【文献】
L. Maleki, et al.,"All-Optical Integrated rubidium Atomic Clock",Frequency Control and the European Frequency and Time Forum (FCS), 2011 Joint Conference of the IEEE International ,2011年 5月 2日,p.1-5
【文献】
S. Vladimir, et al.,"Miniature Oscillators Based on Optical WhisperingGallery Mode Resonators",Frequency Control Symposium, 2008 IEEE International ,2008年 5月19日,p.305-308
【文献】
L.Maleki, et al.,"High performance, miniature hyper-parametric microwave photonic oscillator",Frequency Control Symposium (FCS), 2010 IEEE International ,2010年 6月 1日,p.558-563
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レーザーおよび前記光共振器は、注入同期を介して互いに同期され、前記レーザー同期機構は、前記レーザー光を前記光共振器中に結合させ、さらに、前記レーザーを前記光共振器へと注入同期させるため、前記光共振器から外部へ出ていく光を再度前記レーザーへと結合させる光カプラを含む、
請求項1のデバイス。
前記原子周波数リファレンス内の第1の原子遷移と共振する第1の光周波数における第1のビームと、前記第1の原子遷移と共通励起状態を共有する前記原子周波数リファレンス内の第2の原子遷移と共振する第2の異なる光周波数における第2のビームとを生成するために、前記光共振器出力の前記光を干渉計によって処理する工程と、
前記エラー信号を生成するため、前記第1の原子遷移および前記第2の原子遷移によって発生した電磁誘導透過を用いる工程と、
を含む、請求項20の方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
光コムは、周期的な周波数もしくはスペクトルコンポーネントの光信号、または光高調波であり、個々の周波数コンポーネントの光周波数、または周波数コンポーネントおよび周波数コンポーネントの周波数間隔もしくは繰り返し周波数のうちの少なくとも1つの光周波数の組み合わせによって特徴付けられ得る。本文書中に記載のデバイスおよび技術は、原子周波数リファレンスもしくはクロック信号に基づいて、または原子周波数リファレンスもしくはクロック信号に対して、非線形光共振器(例えば、結晶性ウィスパリングギャラリーモード共振器)中の4波混合および/またはハイパーパラメトリック発振に基づいて生成された光コムの繰り返し周波数を(レーザーからのレーザー光による適切な光ポンピングの下において)安定させる。本文書中に記載される実施例は、単一の原子周波数リファレンスを、光コムまたは2つの異なる原子周波数リファレンスの安定化のために用いて、2つの異なる周波数同期または安定点を提供し、これにより、光コム信号のよりロバストな安定を実現することができる。このような安定した光コム信号は、関連する原子周波数リファレンスまたはクロックの代表的なものであり、多様な実際の用途において、原子時計として取り扱うことができる。このような安定した光コム信号は、光コム信号をRFまたはマイクロ波信号へ変換する光検出器によって検出することができる。光検出器および対応する回路の帯域幅に応じて、RFまたはマイクロ波信号は、隣接する周波数コンポーネント間の周波数間隔および/またはこの周波数間隔の他の周波数高調波に対応するRFまたはマイクロ波周波数を含み得る。光検出器およびその対応する回路は、RFまたはマイクロ波信号中の1つ以上のRFまたはマイクロ波周波数を選択するように構成され得る。
【0019】
本文書中に記載されるデバイスおよび技術は、光領域中の原子または分子中の高精度の光学原子遷移または光学分子遷移(すなわち、原子時計)の利点を利用し、光信号(例えば、光コム)を原子時計に対して安定させるための光学処理を用いる。その後、安定した光信号を光検出器によってRFまたはマイクロ波領域へと変換して、RFまたはマイクロ波信号を原子時計の高い周波数精度または安定性によって入手する。このような光安定化および光領域からRFまたはマイクロ波領域への変換のスキームは、少なくとも2つの異なる光スペクトルコンポーネントを含む光信号を、所望のRFまたはマイクロ波周波数に対応する周波数分離を用いて、かつ光コム信号を用いずに生成することにより、実施することができる。光コム信号が不要であるため、光非線形性を示さない光共振器を、非線形光共振器の代わりに用いることができる。本文書中に記載される一例は、2つのレーザー搬送波周波数における2つの異なるレーザーを原子周波数リファレンスへ同期させるために用いられ、2つのレーザー搬送波周波数の周波数差は、所望のRFまたはマイクロ波周波数に設定される。
【0020】
以下において、光コムを生成する非線形光共振器における非線形光波混合に基づいた実施様態について説明する。これらの非線形光共振器は、多様な光共振器構成をとりえる。非線形ウィスパリングギャラリーモード共振器がとりわけ有利であり得る1つの理由として、このような共振器は、低出力レベルにおいて効率的な非線形波混合が提供できるような高Q値で作製することができ、また、コンパクトな形態でパッケージするかまたはRFチップ上に集積させることが可能であるからである。他の共振器構成(例えば、ファブリーペロー共振器)をとる非線形光共振器を用いて、本文書中に記載するデバイスおよび技術を実施することも可能である。
【0021】
いくつかの実施様態において、適切に選択された光高調波(「光コム」)は、光学結晶性ウィスパリングギャラリーモード共振器内において生成され、原子リファレンス(例えば、原子蒸気セル、原子トラップまたは原子ビーム)中へと注入され、その結果、原子リファレンス周波数の情報を搬送する出力光信号が生成される。この出力光信号は、レーザーおよび光学結晶性ウィスパリングギャラリーモード共振器のうち一方または双方を安定化させるためのフィードバック信号を生成するために用いられる。例えば、高調波の適切な偏光調整下において、原子リファレンスからの光の光検出がフォトダイオードにおいて実行され、フォトダイオードの出力からの処理されたRF信号からフィードバックが生成され、共振器または共振器そのもののを光学的にポンピングするために用いられるレーザーへ送られる。このフィードバックは、原子リファレンスへ同期された周波数安定性のRFまたはマイクロ波信号を生成するための、高速フォトダイオード上において復調され得る光コムの安定化を達成するために用いられる。よって、この原子リファレンスを用いたウィスパリングギャラリーモード(WGM)共振器ベースのハイパーパラメトリック発振器により、原子遷移の安定性を、高速フォトダイオード上の可視光線のRFビートへと送ることができる。
【0022】
このような、光コムの生成のための非線形WGM共振器の利用と、生成された光コムの原子リファレンスへの同期との組み合わせを用いて、コンパクトであり、低コストでありかつ適合性の高いRFまたはマイクロ波発振器を、高い原子リファレンス精度によって得ることができる。例えば、このようなデバイスは、原子リファレンスにおける光学遷移に基づいた原子時計として用いることができ、さらに、コンパクトなサイズで構成し、低パワーにおいて動作することができる。
【0023】
原子リファレンスは、原子遷移または分子遷移に基づいた多様な構成において実施することができる。例えば、米国特許第6,762,869号(名称:「Atomic clock based on an opto−electronic oscillator」)において、発振器の発振周波数を原子周波数リファレンス(例えば、原子蒸気セル)に対して安定させるための周波数同期機構を有する光電子発振器の例についての記載がある。別の例として、米国特許第8,159,736号(名称:「Tunable single sideband modulators based on electro−optic optical whispering gallery mode resonators and their applications」)において、RFまたはマイクロ波振動を安定化させるための光電子ループの光学部分において原子蒸気セルを用いつつ、電気光学材料によって形成されるウィスパリングギャラリーモード共振器における調節可能な単一のサイドバンド(SSB)変調に基づいた光電子発振器の例についての記載がある。上記の米国特許出願の開示内容は、参照されることにより、本文書の開示内容の一部として組み込まれる。
【0024】
原子セル中の原子(例えば、アルカリ蒸気(例えば、ルビジウムまたはセシウム))は、本文書に記載のデバイスを安定させるための安定した原子周波数リファレンスを提供するために用いることができる。このような安定した原子周波数リファレンスは、多様な方法で生成することができる。例えば、特定の光学原子遷移における吸収ピークをこのような安定した原子リファレンスとして直接用いることができ、この場合、このような遷移における原子蒸気セルの光透過(または、あるいは吸収)を測定して、レーザーまたは光共振器共振の周波数あるいは信号中の周波数のシフトを示すことができる。別の例として、量子干渉効果(電磁誘導透過として知られる)に基づいた3つのエネルギーレベルに関連する原子遷移を、このような安定した原子周波数リファレンスとして用いることができる。ルビジウムまたはセシウムにおいて、2つの基底状態超微細レベルおよび共通励起状態を用いて、原子リファレンスを提供することができる。この原子リファレンスにおいて、2つの基底状態超微細レベルの間の周波数差は、所望のRFまたはマイクロ波周波数に対応する。このような原子の例を挙げると、2つの超微細基底状態間のギャップが約9.2GHzであるセシウムや、2つの超微細基底状態間のギャップが約6.8GHzであるルビジウムがある。一般的には、共通励起状態を介した光ポンピングが無い場合、これら2つの基底状態は互いに分離されている。光場が1つのみ存在し、2つの光学遷移のうちいずれかと共振している場合、全ての電子は最終的には、1つの光場と共振している原子遷移に関連付けられた1つの基底状態から、1つの光場と共振していない他方の基底状態へと転移する。その結果、原子セルは、1つの光場に対して透過となる。第2の光場が他方の原子遷移へ同時に供給され、第1の光場に対してコヒーレントである場合、2つの基底状態は互いに分離されなくなる。2つの供給された光場が、2つの原子遷移と高精度に共振すると、量子力学的コヒーレントポピュレーショントラッピングが発生し、2つの基底状態が相互に量子力学的に干渉し合った結果、位相外れ重畳状態が形成され、共通励起状態から接合解除される。この条件下において、重畳状態と励起状態との間に許容可能な双極子モーメントは無い。そのため、2つの基底状態のうちいずれにおいても、光学的に励起して励起状態へ移行可能な電子は無い。その結果、原子セルは、共通励起状態を共有している2つの原子遷移とそれぞれ共振している光場の双方に対して透過になる。2つの供給された光場のうちいずれかが対応する共振から離隔方向に調節された場合、基底状態にある原子は再度光学的に吸収性となる。この電磁誘導透過に起因して、2つの同時供給された光場のうちのいずれかの周波数離調に対する透過スペクトルピークが狭くなる。この信号は、WGM共振器もしくはレーザーまたは双方を安定させるためのフィードバックとして用いることができる。
【0025】
図1A、
図1B、
図1Cおよび
図1Dは、非線形光WGM共振器に基づいた原子リファレンスに対して安定な例示的な光コム生成デバイスの構造および動作を示す。このデバイスは、調節可能なレーザー1を含む(例えば、光カプラ2(例えば、光エバネッセント結合のためのプリズムカプラ)を介して非線形光WGM共振器100中へと結合されるレーザー光を生成するダイオードレーザーまたは半導体レーザー)。非線形光WGM共振器100は、光非線形性を示す結晶質材料によって形成され、共振器100は、光ウィスパリングギャラリーモードをサポートするように構成される。レーザー1は、レーザー光の充分なレーザーパワーを生成するように動作される。このレーザー光は、異なる周波数の光コムを生成する非線形光波混合用の閾値を超えるように、共振器100内に結合される。
【0026】
図1Aにおいて、レーザー1および共振器100は、適切な同期機構に基づいて、相互に周波数同期される。例えば、注入同期は、レーザー1から光共振器100への注入同期を発生させるためのレーザー1に対するフィードバックレーザービームを生成するため、共振器100中の光を結合させ、共振器100中へ初期結合されているレーザー光を逆伝搬させる光カプラ2を用いて実行される。別の例として、レーザー1および光共振器100を互いに同期させるために、Pound−Drever−Hall(PDH)レーザーフィードバック同期スキームを用いることができる。
【0027】
また、
図1Aに示すように、原子セル20が原子リファレンスとして設けられ、光共振器100の外部において結合された光を受信して、原子リファレンスの情報を搬送する出力光を生成するように接続される。光検出器24(例えば、フォトダイオード)が、原子セル20からの出力光(例えば、光透過)を受信して、検出器出力をフィードバック信号として出力するように、配置される。フィードバック回路4は、検出器出力を受信し、フィードバック信号を生成する。フィードバック回路4は、レーザー1または光共振器100のうち少なくとも1つへ接続されており、レーザー1または光共振器100のうち少なくとも1つを安定させるため、フィードバック信号を供給する。
【0028】
図1Aに示す例において、フィードバック回路4は、共振器100が原子セル20中の原子リファレンスに対して安定するように共振器100を制御するためのバイアス制御信号を生成する回路の部分としてのロックイン増幅器を含む。このバイアス制御信号は、光共振器100の共振をシフトさせて、特定の原子周波数リファレンスからの望ましくない周波数ドリフトを低減または最小化させる。この点について、光共振器100は周波数が調節可能であり、共振器100のこの調節は、バイアス制御に応じた多様な構成において実行することができる。例えば、共振器共振を調節するために、共振器100の温度を用いることができる。共振器100をアクチュエータ(例えば、機械的アクチュエータ(例えば、スクイーザーまたは圧電アクチュエータ))によってスクイーズすることにより、その寸法を変化させ、これにより共振器共振を調節する。あるいは、共振器100を電気光学材料によって構成することもでき、その場合、外部電圧を共振器共振へ供給することにより、電気光学効果を介して屈折率を変更し、共振器共振を調節することができる。
【0029】
フィードバック信号としての光検出器24の検出器出力は、特定の原子周波数リファレンスからの光共振器100の共振のドリフトを示すエラー信号である。これは、比較的低速のディザリング変調を介して、光共振器100の共振をディザリングすることにより、発生させることができる。このような光共振器100の共振におけるディザリング変調は、光検出器24によって生成された検出器信号を変化させるので、特定の原子周波数リファレンスからの光共振器の共振のドラフトの量および方向を示すことができる。「FSR変調」と記載される比較的遅いディザー周波数における発振信号を生成するために、発振源3が設けられる。この発振信号は、レーザー1および共振器100双方へと供給されて、レーザー搬送波周波数ωにおいてレーザー搬送波のディザー変調が行われる。光共振器100の自由スペクトル範囲(FSR)は、上記したような共通励起状態を共有する2つの原子遷移の2つの基底状態間の周波数差ω
RF(RFまたはマイクロ波周波数)に等しく設定される。共振器100内部のレーザー光は、共振器100の非線形材料内部の非線形パラメトリック波混合を経て、これにより、光搬送波周波数ωにおけるレーザー光からエネルギーをとって、パラメトリック増幅を発生させ、共振器共振または共振器共振の高調波に対応する1つ以上の新規の光周波数における光を生成する。この非線形波混合およびパラメトリック増幅の結果、共振器100内部に光コムが生成される。
【0030】
図1B、
図1Cおよび
図1Dは、非線形波混合およびパラメトリック増幅に関わる周波数を示す。
図1Dは、パラメトリック増幅における周波数コンポーネントを示す。
図1Bおよび
図1Cは、周波数領域およびエネルギーレベルにおける周波数をそれぞれ示す。
図1Dは、レーザー搬送波が共振器共振ω
0において共振するように調節された場合における光共振器100のスペクトルを示し、共振器100内部において生成された光コムの周波数コンポーネントを示す。
【0031】
図1A中、共振器100の外部において結合された光を光コム出力5として示す。光コム出力5をRF出力へ変換するように、高速光検出器を光コム出力5の光経路内に配置することができる。また、このRF出力は、原子セル20から提供される原子リファレンスに対して周波数安定している。
【0032】
光コム出力5は、
図1A中のマッハツェンダー干渉計10へと方向付けられる。マッハツェンダー干渉計10は、ビームスプリッターBS1を含む。ビームスプリッターBS1は、受信した光を、第1の鏡M1を有する第1の光経路に沿った第1のビームと、第2の鏡M2を有する第2の光経路に沿った第2のビームとに分割する。第2のビームスプリッターBS2を用いて、これら2つのビームが空間的に重複しかつ光学的に干渉するようにこれら2つのビームを組み合わせ、これにより、第3の鏡M3へと向かう第1の出力ビームと、第4の鏡M4へと向かう第2の出力ビームとを生成する。干渉計10のBS2における2つの出力ビームは、2つの異なる光周波数における2つの光信号であり、上記したような同一の共通励起状態を共有する2つの基底状態に関連する2つの異なる光学遷移とそれぞれ共振する。偏光回転子(例えば、半波長板)をこれら2つのビームのうち1つに配置して、1つのビームの偏光を90度回転させて、これら2つのビームを互いに直交偏光させる。次に、これら2つの直交偏光したビームを偏光ビームスプリッター(PBS)において互いに組み合わせ、重複させて合成ビームとし、原子セル20へ進入させる。原子セル20中のこれら2つの直交偏光したビームは、電磁誘導透過のため、上記したような共通励起状態を共有する2つの原子遷移と共振する。すなわち、1つのビームは1つの遷移と共振し、他方のビームは別の遷移と共振する。原子セル20の光透過は、光偏光子22を通過して、光検出器24へ到達するよう方向付けられる。線形偏光子22は、光検出器24に双方のビームが到達するように、2つの直交偏光したビームのいずれかの偏光に対して45度配向している。
【0033】
図1Aにおいて、結晶性ウィスパリングギャラリーモード共振器100における4波混合およびハイパーパラメトリック発振により、調節可能な光コム5が生成される。コム5の周波数安定性は、共振器100の共振器モードの周波数安定性によって得られる。その結果、コムモード間の周波数分離が多様な要素(例えば、共振器100における熱プロセス)に起因して経時的にドリフトする。コム高調波間の周波数差を安定させるために、絶対的周波数安定性(例えば、原子セル20からの周波数リファレンス)を所有するリファレンスへコムを同期させることができる。
【0034】
共振器100は、m*FSR=ω
RFとなるような自由スペクトル範囲(FSR)を有する構造で作製することができる。ここで、RF周波数ω
RFは、原子または分子(例えば、アルカリまたは他の種類の原子/イオン)の基底状態超微細遷移のRF周波数であり、mは整数である。よって、RF周波数ω
RFは、共振器100のFSRの高調波に等しくすることができる。原子/イオンの基底状態は、クロック遷移を有し、二色性光によって調査した場合、電磁誘導透過現象を示す。共振器100をレーザー1からのレーザー光によってポンピングすると、共振器100は共振器モードおよび原子セル20中における対象光学原子遷移のうちの1つと共振する。レーザーCW光のパワーは、共振器100中の光ハイパーパラメトリック発振の閾値を超える程度に充分に強力である。注入同期、PDH同期または他の同期技術を介して、レーザー1を適切な共振器モードへ同期させる。
【0035】
図1Aに示すように、生成された光コム出力5を、1つまたはいくつかのマッハツェンダー干渉計を用いて処理して、原子/イオンの2つの光学超微細遷移と共振する2つの光学コンポーネントが異なる光経路をたどるように、コム周波数コンポーネントを分離する。空間的に分離されたコム高調波の偏光は、線形直交または逆回転に変更される。その後、これらのビームは、原子セル20へと方向付けられる。
【0036】
図1A中のデバイスの動作において、原子セル20中の原子サンプルとの相互作用時における、反対方向に偏光した光高調波によって得られた相対的位相シフトの測定により、光コムを原子セル20中の原子リファレンスへ同期させるためのエラー信号が生成される。エラー信号の特性スペクトル幅は、電磁誘導透過共振のスペクトル幅に等しい。
【0037】
図1A中のデバイスおよび本文書中に記載の他のデバイスにおいて、結晶性ウィスパリングギャラリーモード共振器100における4波混合(FWM)の非線形プロセスは、三次非線形性を示す(例えば、フッ化カルシウムまたは他の非線形材料)。
図1Dを参照して、FWMにおいて、高フィネスまたは高QWGM共振器100中の高い場の強度により、レーザー搬送波周波数ωにおける2つのポンプ光子がω
+およびω
−1における2つのサイドバンド光子(すなわち、信号光子およびアイドラー光子)へ変換される。ω
+およびω
−1において生成された光子の周波数の合計は、エネルギー保存則に起因して、ポンピング光の周波数の2倍に等しくなる。
【0038】
光共振器は、光ウィスパリングギャラリー−モード(「WGM」)共振器として構成され、ウィスパリングギャラリー(「WG」)モードとして知られている共振器モードの特殊な1組をサポートする。これらのWGモードは、境界における全反射に起因する共振器表面近傍の内部領域内に閉じ込められた光場を示す。例えば、誘電体球を用いてWGM共振器を形成することができる。このWGM共振器において、WGMモードは、球境界における全反射に起因する赤道周囲の球表面近傍の内部領域内に閉じ込められた光場を示す。直径10〜10
2ミクロンオーダーのクオーツ微小球は、Q値が10
9を超えるコンパクトな光共振器を形成するために用いられている。このような高QWGM共振器を用いて、高スペクトル純度および低ノイズの発振信号を生成することができる。ウィスパリングギャラリーモードへと結合された光エネルギーは、長い光子寿命にわたって、球赤道またはその近傍において循環することができる。
【0039】
結晶製のWGM共振器は、溶融シリカ製のWGM共振器よりも光学的に優れている。結晶質CaF
2製のWGM共振器は、10
10以上のQ係数を提供することができる。このような高いQ値により、多様な用途が可能になる(例えば、カー非線形効果に起因するキロヘルツ光共振および低閾値光ハイパーパラメトリック発振の発生)。以下の記載において、先ず結晶性WGM共振器のジオメトリの例について説明した後、異なる材料によって構成されたWGM共振器の特性について説明する。以下に説明する例のうちいくつかにおいて、WGM共振器用材料の非線形光特性に加えて、材料は、外部から供給された制御信号(例えば、RF信号)に応答して、電気光学効果も示すことができ、これにより光変調が可能となる。
【0040】
図2A、
図2Bおよび
図3は、3つの例示的なWGM共振器を示す。
図2Aは、球状WGM共振器100を示す。球状WGM共振器100は、固体の誘電体球である。球100は、平面102内において赤道を有する。平面102は、z軸101周りにおいて対象である。平面102の外周は円形であり、平面102の断面は円状である。WGモードは、球状外面内の赤道周囲において存在し、共振器100内において循環する。赤道平面102周囲の外面の球曲率により、z方向およびそれに垂直な方向双方に沿って空間的制限が提供され、これによりWGモードがサポートされる。球100の偏心度は概して低い。
【0041】
図2Bは、例示的な回転楕円体微小共振器200を示す。この共振器200は、(軸方向長さaおよびbの)楕円を、短楕円軸101(z)に沿って対称軸周りに回転させることにより、形成することができる。よって、
図2A中の球状共振器と同様に、
図2B中の平面102も、円形の外周および円形の断面を有する。
図2A中の構成と異なり、
図2B中の平面102は、回転楕円体の短楕円体軸周りの非球状回転楕円体の円形断面である。共振器100の偏心は(1−b
2/a
2)
1/2であり、概して高い(例えば、10
−1よりも高い)。そのため、共振器200の外面は、球の一部ではなく、球状外部の場合よりも、z方向に沿ったモードでの空間的制限を増加させることができる。より詳細には、Zを含む平面(例えば、zyまたはzx平面)内のキャビティーのジオメトリは楕円である。共振器200の中心における赤道平面102は、軸101(z)に対して垂直であり、WGモードは、共振器200内の平面102の外周の近傍において循環する。
【0042】
図3は、別の例示的なWGM共振器300を示す。WGM共振器300は、非球状外部を有し、その外部外形は概して円錐形状であり、デカルト座標の二次方程式によって数学的に表すことができる。
図1および
図2中のジオメトリと同様に、この外面により、平面102内の方向および平面102に対して垂直なz方向において曲率が得られ、WGモードが制限およびサポートされる。このような非球状の非楕円表面は、例えば放物線または双曲線であり得る。
図3中の平面102は円形断面であり、WGモードが赤道中の円周囲に循環する点に留意されたい。
【0043】
図2A、
図2Bおよび
図3中の上記の3つの例示的なジオメトリは全て、WGモードが平面102内において循環する軸101(z)周りにおいて、軸方向または円筒状に対称であるという、共通的なジオメトリ特徴を有している。曲線状の外面は、平面102の周囲において平滑であり、平面102の周囲における二次元制限を提供し、これによってWGモードをサポートする。
【0044】
顕著なことに、各共振器内におけるWGモードのz方向101に沿った空間的範囲は、平面102の上下方向において制限されるため、球100、回転楕円体200、または円錐形状300の全体を設ける必要は無い場合がある。その代わりに、形状全体のうちウィスパリングギャラリーモードをサポートするのに充分な大きさの一部のみを平面102の周囲に設けることにより、WGM共振器を形成することができる。例えば、球の適切な一部から形成されたリング、ディスクおよび他のジオメトリを球状WGM共振器として用いることができる。
【0045】
図4Aおよび
図4Bは、ディスク状のWGM共振器400と、リング状のWGM共振器420とをそれぞれ示す。
図4Aにおいて、固体ディスク400は、中央平面102上方の上面401Aと、平面102下側の下面401Bとを有し、上面401Aと下面401Bとの間は距離H離間している。距離Hの値は、WGモードをサポートできる程度に充分に大きい。中央平面102の上方のこの充分な距離を超えて、共振器は、
図3、
図4Aおよび
図4Bに示すような先鋭縁部を持ち得る。外部曲線状表面402は、所望のWGモードおよびスペクトル特性を達成するように、
図1、
図2および
図3に示す形状から選択することができる。
図4B中のリング共振器420は、
図4A中の固体ディスク400から中央部410を除去することにより、形成することができる。WGモードは外面402の近傍のリング420の外部近傍に存在するため、リングの厚さhをWGモードをサポートできる程度に充分に大きく設定することができる。
【0046】
光カプラは、エバネッセント結合によって光エネルギーをWGM共振器中へ、またはWGM共振器中から外部へ結合させる際に用いられることが多い。
図5Aおよび
図5Bは、2つの例示的な光カプラがWGM共振器へ係合する様子を示す。光カプラは、所望の臨界結合が得られるように、共振器外面と直接接触させてもよいし、共振器外面から隙間を空けて配置してもよい。
図5Aは、WGM共振器のためのカプラとしての角度研磨されたファイバ先端を示す。角度付きの端面を有する導波管(例えば、平面導波管または他の導波管)も、カプラとして用いてもよい。
図5Bは、WGM共振器のためのカプラとしてのマイクロプリズムを示す。他のエバネッセントカプラも利用可能である(例えば、フォトニックバンドギャップ材料から形成されたカプラ)。
【0047】
WGM共振器を用いることにより、光子を小体積中に長期間にわたって有効に閉じ込めることができる。そのため、WGM共振器は、基礎研究および実際のデバイスの双方において、広範な用途において用いられている。例えば、WGM共振器は、原子光保存の代替策として線形光学を用いた光保存のために用いることができ、あるいは、原子ベースの低速光実験の代替策として、調節可能な光遅延線のために用いることも可能である。他にも、WGM共振器は、光フィルタリングおよび光電子発振器のために用いることもできる。
【0048】
結晶性WGM共振器のうち、キロヘルツ範囲の共振帯幅を室温において有し、かつ高共振コントラスト(50%以上)を有するものは、高性能光ネットワークへの集積化において有望である。モード体積が小さくまた単一光子共振も極めて狭いため、小型ブロードバンド非線形感受率に基づいて、多様な低閾値非線形効果をWGM共振器において確認することができる。一例として、我々は、より小体積の高Qシリカ微小球として既述した、結晶性共振器の熱光学不定度の観察について以下に説明する。
【0049】
光非線形挙動を示す高QWGM共振器の作製のための非線形材料の一例として、フッ化カルシウム(CaF
2)がある。この材料が多様な用途において有用である理由として、193nmおよび157nmにおける紫外線リソグラフィー用途における用途がある点がある。幅広アパチャ光学に適したこの材料の超高純度結晶が生成され、市販されている。CaF
2中の散乱についての最近報告された測定によれば、193nmにおいてI=3x10
−5cm
−1であり、10
13のレベルにおけるQ制限に対応する近赤外線帯において極めて小さな散乱を予測することができる。
【0050】
この波長における格子吸収は、中赤外線多フォノン縁部の位置から予測することができ、さらに低いQ制限が得られる。残留ドーピングおよび不定比性に起因して、散乱および吸収双方が得られ、実際の共振器中のQが低下する。Q制限のさらなる原因として、研磨技術に起因する残留表面の不均一性に起因する散乱がある。従来の光学研磨品質の限界(平均粗さs=2nm)において、WGM表面散乱の導波路モデルに基づいた推定は、Q
~10
11である。
【0051】
フッ化カルシウムおよびLiNbO
3、LiTaO
3およびAl
2O
3製のいくつかの他の結晶質材料によって作成されたWGM共振器について調査し、これらの材料の品質係数を測定した。CaF
2共振器の作製は、円筒状母材のコア穿孔と、母材リムの回転楕円体ジオメトリ状への研磨とにより行った。作製された共振器の直径は4〜7ミリメートルであり、厚さは0.5〜1mmであった。作製されたフッ化カルシウム共振器のQ係数は、約2x10
10であった。
【0052】
Qの測定は、プリズム結合方法を用いて行った。固有のQを、アンダーカップリングレジーム中で観測された共振の帯域幅から測定した。共振器中の屈折率は異なるため、シリカ(n=1.44)およびフッ化カルシウム(n=1.43)用にBK7ガラスプリズム(n=1.52)を用い、ニオブ酸リチウム(n=2.10、2.20)用にダイヤモンド(n=2.36)を用い、サファイア(n=1.75)用にニオブ酸リチウムプリズム(n=2.10)用いた。光源として、760nmの拡張キャビティーダイオードレーザーと、1550nmの分散型フィードバック半導体レーザーと、1319nmの固体YAGレーザーを用いた。
【0053】
高Q非線形WGM共振器を用いて、低閾値光ハイパーパラメトリック発振を実現することができる。材料のカー非線形性によって発生する共振増強四波混合に起因して、発振が発生する。共振器モードの狭帯域幅および高効率の共振周波数変換に起因して、発振により、ポンプの安定した狭帯ビート(うなり)、信号、およびアイドラー波が発生する。このプロセスの理論モデルについて説明する。
【0054】
低光レベルにおける効率的な非線形光相互作用の実現は、非線形光学の発端からの主な目標の1つである。光共振器は、この目標達成に大きく貢献する。なぜならば、小体積中に光を長期間閉じ込めることにより、非線形光相互作用が増加するからである。光ウィスパリングギャラリーモード(WGM)共振器は、この目的に特に適している。高品質係数(Q)および小モード体積により、アモルファス材料製のWGM共振器における低閾値レーザー発振の観測および効率的な非線形波混合が既に得られている。
【0055】
ファイバ光学における変調不安定性として現れる光ハイパーパラメトリック発振は、材料の低い非線形性によって妨害されることが多いため、光ハイパーパラメトリック発振の観測のためには、高出力光パルスが必要となる。CaF
2の非線形性は溶融シリカよりもさらに低いものの、低出力連続波ポンプ光を用いて、共振器の高Q(Q>5X10
9)から、共振器モード間の強い非線形相互作用を観測することができた。この相互作用に起因して、新たな場が発生した。
【0056】
高速フォトダイオード上におけるポンプと発生したサイドバンドとの混合によって得られたマイクロ波信号の周波数は安定しており、自己位相および相互位相変調効果に起因して発生し得る周波数シフトがない。逆に、例えばコヒーレントな原子媒体においては、相互位相変調効果(ac Starkシフト)に起因する周波数不整合を補償するよう、発振周波数がシフトする。我々のシステムにおいては、発振周波数はモード構造によって与えられるため、記共振器寸法の変更により発振周波数を調節することができる。アモルファス材料および液体によって作製された共振器と異なり、高Q結晶性共振器により、三次非線形プロセスと、高純度のハイパーパラメトリック発振信号の観測との区別が容易になる。その結果、ハイパー発振器は、全ての光二次周波数リファレンスの用途において有望となる。
【0057】
ハイパーパラメトリック発振は、誘導ラマン散乱(SRS)および他の非線形効果によってマスキングすることができる。例えば、WGMシリカ微小共振器を用いたSRS実験における光学ポンピング線近傍における二次線の観測は、(媒体の電子カー非線形性に基づいた4光子パラメトリックプロセスというよりは)ポンプと、共振器中に発生した2つのラマン波との間の四波混合として解釈することができる。多様な誘導非線形プロセス間の相互作用についても観測されており、これを液滴球状微小キャビティーにおいて調査した。
【0058】
偏光選択則をWGMのジオメトリ選択則と共に用いることにより、結晶性WGM共振器中の結晶の電子非線形性のみに起因して発生する非線形プロセスの観測が可能になる。対称軸に対して円筒対称性を有するホタル石WGM共振器について検討する。立方昌系結晶中の屈折率の線形指数は均一かつ等方性であるため、モードについての一般的記述が共振器についても有効である。WGMのTEおよびTMファミリの偏光方向は、対称軸に対してそれぞれ平行および直交である。光学ポンピング光がTEモードへ送られると、ラマン信号を同一モードファミリにおいて生成することができなくなる。なぜならば、立方昌系結晶(例えば、CaF
2)中には、三重縮退したラマン−活性振動が対称なF
2gで1つだけ存在するからである。最後に、超高Qの結晶性共振器において、材料およびジオメトリ分散に起因して、ラマン離調周波数における自由スペクトル範囲(FSR)の値は、搬送波周波数におけるFSRと(モードスペクトル幅を超える量だけ)異なる。そのため、ラマン信号と搬送波との間の周波数混合が大きく抑制される。TEモードファミリにおける電界生成は電子非線形性のみに起因し、ラマン散乱はTMモードにおいて発生する。
【0059】
以下の3つのキャビティーモードについて検討する:ポンプレーザーによる共振に近い1つのキャビティーモード、および生成された光サイドバンドによる共振に近い2つのキャビティーモード。キャビティー内の場の低速振幅について、以下の方程式を用いて、分析を開始した。
式中、n
2は、光非線形性の強度を特徴付ける光学定数である。n
oは、材料の線形屈折率である。Vはモード体積であり、cは、真空中の光速度である。この結合定数を導出することにより、我々は、これらのモードのジオメトリはほぼ重複していると仮定した。このような重複は、これらのモード間の周波数差が小さい場合に当てはまる。力F
oは、システムの外部ポンピングがF
o=(2K
oP
o/w
o)
1/2であることを示す。ここで、P
oは、外部から付加されたモードのポンプ出力である。
【0060】
簡潔にするため、これらのモードが同一である(すなわち、K
+=K
_=K
o)と仮定する。この仮定は、実際の共振器を用いた観測によって正当化される。その後、(1)〜(3)の定常状態における解を解くことにより、発生した場の発振周波数が発見される。
すなわち、ビート周波数は、共振器モード間の周波数差のみに依存し、ポンピングモードからの光出力またはレーザー離調には依存しない。その結果、電子周波数同期回路は、ポンプレーザーの搬送波周波数を変化させるが、ポンピングレーザーのビートの周波数および生成されたサイドバンドを変化させない。
【0061】
閾値光出力を、キャビティー内の場の低速振幅についての1組の3つの方程式の定常状態解から得ることができる。
ここで、数値ファクター1.54は、発振閾値に対する自己位相変調効果の影響によるものである。我々の実験における閾値の理論値は、P
th≒0.3mWであり、ここで、n
o=1.44は材料の屈折率であり、n
2=3.2X10
−16cm
2/Wはフッ化カルシウムの非線形係数であり、V=10
−4cm
3はモード体積であり、Q=6x10
9であり、Σ=1.32μmである。
【0062】
上記の方程式から、モード体積の低下と共に、パラメトリックプロセスの効率が増加することが分かる。比較的大きなWGM共振器を用いた理由は、作製上の便宜のためである。共振器サイズを小型化した場合、発振閾値を大幅に低下させることができる。モード体積はおよそV=2πΣR
2と見積もられるため、半径Rを1桁分低減した場合、パラメトリックプロセスの閾値は2桁分低減する。そのため、WGM共振器を原子コヒーレンスに基づいた発振器と同クラスのものとして用いることが可能になる。しかし、原子発振器中のサイドバンド間の周波数差と異なり、WGM発振器の周波数は、出力(ac Stark)シフトが無い。
【0063】
システムの量子力学的挙動を記述するランジュバン方程式に基づいた分析を行ったところ、原子コヒーレント媒体中のハイパーパラメトリックプロセスの低位相拡散と同様に、ビートの位相拡散は小さいことが分かった。発振閾値に近く、位相拡散係数は、以下のようになる。
【0064】
我々の実験から、上記3つの相互作用モードを超える数のモードが、プロセスへ関与することが可能である。参加モードの数は、共振器中のモード間隔の変化によって決定される。一般的に、共振器のモードは、材料の二次分散およびジオメトリ分散に起因して、等距離にならない。ここで、我々は、D=(2w
o−w
+−w_)/K
oを導入して、共振器の二次分散を考慮に入れた。|D|≧1である場合、これらのモードは等距離ではないため、複数の高調波生成が不可能となる。
【0065】
WGM共振器の主要モードシークエンスのジオメトリ分散は、半径Rの共振器については、D
~0.41c/(K
0Rn
0m
5/3)であり、ω
+、w
0およびω
_は、共振器のm+1モード、mモードおよびm−1モードと仮定される(w
mRn
wm=mc,m>>1)。R=0.4cm、K
0=2X10
5rad/s、m=3X10
4の場合、D=7X10
−4が得られ、我々の場合のジオメトリ分散は比較的小さい。しかし、材料の分散は充分に大きい。Sellmeier分散式を用いてポンプレーザー波長においてD
~0.1を得た。これは、約3つのサイドバンド対をシステムにおいて生成することができることを意味している(実験においては、2つのみが確認された)。
【0066】
さらに、我々の実験におけるラマン信号の不在は、媒体の有効ラマン非線形性が先行して測定された値よりも低いことを示す。数に基づいた理論的推定によれば、ラマンおよびハイパーパラメトリックプロセス双方の場合において、ほぼ等しいポンプ出力閾値が予測される。SRS閾値用に導出された式P
R~p2n
02V/GS
2Q
2((式中、G
~2X10
−11cm/WはCaF
2についてのラマン利得係数である)を用いて、CaF
2製の任意の共振器についてP
th/P
R≒1を推定する。しかし、上記したように、実験においてSRS信号は全く観察されなかった。
【0067】
よって、ポンピング光と材料とが長時間相互作用するため、CaF
2の三次非線形性が小さい場合でも、狭帯光サイドバンドの生成を効率的に行うことができる。このプロセスは、新規の種類の全光周波数リファレンスの実証に用いることが可能である。さらに、これらの発振は、スクイーズド光の発生源として有望である。なぜならば、ハイパーパラメトリックプロセスにおいて生成されたサイドバンド光子対には、一般的に量子相関があるからである。
【0068】
フォトニックマイクロ波発振器は、明確に規定されかつ安定したビート信号を生成するための多色光の生成およびその後の復調に基づいて、構築することができる。非線形WGM光共振器に基づいたハイパーパラメトリック発振器を用いて、超安定マイクロ波信号を生成することができる。このようなマイクロ波発振器の場合、サイズが小さい点および入力電力が低い点において有利であり、マイクロ波信号を任意の所望の周波数において生成することができる。この任意の所望の周波数は、共振器のサイズによって決定される。
【0069】
ハイパーパラメトリック光発振は、ポンプビーム中の2つのポンプ光子を1つの信号光子および1つのアイドラー光子へ変化することによる、2つのポンプ、信号、およびアイドラー光子間の四波混合に基づいている。この混合を行うことにより、ポンピング波を費やした真空ゆらぎから、信号およびアイドラー光サイドバンドが成長する。高フィネスWGM中の高キャビティー内強度により、4光子プロセス(例えば、hω+hω→h(ω+ωM)+h(ω-ωM))に基づくχ(3)を得ることができる。式中、ωは、外部ポンピングの搬送波周波数であり、ωMは、共振器の自由スペクトル範囲によって決定されるωM≒ΩFSRである。プロセスのカスケードおよび複数の等距離信号およびアイドラー高調波(光コム)の生成も、この発振器において可能である。発振器の光出力の復調を高速フォトダイオードによって行うことにより、周波数ωMにおける高周波数マイクロ波信号が生成される。信号のスペクトル純度は、WGMのQ係数および生成された信号およびアイドラーの光出力の増加と共に増加する。発振のポンピング閾値は、超高Q係数を有する共振器のマイクロワットレベルと同程度に小さくすることができる。
【0070】
ハイパーパラメトリック発振の直接的な適用を妨害する問題がいくつか存在する。これらの問題のうち1つは、WGM共振器から出ていく光信号がほとんど位相変調されているという事実に関連する。そのため、高速フォトダイオード上で信号を直接検出しても、マイクロ波は生成されない。この相違を回避するために、非線形WGM共振器を、さらなる遅延線が干渉計の別のアームに配置されたマッハツェンダー干渉計のアーム内に配置することができる。これら2つのアームからの光の光学干渉により、位相変調信号を振幅復調信号へ変換することができ、この振幅復調信号を光検出器によって検出することにより、マイクロ波信号を生成することができる。
【0071】
図6は、RFフォトニック発振器内の非線形WGM共振器の一例を示す。レーザー1を用いて、レーザー光を非線形WGM共振器100中へ方向付ける。光カプラ3を用いて、WGM共振器100からの出力光を、デバイスのRF出力の生成のために、デバイスの光出力と、フォトダイオード4への別のビームに分割する。この特定のRF発振器において、外部RFループは存在しない。発振器は、いくつかの光高調波をアクティブ光微小共振器内において生成する。高速フォトダイオード4上において高調波を復調することにより、RF信号を生成する。このようなデバイスを用いて、多様なデバイスを構築することができる(例えば、ハイパーパラメトリック発振器、モード同期(ラマン)レーザー、光学機械発振器、高度非縮退RF光パラメトリック発振器)。これらのデバイスは、光ポンプからエネルギーをとることにより、光ポンプの周波数とわずかに異なる周波数で光高調波を生成する。復調された光信号は、安定したRF信号の発生源となる。
【0072】
図7は、光干渉計構成内のハイパーパラメトリックマイクロ波フォトニック発振器の一例を示す。この光干渉計構成は、非線形WGM共振器630を有する第1の光経路611と、長い遅延線を有する第2の光経路612とを有する。レーザー601からの光は、分割されて2つの経路611および612中へ進入する。2つの結合プリズム631および632または他の光カプラを用いることにより、共振器630を第1の光経路611へと光学的に結合させることができる。共振器630の出力光が結合プリズム632後のシングルモードファイバ中に収集され、光遅延線からの光と組み合わされる。組み合わされた光がフォトダイオードPD650へ送られると、結合プリズム632は、ビート信号を低ノイズの狭帯マイクロ波信号として生成する。信号増幅器660およびスペクトルアナライザ660は、フォトダイオード650の下流において用いられ得る。
【0073】
図8は、ハイパーパラメトリックマイクロ波フォトニック発振器の一例を示す。この例において、発振器は、(
図7中の上記干渉計構成における遅延を用いること無く)マイクロ波信号を生成することができる。その結果、デバイスのパッケージングが簡略化される。
【0074】
図9に示す発振器において、レーザーダイオード601は、WDM非線形共振器630へ光学的に結合された光結合要素CP1(631、例えば、結合プリズム)へ直接結合される。第2の光結合要素CP2(632、例えば、結合プリズム)は、共振器630へと結合されて、光出力を生成する。フォトダイオードPD650は、CP2に結合されて、フォトダイオード650によって受信された光出力を低ノイズRF/マイクロ波信号へ変換する。
【0075】
光遅延線またはOEOループを用いていない上記の構成は、共振器内において発生する単一のサイドバンド四波混合プロセスに基づく。単一のサイドバンド信号は、フォトダイオード上にマイクロ波信号を生成させるための干渉技術を全く必要としない。
【0076】
ハイパーパラメトリック発振器は、光検出器の出力において生成されたマイクロ波信号の高スペクトル純度を生成する。これらの信号の位相ノイズを測定したところ、これは限定されたショットノイズであり、位相ノイズフロアは少なくとも−126dBc/Hzレベルに到達し得ることが判明した。スペクトル純度の向上のために、発振器を過飽和させ、光コムを生成することができる。光コムの復調によって生成されたマイクロ波信号は、単一のサイドバンド発振器と比較して高いスペクトル純度を有する。光コムは、システム内におけるモデル同期に対応し、その結果、同相同期光高調波が発生し、短光パルスが生成される。光パルス列を持続時間tおよび繰り返し率Tで復調することによって得られたマイクロ波信号の位相ノイズは、以下によって得られる出力スペクトル密度を有するショットノイズによって得られることが分かった。
式中、ω
0は光ポンプ周波数であり、P
aveは、生成されたパルス列の平均光出力であり、αは、往復光損失である。よって、パルスが繰り返し率と比較して短いほど、位相ノイズも小さくなる。一方、T/tは、コムN内のモード数にほぼ等しいことが分かった。よって、1つまたは2つのサイドバンドを有する通常のハイパーパラメトリック発振器と比較して、コムの(N^2)位相ノイズがずっと小さくなることが予測される
【0077】
三次非線形性を有する非線形WGM共振器(例えば、CaF
2WGM共振器)を用いて、調節可能な光コム生成器を構築することができる。CaF
2WGM共振器を用いて、光コムを25mGHz周波数間隔(mは整数)で生成した。選択されたWGM周波数についてポンプレーザーの搬送波周波数の適切な離調を選択することにより、この間隔(数m)を制御可能に変更した。高速フォトダイオードによる光コムの復調を用いて、コム繰り返し周波数またはコム間隔において高周波数マイクロ波信号を生成することができる。生成された25GHz信号の線幅は、40Hz未満であった。
【0078】
このようなコム生成器は、ポンプレーザービームを生成するレーザーと、非線形WGM共振器と、ポンプレーザービームを非線形WGM共振器内へ結合し、さらに、非線形WGM共振器の外部への光を結合させる光結合モジュールとを含む。光コムの周波数の調節は、ポンプレーザービームの周波数の調節によって達成することができる。ポンプレーザーを非線形WGM共振器へ同期し、ポンプレーザーの同期状態を制御することにより、コム間隔を調節することができる。
【0079】
WGM共振器が低入力レベルにおいて光学的にポンピングされ、ポンピング出力がハイパーパラメトリック発振の閾値に近づくと、光コムは生成されず、誘導ラマン散乱(SRS)およびFWMプロセスの競合が観測された。我々の試験において用いられたWGM共振器は、高QWGMの複数のモードファミリを有していた。基本モードシークエンスに属するモードの直接ポンピングを行った場合、SRSの閾値がFWM発振プロセスの場合よりも低いことが判明した。これは、予期しなかった結果である。なぜならば、同一パラメータを有するモードにおいて、SRSプロセスは、ハイパーパラメトリック発振と比較して、若干低い閾値を有するからである。この相違の原因としては、モードファミリが異なれば、モード中の場分布によって得られる品質係数も異なり、カプラ位置も異なる点がある。試験設定については、より高次の横モードと比較してWGMの基本シークエンスのQ係数がより低く(またはローディングがより高く)なるような設定にした。モードの体積Vがより高い場合でも、SRSプロセスは、より高いQモードにおいて開始する。これは、SRS閾値出力がVQ
2に逆比例するためである。
【0080】
基本モードシークエンスのポンピングをより大きな光出力によって行った場合、ハイパーパラメトリック発振がSRSと共に発生する場合が多い。
図10は、基本モードシークエンスに属するモードへポンピングされたCaF
2共振器内において観測された光搬送波およびハイパーパラメトリック発振から約9.67THzにおいて測定されたSRS周波数スペクトルを示す。線の構造を、スペクトル下側の挿入によって示す。ロードされた品質係数Qは10
9であり、モードへ送られたポンプ出力は8mWであった。試験の結果、ハイパーパラメトリックプロセスおよびSRSプロセスはより高いQモードにおいて開始することが判明した。これらのプロセスに関与したモード間の周波数分離は、共振器のFSRよりもずっと小さく、モードは明らかに横方向である。この点も、SRS光と搬送波との間にFWMが無いことを説明できる。
【0081】
FWMによって生成された光子対は、
図10に示すようにポンプ周波数から約8THzだけ離れている。その理由として、CaF
2のゼロ分散点が1550nm近傍に存在する点がある。このようなポンプから遠く離れた光子対が生成されることにより、WGM共振器ベースのハイパーパラメトリック発振器を量子通信および量子暗号ネットワークに対して非常に適したものとすることが可能になる。発振器により、χ(2)下方変換プロセスに基づいた従来の二光子源と対照的に、光子対が通信ファイバ内に送り込まれた際に発生する高い結合損失を回避する。さらに、搬送波周波数と数テラヘルツで離隔している狭帯光子の無損失分離も容易に可能である。
【0082】
実行した試験において、ポンプ出力が発振閾値をはるかに超えて増加した際、光コムが生成された。レーザーの周波数を高Q横WGMへ同期した際、安定した光コムが生成された。このようにして、SRSプロセスと比較して閾値が低いハイパーパラメトリック発振が観測された。さらに、光ポンプ出力が大幅に増加した場合も、光コム線の高速成長により、SRSプロセスは開始しなかった。
【0083】
図11は、共振器を1550nm光の10mWによってポンピングした際に観測されたハイパーパラメトリック発振の例を示す。スペクトル(a)および(b)は、WGM共鳴周波数からのポンプの異なる離調に対応する。測定されたスペクトル(a)は、25GHzだけ分離した搬送波および第1のストークスサイドバントによって、12.5GHz周波数における光子を生成した場合の光子加算プロセスの結果を示す。このプロセスは、高密度WGMによって可能であり、単一のモードファミリ共振器中において禁止されている。
【0084】
コムの成長は、いくつかの特性を有する。いくつかの場合において、
図11に示すように、信号およびアイドラーサイドバンドの成長において大きな非対称性が存在した。この非対称性は、対称サイドバンドの生成を予測するハイパー−パラメトリック発振の通常の理論では説明されない。これを説明可能な1つの理論として、共振器の高モード密度がある。実験において、レーザーは、単一のモードをポンピングするのではなく、ほぼ縮退したモードクラスターをポンピングする。横モードファミリは光学的に異なるジオメトリ分散を有するため、クラスター形状も周波数と共に変化し、各モードファミリは、固有のハイパーパラメトリック発振をもたらす。これらの発振の信号モードおよびアイドラーモードはほぼ縮退しているため、これらは相互に干渉することができ、干渉に起因して、搬送波のいずれかの側部上において、サイドバンド抑制が発生する。その結果、我々の試験において観測された「単一のサイドバント」発振が発生する。干渉したコムは独立したものとしてみなされるべきではない。なぜならば、コム復調によるマイクロ波信号の生成において示されるように、生成されたサイドバンドは明確に区別できる位相従属性を有するからである。
【0085】
図12は、(a)出力50mWのポンプレーザービームによってポンピングされたCaF
2WGM共振器によって生成された光コムと、(b)(a)における測定の中央部分の拡大とを示す。生成された光コムは、共振器の1つのFSRおよび4つのFSRに等しい2つの明確な繰り返し周波数を有する。
図13は、レーザー同期のレベルおよび位相を変更した場合の
図12に示すコムの変更例である。
図13(b)は、
図13(a)における測定の中央部分の拡大を示す。
【0086】
ポンプ出力がさらに増加して、単一のサイドバンド発振が発生するポンプ閾値を超えた場合、信号およびアイドラー高調波の相互作用はより顕著となる。
図12および
図13は、周波数スパンが30THzを超えた場合に観測されたコムを示す。コムのエンベロープが変調されており、この変調の理由は、
図13(b)から推測することができる。このコムは、周波数とともに形状が変化するモードクラスターにわたって生成される。
【0087】
上記した非線形WGM共振器ベースの光コム生成器は調節可能であり、コム繰り返し周波数の制御可能な調節は、ポンプレーザーの周波数を変更することにより、達成することができる。他の実験条件は不変のままにしておき(例えば、共振器の温度および光結合)、レーザー同期のレベルおよび位相を変更することにより、コム周波数間隔を変化させることができる。
図11〜
図13に示す測定により、調節の例が得られる。非線形WGM共振器ベースのコム生成器のこの調節能力は、多様な用途において有用である。
【0088】
非線形WGM共振器ベースのコム生成器の別の特徴として、光コムの異なるモードがコヒーレントである点がある。このようにして生成されたカー(ハイパーパラメトリック)周波数コムの復調は、高速フォトダイオードによって直接検出することができ、これにより、高周波数RFまたはマイクロ波信号がコム繰り返し周波数において生成される。これは必然的に導かれる結果であり、コム線がコヒーレントであることを示す。信号のスペクトル純度は、WGMのQ係数、生成されたサイドバンドの出力およびコムのスペクトル幅の増加と共に増加する。高速フォトダイオードの出力は、RFまたはマイクロ波ビート信号であり、コム中の異なるスペクトルコンポーネント間のコヒーレントな干渉に起因して発生する。コムのコヒーレント特性を示すために、一次周波数間隔が25GHzであるコムを光帯1480〜1640nmで、高速40GHzフォトダイオード中へと方向付けた。
図14は、40GHzフォトダイオードによって記録されたマイクロ波ビート信号出力を示す。
図14(a)は、信号を対数スケールによって示し、
図14(b)は、同じ信号を線形スケールによって示す。
図14(c)は、40GHzフォトダイオード中へ方向付けられた光コムのスペクトルを示す。マイクロ波線の線形フィッティング結果は、生成されたマイクロ波ビート信号の線幅が40Hz未満であることを示し、ビート信号の高コヒーレンス性を示す。この実験において用いられるマイクロ波スペクトルアナライザ(Agilent8564A)は、10Hzビデオ帯域幅を有し、平均化は行わず、内部マイクロ波減衰は10dBである(実際のマイクロ波ノイズフロアは1桁小さい)。光信号の光ポストフィルタリングは行わなかった。
【0089】
図14はまた、マイクロ波信号が不均一に40Hzまで拡大していることを示す。ノイズフロアは、測定帯域幅(約4Hz)に対応する。この拡大は、ポンプレーザー搬送波周波数に対するWGM共振周波数の熱屈折ジッターに起因して発生する。この試験において用いられる8kHz変調に基づいたレーザー同期回路は、このジッターを補償するほどには充分に高速ではない。より高速の同期(例えば、10MHz)を用いれば、より狭帯域幅のマイクロ波信号の測定が可能となる。
【0090】
図14(c)におけるマイクロ波生成において用いられるコムは、非対称な形状を有する。
図12および
図13中のほぼ対称のコムと異なり、このコムは、搬送波の青色側へとシフトしている。
図14(c)中のコムを生成するために、レーザーを基本モードシークエンスに属するモードのうちの1つへ同期した。
図10中におけるようなより低いポンプ出力のための2つのモード発振プロセスは、ポンプ出力の増加と共に等距離コムへと変化したことが観測された。SRSプロセスは抑制された。
【0091】
異なる試験において、外部変調光信号を光ポンプとして非線形WGM共振器へと送った。
図15は、非線形WGM共振器の光出力中に測定されたカオス発振を示す。共振器を、25786kHzにおいて変調されかつ出力50mWを有するレーザー光によって1550nmにおいてポンピングした。生成されたスペクトルは、cwポンプされた共振器によって生成されたスペクトルよりも顕著に拡大しておらず、これらのモードは等距離ではない。
【0092】
よって、WGM結晶性共振器を光学的にポンピングすることにより、光周波数コムを生成し、これにより、共振器のFSRに対応する調節可能なコム周波数間隔を提供することができる。これらのコムは、大きなスペクトル幅(例えば、30THzを超えるもの)と、モードの良好の相対的コヒーレンスとを有する。生成されたコムの特性は、光ポンプされたモードの選択と、共振器へのレーザー同期のレベルおよび位相とに依存する。
【0093】
WGM共振器中の光三次非線形性を用いた光コムの上記した生成は、レーザー同期を用いて、生成された光コム信号の周波数を安定させることができる。Pound−Drever−Hall(PDH)レーザーフィードバック同期方式を用いて、非線形WGM共振器へのポンプ光を生成するレーザーを同期させることができる。PDH同期は、共振器の光結合を用いて電気制御信号を生成し、レーザーを共振器へと同期するフィードバック同期回路に基づいたレーザー同期技術の一例である。同期のレベルおよび位相は、発振共振器および非発振共振器で異なる。レーザー同期周波数が発振閾値を超えて増加した場合、同期が不安定になる。このレーザー同期により、スペクトル純度が高いマイクロ波信号の生成が促進される。試験結果によれば、同期されていないコム信号は、同期されたレーザー(例えば、
図14に示すような40Hz未満)を用いたコム生成器によって生成された線幅の場合よりも、より広い線幅(例えば、約数MHz)を有する傾向となる。
【0094】
Pound−Drever−Hall(PDH)レーザーフィードバック同期の代わりに、WGM共振器または固体リング共振器の内側のレイリー散乱を用いて、レーザーを自己注入同期の形態でこのような共振器へ同期することができる。この注入同期により、レーザーが、適切な位相整合条件下において、レーザー光をレーザーに再度注入することにより、ハイパーパラメトリック周波数コムを生成する非線形共振器へ同期される。位相整合条件を満たすように、非線形共振器からレーザーへのフィードバック光の光位相を調節する。
【0095】
2つのフィードバック機構を用いて、非線形共振器からの光をレーザーへと方向付けて、レーザーを同期することができる。第1のフィードバック機構は、非線形共振器の内側のレイリー散乱を介して生成された信号を用いる。レイリー散乱によって生成された光は、レーザーからのオリジナルのポンプ光の光経路を追随して、非線形共振器からレーザーへと伝搬する。
【0096】
第2のフィードバック機構は、反射器(例えば、非線形共振器の出力光経路に配置された追加的な部分的に透明な鏡)を用いて、非線形共振器へ戻り、その後レーザーへ向かう反射を提供する。
図16は、デバイス1600の一例を示す。デバイス1600は、レーザー1601を非線形共振器1610へと同期する。非線形共振器1610は、リング共振器、ディスク共振器、球状共振器または非球状共振器(例えば、回転楕円体共振器)であり得る。図示のような結合プリズムであり得る光カプラ1620を用いて、光入力を共振器1610へ提供し、共振器1610から光出力を提供する。レーザー1601は、レーザービーム1661を生成し、レーザービーム1661を結合プリズム1620へと方向付ける。結合プリズム1620は、レーザービーム1661をビーム1662として共振器1610中へと結合させる。ビーム1662は、反時計回り方向において共振器1610内で循環する。循環ビーム1662の光は、共振器出力ビーム1663として光カプラ1620によって光学的に結合される。反射器1640は、共振器出力ビーム1663の光経路内において結合プリズム1620の後部に配置され、これにより、共振器出力ビーム1663のうち少なくとも一部を結合プリズム1620へと戻すよう反射させる。光コリメータ1602および1631を用いて、光をコリメートすることができる。反射器1640は部分反射器であってもよく、共振器出力ビーム1663の部分を出力ビーム1664として透過し、共振器出力ビームの一部を返送ビーム1665として反射する。反射器1640は全反射器であってもよく、その場合、ビーム1663の光全てを返送ビーム1665として反射する。フィードバックビーム1665は、逆伝搬ビーム1666として共振器1610中へと結合される。逆伝搬ビーム1666は、結合プリズム1620によってレーザー1601へ向かうフィードバックビーム1667として結合される。フィードバックビーム1667は、レーザー1601に進入し、注入同期を介してレーザーを共振器1610へと同期する。
【0097】
共振器1610からレーザー1601へのフィードバックビーム1667の光位相が注入同期についての位相整合条件を満たす場合、共振器1610内のレイリー散乱または外部反射器1640のいずれかに基づいた非線形共振器1610からの光フィードバックに基づいた上記のレーザー同期を確立することができる。位相制御機構は、レイリー散乱方式のフィードバックビーム1667の光経路内において実装してもよいし、またはフィードバックビーム1667の光位相の調節および制御のための外部反射器1640を用いた方式内の1つ以上のビーム1661、1662、1663、1665、1666および1667の光経路内において実装してもよい。図示のように、この位相制御機構の一実施様態において、反射器1540は可動鏡であり、ビーム1663の光経路に沿って位置を変更するよう制御されることにより、フィードバックビーム1667の光位相を調節することができる。レーザー1601とカプラ1620との間に配置された位相回転子1603あるいはカプラ1620またはコリメータ1631と外部反射器または鏡1640との間に配置された位相回転子1663により、フィードバックビーム1667の位相も調節することができる。また、共振器1610の内側のレイリー散乱および外部反射器1640の双方を用いた統合構成を用いることもできる。構成の選択は、動作条件に依存する(例えば、カプラ1620による共振器1610のロード、共振器1610中のレイリー散乱の強度)。このような同期技術を用いることにより、PDH同期および他の同期設計の利用に関連する技術的困難の回避が可能になる。
【0098】
本文書中に記載されるデバイスおよび技術は、光学処理を用いて、少なくとも2つの光スペクトルコンポーネントを含む光信号を所望の周波数分離によって安定させることにより、光領域中の原子または分子における光学原子遷移または光学分子遷移の高い精度および安定性を達成する。光検出器上の安定な光信号中の2つの光スペクトルコンポーネント間のビートは、RFまたはマイクロ波信号を、原子時計の高い周波数精度または安定性によって生成する。再度
図1Aを参照して、光コム生成デバイスは、レーザー1を非線形WGM共振器100における唯一の光源および非線形光混合として用いて、光コム中の光周波数を生成する。このような2つ以上の光スペクトルコンポーネントは、非線形光共振器を用いた非線形波混合による光コム信号生成を実行することなく、生成することができる。この非線形波混合において、非線形光共振器は、光非線形性を示さない光共振器によって置き換え可能である。例えば、2つのレーザー搬送波周波数における2つの異なるレーザーを、原子周波数リファレンスに同期させることができ、2つのレーザー搬送波周波数の周波数差は、所望のRFまたはマイクロ波周波数へ設定される。
【0099】
図17は、共振器100の2つの異なるモードへ同期された2つの独立なレーザー1および1701を用いたデバイスを示す。本例では、共振器100は、線形WGM共振器である。あるいは、
図1Aに示すような非線形共振器100を用いてもよい。2つのレーザー1および1701は、同一の励起状態を共有する2つの原子遷移とそれぞれ共振する2つの異なる光搬送波周波数において動作するよう調整される。2つのレーザー搬送波周波数は、共振器100のFSRの高調波に等しいまたは高調波そのものであるRF周波数ω
RFによって分離される。レーザー1701からの第1のレーザービームは、第1の光カプラまたはスプリッター1703(例えば、ファイバカプラ)によって2つの第1のレーザービームへ分割される。そのうち1つのビームは、第1の光偏光となるように第1の偏光コントローラ1721へ方向付けられ、別のビームは、任意選択の第1の光学フィルタ1711を介して光共振器100へと方向付けられる。レーザー1からの第2のレーザービームは、第2の光カプラまたはスプリッター1704(例えば、ファイバカプラ)によって2つの第2のレーザービームへ分割される。そのうち1つのビームは、第1の光偏光に直交する第2の光偏光となるように第2の偏光コントローラ1722へ方向付けられる。別のビームは、別の任意選択の光学フィルタ1712を介して光共振器100へと方向付けられる。PBS12は、2つの偏光コントローラ1721および1722から外部へ出ていく2つの直交偏光するビームを組み合わせて、合成ビームを得る。この合成ビームを原子セル20中へと方向付けて、検出器24においてフィードバック信号を生成する。
【0100】
共振器100へ方向付けられた2つのレーザーからの2つのビームは、光カプラ2によって共振器100中へと結合される。光カプラ1705(例えば、ファイバカプラ)は、2つの異なるレーザー搬送波周波数におけるこれらの2つのビームを単一のビームとして組み合わせる。このビームは、光カプラ2によって共振器100中へと結合される。このビームは、RF周波数ω
RFによって分離された2つの異なるレーザー搬送波周波数において2つのスペクトルピークを有し、光カプラ2へと方向付けられる。光カプラ2は、この光を共振器100中へと結合する。2つの光学フィルタ1711および1722は任意選択であり、カプラ2を介して共振器100中へと結合される2つのビームが2つの光学原子遷移に対応する所望の光周波数にあることを保証するために設けられる。
【0101】
2つのレーザー1および1701を用いたこの構成において、光共振器100は、光非線形波混合用の非線形性を示さないパッシブ共振器とすることが可能である。なぜならば、出力5中の2つのレーザー搬送波周波数における光は、RF周波数ω
RFにおけるRF出力を生成するために、フォトダイオード24において相互にビートすることができるからである。あるいは、光共振器100は、ここで、共振器100内で非線形混合およびパラメトリック増幅を発生させ、光コム出力5を生成する非線形材料によって構成することもできる。
【0102】
レーザー1および1701は、適切な同期機構(例えば、光注入同期、PDH同期)を用いることにより、共振器100の異なるモードに同期される。光コムは、2つの搬送波周波数における2つの異なるポンプ間の4波混合を介して生成される。1つのレーザーの他方のレーザーへの位相同期により、安定したRFビートを実現することができる。原子セル20への同期を行うことにより、フォトダイオードにおいて生成されるRF信号の絶対的安定性が得られる。このフォトダイオードは、光出力5を受信する。光出力5は、共振器100が線形共振器である場合は2つの周波数を含む光出力であり、または、共振器100が所望の非線形波混合を提供する非線形共振器である場合は光コムである。
【0103】
フィードバック回路4は、共振器100へのバイアス信号を生成するため、フィードバック信号を用いる。
図1Aと異なり、位相調節デバイス1710は、ディザリング信号をディザリング周波数において信号源3から受信し、バイアス信号をフィードバック回路4から受信するレーザー1の出力に配置される。この位相調節デバイス1710は、偏光コントローラ1722を通過するビームの周波数中のディザーを生成し、これによって、共振器100の周波数のドリフトの方向および量を示すために、検出器24によるフィードバック信号出力の変化を生成する。共振器100の周波数は、このドリフトを低減または最小化するように調節され、これにより、原子リファレンスに対する安定化が達成される。
【0104】
高い原子時計精度または安定性によってRFまたはマイクロ波を生成する際において、単一のレーザーおよび非線形光共振器(例えば、非線形WGM共振器)の利用により、デバイス構造が簡略化される(例えば、2つのレーザーの代わりに単一のレーザーを用いることおよび2つのレーザーを互いに同期させるためのさらなる回路を回避することにより)。
図18〜
図21は、非線形WGM共振器中の光コムの生成と、このような光コムの1つ以上の原子周波数リファレンスへの同期とに基づいたさらなるデバイス構成を示す。
【0105】
図18は、安定性のために、RF超微細遷移の代わりに、光コムを光学原子遷移へ直接同期させる光コム生成デバイスの一例を示す。レーザー1からのレーザー光は、2つのファイバによって搬送される2つのレーザービームへ分割される。そのうち1つのレーザービームは、共振器100のポンピングに用いられ、別のレーザービームは、原子リファレンスにおける光学原子遷移に対するエラー信号を生成するために用いられる。
図1Aおよび
図17と異なり、レーザー搬送波周波数における単一のレーザービームは、原子蒸気セル20を通過するよう方向付けられ、光検出器1822(例えば、低速フォトダイオード)は、原子セル20の光透過を測定するために用いられる。電子プロセッサ回路1824は、原子遷移周波数からのレーザー搬送波周波数の偏差を示すエラー信号を生成するため、光検出器1822の検出器出力を受信するよう設けられる。このエラー信号を用いて、キャビティー制御ユニット1810を作動させる。キャビティー制御ユニット1810は、共振器100の共振(単数または複数)を調節および変調させる。共振器100において、光コムは、非線形波混合およびパラメトリック増幅を介して生成される。よって、コム高調波は、キャビティー制御ユニット1810、およびレーザー1と共振器100と間の注入同期に起因する光共振器100中の変調を介して光学原子遷移へ同期されたレーザーからのポンピング光へ位相同期される。ファイバコリメータ1802は、レーザー光を入力または出力するファイバの端部において用いられる。
【0106】
図18は、キャビティー制御ユニット1810としての圧電コントローラの特定の例を示す。圧電コントローラ1810は、共振器共振を調節するように共振器100へ係合された圧電アクチュエータを含む。レーザー1は、共振器100内で発生するレイリー散乱、熱光学効果または同期回路(例えば、PDH同期)に基づいた注入同期によって、共振器100へ同期される。共振器100の周波数は、圧電光学効果または熱屈折効果のうちいずれかを用いて低速で変調またはディザーされる。共振器100のディザー変調に起因して、レーザー周波数の変調が(共振器100からレーザー1への)フィードバック光を介して行われ、その結果、注入同期が行われる。レーザー周波数または共振器共振のこのディザー変調の結果、原子セル20を通過する光によりエラー信号が生成される(ここに図示していない反射ドップラー自由構成も考えられる)。エラー信号は、電子プロセッサ1824によって電気的に処理され、圧電コントローラ1810中へと返送される。実行された試験において、光WGM周波数の同期/決定精度は、約10Hz/秒(Q=5x10
10)であった。これは、アラン分散約10
−14s
−1/2に対応する。高速フォトダイオード上の変調光によって生成されたRF信号は、同一のアラン分散を有していた。
【0107】
図19は、安定化のために、RF超微細遷移の代わりに、光コムを光学遷移へ同期させる光コム生成デバイスの別の例を示す。レーザー1からのレーザー光のうち一部は、ビームスプリッターBSによって周波数モニタビームへと分割される。周波数モニタビームは、原子セル20を通過するよう方向付けられる。第1低速フォトダイオード1822を用いて、原子セル20の光透過を受信して、第1のエラー信号を生成する。第1のエラー信号は、レーザー搬送波周波数の原子リファレンスからの周波数偏移を示す。第1の同期回路1910は、第1のエラー信号を用いて共振器100を原子リファレンスへ同期させるよう設けられる。図示の例において、第1の同期回路1910は、PDH同期回路であり得る。
【0108】
レーザー1の出力中のBSは、レーザー光を光学変調器1901(例えば、光学マッハツェンダー変調器)へと方向付ける。光学変調器1901は、原子セル20の出力におけるエラー信号を生成するためのレーザービーム上にディザー変調を生成するために、レーザー光を変調する。よって、この光学変調器1901は、
図17中のデバイス1710と同様の役割を果たす。光カプラ2は、別の光カプラ1902によって、デバイスのRF出力を生成する高速光検出器1821に結合される光コム周波数5を生成する非線形波混合およびパラメトリック増幅のために、変調されたレーザービームを、共振器100内へ結合させる。光カプラ2は、第2の低速フォトダイオード1822へと方向付けられた光出力を生成する。第2の低速フォトダイオード1822は、レーザー搬送波周波数の共振器100の共振器モードからの周波数偏移を示す第2のエラー信号を生成する。第2の同期回路1920は、例えばPDH同期回路であり得、レーザー1を共振器100へ同期させるための第2のエラー信号を供給するように設けられる。共振器100は第1の同期回路1910によって原子リファレンスへ同期されるため、第2の同期回路1920はまた、共振器100を介して、レーザー1を原子リファレンスへ同期させる。
【0109】
図20は、
図19中の構成に基づいた別の例を示す。この例において、レーザー1および共振器100は、高速注入同期を介して互いに直接同期される。同期回路1910は、レーザー1および共振器100双方を原子リファレンスへ同期させるために設けられている。同期回路1920は、レーザー1を共振器100へ同期させるために設けられている。同期回路1920は、例えばPDH同期回路であり得る。同期されたレーザー1は、例えば外部キャビティー半導体レーザーによって実施することができ、共振器100の周波数を調節することによって調節することができる。レーザー/共振器の組み合わせは、原子遷移(例えば、87RbD1線)へ同期される。同期を行うため、レーザーの周波数が、WGM共振器の温度変調を介して変調され、エラー信号が、共振器の温度を修正するために返送される。レーザー電流の変化は、共振器の温度も変化させるため、自己注入同期に加えて、同期回路1910からのさらなる(高速)同期ループがレーザー1を制御するために提供される。
【0110】
図20におけるデバイスに対する試験において、原子線は、10
6Hz/K未満の熱ドリフトを有していた。共振器へ同期されたレーザーの周波数は、原子遷移から100kHz以内に保持することができる。WGM周波数は、通常100kHzオーダーであるモードの半値全幅未満でレーザー周波数に対してドリフトし得る。そのため、約100mKのレベルの原子セル20の熱安定性によって、光モードの絶対的長期安定性を100kHzよりも高くすることができる。ω0/FSR=4×10
4である場合、共振器100FSRは、2.5Hzを超えてドリフトしない。そのため、アラン分散によって決定される発振器の予測される短期安定性は、2.5×10
―10(10GHzFSRの場合)のオーダーである。アラン分散は、長期観測時間と共に、τ
―1として低下する。そのため、このデバイスにおいて優れた長期安定性を期待することができる。
【0111】
図21に示す例の光コム生成デバイスは、2つの原子セルを用いて、2つの別個の同期点について2つの原子リファレンスを提供する。光コムの周波数安定性は、2種類の周波数パラメータ(すなわち、光コム中の各スペクトルコンポーネントの周波数および光コム中の2つの隣接するスペクトルコンポーネント間の周波数間隔またはFSR)によって特徴付けられ得る。上記の例においては、単一の原子リファレンスを単一の周波数同期リファレンス点として用いる。異なる光学リファレンス周波数において2つの原子セル2121および2122が存在するため、同期点からの同期安定性の向上が得られる。
【0112】
図21において、レーザー1および共振器100は、注入同期または他の同期方法を介して互いに同期され得る。共振器100からの光コム光出力5は、共振器100内部における非線形光波混合およびパラメトリック増幅に基づいて生成される。この光コム5は、第1のビームスプリッターBS1によって分割され、ここで、ビームの小量の部分は、高速検出器1821へ方向付けられて、RF出力を生成する。第2のビームスプリッターBS2は、BS1からビームを受信し、受信したビームを第1のビームおよび第2のビームに分割する。第1のビームは、第1の任意選択の光バンドパスフィルタ2111を通過するよう方向付けられ、その結果、第1のフィルタされたビームが第1の光周波数において生成され、第2のビームは、第2の任意選択の光学バンドパスフィルタ2112を通過するよう方向付けられ、その結果、第2のフィルタされたビームが第1の光周波数と異なる第2の光周波数において生成される。このデバイスにより、2つの光コム線が、2つの原子セル2121および2122それぞれの2つの異なる原子遷移へ同期される。共振器100において生成された光コム5は、原子セル2121および2122のいくつかの光学線をカバーするはずである。WGM共振器100は、2つの原子遷移の最も近隣の周波数を有する2つのモードを有するように構成される。第1の光検出器2131を用いて、(第1の原子セル2121の第1の原子遷移に対するレーザー周波数または共振器共振の周波数エラーを示す)第1のエラー信号に対応する第1の原子セル2121の光透過を受信する。第2の光検出器2132を用いて、(第2の原子セル2122の第2の原子遷移に対するレーザー周波数または共振器共振の周波数エラーを示す)第2のエラー信号に対応する第2の原子セル2122の光透過を受信する。これらの2つのエラー信号は、フィードバック制御回路2140へと方向付けられる。フィードバック制御回路2140は、ディザー変調を生成するための位相調節デバイス1710への第1のフィードバック信号を生成し、周波数エラー低減のために共振器100を調節するための共振器100への第2のフィードバック信号を生成する。
【0113】
2つの原子周波数リファレンスは、非線形光共振器100のFSRおよび/または光コム繰り返し周波数よりずっと大きな周波数差によって分離され得る。位相調節デバイス1710および調節可能なWGM共振器100に対する2つのフィードバックループを介して
図21中の2つの原子周波数リファレンスにおける周波数同期を行うことにより、レーザー1または共振器100が安定化されるだけでなく、周波数コム繰り返しレートが、2つの原子周波数リファレンス間の周波数差の分率へと同期される。
【0114】
上記の図示のデバイス例は、半導体基板(例えば、シリコンウェーハ)上の平面アーキテクチャとして実施することができる。いくつかの実施様態において、光WGM共振器を多様な構成における基板上に一体的に集積することができる(例えば、光WGM共振器を平面半導体構造上に統合することができる)。光WGM共振器は、光ディスクまたはリング共振器であり得、基板上に集積される。上記の例に記載した光共振器および特定の他のコンポーネントのこのような一体化により、多様な用途において実行することが可能なコンパクトな光電子チップが得られる。
【0115】
この文書中、多数の具体例について記載してきたが、これらの例は本発明の範囲または特許請求の範囲の制限として解釈されるべきではなく、本発明の特定の実施形態の特有の特徴の記載として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈において本文書中に記載された特定の特徴を単一の実施形態において組み合わせて実施することも可能である。逆に、単一の実施形態の文脈において記載される多様な特徴を複数の実施形態において別個にまたは任意の適切な組み合わせで実施することも可能である。さらに、特徴について特定の組み合わせとしておよびさらには最初の特許請求に記載のように機能するものとして上記してきたが、請求項の組み合わせからの1つ以上の特徴を当該組み合わせから実施することも可能であり、請求項に記載の組み合わせをさらなる組み合わせまたはさらなる組み合わせの改変例に用いることも可能である。
【0116】
いくつかの実施様態について開示した。記載の実施様態および他の実施様態の変更例および改良例は、この文書中に記載および図示される内容に基づき得る。