(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検索部は、前記ピークのセットの周波数と前記ピークプロファイルの周波数のセットとの比較に基づいて各ピークプロファイルのための距離の大きさを決定し、前記距離の大きさに基づいて前記マッチングピークプロファイルを選択するように構成される、請求項3に記載の装置。
前記検索部は、前記ピークプロファイルの確率値と前記ピークのセットの周波数とに基づいて各ピークプロファイルのための可能性の大きさを決定し、前記可能性の大きさに基づいて前記マッチングピークプロファイルを選択するように構成される、請求項5に記載の装置。
各ピークプロファイルは、部屋のために計算される固有振動数のセットを有し、前記関連する部屋寸法データは、前記固有振動数を計算するために使用される前記部屋のための寸法の指標を有する、請求項1に記載の装置。
前記ピークプロファイルのうち少なくとも幾つかのための前記関連する部屋寸法は、少なくとも1つの一次元値を有し、前記推定部は、少なくとも1つの一次元値を含めるように前記部屋寸法推定を生成するように構成される、請求項1に記載の装置。
前記ピークプロファイルのうち少なくとも幾つかのための前記関連する部屋寸法は、異なる方向に対応する複数の一次元値を有し、前記推定部は、方向のサブセットにはない少なくとも1つの方向に渡るピークプロファイルのためのマッチング指標の平均化に基づいて前記サブセットのための平均化されたマッチング指標を決定し、前記平均化されたマッチング指標に基づいて前記サブセットの方向のための一次元の部屋寸法推定を決定するように構成される、請求項1に記載の装置。
前記レシーバは、サウンドソース及びマイクロフォンのうち少なくとも1つの異なる位置に対応する複数の音響部屋応答を受信するように構成され、当該装置は、前記複数の音響部屋応答のための組み合わせを実行するように構成される、請求項1に記載の装置。
前記推定部は、前記比較を実行するときに、前記ピークのセットの異なるピーク及び前記ピークプロファイルの異なるピークのうち少なくとも一方を異なるように重み付けるように構成される、請求項1に記載の装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故、部屋寸法を決定するための改良されたアプローチが有利であり、とりわけ、増大されたフレキシビリティ、促進された動作、低減された複雑性、低減されたリソース消費、改良された推定精度及び/又は改良された性能を可能にするアプローチが有利であるだろう。
【0009】
従って、本発明は、上述した欠点の1又はそれ以上を単独で又は任意の組み合わせで緩和、軽減又は除去しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、部屋寸法推定を決定するための装置であって、音響部屋応答を供給するためのレシーバと、周波数間隔において前記音響部屋応答におけるピークのセットを検出するためのピーク検出器であって、前記周波数間隔は、400Hz
未満の上側周波数を有する、ピーク検出器と、
ピークプロファイルのセットを
、関連する部屋寸法データとともに格納するための格納部と、前記関連する部屋寸法データ及び前記ピークプロファイルのセットに対する前記ピークのセットの比較に基づいて前記部屋寸法推定を決定するための推定部とを有する、装置が提供される。
【0011】
本発明は、部屋寸法推定の改良された及び/又は促進された決定を可能にし得る。とりわけ、本アプローチは、多くの実施形態において、より詳細なデータ及び/又はより正確な部屋寸法推定を供給し得る。詳細には、本アプローチは、異なる方向における部屋寸法データ間を区別してもよく、例えば部屋の大きさ又はボリュームの推定を与えることに限定されるものではない。とりわけ、本アプローチは、個々の一次元距離推定の決定を可能にし、とりわけ、複数の斯様な個々の一次元距離推定により部屋を特徴付けてもよい。例えば、長さ及び幅、又は長さ、幅及び高さが、部屋のために個別に推定されてもよい。故に、部屋の特徴付けにおける相当な改善が実現され得る。
【0012】
本アプローチは、低い複雑性の部屋推定を可能にしてもよく、部屋応答から部屋特性を計算するための複雑又は正確な式に依存しない。本アプローチは、部屋特性のバリエーションを自動的に考慮してもよく、典型的には、斯様な音響バリエーションに敏感ではない。例えば、本アプローチは、異なる反響特性を有する部屋において用いられてもよく、音響部屋応答を除く特定の特性の任意の入力又は認識を必要とすることなく自動的に適応してもよい。
【0013】
生成された部屋寸法推定は、オーディオレンダリングシステムの信号処理を適応させるために用いられてもよい。それ故、本アプローチは、レンダリングされたサウンドの向上したオーディオ品質をもたらしてもよい。
【0014】
発明者は、部屋寸法は、音響部屋応答の低周波数間隔におけるピークの特性から推定され得るという洞察を持っている。とりわけ、発明者は、低周波数でのピーク特性が部屋の固有振動数を反映し、これらが部屋寸法を示すことをもたらした。特定のアプローチは、部屋寸法のための改良された推定を与えるためにこれらの洞察を利用してもよい。
【0015】
ピークプロファイルのセットは、異なる特性及び/又は寸法を有する部屋の音響部屋応答に対応する潜在的に多数のピークプロファイルを有し得る。各ピークプロファイルは、音響部屋応答におけるピークの分配の指標を供給してもよい。ピークプロファイルは、測定された音響部屋応答の特性を反映してもよい。ピークプロファイルは、例えば所与の寸法を有する部屋のための固有振動数の計算に基づいて、理論的に導出された値を反映してもよい。ピークプロファイルは、低周波数間隔に限定されてもよい。
【0016】
格納部/メモリは、各ピークプロファイルのための部屋寸法データのセットを格納してもよい。所与のピークプロファイルのための部屋寸法データは、ピークプロファイルにより表される音響部屋応答に対応する部屋のための少なくとも1つの寸法値を有してもよい。詳細には、格納部は、複数の部屋データセットを有してもよい。ここで、各データセットは、異なる部屋に対応する。各部屋データセットは、ピークプロファイルと、関連する部屋寸法データとを有する。ピークプロファイルは、その部屋のための音響部屋応答のためのピーク分配を反映してもよい。関連する部屋寸法データは、部屋のための一次元距離値のセットを有してもよい。詳細には、関連する部屋寸法データは、部屋の異なる方向(例えば、幅、長さ及び高さ)のための一次元値のセットを有してもよい。
【0017】
ピークのセットは、ピークプロファイルのセットの各ピークプロファイルに対して比較されてもよい。この比較は、ピークプロファイルのセットのピーク分配がピークプロファイルにより示されるピーク分配にどのように密接にマッチするかを反映してもよい。
【0018】
幾つかの実施形態において、周波数間隔は、有利には、300Hz、200Hz又は100Hz
未満の上側周波数を有してもよい。
【0019】
本発明のオプショナルな特徴によれば、推定部は、ピークプロファイルのセットからピークのセットのための少なくとも1つのマッチングピークプロファイルを見つけるための検索部と、少なくとも1つのマッチングピークプロファイルに関連する第1の部屋寸法データを格納部から抽出するための抽出部と、第1の部屋寸法データに基づいて部屋寸法推定を決定するための推定生成部とを有する。
【0020】
これは、多くのシナリオにおいて、改良された推定を提供してもよく、及び/又は、促進された動作及び実装を可能にしてもよい。とりわけ、比較的低い複雑性のアルゴリズムが正確な寸法推定を生成するために用いられるのを可能にしてもよい。マッチングピークプロファイルは、ピークのセットに最も密接にマッチするとみなされるプロファイルであってもよい。幾つかの実施形態において、装置は、複数のマッチングプロファイルを識別してもよく、この複数のマッチングプロファイルに関連する部屋寸法データが、部屋寸法推定を生成するために用いられてもよい。
【0021】
本発明のオプショナルな特徴によれば、各ピークプロファイルは、ピークの周波数のセットを有する。
【0022】
これは、高性能な及び/又は促進された実装及び動作を提供し得る。とりわけ、部屋推定を生成するための処理に非常に適しているピーク分配情報の効率的な表現を可能にし得る。
【0023】
本発明のオプショナルな特徴によれば、検索部は、ピークのセットの周波数とピークプロファイルの周波数のセットとの比較に基づいて各ピークプロファイルのための距離の大きさを決定し、距離の大きさに基づいてマッチングピークプロファイルを選択するように構成される。
【0024】
これは、効率的な動作を提供してもよく、及び/又は、より正確な推定を提供し得る。とりわけ、部屋推定に特に適している1又はそれ以上のマッチングプロファイルの比較及び識別を可能にしてもよい。距離の大きさは、例えば、ピークのセットの個々のピークとピークプロファイルのうちの最も近いピークとの間の差分の累算された値であってもよい。
【0025】
本発明のオプショナルな特徴によれば、各ピークプロファイルは、確率値のセットを有し、各確率値は、周波数間隔において測定されるピークの確率を示す。
【0026】
これは、高性能な及び/又は促進された実装及び動作を提供し得る。とりわけ、部屋寸法推定を生成するための処理に非常に適しているピーク分配情報の効率的な表現を可能にし得る。
【0027】
本発明のオプショナルな特徴によれば、検索部は、ピークプロファイルの確率値とピークのセットの周波数とに基づいて各ピークプロファイルのための可能性の大きさを決定し、可能性の大きさに基づいてマッチングピークプロファイルを選択するように構成される。
【0028】
これは、効率的な動作を提供してもよく、及び/又は、正確な推定を提供してもよい。とりわけ、部屋寸法推定に特に適している1又はそれ以上のマッチングプロファイルの比較及び識別を可能にしてもよい。可能性の大きさは、例えば、ピークのセットの個々のピークのための確率値の累算された値であってもよい。
【0029】
本発明のオプショナルな特徴によれば、各ピークプロファイルは、部屋のために計算される固有振動数のセットを有し、関連する部屋寸法データは、固有振動数を計算するために使用される部屋のための寸法の指標を有する。
【0030】
これは、効率的な部屋寸法推定を提供してもよく、多くのシナリオにおいて、実装を促進してもよい。例えば、これは、格納部にデータを投入するために、扱いにくくリソース要求が厳しい測定及びデータ収集の必要性を不要にするか又は低減し得る。多くのシナリオにおいて、向上した結果は、ノイズとして実現され、測定された音響部屋応答に関連する誤差は、格納されたピークプロファイルのために回避され得る。
【0031】
本発明のオプショナルな特徴によれば、ピークプロファイルのうち少なくとも幾つかのための関連する部屋寸法は、少なくとも1つの一次元値を有し、推定部は、少なくとも1つの一次元値を含めるように部屋寸法推定を生成するように構成される。
【0032】
本アプローチは、多くの従来技術のアプローチにとって典型的であるような全体の大きさ又はボリューム推定に制限されるものではない。むしろ、個々の一次元の大きさが生成され得る。幾つかの実施形態において、部屋寸法推定は、例えば、1、2又は、3の一次元の長さの値を有してもよい。例えば、部屋寸法推定は、個々の長さ及び幅推定、又は長さ、幅及び高さ推定を有してもよい。
【0033】
本発明のオプショナルな特徴によれば、推定部は、ピークのセットとプロファイルのセットの各ピークプロファイルとに関するマッチング指標を生成し、関連する部屋寸法データの重み付けられた組み合わせにより寸法推定を生成するように構成され、ピークプロファイルのセットの第1のピークプロファイルのための関連する部屋寸法データのための重みは、第1のピークプロファイルのためのマッチング指標に依存する。
【0034】
本特徴は、多くのシナリオにおいて改良された推定を提供し得る。とりわけ、異なる候補部屋に関連する特性からのよりフレキシブルな平均化又は貢献の組み合わせを供給することにより、多くのシナリオにおいてより正確な推定を提供し得る。とりわけ、本アプローチは、ノイズに対する感度を低減し得る。
【0035】
本発明のオプショナルな特徴によれば、ピークプロファイルのうち少なくとも幾つかのための関連する部屋寸法は、異なる方向に対応する複数の一次元値を有し、推定部は、方向のサブセットにはない少なくとも1つの方向に渡るピークプロファイルのためのマッチング指標の平均化に基づいて前記サブセットのための平均化されたマッチング指標を決定し、平均化されたマッチング指標に基づいて前記サブセットの方向のための一次元の部屋寸法推定を決定するように構成される。
【0036】
本特徴は、多くのシナリオにおいて改良された推定を提供し得る。
【0037】
本発明のオプショナルな特徴によれば、レシーバは、サウンドソース及びマイクロフォンのうち少なくとも1つの異なる位置に対応する複数の音響部屋応答を受信するように構成され、装置は、複数の音響部屋応答のための組み合わせを実行するように構成される。
【0038】
これは、より正確な推定が提供されるのを可能に得る。とりわけ、本アプローチは、改良された推定を可能にする追加のデータを提供してもよい。とりわけ、本アプローチは、部屋のより多数の固有振動数が測定及び検出されるのを可能にしてもよい。
【0039】
幾つかの実施形態において、平均化は、異なる位置のための音響部屋応答の平均化(ローパスフィルタリング)であってもよい。
【0040】
本発明のオプショナルな特徴によれば、組み合わせは、異なる音響部屋応答に対応するピークのセットとピークプロファイルのセットとの間の比較の平均化、及び、異なる音響部屋応答に対して決定される部屋寸法推定の平均化のうち少なくとも1つを含む。
【0041】
これは、多くのシナリオにおいて改良された推定を提供し得る。
【0042】
本発明のオプショナルな特徴によれば、組み合わせは、複数の音響部屋応答のうちの1つ以上からのピークを含めることによりピークのセットを生成することを有する。
【0043】
これは、多くのシナリオにおいて改良された推定を提供し得る。
【0044】
本発明のオプショナルな特徴によれば、推定部は、部屋寸法値を示すユーザ入力に基づいて比較のためのピークプロファイルのセットのサブセットを選択するように構成されてもよい。
【0045】
これは、促進された動作及び/又は部屋寸法推定を改良し得る。
【0046】
本発明のオプショナルな特徴によれば、推定部は、比較を実行するときに、ピークのセットの異なるピーク及びピークプロファイルの異なるピークのうち少なくとも一方を異なるように重み付けるように構成される。
【0047】
これは、促進された動作及び/又は部屋寸法推定を向上し得る。
【0048】
本発明の一態様によれば、部屋寸法推定を決定する方法であって、音響部屋応答を供給するステップと、周波数間隔において前記音響部屋応答におけるピークのセットを検出するステップであって、前記周波数間隔は、400Hz
未満の上側周波数を有する、ステップと、
ピークプロファイルのセットを
、関連する部屋寸法データとともに供給するステップと、前記関連する部屋寸法データ及び前記ピークプロファイルのセットに対する前記ピークのセットの比較に基づいて前記部屋寸法推定を決定するステップとを有する、方法が提供される。
【0049】
本発明のこれらの及び他の態様、特徴及び利点は、以下で述べられる実施形態から明らかになり、これらを参照して説明されるだろう。
【0050】
本発明の実施形態は、単なる例により、図面を参照して述べられるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、詳細には、一次元部屋寸法のセット、例えば部屋の幅、長さ及び高さのような、部屋寸法推定を決定するための装置の一例を示している。
【0053】
装置は、1又はそれ以上の位置における部屋の測定された低周波音響応答に基づいて部屋の寸法を推定する。装置は、測定された音響部屋応答におけるピーク周波数を検出し、データベースに格納されたピークプロファイルのセットに対して検出ピーク周波数を比較する。ここで、各ピークプロファイルは、所与の部屋のための低周波音響部屋応答に対応する。それ故、各ピークプロファイルは、ピークプロファイルが決定された部屋に対応する部屋寸法のセットに関連付けられる。システムは、比較及び関連する部屋寸法データに基づいて現在の部屋のための推定を生成する。例えば、検出されたピークのセットに最も密接にマッチしているピークプロファイルが識別され、この識別されたピークプロファイルのために格納された部屋寸法データが、現在の部屋のための寸法推定として抽出及び用いられる。故に、現在の部屋寸法は、検出されたピークに最も密接にマッチするピークプロファイルのための格納された寸法に対応するものとみなされ得る。
【0054】
本アプローチは、任意の部屋におけるサウンド領域がアイゲン(Eigen)モードの別個のセットから構成され、これらが部屋寸法を推定するために用いられ得るという洞察を利用する。アイゲンモードは、その部屋のための音響波動方程式に対する解決策である。アイゲンモードの各々は、対応する固有振動数(Eigenfrequency;多くの場合、モード(modal)又は固有(natural)周波数とも呼ばれる)を有する。堅い壁を有する矩形の部屋に関して、これらの固有振動数は、
【数1】
により与えられる(例えば、Heinrich Kuttruff, Room Acoustics (Second Edition), Applied Science Publishers, 1979, ISBN-10: 0853348138, ISBN-13: 9780853348139を参照)。L
x,L
y及びL
zは、それぞれ、x,y及びz次元における部屋寸法であり、cは、音速であり、n
x,n
y及びn
zは、x,y及びz次元におけるモードインデックスとして知られる整数≧0である。
【0055】
全体の音響部屋応答は、周知の"モード分解モデル"を用いてモデル化され得る。これは、サウンドソース
【数2】
の所与の位置に対して、レシーバ位置
【数3】
及び周波数
【数4】
における全体応答pを計算する。
【数5】
p
nは、部屋のアイゲン関数であり、
【数6】
は、(矩形の部屋に関して、式(1)から得られる)対応する固有振動数であり、k
nは、モードタイプに依存するスカラであり、
【数7】
は、モデルにおける一部の適度な吸収の包含を可能にするダンピング因子である。
【0056】
矩形の部屋に関して、式(2)におけるアイゲン関数p
nは、
【数8】
により与えられる。
【0057】
典型的な部屋においてアイゲンモードの無限距離が存在し、実際には、個々のアイゲンモードは、概して、分離できない、及び、連続体を効果的に形成するとみなされる。個々のアイゲンモードは、部屋の周波数応答において区別され得ない。しかしながら、現在のアプローチは、低周波数において、個々の固有振動数が識別されるのを可能にするために固有振動数が典型的に十分遠く離れて間隔を置かれるという洞察を利用する。本アプローチは、更に、これらの個々の固有振動数の特性が部屋応答及びそれ故に部屋のための指紋又はサインとして用いられ得る、及び、これらが類似の部屋寸法を有する部屋を識別するために用いられ得るという洞察を利用する。更に、本システムは、この識別が、部屋における異なる方向のための個々の一次元(長さ)推定を与えるために用いられ得るという洞察を利用し得る。詳細には、部屋の長さ、幅及び高さのための個々の推定は、部屋のためのピークサインに基づいて生成され得る。故に、典型的には部屋の全体サイズ又はボリュームの推定のみを与え得る従来のアプローチとは対照的に、現在のアプローチは、個々の一次元特性の推定を与え得る。
【0058】
実際に、本アプローチは、各部屋サイズ(詳細には、長さ、幅及び高さに関して)が多かれ少なかれ固有振動数の固有のセットに対応するという洞察を利用する。(例えば、同一の長さ及び/又は高さを有する)一又は二次元を共有する2つの部屋は、これらそれぞれのセットにおける幾つかの共通の固有振動数を有するが、幾つかは異なるだろう。
【0059】
図1の装置は、音響部屋応答を受信/供給するレシーバ101を有する。音響部屋応答は、測定された音響部屋応答であり、詳細には、
図1自体の装置により測定される音響部屋応答であってもよい。音響部屋応答は、詳細には、音響テスト信号を発するラウドスピーカと部屋において音響テスト信号を受信するマイクロフォンとの間の周波数領域伝達関数を表し得る。この周波数領域伝達関数は、個々の狭帯域テスト信号に対するマイクロフォン位置における振幅を測定することから直接的に得られてもよく、又は、時間領域インパルス応答を測定してこれを周波数領域に変換することから得られてもよく、又は、当業者に知られた任意の他の適切な手法で得られてもよい。
【0060】
多くの異なるアプローチ及び技術が、例えば対数関数的スイープ、MLS信号等を含む音響部屋応答を決定するために知られることが理解されるだろう。幾つかの実施形態において、レシーバ101は、テストオーディオ信号を外部スピーカに供給するためのオーディオ出力と、マイクロフォン信号を外部マイクロフォンから受信するためのマイクロフォン入力とを含んでもよい。レシーバ101は、テスト信号を適宜生成及び出力してもよく、任意の適切なアプローチに従って音響部屋応答を生成するために、生ずるマイクロフォン信号を解析してもよい。
【0061】
他の実施形態において、音響部屋応答は、例えば、外部ユニットから供給されてもよく、又は、ローカル又は遠隔の格納部から取り出されてもよい。
【0062】
レシーバ101は、400Hz
未満(多くの実施形態において、300Hz、200Hz
未満、又は、幾つかの実施形態において100Hz)
の上側周波数を有する周波数間隔における音響部屋応答におけるピークのセットを検出するように構成されるピーク検出器103に結合される。
【0063】
多くの異なるピーク検出技術及びアルゴリズムが知られており、任意の適切な技術が本発明から逸脱することなく用いられ得ることが理解されるだろう。例えば、ピーク検出器は、ローパスフィルタリングを最初に適用し、その後、400Hz未満の全ての局所最大値を検出してもよい。そして、ピークのセットは、これらの局所最大値の周波数として生成され得る。他の例において、固定数のピーク周波数が、最も多い、言わば10又は20ピークの周波数のように選択されてもよい。
【0064】
ピークのセットは、それ故、音響部屋応答及びそれ故に部屋の特性のパラメータ化を提供し、音響部屋応答のサイン又は指紋として理解され得る。しかしながら、ピークのセットは、音響部屋応答のパラメータ化だけでなく、むしろ、詳細には、部屋のアイゲンモード及び固有振動数を伴う強い相関を提供するために選択され、それ故、部屋の物理的寸法を伴う特に強い相関を有するように選択される。簡潔さ及び明瞭さのために、音響部屋応答から抽出されたピーク(ピーク周波数)のセットは、(音響部屋応答又は部屋の)ピークサインと呼ばれるだろう。
【0065】
ピーク検出器103は、推定部105に結合され、推定部105は、メモリ又は格納部107に更に結合され、メモリ又は格納部107は、ピークプロファイルのデータベース及び関連する部屋寸法データを格納する。
【0066】
詳細には、データベースは、複数のデータセットを有し、各データセットは、その部屋のための部屋寸法と一緒に異なる(実際の又は仮想の/計算された)部屋のための音響部屋応答に対応するピークプロファイルを有する。それ故、各データセットは、ピークプロファイル及び関連する部屋寸法データを有する。ピークプロファイルは、部屋応答におけるピーク(及び詳細にはピーク周波数)の表現を供給し、関連する部屋寸法データは、その部屋の寸法の指標を供給する。関連する部屋寸法データは、例えば、ピークプロファイルにより表される音響部屋応答を有する部屋の長さ、幅及び高さを示してもよい。故に、ピークプロファイルは、音響部屋応答のサイン又は指紋であるとみなされてもよい。
【0067】
データベースは、幾つかの実施形態において、音響部屋応答の表現を含んでもよいが、典型的にはピークプロファイルにより供給されるパラメータ化された表現のみを含むだろう。現在のアプローチの特別な利点は、音響部屋応答自体よりはむしろ、ピークプロファイルのみが格納されることを必要とすることである。これは、計算要求も格納要求も大幅に低減し得る。
【0068】
典型的には、データベースは、異なる部屋の大きな範囲のためのデータセットを含むだろう。これは、異なる寸法を有する多数の部屋のためのデータセットを含んでもよいが、同じ寸法を有する異なる部屋のためのデータセットも含んでもよい。例えば、データセットは、空の反響する部屋、同じ寸法であるが家具を有しあまり反響しない部屋等のためのような、同じ寸法であるが異なる音響特性を有する部屋のために格納されてもよい。
【0069】
ピークプロファイルに加えて、各音響部屋応答のためのデータセットは、音響部屋応答に対応する部屋のための部屋寸法データを有する。部屋寸法データは、詳細には、部屋の幅、長さ及び高さのような一次元距離を有してもよい。
【0070】
幾つかの実施形態において、データセットは、各部屋のための追加の情報を有してもよい。例えば、幾つかの実施形態において、各データセットは、部屋がどれくらい反響するかについての(例えば、ピークの振幅において反射され得る)指標のような、追加の音響情報を含んでもよい。斯様な追加の情報は、例えば、生成された推定に基づいてオーディオをレンダリングするシステムにより用いられてもよい。
【0071】
推定部105は、ピークプロファイルのセットに対するピークのセットの比較、及び、ピークプロファイルのために格納された関連する部屋寸法データに基づいて部屋寸法推定を決定するように構成される。故に、推定部105は、格納されたピークプロファイルに対して現在の部屋のピークサインを比較し、この比較に基づいて、格納されたピークプロファイルのための部屋寸法データを評価してもよい。ピークサインに密接にマッチするピークプロファイルのための部屋寸法データは、現在の部屋のピークサインにあまりマッチしないピークプロファイルのための部屋寸法データより高く重み付けされ得る。
【0072】
以下において、推定部105が部屋寸法推定をどのように生成し得るかについての一例が述べられるだろう。本例において、効率的な検索方法は、検出されたピーク周波数のセット(即ち、ピークサイン)に対応する最も可能性のある部屋サイズを決定するために用いられる。検索方法は、データベースのピークプロファイルに対して、検出されたピークサイン/スペクトルを比較すること、及び、マッチしているピークプロファイル/候補部屋を決定するための適切な誤差基準を用いることに基づいている。そして、部屋寸法推定は、これらのマッチしているピークプロファイル/候補部屋の格納された部屋寸法から生成される。詳細には、単一のマッチングピークプロファイル/マッチングルームが識別されてもよく、部屋推定が、このピークプロファイルのための格納された部屋寸法としてセットされてもよい。
【0073】
他の実施形態において、推定部105は、比較及び格納された部屋寸法データに基づいて部屋寸法推定を生成するための他のアプローチを用いてもよいことが理解されるだろう。
【0074】
図2は、幾つかの実施形態による推定部105の要素の一例を示している。
【0075】
本例において、推定部105は、データベースを有する格納部107に結合される検索部201を有する。検索部201は、音響部屋応答から生成されたピークサインのための、データベースにおけるマッチしているピークプロファイルを見つけるように構成される。
【0076】
検索部201は、抽出部203に結合され、抽出部203は、格納部107に結合され、マッチングピークプロファイルに関連する部屋寸法データをデータベースから抽出するように構成される。それ故、検索部201がデータベースにおける1又はそれ以上のマッチングプロファイルを一旦識別すると、抽出部203は、これらのデータセットに格納された部屋寸法データを抽出する。
【0077】
抽出部203は、抽出された部屋寸法データに基づいて部屋寸法推定を決定するように構成される推定生成部205に結合される。
【0078】
本アプローチは、ピークサインが音響部屋応答の低周波数間隔におけるピークのうちの周波数のセットにより表される具体例を参照して述べられるだろう。それ故、ピークサインは、ピーク検出器103により検出されたピークの周波数である周波数値のセットにより単純に表されてもよい。
【0079】
同様に、ピークプロファイルの各々は、ピークの周波数のセットを有する。それ故、各データセットは、データセットにより表された部屋のために決定される(測定されるか又は計算される)音響部屋応答におけるピークに対応する周波数値のセットを有する。
【0080】
それ故、ピークサイン及びピークプロファイルの双方は、低周波数間隔におけるピークに対応する多数の周波数値により、対応する音響部屋応答を特徴付ける。ノイズのない理想的な場合において、これらの周波数は、部屋の固有振動数に対応し、それ故、マッチする部屋に対応するマッチング音響部屋応答を見つけるためのとりわけ効率的な基準を与える。
【0081】
本例において、検索部201は、ピークサインの周波数と個々のピークプロファイルの周波数との比較に基づいて、各ピークプロファイルのための距離の大きさを決定する。例えば、ピークサインの各周波数値に関して、検索部201は、ピークプロファイルの最も近い周波数値に対する周波数オフセットを決定してもよい。これは、ピークサインの全ての周波数に対して繰り返されてもよく、周波数オフセット又は誤差は、ピークプロファイルのための全体距離(又は誤差)の大きさを与えるために合計されてもよい。この手法において、検索部201は、各ピークプロファイルに対して単一の距離の大きさを生成してもよい。
【0082】
そして、検索部201は、最も低い距離の大きさをもたらすピークプロファイルを識別するよう進行してもよく、このピークプロファイルは、マッチングプロファイルとして選択され、対応するデータセットの部屋寸法データを抽出するよう進行する抽出部203に供給され得る。そして、データは、例えば取り出された部屋寸法データを直接的に単純に用いることにより、寸法推定を生成する推定生成部205に供給される。
【0083】
多くのシナリオにおいて、ピークプロファイルのうち少なくとも幾つかが、測定された音響部屋応答に基づくよりはむしろ、計算されたアイゲンプロファイルであることが有利であり得る。それ故、幾つかの実施形態において、ピークプロファイルのうち少なくとも幾つかは、部屋のために計算された固有振動数のセットを有してもよい。関連する部屋寸法データは、固有振動数を計算するために使用された部屋のための寸法の指標を有してもよい。これは、ノイズ、測定不確定度等の影響を低減し得るので、多くのシナリオにおいてより正確な比較を提供し得る。実際に、比較が低周波数で元の固有振動数モードを比較しようとすること、及び、ピーク検出及び処理がこれらのモードの推定として参照され得ることが考えられ得るだろう。それ故、ピークプロファイルにおけるその推定よりもむしろ元の固有振動数モードを直接的に表すことは、改良された推定を提供し得る。
【0084】
以下において、具体例がより詳細に述べられるだろう。
【0085】
本例において、検索手順の第1のフェーズは、考えられる部屋サイズの検索空間を規定することである。本例の検索アルゴリズムは、検出されたピークのセットに最も対応しそうなもののための考えられる部屋サイズ候補のデータベースを検索することに基づく。これは、データベースの範囲が或る範囲の部屋サイズに制限され得るか又は多くの場合制限されなければならないことを意味する。これは、各部屋寸法のための最小及び最大のサイズを規定することにより行われる。また、各寸法のために、ステップサイズが規定され、これは、この寸法に対して検出され得るサイズの最小差分を決定するだろう。各寸法のための範囲及びステップサイズを規定すると、アルゴリズムにより候補とみなされる部屋の別個の検索空間が規定される。
【0086】
次のステップは、例えば式(1)を用いて、検索空間における部屋のそれぞれに対応する固有振動数の別個のセットを計算することである。(固有振動数が個別に検出され得る)低周波範囲における固有振動数だけに関心があるので、或る周波数までの固有振動数だけが含まれなければならない。例えば、典型的なサイズのリビングルームに関して、典型的には約20が存在し得る、約100Hzまでの固有振動数を含めることが十分であり得る。
【0087】
候補部屋及び固有振動数のこれらの対応するセットの生ずるコレクションは、アルゴリズムにより検索されるデータベースを形成する。
【0088】
この説明において、データベースの生成が検索の部分として実行されることに留意されるべきである。しかしながら、多くの実施形態においてデータベースが検索の前に投入されてもよいことが理解されるだろう。例えば、これは、設計及び/又は製造ステージの間に事前計算されてもよく、装置におけるルックアップテーブルとして格納されてもよい。データベースは、適切であるとみなされたときに(例えば、検索が考えられる寸法の新たな範囲に渡って実行されたときに)、例えば追加のピークプロファイルを追加することにより、自動的に修正されてもよいことも理解されるだろう。
【0089】
本例において、検索部201は、検出されたピーク周波数のセットと候補部屋の固有振動数のセットとの間(即ち、ピークサインの周波数とピークプロファイルの周波数との間)の差分を反映する距離測定基準を用いて、検索空間における候補部屋のそれぞれのための(即ち、各ピークプロファイルのための)誤差又は距離の大きさを計算する。
【0090】
1つの特定の実装は以下の通りである。(総数L個の部屋の中の)候補部屋l、及び、推定されるべき部屋の測定された音響部屋応答からの(総数M個の周波数の中の)検出されたピーク周波数mに関して、ピークプロファイル/部屋lに対応する(総数Nを伴う)セットからの固有振動数nが見つけられ、これは、検出されたピークmまでの(周波数における)最も小さな距離d
lmを有する。これは、ピークサインのM個の検出されたピーク周波数全てに対して行われ、生ずるM個の距離d
lmは、ピークプロファイル/部屋lのための全体誤差の大きさD
lを与えるために合計される。この距離の大きさは、L個の候補ピークプロファイル/部屋全てに対して計算される。最も低い全体誤差の大きさD
lを有するピークプロファイル及びそれ故に部屋候補は、測定されたピーク周波数に対して最良の全体マッチングを有するので、実際の部屋形状に最も対応する可能性が高いと結論付けられる。
【0091】
誤差の大きさは、例えば、
【数9】
として計算され得る。ここで、f
measは、ピークサインのM個の測定されたピーク周波数のセットをいい、f
eigenは、ピークプロファイルl(即ち、部屋候補l)のN個の固有振動数のセットである。
【0092】
この例では、距離の大きさは、検索を洗練するために用いられ得る2つの重み付け因子w
1及びw
2を含む。重み付け因子は、多くの実施形態において、単純に1にセットされてもよい。
【0093】
最も低い距離の大きさをもたらすピークプロファイルが識別されてもよく、このピークプロファイル/部屋候補のために格納される部屋寸法は、現在の部屋のための部屋寸法推定として用いられ得る。例えば、マッチングピークプロファイルのために格納される幅、長さ及び高さは、現在の部屋の幅、長さ及び高さの推定として出力され得る。
【0094】
距離の大きさの全体の最も低い値をもつ単一の部屋候補が正しいものであると直接的に結論付ける代わりに、他のストラテジが有利であり得る。シミュレートされた部屋に関して、モデル化された部屋に対応する候補部屋が実際に多くの場合最も低い全体の誤差値を有することが正しい一方で、これは、常に実在の部屋に当てはまるわけではない。種々の理由のため、形状が全く異なるが類似の全体距離値を有する複数の候補部屋(のクラスタ)が存在することが起こり得る。これは、アルゴリズムが最も低い計算された距離の大きさを有する候補部屋を単純に選択する場合、最も適切な部屋候補の誤った識別をもたらし得る。
【0095】
幾つかの実施形態において、検索部201は、例えば、複数のマッチングピークプロファイル(例えば、距離の大きさが所与の閾値より低い全てのもの)を識別してもよく、抽出部203は、マッチングピークプロファイルの全てのための部屋寸法データを抽出してもよい。そして、推定生成部205は、寸法推定を生成するために、抽出されたデータを組み合わせてもよい。例えば、部屋の長さの推定は、マッチングピークプロファイルのために格納される長さを平均化することにより生成されてもよく、幅の推定は、マッチングピークプロファイルのために格納される幅を平均化することにより生成されてもよく、高さの推定は、マッチングピークプロファイルのために格納される高さを平均化することにより生成されてもよい。
【0096】
幾つかの実施形態において、平均化は、重み付け平均化であってもよく、ここでは、それぞれ抽出された寸法の重みは、対応するピークプロファイルのための生成された距離の大きさに依存して重くなる。
【0097】
部屋推定が異なる方向(例えば、幅、長さ及び高さ)に対応する複数の一次元値を含む、多数のシナリオにおける推定の信頼性を大幅に向上させるために見つけられた他のアプローチは、方向のサブセットにはない1又はそれ以上の方向におけるピークプロファイルのためのマッチング指標の平均化(例えば、重み付け平均化)に基づいて、前記サブセットのための(距離の大きさ、誤差の大きさ、又は、可能性の大きさのような)平均化されたマッチング指標を決定することである。そして、サブセットにおける方向のための寸法推定が、平均化されたマッチング指標を用いて決定され得る。
【0098】
本アプローチは、例えば、個々の方向に渡って異なるピークプロファイルのための距離の大きさを平均化し得る。例えば、どのピークプロファイルが部屋の幅及び長さを決定するための最良のマッチングを与えるかを識別するときに、距離の大きさは、同じ幅及び長さを有する全てのピークプロファイルを平均化することにより、即ち、部屋の全ての考えられる高さに渡って距離の大きさを平均化することにより、生成されてもよい。とりわけ、ピークプロファイルに3つの次元において異なる大きさが与えられた場合、三次元距離尺度マトリックスは、各ピークプロファイルに対して距離の大きさを計算することにより生成される。この場合、全ての距離の大きさは、マトリックスの第三の次元に渡って合計又は平均化されてもよく、これにより、距離の大きさの二次元マトリックスを生成する。そして、生ずる最も低い距離の大きさは、この二次元マトリックスにおいて選択され得る。これは、本質的に、推定を二次元推定に低減するものとみなされてもよい。幾つかの実施形態において、低減は、単一の次元までであってもよい。即ち、第2の次元に渡る平均化が実行されてもよい。本アプローチは、異なる次元と並行して適用されてもよく、これにより、依然として三次元推定が生成されるのを可能にする。本アプローチは、多くのシナリオにおいて向上した性能を与えるために実験的に見出された。
【0099】
幾つかの実施形態において、ピークプロファイルは、各確率値が周波数間隔において測定されるピークの確率を示す確率値のセットを有してもよい。それ故、アイゲンモードの周波数を示すよりはむしろ、低周波数範囲は、各間隔に対して与えられる確率値により比較的小さな周波数間隔に分割されてもよい。これは、元のアイゲンモードのより広げられた又は汚された表現を与えることができ、これは、多くのシナリオにおいて、より堅牢な検索を提供することができる。
【0100】
斯様な実施形態において、検索部201は、各ピークプロファイルに対して距離の大きさを生成する代わりに、個々のピークプロファイルにより表されたものに対応する部屋から生ずるピークサインの周波数の可能性を示す可能性の大きさを決定する。
【0101】
可能性の値は、例えば、ピークサインの各周波数に対して、対応する周波数間隔のための確率値を抽出し、抽出された確率値を乗算することにより、計算されてもよい。推定部105は、先に述べられたものと同じアプローチを用いるよう進行してもよいが、距離の大きさの代わりに可能性の大きさを用いる。
【0102】
故に、幾つかの実施形態において、推定部105は、距離測定基準に基づく誤差の大きさよりもむしろ確率に基づく検索アプローチを用いてもよい。この場合、データベースは、検索空間からの各候補部屋に対応する固有振動数のセットにより表されるピークプロファイルを有する代わりに、"確率ベクトル(probability vector)"により表されるピークプロファイルを有し、これは、K個の周波数帯の各々に関して、その周波数帯の範囲内のピークがその候補部屋に対応する部屋の測定された部屋応答において検出される確率を含む。これらの確率は、前と同じように、式(1)に従って各部屋候補に対応する固有振動数のセットに主に基づき得る。確率分布は、固有振動数に適用されてもよく、これは、例えば、測定セットアップの周波数解像度、(堅い壁を有する空の矩形ボックスであり得る)理論的な部屋モデルと(厳密に矩形でなくてもよく、全ての種類のオブジェクト及び一部の吸収を含み得る)実際の部屋状況との間の小さなずれに起因した部屋の"理論的な"固有振動数と実在の固有振動数との間の小さな差分に関連する態様を含んでもよい。
【0103】
個々の検出されたピークの確率から、検出されたピークが或る候補部屋に対応するという可能性の指標を供給する全体の確率が計算される。全体の確率のこの計算は、独立したものとしてピーク確率を処理してもよく(個々の確率が単純に乗算され得ることを意味する)、又は、一部の相互依存(例えば、周波数fにおけるピークの存在は、周波数の倍数においてもピークを検出する確率を増大させる)を考慮してもよい。
【0104】
本アプローチの特別な利点は、部屋の全体の大きさ又はボリュームを反映しない推定を与え得るが、むしろ個々の寸法が推定されるのを可能にすることであり、とりわけ、個々の長さ、幅及び高さが推定されるのを可能にする。
【0105】
上記の具体例において、推定部105は、詳細には、ピークプロファイルのサブセット及び場合により単一のピークプロファイルのみを識別するために検索を実行する。そして、推定は、選択されたサブセットから生成される。しかしながら、検索が実行されること又はサブセットが選択されることが必須ではないことはいうまでもない。
【0106】
例えば、幾つかの実施形態において、推定部105は、異なるデータセットの部屋寸法データを組み合わせることにより推定を生成してもよく、ここで、個々の部屋寸法データの重みは、対応するピークプロファイルがピークサインにどれくらい密接にマッチするかに依存する。
【0107】
詳細には、推定部105は、各ピークプロファイルのためのマッチング指標を生成してもよい。例えば、前に述べられた距離の大きさが、マッチング指標として用いられてもよい。そして、距離の大きさは、例えば部屋寸法の重み付け平均化を実行するために用いられてもよい。例えば、部屋の幅の推定は、ピークプロファイルとともに格納される全ての幅の大きさの重み付け平均化により生成されてもよく、ここで、各幅のための重みが距離の大きさにより決定される。典型的には、重みは、大きい距離の大きさが実質的にゼロである重みをもたらすような、距離の大きさの非線形関数であってもよい。
【0108】
幾つかの実施形態において、部屋寸法推定は、複数の音響部屋応答基づいてもよく、詳細には、マイクロフォン及び/又はサウンドソースの異なる位置のために測定される音響部屋応答に基づいてもよい。例えば、テスト信号は、スピーカによりレンダリングされてもよく、マイクロフォンは、ここから生成される音響部屋応答を有する信号を取り込んでもよい。そして、マイクロフォン(又はスピーカ)は移動されてもよく、繰り返される測定は、新たな音響部屋応答をもたらす。本アプローチは、場合により多くの時間繰り返されてもよい。
【0109】
複数の音響部屋応答が部屋寸法推定を生成するために用いられてもよく、従って、異なる音響部屋応答のためのデータの組み合わせが処理における一部のステージにおいて含まれる。
【0110】
幾つかの実施形態において、組み合わせは、平均化(ローパスフィルタリング)であってもよい。
【0111】
平均化は、例えば、単一の音響部屋応答に対して前に述べられたものと同様に後に用いられる平均化された音響部屋応答を生成するために音響部屋応答を平均することにより既に実行されてもよい。それ故、ピーク検出が平均された音響部屋応答に適用されてもよく、生ずるピークサインが用いられてもよい。
【0112】
しかしながら、他の実施形態において、平均化は、処理の他のステージで実行されてもよい。例えば、ピーク検出は、複数のピークサインを生成するために各音響部屋応答に個別に適用されてもよい。そして、比較はこれらの各々に対して実行されてもよく、比較の結果は平均化されていてもよい。例えば、距離の大きさは、各ピークサインに対して、及び、ピークプロファイルの各々に対して計算されてもよい。そして、生ずる距離の大きさは、各ピークプロファイルに対して平均されてもよく、マッチングピークプロファイルが最も低い平均化された距離の大きさを有するものとして選択されてもよい。
【0113】
幾つかの実施形態において、平均化は、異なる音響部屋応答に対して決定される部屋寸法推定のものであってもよい。例えば、単一の音響部屋応答のために上で述べられたアプローチは、複数の音響部屋応答の各音響部屋応答に適用されてもよい。そして、生ずる部屋寸法推定は、出力推定を生成するために平均化されてもよい。例えば、全ての長さ推定は、単一の長さ推定を生成するために平均化されてもよい。
【0114】
故に、多くの実施形態において、前記の推定は、有利には、測定のための複数のソース位置及び/又はレシーバ位置を用いた複数の音響部屋応答の測定に基づいてもよい。
【0115】
幾つかの実施形態において、前記の組み合わせは、複数の音響部屋応答からのピークを含めることによりピークサインを生成することを有してもよい。
【0116】
式(2)及び(3)から分かるように、部屋のアイゲンモードの各々が起動される範囲はサウンドソースの位置に依存する。同様に、各アイゲンモードに起因して生ずる音圧は、レシーバ位置に依存する。従って、ソース位置及び聴取位置の組み合わせは、部屋の低周波モードのうちのどれが測定された部屋応答において実際に利用可能かを一緒に決定する。幾つかの組み合わせに関して、単一の測定からの関連したモードの全てを検出することが可能であってもよい一方で、他のものに関して、数ピークだけが単一の測定から検出されるだろう。
【0117】
2又はそれ以上のソース位置及び/又はレシーバ位置のための音響部屋応答に適用されるピーク検出から生じる検出ピークを組み合わせることにより、本方法の結果は改良され得る。2つの改良が得られる。第一に、複数のソース/レシーバの組み合わせからのピークを組み合わせることにより、一の位置が他の位置では利用可能ではないピークを供給するので、ピークのより完全なセットが取得され、逆もまた同じである。複数のソース/レシーバ位置の組み合わせからのピークを組み合わせることは、検索アルゴリズムにとって利用可能なピークの不完全なセットに起因した誤識別の機会を低減するだろう。第二に、1つを超えるソース/レシーバ位置の組み合わせの応答において検出されるピークは、応答のうちの1つにおいてのみ検出されるピークより信頼性が高いものとみなされ得る。これを利用する手段は、複数のソース/レシーバ位置の組み合わせにおいて生じる2つのものを含む、組み合わせられたピークの全体のセットを検索アルゴリズムに供給することであり、こうすることによって、効果的には、複数回検出されるピークに対してより影響のあるものにする。
【0118】
原理上、ソース位置及びレシーバ位置は交換可能であるので(音響効果の相互関係原理)、複数のソース位置、複数のレシーバ位置又はこれらの双方が用いられるかどうかは問題ではない。
【0119】
幾つかの実施形態において、本システムは、例えば本システムの一部のメインユニットにおいて一体化された、固定された位置にある1つのマイクロフォン、及び、複数のスピーカを有してもよい。この場合、取得され得る応答の数は、スピーカの数に等しい。
【0120】
他の実施形態において、マイクロフォンは、各ラウドスピーカ筐体に一体化されてもよく、測定は、ラウドスピーカ及びマイクロフォンの全てのペアの間又はこれらのペア全てのサブセットの間で実行されてもよい。N個のラウドスピーカを有するシステムに関して、同じ筐体にラウドスピーカ及びマイクロフォンを有するものを含む、全体でN(N+1)/2のペアが存在する。
【0121】
とりわけ興味深い事例は、レシーバ及び/又はソースが角に配置される時である。式(3)から、理論的には、角に配置されるソースが最大の強度で部屋モードのすべてを起動すべきことが理解され得る。同様に、角に配置されるマイクロフォンは、ソースにより起動されている全てのモデル周波数を示す信号を生成すべきである。これは、使用事例がレシーバ及び/又はソースが角に配置されるのを可能にする場合、これは、ピークの極めて完全なセットが極めて少ない測定のみから取得されるのを可能にすべきであることを意味する。ソース及びレシーバの双方が角(同じ角又は異なるもの)に配置される特定の事例において、単一の測定は、原理上、固有振動数の完全なセットを供給すべきである。
【0122】
幾つかの実施形態において、推定部105は、ピークのセットの異なるピークを異なるように重み付けするように構成され得る。例えば、ピークは、ピーク周波数に依存して、又は、ピークのための振幅に依存して、又は、ピーク検出により生成される信頼性の大きさに基づいて、異なるように重み付けしてもよい。これは、例えば、これらの因子に依存して式(4)の重みw
1を変化させることにより行われてもよい。
【0123】
幾つかの実施形態において、推定部105は、例えば距離の大きさを決定するときのような、比較を実行するときに、ピークプロファイルの異なるピークを異なるように重み付けするように構成されてもよい。例えば、距離の大きさは、部屋のタイプに依存して異なるように重み付けされてもよい。これは、例えば、式(4)の重みw
2を変化させることにより行われてもよい。
【0124】
実際には、式(4)の距離の大きさは、重みw
1及びw
2(即ち、w
1=1及びw
2=1を伴う)を変えることなく多くのシナリオにおいて良好な推定をもたらすが、その結果は、他シナリオにおいて、様々な重みを使用することにより大幅に向上し得る。
【0125】
重みw
1を変化させる効果は、他のものより幾つかの検出されたピークに対してより重点を置くことである。1つの理解できるオプションは、w
1を周波数の関数とすることであり、重みは周波数を増大させるために減少する。これの合理的根拠は、固有振動数の密度が周波数を増大させるために増大するので、より高いピーク周波数が、より低いピーク周波数に比べて、特定の部屋サイズのあまり特性ではないことである。
【0126】
重みw
2の効果は、他のものよりも或る候補部屋に対応するセットからの或る固有振動数に対してより重要性を与えることである。w
1を伴うので、これは、類似的な手段にいて周波数の関数にされ得る。他の可能性は、モードのタイプに依存してw
2を作ることである。
【0127】
三次元の部屋において、3つの異なるタイプのモード、即ち、軸、接線及び傾斜モードが存在する。軸モードは、圧力変化が単一の次元に沿って配向される一方で、圧力は他の2つの次元に沿って一定であるモードである。接線モードは、2つの次元の圧力変化を有する一方で、傾斜モードは、3つ全ての次元を含む。部屋におけるモードの異なるタイプのモードの分布の分析及び(モデル化された又は測定された)音響部屋応答におけるそれらの傑出は、縦モード及び低次接線モードが、傾斜又は高次接線モードより音響部屋応答において明らかに目立つ可能性が高いことを示す。結果として、測定された部屋応答において検出されるピークは、他のモードタイプよりも、軸又は低次接線モードに対応する可能性が高い。これは、軸及び低次接線モードが、他モードタイプより、検出されたピーク周波数に最もマッチするものとして、選択される機会を高くするように、異なる重みw
2を異なるタイプのモードに割り当てることにより説明され得る。
【0128】
幾つかの実施形態において、推定部105は、部屋寸法値を示すユーザ入力に応答して用いるためにピークプロファイルのセットのサブセットを選択するように構成される。それ故、候補部屋/ピークプロファイルの範囲が選択されてもよく、これらだけが比較及び検索において用いられるだろう。ユーザは、例えば、大雑把な寸法を示してもよく、システムは、この寸法を含む範囲を生成してもよい。他の実施形態において、ユーザは、考えられる候補部屋のための例えば長さ、幅及び高さの範囲を直接特定してもよい。
【0129】
幾つかの実施形態において、正しい部屋寸法を識別するために有用であり得る外部情報は、推定部105により利用されてもよく、とりわけ、検索をより信頼性の高いものにするために用いられ得る。外部の情報は、互い対するマイクロフォン及び/又はラウドスピーカの知られた位置のような"物理的な"データから成ってもよく、部屋の次元の1又はそれ以上は、或る範囲内にあること、例えば残響時間のような部屋音響パラメータ等について知られる。
【0130】
外部の情報は、幾つかの実施形態において、或る部屋寸法割合が実在のものにおいてどれくらい共通しているかという統計のような、"発見的な(heuristic)"データから成ってもよい。
【0131】
外部の情報は、ピークプロファイルのサブセットを選択するために用いられてもよく、これにより、外部の情報と一致したもののみに候補部屋サイズの検索空間を低減する。これは、誤識別の機会を低減するだけでなく、検索手順の速度を上げるだろう。
【0132】
代わりに又は追加的に、外部の情報は、検索から生じるマッチングピークプロファイル間を区別するために用いられてもよい。これは、とりわけ、大きく異なる候補部屋に対応するが類似する距離又は可能性の大きさを有するピークプロファイルが見つけられるときに適切であり得る。
【0133】
外部の情報の包含は、とりわけ、部屋サイズの曖昧性が生じ得る、測定されたピークのセットがむしろ不完全である場合において(例えば、単一の測定位置のみが用いられたか、又は、複数の測定位置が数ピークのみが応答において存在したようなものであるので)有益であるだろう。
【0134】
本アプローチを評価するためにシミュレーションが実行された。シミュレーションにおいて、音響部屋応答及びピークプロファイルは、式(2)及び(3)に従ってモーダルな分解モデルを用いてモデル化された。
【0135】
モデル化された部屋は、7.4×4.2×2.8mの寸法及び(式(2)におけるおおよそ
【数10】
=20に対応する)
【数11】
=0.3の吸収係数を有した。
図3は、部屋における4つのランダムに選択された位置のモデル化された部屋の音響部屋応答を示している。部屋の縦モード及び接線モードに対応する固有振動数は、垂直ラインにより示される。単純なピーク検出アルゴリズムを実行することは、円で示されたピーク周波数を返した。理解され得るように、4つのシミュレートされた応答の個々の応答は、固有振動数の十分なセットのサブセットのみを含む。しかしながら、検出される全てのピークはセットに属しており、4つのサブセットは、実際には部分的に相補的である。
【0136】
検出されたピークは、式(4)の距離の大きさを用いた検索アルゴリズムに入力され、ここで、重みw
1及びw
2の双方は静的に1にセットされ、検索は、第1の2つの次元に対して2.5m〜8mの寸法に対応し、第3の次元に対して2〜4mの間の寸法に対応するピークプロファイルに限定される。ピークプロファイルのためのステップサイズは、全ての次元において0.1mにセットされた。全体の最も低い距離の大きさは、7.4×4.3×3.6mの形状に対して見つけられ、3つの次元のうち2つは0.1mの範囲内の精度である。しかしながら、距離の大きさの平均化が第3の次元に渡って実行される場合、最も低い距離の大きさは、第1の2つの次元に対して7.4及び4.2mとして見つけられる。第2の次元に渡る距離の大きさの平均化は、第1及び第3の次元それぞれに対して7.4及び2.8mという最も低い距離の大きさをもたらす。故に、この場合、正確な推定が全ての次元に対して生成される。
【0137】
本アプローチは、実用的な実験により評価されている。測定は、多数の実際の部屋において取得されている。一例として、長さ7.4m及び幅5.7mの部屋であって、厚いカーペット及びカーテン、壁に対する幾つかの大きなキャビネット、大きなダイニングテーブル及び椅子、並びに、多くの他の大きな及び小さなオブジェクトを有する、典型的なリビングルームを表わすように家具が備えられた部屋が、本アプローチをテストするために用いられた。
【0138】
測定は、部屋に任意に分配された4つのフルレンジラウドスピーカにより実行された。各ラウドスピーカはマイクロフォンを備えた。対数関数的スイープ測定は、音響部屋応答を生成するためにスピーカの各ペアの間で実行された。
図4は、ガウス窓による穏やかなスムージング後の1つの測定された部屋応答の一例を示している。この滑らかにされた応答からピークが検出された。検出されたピークは、円で
図4において示されている。また、実際の部屋形状に対応する理論的な軸及び接線モード周波数が示される。検出されたピークのほとんどが理論的に期待された固有振動数に実際に適切に対応することが理解され得る。
【0139】
検出されたピーク周波数が検索アルゴリズムに供給され、これは、0.1m(検索アルゴリズムにおいて使用されるステップサイズ)の範囲内の精度で正しい部屋寸法を返した。同様の結果が他の部屋に対して取得された。
【0140】
上記の説明は、明瞭さのために、異なる機能的な回路、ユニット及びプロセッサを参照して本発明の実施形態について述べていることが理解されるだろう。しかしながら、異なる機能的な回路、ユニット又はプロセッサの間の機能の任意の適切な分配が本発明から逸脱することなく用いられてもよいことが明らかであるだろう。例えば、別々のプロセッサ又はコントローラにより実行されるように示された機能は、同じプロセッサ又はコントローラにより実行されてもよい。それ故、特定の機能ユニット又は回路への参照は、厳しい論理的又は物理的な構造又は組織を示すよりはむしろ、述べられた機能を与えるための適切な手段への参照としてのみ理解されるべきである。
【0141】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの任意の組み合わせを含む任意の適切な形式において実装され得る。本発明は、オプションとして、1又はそれ以上のデータ処理装置及び/又はデジタル信号プロセッサ上で実行するコンピュータソフトウェアとして少なくとも部分的に実装されてもよい。本発明の一実施形態の要素及び成分は、任意の適切な手段において、物理的に、機能的に、及び、論理的に実装されてもよい。実際に、機能は、単一のユニットにおいて、複数のユニットにおいて、又は、他の機能ユニットの部分として、実装されてもよい。それ自体、本発明は、単一のユニットにおいて実装されてもよく、又は、異なるユニット、回路及びプロセッサの間で物理的及び機能的に分配されてもよい。
【0142】
本発明が幾つかの実施形態に関して述べられたが、ここで記載される特定の形式に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。加えて、特徴が特定の実施形態に関して述べられるように見え得るが、当業者は、述べられた実施形態の種々の特徴が本発明に従って組み合わせられ得ることを認めるだろう。請求項において、有するという用語は、他の要素又はステップの存在を除外するものではない。
【0143】
更に、個別に記載されているが、複数の手段、要素、回路又は方法ステップは、例えば単一の回路、ユニット又はプロセッサにより実装されてもよい。加えて、個々の特徴が異なる請求項に含まれ得るが、これらは、場合により、有利に組み合わせられてもよく、異なる請求項における包含は、特徴の組み合わせが有利及び/又は実行可能なものではないことを意味するものではない。また、請求項の1つのカテゴリにおける特徴の包含は、このカテゴリに対する限定を意味するものではなく、むしろ、特徴が適切に他の請求項カテゴリに同程度に適用可能であることを示す。更に、請求項中のフィーチャの順序は、フィーチャが動作されなければならない任意の特定の順序を意味するものではなく、とりわけ、方法クレームにおける個々のステップの順序は、ステップがこの順序で実行されなければならないことを意味するものではない。むしろ、ステップは、任意の適切な順序で実行されてもよい。加えて、単数表記の参照は、複数を除外するものではない。それ故、"第1の"、"第2"等への参照は、複数を排除するものではない。請求項中の参照符号は、単に明らかにする一例だけのものとして供給されるものであり、任意の手段において請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。