特許第5998103号(P5998103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5998103
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】車両荷台のステップ付アオリ
(51)【国際特許分類】
   B62D 33/023 20060101AFI20160915BHJP
   B60R 3/00 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   B62D33/023 Q
   B60R3/00
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-127502(P2013-127502)
(22)【出願日】2013年6月18日
(65)【公開番号】特開2015-704(P2015-704A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年6月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513153798
【氏名又は名称】有限会社SS技巧
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】西條 新治
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平4−119242(JP,U)
【文献】 特開平4−201638(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0106111(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 33/023
B60R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台の外縁部に起伏自在に設けられ、かつ作業者が前記荷台を昇降する際に利用される梯子型踏み台がアオリの裏側に折り畳み自在に格納された車両荷台のステップ付アオリであって、
前記梯子型踏み台は、それぞれが前記アオリの幅方向に延び、かつ該アオリの長さ方向に平行に離間した一対の前側支柱と、それぞれが前記アオリの幅方向に延び、かつ該アオリの長さ方向に平行に離間した一対の後側支柱と、前記アオリの長さ方向に延びた複数の前側回動軸を介して、それぞれの前端角部が前記一対の前側支柱に回動自在に連結されるとともに、前記アオリの長さ方向に延びた複数の後側回動軸を介して、それぞれの後端角部が前記一対の後側支柱に回動自在に連結された複数のステップとを有したもので、
前記アオリの元部の裏側には、該アオリの幅方向へ長い長孔を有する一対の連結ブラケットが、前記アオリの長さ方向に平行に離間して配設され、
前記一対の後側支柱の元部には、前記アオリの長さ方向に延び、かつ前記一対の連結ブラケットの長孔にスライド自在に挿入された一対のスライド軸がそれぞれ突出し、
前記アオリの先部の裏側には、前記ステップの長さ方向の両端部に各先部が固定され、かつ起立時に前記アオリの裏面を基準とした傾斜状態で前記梯子型踏み台を支持する一対の起伏アームが、前記アオリの長さ方向に延びた一対の起伏軸を中心にして起伏自在に連結された車両荷台のステップ付アオリ。
【請求項2】
前記一対の前側支柱の下端部および前記一対の後側支柱の下端部の少なくとも一方には、前記アオリの長さ方向に延びる複数の折り畳み軸を介して、複数の接地用脚部がそれぞれ折り畳み自在に配設された請求項1に記載の車両荷台のステップ付きアオリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両荷台のステップ付アオリ、詳しくはトラックなどの車両の荷台の周側に設けられ、かつ荷役作業時の足掛けとなるステップを有した車両荷台のステップ付アオリに関する。
【背景技術】
【0002】
トラックの荷台には、側壁となるアオリが起伏自在に設けられている。アオリは、例えばアルミニウム中空押出形材を2〜3枚組み合わせて構成される。アオリは、ヒンジを介して、その元部を荷台フレームに軸支することにより起伏自在となる。
従来のアオリとして、荷物をトラックの荷台に積み込んだり、目的地への到着後に荷物を降ろす際、作業者が荷役作業を安全かつ容易に行えるように、昇降用のステップを内面に有した特許文献1の「トラックのアオリ」が知られている。すなわち、特許文献1のアオリは、アオリの内側板に形成された1つの矩形状の凹部に、軸部を中心として1つのステップが起伏(開閉、90°回動)自在に収納されたものである。使用時には、まずアオリを開いて(180°下方回動して)、ステップをアオリの外面に配置し、この状態でステップを外側に開き、作業者がステップに適宜足を掛けながら荷役作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−270848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の「トラックのアオリ」では、アオリにステップが1段だけしか設置されていなかった。そのため、荷役作業を行う際には、荷物を抱えた作業者が大股の2歩で荷台を昇り降りしなければならず、重い荷物や大型の荷物を積み下ろしする場合には、危険な作業となっていた。
また、ステップを開閉する際には、作業者が手動でステップを開閉操作しなければならなかった。
【0005】
そこで、発明者は鋭意研究の結果、従来の単なる足掛け用の1段ステップではなく、アオリの内面に多段ステップ式の梯子型踏み台を、アオリに近接する格納位置とアオリから離反する使用位置との間で、梯子型踏み台の自重を駆動源として自動で折り畳み自在(回動自在)に構成すれば、上述した問題は全て解消されることを知見し、この発明を完成させた。
【0006】
この発明は、取り扱いが容易で、かつ使用時には多段ステップを利用して荷台への昇り降りを安全に行うことができるとともに、梯子型踏み台がアオリの上下回動に伴い自重により折り畳み自在で、かつ不使用時にはアオリの裏側に梯子型踏み台をコンパクトに収納可能であるとともに、使用時には昇降し易いように多段ステップが傾斜配列される車両荷台のステップ付アオリを提供することを目的としている。
また、この発明は、不使用時におけるコンパクトなステップの格納状態を維持しながら、使用時の梯子型踏み台の支持安定性を高めることができる車両荷台のステップ付アオリを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、車両の荷台の外縁部に起伏自在に設けられ、かつ作業者が前記荷台を昇降する際に利用される梯子型踏み台がアオリの裏側に折り畳み自在に格納された車両荷台のステップ付アオリであって、前記梯子型踏み台は、それぞれが前記アオリの幅方向に延び、かつ該アオリの長さ方向に平行に離間した一対の前側支柱と、それぞれが前記アオリの幅方向に延び、かつ該アオリの長さ方向に平行に離間した一対の後側支柱と、前記アオリの長さ方向に延びた複数の前側回動軸を介して、それぞれの前端角部が前記一対の前側支柱に回動自在に連結されるとともに、前記アオリの長さ方向に延びた複数の後側回動軸を介して、それぞれの後端角部が前記一対の後側支柱に回動自在に連結された複数のステップとを有したもので、前記アオリの元部の裏側には、該アオリの幅方向へ長い長孔を有する一対の連結ブラケットが、前記アオリの長さ方向に平行に離間して配設され、前記一対の後側支柱の元部には、前記アオリの長さ方向に延び、かつ前記一対の連結ブラケットの長孔にスライド自在に挿入された一対のスライド軸がそれぞれ突出し、前記アオリの先部の裏側には、前記ステップの長さ方向の両端部に各先部が固定され、かつ起立時に前記アオリの裏面を基準とした傾斜状態で前記梯子型踏み台を支持する一対の起伏アームが、前記アオリの長さ方向に延びた一対の起伏軸を中心にして起伏自在に連結された車両荷台のステップ付アオリである。
【0008】
車両としては、例えばトラック、トレーラ(小型、中型、大型の各トレーラ)などを採用することができる。
ここでいうアオリとは、ヒンジを介して、車両の荷台の外周縁に元部(アオリの幅方向の一辺部)が軸支され、荷台に積載された積荷の落下を防止する板材をいう。アオリの先部とは、アオリの幅方向の他辺部(アオリのヒンジ側とは反対側の辺部)をいう。
また、ここでいう「アオリの起立状態」とは、その先部(ヒンジが連結された前記元部とは反対側の辺部)を上方に向けた状態をいい、ここでいう「アオリの伏せ状態」とは、アオリの先部を下方に向けた状態をいう。
梯子型踏み台が搭載されるアオリは、荷台のどの辺部に配置されるものでもよい。例えば、左アオリ、右アオリ、後アオリの何れでもよい。
梯子型踏み台は、アオリの裏側(裏面)であれば、そのどの箇所に設置されてもよい。梯子型踏み台は、アオリの裏側に直接設けられる。または、アオリの裏側に着脱可能に連結(ボルト連結など)された例えば矩形状の踏み台固定板を介して間接的に設置してもよい。
「梯子型踏み台」とは、一致の前側支柱と、一対の後側支柱と、複数のステップと、複数の前側回転軸と、複数の後側回転軸とを有する折り畳み可能な平行四辺形リンク構造の踏み台である。
ここでいう「梯子型踏み台がアオリの裏側に…格納された」とは、起立したアオリを正面視(アオリの表面と正対)したとき、折り畳まれた梯子型踏み台がアオリの上縁から突出しない状態をいう。
【0009】
梯子型踏み台は、その使用時、一対の前側支柱の先部(一対の後側支柱の先部)が、アオリの先側の辺(伏せ状態のアオリの下辺)から下方に突出するように、または、突出しないように構成してもよい。ただし、アオリの先側の辺から下方に突出させた方が、地面と最下段のステップとの段差が小さくなるために好ましい。踏み台使用時に一対の前側支柱の先部をアオリの先側の辺から下方に突出させる構造としては、例えば、一対の後側支柱の長さをアオリの幅と同一とし、かつ一対の前側支柱の下端部に前側回転軸を配置し、かつ一対の後側支柱の下端部に後側回転軸を配置した構造などを採用することができる。
ステップの使用枚数は、2枚または3枚以上である。
一対の後側支柱は、梯子型踏み台の組み立て時に、先部がステップに固定された一対の起伏アームが一対の起伏軸を中心として起立側に回動するため、これらの移動奇跡は、アオリの裏面と平行な直線移動だけでなく、スライド軸を中心とした回動を伴った立体的なものとなる。
起伏アームの形状は任意である。また、起伏アームの使用本数は2本に限らずとも、1本でも3本以上でもよい。
両起伏アームによるアオリの裏面を基準とした梯子型踏み台の傾斜角度は、例えば30°〜45°である。30°未満では梯子型踏み台(多段ステップ)が急傾斜となり、積荷を持った作業者のステップ昇降の安全性が低下する。また、45°を超えれば起伏アームが長くなるため、起伏アームの強度が低下する。両起伏アームによるアオリの裏面を基準とした梯子型踏み台の好ましい傾斜角度は、35°〜40°である。この範囲であれば、作業者の荷台への昇降の安全性が高まるとともに、その昇降がさらに容易となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記一対の前側支柱の下端部および前記一対の後側支柱の下端部の少なくとも一方には、前記アオリの長さ方向に延びる複数の折り畳み軸を介して、複数の接地用脚部がそれぞれ折り畳み自在に配設された請求項1に記載の車両荷台のステップ付きアオリである。
【0011】
複数の接地用脚部が設けられる支柱は、各前側支柱でも、各後側支柱でも、これらの両方でもよい。
接地用脚部には、さらに地面までの長さを調整するため、例えばボルトナット構造、テレスコピック(入れ子)構造などを採用した伸縮可能な補助脚を取り付けてもよい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、梯子型踏み台の使用時、荷台上で起立したアオリを伏せ(開き)方向に回動させることで、平行四辺形リンク構造となる梯子型踏み台は、自重により平行四辺形リンクが開き、梯子が自動的に組み立てられる。すなわち、アオリの下方回動により、一対の後側支柱の元部に配設された各スライド軸が、対応する連結ブラケットの長孔に沿ってアオリの先端方向へそれぞれスライドする。この梯子型踏み台の下方へのスライドに伴い、一対の起伏アームが起伏軸を中心にして下方回動し、各起伏アームが起立する。これにより、アオリの裏面を基準とした傾斜状態で、梯子型踏み台が各起伏アームにより背後から自動的に支持される。このように、梯子型踏み台が傾斜支持されることで、作業者の荷台への昇降が容易となる。
【0013】
また、梯子型踏み台の不使用(格納)時には、上述した踏み台の使用時の操作手順と反対に操作を行う。すなわち、伏せ状態のアオリを起立(閉じ)方向に回動させることで、梯子型踏み台は、その自重を駆動源として平行四辺形リンクが閉じ、梯子が折り畳まれる。このとき、一対のスライド軸が、対応する連結ブラケットの長孔に沿ってアオリの元端方向にそれぞれスライドし、これに伴い、起伏軸を中心にして一対の起伏アームが上方回動し、各起伏アームがアオリと平行に伏せる。その結果、折り畳まれた梯子型踏み台が、起立したアオリの裏側に自動で格納される。
このように、アオリの上下回動に伴い梯子型踏み台を、アオリに近接する格納位置とアオリから離反する使用位置との間で、梯子型踏み台の自重を駆動源として折り畳み自在(回動自在)に設けたため、取り扱いが容易で、かつ使用時には多段ステップを利用して荷台への昇り降りを安全に行うことができ、かつ不使用時にはアオリの裏側に梯子型踏み台をコンパクトに収納可能であるとともに、使用時には昇降し易いように多段ステップが傾斜配列することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、梯子型踏み台の使用時、前側支柱の下端部および後側支柱の下端部の少なくとも一方において、折り畳み軸を中心にして各接地用脚部を脚開方向に回動することで、これらが接地する。そのため、不使用時におけるコンパクトなステップの格納状態を維持しながら、使用時の梯子型踏み台の支持安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施例1に係る車両荷台のステップ付アオリに搭載された梯子型踏み台の使用状態を示す斜視図である。
図2】この発明の実施例1に係る車両荷台のステップ付アオリの起立状態を示す側面図である。
図3】この発明の実施例1に係る車両荷台のステップ付アオリに搭載された梯子型踏み台の格納状態を示す拡大斜視図である。
図4】この発明の実施例1に係る車両荷台のステップ付アオリに搭載された梯子型踏み台の自重による開閉動作を示す要部拡大斜視図である。
図5】この発明の実施例1に係る車両荷台のステップ付アオリの起立状態を示す要部拡大側面図である。
図6】この発明の実施例1に係る車両荷台のステップ付アオリの横置き状態を示す要部拡大側面図である。
図7】この発明の実施例1に係る車両荷台のステップ付アオリの下方傾斜状態を示す要部拡大側面図である。
図8】この発明の実施例1に係る車両荷台のステップ付アオリの使用状態を示す要部拡大側面図である。
図9】この発明の実施例1に係る車両荷台のステップ付アオリに搭載された別の梯子型踏み台の格納状態を示す拡大斜視図である。
図10】この発明の実施例2に係る車両荷台のステップ付アオリに搭載された梯子型踏み台の使用状態を示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。ここでは、トラックの荷台に設けられたステップ付アオリを例とする。
【実施例】
【0017】
図2において、10はこの発明の実施例1に係る車両荷台のステップ付アオリ(以下、ステップ付アオリ)で、このステップ付アオリ10は、トラック(車両)11の荷台12の左辺部に、ヒンジ13を介して起伏自在に設けられ、かつ作業者が荷台12を昇降する際に利用される梯子型踏み台14がアオリ(本体)15の裏側に折り畳み自在に格納されたものである。梯子型踏み台14は、アオリ15の長さ方向の略中間部の裏側に、直接、取り付けられている。
【0018】
以下、図1図3図7を参照して、梯子型踏み台14を具体的に説明する。
図1および図3に示すように、梯子型踏み台14は、それぞれがアオリ15の幅方向に延び、かつアオリ15の長さ方向に平行に離間した一対の前側支柱16と、それぞれがアオリ15の幅方向に延び、かつアオリ15の長さ方向に平行に離間した一対の後側支柱17と、アオリ15の長さ方向に延びた3本の前側回動軸18を介して、それぞれの前端角部が一対の前側支柱16に回動自在に連結されるとともに、アオリ15の長さ方向に延びた3本の後側回動軸19を介して、それぞれの後端角部が一対の後側支柱17に回動自在に連結された上、中、下段の3枚のステップ20とを有したものである。なお、下段のステップ20は、一対の前側支柱16と一対の後側支柱17との下端部間に配置されている。
【0019】
また、梯子型踏み台14は、アオリ15の元部の裏側に、アオリ15の幅方向へ長い長孔21aを有する一対の連結ブラケット21が、アオリ15の長さ方向に平行に離間して配設され(図4)、一対の後側支柱17は、その元部からアオリ15の長さ方向に延び、かつ対応する連結ブラケット21の長孔21aに挿入された一対のスライド軸22を介して、アオリ15の幅方向にスライド自在に設けられ、アオリ15の先部の裏側に、ステップ20の長さ方向の両端部に各先部が固定され、かつ起立時にアオリ15の裏面を基準とした30°の傾斜状態で梯子型踏み台14を支持する一対の起伏アーム23が、アオリ15の長さ方向に延びた一対の起伏軸24を中心にして起伏自在に連結されたものである(図5図8)。
【0020】
一対の後側支柱17は、アオリ15の幅方向の長さと略同一の長さを有する金属(例えばステンレス、アルミニウム合金など)からなる角柱である(図3および図5)。一対の前側支柱16も、後側支柱17と同一素材からなる角柱である。ただし、その長さは後側支柱17より短い。また、一対の連結ブラケット21の長孔21aの長さは10cmである。このように設計したため、平行四辺形リンク構造が開く梯子型踏み台14の使用時、各後側支柱17の下端部および各前側支柱16の下端部は、アオリ15の下辺(先側の辺)より下方に配置される(図8)。
各段のステップ20は、平行に離反した前側回動軸18と後側回動軸19とに対して回動自在に横架された構造を有している。また、中段のステップ20の長さ方向の両端部の裏側には、一対の起伏アーム23の先部がそれぞれ固定されている(図1図3および図8)。さらに、各起伏アーム23の長さは、アーム起立時(アオリ15の裏面と直交状態まで回動した時)に前側支柱16(後側支柱17)、ひいては梯子型踏み台14を30°の傾斜角度で支持可能な長さを有する。
各起伏アーム23は、前記一対の起伏軸24が回動自在に挿着される一対の軸支ブラケット25を介して、アオリ15の裏面と平行な伏せ位置からアオリ15の裏面と直交する起立位置との間で(略90°)回動自在に設けられている(図1)。両軸支ブラケット25の下部には、両起伏アーム23の90°を超える下方回動を防止するストッパ(突起部)26が配設されている(図8)。
【0021】
次に、図1図8を参照して、この発明の実施例1に係るステップ付アオリ15の作動を説明する。
梯子型踏み台14の使用時、ヒンジ13を中心にして、図2に示すように荷台12上で起立したアオリ15を、図1に示すように伏せ方向に180°回動させることで、平行四辺形リンク構造の梯子型踏み台14は、自重により平行四辺形リンクが開き、梯子が自動的に組み立てられる(図5図8の各実線矢印)。このとき、一対の後側支柱17の元部に配設された各スライド軸22が、対応する連結ブラケット21の長孔21aに沿ってアオリ15の先端方向へそれぞれスライドする(図4および図7)。この梯子型踏み台14の下方へのスライドに伴い、一対の起伏アーム23が起伏軸24を中心にして、各アーム元部がストッパ26に当接する90°の回動位置まで下方回動する。これにより、各起伏アーム23が起立し、アオリ15の裏面を基準とした30°の傾斜状態で、梯子型踏み台14が各起伏アーム23により支持される(図8)。このように、梯子型踏み台14が傾斜状態で支持されることで、作業者の荷台12への昇降が容易となる。さらに、梯子型踏み台14の使用時、下段のステップ20は、一対の前側支柱16と一対の後側支柱17との下端部間に配置されるため、地面とステップ20との段差が小さくなり、作業者の荷台12への昇降がさらに容易となる。
【0022】
また、梯子型踏み台14の不使用(格納)時には、上述した操作とは反対に、ヒンジ13を中心にして、伏せ状態のアオリ15を起立方向に180°回動させることで、梯子型踏み台14が自重の作用で平行四辺形が閉じ、梯子が折り畳まれる(図5図8の各破線矢印)。このとき、一対のスライド軸22が、対応する連結ブラケット21の長孔21aに沿ってアオリ15の元端方向にそれぞれスライドし、これに伴い、起伏軸24を中心にして一対の起伏アーム23が上方回動し、各起伏アーム23がアオリ15と平行に伏せる。その結果、折り畳まれた梯子型踏み台14が、起立したアオリ15の裏側に格納される。
なお、「梯子型踏み台14の折り畳み状態」とは、一対の後側支柱17の裏面がアオリ15の裏面に接し、かつこれらの後側支柱17に一対の前側支柱16が重なり合うとともに、各ステップ20はその幅方向がアオリ15の幅方向に略一致するように折り畳まれ、さらに起伏アーム23がその先端をアオリ15の元端方向に向け、かつ起伏アーム23の裏面がアオリ15の裏面に接している状態をいう。
【0023】
このように、多段ステップ20付きの梯子型踏み台14を、起立状態のアオリ15に近接する格納位置と、伏せ状態のアオリ15から離反する使用位置との間で、梯子型踏み台14の自重を駆動源(駆動力)として折り畳み自在にアオリ15の裏側に設けたため、梯子型踏み台14の取り扱いが容易となるとともに、踏み台の使用時には、傾斜支持された梯子型踏み台14のステップ20を利用し、作業者は車両の荷台12への昇降を安全に行うことができるとともに、不使用時には、梯子型踏み台14をアオリ15の裏側にコンパクトに収納することができる。
なお、梯子型踏み台14は、アオリ15の裏側に直接取り付けるだけでなく、例えば図9に示すように、アオリ15の裏側にボルト27によって連結される矩形状の踏み台固定板28を介して、間接的に取り付けるようにしてもよい。この構造を採用した場合には、トラック製造工程において、荷台12へのステップ付アオリ10の適用のみならず、本発明の主要部を構成する梯子型踏み台14を既存のトラック11のアオリ15に取り付けることで、既存のアオリ15を本発明のステップ付アオリ10に簡単に改良することができる。
【0024】
次に、図10を参照して、この発明の実施例2に係る車両荷台のステップ付アオリを説明する。
図10に示すように、この発明の実施例2に係るステップ付アオリ10Aの特徴は、一対の後側支柱17の下端部に、アオリ15の長さ方向に延びる2本の折り畳み軸30を介して、2本の接地用脚部31がそれぞれ折り畳み自在(回動自在)に設けられた点である。
接地用脚部31は下端部にナット31aが固定された金属パイプで、接地用脚部31の内部空間には、ナット31aに螺合する脚ボルト32が突没可能に挿入されている。
このように構成したことで、梯子型踏み台14の使用時、折り畳み軸30を中心にして、各接地用脚部31を脚開方向に回動させることで、各接地用脚部31の下端面を間接的に接地させることができる。そのため、不使用時におけるコンパクトなステップ20の格納状態を維持しながら、使用時の梯子型踏み台14の支持安定性を高めることができる。なお、両接地用脚部31を延ばしても接地できない場合には、脚ボルト32を突出方向に回転させることで、脚ボルト32を介して接地用脚部31を接地させることができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1と略同じであるため、説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0025】
この発明は、トラックなどの荷台付車両において、荷台に昇降する際に利用されるステップが設けられたアオリの技術として有用である。
【符号の説明】
【0026】
10,10A 車両荷台のステップ付アオリ、
11 トラック(車両)、
12 荷台、
14 梯子型踏み台、
15 アオリ、
16 前側支柱、
17 後側支柱、
18 前側回動軸、
19 後側回動軸、
20 ステップ、
21 連結ブラケット、
21a 長孔、
22 スライド軸、
23 起伏アーム、
24 起伏軸、
30 折り畳み軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10