【実施例】
【0017】
図2において、10はこの発明の実施例1に係る車両荷台のステップ付アオリ(以下、ステップ付アオリ)で、このステップ付アオリ10は、トラック(車両)11の荷台12の左辺部に、ヒンジ13を介して起伏自在に設けられ、かつ作業者が荷台12を昇降する際に利用される梯子型踏み台14がアオリ(本体)15の裏側に折り畳み自在に格納されたものである。梯子型踏み台14は、アオリ15の長さ方向の略中間部の裏側に、直接、取り付けられている。
【0018】
以下、
図1、
図3〜
図7を参照して、梯子型踏み台14を具体的に説明する。
図1および
図3に示すように、梯子型踏み台14は、それぞれがアオリ15の幅方向に延び、かつアオリ15の長さ方向に平行に離間した一対の前側支柱16と、それぞれがアオリ15の幅方向に延び、かつアオリ15の長さ方向に平行に離間した一対の後側支柱17と、アオリ15の長さ方向に延びた3本の前側回動軸18を介して、それぞれの前端角部が一対の前側支柱16に回動自在に連結されるとともに、アオリ15の長さ方向に延びた3本の後側回動軸19を介して、それぞれの後端角部が一対の後側支柱17に回動自在に連結された上、中、下段の3枚のステップ20とを有したものである。なお、下段のステップ20は、一対の前側支柱16と一対の後側支柱17との下端部間に配置されている。
【0019】
また、梯子型踏み台14は、アオリ15の元部の裏側に、アオリ15の幅方向へ長い長孔21aを有する一対の連結ブラケット21が、アオリ15の長さ方向に平行に離間して配設され(
図4)、一対の後側支柱17は、その元部からアオリ15の長さ方向に延び、かつ対応する連結ブラケット21の長孔21aに挿入された一対のスライド軸22を介して、アオリ15の幅方向にスライド自在に設けられ、アオリ15の先部の裏側に、ステップ20の長さ方向の両端部に各先部が固定され、かつ起立時にアオリ15の裏面を基準とした30°の傾斜状態で梯子型踏み台14を支持する一対の起伏アーム23が、アオリ15の長さ方向に延びた一対の起伏軸24を中心にして起伏自在に連結されたものである(
図5〜
図8)。
【0020】
一対の後側支柱17は、アオリ15の幅方向の長さと略同一の長さを有する金属(例えばステンレス、アルミニウム合金など)からなる角柱である(
図3および
図5)。一対の前側支柱16も、後側支柱17と同一素材からなる角柱である。ただし、その長さは後側支柱17より短い。また、一対の連結ブラケット21の長孔21aの長さは10cmである。このように設計したため、平行四辺形リンク構造が開く梯子型踏み台14の使用時、各後側支柱17の下端部および各前側支柱16の下端部は、アオリ15の下辺(先側の辺)より下方に配置される(
図8)。
各段のステップ20は、平行に離反した前側回動軸18と後側回動軸19とに対して回動自在に横架された構造を有している。また、中段のステップ20の長さ方向の両端部の裏側には、一対の起伏アーム23の先部がそれぞれ固定されている(
図1、
図3および
図8)。さらに、各起伏アーム23の長さは、アーム起立時(アオリ15の裏面と直交状態まで回動した時)に前側支柱16(後側支柱17)、ひいては梯子型踏み台14を30°の傾斜角度で支持可能な長さを有する。
各起伏アーム23は、前記一対の起伏軸24が回動自在に挿着される一対の軸支ブラケット25を介して、アオリ15の裏面と平行な伏せ位置からアオリ15の裏面と直交する起立位置との間で(略90°)回動自在に設けられている(
図1)。両軸支ブラケット25の下部には、両起伏アーム23の90°を超える下方回動を防止するストッパ(突起部)26が配設されている(
図8)。
【0021】
次に、
図1〜
図8を参照して、この発明の実施例1に係るステップ付アオリ15の作動を説明する。
梯子型踏み台14の使用時、ヒンジ13を中心にして、
図2に示すように荷台12上で起立したアオリ15を、
図1に示すように伏せ方向に180°回動させることで、平行四辺形リンク構造の梯子型踏み台14は、自重により平行四辺形リンクが開き、梯子が自動的に組み立てられる(
図5〜
図8の各実線矢印)。このとき、一対の後側支柱17の元部に配設された各スライド軸22が、対応する連結ブラケット21の長孔21aに沿ってアオリ15の先端方向へそれぞれスライドする(
図4および
図7)。この梯子型踏み台14の下方へのスライドに伴い、一対の起伏アーム23が起伏軸24を中心にして、各アーム元部がストッパ26に当接する90°の回動位置まで下方回動する。これにより、各起伏アーム23が起立し、アオリ15の裏面を基準とした30°の傾斜状態で、梯子型踏み台14が各起伏アーム23により支持される(
図8)。このように、梯子型踏み台14が傾斜状態で支持されることで、作業者の荷台12への昇降が容易となる。さらに、梯子型踏み台14の使用時、下段のステップ20は、一対の前側支柱16と一対の後側支柱17との下端部間に配置されるため、地面とステップ20との段差が小さくなり、作業者の荷台12への昇降がさらに容易となる。
【0022】
また、梯子型踏み台14の不使用(格納)時には、上述した操作とは反対に、ヒンジ13を中心にして、伏せ状態のアオリ15を起立方向に180°回動させることで、梯子型踏み台14が自重の作用で平行四辺形が閉じ、梯子が折り畳まれる(
図5〜
図8の各破線矢印)。このとき、一対のスライド軸22が、対応する連結ブラケット21の長孔21aに沿ってアオリ15の元端方向にそれぞれスライドし、これに伴い、起伏軸24を中心にして一対の起伏アーム23が上方回動し、各起伏アーム23がアオリ15と平行に伏せる。その結果、折り畳まれた梯子型踏み台14が、起立したアオリ15の裏側に格納される。
なお、「梯子型踏み台14の折り畳み状態」とは、一対の後側支柱17の裏面がアオリ15の裏面に接し、かつこれらの後側支柱17に一対の前側支柱16が重なり合うとともに、各ステップ20はその幅方向がアオリ15の幅方向に略一致するように折り畳まれ、さらに起伏アーム23がその先端をアオリ15の元端方向に向け、かつ起伏アーム23の裏面がアオリ15の裏面に接している状態をいう。
【0023】
このように、多段ステップ20付きの梯子型踏み台14を、起立状態のアオリ15に近接する格納位置と、伏せ状態のアオリ15から離反する使用位置との間で、梯子型踏み台14の自重を駆動源(駆動力)として折り畳み自在にアオリ15の裏側に設けたため、梯子型踏み台14の取り扱いが容易となるとともに、踏み台の使用時には、傾斜支持された梯子型踏み台14のステップ20を利用し、作業者は車両の荷台12への昇降を安全に行うことができるとともに、不使用時には、梯子型踏み台14をアオリ15の裏側にコンパクトに収納することができる。
なお、梯子型踏み台14は、アオリ15の裏側に直接取り付けるだけでなく、例えば
図9に示すように、アオリ15の裏側にボルト27によって連結される矩形状の踏み台固定板28を介して、間接的に取り付けるようにしてもよい。この構造を採用した場合には、トラック製造工程において、荷台12へのステップ付アオリ10の適用のみならず、本発明の主要部を構成する梯子型踏み台14を既存のトラック11のアオリ15に取り付けることで、既存のアオリ15を本発明のステップ付アオリ10に簡単に改良することができる。
【0024】
次に、
図10を参照して、この発明の実施例2に係る車両荷台のステップ付アオリを説明する。
図10に示すように、この発明の実施例2に係るステップ付アオリ10Aの特徴は、一対の後側支柱17の下端部に、アオリ15の長さ方向に延びる2本の折り畳み軸30を介して、2本の接地用脚部31がそれぞれ折り畳み自在(回動自在)に設けられた点である。
接地用脚部31は下端部にナット31aが固定された金属パイプで、接地用脚部31の内部空間には、ナット31aに螺合する脚ボルト32が突没可能に挿入されている。
このように構成したことで、梯子型踏み台14の使用時、折り畳み軸30を中心にして、各接地用脚部31を脚開方向に回動させることで、各接地用脚部31の下端面を間接的に接地させることができる。そのため、不使用時におけるコンパクトなステップ20の格納状態を維持しながら、使用時の梯子型踏み台14の支持安定性を高めることができる。なお、両接地用脚部31を延ばしても接地できない場合には、脚ボルト32を突出方向に回転させることで、脚ボルト32を介して接地用脚部31を接地させることができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1と略同じであるため、説明を省略する。