特許第5998082号(P5998082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5998082
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】回転継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/08 20060101AFI20160915BHJP
   F16J 15/34 20060101ALN20160915BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALN20160915BHJP
【FI】
   F16L27/08 Z
   !F16J15/34 Z
   !B23Q11/10 E
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-52201(P2013-52201)
(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公開番号】特開2014-177992(P2014-177992A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】591033755
【氏名又は名称】エヌティーツール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117031
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 知子
(74)【代理人】
【識別番号】100066131
【弁理士】
【氏名又は名称】佐竹 弘
(72)【発明者】
【氏名】森 達也
(72)【発明者】
【氏名】石川 徹
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05577775(US,A)
【文献】 特開2009−228804(JP,A)
【文献】 特開2000−205468(JP,A)
【文献】 実開平01−132342(JP,U)
【文献】 特開2001−050451(JP,A)
【文献】 特開平06−241366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L27/00−27/12
F16J15/34
B23Q11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
上記ハウジング内に備えられ、軸心位置には第3流体通路を有する回転自在の回転軸と、
上記ハウジング内における進退軸保持部に対して、上記回転軸に対向させる状態で軸線方向に進退動可能に備えられ、かつ、軸心位置には第2流体通路を有する進退軸と、
上記回転軸と、上記進退軸との対向面に設けられた一対の第1、第2シール部材とを備える回転継手であって、その回転継手は、
上記ハウジングにおける上記進退軸の後方位置には水流方向転換室を備え、その水流方向転換室の側方には、上記軸心方向に直交する方向から水流方向転換室に流体を供給するための第1流体通路における注入口を連通させ、
上記の水流方向転換室においては、後退位置にある進退軸の受圧端面から後部壁面までの後退方向寸法を、第1流体通路から水流方向転換室に流入する流体を受け入れ可能に、第1流体通路における注入口の内形寸法と同じか、又は少し大きく構成してあり、
上記水流方向転換室における上記軸心方向に直交する方向の広さは、上記進退軸の受圧端面の外形よりも広い範囲が得られる広さに構成してあり、
さらに上記水流方向転換室の内部においては、上記軸心上の位置に対して、
棒状に形成してある整流部材を、上記第1流体通路から送り込まれる流体が外周面に当たり、左右に分流させるように、長手方向を上記軸心に向けた状態で備えさせたことを特徴とする回転継手。
【請求項2】
ハウジングと、
上記ハウジング内に備えられ、軸心位置には第3流体通路を有する回転自在の回転軸と、
上記ハウジング内における進退軸保持部に対して、上記回転軸に対向させる状態で軸線方向に進退動可能に備えられ、かつ、軸心位置には第2流体通路を有する進退軸と、
上記回転軸と、上記進退軸との対向面に設けられた一対の第1、第2シール部材とを備える回転継手であって、その回転継手は、
上記ハウジングにおける上記進退軸の後方位置には水流方向転換室を備え、その水流方向転換室の側方には、上記軸心方向に直交する方向から水流方向転換室に流体を供給するための第1流体通路における注入口を連通させ、
上記の水流方向転換室においては、後退位置にある進退軸の受圧端面から後部壁面までの後退方向寸法を、第1流体通路から水流方向転換室に流入する流体を受け入れ可能に、第1流体通路における注入口の内形寸法と同じか、又は少し大きく構成してあり、
上記水流方向転換室における上記軸心方向に直交する方向の広さは、上記進退軸の受圧端面の外形よりも広い範囲が得られる広さに構成してあり、
さらに上記水流方向転換室の内部においては、上記軸心上の位置に対して、
棒状に形成してある整流部材を、上記第1流体通路から送り込まれる流体が外周面に当たり、左右に分流させるように、長手方向を上記軸心に向けた状態で備えさせ、
その上、上記棒状に形成してある整流部材の進退軸の側には、水流方向転換室から進退軸の第2流体通路の内部に向けて延長させ、上記進退軸側の第1シール部材の存在位置には至らない長さに設定されたガイド部を備えさせ、そのガイド部の外径は、水流方向転換室から回転軸の第3流体通路に向けて流れる流体が、ガイド部の外周面と第3流体通路の内周面との間の比較的狭くなっている中空状流路を通過して流れるように構成してあることを特徴とする回転継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転継手に関し、詳しくは、タレット旋盤、複合旋盤等の工作機械における回転装置と流体源とを結合する場合に利用できる回転継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回転継手(流体連結装置、ロータリジョイント等とも称されている)としては、例えば特許文献1に示される回転継手等が広く知られている。
例えば特許文献1の図1、2に示されるもの、即ち、本件の図5、6に転記して示される回転継手の具体的な構成は次の通りである。
【0003】
特許文献1の図1、2(本件の図5、6)は、ロータリジョイントの実施例の構成を示す図であり、図については、
『ロータリジョイント1が、工作機械の主軸装置3の後端部に取り付けられている。主軸装置3は、主軸頭5に軸受7によって主軸9を回転自在に支持する構成になっている。一方、ロータリジョイント1の第1ハウジング11は、主軸頭5と同軸に主軸頭5端面に固定されている。ロータリジョイント1の回転軸13は、主軸9と同軸に主軸9端面にねじ結合によって固定され、第1ハウジング11内に形成した空間部に収容されている。
【0004】
回転軸13の主軸9と反対側の端面には、シール部材15が固着されている。シール部材15と対面したシール部材17が移動軸19の一端面に固着され、移動軸19は、第1ハウジング11の円筒孔21内に軸線方向に移動可能に嵌着されている。ダイヤフラム31がその外周を第1ハウジング11と第2ハウジング12とに挾まれて固定され、第1ハウジング11と第2ハウジング12とを隔離するように張設されている。そしてこのダイヤフラム31の弾性力によって常時移動軸19を主軸9と反対方向に付勢し、一対のシール部材15、17を非接触状態にしている。移動軸19のシール部材17側はフランジ形状をしており、該フランジ形状部に形成した切欠22とピン23とが係合することによって回り止めされている。
【0005】
さらに、第1ハウジング11内の空間には、ハウジングの環状突出部27が形成され、間隔をあけてカラー25がスナップリングで取着されている。カーボンリング29が回転軸13に嵌着されるとともに、カラー25と環状突出部27との間に挾まれて装着され、第1ハウジング11と回転軸13との間のシール手段を構成している。
【0006】
第1ハウジング11内には、一対のシール部材15、17を収容する空間59が形成され、この空間59は、連通路33によって、第1ハウジング11とダイヤフラム31と移動軸19外周とによって囲まれた空間35と連通している。空間59、連通路33、および空間35によって特許請求の範囲に記載の第2空間が構成され、この第2空間にはポート41、43が開口している。一方第2ハウジング12の内部には、ダイヤフラム31に圧力を作用させる流体を受容する第1空間37が形成され、ポート39が開口している。ポート43は、電磁開閉弁45を介してドレンタンク47へ接続されている。
【0007】
加工液供給源からの加工液はチェック弁49を経てポート39へ導入される。
移動軸19、シール部材15、17、回転軸13、主軸9には、同軸の流体通路57が形成されており、加工液を主軸9先端に装着した工具(図示せず)へ送るようになっている。』と、説明されている。
【0008】
なお、上記の特許文献1に関わる技術的事項に関しての説明において使用した符号(本件添付の図5、6に用いられている符号)については、特許文献1の図1、2において用いられた特有の符号を転記して使用したもので、本発明に係る[発明を実施するための最良の形態]の欄において、図1図4について用いる符号とは関係がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−241366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1のロータリジョイント1に関わる構成においては、ダイヤフラム31の外周を第1ハウジング11と第2ハウジング12との間に挾む状態で固定し、ダイヤフラム31の内周は、軸心方向に進退自在の移動軸19の外周に対して装着してある。しかもダイヤフラム31の中間位置の前後には、所定寸法の空間を形成し、かつ、ダイヤフラム31の弾性力によって常時移動軸19を主軸9と反対方向に付勢するように構成されている。
【0011】
上記構成にあって、移動軸19を軸心方向に進退駆動する為の構成として、ハウジングの構成を、第1ハウジング11と、第2ハウジング12との2部材で構成しなければならず、さらに、ダイヤフラム31の周辺を、第1ハウジング11、第2ハウジング12間に装着すると共に、ダイヤフラム31の内周側は、軸心方向に進退自在に構成してある移動軸19の外周に対して装着する構成を採用しているので、組み立て作業が極めて困難を伴い、高度の技術を必要とする技術上の問題点があった。
また、当然のことながら、材料及び組み立てコストも高くなる経済上の問題点があった。
さらにまた、ダイヤフラム31等の動部材を採用している為、故障率も高くなり、利用する装置の稼働率にも悪影響がでる稼働上の問題点があった。
【0012】
さらに特許文献1のロータリジョイント1に関わる構成においては、移動軸19の流体通路57に対する加工液の供給を、軸線方向の後方から(本件の図5の右方向から)行っている。従って、移動軸19の軸線方向の後方位置の空間に対して種々な付属装置を配置しようとしても、配置できないスペース上の問題点もあった。
【0013】
そこで出願人会社においては、移動軸19の流体通路57の後方に部屋を設け、その部屋に向けて側方から(移動軸19の軸線に直交する方向から)加工液の供給を行うことを試みた。しかも、上記ダイヤフラム31を備えさせると、前述したように材料及び組み立てコストが高くなる等の色々な問題が発生するので、上記ダイヤフラム31を備えさせない構成にした。
ところが、上記流体通路57の後方に備えさせた部屋に向けて側方から加工液を供給した場合には、部屋内において、キャビテーションが発生し、移動軸19に対する圧力が不足し、移動軸19の動きは悪く、一対のシール部材15、17の間に期待通りの接触状態が得られず、液漏れが発生する問題点が生じた。
【0014】
本件出願の目的は、上記課題を解決するもので、進退軸を利用しての加工液の供給に当り、進退軸の後方位置に対して、進退軸の軸線に直交する方向から加工液の供給が行えるようにすることにより、進退軸の後方位置に大きなスペースを確保し、他の装置を配設可能にできるようにした回転継手を提供しようとするものである。
他の目的は、上記のように、進退軸の後方位置に対して、軸線に直交する方向から加工液の供給が行えるように構成したものであっても、進退軸を軸心方向に進退駆動する構成として、ダイヤフラム等の動部材を使用することなく、構成簡易な構造で進退駆動の目的が達成できるようにした回転継手を提供しようとするものである。
他の目的は、ダイヤフラム等の動部材の使用を排除することにより故障発生率を低下できるようにした回転継手を提供しようとするものである。
他の課題、目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明における回転継手Rは、ハウジング6と、上記ハウジング6内に備えられ、軸心位置には第3流体通路13を有する回転自在の回転軸12と、上記ハウジング6内における進退軸保持部7に対して、上記回転軸12に対向させる状態で軸線方向に進退動可能に備えられ、かつ、軸心位置には第2流体通路28を有する進退軸27と、上記回転軸12と、上記進退軸27との対向面に設けられた一対の第1、第2シール部材(15、29)とを備える回転継手Rであって、その回転継手Rは、上記ハウジング6における上記進退軸27の後方位置には水流方向転換室35を備え、その水流方向転換室35の側方には、上記軸心方向9aに直交する方向から水流方向転換室35に流体を供給するための第1流体通路37における注入口37aを連通させ、上記の水流方向転換室35においては、後退位置にある進退軸の受圧端面31から後部壁面35bまでの後退方向寸法W3を、第1流体通路37から水流方向転換室35に流入する流体を受け入れ可能に、第1流体通路37における注入口37aの内形寸法D3と同じか、又は少し大きく構成してあり、上記水流方向転換室35における上記軸心方向9aに直交する方向の広さは、上記進退軸の受圧端面31の外形よりも広い範囲が得られる広さに構成してあり、さらに上記水流方向転換室35の内部においては、上記軸心上の位置に対して、棒状に形成してある整流部材41を、上記第1流体通路37から送り込まれる流体が外周面に当たり、左右に分流させるように、長手方向を上記軸心9aに向けた状態で備えさせたものである。
【0016】
また好ましくは、ハウジング6と、上記ハウジング6内に備えられ、軸心位置には第3流体通路13を有する回転自在の回転軸12と、上記ハウジング6内における進退軸保持部7に対して、上記回転軸12に対向させる状態で軸線方向に進退動可能に備えられ、かつ、軸心位置には第2流体通路28を有する進退軸27と、上記回転軸12と、上記進退軸27との対向面に設けられた一対の第1、第2シール部材(15、29)とを備える回転継手Rであって、その回転継手Rは、上記ハウジング6における上記進退軸27の後方位置には水流方向転換室35を備え、その水流方向転換室35の側方には、上記軸心方向9aに直交する方向から水流方向転換室35に流体を供給するための第1流体通路37における注入口37aを連通させ、上記の水流方向転換室35においては、後退位置にある進退軸の受圧端面31から後部壁面35bまでの後退方向寸法W3を、第1流体通路37から水流方向転換室35に流入する流体を受け入れ可能に、第1流体通路37における注入口37aの内形寸法D3と同じか、又は少し大きく構成してあり、上記水流方向転換室35における上記軸心方向9aに直交する方向の広さは、上記進退軸の受圧端面31の外形よりも広い範囲が得られる広さに構成してあり、さらに上記水流方向転換室35の内部においては、上記軸心上の位置に対して、棒状に形成してある整流部材41を、上記第1流体通路37から送り込まれる流体が外周面に当たり、左右に分流させるように、長手方向を上記軸心9aに向けた状態で備えさせ、その上、上記棒状に形成してある整流部材41の進退軸27の側には、水流方向転換室35から進退軸27の第2流体通路28の内部に向けて延長させ、上記進退軸側の第1シール部材29の存在位置には至らない長さに設定されたガイド部43を備えさせ、そのガイド部43の外径は、水流方向転換室35から回転軸12の第3流体通路13に向けて流れる流体が、ガイド部43の外周面と第3流体通路13の内周面との間の比較的狭くなっている中空状流路48を通過して流れるように構成してある。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明は、第1流体通路37から加工液を水流方向転換室35に送り、この加工液が進退軸27の第2流体通路28に向けて流れる過程で、進退軸27の受圧端面31を押圧して、進退軸27を前進させ、一対の第1、第2シール部材15、29を接触状態にして、液体の無駄な漏洩をなくし、かつ、第1、第2シール部材15、29間の潤滑作用をもたらす効果がある。
【0018】
しかも、第1流体通路37から流体を水流方向転換室35に送り、その流体で進退軸27の受圧端面31を押圧する構成であっても、第1流体通路37から、水流方向転換室35に向けての流体の供給方向は、上記軸心方向9aに直交する方向から水流方向転換室35に流体を供給するものであるから、
進退軸27の受圧端面31からハウジング6の後端面6aの間を極めて短小化できる特長がある。
このことは、ハウジング6の後端面6aから後方における空間を有意義に活用できる利点があり、装置全体の小型コンパクト化を図る上に有益な効果がある。
【0019】
さらに本発明にあっては上記のように、進退軸27の受圧端面31からハウジング6の後端面6aの間を極めて短小化するために、水流方向転換室35に対する第1流体通路37を上記軸芯9aに対して、直交する方向から、水流方向転換室35に向けて流すようにしたものであっても、
水流方向転換室35の軸線9a位置には、棒状に形成してある整流部材41を、上記第1流体通路37から送り込まれる流体が外周面に当たり、左右に分流されるように、長手方向を上記軸心9aに向けた状態で備えさせたものであるから、
第1流体通路37から、水流方向転換室35の中央部に向けて流れ込んだ流体は、整流部材41の存在により左右の周壁35aに向けて向きを変えながら流れ、さらには進退軸27の受圧端面31の内側に存在している中空状流路48の導入口46に向きを変えて、整流された状態で流れ、さらにその流れは第2流体通路28に向かう。
そして、その途中に存在する進退軸27の受圧端面31の全周に対しては、周囲から中空状流路48に吸い込まれるような強い整流により、強い押圧力を及ぼし、進退軸27を前進させ、第1、第2シール部材15と29を接触状態を維持する。
【0020】
上記のような構成においては、ダイヤフラム等の動部材を使用する必要性はなく、その構成は簡易で、部材も少なく、組み立ても容易となり、安価に提供できる産業上の効果がある。
また、当然のことながら、ダイヤフラム等の動部材の使用を排除することにより、従来頻繁に発生していた故障等の発生率を低下できる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】進退軸が後退位置にあって、一対のシール部材が非接触状態にある回転継手の断面図。
図2】進退軸が前進位置にあって、一対のシール部材が接触状態にある回転継手の断面図。
図3図1のIII−III線断面図。
図4】水流方向転換室と、整流部材と、第2流体通路と、ガイド部との関係を説明する為の図1の部分拡大図。
図5】公知例を説明するための断面図。
図6図5のII−II線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明の実施の形態を図1図4を用いて説明する。図1は、第1流体通路37に流体を流すことはなく、いまだ一対の第1、第2シール部材(15、29)を非接触状態にしてある回転継手Rの断面図を示す。
なお、図1図4において、数字符号1〜29が付されている部材、構成に係わる技術的事項に関しては、従来より周知の、例えば特許文献1の技術的事項を用いて実施することが可能である。このような事情から図示の実施例は簡単に説明する。
【0023】
1は工作機械、例えばタレット旋盤、複合旋盤等のフレームの後部を示し、第4流体通路10を備える主軸9は、軸受2を介してこの後部1により同軸的位置において、回転自在に支持されている。9aは主軸9(フレームの後部1)の軸心位置を示す。
【0024】
6は回転継手Rにおける中空のハウジングを示し、公知の材料を用いて形成してあり、フレームの後部1に対して任意の手段で連結一体化してある。なお、ハウジング6はフレームの後部1と同じ材料を用いて予め一体にしてあっても良い。6aはハウジング6の後端部を示す。
ハウジング6内の後部位置に存在する進退軸保持部7は、ハウジング等と同様に金属等の硬質材で形成してあり、凸状に形成してある後方部材8を、ハウジング6の後端部6aにおける内側に設けた凹部23に嵌合させた状態でハウジング6と水密的に一体化した状態で備えさせてある。7aは進退軸保持部7をハウジング6に着脱自在に固定するためのネジを示す。なお、上記進退軸保持部7は、予めハウジング6と一体的に形成したものでもよい。
12は回転軸を示し、上記ハウジング6内において上記主軸9の後部11の中空部9bに対して、外周面を水密的に、かつ、一体回動を自在に螺合する状態で連結してある。軸心位置9aには第3流体通路13を備える。15は、回転軸12の後部に備えさせた周知のシール部材、16は流体孔を示す。
なお18は、主軸9と一緒に回転して外周面とハウジング内面との間から異物クーラントが軸受方向に侵入するのを防ぐようにしてある異物流体シールで、19は固着用のナットを示す。
【0025】
27は、上記ハウジング6内における進退軸保持部7に対して、上記回転軸12に対向させる状態で軸線9a方向に進退動可能に備えられ、かつ、軸心位置9aには第2流体通路28を有する進退軸である。25は進退軸保持部7に備えさせた進退軸保持孔で、進退軸27の外周を進退動可能に支持している。
なお、進退軸27の回転止めの手段は任意の手段、例えば、弁座29bの一部に切欠部を設け、進退軸保持部7の対向部分からピンを突設させて係合させることによって回り止めすれば良い。
進退軸27の先端面には、第1シール部材29の面積よりも広い表面積を有する弁座29bが備えられており、これの表面に対して、上記第2シール部材15と一対をなす第1シール部材29が備えられ、進退軸27が図1の後退状態から図2の前進状態になると第2流体通路28から第3流体通路13に向けて流れる流体(冷却用液体)が、上記一対をなす第1、第2シール部材15、29の間から液漏れするのを防止する。
なお、29aは第1シール部材29の流体孔を示す。また、進退軸27の後端面には水流方向転換室35に対向させて、水流方向転換室35から第3流体通路13に向けて流れる流体の力により進退軸27を前進させるための軸線9aに直交させた受圧端面31を備える。
【0026】
上記ハウジング6における上記進退軸27の後方位置には水流方向転換室35を備え、その水流方向転換室35の側方には、上記軸心方向9aに直交する方向から水流方向転換室35に流体を供給するための第1流体通路37における注入口37aを連通させてある。
上記の水流方向転換室35においては、上記進退軸27の受圧端面31からハウジング6の後端面6aの間を極めて短小化させ、後端面6aから後方に向けての空間6eに、工作機械に関連する装置の部材を配設できるようにしてある。
例えば、後退位置にある進退軸27の受圧端面31から後部壁面35bまでの後退方向寸法W3を、第1流体通路37から水流方向転換室35に流入する流体を受け入れ可能に、第1流体通路37における注入口37aの内形寸法D3、例えば3〜5mmと同じか、又は少し大きく(例えば、100〜160%位大きく)構成してある。
【0027】
上記水流方向転換室35における上記軸心方向9aに直交する方向の広さは、上記進退軸の受圧端面31の外形よりも広い範囲が得られる広さに構成してある。
例えば、第1流体通路37の注入口37aから、深部位置までの間の寸法W1は受圧端面31の外形寸法(D1、D2)より大きくしてある。また、図3の横幅寸法W2も同様に受圧端面31の外形寸法D1より大きくしてある。
例えば、外形寸法D1、D2が6〜8mmであれば、上記深部位置までの間の寸法W1は、例えば、9〜11mm、横幅寸法W2は9〜11mmに設定しておくと、第1流体通路37から水流方向転換室35に流入した水流が、転換室35の内部で向きを変え、第2流体通路28の内部に向けて(中空状流路48の入り口46に向けて)流れ込む過程で、受圧端面31を効率高く押圧する作用が得られる。
【0028】
次に上記水流方向転換室35の内部においては、図示のように上記軸心9a上の位置に対して、丸棒状に形成してある整流部材41が備えさせてある。
この整流部材41は、上記第1流体通路37から送り込まれる流体が、水流方向転換室35の内部において上記棒状に形成してある整流部材41の外周面に当たり、左右に分流させるように、長手方向を上記軸心9aに向けた状態で備えさせてある。棒状の整流部材41の太さは、進退軸27の第2流体通路28の導入口46を塞がないようにその内径よりも小さい外径に形成してある。
例えば第2流体通路28の内径D4が3〜6mm前後であれば、棒状の整流部材41の太さは2〜4mm前後にしておけばよい。
さらに中空状流路48を通過して流れる流量を充分に確保するため、例えば第2流体通路28の断面積は7.0〜20.0mmに対して、中空状流路48の断面積を4.0〜12.0mm(60〜70%位)確保しておくとよい。
【0029】
棒状の整流部材41の後端(連結部45)は、ハウジング6の後端部6aの壁における軸心9a位置に設けた雌ねじ穴に対して図4のように固着して支持されている(着脱自在に螺着してある)。
また、整流部材41においては、上記連結部45から第2流体通路28の入り口(受圧端面31)近くの間の部材を整流部42としている。この整流部42の長さは第1流体通路37における注入口37aの口径に対応する長さにしてある。
そして上記第1流体通路37から送り込まれる流体を、この整流部42の外周面で受け、左右に分流させ、流れ方向を変化させ、導入口46へ向ける整流させる機能を発揮させる。
しかしながら、図示のように整流部材41の自由端側の部材が第2流体通路28の内部にまで入り込む長さにしても良い。この第2流体通路28の内部に入り込んでいる整流部材41の自由端の部材43は、水流をガイドするガイド部材43として機能する。即ち、第2流体通路28の内側に対して第2流体通路28の断面積よりも小さい断面積の中空状流路(水路の断面形状が環状になっている水路)48を形成するのに役立つ。
【0030】
上記のように、棒状に形成してある整流部材41における進退軸27の内部に位置させてあるガイド部材43の太さとしては、上記整流部材41と同じような太さにしてもよいのであるが、ガイド部材43の外周面43aの周囲に形成される中空状流路48の断面積が、工作機械において通常必要とするクーラント(液体)の吐出水量としての必要量を通過させる程度の断面積となるように、ガイド部材43の太さは設定される(工作機の能力によっても相違はあるが、例えば、吐出量が10〜30(l/min)が得られるような断面積に設定される)。
このように、ガイド部材43の太さが設定されると、第1流体通路37の断面積も、第2流体通路28の断面積も共に中空状流路48の断面積よりも大きく(あまり減圧させないように)設定してあるので、これらにおいては、工作機械において通常必要とするクーラント(液体)の必要量を十分に通過させることができる。
しかも、中空状流路48の断面積が短い区間に渡って狭い(前後の流路に比較して、比較的狭くなっている)と、その狭い区間を通過する流体においては減圧が大きく、その結果、中空状流路48の導入口46(受圧端面31)と、第1シール部材29の存在位置の間に大きな圧力差が生じる。この圧力差は、当然のことながら進退軸27を、第2シール部材15が存在する方向に作動させ、第1シール部材29と第2シール部材15とを接触状態(図2の状態)にして両者間からの液漏れを防止する働きがある。
なお、上記ガイド部材43は、ハウジング6の壁6aによって支持されているので、ガイド部材43を第2流体通路28内に備えさせても、進退軸27には機械的な負担をかけない特徴がある。
【0031】
上記水流方向転換室35から進退軸27の第2流体通路28の内部に向けて延長させたガイド部43の長さは、中空状流路48の導入口46から第1シール部材29の存在位置に至る直前の間である。少なくとも、第1シール部材29の存在位置には至らない長さに設定されている。
なお、第1流体通路37の断面積と、第2流体通路28の断面積に対して、進退軸27の内部における一部の断面積を部分的に小さくする手段としては他の手段を施しても良い。
即ち、進退軸27の内部における第3流体通路13側の減圧効果を高め、進退軸27の前後における流体圧力の差を生じさせ、進退軸27の前進を図るための手段としては、ガイド部材43に代えて、進退軸27の内部における管壁の内径を僅かな区間に渡って縮小させた縮径部を備えさせ(断面積を小さくして)流体に抵抗を与えるようにしても良い。或いは異なる手段として、管壁内面に対して、中心部に流体通路を有するドーナツ状の減圧可能な減圧部材を備えさせ(外周面を螺着させる)等の構成を採用することにより、流体に抵抗を与え、流体圧の差を利用しての進退軸27の前進を図るようにしても良い。
【0032】
上記構成のものについての使用状態を説明する。通常のように図1の第1シール部材29と第2シール部材15とが非接触の状態において、第1流体通路37を通して流体(クーラント)を工作機械の回転工具(図示省略)に向けて、即ち、主軸9の第4流体通路10に向けて流す。流体は、注入口37aから水流方向転換室35内に入り、整流部材41の整流部42の存在により左右に分かれ、向きを両側の側壁35aに沿う方向に流れを変えると共に、さらに第2流体通路28の方向に向けて流れる(図3図4における「水流の流れ方向を示唆する矢印」を参照)。
その場合、流体は、整流された状態で、一定の圧力を保有したまま進退軸27の内側に存在する中空状流路48の導入口46に向かうので、進退軸27の受圧端面31を効率よく押圧し、上記進退軸27を前進させ、第1シール部材29が第2シール部材15に接触するように作動させる。
【0033】
さらに流体は、図からも理解できるように、水流方向転換室35内から中空状流路48の導入口46に集合されて中空状流路48の内部に入る。ここの内部断面は狭いので抵抗が大きく、減圧されながら通過して比較的断面が大きくなっている第2流体通路28に至り、さらに、第3流体通路13、第4流体通路10を通過して吐出口から吐出される。
この間、水流方向転換室35内には第1流体通路37から圧力流体が注入されるので、進退軸27は押圧され続け、第1シール部材29と第2シール部材15との密なる接触状態を維持する。
なお、作業工程の都合により第1流体通路37からの液体の供給が止まると、受圧端面31に対する加圧はなくなる。従って、一対の第1、第2シール部材(15、29)間の圧接状態も解放され、進退軸27はわずかに後退し、第1、第2シール部材(15、29)間から流体が流出する。なお、第1シール部材29と第2シール部材15との間から漏れ出した液体は、排水孔6dから排水され、適切に処理される。
【符号の説明】
【0034】
R・・・回転継手、
1・・・工作機械のフレームの後部、
2・・・軸受、
6・・・ハウジング、
6a・・・後端部、
7・・・進退軸保持部、
8・・・後方部材、
9・・・主軸、
9a・・・軸心、
10・・・第4流体通路、
11・・・後部、
12・・・回転軸、
13・・・第3流体通路、
15・・・第2シール部材、
16・・・流体孔、
18・・・異物流体シール、
19・・・ナット、
25・・・進退軸保持孔、
26・・・シール部材、
27・・・進退軸、
28・・・第2流体通路、
29・・・第1シール部材、
31・・・受圧端面、
35・・・水流方向転換室、
36・・・流体通路、
37・・・第1流体通路、
41・・・整流部材、
42・・・整流部、
43・・・ガイド部、
44・・・操作部、
45・・・連結部、
46・・・導入口、
48・・・中空状流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6