【文献】
厚生労働省医薬局審査管理課長,新医薬品の規格及び試験方法の設定について,医薬審発第568号,厚生労働省,2001年 5月 1日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一塩酸塩が、X線回折で9.9°+/−0.3°、20.0°+/−0.3°、18.0°+/−0.3°、20.7°+/−0.3°、8.8°+/−0.3°および25.0°+/−0.3°の回折角2θにおいてピークを示す、請求項1に記載の結晶形態の化合物Aの一塩酸塩。
前記一塩酸塩が、X線回折で8.8°+/−0.3°、9.9°+/−0.3°、12.8°+/−0.3°、14.0°+/−0.3°、14.9°+/−0.3°、15.4°+/−0.3°、18.0°+/−0.3°、18.8°+/−0.3°、20.0°+/−0.3°、20.7°+/−0.3°、22.5°+/−0.3°、23.9°+/−0.3°、24.3°+/−0.3°、25.0°+/−0.3°、27.5°+/−0.3°、29.1°+/−0.3°および31.3°+/−0.3°の回折角2θにおいてピークを示す、請求項1に記載の結晶形態の化合物Aの一塩酸塩。
良性腫瘍または悪性腫瘍;脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃、胃腫瘍、卵巣、結腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣または甲状腺の癌腫;肉腫;神経膠芽腫;多発性骨髄腫または消化器癌(gastrointestinal cancer);結腸癌;結腸直腸腺腫;頸部および頭部腫瘍;表皮過剰増殖(epidermal hyperproliferation);乾癬;前立腺肥大;新形成;上皮形質の新形成;リンパ腫;乳癌;白血病;カウデン症候群;Lhermitte−Dudos病;およびバナヤン−ゾナナ(Bannayan-Zonana)症候群から選択される増殖性疾患の処置のための薬剤の調製のための、請求項1から4のいずれか一項に記載の結晶形態の化合物Aの一塩酸塩の使用。
良性腫瘍または悪性腫瘍;脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃、胃腫瘍、卵巣、結腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣または甲状腺の癌腫;肉腫;神経膠芽腫;多発性骨髄腫または消化器癌(gastrointestinal cancer);結腸癌;結腸直腸腺腫;頸部および頭部腫瘍;表皮過剰増殖(epidermal hyperproliferation);乾癬;前立腺肥大;新形成;上皮形質の新形成;リンパ腫;乳癌;白血病;カウデン症候群;Lhermitte−Dudos病;およびバナヤン−ゾナナ(Bannayan-Zonana)症候群から選択される増殖性疾患の処置のための、請求項1から4のいずれか一項に記載の結晶形態の化合物Aの一塩酸塩を含む医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0044】
詳細な説明
本明細書に記載されている化合物は、PI3K阻害特性を有することが知られている。それ故、これらの化合物は、さまざまな疾患の治療に対して、特に増殖性疾患の予防または治療に対して役立つ。従って、かかる化合物のための改良された製造方法を提供することの大きな必要性がある。
【0045】
本発明は、以下の用語解説、結びの実施例および図面を含めた以下のそれらの詳細な説明が考慮されるとき、より良く理解され、上で説明したもの以外の目的が明らかとなろう。以下の一般的な定義は、特に指定のない限り、この明細書において適用される。
【0046】
「ハロゲン」(または「halo」もしくは「hal」)は、フッ素、臭素、塩素またはヨウ素、特に臭素または塩素を意味する。ハロゲン置換基および置換部分、例えばハロゲンにより置換されているアルキル(ハロゲンアルキル)等は、モノ−、ポリ−または過ハロゲン化されたものであり得る。
【0047】
ヘテロ原子は、炭素および水素以外の原子、好ましくは窒素(N)、酸素(O)または硫黄(S)、特に窒素である。
【0048】
炭素を含有する基、部分または分子は、1〜12個、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜4個、最も好ましくは1個または2個の炭素原子を含有する。1個より多い炭素原子を有する非環状炭素含有基または部分はどれも直鎖であるかまたは分枝している。
【0049】
接頭辞「低級」または「C
1〜C
7」は、最大で最高の7個以下、特に最大で最高の4個以下の炭素原子を有する基を意味し、その問題の基は、線状かただ一個もしくは複数の枝により分枝しているかのどちらかである。
【0050】
「アルキル」とは、ヘテロ原子を含有しないアルキル基を指す。従って、この語句は、直鎖のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどを含む。この語句は、また、直鎖のアルキル基の分枝鎖の異性体も含み、例として提供される以下のもの:−CH(CH
3)
2、−CH(CH
3)(CH
2CH
3)、−CH(CH
2CH
3)
2、−C(CH
3)
3、−C(CH
2CH
3)
3、−CH
2CH(CH
3)
2、−CH
2CH(CH
3)(CH
2CH
3)、−CH
2CH(CH
2CH
3)
2、−CH
2C(CH
3)
3、−CH
2C(CH
2CH
3)
3、−CH(CH
3)−CH(CH
3)(CH
2CH
3)、−CH
2CH
2CH(CH
3)2、−CH
2CH
2CH(CH
3)(CH
2CH
3)、−CH
2CH
2CH(CH
2CH
3)
2、−CH
2CH
2C(CH
3)
2、−CH
2CH
2C(CH
2CH
3)
3、−CH(CH
3)CH
2.CH(CH
3)
2、−CH(CH
3)CH(CH
3)CH(CH
3)
2、−CH(CH
2CH
3)CH(CH
3)CH(CH
3)(CH
2CH
3)などが挙げられるがこれらに限定されない。従って、語句の「アルキル基」は、一級アルキル基、二級アルキル基、および三級アルキル基を含む。好ましいアルキル基としては、1〜12個の炭素原子または1〜6個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖のアルキル基が挙げられる。
【0051】
「アルキレン」は、「アルキル」について上で述べられたのと同様の残基を指すが、2つの結合点を有する。典型的なアルキレン基としては、エチレン(−CH
2CH
2−)、プロピレン(−CH
2CH
2CH
2−)、ジメチルプロピレン(−CH
2C(CH
3)
2CH
2−)、およびシクロヘキシルプロピレン(−CH
2CH
2CH(C
6H
13)−)が挙げられる。
【0052】
「アルケニル」とは、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を有する以外は上で定義されたアルキル基に関して記載されているもののような2個から約20個までの炭素原子の直鎖基、分枝基、または環状基を指す。例としては、ビニル、−CH=C(H)(CH
3)、−CH=C(CH
3)
2、−C(CH
3)=C(H)
2、−C(CH
3)=C(H)(CH3)、−C(CH
2CH
3)=CH
2、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、およびヘキサジエニルが特に挙げられるがこれらに限定されない。好ましいアルケニル基としては、2〜12個の炭素原子または2〜6個の炭素原子を有する直鎖および分枝アルケニル基ならびに環状アルケニル基が挙げられる。
【0053】
「アルキニル」とは、1つまたは複数の炭素−炭素三重結合を有する以外は上で定義されたアルキル基に関して記載されているもの等の2個から約20個までの炭素原子の直鎖基、分枝基、または環状基を指す。例としては、−C≡C(H)、−C≡C(CH
3)、−C≡C(CH
2CH
3)、−C(H
2)C≡C(H)、−C(H)
2C≡C(CH
3)、および−C(H)
2C≡C(CH
2CH
3)が特に挙げられるがこれらに限定されない。好ましいアルキニル基としては、2〜12個の炭素原子または2〜6個の炭素原子を有する直鎖および分枝アルキニル基が挙げられる。
【0054】
アルキル、アルキレン、アルケニル、およびアルキニル基は、置換されていてもよい。「置換されたアルキル」とは、炭素(1つまたは複数)または水素(1つまたは複数)に対する1つまたは複数の結合が、非水素および非炭素原子、例えば以下に限定されないが、F、Cl、Br、およびI等のハロゲン原子;ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、およびエステル基等の基の中の酸素原子;チオール基、アルキルおよびアリールスルフィド基、スルホン基、スルホニル基、およびスルホキシド基等の基の中の硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N−オキシド、イミド、およびエナミン等の基の中の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、およびトリアリールシリル基等の基の中のケイ素原子;ならびにさまざまなその他の基の中の他のヘテロ原子に対する結合によって置き換えられている上で定義されているアルキル基を指す。置換アルキル基としては、また、炭素(1つまたは複数)または水素(1つまたは複数)原子に対する1つまたは複数の結合が、より高次の結合(例えば二重結合または三重結合)によってヘテロ原子、例えば、オキソ、カルボニル、カルボキシル、およびエステル基の中の酸素;イミン、オキシム、ヒドラゾン、およびニトリル等の基の中の窒素に置き換えられている基も挙げられる。置換アルキル基としては、さらに、炭素(1つまたは複数)または水素(1つまたは複数)原子に対する1つまたは複数の結合が、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはシクロアルキル基に対する結合によって置き換えられているアルキル基が挙げられる。好ましい置換アルキル基としては、とりわけ、炭素または水素原子に対する1つまたは複数の結合が、フルオロ、クロロ、またはブロモ基に対する1つまたは複数の結合によって置き換えられているアルキル基が挙げられる。別の好ましい置換アルキル基は、トリフルオロメチル基およびトリフルオロメチル基を含有するその他のアルキル基である。その他の好ましい置換アルキル基としては、炭素または水素原子に対する1つまたは複数の結合が酸素原子に対する結合によって置き換えられ、その結果、置換されたアルキル基がヒドロキシル、アルコキシ、またはアリールオキシ基を含有するものが挙げられる。その他の好ましい置換アルキル基としては、アミン、または置換もしくは非置換のアルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、(アルキル)(アリール)アミン、ジアリールアミン、ヘテロシクリルアミン、ジヘテロシクリルアミン、(アルキル)(ヘテロシクリル)アミン、または(アリール)(ヘテロシクリル)アミン基を有するアルキル基が挙げられる。さらにその他の好ましい置換アルキル基としては、炭素(1つまたは複数)または水素(1つまたは複数)原子に対する1つまたは複数の結合が、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはシクロアルキル基に対する結合によって置き換えられているものが挙げられる。置換アルキルの例は、−(CH
2)
3NH
2、−(CH
2)
3NH(CH
3)、−(CH
2)
3NH(CH
3)
2−CH
2C(=CH
2)CH
2NH
2、−CH
2C(=O)CH
2NH
2、−CH
2S(=O)
2CH
3、−CH
2OCH
2NH
2、−CO
2H、−CH
2OH、−OH、−OCH
3、−OC
2H
5、−OCF
3、−OC(=O)CH
3、−OC(=O)NH
2)−OC(=O)N(CH
3)
2、−CN、−NO
2、−C(=O)CH
3、−CO
2H、−CO
2CH
3、−CONH
2、−NH
2、−N(CH
3)
2、−NHSO
2CH
3、−NHCOCH
3、−NHC(=O)OCH
3、−NHSO−
2CH
3、−SO
2CH
3、−SO
2NH
2、ハロである。
【0055】
「置換アルケニル」は、置換アルキル基が非置換のアルキル基に関して有したのと同じアルケニル基についての意味を有する。置換アルケニル基としては、非炭素原子または非水素原子が、別の炭素に二重結合している炭素に結合しているアルケニル基および非炭素原子または非水素原子の1つが、別の炭素への二重結合に関与していない炭素に結合しているものが挙げられる。
【0056】
「置換アルキニル」は、置換アルキル基が非置換のアルキル基に関して有したのと同じアルキニル基についての意味を有する。置換アルキニル基としては、非炭素原子または非水素原子が、別の炭素に三重結合している炭素に結合しているアルキニル基および非炭素原子または非水素原子が、別の炭素への三重結合に関与していない炭素に結合しているものが挙げられる。
【0057】
「アルコキシ」とは、RがアルキルであるRO−を指す。アルコキシ基の代表的な例としては、メトキシ、エトキシ、t−ブトキシ、トリフルオロメトキシなどが挙げられる。
【0058】
「アミノ」は、本明細書では基−NH
2を指す。用語「アルキルアミノ」は、本明細書では、−NRR’であって、Rがアルキルであり、R’が水素またはアルキルである基を指す。用語「アリールアミノ」は、本明細書では、−NRR’であって、Rがアリールであり、R’が水素、アルキル、またはアリールである基を指す。用語「アラルキルアミノ」は、本明細書では、−NRR’であって、Rがアラルキルであり、R’が水素、アルキル、アリール、またはアラルキルである基を指す。
【0059】
「アルコキシアルキル」は、基−alki−O−alk
2を指し、ここで、alkiはアルキルまたはアルケニルであり、alk
2は、アルキルまたはアルケニルである。用語「アリールオキシアルキル」は、基−アルキルO−アリールを指す。用語「アラルコキシアルキル」は、基−アルキレニル−O−アラルキルを指す。
【0060】
「アルコキシアルキルアミノ」は、本明細書では、基−NR−(アルコキシアルキル)を指し、ここで、Rは、一般的には、水素、アラルキル、またはアルキルである。
【0061】
「アミノカルボニル」は、本明細書では、基−C(O)−NH
2を指す。「置換アミノカルボニル」は、本明細書では、−C(O)−NRR’であって、RがアルキルでありR
1が水素またはアルキルである基を指す。用語「アリールアミノカルボニル」は、本明細書では、−C(O)−NRR’であって、RがアリールでありR’が水素、アルキル、またはアリールである基を指す。「アラルキルアミノカルボニル」は、本明細書では、−C(O)−NRR
1であって、Rがアラルキルであり、R
1が水素、アルキル、アリール、またはアラルキルである基を指す。
【0062】
「アミノスルホニル」は、本明細書では、基−S(O)
2−NH
2を指す。「置換アミノスルホニル」は、本明細書では、−S(O)
2−NRR’であって、Rがアルキルであり、R’が水素またはアルキルである基を指す。用語「アラルキルアミノスルホニルアリール」は、本明細書では、基−アリール−S(O)2−NH−アラルキルを指す。
【0063】
「カルボニル」は、二価の基−C(O)−を指す。
【0064】
「カルボニルオキシ」は、一般に、基−C(O)−Oを指す。かかる基としては、−C(O)−O−Rであって、Rが、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキルであるエステルが挙げられる。用語「カルボニルオキシシクロアルキル」は、一般に本明細書では、「カルボニルオキシカルボシクロアルキル」および「カルボニルオキシヘテロシクロアルキル」、すなわち、Rが、それぞれ、カルボシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである両方を指す。用語「アリールカルボニルオキシ」は、本明細書では、−C(O)−O−アリールであって、アリールが、単環式または多環式、カルボシクロアリールまたはヘテロシクロアリールである基を指す。用語「アラルキルカルボニルオキシ」は、本明細書では、基−C(O)−O−アラルキルを指す。
【0065】
「スルホニル」は、本明細書では、基−SO
2−を指す。「アルキルスルホニル」は、−SO
2R−であって、Rがアルキルである構造の置換スルホニルを指す。本発明の化合物において使用されるアルキルスルホニル基は、一般的にはその骨格構造中に1個から6個までの炭素原子を有するアルキルスルホニル基である。従って、本発明の化合物中で使用される典型的なアルキルスルホニル基としては、例えば、メチルスルホニル(すなわち、Rがメチルである)、エチルスルホニル(すなわち、Rがエチルである)、プロピルスルホニル(すなわち、Rがプロピルである)などが挙げられる。用語「アリールスルホニル」は、本明細書では、基−SO
2−アリールを指す。用語「アラルキルスルホニル」は、本明細書では、基−SO
2−アラルキルを指す。用語「スルホンアミド」は、本明細書では、−SO
2NH
2を指す。
【0066】
「カルボニルアミノ」は、−NH−C(O)−であって、このカルボニルアミノ基のアミド窒素の水素原子が置き換えられたアルキル、アリール、またはアラルキル基であり得る二価の基を指す。かかる基としては、Rが直鎖または分枝鎖のアルキル、シクロアルキル、またはアリールもしくはアラルキルであるカルバメートエステル(−NH−C(O)−O−R)およびアミド−NH−C(O)−R等の部分が挙げられる。用語「アルキルカルボニルアミノ」は、Rが1個から約6個までの炭素原子をその主鎖構造中に有するアルキルであるアルキルカルボニルアミノを指す。用語「アリールカルボニルアミノ」は、Rがアリールである基−NH−C(O)−Rを指す。同様に、用語「アラルキルカルボニルアミノ」は、Rがアラルキルであるカルボニルアミノを指す。
【0067】
「グアニジノ」または「グアニジル」は、グアニジン、H
2N−C(=NH)−NH
2から誘導された部分を指す。かかる部分としては、形式的二重結合を持っている窒素原子に結合しているもの(グアニジンの「2」位、例えば、ジアミノメチレンアミノ、(H
2N)
2C=NH−)および形式的単結合を持っている窒素原子のどちらにも結合しているもの(グアニジンの「1」位および/または「3」位、例えば、(H
2N−C=NH)−NH−)が挙げられる。どの窒素のところの水素原子も、適切な置換基、例えば、アルキル、アリール、またはアラルキル等により置き換えられ得る。
【0068】
「アミジノ」は、部分R−C(=N)−NR’−(この基は、「N
1」窒素のところにある)およびR(NR’)C=N−(この基は、「N
2」窒素のところにある)を指し、RおよびR’は、水素、アルキル、アリール、またはアラルキルであり得る。
【0069】
「シクロアルキル」は、単環式または多環式の複素環または炭素環アルキル置換基を指す。代表的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルならびに上で定義した直鎖および分枝鎖アルキル基によって置換されている上記環が挙げられる。典型的なシクロアルキル置換基は、それぞれの主鎖原子が炭素またはヘテロ原子のいずれかである3個から8個までの主鎖(すなわち、環)原子を有する。用語「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書では、1個から5個まで、より一般的には、1個から4個までのヘテロ原子を環構造中に有するシクロアルキル置換基を指す。本発明の化合物に使用される適切なヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄である。代表的なヘテロシクロアルキル部分としては、例えば、モルホリノ、ピペラジニル(piperazinyl)、ピペラジニル(piperadinyl)などが挙げられる。カルボシクロアルキル基は、全ての環原子が炭素であるシクロアルキル基である。シクロアルキル置換基に関連して使用されるとき、用語「多環式」は、本明細書では縮合および非縮合アルキル環構造を指す。
【0070】
本明細書で使用される「置換複素環」、「複素環基」、「複素環」、または「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子を含有する3員環もしくは4員環または窒素、酸素、もしくは硫黄からなる群から選択される1個から3個までのヘテロ原子を含有する5員環もしくは6員環を指し、この5員環は、0〜2個の二重結合を有しており、6員環は、0〜3個の二重結合を有しており、この窒素および硫黄原子は場合によって酸化されていてもよく、この窒素および硫黄ヘテロ原子は場合によって四級化されていてもよく、任意の上記の複素環がベンゼン環またはその他の上で定義されている5員もしくは6員の複素環にそれぞれに縮合されている任意の二環式の基を含める。ヘテロシクリル基の例としては:1〜4個の窒素原子を含有する不飽和の3〜8員環、例えば、以下に限定されないが、ピロリル、ジヒドロピリジル、ピリミジル、ピラジニル、テトラゾリル、(例えば、1H−テトラゾリル、2H−テトラゾリル)など;1〜4個の窒素原子を含有する縮合された不飽和複素環基、例えば、以下に限定されないが、イソインドリル、インドリニル、インドリジニル、キノリル、インダゾリルなど;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和の3〜8員環、例えば、以下に限定されないが、オキサジアゾリル(例えば、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル)など;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する飽和3〜8員環、例えば、限定はされないが、モルホリニルなど;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和の縮合複素環基、例えば、ベンズオキサジアゾリル、ベンズオキサジニル(例えば、2H−1,4−ベンズオキサジニル);1〜3個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和3〜8員環、例えば、以下に限定されないが、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,−チアジアゾリル)など;1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する飽和3〜8員環、例えば、限定はされないが、チアゾロジニルなど;1〜2個の硫黄原子を含有する飽和および不飽和の3〜8員環、例えば、以下に限定されないが、ジヒドロジチエニル、ジヒドロジチオニル、テトラヒドロチオフェン、テトラ−ヒドロチオピランなど;1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和の縮合複素環、例えば、以下に限定されないが、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアジニル(例えば、2H−1,4−ベンゾチアジニル)、ジヒドロベンゾチアジニル(例えば、2H−3,4−ジヒドロベンゾチアジニル)、酸素原子を含有する不飽和3〜8員環、例えば、限定はされないが、フリルなど;1〜2個の酸素原子を含有する不飽和の縮合複素環、例えば、ベンゾジオキソイル(例えば、1,3−ベンゾジオキソイル)など;酸素原子および1〜2個の硫黄原子を含有する不飽和の3〜8員環、例えば、限定はされないが、ジヒドロオキサチエニルなど;1〜2個の酸素原子および1〜2個の硫黄原子を含有する飽和3〜8員環、例えば、1,4−オキサチアンなど;1〜2個の硫黄原子を含有する不飽和縮合環、例えば、ベンゾジチエニルなど;ならびに酸素原子および1〜2個の酸素原子を含有する不飽和の縮合複素環、例えば、ベンズオキサチエニルなど、が挙げられるがこれらに限定されない。好ましい複素環としては、例えば、ジアザピニル、ピリル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾイル(imidazoyl)、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピペリジニル、ピラジニル、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、アゼチジニル、N−メチルアゼチジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、フリル、チエニル、トリアゾリル、およびベンゾチエニルが挙げられる。ヘテロシクリル基としては、環中の1つまたは複数のS原子が1つまたは2つの酸素原子に二重結合している、上記に記載したもの(スルホキシドおよびスルホン)もまた挙げられる。例えば、ヘテロシクリル基としては、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェンオキシド、およびテトラヒドロチオフェン1,1−ジオキシドが挙げられる。好ましいヘテロシクリル基は、5個または6個の環の員数を含有する。より好ましいヘテロシクリル基としては、ピペラジン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、チオモルホリン、モルホリン、ホモピペラジン、オキサゾリジン−2−オン、ピロリジン−2−オン、キヌクリジン、およびテトラヒドロフランが挙げられる。
【0071】
複素環部分は、非置換のものか、ヒドロキシ、ハロ、オキソ(C=O)、アルキルイミノ(RN=であってRはアルキルまたはアルコキシ基である)、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、ポリアルコキシ、アルキル、シクロアルキルまたはハロアルキルから独立して選択されるさまざまな置換基によって一置換もしくは二置換されたものであり得る。「非置換のヘテロシクリル」にはベンズイミダゾリル等の縮合複素環を含めるが、2−メチルベンズイミダゾリル等の化合物のような環員の1つに結合しているアルキルまたはハロ基等のその他の基を有するヘテロシクリル基は置換ヘテロシクリル基であるので含めない。
【0072】
この複素環基は、本明細書における開示と関連する有機および医薬品化学技術における技能を有する者には明らかなように、さまざまな位置に結合させることができる。代表的な複素環としては、例えば、イミダゾリル、ピリジル、ピペラジニル、アゼチジニル、チアゾリル、フラニル、トリアゾリル ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、インドリル、ナフトピリジニル、インダゾリル、キノリジニルおよびWO2007/084786、段落154に開示されており、RがHまたは本明細書に記載されているのと同じ複素環置換基であるものが挙げられる。
【0073】
「アリール」は、場合によって置換されている3個から14個までの主鎖の炭素またはヘテロ原子を有する単環式および多環式芳香族基を指し、炭素環アリール基および複素環アリール基の両方が挙げられる。この用語は、例としては、フェニル、ビフェニル、アントラセニル、ナフテニル等の基を指すがこれらに限定されない。炭素環アリール基は、芳香環中の全ての環原子が炭素であるアリール基である。用語「ヘテロアリール」は、本明細書では、芳香環中の環原子として1個から4個までのヘテロ原子を有しており、環原子の残りが炭素原子であるアリール基を指す。
【0074】
「非置換アリール」としては、ナフタレン等の縮合環を含有する基が挙げられる。それは環員の1つに結合したアルキルまたはハロ基等のその他の基を有するアリール基は含めず、何故なら、トリル等のアリール基は、以下で記載されるように、置換アリール基であると本明細書では見なされるためである。好ましい非置換のアリール基はフェニルである。非置換アリール基は、しかしながら、親化合物中の1つまたは複数の炭素原子、酸素原子、窒素原子、および/または硫黄原子には結合されていてもよい。
【0075】
「置換アリール基」は、置換アルキル基が非置換のアルキル基に関して有したのと同じ非置換アリール基についての意味を有する。しかしながら、置換アリール基は、また、芳香族炭素の1つが、上記の非炭素または非水素原子の1つに結合しているアリール基も含み、また、アリール基の1つまたは複数の芳香族炭素が本明細書で定義されている置換および/または非置換のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基に結合しているアリール基も含む。これは、アリール基の2つの炭素原子がアルキル、アルケニル、またはアルキニル基の2つの原子に結合して縮合環系(例えば、ジヒドロナフチルまたはテトラヒドロナフチル)の範囲を決める結合配置を含む。従って、語句「置換アリール」は、とりわけトリルおよびヒドロキシフェニルを含むが、これらに限定されない。
【0076】
本明細書で使用される「置換ヘテロアリール」は、本明細書で定義されているヘテロアリール基上の1つ、2つまたは3つの水素原子が、Cl、Br、F、I、−OH、−CN、C
1〜C
6−アルキル、C
1〜C
6−アルコキシ、アリールにより置換されているC
1〜C
6−アルコキシ、ハロアルキル、チオアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メルカプト、ニトロ、カルボキサルデヒド、カルボキシ、アルコキシカルボニルおよびカルボキサミドによる独立した交換によって置換されているヘテロアリール基を指す。加えて、任意の1つの置換基は、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキル基であり得る。
【0077】
アリール置換基との関連で使用されるとき、用語「多環式アリール」は、本明細書では、少なくとも1つの環状構造が、例えば、ベンゾジオキソール(これはフェニル基に縮合した複素環構造を有する)、ナフチルなどのような芳香族である縮合したおよび非縮合の環状構造を指す。本発明の化合物における置換基として使用される典型的なアリールまたはヘテロアリール部分としては、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、インドリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、トリアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、プリニル、ナフチル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピリジルおよびベンズイミダゾリルなどが挙げられる。
【0078】
「アラルキル」もしくは「アリールアルキル」は、アリール基により置換されているアルキル基を指す。一般的に、本発明の化合物に使用されるアラルキル基は、そのアラルキル基のアルキル部分に組み込まれている1個から6個の炭素原子を有する。本発明の化合物に使用される適切なアラルキル基としては、例えば、ベンジル、ピコリルなどが挙げられる。
【0079】
代表的なヘテロアリール基としては、例えば下に示されているものが挙げられる。これらのヘテロアリール基は、さらに置換されることが可能であり、本明細書における開示と関連する有機および医薬品化学技術において技能を有する者には明らかなように、さまざまな位置に結合させることができる。代表的なヘテロアリールとしては、例えば、イミダゾリル、ピリジル、チアゾリル、トリアゾリルベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、およびベンズオキサゾリルおよびWO2007/084786、段落162に開示されており、RがHまたは本明細書に記載されているのと同じ複素環置換基であるものが挙げられる。
【0080】
「ビアリール」は、互いに縮合していない2つのアリール基が結合している基または置換基を指す。典型的なビアリール化合物としては、例えば、フェニルベンゼン、ジフェニルジアゼン、4−メチルチオ−1−フェニルベンゼン、フェノキシベンゼン、(2−フェニルエチニル)ベンゼン、ジフェニルケトン、(4−フェニルブタ−1,3−ジイニル)ベンゼン、フェニルベンジルアミン、(フェニルメトキシ)ベンゼンなどが挙げられる。場合によって置換されている好ましいビアリール基としては、2−(フェニルアミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)−フェニル]アセトアミド、1,4−ジフェニルベンゼン、N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]−2−[ベンジル−アミノ]−アセトアミド、2−アミノ−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]プロパンアミド、2−アミノ−N−[4−(2−フェニル−エチニル)フェニル]アセトアミド、2−(シクロプロピルアミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)−フェニル]−アセトアミド、2−(エチルアミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、2−[(2−メチル−プロピル)アミノ]−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、5−フェニル−2H−ベンゾ−[d]1,3−ジオキソレン、2−クロロ−1−メトキシ−4−フェニルベンゼン、2−[(イミダゾリーネチル)−アミノ]−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、4−フェニル−1−フェノキシベンゼン、N−(2−アミノ−エチル)−[4−(2−フェニルエチニル)−フェニル]−カルボキサミド、2−{[(4−フルオロフェニル)メチル]−アミノ}−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、2−{[(4−メチルフェニル)メチル]アミノ}−N−[4−(2−フェニル−エチニル)フェニル]アセトアミド、4−フェニル−1−(トリフルオロメチル)−ベンゼン、1−ブチル−4−フェニル−ベンゼン、2−(シクロヘキシルアミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、2−(エチル−メチル−アミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]−アセトアミド、2−(ブチルアミノ)−N−[4−(2−フェニル−エチニル)−フェニル]アセトアミド、N−[4−(2−フェニルエチニル)−フェニル]−2−(4−ピリジルアミノ)−アセトアミド、N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]−2−(キヌクリジン−3−イルアミノ)−アセトアミド、N−[4−(2−フェニル−エチニル)フェニル]ピロリジン−2−イルカルボキサミド、2−アミノ−3−メチル−N−[4−(2−フェニル−エチニル)−フェニル]ブタンアミド、4−(4−フェニルブタ−1,3−ジイニル)フェニルアミン、2−(ジメチル−アミノ)−N−[4−(4−フェニルブタ−1,3−ジイニル)フェニル]アセトアミド、2−(エチルアミノ)−N−[4−(4−フェニルブタ−1,3−ジイニル)−フェニル]アセトアミド、4−エチル−1−フェニルベンゼン、1−[4−(2−フェニル−エチニル)−フェニル]エタン−1−オン、N−(1−カルバモイル−2−ヒドロキシプロピル)[4−(4−フェニルブタ−1,3−ジイニル)−フェニル]−カルボキサミド、N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]プロパンアミド、4−メトキシ−フェニルフェニルケトン、フェニル−N−ベンズアミド、(tert−ブトキシ)−N−[(4−フェニルフェニイ(phenylphenyi))−メチル]−カルボキサミド、2−(3−フェニル−フェノキシ)エタンヒドロキサム酸、3−フェニルフェニルプロパノエート、1−(4−エトキシフェニル)−4−メトキシベンゼン、および[4−(2−フェニルエチニル)−フェニル]ピロールが挙げられる。
【0081】
「場合によって置換されている」または「置換されている」とは、1つまたは複数の一価または二価の基による水素の交換を指す。適切な置換基としては、例えば、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、イミノ、シアノ、ハロ、チオ、スルホニル、チオアミド、アミジノ、イミジノ、オキソ、オキサミジノ、メトキサミジノ、イミジノ、グアニジノ、スルホンアミド、カルボキシル、ホルミル、アルキル、置換アルキル、ハロ−アルキル、アルキアミノ、ハロアルキルアミノ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシ−アルキル、アルキルカルボニル、アミノ−カルボニル、アリール−カルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアラルキル−カルボニル、アルキルチオ、アミノアルキル、シアノアルキル、アリール、ベンジル、ピリジル、ピラゾリル、ピロール、チオフェン、イミダゾリルなどが挙げられる。
【0082】
該置換基はそれ自体が置換され得る。その置換基上で置換される基は、カルボキシル、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アミノカルボニル、−SR、チオアミド、−SO
3H、−SO
2R、またはシクロアルキルであり得、ここで、Rは、一般的には、水素、ヒドロキシルまたはアルキルである。
【0083】
置換される置換基が直鎖基を含有するとき、その置換は、鎖内で(例えば、2−ヒドロキシプロピル、2−アミノブチルなど)または鎖の末端で(例えば、2−ヒドロキシエチル、3−シアノプロピルなど)のいずれかで起こり得る。置換された置換基は、共有結合した炭素またはヘテロ原子の直鎖、分枝または環状の配列であり得る。
【0084】
代表的な置換アミノカルボニル基としては、例えば、下に示されているものが挙げられる。これらは、本明細書における開示と関連する有機および医薬品化学技術において技能を有する者には明らかなように、ヘテロシクリル基およびヘテロアリール基によってさらに置換され得る。好ましいアミノカルボニル基としては、N−(2−シアノエチル)−カルボキサミド、N−(3−メトキシプロピル)−カルボキサミド、N−シクロプロピル−カルボキサミド、N−(2−ヒドロキシ−イソプロピル)−カルボキサミド、メチル2−カルボニルアミノ−3−ヒドロキシプロパノアート、N−(2−ヒドロキシプロピル)−カルボキサミド、N−(2−ヒドロキシ−イソプロピル)−カルボキサミド、N−[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル]−カルボキサミド、N−(2−カルボニルアミノエチル)アセトアミド、N−(2−(2−ピリジル)エチル)−カルボキサミド、N−(2−ピリジルメチル)−カルボキサミド、N−(オキソラン−2−イルメチル)−カルボキサミド、N−(4−ヒドロキシピロリジン−2−イル)−カルボキサミド、N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−カルボキサミド、N−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−カルボキサミド、N−[2−(2−オキソ−4−イミダゾリニル)エチル]−カルボキサミド、N−カルボニルアミノメチチアセトアミド(Carbonylaminomethytyacetamide)、N−(3−ピロリジニルプロピル)−カルボキサミド、N−[1−(カルボニルアミノメチル)ピロリジン−3−イル]−アセトアミド、N−(2−モルホリン−4−イルエチル)−カルボキサミド、N−[3−(2−オキソピロリジニル)プロピル]−カルボキサミド、4−メチル−2−オキソピペラジン−カルバルデヒド、N−(2−ヒドロキシ−3−ピロリジニルプロピル)カルボキサミド、N−(2−ヒドロキシ−3−モルホリン−4−イルプロピル)−カルボキサミド、N−{2−[(5−シアノ−2−ピリジル)アミノ]エチル}−カルボキサミド、3−(ジメチルアミノ)−ピロリジン−カルバルデヒド、N−[(5−メチルピラジン−2−イル)メチル]−カルボキサミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(1−ホルミルピロリジン−3−イル)−アセトアミド、およびWO2007/084786、段落170に示されている基が挙げられる。
【0085】
代表的な置換アルコキシカルボニル基としては、例えば、WO2007/084786、段落171および172に示されているものが挙げられる。これらのアルコキシカルボニル基は、本明細書における開示と関連する有機および医薬品化学技術において技能を有する者には明らかなように、さらに置換され得る。
【0086】
ヒドロキシル基、アミン基、およびスルフヒドリル基に関する用語の「保護された」とは、Protective Groups in Organic Synthesis、Greene, T.W.;Wuts, P. G. M.、John Wiley & Sons、New York、NY(3rd Edition、1999)に明らかにされており、そこに示されている手順を用いて添加または除去することができるもの等の当業者には公知の保護基によって望ましくない反応から保護されているこれらの官能基性の形態を指す。保護されたヒドロキシル基の例としては、シリルエーテル類、例えば、ヒドロキシル基の、以下に限定されないが、t−ブチルジメチル−クロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリエチルクロロシラン等の試薬との反応によって得られたものなど;置換メチルおよびエチルエーテル類、例えば、以下に限定されないが、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、t−ブトキシメチルエーテル、 2−メトキシエトキシメチルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、1−エトキシエチルエーテル、アリルエーテル、ベンジルエーテルなど;エステル類、例えば、以下に限定されないが、ベンゾイルホルメート、ホルメート、アセテート、トリクロロアセテート、およびトリフルオロアセテートなどが挙げられるがこれらに限定されない。保護されたアミン基の例としては、アミド類、例えば、ホルムアミド、アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、およびベンズアミドなど;イミド類、例えば、フタルイミド、およびジチオスクシンイミドなど;その他が挙げられるがこれらに限定されない。保護されたスルフヒドリル基の例としては、チオエーテル類、例えば、S−ベンジルチオエーテル、およびS−4−ピコリルチオエーテルなど;置換S−メチル誘導体類、例えば、ヘミチオ、ジチオおよびアミノチオアセタールなど;その他が挙げられるがこれらに限定されない。
【0087】
「カルボキシ保護基」は、化合物の他の機能部位と関係する反応は行なわれるが、カルボン酸機能をブロックまたは保護するために採用される普通に使用されるカルボン酸保護エステル基の1つによりエステル化されているカルボニル基を指す。その上、カルボキシ保護基は、固体支持体に結合させることができ、それによってその化合物は加水分解を起こす方法によって開裂されて対応する遊離酸を放出するまで、カルボン酸エステルとしてその固体支持体に結合したまま留まる。代表的なカルボキシ保護基としては、例えば、アルキルエステル、第二級アミドなどが挙げられる。
【0088】
本明細書で用いられる用語「医薬的に許容される塩」とは、本発明のピリミジン化合物の毒性の無い酸またはアルカリ土類金属の塩を指す。これらの塩は、ピリミジン化合物の最後の単離または精製の間にそのままの状態で(in situ)、あるいは、塩基または酸の官能基を適切な有機または無機の酸または塩基とそれぞれ別々に反応させることによって調製することができる。代表的な塩としては、下記:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられるがこれらに限定されない。同様に、塩基性窒素含有基は、ハロゲン化アルキル類、例えば、メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物など;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル、およびジアミルのような硫酸ジアルキル類;長鎖ハロゲン化物、例えば、デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物など、ベンジルおよびフェネチルの臭化物のようなアラルキルハロゲン化物、およびその他のような物質により四級化され得る。水または油に可溶性または分散性の生成物がそれによって得られる。
【0089】
塩基の付加塩は、ピリミジン化合物の最後の単離および精製の間にそのままの状態で(in situ)、あるいは別々に、カルボン酸部分を適切な塩基、例えば、医薬的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩、あるいはアンモニア、有機第一級、第二級または第三級アミンなどと反応させることによって調製することができる。医薬的に許容される塩としては、アルカリおよびアルカリ土類金属に基づくカチオン、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム塩など、ならびに、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含むがこれらに限定されない毒性の無いアンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオン、が挙げられるがこれらに限定されない。塩基付加塩の形成のために有用なその他の代表的な有機アミンとしては、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ピリジン、ピコリン、トリエタノールアミンなど、ならびにアルギニン、リシンおよびオルニチン等の塩基性アミノ酸が挙げられる。
【0090】
本明細書で使用される用語「医薬的に許容されるエステル」とは、生体内(in vivo)で加水分解するエステルを指し、ヒトの体内で容易に分解して親化合物またはその塩を残すものが挙げられる。適切なエステル基としては、例えば、医薬的に許容される脂肪族カルボン酸、特に、各アルキルまたはアルケニル部分が有利には6個を超える炭素原子を有さないアルカン、アルケン、シクロアルカンおよびアルカン二酸から誘導されるものが挙げられる。特定のエステルの代表的な例としては、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステルおよびエチルコハク酸エステルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0091】
本明細書に示されているいずれの式も、構造式ならびに一定の変形または形態によって描かれている構造を有する化合物を表すことが意図されている。特に本明細書に示されているどの式の化合物も、不斉中心を有することができ、それ故、さまざまな光学異性体の形態で存在する。少なくとも1つの不斉炭素原子が式Aの化合物中に存在する場合、かかる化合物は、光学活性な形態で、または光学異性体の混合物の形態で、例えば、ラセミ混合物の形態で存在し得る。全ての光学異性体およびラセミ混合物を含めたそれらの混合物は、本発明の一部である。従って、本明細書に示されているどの所与の式も、ラセミ化合物、1つまたは複数の鏡像異性体の形態、1つまたは複数のジアステレオマーの形態、1つまたは複数のアトロプ異性体の形態、およびそれらの混合物を表すことが意図されている。さらに、いくつかの構造は、幾何異性体(すなわち、シスおよびトランス異性体)として、互変異性体として、またはアトロプ異性体として存在することができる。
【0092】
本明細書に示されているどの式も、本明細書に特に特定されている場合を除いて、かかる化合物の水和物、溶媒和物、および多形、ならびにそれらの混合物を表すことが意図されている。
【0093】
本明細書に示されているどの式も、同様に、その化合物の非標識の形態ならびに同位体標識された形態を表すことが意図されている。同位体標識された化合物は、1つまたは複数の原子が選択された原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられていること以外は本明細書に示されている式によって描かれている構造を有する。本発明の化合物中に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体、例えば、
2H、
3H、
11C、
13C、
14C、
15N、
18F、
31P、
32P、
35S、
36Cl、
125I等がそれぞれ挙げられる。本発明のさまざまな同位体標識された化合物には、例えば
3H、
13C、および
14C等の放射性同位元素が組み込まれている。そのような同位体標識された化合物は、薬物または基質組織分布分析を含めた代謝研究(好ましくは
14Cを用いる)、反応の動力学的研究(例えば、
2Hまたは
3Hを用いる)、検出またはイメージング技術、例えば、陽電子放出断層撮影(PET)または単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、あるいは患者の放射能治療に有用である。特に、
18Fまたは標識化合物は、PETまたはSPECTの研究に対して特に優先され得る。さらに、重水素(すなわち、
2H)等のより重い同位体による置換は、より大きい代謝的安定性、例えば、増加した生体内の半減期または減少された必要用量に由来する一定の治療上の利点を提供することができる。本発明の同位体標識された化合物およびそれらのプロドラッグは、一般に、以下に記載されているスキーム中または実施例および調製法に開示されている手順を、非同位体標識の試薬の代わりに容易に入手できる同位体標識された試薬に置き換えて実施することによって調製することができる。
【0094】
本明細書に示されている式のどれかに言及するとき、特定の変化のために可能な種のリストからの特定の部分の選択は、他のどこかに現れる変化のための部分を明示することが意図されてはいない。言い換えると、変化が一度ならず現れる場合、特定のリストからの種の選択は、式中の他の場所の同じ変化のための種の選択と無関係である(1つまたは全部に至るまでの複数の上記または下記で好ましいものとして特徴づけられた実施形態におけるより一般的な表現は、より具体的な定義付けと交換し、かくして、それぞれ、本発明のより好ましい実施形態をもたらすことができる)。
【0095】
複数形(例えば、化合物類(compounds)、塩類(salts))が使用される場合、これは、単数(例えば、単一の化合物、単一の塩)を含める。「1つの化合物(a compound)」は、(例えば、医薬品配合物中に)1超の式Aの化合物(またはその塩)が存在することを排除しない。
【0096】
単数形(例えば、溶媒(solvent)、塩基(base))が使用される場合、これは複数(例えば、溶媒類(solvents)、塩基類(bases))を含める。「1つの溶媒(a solvent)」、「該溶媒(the solvent)」、「1つの塩基(a base)」または「該塩基(the base)」は、(例えば、反応混合物中に)1超の溶媒または塩基が存在することを排除しない。
【0097】
式Aの化合物の塩は、好ましくは医薬的に許容される塩であり、かかる塩は当該分野では公知である。
【0098】
式5の化合物を合成する方法
1つの態様において、本発明は、式5、
【0099】
【化21】
[式中、
Wは、CR
wまたはNであり、R
wは、(1)水素、(2)シアノ、(3)ハロゲン、(4)メチル、(5)トリフルオロメチル、(6)スルホンアミドからなる群から選択され、
R
1は、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)置換および非置換アルキル、(6)置換および非置換アルケニル、(7)置換および非置換アルキニル、(8)置換および非置換アリール、(9)置換および非置換ヘテロアリール、(10)置換および非置換ヘテロシクリル、(11)置換および非置換シクロアルキル、(12)−COR
1a、(13)−CO
2R
1a、(14)−CONR
1aR
1b、(15)−NR
1aR
1b(17)−NR
1aSO
2R
1b、(18)−OCOR
1a、(19)−OR
1a、(21)−SOR
1aからなる群から選択され、R
1a、およびR
1bは、(a)水素、(b)置換または非置換アルキル、(c)置換および非置換アリール、(d)置換および非置換ヘテロアリール、(e)置換および非置換ヘテロシクリル、および(f)置換および非置換シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
R
2は、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)ヒドロキシ、(6)アミノ、(7)置換および非置換アルキル、(8)−COR
2a、および(9)−NR
2aCOR
2bからなる群から選択され、R
2a、およびR
2bは、(a)水素、および(b)置換または非置換アルキルからなる群から独立して選択され、
R
3は、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)置換および非置換アルキル、(6)置換および非置換アルケニル、(7)置換および非置換アルキニル、(8)置換および非置換アリール、(9)置換および非置換ヘテロアリール、(10)置換および非置換ヘテロシクリル、(11)置換および非置換シクロアルキル、(12)−COR
3a、(13)−NR
3aR
3b、(14)−NR
3aCOR
3b、(15)−NR
3aSO
2R
3b、(16)−OR
3a、(17)−SR
3a、(18)−SOR
3a、(19)−SO
2R
3aからなる群から選択され、R
3a、およびR
3bは、(a)水素、(b)置換または非置換アルキル、(c)置換および非置換アリール、(d)置換および非置換ヘテロアリール、(e)置換および非置換ヘテロシクリル、および(f)置換および非置換シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
R
4は、(1)水素、および(2)ハロゲンからなる群から選択される]
の化合物もしくはその立体異性体、互変異性体、またはそれらの塩を製造するためのプロセスに関する。
【0100】
このプロセスは、「プロセスステップc)」と称される。プロセスステップc)は、次のスキーム:
【0101】
【化22】
によって描くことができる。
【0103】
【化23】
(式中、Y
2B−は、非環式のボロン酸、非環式のボロン酸エステル、環状のボロン酸エステル、好ましくは非環式または環状のボロン酸エステルを表し、R
1およびR
2は、式5について定義されている通りである)
の化合物を、式4a
【0104】
【化24】
(式中、Halは、ハロゲンを表し、W、R
3およびR
4は、式5の化合物について上で定義されている通りである)
の化合物と、鈴木条件の下で反応させて式5の化合物を得るステップを含む。
【0105】
場合によって、プロセスステップc)は、1つまたは複数の塩形成反応(すなわち、プロセスステップd))を後に続けることができる。従って、このプロセスステップc)は、以下に記載されているように、プロセスステップd)と組み合わせることができる。別法では、またはさらに、プロセスステップc)は、プロセスステップb)またはプロセスステップa)およびb)と組み合わせることができる。従って、本発明は、プロセスステップc)またはプロセスステップb)およびc)あるいはプロセスステップa)、b)およびc)を含み、いずれの場合も場合によってプロセスステップd)が後に続く化合物5を製造するためのプロセスを提供する。プロセスの組合せとは、出発材料が、例えば、
図1に要点がまとめられているように先行するプロセスを適用することによって得られることを意味する。かかる出発材料は、直接(すなわち、単離および/または精製することなく)または適切な仕上げステップの後に使用することができる。全てのかかる代案は本発明に包含される。
【0106】
有利には、鈴木条件のための触媒/プレ触媒は、場合によってはホスフィンの存在下でのPd(0)およびPd(II)化合物から選択される。特に適切なのはPd(dbpf)Cl
2およびPd(dppf)Cl
2であり、Pd(dbpf)Cl
2が優先される。触媒の適量は、0.1〜10モル%、好ましくは3〜6モル%の範囲内である。
【0107】
有利には、希釈剤は、極性有機溶媒の群、好ましくは、エーテル(THF、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、2−メチルTHF、DMFなど)から選択される。
【0108】
有利には、さらなる反応助剤は、1つまたは複数の塩基、例えば、炭酸アルカリ、炭酸アルカリ土類、リン酸アルカリ、アルコキシド、有機アミン等の群から選択され、炭酸セシウムが優先される。
【0109】
一般的な反応時間は、1分〜2日の範囲内、好ましくは10分〜10時間、特に好ましくは1〜3時間である。
【0110】
一般的な反応温度は、20℃から還流状態までの範囲内、好ましくは30℃〜90℃、特に好ましくは40〜60℃である。
【0111】
1つの実施形態において、本発明は、
Wが、CHを表し、
R
1が、置換または非置換のヘテロシクリルを表し、
R
2が、水素を表し、
R
3が、置換または非置換のアルキルを表し、
R
4が、水素を表す
プロセスステップc)によるプロセスに関する。
【0112】
有利な実施形態において、本発明は、
Wが、CHを表し、
R
1が、N−モルホリニルを表し、
R
2が、水素を表し、
R
3が、トリフルオロメチルを表し、
R
4が、水素を表す
プロセスステップc)によるプロセスに関する。
【0113】
さらなる有利な実施形態において、本発明は、Y
2B−が、環状ボロン酸エステル、特に4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル、ならびに非環式ボロン酸およびそれらのエステルを表すプロセスステップc)によるプロセスに関する。
【0114】
さらなる有利な実施形態において、本発明は、Halがクロロまたはブロモ、特にブロモを表すプロセスステップc)によるプロセスに関する。
【0115】
さらなる有利な実施形態において、本発明は、鈴木条件が、Pd触媒、特にPd(dbpf)Cl
2の存在を伴うプロセスステップc)によるプロセスに関する。
【0116】
さらなる有利な実施形態において、本発明は、4、4aおよび触媒が、上で定義されている希釈剤中に懸濁されており、上で定義されている反応助剤が添加されるプロセスステップc)によるプロセスに関する。
【0117】
さらなる有利な実施形態において、本発明は、最初に得られた反応混合物の仕上げが、i)不溶性物質を分離するステップ(例えば、好ましくはCeliteのパッド等の濾過助剤を用いる濾過による不溶物の濾過によって)、ii)有機相を分離し、場合によってその溶媒を別の溶媒(例えば酢酸イソプロピルなど)と置き換えるステップ、iii)残留パラジウムを除去するステップ、およびiv)生成物を結晶化させるステップ(好ましくは酸水溶液抽出およびpHが制御される沈殿の後)を含むプロセスステップc)によるプロセスに関する。
【0118】
このプロセスステップにおいて使用される出発材料、反応助剤および触媒は、既知であり、または既知のプロセスと類似した形で得ることができる。有利には、該出発材料は、本明細書に記載されているようにして得られる。
【0120】
【化25】
[式中、
Y
2B−は、ボロン酸エステルを表し、
R
1は、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)置換および非置換アルキル、(6)置換および非置換アルケニル、(7)置換および非置換アルキニル、(8)置換および非置換アリール、(9)置換および非置換ヘテロアリール、(10)置換および非置換ヘテロシクリル、(11)置換および非置換シクロアルキル、(12)−COR
1a、(13)−CO
2R
1a、(14)−CONR
1aR
1b、(15)−NR
1aR
1b(17)−NR
1aSO
2R
1b、(18)−OCOR
1a、(19)−OR
1a、(21)−SOR
1aからなる群から選択され、R
1a、およびR
1bは、(a)水素、(b)置換または非置換アルキル、(c)置換および非置換アリール、(d)置換および非置換ヘテロアリール、(e)置換および非置換ヘテロシクリル、および(f)置換および非置換シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
R
2は、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)ヒドロキシ、(6)アミノ、(7)置換および非置換アルキル、(8)−COR
2a、および(9)−NR
2aCOR
2bからなる群から選択され、R
2a、およびR
2bは、(a)水素、および(b)置換または非置換アルキルからなる群から独立して選択される]
の化合物を製造するためのプロセスに関する。
【0121】
式4の化合物を製造するためのこのプロセスは、「プロセスステップb)」と称される。式4の化合物の合成のためのプロセスステップb)は、次のスキーム:
【0124】
【化27】
(式中、
R
1は、式5の化合物に対して定義されている通りであり、
R
2は、式5の化合物に対して定義されている通りであり、
Halは、ハロゲンを表す)
の化合物を、式6
Y
2B−X 6
(式中、
Y
2Bは、ボロン酸エステルを表し、
Xは、水素、ヒドロキシル、C
1〜C
4アルコキシまたはY
2B、好ましくはY
2Bを表す)
のボロン酸エステルまたはその誘導体と、場合によってPd
2(dba)
3/PCy
3等の触媒の存在下で、場合によって希釈剤の存在下で、場合によって反応助剤の存在下で反応させて、式4の化合物を得るステップを含む。
【0125】
有利な実施形態において、本発明は、R
1がN−モルホリニルを表すプロセスステップb)によるプロセスに関する。
【0126】
有利な実施形態において、本発明は、Halがクロロを表すプロセスステップb)によるプロセスに関する。
【0127】
有利な実施形態において、本発明は、化合物6が、式6a:
Y
2B−BY
2 6a
(式中、該置換基は本明細書に定義されている通りである)
のものであるプロセスステップb)によるプロセスに関する。
【0128】
有利には、触媒/プレ触媒は、場合によってはホスフィンの存在下でのPd(0)およびPd(II)化合物から選択される。特に適切なのはPd
2(dba)
3/PCy
3である。触媒の適量は、0.1〜20モル%、好ましくは1〜10モル%の範囲内である。
【0129】
有利には、希釈剤は、有機溶媒、好ましくは、THF、ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリルなどの群から選択される。
【0130】
有利には、さらなる反応助剤は、1つまたは複数の塩基、例えば、炭酸アルカリ、炭酸アルカリ土類等の群から選択され、酢酸カリウムが優先される。
【0131】
一般的な反応時間は、1分〜2日の範囲内、好ましくは10分〜10時間、特に好ましくは2〜4時間である。
【0132】
一般的な反応温度は、20℃から還流状態までの範囲内、好ましくは30℃から90℃、特に好ましくは80〜90℃である。
【0133】
このプロセスステップにおいて使用される出発材料、反応助剤および触媒は、既知であり、または既知のプロセスと類似した形で得ることができる。有利には、この出発材料は、本明細書に記載されているようにして得られる。
【0134】
さらに別の態様において、本発明は、式3
【0135】
【化28】
(式中、
R
1は、置換または非置換の複素環であり、
R
2は、式5の化合物に対して定義されている通りであり、
Halは、ハロゲンを表す)
の化合物を製造するためのプロセスに関する。
【0136】
式3の化合物を製造するためのこのプロセスは、「プロセスステップa)」と称される。式3の化合物の合成のためのプロセスステップa)は、次のスキーム:
【0137】
【化29】
によって描くことができる。
【0139】
【化30】
(式中、
R
2は、式5の化合物に対して定義されている通りであり、
Halは、ハロゲンを表す)
の化合物を、式2
H−R
1 2
(式中、R
1は、置換もしくは非置換のヘテロシクリルまたはその混合物である)
の化合物または式2の異なる化合物の混合物と、二相条件の下で、場合によって反応助剤の存在下で、場合によって希釈剤の存在下で反応させ、場合によってその後仕上げおよび/または単離ステップが続くステップを含む。
【0140】
本発明は、また、R
1が、置換または非置換ヘテロシクリルを表すプロセスステップa)によるプロセスにも関する。
【0141】
有利には、プロセスステップa)は、二相状態の下で実施することができる。この用語は、第一の液相および第二の液相が存在する反応条件を意味する。前記第一相は水(「水相」)を含有し、前記第二相は有機溶媒/希釈剤(「有機相」)を含有する。かかる二相系は、技術的に知られており、好ましいのは水/トルエンである。出発材料、中間体、生成物、副生成物がそれらの分配係数に応じて両方の相中に存在することが理解される。これらの二相条件は、非二相条件と比較するとより高い収率、より高い選択性および改良された単離を提供することが見出された。
【0142】
有利な実施形態において、本発明は、R
2が、水素を表すプロセスステップa)によるプロセスに関する。
【0143】
さらに有利な実施形態において、本発明は、R
1が、モルホリニルを表すプロセスステップa)によるプロセスに関する。従って、式2の好ましい化合物は、モルホリンである。
【0144】
さらに有利な実施形態において、本発明は、Halがクロロを表すプロセスステップa)によるプロセスに関する。
【0145】
有利には、2は、過剰に、好ましくは1と比較したとき少なくとも4当量が加えられる。
【0146】
代替の実施形態において、出発材料2として、2つの構成要素2−1および2−2の混合物を使用することも可能であり、ここで、2−1は、モルホリニルを表し、2−2は、置換または非置換のヘテロシクリル、好ましくは、窒素、酸素、または硫黄からなる群から選択される1個から3個までのヘテロ原子を含有する置換もしくは非置換の5員環もしくは6員環を表し、ここで、5員環は、0〜1個の二重結合を有しており、6員環は、0〜2個の二重結合を有している。この場合、一般的には式3の混合された置換誘導体が得られ、それは公知の手順、例えば、クロマトグラフィーまたは結晶化によって分離することができる。仕上げ手順が必要となるために、このプロセスはあまり好ましくない。
【0147】
一般的な反応時間は、1分〜2日の範囲内、好ましくは10分〜10時間、特に好ましくは1〜3時間である。
【0148】
一般的な反応温度は、0℃から100℃の範囲内、好ましくは20℃から還流まで、特に好ましくは80℃〜85℃である。
【0149】
このステップで得られた材料は、さらなる反応において、例えば、本明細書に記載されているプロセスステップb)において直接使用することができる。別法では、この材料は、例えば、塩酸塩等の水溶性の塩に転換し、その後NaOHの水溶液等の塩基を添加した後沈殿させることによって精製および単離することができる。
【0150】
このプロセスステップにおいて使用される出発材料および反応助剤は、公知であり、市販されており、または公知のプロセスと類似した形で得ることができる。
【0151】
さらに別の態様において、本発明は、式4
【0152】
【化31】
[式中、
R
1は、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)置換および非置換アルキル、(6)置換および非置換アルケニル、(7)置換および非置換アルキニル、(8)置換および非置換アリール、(9)置換および非置換ヘテロアリール、(10)置換および非置換ヘテロシクリル、(11)置換および非置換シクロアルキル、(12)−COR
1a、(13)−CO
2R
1a、(14)−CONR
1aR
1b、(15)−NR
1aR
1b(17)−NR
1aSO
2R
1b、(18)−OCOR
1a、(19)−OR
1a、(21)−SOR
1aからなる群から選択され、R
1a、およびR
1bは、(a)水素、(b)置換または非置換アルキル、(c)置換および非置換アリール、(d)置換および非置換ヘテロアリール、(e)置換および非置換ヘテロシクリル、および(f)置換および非置換シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
R
2は、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)ヒドロキシ、(6)アミノ、(7)置換および非置換アルキル、(8)−COR
2a、および(9)−NR
2aCOR
2bからなる群から選択され、R
2a、およびR
2bは、(a)水素、および(b)置換または非置換アルキルからなる群から独立して選択され、
Y
2Bは、ボロン酸エステルを表す]
の化合物、もしくはその立体異性体、互変異性体またはそれらの塩に関する。
【0153】
好ましい実施形態において、式4の化合物に対する好ましい定義は、以下のように提供される:
R
1は、好ましくは置換および非置換ヘテロシクリルを表す。
R
1は、特に好ましくはN−モルホリニルを表す。
R
2は、好ましくは水素を表し、
Y
2Bは、好ましくは環状ボロン酸エステルを表す。
Y
2Bは、特に好ましくは、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イルを表す。
【0154】
これらの化合物は、例えば、式5のPI3K阻害剤の合成において有用である。従って、本発明は、また、式5の化合物の製造のための式4の化合物の使用にも関する。本発明は、さらに、中間体として本明細書で定義されているような式4の化合物に関する。
【0155】
別の態様において、本発明は、式5a:
【0156】
【化32】
(式中、
W、R
1、R
2、R
3およびR
4は、式5の化合物に対して定義されている通りであり、
HXは、酸付加塩の形成のための酸性化合物である)
の化合物を製造するための塩形成反応に関する。
【0157】
式5aの化合物の合成のためのこのプロセス(「プロセスステップd」)は、次のスキーム:
【0158】
【化33】
によって描くことができる。
【0159】
遊離の化合物のそれらの対応する塩への転換は、有機化学においてはよく知られている。本発明におけるような塩基性化合物は、例えば、ガスまたは実体(substance)として有機または水性媒体中に溶解された酸性化合物(HX)の添加によってそれぞれの塩に転換され得る。この反応は、本明細書で記載されている特定の出発材料/反応条件を用いて今までのところ適用されておらず、それは従って新規のおよび発明のプロセスを形成する。
【0160】
このステップは、式5の化合物から医薬的に許容される酸付加塩を製造するために好ましくは使用される。医薬的に許容される好ましい酸付加塩は、i)塩酸、ヒドロホウ酸、硝酸、硫酸およびリン酸からなる群から特に選択される無機酸、ii)ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸、クエン酸、からなる群から特に選択される有機酸、ならびにiii)アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群から特に選択されるような酸性アミノ酸を含む。特に好ましい酸は、塩酸である。
【0161】
このプロセスステップで使用される出発材料、反応助剤は、公知であるかまたは公知のプロセスと類似した形で得ることができる。有利には、この出発材料は、本明細書に記載されているようにして得られる。
【0163】
【化34】
(式中、W、R
1、R
2、R
3およびR
4は、式5の化合物に対して上で定義されている通りである)
の化合物もしくはその立体異性体、互変異性体またはそれらの塩を製造するためのさらに別のプロセスであって、式3
【0164】
【化35】
(式中、Halはハロゲンを表し、R
1およびR
2は、式5の化合物に対して定義されている通りである)
の化合物を、式B3
【0165】
【化36】
(式中、−BY
2は、ボロン酸、非環式ボロン酸エステル、環状ボロン酸エステル、またはトリフルオロホウ酸塩を表し、W、R
3およびR
4は、式5の化合物に対して定義されている通りであり、式中、R
5は、(1)水素、(2)置換もしくは非置換アルキル、(3)置換もしくは非置換アルキルオキシ、(4)置換もしくは非置換アリール、(5)置換もしくは非置換アリールオキシ、(6)置換もしくは非置換アリールアルキルオキシからなる群から選択される)
の化合物と鈴木条件の下で反応させ、その後R
5C(O)−部分の除去が続いて式5の化合物を得るステップを含み、場合によってその後塩形成反応が続くプロセスを提供する。
【0166】
特定の実施形態において、上記トリフルオロホウ酸塩はカリウム塩である。
【0167】
上記の多くの反応において利用される鈴木反応は、原則として、有機化学においては公知の反応であり、パラジウムが触媒作用をする反応物の1つが反応性のハロゲン化部分を含有し、他の反応物が反応性のボロン酸エステルまたはボロン酸部分を含有する2つの反応物のカップリングを意味する。この反応に対する適切な条件(「鈴木条件」)は、当業者には公知であり、特に、触媒の、希釈剤の、さらなる反応助剤の、反応時間のおよび反応温度の選択に関係する。この反応は、本明細書で記載されている特定の出発材料を用いて今までのところ適用されておらず、それは従って新規のおよび発明のプロセスを形成する。本プロセスの特定の実施形態において、該Pd触媒は、Pd(PPh
3)
4である。
【0168】
本プロセスの1つの実施形態において、B3は、式B1
【0170】
【化38】
の化合物が生成されるように、酸無水物(R
5C=O)
2Oと反応させ、式B2の化合物を第一の溶媒、第一の塩基および場合によってアルコール添加剤を含む反応混合物と反応させ、得られた混合物を第二の溶媒および第二の塩基と反応させ、そのようにして形成された混合物をホウ酸誘導体と反応させ、場合によってそのようにして形成された混合物を第三の溶媒および第三の塩基と、続いてホウ酸誘導体と反応させ、場合によってそのようにして形成された混合物を水および酸と反応させ、その結果、式B3の化合物を生成させることによって調製する。
【0171】
適切なホウ酸誘導体の非限定の例としては、ホウ酸トリイソプロピル等のホウ酸エステルが挙げられる。
【0172】
別の実施形態において、B3を調製するためのプロセスは、B3のボロン酸またはホウ酸エステル部分をトリフルオロホウ酸塩に転換するさらなるステップを含む。
【0173】
別の実施形態において、B1は、(R
5C=O)−Zであって、ZがHalおよびO(C=OR
5)から選択されるカルボン酸誘導体との反応を受ける。
【0174】
このプロセスのさらに別の実施形態において、Wは、CR
wを表し、R
1は、置換または非置換のヘテロシクリルを表し、R
2は、水素を表し、R
3は、置換または非置換のアルキルを表し、R
4は、水素を表し、R
5は、置換または非置換のアルキルあるいは置換または非置換のアルキルオキシを表す。さらに別の実施形態において、Wは、CHを表し、R
1は、N−モルホリニルを表し、R
2は、水素を表し、R
3は、トリフルオロメチルを表し、R
4は、水素を表し、R
5は、メチルを表す。特定の実施形態において、−BY
2は、ボロン酸を表す。
【0175】
いくつかの実施形態において、Halはクロロまたはブロモを表す。特定の実施形態において、Halはクロロを表す。
【0176】
別の態様において、本発明は、また、式B3
【0177】
【化39】
(式中、W、R
3、R
4、R
5は上で定義されている通りであり、BY
2は、ボロン酸、非環式ボロン酸エステル、環状ボロン酸エステル、またはトリフルオロホウ酸塩を表す)
の化合物もしくはその立体異性体、互変異性体、またはそれらの塩を提供する。
【0178】
1つの実施形態において、Wは、CR
wを表し、R
1は、置換または非置換のヘテロシクリルを表し、R
2は、水素を表し、R
3は、置換または非置換のアルキルを表し、R
4は、水素を表し、R
5は、置換または非置換のアルキルあるいは置換または非置換のアルキルオキシを表す。別の実施形態において、Wは、CHを表し、R
1は、N−モルホリニルを表し、R
2は、水素を表し、R
3は、トリフルオロメチルを表し、R
4は、水素を表し、R
5は、メチルを表し、−BY
2は、ボロン酸を表す。
【0180】
【化40】
の化合物もしくはその立体異性体、互変異性体、またはそれらの塩を製造するための下記のプロセスであって、次のステップ:
ステップA:式B1
【0181】
【化41】
の化合物を、溶媒および酸無水物(R
5C=O)
2Oを含む反応混合物と接触させ、その結果、式B2
【0182】
【化42】
の化合物が生成されるステップ、
ステップB:i)式B2の化合物を、第一の溶媒、第一の塩基および場合によってアルコール添加剤を含む反応混合物と接触させるステップ、ii)ステップ(i)の混合物を第二の溶媒および第二の塩基と接触させるステップ、iii)ステップ(ii)の混合物をホウ酸誘導体と接触させるステップ、iv)場合によってステップ(iii)の混合物を第三の溶媒および第三の塩基と接触させ、次いで得られた混合物をホウ酸誘導体と接触させるステップ、およびv)場合によってステップ(iii)またはステップ(iv)の混合物を水および酸と接触させ、その結果、式B3
【0183】
【化43】
の化合物が生成されるステップ、
ステップC:式B3の化合物を、溶媒、塩基、触媒、および式3
【0184】
【化44】
の化合物を含む反応混合物と接触させ、その結果、B5
【0185】
【化45】
の化合物が生成されるステップ、
ステップD:式B5の化合物を、溶媒およびR
5C(=O)−部分の除去のための試薬を含む反応混合物と接触させ、その結果、式5の化合物が生成されるステップ
の1つまたは複数を含み、
場合によってその後塩形成反応が続き、上式中、W、R
1、R
2、R
3、R
4が、式5の化合物に対して上で定義された通りであり、上式中、Halが、ハロゲンを表し、上式中、−BY
2が、ボロン酸、非環式ボロン酸エステル、環状ボロン酸エステル、またはトリフルオロホウ酸塩を表すプロセスを提供する。
【0186】
ステップAの1つの実施形態において、R
5は、置換または非置換のC
1〜
6アルキル、置換または非置換のC
1〜
6アルキルオキシ、置換または非置換のベンジルオキシあるいは置換または非置換のフェニルである。もう一つの実施形態において、R
5はメチルである。ステップAの代替の実施形態において、B1は、(R
5C=O)−Zであって、ZがHalおよびO(O=CR
5)から選択されるカルボン酸誘導体との反応を受ける。
【0187】
別の実施形態において、ステップAおよびBの溶媒は、芳香族溶媒、脂肪族溶媒、ハロゲン化溶媒、極性非プロトン性溶媒、およびエーテル性溶媒から選択される1つまたは複数の溶媒を独立して含む。
【0188】
さらに別の実施形態において、ステップAの溶媒は、芳香族溶媒、脂肪族溶媒、ハロゲン化溶媒、極性非プロトン性溶媒、エステル溶媒およびエーテル性溶媒から選択される1つまたは複数の溶媒を含む。別の実施形態において、ステップAの溶媒は、酢酸エチルおよびヘプタンから選択される1つまたは複数の溶媒を含む。
【0189】
ステップAのさらに別の実施形態において、その反応混合物は、ジメチルアミノピリジン(DMAP)を含む。
【0190】
1つの実施形態において、ステップBの溶媒は、芳香族溶媒、脂肪族溶媒、極性非プロトン性溶媒、およびエーテル性溶媒から選択される1つまたは複数の溶媒を含む。別の実施形態において、ステップBの第一および第二溶媒は、THFおよびヘキサンから選択される1つまたは複数の溶媒を独立して含む。さらに別の実施形態において、ステップBの第一、第二および第三溶媒は、存在する場合、THFおよびヘキサンから選択される1つまたは複数の溶媒を独立して含む。
【0191】
特定の実施形態において、ステップBの第一の溶媒はTHFである。さらに別の特定の実施形態において、ステップBの第二の溶媒はヘキサンである。さらに別の特定の実施形態において、ステップBの第三の溶媒はヘキサンである。
【0192】
別の実施形態において、ステップBの第一の塩基は、炭化水素の共役塩基、アンモニア、アミン、アルコール、および二水素から選択される。かかる塩基の非限定の例としては、n−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、水素化ナトリウム、tert−ブチルマグネシウムクロリド、リチウムアミド、リチウムイソプロポキシドおよびリチウムジイソプロピルアミドが挙げられる。その他のかかる塩基は当業者には公知である。特定の実施形態において、ステップBの第一の塩基は、リチウムアミド、リチウムジアルキルアミド、リチウムアルコキシドおよびブチルリチウムの異性体から選択される1つまたは複数の塩基を含む。別の特定の実施形態において、ステップBの第一の塩基は、リチウムアミドを含む。さらに別の特定の実施形態において、ステップBの第一の塩基は、リチウムアミドおよびリチウムイソプロポキシドを含む。
【0193】
さらに別の実施形態において、ステップBの第二および第三の塩基は、炭化水素の共役塩基から選択される。かかる塩基の非限定の例としては、n−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウムおよびtert−ブチルマグネシウムクロリドが挙げられる。その他のかかる塩基は、当業者には公知である。いくつかの実施形態において、このステップBの第二および第三の塩基は、存在する場合、ブチルリチウムの異性体およびグリニャール試薬から選択される。グリニャール試薬の非限定の例としては、tert−ブチルマグネシウムクロリドが挙げられる。特定の実施形態において、ステップBの第二および第三の塩基は、存在する場合、n−ブチルリチウムである。
【0194】
ステップBの第二および第三の塩基は、B2のハロゲン原子の有機金属試薬の金属原子との交換を促進する有機金属試薬であることが理解されるであろう。
【0195】
特定の実施形態において、ステップBの第一の塩基は、リチウムアミドおよびリチウムイソプロポキシドを含み、ステップBの第二の塩基は、n−ブチルリチウムであり、ステップBの第三の塩基は、n−ブチルリチウムである。好ましい実施形態において、n−ブチルリチウムの添加は、−75℃より低い温度で行なわれる。
【0196】
さらに別の実施形態において、ステップBのホウ酸誘導体は、ホウ酸トリイソプロピルである。
【0197】
なおも別の実施形態において、ステップBのアルコール添加剤は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールおよびt−ブタノールから選択される。特定の実施形態において、そのアルコール添加剤は2−プロパノールである。
【0198】
好ましい実施形態において、ステップBの第一の溶媒はテトラヒドロフランを含み、ステップBの第一の塩基はリチウムアミドを含み、ステップBの第二および第三の溶媒はヘキサンであり、ステップBの第二および第三の塩基はn−ブチルリチウムである。有利には、n−ブチルリチウム、ホウ酸トリイソプロピル、n−ブチルリチウム、およびホウ酸トリイソプロピルの逐次添加は、副生成物の量の減少をもたらす。
【0199】
ステップBの別の実施形態において、B3を調製するためのプロセスは、B3のボロン酸またはホウ酸エステル部分をトリフルオロホウ酸塩に転換するさらなるステップを含む。
【0200】
1つの実施形態において、ステップCの溶媒は、芳香族溶媒、脂肪族溶媒、ハロゲン化溶媒、極性非プロトン性溶媒、エステル溶媒、エーテル性溶媒および水から選択される1つまたは複数の溶媒を含む。別の実施形態において、ステップCの溶媒は、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、2−メチル−テトラヒドロフランおよび水から選択される1つまたは複数の溶媒を含む。特定の実施形態において、ステップCの溶媒は、ジメトキシエタンおよび水を含む。
【0201】
別の実施形態において、ステップCの塩基は、アセテート、ホスフェートおよびカーボネートから選択される。特定の実施形態において、ステップCの塩基は、炭酸カリウムである。
【0202】
さらに別の実施形態において、ステップCの触媒は、パラジウムを含む。いくつかの実施形態において、このステップCの触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドから選択される。他の実施形態において、このステップCのパラジウム触媒は、Pd(OAc)
2をホスフィン配位子と組み合わせることによって形成される。適切なホスフィン配位子は当業者には公知であり、非限定の例としては、トリフェニルホスフィンおよびトリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィンが挙げられる。特定の実施形態において、ステップCの触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)である。
【0203】
ステップCのなおも別の実施形態において、式B3の化合物は、反応の過程を通してその反応混合物に絶えず加えられる。
【0204】
1つの実施形態において、ステップDの溶媒は、芳香族溶媒、脂肪族溶媒、ハロゲン化溶媒、極性非プロトン性溶媒、エステル溶媒、エーテル性溶媒および水から選択される1つまたは複数の溶媒を含む。特定の実施形態において、このステップDの溶媒は水である。別の特定の実施形態において、このステップDの溶媒はジオキサンである。
【0205】
ステップDにおいて、R
5C(=O)−部分の除去は、この部分の水素原子による置き換えも必要とする。R
5C(=O)−部分の除去は、当業者には公知の方法によって行なうことができる。かかる方法の非限定の例としては、酸、塩基および金属が媒介する反応が挙げられる。かかる方法の特定の例は、酸が媒介する加水分解である。ステップDの1つの実施形態において、R
5C(=O)−部分の除去のための試薬は、酸、塩基および金属触媒から選択される。ステップDの特定の実施形態において、R
5C(=O)−部分の除去のための試薬は、塩酸である。ステップDの別の特定の実施形態において、R
5C(=O)−部分の除去のための試薬は、硫酸である。
【0206】
いくつかの実施形態において、ステップA〜Dは、本明細書中の実施例で詳細に述べられるように、さらなるステップまたは手順(例えば、反応副生成物を除去するため、または反応生成物を仕上げ、単離または精製するため)を独立して含む。
【0207】
いくつかの実施形態において、ステップA〜Dは、プロセスステップd)が後に続いてもよい。
【0208】
熟練した実務者であれば、上述のプロセスのいくつかのパラメータが望ましい結果を得るために有利に変更され得ることを認識するであろう。これらのパラメータとしては、例えば、反応の構成要素および溶媒の精製の方法および手段、前記反応の構成要素および溶媒の反応混合物中への添加の順序、前記反応の構成要素および溶媒の反応の持続時間、ならびに、前記反応中のその反応の構成要素および溶媒の撹拌、混合またはかき混ぜの温度および速度が挙げられる。
【0209】
ステップA〜D(特定のプロセスステップも含める)によって具体化されるプロセスは、次の基準、すなわち、式5の化合物を製造するための既知のプロセスと比較したとき、より安全、より簡単、より高収率およびより経済的、のうちの1つまたは複数を満たすことが見出された。さらに、本明細書に記載されているこのプロセスは、大規模に実現可能で、商業生産に適するようにすることができると考えられる。
【0210】
固体形態の5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−トリフルオロメチルピリジン−2−アミン
なおも他の態様において、本発明は、特定の固体形態、好ましくは、結晶形態のピリミジン誘導体5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−トリフルオロメチルピリジン−2−アミン(「化合物A」または「式Aの化合物」)
【0211】
【化46】
その水和物、その塩、ならびにその塩の水和物および溶媒和物、ならびに、かかる特定の固体形態、好ましくは、結晶形態の形成のためのプロセスに関する。
【0212】
固体形態の式Aの化合物およびその塩は、驚くべきことに、それらを式Aの化合物およびその塩を含む医薬組成物の調製に特に適するようにする特に有利な薬物速度論的特性を有することが見出された。別個の結晶形態は、異なる物理的特性、例えば、融点、吸湿性、溶解性、流動特性または熱力学的安定性などを有しており、それ故、別個の結晶形態は、特定の使用または態様、例えば、薬物製造のプロセスにおける中間体としてのまたは錠剤、カプセル、軟膏または液剤のような別個の投与形態での使用に対する最も適切な形の選択を可能にする。
【0213】
化合物Aは、最初は、その内容が参照により本明細書に組み込まれているWO2007/084786に記載された。化合物Aは、PI3K(ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ)の阻害物質であり、生化学ならびに細胞アッセイにおいてAKTのリン酸化反応を調節する。従って、化合物Aおよびその医薬的に許容される塩、ならびに化合物Aまたはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、PI3Kによる疾患の予防、寛解または治療のために使用することができる。本明細書に記載されているように、化合物Aの遊離の塩基は、無水物および水和物を含めた1つまたは複数の多形形態で存在する固体形態であり得る。化合物Aの一塩酸塩は、無水物、水和物および溶媒和物を含めた1つまたは複数の多形形態で存在する固体形態であり得る。これらの多形形態(あるいは当技術分野では多形性形態または結晶形態として知られる)は、それらのX線粉末回折パターン、分光学的、生理化学的および薬物動態学的特性、ならびにそれらの熱力学的安定性について異なる。
【0214】
一定の条件下で新たな特別の固体形態の化合物A、その水和物、その塩およびその塩の水和物または溶媒和物が見出され得ることが、現在驚くべきことに見出されており、それは下文で記載されており、それは好都合な有用性および特性を有している。固体化合物A、その水和物、その塩およびその塩の水和物または溶媒和物の異なる多形形態へのアクセスを有することはいろいろな理由で望ましい。例えば、別個の多形形態は、結晶化の際に別個の不純物を組み込むことがあり、すなわち、化合物Aの半水和物形態(hemihydrate form)中に組み込まれた不純物は化合物の無水の多形形態A中に必ずしも組み込まれるわけではない。化合物Aの一塩酸塩の多形形態AまたはB中に組み込まれた不純物は、多形形態S
A、S
B、S
C、S
DまたはS
E中に同様に必ずしも組み込まれるわけではない。かくして、化合物Aの別個の多形形態の反復の調製は最終的に得られる形の純度を増すために使用することができる。加えて、別個の多形形態は、融点、吸湿性、溶解性、流動特性または熱力学的安定性などの異なる物理的特性を示すことができ、それ故、別個の多形形態は、所与の用途または態様、例えば、薬物製造のプロセスにおける中間体としての使用のための最も適切な形、錠剤、カプセル、軟膏、懸濁剤または液剤等の別個の投与形態における最も適切な形、あるいは最適な薬物速度論的特性を有する薬物の形態の製造における最も適切な形の選択を可能にする。
【0215】
従って、1つの態様において、ここで提供されるのは、固体形態の、好ましくは結晶形態の、式Aの化合物、または式Aの化合物の水和物、または式Aの化合物の塩、または式Aの化合物の塩の水和物もしくは溶媒和物である。
【0216】
1つの実施形態において、式Aの化合物は、化合物Aの多形形態H
Aである。多形形態H
Aは、半水和物であり、
図4のX線粉末回折パターンを含むがこれに必ずしも限定されない分析的測定に由来する1つまたは複数の特徴的なシグナルを参照することによって定義され得る。多形形態H
Aは、また、以下の特徴的なシグナルの1つまたは複数を参照することによっても定義され得る。
【0217】
1つの実施形態において、多形形態H
Aは、19.2°+/−0.3°および18.7°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態において、多形形態H
Aは、15.5°+/−0.3°および16.7°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。さらに別の実施形態において、形態H
Aは、7.7°+/−0.3、22.0°+/−0.3°、および22.0°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。なおも別の実施形態において、多形形態H
Aは、19.2°+/−0.3°および18.7°+/−0.3°、15.5°+/−0.3°および16.7°+/−0.3°、および7.7°+/−0.3、22.0°+/−0.3°、および22.0°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。さらなる実施形態において、多形形態H
Aは、
図4および表1と実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す。
【0218】
式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Aは、遊離塩基または一塩酸塩一水和物のいずれよりも低い吸湿を示すことが発見された。複数の実験において、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Aは、25℃で92%の相対湿度に至るまで0.1%未満の最大吸湿を示した。式Aの化合物の半水和物多形形態H
Aは、25%の相対湿度で1.9%の吸湿を示し、式Aの化合物の多形形態A無水物は、85%の相対湿度で8.9%の吸湿を示し、式Aの化合物の一塩酸塩一水和物は75%の相対湿度で4.4%、95%の相対湿度で4.9%の吸湿を示した。式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Aは、驚くべきことに、わずかに水を含むのみで(only slightly hydroscopic)、従って、固有の化学分解のリスクを最小にしながら安定な製剤を提供する。
【0219】
1つの実施形態において、式Aの化合物は、化合物Aの多形形態A無水物である。多形形態A無水物は、
図5のX線粉末回折パターンを含めるが必ずしもこれに限定されない分析的測定に由来する1つまたは複数の特徴的なシグナルを参照することにより定義され得る。多形形態A無水物は、また、以下の特徴的なシグナルの1つまたは複数を参照することによっても定義され得る。
【0220】
1つの実施形態において、多形形態A無水物は、14.8°+/−0.3°および10.2°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態において、多形形態A無水物は、17.4°+/−0.3および21.8°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。さらに別の実施形態において、多形形態A無水物は、14.8°+/−0.3°および10.2°+/−0.3°および17.4°+/−0.3および21.8°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。なおも別の実施形態において、多形形態A無水物は、
図5および表2と実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す。
【0221】
1つの実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩一水和物は、多形形態Haを有する。多形形態Haは、
図6のX線粉末回折パターンを含めるが必ずしもこれに限定されない分析的測定に由来する1つまたは複数の特徴的なシグナルを参照することにより定義され得る。多形形態Haは、また、以下の特徴的なシグナルの1つまたは複数を参照することによっても定義され得る。
【0222】
1つの実施形態において、多形形態Haは、9.3°+/−0.3°および15.8°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態において、多形形態Haは、7.2°+/−0.3および18.6°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。さらに別の実施形態において、多形形態Haは、9.3°+/−0.3°および15.8°+/−0.3°および7.2°+/−0.3および18.6°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。なおも別の実施形態において、多形形態Haは、
図6および表3と実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す。
【0223】
1つの実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩は、多形形態Aを有する。式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Aは無水物であり、
図7のX線粉末回折パターンを含めるが必ずしもこれに限定されない分析的測定に由来する1つまたは複数の特徴的なシグナルを参照することにより定義され得る。式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Aは、また、以下の特徴的なシグナルの1つまたは複数を参照することによっても定義され得る。
【0224】
1つの実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Aは、9.9°+/−0.3°および20.0°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Aは、18.0°+/−0.3および20.7°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。さらなる実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Aは、8.8°+/−0.3および25.0°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。なおも別の実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Aは、9.9°+/−0.3°および20.0°+/−0.3°、18.0°+/−0.3および20.7°+/−0.3°、ならびに8.8°+/−0.3および25.0°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。さらなる実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Aは、
図7および表4と実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す。
【0225】
1つの実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩は、多形形態Bを有する。式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Bは無水物であり、
図8のX線粉末回折パターンを含めるが必ずしもこれに限定されない分析的測定に由来する1つまたは複数の特徴的なシグナルを参照することにより定義され得る。式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Bは、また、以下の特徴的なシグナルの1つまたは複数を参照することによっても定義され得る。
【0226】
1つの実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Bは、18.7°+/−0.3°および21.8+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Bは、18.3°+/−0.3および20.1°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。さらなる実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Bは、16.7°+/−0.3および26.8°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。なおも別の実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Bは、18.7°+/−0.3°および21.8°+/−0.3°、18.3°+/−0.3および20.1°+/−0.3°、ならびに16.7°+/−0.3および26.8°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。さらなる実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Bは、
図8および表5と実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す。
【0227】
1つの実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩は、多形形態S
Aを有する。多形形態S
Aは溶媒和物であり、
図9のX線粉末回折パターンを含めるが必ずしもこれに限定されない分析的測定に由来する1つまたは複数の特徴的なシグナルを参照することにより定義され得る。多形形態S
Aは、また、以下の特徴的なシグナルの1つまたは複数を参照することによっても定義され得る。
【0228】
1つの実施形態において、多形形態S
Aは、16.6°+/−0.3°および28.4°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態において、多形形態S
Aは、15.2°+/−0.3および22.4°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。さらなる実施形態において、多形形態S
Aは、14.8°+/−0.3および23.8°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。なおも別の実施形態において、多形形態S
Aは、16.6°+/−0.3°および28.4°+/−0.3°、15.2°+/−0.3および22.4°+/−0.3°、ならびに14.8°+/−0.3および23.8°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。さらなる実施形態において、多形形態S
Aは、
図9および表6と実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す。
【0229】
1つの実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩は、多形形態S
Bを有する。多形形態S
Bは溶媒和物であり、
図10のX線粉末回折パターンを含めるが必ずしもこれに限定されない分析的測定に由来する1つまたは複数の特徴的なシグナルを参照することにより定義され得る。多形形態S
Bは、また、以下の特徴的なシグナルの1つまたは複数を参照することによっても定義され得る。
【0230】
1つの実施形態において、多形形態S
Bは、19.8°+/−0.3°および17.5°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態において、多形形態S
Bは、14.8°+/−0.3および23.5°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。さらに別の実施形態において、多形形態S
Bは、19.8°+/−0.3°および17.5°+/−0.3°ならびに14.8°+/−0.3および23.5°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。なおも別の実施形態において、多形形態S
Bは、
図10および表7と実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す。
【0231】
1つの実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩は、多形形態S
Cを有する。多形形態S
Cは溶媒和物であり、
図11のX線粉末回折パターンを含めるが必ずしもこれに限定されない分析的測定に由来する1つまたは複数の特徴的なシグナルを参照することにより定義され得る。多形形態S
Cは、また、以下の特徴的なシグナルの1つまたは複数を参照することによっても定義され得る。
【0232】
1つの実施形態において、多形形態S
Cは、9.9°+/−0.3°および20.0°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態において、多形形態S
Cは、
図11および表8と実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す。
【0233】
1つの実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩は、多形形態S
Dを有する。多形形態S
Dは溶媒和物であり、
図12のX線粉末回折パターンを含めるが必ずしもこれに限定されない分析的測定に由来する1つまたは複数の特徴的なシグナルを参照することにより定義され得る。多形形態S
Dは、また、以下の特徴的なシグナルの1つまたは複数を参照することによっても定義され得る。
【0234】
1つの実施形態において、多形形態S
Dは、9.9°+/−0.3°および23.5°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態において、多形形態S
Dは、8.1°+/−0.3および17.6°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。さらに別の実施形態において、多形形態S
Dは、9.9°+/−0.3°および23.5°+/−0.3°ならびに8.1°+/−0.3および17.6°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態において、多形形態S
Dは、
図12および表9と実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す。
【0235】
1つの実施形態において、式Aの化合物の一塩酸塩は、多形形態S
Eを有する。多形形態S
Eは溶媒和物であり、
図13のX線粉末回折パターンを含めるが必ずしもこれに限定されない分析的測定に由来する1つまたは複数の特徴的なシグナルを参照することにより定義され得る。多形形態S
Eは、また、以下の特徴的なシグナルの1つまたは複数を参照することによっても定義され得る。
【0236】
1つの実施形態において、多形形態S
Eは、4.3°+/−0.3°および17.6°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態において、多形形態S
Eは、7.3°+/−0.3および9.9°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。さらに別の実施形態において、多形形態S
Eは、4.3°+/−0.3°および17.6°+/−0.3°、ならびに8.3°+/−0.3および9.9°+/−0.3°の角度において角度2θで表現される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態において、多形形態S
Dは、
図13および表10と実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す。
【0237】
1つの実施形態において、多形形態Aは、1重量%未満の全体の不純物を含有する。別の実施形態において、多形形態Aは、0.5重量%未満の全体の不純物を含有する。さらに別の実施形態において、多形形態Aは、0.1重量%未満の全体の不純物を含有する。
【0238】
用語「基本的に純粋な」とは、本発明との関連で、特に、式Aの化合物、その水和物、その塩あるいはその塩の水和物または溶媒和物の結晶の重量で少なくとも90パーセント、好ましくは少なくとも95パーセント、最も好ましくは少なくとも99パーセントが本発明による特定の結晶形態で存在することを意味するものと理解される。
【0239】
式Aの化合物、その水和物、その塩あるいはその塩の水和物または溶媒和物の結晶形態が、図の1つに輪郭が描かれているX線回折図を基本的に示すことを述べている文脈において、用語「実質的に」とは、前記図に描かれている図形の少なくとも主要な線、すなわち、図形中の最も強い線と比較して20%超、特に30%超の相対的線強度(relative line intensity)を有するものが存在しなければならないことを意味する。
【0240】
1つの好ましい実施形態において、式Aの化合物、その水和物、その塩あるいはその塩の水和物または溶媒和物の結晶形態は、図の1つに輪郭が描かれているX線回折図を実質的に示す。
【0241】
特に高度に好適なものは、実施例に記載されているようにして得ることができる固体形態、特に結晶形態の式Aの化合物、または水和物、その塩あるいはその塩の水和物または溶媒和物である。本発明による用語「固体形態」は、結晶形態を含める。好ましい固体形態は、結晶形態である。
【0242】
本発明は、また、式Aの化合物、その水和物、その塩およびその塩の水和物または溶媒和物の特定の固体形態、好ましくは結晶形態の調製のためのプロセスにも関する。かかる特定の固体形態が形成される的確な条件は、今は実験的に決定することができ、本明細書に記載されている式5の化合物を製造するためのプロセスを含め、本明細書の実施例4〜12に記載されているさらなる条件と共に多数の方法が実際には適する。
【0243】
別の態様において、本発明は、PI3Kの活性化によって媒介される上で示したような状態、障害または疾患の治療を必要としている被験体におけるかかる治療の方法も提供し、その方法は、前記被験体に有効量の固体形態、好ましくは結晶形態の式Aの化合物またはその一塩酸塩を投与することを含む。かかる治療のために使用することができる固体形態の式Aの化合物またはその一塩酸塩としては、式Aの化合物の多形形態H
Aおよび形態A無水物および式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Ha、形態A、形態B、形態S
A、形態S
A、形態S
B、形態S
C、形態S
D、形態S
Eが含まれるがこれらに限定されない本明細書に記載されているものが挙げられる。好ましいのは、式Aの化合物の多形形態H
Aおよび形態A無水物ならびに式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Ha、形態A、形態BS
Eである。最も好ましいのは、式Aの化合物の一塩酸塩の形態Aである。
【0244】
固体形態、好ましくは結晶形態の式Aの化合物、その水和物、その塩およびその塩の水和物または溶媒和物は、PI3Kによって媒介される腫瘍および/または癌性細胞増殖等の細胞増殖性疾患の治療において好ましくは使用され得る。特に式Aの化合物、その水和物、その塩およびその塩の水和物または溶媒和物は、例えば、肺および気管支;前立腺;乳房;膵臓;結腸および直腸;甲状腺;肝臓および肝内胆管;肝細胞;胃;神経膠腫/神経膠芽腫;子宮内膜;黒色腫;腎臓および腎盂;膀胱;子宮体部;子宮頸部;卵巣;多発性骨髄腫;食道;急性骨髄性白血病;慢性骨髄性白血病;リンパ性白血病;骨髄性白血病;脳;口腔および咽頭;喉頭;小腸;非ホジキンリンパ腫;黒色腫;および結腸絨毛腺腫を含めたヒトまたは動物(例えばネズミ科の動物(murine))の癌の治療において有用である。
【0245】
1つの実施形態において、本発明は、5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−トリフルオロメチルピリジン−2−アミン一塩酸塩の多形形態Aの癌の治療における使用に関する。
【0246】
本発明は、特に、本明細書で挙げた前記疾患のうちの1つの治療を必要としている被験体のそのような治療におけるまたはその治療のための医薬組成物の調製における5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−トリフルオロメチルピリジン−2−アミン一塩酸塩の多形形態Aに関する。
【0247】
1つの実施形態において、本発明は、PI3Kによって媒介される障害の治療のための薬剤(medicament)の調製のための式Aの結晶化合物またはその一塩酸塩、特に一塩酸塩の形態Aの使用に関する。その使用の1つの実施形態において、該障害は、上に掲げた障害のような細胞増殖性の疾患である。
【0248】
別の実施形態において、本発明は、癌の治療で使用するための式Aの結晶化合物またはその一塩酸塩、特にその一塩酸塩の形態A、および医薬的に許容される担体または希釈剤の使用に関する。
【0249】
本発明は、また、前記疾患に悩んでいるヒトを含めた温血動物の治療のための方法であって、関係している疾患に対して有効である、固体形態の、好ましくは、結晶形態の式Aの化合物、その水和物、その塩あるいはその塩の水和物または溶媒和物の量、特に抗増殖性効果を有する量が、かかる治療を必要としている温血動物に投与される方法にも関する。
【0250】
本発明の文脈の中の「治療すること(treating)」とは、障害もしくは疾患と関連する症状の緩和、またはそのような症状のさらなる進行もしくは悪化の停止、またはその疾患もしくは障害の阻止もしくは予防を意味する。例えば、PI3Kの阻害剤を必要としている患者を治療するという背景の中で、成功的治療としては、腫瘍または病変組織を供給する毛細血管の増殖の減少、癌性増殖もしくは腫瘍、毛細血管、もしくは病変組織の増殖と関係する症状の緩和、毛細血管増殖の停止、または癌等の疾患の進行のまたは癌細胞の生長の停止を挙げることができる。治療には本発明の医薬製剤を他の治療と組み合わせて投与することも含まれ得る。例えば、本発明の化合物および医薬製剤は、外科的処置および/または放射線治療の前、途中、または後に投与することができる。本発明の化合物は、また、アンチセンス遺伝子治療(antisense and gene therapy)において使用されるものを含めた他の抗癌剤と併用して投与することもできる。
【0251】
本明細書で用いられる「治療する(treat)」および「治療(treatment)」は、「制限すること(limiting)」および「治療すること(treating)」と同じように互換性のある用語であり、本明細書で使用されるときは、防止的(preventative)(例えば、予防的(prophylactic))および対症的(palliative)な治療または防止的または対症的な治療を提供する作用を含む。
【0252】
用語「PI3Kに媒介される障害」および「PI3Kによって媒介された障害」とは、PI3Kの阻害によって有利に治療され得る障害を指す。
【0253】
用語「細胞増殖性疾患」とは、例えば、癌、腫瘍、過形成、再狭窄、心肥大、免疫障害および炎症を含めた疾患を指す。
【0254】
用語「癌」とは、例えば、肺および気管支;前立腺;乳房;膵臓;結腸および直腸;甲状腺;肝臓および肝内胆管;肝細胞;胃;神経膠腫/神経膠芽腫;子宮内膜;黒色腫;腎臓および腎盂;膀胱;子宮体部;子宮頸部;卵巣;多発性骨髄腫;食道;急性骨髄性白血病;慢性骨髄性白血病;リンパ性白血病;骨髄性白血病;脳;口腔および咽頭;喉頭;小腸;非ホジキンリンパ腫;黒色腫;および結腸絨毛腺腫を含めたPI3Kの阻害によって有利に治療され得る癌疾患を指す。
【0255】
固体形態、好ましくは、結晶形態の本明細書に記載されている式Aの化合物、その水和物、その塩あるいはその塩の水和物または溶媒和物は、安定な医薬剤形(dosage forms)を調製するために利用され得る。それ故、本発明は、また、ある量、特に本明細書に記載されている疾患のうちの1つの治療に対して治療有効量の固体形態、好ましくは、結晶形態の式Aの化合物、その水和物、その塩あるいはその塩の水和物または溶媒和物をその他の医薬的に許容される賦形剤、担体、充填剤、希釈剤などと共に含有する医薬組成物にも関する。
【0256】
本明細書で使用される言語「医薬組成物」としては、哺乳類、例えばヒトへの投与に適する製剤が挙げられる。本発明の化合物が医薬品として哺乳類、例えばヒトに投与される場合、それらは、それ自体で、または、医薬的に許容される担体と組み合わされて、例えば、0.1%〜99.9%(より好ましくは、0.5〜90%)の活性成分を含有する医薬組成物として与えることができる。
【0257】
該化合物は、単独で、または医薬的に許容される担体もしくは賦形剤と一緒の組成物において使用することができる。本発明の医薬組成物は、1つまたは複数の医薬的に許容される担体と一緒に配合される本明細書に記載されている治療有効量のホスファチジルイノシトール3−キナーゼ阻害化合物を含む。本明細書で使用されるとき、用語「医薬的に許容される担体」は、毒性の無い不活性な固体、半固体または液体の任意のタイプの充填剤、希釈剤、封入材料または配合助剤を意味する。医薬的に許容される担体として役目を果たすことができる材料のいくつかの例は、ラクトース、グルコースおよびスクロース等の糖類;コーンスターチおよびポテトスターチ等のデンプン類;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース等のセルロースおよびその誘導体;トラガカント末;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび座薬ワックス等の賦形剤;ラッカセイ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーンオイルおよびダイズ油等の油類;プロピレングリコール等のグリコール類;オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル等のエステル類;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム等の緩衝剤;アルギン酸;発熱物質除去水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝液、ならびにその他の毒性の無い相溶性の滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどであり、そればかりでなく、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味料および香料、保存料および酸化防止剤も、策定者の判断によって該組成物中に存在させることができる。その他の適切な医薬的に許容される賦形剤は、参照により本明細書に組み込まれている「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Mack Pub. Co.、New Jersey、1991に記載されている。
【0258】
湿潤剤、乳化剤および滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなど、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味料および香料、保存料および酸化防止剤も該組成物中に存在させることができる。
【0259】
医薬的に許容される酸化防止剤の例としては、水溶性酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;油溶性酸化防止剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど;および金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが挙げられる。
【0260】
本発明の化合物は、ヒトおよびその他の動物に、経口で、非経口で、舌下に、エアロゾル化または吸入スプレーにより、直腸に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、頬側に、または局所に、所望される通常の毒性の無い医薬的に許容される担体、アジュバント、およびビヒクルを含有する投与量単位製剤の状態で投与することができる。局所投与は、経皮吸収型貼布剤またはイオン泳動装置等の経皮投与の使用を含むこともできる。本明細書で使用される用語の非経口は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射、または注入技術を含める。
【0261】
製剤の方法は、技術的によく知られており、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、19th Edition(1995)に開示されている。本発明における用途のための医薬組成物は、無菌、非発熱性の液体の溶液または懸濁液、コーティングを施したカプセル、座薬、凍結乾燥粉末、経皮吸収型貼布剤の形態またはその他の技術的に知られている形態のものであり得る。
【0262】
注射用製剤、例えば、無菌の注射可能な水性もしくは油性の懸濁剤は、適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤を用いる既知の技術に従って配合することができる。この無菌の注射用製剤は、また、例えば、1,3−プロパンジオールまたは1,3−ブタンジオール中の溶液のような毒性の無い非経口で受け入れられる希釈剤もしくは溶剤中の無菌の注射可能な液剤、懸濁剤または乳剤であり得る。受け入れ可能なビヒクルおよび溶媒の中で採用され得るものは、水、リンゲル液、U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液である。加えて、無菌の固定油が、溶媒または懸濁媒体として従来の方式で採用される。この目的に対して、任意の無刺激性の固定油を、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含めて使用することができる。加えて、オレイン酸等の脂肪酸が注射可能物質の調製において使用できることが分かっている。この注射可能な製剤は、例えば、細菌保持性フィルターを通して濾過することにより、または使用前に無菌の水またはその他の無菌の注射可能な媒体中に溶解または分散させることができる無菌の固体組成物の形態に滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。
【0263】
薬物の効果を引き伸ばすために、皮下注射または筋肉注射からの薬物の吸収を遅くすることがしばしば望ましい。これは、乏しい水溶性を有する結晶または無定形物質の液体懸濁液の使用によって達成され得る。その薬物の吸収の速度は、そのとき、順に、結晶の大きさおよび結晶形態に依存し得るその溶解の速度に依存する。別法として、非経口で投与される薬物形態の遅延型の吸収は、油ビヒクル中にその薬物を溶解または懸濁させることによって達成され得る。注射可能なデポー形態は、生分解性ポリマー、例えば、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの中の薬物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することによって製造される。薬物対ポリマーの比率および使用される特定のポリマーの性質によって薬物放出の速度は制御され得る。その他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射可能製剤は、また、薬物を体内組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に混入することによって調製することができる。
【0264】
直腸投与または膣内投与のための組成物は、好ましくは、この発明の化合物を適切な非刺激性の賦形剤または担体、例えば、周囲温度では固体であるが体温では液体であり、それ故、直腸腔内または膣腔内で融解して活性化合物を放出するココアバター、ポリエチレングリコールまたは座薬ワックスと混合することによって調製することができる座薬である。
【0265】
経口投与のための固体の剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末剤、顆粒剤が挙げられる。かかる固体の剤形において、該活性化合物は、少なくとも1つの不活性の医薬的に許容される賦形剤または担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくは第二リン酸カルシウム(dicalcium phosphate)、および/または、a)充填剤もしくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸など、b)バインダー、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシアなど、c)保湿剤、例えば、グリセロールなど、d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ポテトまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなど、e)溶液遅延剤(solution retarding agent)例えば、パラフィンなど、f)吸収促進剤、例えば、4級アンモニウム化合物など、g)湿潤剤、例えば、アセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど、h)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイトクレイなど、ならびにi)滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、その剤形はまた、緩衝剤を含み得る。
【0266】
類似の型の固体組成物は、また、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟質充填ゼラチンカプセル剤および硬質充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用され得る。
【0267】
錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固体剤形は、コーティングおよび殻、例えば、腸溶コーティングおよび医薬品処方技術分野で周知の他のコーティング、と共に調製され得る。それらは、場合によって、不透明剤を含んでもよく、また、腸管の特定の部分において、場合によって遅延様式で活性成分(1つまたは複数)をそれのみもしくは優先的に放出する組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0268】
この活性化合物は、また、1つまたは複数の上記の賦形剤を含むマイクロカプセル化した形をしていることもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤のこの固体剤形は、コーティングおよび殻、例えば、腸溶コーティング、放出制御コーティングおよび医薬品処方技術分野で周知の他のコーティングと共に調製され得る。このような固体剤形において、その活性化合物は、少なくとも1つの不活性希釈剤、例えば、スクロース、ラクトースまたはデンプンと混合され得る。このような剤形は、また、通常の慣行通り、不活性希釈剤以外のさらなる物質、例えば、錠剤化滑剤およびステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースのような他の錠剤化助剤を含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、その剤形は、また、緩衝剤を含み得る。それらは、場合によって、不透明剤を含んでもよく、また、腸管の特定の部分において、場合によって遅延様式で、活性成分(1つまたは複数)をそれのみもしくは優先的に放出する組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0269】
経口投与のための液体の剤形としては、医薬的に許容される乳剤、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、これらの液体の剤形は、当技術分野では普通に使用される不活性な希釈剤、例えば、水またはその他の溶媒など、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、EtOAc、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含有することができる。不活性な希釈剤の他に、この経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、香味料、ならびに香料等のアジュバントも含有することができる。
【0270】
本発明の化合物の局所的投与または経皮的投与のための剤形としては、軟膏、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、粉末剤、液剤、噴霧剤、吸入剤またはパッチ剤が挙げられる。この活性成分は、必要となり得る場合、滅菌条件下で医薬的に許容される担体および任意の必要とされる保存料または緩衝剤と共に混合される。点眼用製剤、点耳剤などもまた、本発明の範囲内にあるように企図される。
【0271】
該軟膏、ペースト剤、クリーム剤およびゲル剤は、本発明の活性化合物に加えて、賦形剤、例えば、動物および植物の脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物などを含有することができる。
【0272】
本発明の組成物は、また、液体エアロゾルまたは吸入可能な乾燥粉末としての送達のために処方することもできる。液体エアロゾル製剤は、大部分を、終末細気管支および呼吸細気管支に送達され得る粒径に霧状にすることができる。
【0273】
本発明のエアロゾル化される製剤は、エアロゾル形成装置、例えば、大部分が1〜5μmの間の質量中央平均直径(mass medium average diameter)を有するエアロゾル粒子の形成を可能にするように好ましくは選択されたジェット、振動多孔板または超音波ネブライザーなど、を用いて送達され得る。さらに、該製剤は、バランスのとれたモル浸透圧濃度のイオン強度および塩化物濃度、ならびに、有効量の本発明の化合物を感染部位に送達することができる最小のエアロゾル化可能な量を好ましくは有する。さらに、このエアロゾル化された製剤は、好ましくは、気道の機能をネガティブに損なうことはなく、不快な副作用を引き起こすことがない。
【0274】
本発明のエアロゾル製剤の投与に適するエアロゾル化装置としては、例えば、本発明の製剤を大部分が1〜5μmのエアロゾルの粒径範囲の粒径の霧状にすることができるジェット、振動多孔板または超音波ネブライザーおよび励起された乾燥粉末吸入器が挙げられる。本出願書類において大部分とは、全ての発生したエアロゾル粒子の少なくとも70%であり、しかし好ましくは90%を超えて、1〜5μmの粒径範囲内であることを意味する。ジェットネブライザーは、空気圧によって作動し、溶液をエアロゾル液滴に分割する。振動多孔板ネブライザーは、急速に振動する多孔板によって生ずる音波真空を用いることによって作動し、多孔板を通して溶媒の液滴を押出す。超音波ネブライザーは、液体を小さいエアロゾル液滴に剪断する圧電性結晶によって作動する。さまざまな適切な装置が、例えば、AERONEBおよびAERODOSE振動多孔板ネブライザー(AeroGen,Inc.、サニーベール、カリフォルニア州)、SIDESTREAMネブライザー(MedicAid Ltd.、ウエストサセックス州、英国)、PARI LCおよびPARI LC STARジェットネブライザー(Pari Respiratory Equipment,Inc.、リッチモンド、バージニア州)、およびAEROSONIC(DeVilbiss Medizinische Produkte(Deutschland)GmbH、ハイデン、ドイツ)およびULTRAAIRE(Omron Healthcare,Inc.、バーノンヒルズ、イリノイ州)超音波ネブライザーを含めて利用できる。
【0275】
本発明の化合物は、また、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物等の賦形剤を含有することができる局所散剤または噴霧剤として使用するために配合することもできる。噴霧剤は、クロロフルオロ炭化水素等の通例の噴射剤をさらに含有することができる。
【0276】
経皮吸収パッチは、化合物の体への制御された送達を提供する追加の利点を有する。かかる剤形は、適切な媒体中で該化合物を溶解または調剤することによって作製することができる。吸収促進剤もまた化合物の皮膚を横切る流動を増すために使用され得る。その速度は、速度調整膜を用意することによるかまたはポリマーマトリックスもしくはゲル中に該化合物を分散させることによるかのいずれかによって制御され得る。本発明の化合物は、リポソームの形態で投与することもできる。技術的に知られているように、リポソームは、リン脂質またはその他の脂質材料から一般に導かれる。リポソームは、水性媒体中に分散された1つまたは複数の薄板状の水和された液晶によって形成される。毒性が無く生理的に受け入れられ、かつ代謝可能な任意のリポソームを形成することができる脂質が使用され得る。リポソームの形の本組成物は本発明の化合物に加えて、安定剤、保存料、賦形剤などを含有することができる。好ましい脂質は、両方共天然または合成のリン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成する方法は技術的に知られている。例えば、Prescott(編)、「Methods in Cell Biology」、Volume XIV、Academic Press、New York、1976、p.33以下参照。
【0277】
有効量の本発明の化合物は、本明細書に記載されている任意の試験法によるか、当技術分野で通常の技能を有する者には知られているその他のPI3K活性試験法によるか、または癌の症状の阻止作用もしくは緩和を検出することによって検出可能な程度にPI3K活性を阻止する任意の十分な量を一般に含む。単一の剤形を製造するための担体物質と組み合わされてもよい活性成分の量は、治療されるホストおよび投与の特定の様式に依って変動する。しかしながら、任意の特定の患者に対する具体的な用量レベルは、採用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、総体的健康状態、性別、食生活、投与の時間、投与の経路、排泄の割合、複合薬、および治療を受けている特定の疾患の重症度を含めたさまざまな要因に依存することが理解されるであろう。与えられた状況に対する治療有効量は、日常の実験により容易に決定することができ、普通の臨床医の技量および判断の範囲内である。
【0278】
本発明の治療の方法によれば、腫瘍の増殖は、ヒトまたは下等哺乳類等の患者においてその患者に治療有効量の本発明の化合物を、所望の結果を得るために必要であるそのような量で、およびそのような時間をかけて、患者に投与することによって減少または防止される。本発明の化合物の「治療有効量」とは、任意の医療的処置に適用可能な妥当な便益/リスク比で腫瘍の増殖を処置するための十分な量の化合物を意味する。しかしながら、本発明の化合物および組成物の1日の総使用量は、正しい医学的判断の範囲内で担当医によって決定されることが理解されるであろう。任意の特定の患者に対する具体的な治療有効用量レベルは、治療される障害およびその障害の重症度;採用される具体的な化合物の活性度;採用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、総体的健康状態、性別、食生活;投与の時間、投与の経路、および採用される具体的な化合物の排泄の割合;治療の継続期間;採用される具体的な化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物;などの医療技術においては周知の因子を含めたさまざまな因子に依存する。
【0279】
本発明の目的に対して、治療有効用量は、一般に、例えば1日に0.001〜1000mg/kg体重でよく、より好ましくは1日に1.0〜30mg/kg体重の量でよい、単回投与または分割投与でホストに投与される1日の総用量である。用量単位組成物は、1日量を構成する上記量のその約数(submultiple)を含有することができる。一般に、本発明による治療レジメンは、かかる治療が必要な患者に単回投与または分割投与で1日当り約10mgから約2000mgの本発明の化合物(1つまたは複数)を投与することを含む。
【0280】
本明細書で使用される語句「非経口投与」は、腸内投与および局所投与以外の通常は注射による投与の様式を意味し、非限定で、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節腔内、嚢下、くも膜下、髄腔内および胸骨内注射ならびに注入が挙げられる。
【0281】
これらの化合物は、治療のためにヒトおよびその他の動物に、経口、例えばスプレーによる経鼻、直腸、膣内、非経口的に、大槽内、および、局所を含めた任意の適切な投与の経路によって、頬側および舌下を含めて、粉末剤、軟膏または点滴剤により投与することができる。
【0282】
そう所望される場合はさらなる薬理的活性物質を含有することができる本医薬製剤は、それ自体既知の方式、例えば、従来の混合、顆粒化、コーティング、溶解または凍結乾燥プロセスによって調製され、約1%から100%まで、特に約1%から約20%までの1種類の活性物質または複数の活性物質を含有する。
【0283】
本発明は、また、本発明の固体形態、好ましくは結晶形態の、式Aの化合物、その水和物もしくはその溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物を、少なくとも1つの医薬的に許容される担体もしくは希釈剤と一緒に混合するステップを含む医薬組成物の調製のためのプロセスにも関する。
【0284】
本発明の別の態様において、本発明の1つまたは複数の化合物を含有するキットが提供される。代表的なキットには、本発明のPI3K阻害化合物(例えば、式5の化合物)およびPI3Kを阻害する量の化合物を投与することによって細胞増殖性疾患を処置するための指示を含めた添付文書またはその他のラベリングが含まれる。
【0285】
本明細書で使用される用語「キット」は、医薬組成物を入れるための容器を含み、分けられたビンまたは分けられたホイル包み等の分けられた容器を含めることもできる。この容器は、医薬的に許容される材料、例えば、紙箱もしくは段ボール箱、ガラスもしくはプラスチックのビンもしくはジャー、ジッパーつきの袋(例えば、異なる容器に分け置くための「詰め替え」の錠剤を保持するため)、または治療計画に従うパックからの押し出しのための個々の用量を含むブリスターパックでできている技術的に知られている任意の従来の形状または形態のものであり得る。この使用される容器は、関与する的確な剤形によって決まることができ、例えば、通常の段ボール箱は、一般に、液体懸濁液を保持するために使用されない。1超の容器が単一の剤形を市場に出すための単一の包装中で一緒に使用され得ることが実現可能である。例えば、錠剤は、ビンに入れ、それを順に箱の中に入れることができる。
【0286】
本発明のキットは、PI3K阻害剤に加えて、1つまたは複数のさらなる医薬的に活性な化合物を含むこともできる。好ましくは、このさらなる化合物は、別のPI3K阻害剤または癌、血管新生、または腫瘍増殖を処置するために役立つ別の化合物である。このさらなる化合物は、PI3K阻害剤と同じ剤形で、または、異なる剤形で投与され得る。同様に、このさらなる化合物は、PI3K阻害剤と同時に、または、異なる時間に投与され得る。
【0287】
実施例
以下の実施例は、本発明を説明するが、その範囲を限定するものではない。本発明は、ここで説明される実施形態に限定されることはなく、この開示の範囲に入る全てのそれらのかかる形態を包含することが理解される。
【実施例1】
【0288】
4,4’−(6−クロロピリミジン−2,4−ジイル)ジ[モルホリン](3)
【0289】
【化47】
95.2g(110mL)のトルエン中の22g(0.12モル)の2,4,6−トリクロロピリミジン1の溶液を用意し、それを125mLの滴下漏斗に入れる。コンデンサー、加熱マントル、熱電対、125mLの滴下漏斗、機械撹拌器および窒素注入口/排出口を備えた窒素置換した500mLの丸底四つ口フラスコに、62.7g(63mL、0.72モル)のモルホリン2、95.2g(110mL)のトルエンおよび44g(44mL)の水を加える。1のトルエン溶液を10分間かけて加える。その反応混合物を83±3℃に加熱する。83±3℃で2時間撹拌する。反応の進行をチェックする。30±3℃に冷却する。その2相の混合物を1Lの分液漏斗に移す。相分離させる。有機相(上相)を200mL(2×100mL)の温水(30℃)で2回洗浄する。各洗浄後相分離させる。その有機相(上相)を、コンデンサー、加熱マントル、熱電対、125mLの滴下漏斗、機械撹拌器および窒素注入口/排出口を備えたもとの500mLの反応フラスコに移す。撹拌し、50.0mLの10.0Nの塩酸水溶液を加える。その溶液を53±3℃に加熱して12〜18時間撹拌する。反応の進行をチェックする。22±3℃に冷却する。その2相の混合物を1Lの分液漏斗に移す。相分離させる。その水相(下部)を、冷却槽、熱電対、滴下漏斗、pHプローブ、機械撹拌器および窒素注入口/排出口を備えた500mLの丸底四つ口フラスコに移す。撹拌して0±3℃に冷却する。85.0gの25%水酸化ナトリウム水溶液を、30分間にわたって添加中バッチ温度を10±10℃に維持しながら、滴下によって加える。20±3℃に加温し、30分間撹拌する。真空濾過によって固体を単離する。そのケーキを3×100mLの水で洗浄する。その固体を24時間乾燥(55℃、30ミリバール)させて、30.9g(91.9%の収率)の3を白色結晶固体として与える。
【実施例2】
【0290】
4,4’−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリミジン−2,4−ジイル]ジ[モルホリン](4)
【0291】
【化48】

コンデンサー、加熱マントル、熱電対、ゴム隔膜、機械撹拌器および窒素注入口/排出口を備えた窒素置換した2Lの丸底四つ口フラスコに、100.0g(0.351モル)の4,4’−(6−クロロピリミジン−2,4−ジイル)ジ[モルホリン]3および943g(1200mL)のアセトニトリルを加える。撹拌し、60±3℃に加熱する。この溶液をバッチに加えるために60±3℃で保持する。頭上撹拌器、コンデンサー、窒素注入口/排出口およびゴム隔膜を備えた窒素置換した3Lの反応器に、115.9g(0.457モル)のビス(ピナコラート)−ジボロン、51.7g(0.527モル)の酢酸カリウム、12.9g(0.014モル)のトリス(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム(0)、7.9g(0.029モル)のトリシクロヘキシルホスフィンおよび393g(500mL)のアセトニトリルを加える。このスラリーを撹拌して84±3℃(還流)まで加熱する。100mLの留出物を収集する。温かい3のアセトニトリル溶液を蠕動ポンプによって該反応混合物を含有する3Lの反応器に30分間にわたって移し、留出物の収集を続ける。2Lのフラスコを洗浄し、79g(100mL)のアセトニトリルを含む流れをバッチに移し、洗浄液をバッチに移す。84±3℃での蒸留を維持し、さらなる900mLの留出物(バッチ量およそ1100mL)を収集する。3の添加の開始から2時間反応の進行をチェックする。反応混合物を70±3℃に冷却し、693g(800mL)のトルエンを1〜2分かけて加える。バッチはトルエンの添加で冷える。その反応混合物をさらに50±3℃まで冷却する。きれいな1Lのフラスコに347g(400mL)のトルエンを加え、それを50℃に温める。これはケーキの洗浄液として使用される。反応混合物をCelite545の15gのパッドを通して濾過する。そのフィルターケーキを温かい(50℃)トルエン(400mL)で洗浄し、この洗浄液をバッチから切り離して収集する。この洗浄液はプロセスの後で蒸留残渣に加えられる。その濾液をもとの3Lの反応器に移す。バッチを250mLのバッチ量に達するまで濃縮する(25℃〜40℃の内部温度、50ミリバール)。残渣中に保持されたトルエンケーキ洗浄液(ほぼ400mL)を加え、250mLのバッチ量に達するまでバッチの濃縮(37℃〜43℃の内部温度、50ミリバール)を続ける。記載されているプロセスステアリング制御を用いてアセトニトリルの完全な除去をチェックする。50℃まで加温し、15分間撹拌する。164g(240mL)のヘプタンを、添加中50℃を維持しながら30分間にわたって加える。得られた懸濁液を1時間撹拌する。そのスラリーを23±3℃まで1時間かけて冷却し、この温度で少なくとも1時間保持する。生成物を単離するために使用される濾過用漏斗を窒素で覆い(水分を避けるため)固体を素早く濾過する。そのフィルターケーキを22g(25mL)のトルエンと51g(75mL)のヘプタンの混合物で2回洗浄する。その固体を50℃、35ミリバールで16時間乾燥して、砂のようなベージュ色の固体として、114.4g(72.7%の訂正済みの収率)の4を与える。
【実施例3】
【0292】
5−ブロモ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン(4a)
【0293】
【化49】

頭上撹拌器、コンデンサー、窒素注入口/排出口およびゴム隔膜を備えた窒素置換した3Lの反応器に、112.14g(0.63モル)のN−ブロモスクシンイミド(NBS)および645g(725mL)のテトラヒドロフランを加える。撹拌してそのスラリーを−5±3℃まで冷却する。熱電対、機械撹拌器および窒素注入口/排出口を備えた窒素置換した1Lの丸底四つ口フラスコに97.26g(0.6モル)の2−アミノ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン(4b)および511g(575mL)のテトラヒドロフランを加える。撹拌して4bを溶解する。その4bの溶液を反応器上の滴下漏斗に移し、その溶液をNBSスラリーに、添加中内部温度を0±3℃に維持しながら2時間にわたって添加する。その1Lのフラスコおよび滴下漏斗を44g(50mL)のテトラヒドロフランですすぎ、その洗浄液を反応混合物に加える。その溶液を30分間かけて20±3℃に加温する。反応の完全性をチェックする。475mLの水に溶解した24.6gのチオ硫酸ナトリウム五水和物の溶液を、添加中20±3℃のバッチ温度を維持しながら10分間にわたって添加することにより失活させる。失活後1時間撹拌する。濃縮して(内部温度=25℃、50ミリバール)テトラヒドロフランを除去する。379g(500mL)のtert−ブチルメチルエーテルを加える。得られた溶液/懸濁液を撹拌して30±3℃に加温し、15分間撹拌する。相分離させる。各洗浄後相分離させて、抽出物を768g(768mL)の水に溶解した32gの塩化ナトリウムの溶液により4回洗浄する(4×200mL/洗浄)。最後に抽出物を150g(150mL)の水で洗浄する。相分離させる。152g(200mL)のtert−ブチルメチルエーテルを加える。部分的に濃縮して(57±3℃)350mLの容積にする。50℃に冷却し、265g(350mL)のtert−ブチルメチルエーテルを加える。350mLのバッチ容積に到達するまで濃縮(57±3℃)を再開する。50℃まで冷却し、265g(350mL)のtert−ブチルメチルエーテルを加える。再び、350mLのバッチ容積に到達するまで濃縮(57±3℃)を再開する。50℃まで冷却し、103g(150mL)のtert−ブチルメチルエーテルを加えてバッチ容積を500mLに上げる。1026g(1500mL)のヘプタンを15分間にわたって加え、添加中は45±3℃を維持する。ゆっくり真空度を上げ、1000mLのバッチ容積まで濃縮(内部温度=40℃〜50℃)する。真空を解除し、バッチをシード(seed)する。蒸留を再開し、さらに真空度を増し(ゆっくり)、500mLのバッチ容積まで濃縮する(内部温度=25℃〜40℃)。得られた懸濁液を0℃で30分間撹拌する。固体を濾別する。そのフィルターケーキを68g(100mL)の冷たい(0℃)ヘプタン(30ppmのOctastatを含有)で洗浄する。その固体を16時間乾燥させ(40℃、50ミリバール)、オレンジ色の固体としての109.8g(78.0%の収率)の4aを与える。
【実施例4】
【0294】
5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−トリフルオロメチルピリジン−2−アミン(5)
【0295】
【化50】

熱電対、機械撹拌器、窒素注入口/排出口および冷却槽を備えた500mLの丸底3つ口フラスコに、202.8g(0.622モル)の炭酸セシウムおよび260g(260mL)の水を仕込む。撹拌し得られた溶液を22±3℃に冷却する。その溶液を滴下漏斗に移す。頭上撹拌器、コンデンサー、pHプローブ、窒素注入口/排出口および500mLの滴下漏斗を備えた窒素置換した3Lの反応器に、50.0g(0.207モル)の5−ブロモ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン4a、190.9g(0.456モル)の4,4’−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリミジン−2,4−ジイル]ジ[モルホリン]4、6.75g(0.0103モル)の1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリドおよび556g(625mL)のテトラヒドロフラン(thf)を仕込む。このスラリーを22±3℃で撹拌する。そのスラリーに該炭酸セシウム水溶液を滴下漏斗によって1〜2分間かけて加える。急速に撹拌し(良好な混合を確保するため)、15分間かけて45±3℃に加熱し、この温度で少なくとも30分間保つ。反応の完全性をチェックする。22±3℃に冷却する。相分離させる。濃縮して部分的にTHFを除き(25℃、90ミリバール)、400mLの容積にする。654g(750mL)の酢酸イソプロピルを加え、真空蒸留を再開し、400mLの容積まで濃縮する。610g(700mL)の酢酸イソプロピルを加え、撹拌して、濁りを帯びた溶液を25gのCeliteのパッドを通して濾過する。反応器およびフィルターケーキを87g(100mL)の酢酸イソプロピルで洗浄し、その洗浄液をバッチに加える。1Lの0.125NのN−アセチル−L−システイン水溶液を加え、60±3℃で1時間撹拌する。22±3℃まで冷却し、その水洗浄液を抜き取る。1Lの0.25NのN−アセチル−L−システインのpH=7の水溶液を加え、60±3℃で1時間撹拌する。22±3℃まで冷却し、その水洗浄液を抜き取る。再び、1Lの0.25NのN−アセチル−L−システインのpH=7の水溶液を加え、60±3℃で1時間撹拌する。22±3℃まで冷却し、その水洗浄液を抜き取る。34.5gのSi−チオール官能化シリカゲルを仕込み、その懸濁液を60±3℃で1時間撹拌する。22±3℃まで冷却し、濾過してシリカゲルを除去する。1Lの1Nの塩酸水溶液を加え、15分間撹拌する。相分離させ、今や生成物を含有する水相を保持する。500mLの1NのHCl水溶液を加え、15分間撹拌することによって有機相を再び抽出する。相分離させ、水抽出液を混ぜ合わせる。約280mLの4Nの水酸化ナトリウムの水溶液の添加によってpHを2.3±0.2に調整する。17.2gのSi−チオール官能化シリカゲルを仕込み、その懸濁液を50±3℃で1時間撹拌する。22±3℃まで冷却し、濾過してシリカゲルを除去する。約75mLの4Nの水酸化ナトリウムの水溶液を、バッチ温度を15±3℃に維持しながらゆっくり添加することによってpHを5.0±0.2に調整する。生成物が完全に固まることを可能にするために、そのスラリーを少なくとも16時間22±3℃で撹拌する。その固体を濾別し、そのフィルターケーキを一回250g(250mL)の水で洗浄する。その固体を16時間乾燥させて(50℃、35ミリバール)、黄褐色固体として75g(89%の収率)の5を得る。この手順に従うと、化合物5は、式Aの化合物の半水和物多形形態H
Aである。
【0296】
代替手順:
熱電対、機械撹拌器、窒素注入口/排出口および冷却槽を備えた500mLの丸底3つ口フラスコに、202.8g(0.622モル)の炭酸セシウムおよび260g(260mL)の水を仕込む。撹拌し得られた溶液を22±3℃に冷却する。その溶液を滴下漏斗に移す。頭上撹拌器、コンデンサー、pHプローブ、窒素注入口/排出口および500mLの滴下漏斗を備えた窒素置換した3Lの反応器に、50.0g(0.207モル)の5−ブロモ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン4a、190.9g(0.456モル)の4,4’[6(4,4,5,5テトラメチル1,3,2ジオキサボロラン2イル)ピリミジン2,4ジイル]ジ[モルホリン]4、6.75g(0.0103モル)の1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリドおよび556g(625mL)のテトラヒドロフランを仕込む。このスラリーを22±3℃で撹拌する。そのスラリーに該炭酸セシウム水溶液を滴下漏斗によって1〜2分間かけて加える。急速に撹拌し(良好な混合を確保するため)、15分間かけて45±3℃に加熱し、この温度で少なくとも30分間保つ。反応の完全性をチェックする。22±3℃に冷却する。相分離させる。濃縮して部分的にTHFを除き(25℃、90ミリバール)、400mLの容積にする。654g(750mL)の酢酸イソプロピルを加え、真空蒸留を再開し、400mLの容積まで濃縮する。610g(700mL)の酢酸イソプロピルを加え、撹拌して、濁りを帯びた溶液を25gのCeliteのパッドを通して濾過する。反応器およびフィルターケーキを87g(100mL)の酢酸イソプロピルで洗浄し、その洗浄液をバッチに加える。1Lの0.125NのN−アセチル−L−システイン水溶液を加え、60±3℃で1時間撹拌する。22±3℃まで冷却し、その水洗浄液を抜き取る。1Lの0.25NのN−アセチル−L−システインのpH=7の水溶液を加え、60±3℃で1時間撹拌する。22±3℃まで冷却し、その水洗浄液を抜き取る。再び、1Lの0.25NのN−アセチル−L−システインのpH=7の水溶液を加え、60±3℃で1時間撹拌する。22±3℃まで冷却し、その水洗浄液を抜き取る。34.5gのSi−チオール官能化シリカゲルを仕込み、その懸濁液を60±3℃で1時間撹拌する。22±3℃まで冷却し、濾過してシリカゲルを除去する。1Lの1Nの塩酸水溶液を加え、15分間撹拌する。相分離させ、今や生成物を含有する水相を保持する。500mLの1Nの塩酸水溶液を加え、15分間撹拌することによって有機相を再び抽出する。相分離させ、水抽出液を混ぜ合わせる。約280mLの4Nの水酸化ナトリウムの水溶液の添加によってpHを2.3±0.2に調整する。17.2gのSi−チオール官能化シリカゲルを仕込み、その懸濁液を50±3℃で1時間撹拌する。22±3℃まで冷却し、濾過してシリカゲルを除去する。約75mLの4Nの水酸化ナトリウムの水溶液を、バッチ温度を15±3℃に維持しながらゆっくり添加することによってpHを5.0±0.2に調整する。生成物が完全に固まることを可能にするために、そのスラリーを少なくとも16時間22±3℃で撹拌する。その固体を濾別し、そのフィルターケーキを一回250g(250mL)の水で洗浄する。その固体を16時間乾燥させて(50℃、35ミリバール)、黄褐色固体として75g(89%の収率)の5を得る。この手順に従うと、化合物5は、式Aの化合物の半水和物多形形態H
Aである。
【実施例5】
【0297】
5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン一塩酸塩(6)
【0298】
【化51】
頭上撹拌器、コンデンサー、窒素注入口/排出口および500mLの滴下漏斗を備えた窒素置換した3Lの反応器に51.3g(0.125モル、1当量)の5および247g(312mL)のアセトンを仕込む。そのスラリーを25℃で15分間撹拌する。Celite(2〜5g)を通して濾過する。反応器およびフィルターケーキを30g(37mL)のアセトンで洗浄し、その洗浄液を濾液と混ぜ合わせる。その反応器をメタノールですすぎ、それを熱および真空により乾燥させる。その反応器を冷却し、濾液を再度仕込む。その溶液を50℃に加温する。25.7mL(0.125モル、1.03当量)のイソプロパノール中の5Nの塩化水素の溶液および198g(250mL)のアセトンを2時間かけて加える。その酸溶液の最初の5%が加えられた(約25mL)後、シード(seed)する。温度を15分間維持する。10℃まで冷却し、固体を濾別する。そのフィルターケーキを47g(60mL)のアセトンで洗浄し、固体を、50℃、35ミリバールで16時間乾燥させ、黄色の結晶性固体としての49.4g(88.1%の収率)の6を与える。この手順に従うと、化合物6は、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態Aである。
【実施例6】
【0299】
5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン一水和物一塩酸塩
頭上撹拌器、コンデンサー、窒素注入口/排出口および500mLの滴下漏斗を備えた窒素置換した2Lの反応器に82.08g(0.20モル、1当量)の5および792g(1.0L)のアセトンを仕込む。そのスラリーを25℃で15分間撹拌する。34.3mL(0.206モル、1.03当量)の水中の6Nの塩化水素の溶液を加える。3mgのシードを加える。固体が形成される。20mLの水を加える。バッチを還流まで(55〜56℃)加温して、還流で15分間維持する。1.5時間かけて20℃まで冷却する。1時間かけて5℃まで冷却し、固体を濾別する。そのフィルターケーキを80mLの5℃のアセトンで洗浄し、固体を、40℃、35ミリバールで16時間乾燥させ、黄色の結晶性固体としての70.4g(75.7%の収率)の表題化合物を与える。この手順に従うと、得られる化合物は、式Aの化合物の一塩酸塩の一水和物(多形形態Ha)である。
【0300】
比較データ
4,4’−(6−クロロピリミジン−2,4−ジイル)ジ[モルホリン]の製造
【0301】
【表1】
5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン一塩酸塩の製造
【0302】
【表2】
【実施例7】
【0303】
N−(5−ブロモ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)アセトアミド(B2)の調製
【0304】
【化52】
バージョンA
窒素下の乾燥容器に室温で5−ブロモ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミンB1(200g、830ミリモル)および酢酸エチル(200ml)を仕込んだ。この反応混合物を0℃に冷却した。この溶液にN,N−ジメチルピリジン−4−アミン(1.01g、8.29ミリモル)を加えた。ヘプタン(400ml)を加え、その混合物を0℃まで冷却した。無水酢酸(109.6ml、1162ミリモル)を60分間にわたって加えた。この反応混合物を60分の範囲内で50℃に温めた。この反応混合物を50℃で18時間撹拌した。約300mlの残留物が得られるまで溶媒(330g)を蒸留(540〜250ミリバール、50℃)によって除去した。その反応混合物をそのまま20℃まで冷却した。ヘプタン(800ml)を加え、その混合物を30分間撹拌した。沈殿物を濾過によって集めた。そのフィルターケーキをヘプタン(100ml)で洗浄した。その生成物を箱形乾燥器中40℃、<20ミリバールで16時間乾燥し、わずかに褐色の固体としての212g(90%)のB2を生じた。
【0305】
バージョンB
反応器に5−ブロモ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン(197.04g、817.564ミリモル)およびN,N−ジメチルピリジン−4−アミン(0.999g、8.176ミリモル)を仕込んだ。酢酸エチル(200ml)を加え、その混合物を10分間撹拌した。ヘプタン(400ml)を加えた。その混合物を20分以内で80℃まで温めた。無水酢酸(107.994ml、1144.590ミリモル)を4時間以内で連続して加えた。その反応混合物を80℃で出発材料がもはや検出されなくなるまで撹拌した。溶媒を、300mlの残留容積が得られるまで蒸留(80℃、700〜450ミリバール)することによって除去した。その混合物を0℃まで冷却した。ヘプタン(800ml)を加え、その混合物を0℃で一晩撹拌した。生成物を濾過によって集めた。残留物をヘプタン(100ml)で洗浄し、箱形乾燥器中40℃、<20ミリバールで16時間乾燥し、わずかに褐色の固体としての215g(92%)のB2を生じた。
【実施例8】
【0306】
6−アセトアミド−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イルボロン酸(B3)の調製
【0307】
【化53】
プロセスバージョンA
反応器に25.6gのリチウムアミドおよび60mlのTHFを20℃で仕込んだ。60.0gのN−(5−ブロモ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)アセトアミドB2の280mlのTHF中の溶液を0℃で30分以内に加えた。その懸濁液を20℃で4.5時間撹拌した。残余のリチウムアミドを濾過によって除去した。フィルターケーキを240mlのTHFにより洗浄した。溶媒を蒸留(30℃、250〜85ミリバール)によって290mLの残留容積まで除去した。360mlのTHFを加えた。溶媒を蒸留(30℃、180〜85ミリバール)によって200mLの残留容積まで除去した。160mlのTHFを加えた。その反応混合物を−78℃まで冷却し、93.3mlのnBuLi(ヘキサン中2.5M)を、−78℃≦T≦−75℃で4時間以内に加えた。87.7gのホウ酸トリイソプロピルの30mlのTHF中の溶液を−78℃≦T≦−75℃で30分以内に加えた。その反応混合物を−78℃で30分間撹拌した。その反応混合物を4時間以内に20℃まで加温し、20℃で30分間撹拌した。15.3gの水を20℃で30分以内に加えた。45.4mlのHCl(iPrOH中5〜6N)を20℃で15分以内に加えた。その反応混合物を20℃で15分間撹拌した。480mlのトルエンを加えた。溶媒を360mlの残留容積が残るまで蒸留(30℃、150〜60ミリバール)によって除去した。480mlのトルエンを加えた。溶媒を360mlの残留容積が残るまで蒸留(30℃、150〜60ミリバール)によって除去した。480mlのトルエンを加えた。溶媒を360mlの残留容積が残るまで蒸留(30℃、150〜60ミリバール)によって除去した。
【0308】
600mlの2−ブタノンを30℃で10分以内に加えた。その反応混合物を30℃で60分間撹拌した。その反応混合物を20分以内に20℃まで冷却した。12.0gのダイアトマイト(珪藻土としても知られる)(「HYO」)を加えた。この反応混合物を20℃で20分間撹拌した。その反応混合物を60分以内に0℃まで冷却した。この反応混合物を0℃で60分間撹拌した。その粗生成物を濾過によって収集した。その粗生成物を120mlの冷たい(0℃)2−ブタノンで洗浄した。その粗生成物を一定重量が得られるまで真空(30℃、30〜35ミリバール)中で乾燥させた。その粗生成物を機械的に破砕した。反応器に粗生成物を仕込んだ。600mlの水をできるだけ速く加えた。その反応混合物を30分間撹拌した。そのpHは>8.5である。その副沈殿物を濾過によって除去した。その沈殿物を120mlの水で洗浄した。その濾液のpHを202gの1NのHClを10分以内で加えることによってpH3に調整する。その反応混合物を20分以内で0℃まで冷却する。その反応混合物を0℃で60分間撹拌する。生成物を濾過によって集める。その生成物を60mlの冷水(5℃)で洗浄する。その生成物を一定重量が得られるまで真空(30℃、45ミリバール≦p≦30ミリバール)中で乾燥させる。31.5g(59.9%)の6−アセトアミド−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イルボロン酸B3が得られた。
【0309】
プロセスバージョンB
140mlのTHF中のリチウムアミド(5.6g、233.2ミリモル)の懸濁液に、2−プロパノール(1.3g、21.2ミリモル)を室温で加えた。その反応混合物をIT=2℃まで冷却した。280mlのTHF中のB2(60.0g、212ミリモル)の溶液を、温度をIT2℃に保ちながら加えた。その反応混合物をIT=2℃で90分間撹拌した。THF(240ml)を加え、溶媒(約380ml)を蒸留によって除去した。THF(360ml)を加え、溶媒(約380ml)を蒸留によって除去した。THF(200ml)を加え、その反応混合物をIT=−85℃まで冷却した。ヘキサン中の2.5MのnBuLiの溶液(76ml、190ミリモル)を−85℃で加え、続いてTHF(17ml)中のホウ酸トリイソプロピル(31.9g、170ミリモル)の溶液を加えた。ヘキサン中の2.5MのnBuLiの溶液(17.3ml、43.3ミリモル)を−85℃で加え、続いてTHF(13ml)中のホウ酸トリイソプロピル(23.9g、127ミリモル)の溶液を加えた。その反応混合物をそのまま室温まで温め、室温で一晩撹拌した。水(15.3g)および2−プロパノール中のHCl、5〜6M(36.7g)を室温で加えた。酢酸イソプロピル(480ml)を加え、溶媒を約360mlの容積が得られるまで蒸留によって除去した。酢酸イソプロピル(480ml)を加え、約360mlの容積が得られるまで蒸留によって溶媒を除去した。酢酸イソプロピル(480ml)を加え、その混合物をIT=0℃まで冷却した。水(480g)を加え、1NのNaOHを加えることによってpHをIT=0℃でpH11に調整した。沈殿物を濾過によって除去した。水層をIT=0℃で分離した。水を加え、その水層をIT=0℃で分離した。混ぜ合わせた水層をIT=0℃に冷却し、そのpHを1NのHClを加えることによってpH3に調整した。沈殿物を集め、一定の重量が得られるまで30℃/40〜45ミリバールで乾燥させた。48.9g(93%)の6−アセトアミド−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イルボロン酸B3が得られた。
【実施例9】
【0310】
5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−トリフルオロメチルピリジン−2−アミン(5)
【0311】
【化54】
反応器に111.7gの4,4’−(6−クロロピリミジン−2,4−ジイル)ジモルホリン3、108.5gのK
2CO
3および4.54gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を20℃で仕込んだ。125mlの水および500mlの1,2−ジメトキシエタンを加えた。その白い懸濁液を30分以内で90℃まで加温した。450mlの1,2−ジメトキシエタン中の100gの6−アセトアミド−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イルボロン酸B3の溶液を4.5時間以内で絶え間なく加えた。漏斗を50mlの1,2−ジメトキシエタンで洗浄した。反応混合物を30分以内で70℃に冷却した。1000mlの水を加えた。1000mlの溶媒を蒸留(70℃、400ミリバール〜260ミリバール)によって除去した。1000mlの水を加えた。1000mlの溶媒を蒸留(70℃、400ミリバール〜260ミリバール)によって除去した。その反応混合物を30分以内で20℃に冷却した。沈殿物を濾過によって集め、300mlの水で洗浄した。反応器にその沈殿物を仕込み、1900gの1NのHClを加えた。その反応混合物を30分以内で75℃に温めた。その反応混合物を75℃で3時間撹拌した。その反応混合物を1時間以内に20℃まで冷却し、20℃で一晩撹拌した。沈殿物を濾過によって除去し、200mlの水で洗浄した。反応器にその濾液を仕込み、全てを100mlの水ですすいだ。pHはpH11.9に調整した。1800mlの酢酸イソプロピルを加え、その混合物を撹拌した。相分離させて有機層を集めた。溶媒を、容積が725mlに減少するまで除去した(70℃、280ミリバール)。1800mlの酢酸イソプロピルを加え、その混合物を撹拌した。相分離させて有機層を集めた。溶媒を、容積が725mlに減少するまで除去した(70℃、280ミリバール)。その反応混合物を30分以内で20℃まで冷却し、週末を超えて保存した。その反応混合物は、HYOのベッドを通して濾過し225mlの酢酸イソプロピルにより洗浄した。反応器にその濾液を仕込み、735.5gの溶液1(61.2gのN−アセチル−システインおよび600gの水、4NのNaOHによりpH7に調整されたpH)を加えた。その反応混合物を15分以内で64℃に温めた。その反応混合物を64℃で2時間撹拌した。その反応混合物を45分以内で20℃まで冷却した。相分離させて水層を除去した。1926.5mlの1NのHClを加え、その混合物を15分間撹拌した。相分離させ、水層を集めた。947mlの1NのHClを加え、その混合物を15分間撹拌した。相分離させ、水層を集めた。有機層を反応器から除去した。反応器に混ぜ合わせた水層を仕込んだ。pHをpH2.3に調整した。39gのSilabondを加えた。その反応混合物を20分以内で64℃に温めた。その反応混合物を64℃で2時間撹拌した。その反応混合物を30分以内で20℃まで冷却した。沈殿物を濾過によって除去した。残留物を500gの水で洗浄した。反応器に混ぜ合わせた濾液を仕込んだ。pHを4NのNaOHによりpH5.0に調整した。その反応混合物を0℃まで冷却した。その反応混合物を60分間撹拌した。生成物を濾過によって集め、500gの冷水(約10℃)で洗浄した。生成物を一定重量が得られるまで乾燥させ、136.8g(84.9%)の5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−トリフルオロメチルピリジン−2−アミン5を生じた。
【実施例10】
【0312】
5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−トリフルオロメチルピリジン−2−アミンの多形形態A
40mgの実施例4の5を、バイアル中の0.5mLのアセトニトリル中25±0.1℃で24時間の平衡化時間(一定の撹拌を伴う)の間平衡させる。得られる固体を濾過によって集め、残留する過剰の溶媒を除去するために空気乾燥させ、その後X線粉末回折によって分析し、式Aの化合物の無水の多形形態Aを生じさせる。
【実施例11】
【0313】
5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−トリフルオロメチルピリジン−2−アミン一塩酸塩の多形形態B
40mgの実施例6の5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン一水和物一塩酸塩を、バイアル中の0.5mLのエタノール中25±0.1℃で3週間の平衡化時間(一定の撹拌を伴う)の間平衡させる。得られる固体を濾過によって集め、残留する過剰の溶媒を除去するために空気乾燥させ、その後X線粉末回折によって分析し、式Aの化合物の一塩酸塩の無水の多形形態Bを生じさせる。
【実施例12】
【0314】
5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン一塩酸塩の多形形態S
A
40mgの実施例6の5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン一水和物一塩酸塩を、バイアル中の0.5mLのアセトニトリル中25±0.1℃で3日間の平衡化時間(一定の撹拌を伴う)の間平衡させる。得られる固体を濾過によって集め、残留する過剰の溶媒を除去するために空気乾燥させ、その後X線粉末回折によって分析して、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態S
Aを生じさせる。
【実施例13】
【0315】
5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン一塩酸塩の多形形態S
B
40mgの実施例6の5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン一水和物一塩酸塩を、バイアル中の0.4mLのメタノール中25±0.1℃で24時間の平衡化時間(一定の撹拌を伴う)の間平衡させる。その溶液を室温で窒素流により乾燥するまで蒸発させる。得られる固体を完全に乾燥する前に集め、X線粉末回折によって分析し、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態S
Bを生じさせる。
【実施例14】
【0316】
5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン一塩酸塩の多形形態S
C
40mgの実施例6の5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン一水和物一塩酸塩を、バイアル中の0.5mLの酢酸イソプロピル中25±0.1℃で24時間の平衡化時間(一定の撹拌を伴う)の間平衡させる。得られる固体を濾過によって集め、残留する過剰の溶媒を除去するために空気乾燥させ、その後X線粉末回折によって分析して、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態S
Cを生じさせる。
【実施例15】
【0317】
5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン一塩酸塩の多形形態S
D
40mgの実施例5の6を、バイアル中のエタノールと水を1:1の比率で有する溶液またはアセトニトリルと水を1:1の比率で有する溶液中で、25±0.1℃で24時間の平衡化時間(一定の撹拌を伴う)の間撹拌する。得られる固体を濾過によって集め、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態S
Dを生じさせる。
【実施例16】
【0318】
5−(2,6−ジ−4−モルホリニル−4−ピリミジニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン一塩酸塩の多形形態S
E
40mgの実施例5の6を、バイアル中のアセトンと水を1:1の比率で有する溶液中で、25±0.1℃で24時間の平衡化時間(一定の撹拌を伴う)の間撹拌する。得られる固体を濾過によって集め、式Aの化合物の一塩酸塩の多形形態S
Eを生じさせる。
【0319】
【表3】
【0320】
【表4】
【0321】
【表5】
【0322】
【表6】
【0323】
【表7】
【0324】
【表8】
【0325】
【表9】
【0326】
【表10】
【0327】
【表11】
【0328】
【表12】
本発明は、以下の態様を包含する。
[1]
式5、
【化55】
[式中、
Wは、CRwまたはNであり、Rwは、(1)水素、(2)シアノ、(3)ハロゲン、(4)メチル、(5)トリフルオロメチル、(6)スルホンアミドからなる群から選択され、
R1は、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)置換および非置換アルキル、(6)置換および非置換アルケニル、(7)置換および非置換アルキニル、(8)置換および非置換アリール、(9)置換および非置換ヘテロアリール、(10)置換および非置換ヘテロシクリル、(11)置換および非置換シクロアルキル、(12)−COR1a、(13)−CO2R1a、(14)−CONR1aR1b、(15)−NR1aR1b(17)−NR1aSO2R1b、(18)−OCOR1a、(19)−OR1a、(21)−SOR1aからなる群から選択され、R1a、およびR1bは、(a)水素、(b)置換または非置換アルキル、(c)置換および非置換アリール、(d)置換および非置換ヘテロアリール、(e)置換および非置換ヘテロシクリル、および(f)置換および非置換シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
R2は、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)ヒドロキシ、(6)アミノ、(7)置換および非置換アルキル、(8)−COR2a、および(9)−NR2aCOR2bからなる群から選択され、R2a、およびR2bは、(a)水素、および(b)置換または非置換アルキルからなる群から独立して選択され、
R3は、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)置換および非置換アルキル、(6)置換および非置換アルケニル、(7)置換および非置換アルキニル、(8)置換および非置換アリール、(9)置換および非置換ヘテロアリール、(10)置換および非置換ヘテロシクリル、(11)置換および非置換シクロアルキル、(12)−COR3a、(13)−NR3aR3b、(14)−NR3aCOR3b、(15)−NR3aSO2R3b、(16)−OR3a、(17)−SR3a、(18)−SOR3a、(19)−SO2R3aからなる群から選択され、R3a、およびR3bは、(a)水素、(b)置換または非置換アルキル、(c)置換および非置換アリール、(d)置換および非置換ヘテロアリール、(e)置換および非置換ヘテロシクリル、および(f)置換および非置換シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
R4は、(1)水素、および(2)ハロゲンからなる群から選択される]
の化合物もしくはその立体異性体、互変異性体またはそれらの塩を製造するためのプロセスであって、
式4
【化56】
(式中、Y2B−は、非環式ボロン酸、非環式ボロン酸エステルまたは環状ボロン酸エステルを表し、R1およびR2は、式5に対して定義されている通りである)
の化合物を、
式4a
【化57】
(式中、Halは、ハロゲンを表し、W、R3およびR4は、式5の化合物に対して定義されている通りである)
の化合物と鈴木条件の下で反応させて、式5の化合物を得るステップを含み、
場合によってその後塩形成反応が続く、プロセス。
[2]
Wが、CHを表し、
R1が、N−モルホリニルを表し、
R2が、水素を表し、
R3が、トリフルオロメチルを表し、
R4が、水素を表す、
上記[1]に記載のプロセス。
[3]
Y2B−が、環状ボロン酸エステル4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イルを表す、上記[1]に記載のプロセス。
[4]
鈴木条件が、Pd触媒、特にPd(dbpf)Cl2の存在を伴う、上記[1]から[3]のいずれかに記載のプロセス。
[5]
式4
【化58】
(式中、Y2B、R1およびR2は、上記[1]で定義されている通りである)
の化合物を製造するためのプロセスであって、式3
【化59】
(式中、R1およびR2は、上記[1]で定義されている通りであり、Halは、ハロゲン、特にクロロを表す)
の化合物を、式
Y2B−X 6
(式中、Y2Bは、上記[1]で定義されている通りであり、Xは、水素、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシまたはY2B、好ましくはY2Bを表す)
のボロン酸エステルまたはその誘導体と、
場合によってPd2(dba)3/PCy3等の触媒の存在下で、場合によって希釈剤の存在下で、場合によって反応助剤の存在下で反応させて、式4の化合物を得るステップを含む、プロセス。
[6]
式4
【化60】
(式中、
R1は、N−モルホリニルを表し、
R2は、水素を表し、
Y2Bは、環状ボロン酸エステル、特に、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イルを表す)
の化合物もしくはその立体異性体、互変異性体、またはそれらの塩。
[7]
結晶形態の、式A
【化61】
の化合物、または式Aの化合物の水和物もしくは溶媒和物、または式Aの化合物の塩、または式Aの化合物の塩の水和物もしくは溶媒和物。
[8]
多形形態HAである上記[7]に記載の化合物Aの半水和物であって、前記半水和物が、X線回折で19.2+/−0.3°および18.7+/−0.3°の回折角2θにおいてピークを示す、半水和物。
[9]
多形形態A無水物である上記[7]に記載の化合物Aの結晶形態であって、前記化合物Aの結晶形態が、X線回折で14.8+/−0.3°および10.2+/−0.3°の回折角2θにおいてピークを示す、結晶形態。
[10]
多形形態Haである上記[7]に記載の化合物Aの一塩酸塩の一水和物であって、前記一水和物が、X線回折で9.3°+/−0.3°および15.8+/−0.3°の回折角2θにおいてピークを示す、一水和物。
[11]
多形形態Aである上記[7]に記載の化合物Aの一塩酸塩。
[12]
X線回折で9.9°+/−0.3°および20.0°+/−0.3°の回折角2θにおいてピークを示す、上記[11]に記載の化合物Aの一塩酸塩。
[13]
多形形態Bである上記[7]に記載の化合物Aの一塩酸塩。
[14]
X線回折で18.7°+/−0.3°および21.8°+/−0.3°の回折角2θにおいてピークを示す、上記[13]に記載の化合物Aの一塩酸塩。
[15]
多形形態SA、多形形態SB、多形形態SC、多形形態SD、または多形形態SEである上記[7]に記載の化合物Aの一塩酸塩の溶媒和物。
[16]
溶媒和物が、X線回折で16.6°+/−0.3°および28.4°+/−0.3°の回折角2θにおいてピークを示す多形形態SAの形態である、上記[15]に記載の溶媒和物。
[17]
溶媒和物が、X線回折で19.8°+/−0.3°および17.5°+/−0.3°の回折角2θにおいてピークを示す多形形態SBの形態である、上記[15]に記載の溶媒和物。
[18]
溶媒和物が、X線回折で9.9°+/−0.3°および20.0°+/−0.3°の回折角2θにおいてピークを示す多形形態SCの形態である、上記[15]に記載の溶媒和物。
[19]
溶媒和物が、X線回折で9.9°+/−0.3°および23.5°+/−0.3°の回折角2θにおいてピークを示す多形形態SDの形態である、上記[15]に記載の溶媒和物。
[20]
溶媒和物が、X線回折で4.3°+/−0.3°および17.6°+/−0.3°の回折角2θにおいてピークを示す多形形態SEの形態である、上記[15]に記載の溶媒和物。
[21]
本質的に純粋な形態で存在する上記[7]から[20]のいずれか一項に記載の固体形態の化合物A、または化合物Aの水和物もしくは溶媒和物、または化合物Aの塩、または化合物Aの塩の水和物もしくは溶媒和物。
[22]
上記[7]から[20]のいずれか一項に記載の固体形態の化合物A、その水和物または溶媒和物、その塩およびその塩の水和物または溶媒和物、ならびに場合によって少なくとも1つの医薬的に許容される担体を含む、医薬品組成物。
[23]
良性腫瘍または悪性腫瘍、脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃、胃腫瘍、卵巣、結腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣または甲状腺の癌腫、肉腫、神経膠芽腫、多発性骨髄腫または消化器癌(gastrointestinal cancer)、特に、結腸癌または結腸直腸腺腫または頸部および頭部腫瘍、表皮過剰増殖(epidermal hyperproliferation)、乾癬、前立腺肥大、新形成、上皮形質の新形成、リンパ腫、乳癌または白血病から選択される増殖性疾患、他の疾患としては、カウデン症候群、Lhermitte−Dudos病およびバナヤン−ゾナナ(Bannayan-Zonana)症候群、またはPI3K/PKB経路が異常に活性化される疾患が挙げられる疾患の処置のための薬剤の調製のための、上記[7]から[20]のいずれか一項に記載の結晶形態の化合物A、その水和物、その塩およびその塩の水和物または溶媒和物の使用。
[24]
式5、
【化62】
[式中、
Wは、CRwまたはNであり、Rwは、(1)水素、(2)シアノ、(3)ハロゲン、(4)メチル、(5)トリフルオロメチル、および(6)スルホンアミドからなる群から選択され、
R1は、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)置換および非置換アルキル、(6)置換および非置換アルケニル、(7)置換および非置換アルキニル、(8)置換および非置換アリール、(9)置換および非置換ヘテロアリール、(10)置換および非置換ヘテロシクリル、(11)置換および非置換シクロアルキル、(12)−COR1a、(13)−CO2R1a、(14)−CONR1aR1b、(15)−NR1aR1b(17)−NR1aSO2R1b、(18)−OCOR1a、(19)−OR1a、(21)−SOR1aからなる群から選択され、R1a、およびR1bは、(a)水素、(b)置換または非置換アルキル、(c)置換および非置換アリール、(d)置換および非置換ヘテロアリール、(e)置換および非置換ヘテロシクリル、および(f)置換および非置換シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
R2は、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)ヒドロキシ、(6)アミノ、(7)置換および非置換アルキル、(8)−COR2a、および(9)−NR2aCOR2bからなる群から選択され、R2a、およびR2bは、(a)水素、および(b)置換または非置換アルキルからなる群から独立して選択され、
R3は、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)置換および非置換アルキル、(6)置換および非置換アルケニル、(7)置換および非置換アルキニル、(8)置換および非置換アリール、(9)置換および非置換ヘテロアリール、(10)置換および非置換ヘテロシクリル、(11)置換および非置換シクロアルキル、(12)−COR3a、(13)−NR3aR3b、(14)−NR3aCOR3b、(15)−NR3aSO2R3b、(16)−OR3a、(17)−SR3a、(18)−SOR3a、(19)−SO2R3aからなる群から選択され、R3a、およびR3bは、(a)水素、(b)置換または非置換アルキル、(c)置換および非置換アリール、(d)置換および非置換ヘテロアリール、(e)置換および非置換ヘテロシクリル、および(f)置換および非置換シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
R4は、(1)水素、および(2)ハロゲンからなる群から選択される]
の化合物もしくはその立体異性体、互変異性体またはそれらの塩を製造するためのプロセスであって、
式3
【化63】
(式中、Halは、ハロゲンを表し、R1およびR2は、式5の化合物に対して定義されている通りである)
の化合物を、
式B3
【化64】
(式中、−BY2は、ボロン酸、非環式ボロン酸エステル、環状ボロン酸エステル、またはトリフルオロホウ酸塩を表し、W、R3およびR4は、式5の化合物に対して定義されている通りであり、
式中、R5は、(1)水素、(2)置換もしくは非置換アルキル、(3)置換もしくは非置換アルキルオキシ、(4)置換もしくは非置換アリール、(5)置換もしくは非置換アリールオキシ、(6)置換もしくは非置換アリールアルキルオキシからなる群から選択される)
の化合物と鈴木条件の下で反応させ、その後R5C(O)−部分の除去が続いて、式5の化合物を得るステップを含み、
場合によってその後塩形成反応が続く、プロセス。
[25]
B3が、式B1
【化65】
の化合物を、式B2
【化66】
の化合物が生成されるように、酸無水物(R5C=O)2Oと反応させ、
式B2の化合物を第一の溶媒、第一の塩基および場合によってアルコール添加剤を含む反応混合物と反応させ、得られた混合物を第二の溶媒および第二の塩基と反応させ、そのようにして形成された混合物をホウ酸誘導体と反応させ、場合によってそのようにして形成された混合物を第三の溶媒および第三の塩基と、続いてホウ酸誘導体と反応させ、場合によってそのようにして形成された混合物を水および酸と反応させ、その結果、式B3
【化67】
の化合物が生成されることによって調製される、上記[24]に記載のプロセス。
[26]
Wが、CHを表し、
R1が、N−モルホリニルを表し、
R2が、水素を表し、
R3が、トリフルオロメチルを表し、
R4が、水素を表し、
R5が、メチルを表す、
上記[24]に記載のプロセス。
[27]
−BY2が、ボロン酸を表す、上記[25]または上記[26]に記載のプロセス。
[28]
鈴木条件が、Pd触媒の存在を伴う、上記[24]から[27]のいずれか一項に記載のプロセス。
[29]
Pd触媒が、Pd(PPh3)4である、上記[28]に記載のプロセス。
[30]
式B3
【化68】
(式中、W、R3、R4、R5およびBY2は、上記[24]において定義されている通りである)
の化合物もしくはその立体異性体、互変異性体、またはそれらの塩。
[31]
Wが、CHを表し、
R3が、トリフルオロメチルを表し、
R4が、水素を表し、
R5が、メチルを表し、
BY2が、ボロン酸を表す、
上記[30]に記載の化合物。
[32]
式5
【化69】
の化合物もしくはその立体異性体、互変異性体、またはそれらの塩を製造するためのプロセスであって、次のステップ:
ステップA:式B1
【化70】
の化合物を、溶媒および酸無水物(R5C=O)2Oを含む反応混合物と接触させ、その結果、式B2
【化71】
の化合物が生成されるステップ、
ステップB:i)式B2の化合物を、第一の溶媒、第一の塩基および場合によってアルコール添加剤を含む反応混合物と接触させるステップ、ii)ステップ(i)の混合物を第二の溶媒および第二の塩基と接触させるステップ、iii)ステップ(ii)の混合物をホウ酸誘導体と接触させるステップ、iv)場合によってステップ(iii)の混合物を第三の溶媒および第三の塩基と接触させ、次いで得られた混合物をホウ酸誘導体と接触させるステップ、ならびにv)場合によってステップ(iii)またはステップ(iv)の混合物を水および酸と接触させ、その結果、式B3
【化72】
の化合物が生成されるステップ、
ステップC:式B3の化合物を、溶媒、塩基、触媒、および式3
【化73】
の化合物を含む反応混合物と接触させ、その結果、B5
【化74】
の化合物が生成されるステップ、
ステップD:式B5の化合物を、溶媒ならびに酸、塩基および金属触媒から選択されるR5C(=O)−部分の除去のための試薬を含む反応混合物と接触させ、その結果、式5の化合物が生成されるステップ
のうちの1つまたは複数を含み、
場合によって、その後塩形成反応が続き、
上式中、
Wが、CRwまたはNであり、Rwが、(1)水素、(2)シアノ、(3)ハロゲン、(4)メチル、(5)トリフルオロメチル、および(6)スルホンアミドからなる群から選択され、
R1が、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)置換および非置換アルキル、(6)置換および非置換アルケニル、(7)置換および非置換アルキニル、(8)置換および非置換アリール、(9)置換および非置換ヘテロアリール、(10)置換および非置換ヘテロシクリル、(11)置換および非置換シクロアルキル、(12)−COR1a、(13)−CO2R1a、(14)−CONR1aR1b、(15)−NR1aR1b(17)−NR1aSO2R1b、(18)−OCOR1a、(19)−OR1a、(21)−SOR1aからなる群から選択され、R1a、およびR1bが、(a)水素、(b)置換または非置換アルキル、(c)置換および非置換アリール、(d)置換および非置換ヘテロアリール、(e)置換および非置換ヘテロシクリル、および(f)置換および非置換シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
R2が、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)ヒドロキシ、(6)アミノ、(7)置換および非置換アルキル、(8)−COR2a、および(9)−NR2aCOR2bからなる群から選択され、R2a、およびR2bが、(a)水素、および(b)置換または非置換アルキルからなる群から独立して選択され、
R3が、(1)水素、(2)シアノ、(3)ニトロ、(4)ハロゲン、(5)置換および非置換アルキル、(6)置換および非置換アルケニル、(7)置換および非置換アルキニル、(8)置換および非置換アリール、(9)置換および非置換ヘテロアリール、(10)置換および非置換ヘテロシクリル、(11)置換および非置換シクロアルキル、(12)−COR3a、(13)−NR3aR3b、(14)−NR3aCOR3b、(15)−NR3aSO2R3b、(16)−OR3a、(17)−SR3a、(18)−SOR3a、(19)−SO2R3aからなる群から選択され、R3a、およびR3bが、(a)水素、(b)置換または非置換アルキル、(c)置換および非置換アリール、(d)置換および非置換ヘテロアリール、(e)置換および非置換ヘテロシクリル、および(f)置換および非置換シクロアルキルからなる群から独立して選択され、
R4が、(1)水素、および(2)ハロゲンからなる群から選択され、
R5が、(1)水素、(2)置換もしくは非置換アルキル、(3)置換もしくは非置換アルキルオキシ、(4)置換もしくは非置換アリール、(5)置換もしくは非置換アリールオキシ、(6)置換もしくは非置換アリールアルキルオキシからなる群から選択され、
BY2が、ボロン酸、非環式ボロン酸エステル、環状ボロン酸エステル、またはトリフルオロホウ酸塩を表し、
Halが、ハロゲンを表す、プロセス。
[33]
ステップAおよびBの溶媒が、独立して、芳香族溶媒、脂肪族溶媒、ハロゲン化溶媒、極性非プロトン性溶媒、エステル溶媒およびエーテル性溶媒から選択される1つまたは複数の溶媒を含む、上記[32]に記載のプロセス。
[34]
ステップAの溶媒が、酢酸エチルおよびヘプタンから選択される1つまたは複数の溶媒を含む、上記[33]に記載のプロセス。
[35]
R5がメチルである、上記[32]に記載のプロセス。
[36]
ステップBの第一、第二および第三の溶媒が、存在する場合、独立して、THFおよびヘキサンから選択される1つまたは複数の溶媒を含む、上記[33]に記載のプロセス。
[37]
ステップBの第一の塩基が、リチウムアミド、リチウムジアルキルアミド、リチウムアルコキシドおよびブチルリチウムの異性体から選択される1つまたは複数の塩基を含む、上記[32]に記載のプロセス。
[38]
ステップBの第二および第三の塩基が、独立して、ブチルリチウムの異性体およびグリニャール試薬から選択される、上記[32]に記載のプロセス。
[39]
ステップBの第一の塩基が、リチウムアミドである、上記[37]に記載のプロセス。
[40]
ステップBの第二のおよび第三の塩基が、n−ブチルリチウムである、上記[38]に記載のプロセス。
[41]
ステップBのホウ酸誘導体がホウ酸トリイソプロピルである、上記[32]に記載のプロセス。
[42]
ステップCおよびDの溶媒が、独立して、芳香族溶媒、脂肪族溶媒、ハロゲン化溶媒、極性非プロトン性溶媒、エステル溶媒、エーテル性溶媒および水から選択される1つまたは複数の溶媒を含む、上記[32]に記載のプロセス。
[43]
ステップCの溶媒が、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、2−メチル−テトラヒドロフランおよび水から選択される1つまたは複数の溶媒を含む、上記[42]に記載のプロセス。
[44]
ステップCの塩基が、アセテート、ホスフェートおよびカーボネートから選択される、上記[32]に記載のプロセス。
[45]
ステップCの塩基が、炭酸カリウムである、上記[44]に記載のプロセス。
[46]
ステップCの触媒が、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドから選択される、上記[32]に記載のプロセス。
[47]
ステップDにおけるR5C(=O)−部分の除去のための試薬が塩酸である、上記[32]に記載のプロセス。