1)
樹脂粒子(9)を基材とし、該基材に水酸化ナトリウムによるエッチング処理を施した後、二塩化スズ溶液に接触させることによりセンシタイジングし、次いで二塩化パラジウム溶液に浸漬させることによりアクチベーティングする方法(センシタイジング−アクチベーション法)によって、パラジウム核を形成させた。次に、パラジウム核を形成させた樹脂粒子2部をイオン交換水400部に添加し、超音波分散処理を行った後、得られた樹脂粒子懸濁液を70℃の温浴で加温した。このように懸濁液を加温した状態で、別途70℃に加温した無電解めっき液(日本カニゼン(株)製「シューマー(登録商標)S680」)300部を加えることにより、無電解ニッケルめっき反応を生じさせた。水素ガスの発生が終了したことを確認した後、固液分離を行い、イオン交換水、メタノールの順で洗浄し、100℃で2時間真空乾燥して、ニッケルめっきを施した粒子を得た。次いで、得られたニッケルめっき粒子を、シアン化金カリウムを含有する置換金めっき液に加え、ニッケル層表面にさらに金めっきを施すことにより、導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子における導電性金属層の膜厚は0.12μmであった。
【0085】
(実施例2、比較例1〜12)
基材として表1に示す樹脂粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子を作製した。得られた導電性微粒子における導電性金属層の膜厚はいずれの例でも0.12μmであった。
【0086】
3.異方性導電材料の作製と評価
実施例および比較例で得られた導電性微粒子を用い、下記の方法で異方性導電材料(異方性導電ペースト)を作製し、低圧(3MPa)で加圧接続したときの初期抵抗および接続信頼性を下記の方法で評価した。評価結果は表1に示す。
すなわち、自転公転式攪拌機を用いて、導電性微粒子2.0部に、バインダー樹脂としてエポキシ樹脂(三井化学社製「ストラクトボンド(登録商標)XN−5A」)100部を添加して10分間攪拌して分散させ、異方性導電ペーストを得た。
得られた異方性導電ペーストを、100μmピッチにITO電極が配線されたガラス基板と100μmピッチにアルミパターンを形成したガラス基板との間に挟みこみ、3MPa、150℃の圧着条件で熱圧着するとともに、バインダー樹脂を硬化させることによって接続構造体を得た。
【0087】
そして、得られた接続構造体についての初期抵抗および接続信頼性を以下のようにして評価した。なお初期抵抗が「×」であったものについては、接続信頼性の評価は行わなかった。
<初期抵抗>
得られた接続構造体の電極間の初期抵抗値を測定し、初期抵抗値が5Ω以下の場合を「○」、5Ωを超える場合を「×」と評価した。
<接続信頼性>
得られた接続構造体を85℃、85%RHの雰囲気下に500時間放置した後、上記初期抵抗の評価と同様にして抵抗値を測定した。そして上記初期抵抗値をaとし、500時間後に測定した抵抗値をbとして、下記式に基づき算出した抵抗値上昇率(%)が3%以下の場合を「○」、3%を超える場合を「×」、と評価した。
抵抗値上昇率(%)=[(b−a)/a]×100
【0088】
【表1】