(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステップのすべては、チャンバにおいて行われ、前記チャンバは、前記チャンバの外側の大気に対して真空下にあることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の所定の液滴サイズ分布を有する液滴を生成するための方法。
流体を噴射するための前記手段は、前記液体を一次液滴に事前微細化するための手段と、前記一次液滴を前記支持体上に噴射するための手段とを備えることを特徴とする、請求項14または15に記載の所定の液滴サイズ分布を有する液滴を生成するための装置。
【背景技術】
【0002】
この種の方法/装置は、典型的には、ゾル−ゲル手法(すなわち、沈殿反応を用いる手法)を用いて核燃料を製造するためのより一般的なプロセスに組み込まれ得る。この種のプロセスにより、燃料物質の小球体/球状体の発生中に潜在的に放射性/汚染性の物質の分散を制限することが可能になり、制御されたサイズおよび形状を有するこれらの球状体自体は、続いて、堆積手法を用いて潜在的に製造される燃料要素(例えば、TRISO/VHTR型の燃料)に(潜在的に)組み込まれ、「VHTRサイクル」などの表現におけるVHTRという頭字語は、「超高温原子炉(very high−temperature reactor)」を表し、「TRISO燃料」という表現におけるTRISOという頭字語は、三重構造等方性(tristructural−isotropic)を表し、TRISO燃料は、特定の種類の燃料微小粒子である。この燃料微小粒子は、その中心にUOx(時にUCまたはUCO)で構成された核分裂性物質の小球体を有し、この中心小球体は、3つの等方性物質の4層で被覆されている。4層とは、炭素で作製された多孔質緩衝層、熱分解炭素(PyC)の内側高密度層、核分裂生成物を高温に保つとともにTRISO粒子の構造的完全性を補強するために用いられるSiCのセラミック層、および外側高密度PyC層である。また、前記球状体を発生させるために振動充填手法を用いることが可能であるとともに好ましく、この場合に目標とされる粒径の範囲は、より広く、潜在的に達成することがより困難である。
【0003】
従って、従来のGSP(ゲル支持沈殿)ゾル−ゲルプロセスを用いて沈殿させた液相に溶解させた燃料の液滴が開発されており、これらの液滴は、
図1(比較的大きい小球体の直径、すなわち、300μmより大きい直径を許容するV/HTRアプリケーションと比べて、主に振動充填への適用を伴う)に示されるものなどの核燃料を生産するためのよりグローバルなプロセスにおいて用いることが可能な固体球状体を後に合成するために好適な(球形度、液滴サイズ、生成速度等の点において)特性および発生条件を有し、かかる図は、以下のステップのすべてを示す:
−ステップ1:溶解した燃料を含有する溶液が調製される;
−ステップ2:制御されたサイズおよび形状の液滴が生成される;
−ステップ3:ゲル支持ゾル−ゲルプロセスが用いられる;
−ステップ4:固体球状体を発生させる;
−ステップ5:前記球状体を堆積させる、またはステップ5a:振動充填を用いて燃料被覆を充填する;
−ステップ6:V/HTR燃料要素を発生させる、またはステップ6a:振動充填により得られる燃料を発生させる。
【0004】
従来技術において、液滴は、いくつかの装置/プロセスにより生成される。しかし、前述の状況(核燃料の製造のための球状体の生成)の文脈において、あるいくつかの具体的な制約/目的は、ある従来技術の手法が選択されなければならないことを意味する。ゾル−ゲル沈殿プロセスは、放射性粉末を用いないため、汚染物質分散のリスクを制限する効果的な方法であることに留意されたい。対照的に、この技法において、閉塞のリスク、ならびに後によりグローバルな製造プロセスにおいて用いられるために沈殿させる固体球状体のサイズおよび形状は、
図2に示すように制御されなければならず、かかる図は、液滴G
ouが所与の液面S(典型的には、沈殿溶液)に打ち当たるときに受ける変形、より正確には、前記打ち当たり面に対してそれぞれ平行および垂直な二方向における直径比D
max/D
minの時間変化を概略的に示し、球形度における変化Δを示している。
【0005】
従って、液滴自体は、以下を有さなければならない:
−制御されたサイズおよび形状(典型的には、数十〜数百ミクロンの範囲であってもよく、1.1よりも低い球形度比(D
max/D
min)を有する);
−液適生成速度は、理想的には低くなければならない(ゾル−ゲルプロセスの文脈において沈殿を可能にする要素を含有する液体に液滴(前述の球形度比を特徴とする)が打ち当たるときに液滴の変形を制限するため)。
【0006】
一般に、液滴を生成するための従来技術において認められる主な技法には、以下のものがある:
【0007】
−気体ジェットを用いる噴霧:
この手法は、極めて一般的であり、様々な産業において用いられている。液体を微細化するため、気体の(微細化対象の液体に対する)相対移動により送達される運動エネルギーが用いられ、高い剪断力を発生させ、結果的に後に所望される微細化を発生させる。この技法の例は、特に米国特許出願公開第2010/0078499号明細書および欧州特許出願公開第EP1888250号明細書に記載されている。この種の技法の主な欠点は、核産業において不利益な気体ジェットを用いることである(ジェットが汚染物質と接触するため、濾過を必要とする気体廃棄物のソースとなる)。その上、これらの種類の液滴生成器は、液体を噴霧するために用いられる気体の流量を増加させないように液体給送出口が制限された断面を有することが必要であるため、頻繁に閉塞する。この制限の結果、閉塞のリスクが高くなり、放射性物質を処理するために用いられる装置に修理/メンテナンス作業を行う必要があることは、核産業において非常に不利益である(ALARAの原則を尊重して:ALARAの原則は、電離放射線防護の基本原則の1つである。その目的は、核サービス提供者の人員が受ける個人線量および集団線量を低減することである)。
【0008】
−振動注入器を用いる液滴の生成:
この技法は、較正された液滴を生成するためにゾル−ゲルプロセスにおいて広く用いられている。この種の技法において、液体ジェットが所与の周波数で振動する較正されたオリフィスを通って重力下で流れることで、ジェットが単分散液滴に微細化される。振動するオリフィスを有する装置(国際公開第2006/048523号パンフレットに記載の例)において、ジェットは、ほとんど円筒状であり、生成される液滴の直径は、オリフィスの直径の約2倍である。これにより、この技法の有用性が大きく制限され、その結果、所望される液滴の直径が減少するにつれて閉塞のリスクが増加する。また、特にこの種の生成器により生成される液滴の直径を特に変更することが可能であるために、ジェットが放出されるノズルの直径を変更することが必要であり、かかる自由度は、業界でしばしば要求されるものではなく、前述のALARAの原則と矛盾するものであることに留意されたい。加えて、この種の注入器は、
図3および
図4に示すように、高粘性(典型的には、50cpよりも高い)の液体については小液滴(サイズが100μmよりも小さい)の生成に制限され、これらの図は、それぞれ、注入器の直径D
injの関数としての真直な出口の注入器における水頭損失における変化と、例えばポリ酢酸ビニル(PVA)リッチな水溶液などの粘性の液体の噴出についての真直な出口の注入器が閉塞するまでの時間T
av/Bouにおける変化とを示し、パラメータD
minは、水頭損失が大きくなりすぎる前の最小の直径に対応する。
【0009】
−機械的回転作用を用いて液体ジェットを微細化することによる液滴の生成:
この種の装置により、液体ジェットと(高速で)接触する移動(回転することがほとんどである)ストップにより誘導される機械的剪断力を介してジェットが微細化可能となる。ジェットオンサーフェス(jet−on−surface)衝突噴霧器とも呼ばれるこの種の装置は、工業生産に不利益であり得る材料の相当な損失(低収率)を伴い、また、このように発生した液滴は、ジェットを切る要素の速度(または入射する液体の速度)に近い放出速度を有するため、前述の目的を達成できない。
【0010】
−超音波を用いる液滴の生成:
この種の技法において、微細化対象の液体の自由表面は、音波のソースにより励起される。液体の柱が液体の表面に現れ、かかる柱から、極めて広い液滴サイズの分散を有する非常に小さい液滴が逃げ、この種の生成器では、その上、数十ミクロンよりも大きい直径を有する液滴を容易に発生させることはできない。その上、液滴が液体ソースに近いため、液体ソース自体を沈殿させるリスクを負うことなくこのように形成された液滴をゲル化するステップを行うことは容易ではない。その上、微細化は、液体の自由表面の固有共鳴周波数により制約される。このように達成可能な液滴の直径を調節するための自由度は、ほとんど存在せず、処理の観点から相当な制限である。
【0011】
−噴霧による生成(任意選択で振動する回転装置)
この種の装置は、回転部材の表面上に液体膜を形成する遠心力の使用に基づく。この部材(円盤または車輪であることが多い)の周縁において、液滴が生成され;液滴の形態およびサイズは、回転のパラメータ(特に回転速度)、回転要素の表面仕上げ、および噴霧対象の液体の物理化学的特性に依存する。本発明の解決策が微細化することを提案する流体は、閉塞型の作用に至りがちであり;微細化を(国際公開第2005/102537号パンフレットに記載のように)詰まりに関する作用による変化に必然的にさらされるジオメトリを有する要素(歯と呼ばれることが多い)の表面仕上げおよび特徴的なサイズに基づいて行うことは実行可能ではない。その上、液滴の放出速度は、本質的に高く(回転板の回転の線速度と同じオーダ)、沈殿溶液との衝突を介して液滴をゲル化することにより球状体を得ることを困難にしている。さらにその上、回転噴霧器は、高い回転速度の伝達を要求するため、粘性の液体を微細化するためにはあまり適さない;その上、微細化の安定性により、制御に関する問題が生じる。
【0012】
−衝突ジェットを用いる液滴の生成:
特に国際公開第2009/047284号パンフレットに記載のこの種の装置は、衝突ジェットを互いに打ち当たらせることにより液滴を生成する。この種の生成器は、開発された環境(炎またはプラズマ錐などの非常に熱い媒体)などの特定の条件下で用いられなければ、不利益な液体の損失に至る。その上、液滴の放出速度は、液体ジェットの打ち当たり速度と同じオーダであり、やはり、前述の目的を達成/前述の制約を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、当該技術において既知のいずれの技法の中にも、以下の基準のすべてを満たすことができる液滴を生成するための技法はない:
潜在的に(高い)粘性の液体の微細化を介する液滴の生成;
閉塞のリスクが高い沈殿または他の作用にさらされる得る液体の液滴の生成;
低い液滴速度(場合により0.1m/s以下)で放出され得る液体の液滴の生成;
広い調節可能な液滴サイズの分布(数十ミクロン〜数百ミクロン)を有する液滴の生成。
【0014】
これらの目的および/または制約関数のあるものは、特に以下の所望される結果に関して、対立/矛盾することに留意されたい:
−高速での液滴の放出を伴わない粘性の液体の微細化。具体的には、高い粘性力は、従来、高い運動エネルギーまたは剪断力が用いられることを要求し、その結果、噴射/高速な液滴の生成が誘導される;
−閉塞作用に敏感な要素の使用を伴わない小サイズの液滴の生成。具体的には、ほとんどの液滴生成器において、液滴は、生成対象の液滴について所望されるサイズ付近のサイズの機械的要素を用いて得られる。このサイズは、用いられる技法がこの種の要素に基づくときは実際の注入器の直径(液滴のサイズは、出口の直径の約2倍である)、または、プロファイル要素(歯、針等)のサイズのいずれかであり、不安定性の発生または剪断力の印加が可能になり、これらの要素のサイズと同様のサイズの基本ボリュームの微細化が誘導される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このため、この文脈において、本発明の主題は、変調可能な液滴サイズ分布を有する低速の液滴を生成するための方法であって、閉塞形成のリスクがなく、かかる方法は:
−液体のストリームを所与の相対衝突速度で支持体に打ち当たらせるステップと;
−前記支持体を少なくとも1つの振動周波数において振動させるステップと;
−衝突により形成され振動させられる液体膜が主温度と呼ばれるものに加熱され、前記膜から組み合わせにより主液滴と呼ばれるものが形成されるように、前記支持体を衝突温度と呼ばれる温度に加熱するステップと;
−前記液滴を搬送/制動/選別システムを介して主液滴を沈殿させるための液体に輸送するステップであって、前記輸送は、輸送温度と呼ばれるものにおいて行われる、ステップと;を含み、
−これらのパラメータ、すなわち、相対衝突速度、振動周波数、主温度、および輸送温度のすべてが、前記形成された主液滴の液滴サイズおよび主液滴の速度を変調することを可能にすることを特徴とする、方法である。
【0016】
本発明の一変形形態によれば、方法は、さらに、一次液滴を形成するように前記液体を事前微細化するステップであって、かかる一次液滴は、場合により典型的には約0.1〜1リットル毎時であってもよい中程度の流量で前記支持体に打ち当たる、ステップをさらに含む。
【0017】
本発明の一変形形態によれば、事前微細化ステップは、前記液体を振動させることにより行われ、場合により特に予備周波数と呼ばれるものにおいてノズルを通じて行われてもよい。
【0018】
本発明の一変形形態によれば、方法は、前記一次液滴の衝突速度に影響を与えるように第1の期間中、第1の振動振幅で前記支持体を振動させるステップと、一次液滴から得られる膜を経由して主液滴の液滴サイズを調節するように第2の期間中、第2の振幅で前記支持体を振動させるステップとを含み、これらのステップは、場合により同時である。
【0019】
本発明の一変形形態によれば、ジェットは、高い液滴流量を得るため連続的である。
【0020】
本発明の一変形形態によれば、前記支持体は、流体の前記連続的なジェットの方向に対して垂直な方向に対して約10度よりも小さい角度(θ
1)をなす。
【0021】
本発明の一変形形態によれば、方法は、前記液滴の合体を低減するとともに静電作用を介した制動/選別を可能にするように、形成された一次液滴および/または主液滴を電界にさらすステップをさらに含む。
【0022】
本発明の一変形形態によれば、衝突温度は、分解対象の液体の沸点と所望される主液滴のライデンフロスト温度との間に位置し、輸送温度は、前記ライデンフロスト温度付近の温度の範囲に属する。
【0023】
本発明の一変形形態によれば、前記主液滴の輸送は、輸送温度と呼ばれるものにおいて行われ、この輸送温度は、主温度と呼ばれるものと異なる。
【0024】
本発明の一変形形態によれば、液体は、室温において約10センチポイズよりも高い粘性を有する粘性の液体であり、場合により特に硝酸ウラニル溶液またはポリビニルアルコール(PVA)などのレオロジ調節添加剤を含有するアクチニド溶液である。
【0025】
本発明の一変形形態によれば、形成される膜は、厚さが約数十〜数百ミクロンである。
【0026】
振動周波数は、約数ヘルツ〜数ヘルツ〜約数十キロヘルツであると有利である。
【0027】
本発明の一変形形態によれば、衝突速度は、約数センチメートル/秒〜約100メートル/秒である。
【0028】
本発明の一変形形態によれば、ステップのすべては、チャンバにおいて行われ、かかるチャンバは、前記チャンバの外側の大気に対して真空下にある。
【0029】
本発明の別の主題は、変調可能な液滴サイズ分布を有する液滴を生成するための装置であり、かかる装置は:
−液体を支持体上に前記液体が前記支持体に打ち当たるように噴射するための手段と;
−前記液体の衝突速度を調節するための手段と;
−前記支持体を主周波数で振動させるための手段と、前記膜から主液滴と呼ばれるものが形成されるように前記液体が主温度と呼ばれるものに加熱される温度に前記支持体を加熱するための手段と;
−前記主液滴を格納区画に輸送するための手段であって、前記輸送は、輸送温度と呼ばれるものにおいて行われる、手段と;を備えることを特徴とする。
【0030】
本発明の一変形形態によれば、装置は、加圧された液体のレザーバと事前微細化のための注入器とを備える。
【0031】
本発明の一変形形態によれば、噴射手段は、打ち当て対象の支持体上に連続的な流れる膜を噴射し、前記支持体は、平らでなく場合により凹状の軸対称三次元形状、特に半球状を有し得る表面を有する。
【0032】
本発明の一変形形態によれば、液体を噴射するための手段は、前記液体を一次液滴に事前微細化するための手段と、前記一次液滴を前記支持体上に噴射するための手段とを備える。
【0033】
本発明の一変形形態によれば、液体を一次液滴に事前微細化するための手段は、ノズル型の真直なまたはテーパ状の出口を備える。
【0034】
本発明の一変形形態によれば、事前微細化手段は、場合により予備周波数と呼ばれるものにおける振動を発生させる圧電変換器を備える、超音波生成器を備える。
【0035】
本発明の一変形形態によれば、事前微細化手段は、さらに、反オーバーフローシステムを備える。
【0036】
本発明の一変形形態によれば、支持体は、主液滴を収集するための案内溝を備える。
【0037】
本発明の一変形形態によれば、支持体を振動させるための手段は、圧電素子を備える。
【0038】
本発明の一変形形態によれば、収集手段は、前記一次液滴を沈殿させるための溶液に輸送するための手段を備える。
【0039】
本発明の一変形形態によれば、輸送手段は、電磁制動手段を備える。
【0040】
本発明の一変形形態によれば、輸送手段は、前記支持体に対して傾斜したランプを備える。
【0041】
本発明の一変形形態によれば、輸送手段は、前記主液滴を選別するための手段をさらに備える。
【0042】
本発明の一変形形態によれば、輸送/制動手段は、回転駆動されるカルーセル受け口を備える。
【0043】
本発明の一変形形態によれば、装置は、前記液体を噴射するための手段、前記支持体、および前記支持体を振動させるための手段を備える制御圧力チャンバと、前記チャンバにおいて真空を形成するための手段とを備える。
【0044】
後続の非制限的な説明を読むことにより、および添付の図面により、本発明がより良好に理解され、他の利点が明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の方法を
図5において概略的に提示し、かかる図は、本方法のすべての主な構成ステップと、前記方法のいくつかの任意選択または代替のステップとを示す:
−本発明の方法の任意選択の最初のステップEt
0において、液体を微細化して一次液滴G
ou1のセットを得る;
−本発明の一変形形態によれば、最初のステップを帯電操作Et
1’と呼ばれるもので補ってもよく、かかる操作の目的は、前記一次液滴を互いから隔離された状態に保つことである;
−一般に、および第1のステップEt
1において、支持体との衝突を介して、連続ジェットの形態を取る液体Liqから、または一次液滴G
ou1の各々から、液体膜が形成される;
−次に、ステップEt
2において、この膜を振動および好適な温度にさらして、較正された液滴サイズの主液滴G
oupのセットを得るように前記膜を微細化する;
−次に、ステップEt
3において、前記主液滴が輸送され、帯電ステップEt
3’と呼ばれるものを行うことが可能であると有利であり、かかるステップの目的は、前記主液滴を互いから隔離された状態に保つことである;
−最後に、前記主液滴を輸送/選別/制動するステップEt
4が行われ、このステップは、場合により、ある変形形態によれば、特に静電力を用いて前記液滴を案内および選別するステップを含むと有利である。
【0047】
これらの操作のすべては、中心制御操作E
Pilにより制御されると有利であることに留意されたい。
【0048】
一般に、および本発明の方法によれば、衝突ステップと呼ばれる第1のステップが設けられ、このステップは、所望される液滴を形成するため微細化されることが意図される膜を形成するため、支持体、典型的には支持板上に加圧された流体を噴射するステップである。
【0049】
本発明の第1の変形形態において、中程度の流量の実施の文脈において、制御された液滴サイズの液滴を形成することが所望される液体を事前微細化する最初のステップが設けられる。
【0050】
図6に示すように、この液体は、加圧レザーバR
1から来る。液体は、注入器Inに送られる。この変形形態によれば、流体を事前微細化することが可能なサブシステムも設けられる。
【0051】
かかるサブシステムは、
図6に示すように、粘性の液体が高い閉塞のリスクを伴うことなく用いることが可能なように少なくとも200ミクロンの直径を有する、場合によりノズル型の、真直なまたはテーパ状の出口を含んでもよく、任意選択により、オプション1に対応する、特に沈殿作用による閉塞のリスクを制限するため、特に不活性ガスg
intの流れにより保証される洗浄システムを保有する。水晶圧電アクチュエータP
iezoにより、一次液滴G
ou1のストリームを注入された液体Liqから生成することができる
【0052】
代替として、およびオプション2に対応して、事前微細化は、オーバーフローF
Dを示す矢印により示されるフィードA
lを介して給送され、いずれのノズルの出口における閉塞のいずれのリスクも排除し、圧縮ガスシリンダB
1に接続されるか、または実際、出口セクションが沈殿生成物(例えば、アンモニア)の蒸気に富んだ周囲の雰囲気に接触しないように分散対象の溶液に入っていく柔軟チャンバCh
sを備えるオーバーフローシステムにより保証されてもよい。
【0053】
出口に対して鉛直な生成された液滴G
ou1は、体積流量Qにより設定される直径d
0を有し、かかる体積流量Qは、レザーバR1の圧力および圧電性結晶の周波数fにより制御される。この直径d
0は、次式により概ね第1のオーダまで与えられる:
【数1】
式中、αは特に出口のオリフィスの直径に依存する定数である。
【0054】
オプション2について、直径は、オーバーフローの物理化学的特性と、その流量と、事前微細化を支持する表面(この場合、重力)のジオメトリおよび表面仕上げとに依存する。
【0055】
上記のサブシステムにより生成された液滴は、固体壁に対して衝突させられる。一般に、液滴が平らな固体表面に打ち当たると、液体膜が生成され、固体表面上におけるかかる液体膜の形状は、以下のように定義されるパラメータβおよびξにより表し得る:
【数2】
式中、Dは時間の関数として変化する液体の膜の直径であり、D
0は衝突前の液滴の当初の直径であり;
ξ=h/D
0
式中、hは、時間の関数として変化する、壁に打ち当たる液滴により発生する液体の高さである(
図8参照)。
【0056】
パラメータβは、ある閾値が達せられるまで時間とともに変化し、この閾値は、液体における移動の量が、流体を限られたエリア内に保つ傾向がある表面張力により誘導される力に相当するという事実に対応する。この閾値の最大値は、主に、ウェーバ数Weの関数である。
【0057】
概ね:
βmax#We
0.25
式中、Weは、流体力学において多相系の界面における流体流を特徴付けるために用いられるウェーバ数である。ウェーバ数は、表面張力に対する慣性力の比に対応する。
【0058】
ウェーバ数は、次のように定義される:
【数3】
式中:
−v:速度;
−L
c:特徴的長さ;
−ρ:密度;および
−σ:表面張力。
【0059】
この閾値を越えると、液面は、収縮するか、またはある条件下で自然に微細化し、
図7に示すように二次液滴を形成し、かかる図は、レイノルズ数Reおよびオーネゾルゲ数
【数4】
の関数としての液体膜の堆積条件を示し、図中、K=We
0.5Re
0.25であり、堆積領域Re
dに対する自然微細化の領域Re
fracを示す。
【0060】
他の場合、当初の液滴は、本発明の文脈において所望されないはね返りが観測され得る。
【0061】
パラメータβに加え、パラメータξを導入することが可能であり、かかるパラメータξは、衝突後の変形された液滴の高さの前記液滴の当初の高さに対する比を表す。
図8は、衝突後の時間T
impの関数としてのパラメータβおよびξの典型的な変化を示す。
【0062】
βの最大値が達せられるためにかかる時間は、少なくとも相当従来の衝突条件下で(すなわち、数十メートル毎秒にすぎない速度について、およびニュートン流体について)、流体の性質および注入条件にほんのわずかに依存する。この意味において、多くの場合、最大拡散時間の大きさのオーダは、約1ミリ秒である。この長さの時間の間、液体を拡散させる慣性力は、拡散に抗する表面張力に関する力よりも大きい。
【0063】
本発明の第2の変形形態によれば、および一般に高流量で液滴を生成するとき、連続的なジェットを
図9aおよび
図9bに示すような板に直接衝突させることにより、液滴への微細化を伴うことなく液体膜を生成することを選ぶことが可能であり、これらの図は、それぞれ、液体のジェットJ
Liqから形成される液体層N
Liqの側面図および上面図であり、これらの図は、液体の厚さを制御するためのパラメータとして角度θ
1、θ
2および噴出速度を有する液体膜を生成するためのシステムを示し、膜の背面プロファイルPr
rおよび前面プロファイルPr
viを示す。
【0064】
非常に薄い膜を得るため、液体のジェットに、ベクトルが場合により前記板の表面に対して垂直でなく、代わりに板に対する垂線に対して角度θを形成する速度を与えることが好ましく、かかる角度θは、小さく(10°よりも小さく)保たれる。これにより、膜の微細化後に生成される液滴の後続の収集について所望される方向の流れに好適な進路を与えることが可能になる。
【0065】
図10は、この点において、支持体として非平坦面が用いられる変形形態を示し、支持体は、振動ゾーンZ
vibを形成するため振動させられる。従って、液体のジェットJ
Liqが凸表面S
Convに打ち当たる。拡大図は、液体膜と固体表面との相互作用を示す。液滴G
oupを形成するために所望される温度を得るため、加熱壁Pa
cが設けられている。
【0066】
この変形形態によれば、形成された主液滴を収集するため案内溝r
guidが設けられ、アセンブリは、静電気収集手段のコンポーネントである蓄電板p
cdの間に配置される。
【0067】
この場合、膜の厚さは、液体の本質的特性に依存するが、ジェットの速度にも依存する。その上、濡れた表面の周縁上において、濡れた表面が例えば平らである場合、液体流の線が収束してより太い液体ゾーン(濡れた表面の中心ゾーンにおける膜の厚さと比べて)を形成する。この作用の影響を制限するため、本変形形態によれば、半球またはより一般にはある凹状の軸対称三次元形状(例えば、円錐、卵形等)により提供されるものなどの非平坦面を用いることが提案される。
【0068】
液体膜の厚さは、定常的な流動様式におけるニュートン液体の場合、次の関係式により近似し得る:
【数5】
式中、W=S/δ(Sは液体の断面積)、Qvは液体の体積流量、δはPa・sを単位とする粘性である。
【0069】
液滴を拡散させることにより得られる液体膜の厚さと表面上に液体を流すことにより得られる液体膜の厚さとを比べると、それらは、同様の大きさのオーダ(半球状を流れる水の膜については250μm、1m/s付近の衝突速度について直径が1mmの水液滴の衝突により形成される膜の厚さについては100〜200μm)を有すると考えられ得る。しかし、粘性は、膜の厚さおよび膜の流れ面積に無視できない影響を有することもあり、ある流れ面積(膜の特徴的長さに対応する)を越えると、所与の体積流量については、液体膜の厚さにおける減少が観測されることがもはや期待されない(濡れ性限界が到達される)ことに留意されたい。この限界は、
図12における曲線12aおよび12bを用いて近似されることもあり、かかる図は、流れ面積における連続的な増加(所与の流量について)にもかかわらず膜厚が緩やかに変化することを示す。
【0070】
従って、60cpの粘性(室温において)を有する高粘性膜(例えば、
図12bの、硝酸ウラニルおよびPVAの溶液に対応するブロス)の厚さ限界は、約400μmであると考えられ、一方、室温において1cp付近の粘性を有する水の場合、100μmの厚さが得られる(
図12a)。
【0071】
発明者は、以下を制限することが可能になるため、真空下で作用することが特に有利であり得ることを観測した:
−液体/固体接触角度(ひいては膜の厚さ限界);
−「スプラッシュ」または「飛散」と呼ばれる作用に対応する、液体/壁の衝突時における液体の微細化する傾向。
【0072】
それを下回ると自然の微細化がもはや観測されない圧力閾値Pcは、衝突速度および動粘性率(20℃の水については、10
−6センチストークス(cSt))に依存する。第1の近似として、この閾値は、kPaを単位として表される次の関係式:
【数6】
により与えられることができ、式中、a、b、およびcは、各種類の液体について経験的に決定することが可能な定数である。
【0073】
V
0は流体ジェットの衝突速度であり、V
Lは動粘性率である。
【0074】
この関係式から、粘性の液体は、低い粘性の液体よりも低い臨界「飛散」圧を有することに留意されたい。このため、飛散を扱うための異なる可能性のある方策が存在する:
−液滴のサイズ分布が満足いくものであれば、直接の飛散を促進する;
−または、動作圧を低下させることにより飛散のない堆積を促進する(粘性の液体の蒸気圧は、より粘性の低い液体の蒸気圧よりも低いため、これは、ほとんどの場合、粘性の液体について容易に想定することが可能である);
−または、他の方法で容易に防止することができない(液体の特性およびプロセスの制約に依存して)いずれの飛散も防止するため、連続的なジェット注入を(液滴の注入よりも)優先する。
【0075】
この点において、
図11は、水(曲線11a)および「ブロス」(曲線11b)についての液滴の速度の関数としての臨界「飛散」圧における変化を示す。
【0076】
また、超親水性の表面は、薄膜の形成を促進するために用いると有利であり得る。しかし、この方策自体は、この親水性が表面仕上げに大いに依存するため、満足のいくものではない(その上、加えて、親水性が高すぎる表面も、第2のステップにおいて膜の微細化を妨げるため、不利益であることもあり、かかる膜は、この微細化が生じるためには、接触面にあまりにも強く結合されてはならない)。ほとんどの場合、工業生産において、膜の形成中に、堆積物の形成を防止することが可能でないので、表面の親水性は、一般に、時間とともに低下するのみである。このため、パラメータの組み合わせを用いて、特に最適化された表面ジオメトリを介して、最適な堆積条件を設定することが必要である。
【0077】
この点において、
図12は、様々な液体−曲線12a:水および曲線12b:「ブロス」−について半径Rの球形ドーム上を流れる液体膜の厚さDeltaを示す。
【0078】
一般に、比較的薄い液体膜を得るために主液滴を獲得するための一次液滴の微細化の場合、理想的には、値β
maxを達成する(ひいては特徴的時間τの間待つ)ことが必要である。
【0079】
用いられる衝突モードが液体ジェットまたは一次液滴のジェットのいずれであれ、本発明の方法は、第2のステップにおいて、支持体上に形成された膜の微細化を提供し、また、液体を微細化する(また、微細化により形成される液滴の直径を設定する)ため、振動を印加することにより送達されるエネルギーを用いて自由表面を微細化する文献において既知の作用が液体の固有周波数に部分的に依存するという事実を考慮に入れて、この作用を用いることを提案する。
【0080】
この固有周波数に対する自由度を得るため、本発明は、液体の膜を用いることを提案し、かかる膜の小さい厚さは、液体に与えられる運動エネルギーにより制御され、この膜は、その上、固体支持表面により送達される振動エネルギーにさらされる。このアプローチにより、膜の厚さと支持表面の周波数/振幅との同時の制御を介して、より大きい柔軟性を達成し、必要であれば広い液滴サイズの分布にわたる直径を得ることが可能になる。
【0081】
その上、この作用を増幅するため、支持表面の温度は、それ自体、特にライデンフロスト温度と呼ばれるものに対して制御される。この温度は、従来技術において定義され、非常に熱い支持体上に噴射された液体または流体の液滴が球形になる熱力学的作用に関連付けられる。ライデンフロスト温度は、壁に載っている液滴の寿命(すなわち、液体が完全に蒸発するまでの時間)が検討中の液体の沸点を上回る温度範囲において最大化される壁温度として定義される。
【0082】
次いで、以下のステップにより非常に小さいサイズ分布を有する液滴を得ることが想定され得る:
−液体膜の厚さを制御するステップと;
−このように形成された膜に十分な振動エネルギーを送達するステップと;
−壁の温度の影響を用いるステップ。
【0083】
具体的には、壁に印加される振動エネルギーが適切でないかまたは存在しない場合、液滴の自然な微細化が生じる(液滴の直径について言えば、広い液滴サイズの分布またはいくつかの集団を伴う)か、または微細化が生じない。
【0084】
熱い壁が適切な振動にさらされる場合、一次液滴の強制的な微細化により発生した主液滴は、より小さい平均直径を有し、主液滴のサイズ分布は、より狭くなる。
【0085】
良好な微細化を得るため、ある大きさのオーダまで、液体膜が基本ボリュームに微細化されることが必要であり、かかる基本ボリュームの特徴的長さは、膜のおよそ最小厚であることが思い出されよう。これを行うため、振動(より正確には、衝突面の振動移動)は、およそ比Rmax/hminに対応する最小の回数だけ繰り返すことが有利であり、式中、Rmaxは、衝突の結果生じる濡れた表面の最大半径であり、hminは、衝突が継続する時間(すなわち、拡散中)における膜の最小厚である(Rmax/hminは、従来、5〜15である)。第1の近似として、拡散時間は、ほとんどの条件下およびほとんどの液体について、1〜5msであると考え得る。このため、衝突面は、ある大きさのオーダにより、少なくとも約1kHzの周波数で振動することが必要である。
【0086】
その上、振動周波数が高すぎると、小さすぎる液滴が生成され、本発明により目標とされる工業アプリケーションについて無用なもやを形成し、この周波数制限は、約数十キロヘルツである。
【0087】
図13は、液滴の熱い平らな振動面上への衝突中に発生する様々な作用の可能性のあるシーケンスの例を示す。液滴Gouの運動エネルギーの調節と液体膜に印加される振動周波数とに関する理由のため、本発明の一変形形態において、2つの振動を印加することが提案される:相対衝突速度の調節を可能にする一方の期間T
1および振幅d;特徴的な微細化の長さ(ひいては主液滴のサイズ)を設定する他方の期間T
2および振幅dl。衝突点P
impは、一次液滴の支持体上への衝突を表し、振動は、支持体の平面に対して垂直な軸に沿った変位速度v
dimpと、変位d
impとにより表される。
【0088】
流れる膜が事前微細化なしで微細化される場合、微細化の原理は、振動させられるゾーンが(任意選択により)ジェットの衝突ゾーンと別である点を除き、上記の場合と同じである。
【0089】
また、流れる膜の場合、膜の運動エネルギーは、特に(一次液滴の場合と比べて)液体の粘性および表面張力に関する力の作用を介して(液滴の場合とは対照的に)先験的に減少する傾向がないことに留意されたい。微細化を得るために液体膜に伝達される振動エネルギー密度(すなわち、微細化対象の膜の単位質量当たりのエネルギー)は、このように、より高い(液滴の場合と比べて)ものであると考えられ得る。このため、膜の厚さ(ひいてはそれを得るために流体に伝達される運動エネルギー)と微細化を保証するために要求される振動エネルギーとの間に妥協が見られる。
【0090】
従来、流れる膜に求められる厚さは、液滴が単純に平らな表面に打ち当たるときに得られる液体の厚さと同様であり得る。
【0091】
流れる膜の場合、微細化周波数は、液滴の微細化について検討される場合よりも高く、もやが生成されない。この意味において、印加される周波数は、場合により20kHzを超える。その上、振動により伝送されるエネルギーは、流れる膜の運動エネルギーよりも少なくとも高くなければならない。
【0092】
これを行うため、周波数fと膜に印加される振幅aとの積は、膜の流量v
Lよりも高くなければならない:a・f>v
L(流れる膜の微細化のための必要条件)。
【0093】
その上、大きさの第1のオーダまで、振幅は、膜の厚さと同様でなければならない。これらの理由のすべてのため、振動エネルギーを膜全体でなくその最も薄い部分だけに印加するのが有用であり得る。
【0094】
形成された液滴を沈殿液の方向に輸送するステップに関して、前記液滴を球形状態に保つことが重要である。輸送中に壁に適用される温度は、特定の温度である。具体的には、液滴の微細化中と輸送中とに用いられる作用は完全に同じではないため、衝突の時点における温度と輸送のための温度とは、異なり得る。例えば、衝突ゾーンにおける壁の温度が高すぎると、液体は、微細化するよりもむしろはね返る。さらに、温度が高すぎると、液滴が形成される液体の蒸発率が増加するが、温度が低すぎると、得られる気体界面膜が、液滴の球形度を保つとともに液滴が壁の上方に浮遊することを保証するために十分に熱くないことを意味する。
【0095】
壁の温度が高すぎれば(水の場合、約280〜300℃)、液体ははね返ることもあり、一方、壁の温度が低すぎれば、液滴は十分に球形にならず、それらの移動はより不規則なものになる。
【0096】
その上、液滴輸送手段は、流れに好適な方向を付与するため、壁と垂線との間の角度が90°以外であることを要求し得ることに留意されたい。
【0097】
ここで、前記主液滴を分離または制動するための手段をより詳細に説明する。
【0098】
これらの手段は、特に、以下のいずれかを用いてもよい:
−液滴サイズの選択を達成し、且つ、形成された液滴を制動する静電作用(オプション1);
−または、運動エネルギーの散逸を介した物理的な案内および制動(オプション2)。
【0099】
オプション1において、用いられる効果は、液滴の低い変位速度のため必然的に要求される強い電界がなくても関連付けられ、重力に打ち勝ち、液滴を制動することが可能になる。
【0100】
液滴の輸送のために液滴の速度および軌跡を制御できるようにするために行われる第1のステップは、電荷の伝送であり、かかる送信は、場合により液滴生成プロセスにおける異なる段階において行われる。電荷が液体に伝送されるため、液滴は、移動中に合体せず、微細化後に電界Eを印加することにより液滴の軌跡を修正することができる。
図10に示すように、この電界は、2つの蓄電板の間に印加してもよい(液体が当初拡散する凸表面に電荷を印加することにより電荷を液体に伝送してもよい)。当初の軌跡(速度ベクトルVoに対する)において誘導される偏位Xは、次式により与えられる:
【数7】
式中、Eは電界であり、Rは液滴の直径であり、voは電界に進入する際の当初の速度であり、αは特に液体の性質に依存する比例定数である。
【0101】
このように、電界は、液滴の軌跡を修正することにより液滴サイズ選択を行うために用いてもよいが、一旦選択が行われたら(または潜在的に事前に)軌跡を制動するために用いてもよい;後者の場合、電界Eは、全体的に、液滴の流れを特徴付ける速度ベクトルに対してほとんど反対方向に配向しなければならない。
【0102】
Voと共線的な(しかし反対方向の)電界の場合、制動時間(すなわち、当初の速度Voをゼロに低減するために要求される時間)は、次式により与えられる:
【数8】
式中、α’は、特に液体の性質に依存する比例定数である。
【0103】
一般に、液滴を完全に停止させることは所望されないが、その変位速度を十分に、すなわち、想定される工業アプリケーションに適合する速度に、減少させることが所望される。ゾル−ゲルプロセスの場合、要求される速度は、10cm/sより低くてもよい。
【0104】
オプション2において、運動エネルギーの散逸を介した物理的な案内および制動の場合、ライデンフロスト作用を用いて液体の液滴を熱い壁からはね返らせる。
図10は、案内溝(任意選択により、液滴の電荷と反対の極性の電荷で帯電させてもよい)を示すことによりこの可能性を示す。
【0105】
図14は、本発明の液滴生成プロセスの実施を可能にする、本発明による装置の完全な例を示す。
【0106】
この装置は、真空ポンプP
videによりポンプダウンされていると有利なチャンバE
ncを備える。このチャンバは、膜を形成することが意図された液体または一次液滴を受けて加熱するための手段Csiと、所望される主液滴を形成するために前記膜を振動させる(P
vibおよびP
iezo2を介して)ための手段とを備える支持アセンブリS
uppを備える。
【0107】
拡大図は、振動させられる支持体を示し、前記支持体は、加熱要素RCと、要素P
iezo2と、アセンブリを強化する側方要素S
latとを備える。例えば、推奨される周波数で振動させることが容易となるように、また、生じ得るいずれの化学攻撃にも耐えることが可能であるように、Teflonまたは同様の材料で作製された高熱流束(典型的には、5W/cm
2よりも高い)、低重量、柔軟な抵抗加熱器を用いてもよい。
【0108】
チャンバは、液体L
iqが給送された注入ノズルB
injを備える液体注入システムを備える。
【0109】
液体または一次液滴の振動支持体への衝突のゾーンを制御することを可能にする中心化手段が設けられると有利であり、かかる手段は、光学的調節および視覚化手段を備える。より正確には、この目的のため、チャンバに、フォトダイオードP
hotoに連結された光ファイバf
ibが装備される。
【0110】
また、形成された主液滴を収集するための手段も前記チャンバに組み込まれており、かかる手段は、前記液滴を収集するためのゾーンへの通路のためにチャンバの外部と連通するように配置されなければならない。この目的のため、液滴を真空チャンバからその外部に搬送するための支持体と気密システムとの間のランプとして役立つ上部板P
supが設けられると有利であることもあり、このシステムは、典型的には、カルーセルC
arである。
【0111】
前記カルーセルの拡大図は、カルーセルに進入する液滴G
oupiの流れを示し、かかる液滴は、カルーセルにおいて選別され、制動された後、液滴G
oupsの流れとしてカルーセルから外に出て、カルーセルは、その上、エアロックとして役立つ、すなわち、液体の固体支持体上への衝突中に印加される圧力と後に用いるための液滴の処理中に印加される圧力との間で圧力を変化させることを可能にする。
【0112】
一般に、上記の装置の動作に関わるすべてのパラメータは、以下のような制御システムにより制御してもよい。
【0113】
より正確には、かかる制御システムは、生成された液滴についての平均直径設定点および/または液滴についての生成率に近付くように、プロセス/装置の動作パラメータを調節することが意図される。これを行うため、以下のパラメータを入力データとして用いてもよい:
V
0:ΔPr(液体が供給されるレザーバの圧力)を介して、または振動衝突面の移動を介して調節可能な、液滴または液体ジェットの衝突速度;定義するパラメータは、中でも、相対衝突速度Vr、すなわち、板と液滴またはジェットとの間の速度であることに留意されたい;
D
0:液滴の直径または衝突前の液体ジェットの直径;
f
1:高振幅a
1の固体表面の振動の周波数;
f
2:低振幅a
2の固体表面の振動の周波数;
Tp
1:衝突された壁の温度;
Tp
2:二次液滴の輸送を保証する壁の温度;
ΔE
0:液体を微細化し帯電させることを可能にする電位差;
E
1:生成される液滴の液滴サイズの選択を可能にする静電界;
E
2:制動静電界;
θ
1およびθ
3:それぞれ、液体膜を形成するための表面に対する垂線と落下する液滴または液体ジェットの速度ベクトルとの間の衝突角度、および垂線と生成される液滴の輸送平面との間の角度;
P:液滴が打ち当たる固体表面における大気圧。
【0114】
長さl(蓄電板の長さ)は、固定されている。その上、プロセス中に良好な作用の恩恵を得るため、微細化対象の液体の特性を修正することが想定され得る。これは、特に以下により達成してもよい:
−特にライデンフロスト作用を増幅するとともに液滴の寿命を増加させるため、微細化対象の液体よりも低い蒸発温度を有する飛来化合物を潜在的に添加するステップ;
−粘性および/または表面張力を低下させる化合物を潜在的に添加するステップ。
【0115】
制御パラメータを調節するため、前述の法則が、コントローラ(例えば、PID、すなわち、所謂比例積分微分コントローラ(従来の命令/制御電子装置)も組み込んだプロセッサにより用いられることで、(主)液滴についての直径設定点(および/または液滴の速度)が守られていることが保証され、かかる値(平均直径ならびに/または液滴のサイズおよび/もしくは速度)の目標は、必要であれば画像解析で補われる光学的診断を介して測定される。
【0116】
前述のパラメータは、例えば、以下の範囲であると有利であり得る:
【0118】
その上、ある条件下で(特に粒径範囲を狭めることに対して)、パラメータ対(D
0、Vr)が以下の不等式を守ることが有利であり得る:
【数9】
【0119】
粘性および表面張力特性が水と同様の液体がサイズ約100μmの液滴を得るため、調節対象のパラメータの以下の指示値が好適な値を表す。