(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は、本発明の実施形態である配電部品を備えた三相交流の集中巻きモータのステータの斜視図である。本例のモータは、円環状のステータ12と、配電部品40とを備えた、ブラシレスモータである。なお、ロータは、円環状のステータ40の内周に設けられる。
【0011】
ステータ12は、ハウジング11内部に圧入や焼き嵌め等によって固定されている。ハウジング11は、円環状に形成され、モータ1の外周に配置されている。ハウジング11は、ステータ12を保持するための部材である。ステータ12は、複数のステータ片を円環状に配置されることで構成される。
【0012】
ステータ12を構成するステータ片は、ステータコア121と、ボビン122と、コイル30を備えている。ステータコア121は、複数の板状の鋼板を積層することで構成される鉄心である。ボビン122は、コイル30を保持する保持部材であって、コイル30とステータコア121との間で絶縁するために、絶縁材で形成されている。コイル30は、導線をボビン122に巻回することで形成され、導線を巻きまわして形成された当該コイル30がステータコア121のティース(図示せず)に取り付けられることにより、ステータ片が形成されている。そして、これらで構成される複数のステータ片が、ハウジング11の外周に沿うように、中心軸を中心に円環状に配置されている。これによりステータ12は、外形円環状に形成されるとともに、内周に沿って等間隔に複数のコイル30が円環状に配置されて形成される。
【0013】
各コイル30は、U相のコイル31、V相のコイル32及びW相のコイル33のいずれかコイルである。U相のコイル31、V相のコイル32及びW相のコイル33は、U相、V相、W相の順で円環状に並べられている。コイル30の両端は、ステータ12の内方及び外方に、ステータ12からそれぞれ導出されている。そして、モータ1の内方(ロータ側)に導出されたコイル30のそれぞれの一端は、中性端子(図示しない)を介して、同一電位に集結して接続されている。また、コイル30のそれぞれの他端は、配電部品40に接続されている。
【0014】
配電部品40は、モータの電源からの電力を、各相のコイル30に分配し給電するバスリングであって、モータ20と電源との間に接続されている。
配電部品40はステータ12の中心軸方向端面に沿った円環形状を成し、円環状に配置されたコイル30とハウジング11との間であって、ステータ12を形成する各ステータ片の外周部には、配電部品40を保持するためのスペースが設けられている。当該スペースは、ボビン122の形状により形成されてもよい。そして、配電部品40は当該スペースに固定されている。
【0015】
モータの回転軸は、ロータの中心点を通り、ハウジング11の中心軸となる。そして、ステータ12の中心軸、円環状に配列された複数のコイル30の中心軸、及び、円環形状の配電部品40の中心軸は、本例のモータの回転軸と同心になっている。
【0016】
次に、
図1〜
図4を用いて、配電部品40の構造について説明する。
図2は配電部品40の斜視図である。
図3はバスバーの斜視図であって、
図2で示す配電部品40から、結線端子44、給電端子45及びモールド部46を除外した図である。
図4は、トーラス体の一部を切断した部分斜視図であって、後述するトロイダル方向及びポロイダル方向を説明するための図である。
【0017】
図2に示すように、配電部品40は、複数のバスバー41〜43と、結線端子44と、給電端子45と、モールド部46とを備えている。バスバー41〜43は、断面を円とした導線(丸線導線)により形成されている。バスバー41〜43は、モータの各相に対応しており、バスバー41がU相のコイルに給電するための配線であり、バスバー42がV相のコイルに給電するための配線であり、バスバー43がW相のコイルに給電するための配線である。
【0018】
そして、バスバー41〜43は、
図3に示すように、3本の導線を交差しつつ、束ねられ、ステータ12の中心軸方向端面に沿った環状に、言い換えると、略トーラス状に曲げられている。バスバー41は、バスバー42、43と交差している交差部411と、バスバー42、43と交差していない非交差部412とを有している。バスバー41は、この交差部411と、非交差部412とを所定間隔ごとに繰り返しつつ、環状に曲げられている。一本のバスバー41あたりの非交差部412の数が、コイル30の数と同数になるように、交差部411及び非交差部412が形成されている。そして、バスバー41の両端には、給電端子45と接続するための引き出し部413が形成されている。引き出し部413は、交差部411及び非交差部412で形成される円から、外側に導線を引き出すことで形成されている。
【0019】
交差部411は導体を樹脂等で被覆した被覆導体により形成されている。また非交差部412は、当該被覆導体の部分と、導体の一部を露出した部分とにより形成されている。そして、非交差部412のうち、導体が露出した部分が、後述する結線端子44との接続部分になる。
【0020】
バスバー42は、バスバー41の構成と同様であり、バスバー41、43と交差している交差部411、バスバー41、43と交差していない非交差部412及び引き出し部423を有している。引き出し部423は引き出し部413と同様の形状である。また、バスバー43は、バスバー41、42の構成と同様であり、バスバー41、42と交差している交差部411、バスバー41、42と交差していない非交差部412及び引き出し部433を有している。引き出し部433は引き出し部413、423と同様の形状である。
【0021】
バスバー41は、交差部411及び非交差部412がトロイダル方向(
図4を参照)に交互に並べられている。交差部411を介して隣接する非交差部412について、非交差部412の位置から、交差部411で径方向(上記中心軸に対して垂直な方向)に屈曲させて、ポロイダル方向に120度回転し、元の非交差部412の高さ(軸方向の位置)とは異なる高さになるように、バスバー41は形成されている。そして、バスバー42及びバスバー43もバスバー41の交差部411と同じ部分で、ポロイダル方向に120度回転することで、曲げられている。そのため、バスバー41〜43の、交差部411を介して隣接する非交差部412について、隣接する非交差部412のバスバー41〜43は互いに異なる相になりつつ、バスバー41〜43のうち非交差部412に相当する部分の位置は、バスバー41〜43の中心軸を含む平面による断面において同一になる。
【0022】
次に、
図3及び
図5〜7を用いて、非交差部412の位置についてさらに説明する。
図5は
図3のV-V線に沿う断面図を、
図6は
図3のVI-VI線に沿う断面図を、
図7は
図3のVII-VII線に沿う断面図を示す。
図3で示すX-Y-Zの直交座標系に対して、
図5〜7では、R-θ-Zの円柱座標系のうち、R-Zの座標系を示している。各座標系において、トーラス状のバスバー41〜43の環状の中心点が原点に相当する。
図5〜
図7において、一点破線Lは、バスバー41〜43の中心軸に相当し、またモータの回転軸にも相当する。なお、
図5に示すバスバー41の断面部分が、後述する結線端子44との接続部分になり、同様に、
図6に示すバスバー42の断面部分、及び、
図7に示すバスバー43の断面部分が結線端子44との接続部分となる。
【0023】
図5に示すように、中心軸Lから、中心軸Lに対して垂直な方向であって、バスバー41〜43の径方向への、バスバー41の非交差部412までの距離、言い換えると、バスバー41の径方向における、バスバー41〜43の中心軸からバスバー41の断面の中心点までの距離をr
1とする。また、バスバー41〜43の中心軸の軸方向と平行な方向を主面とした基準面Aに対して、バスバー41までの高さ(バスバー41の断面の中心点までの高さ)をh
1とする。
【0024】
同様に、
図6に示すように、中心軸Lから、中心軸Lに対して垂直な方向であって、バスバー41〜43の径方向への、バスバー42の非交差部412までの距離、言い換えると、バスバー42の径方向における、バスバー41〜43の中心軸からバスバー42の断面の中心点までの距離をr
2とする。また、バスバー41〜43の中心軸の軸方向と平行な方向を主面とした基準面Aに対して、バスバー42までの高さ(バスバー42の断面の中心点までの高さ)をh
2とする。
【0025】
同様に、
図7に示すように、中心軸Lから、中心軸Lに対して垂直な方向であって、バスバー41〜43の径方向への、バスバー43の非交差部412までの距離、言い換えると、バスバー43の径方向における、バスバー41〜43の中心軸からバスバー43の断面の中心点までの距離をr
3とする。また、バスバー41〜43の中心軸の軸方向と平行な方向を主面とした基準面Aに対して、バスバー43までの高さ(バスバー42の断面の中心点までの高さ)をh
3とする。
【0026】
そして、非交差部412において、距離r
1〜r
3が同じ距離になり、高さh
1〜h
3が同じ高さになるように、バスバー41〜43が配置されている。また、
図5〜
図7に示すように、バスバー41〜43の非交差部412は、中心軸Lを含む断面(
図5〜7の紙面に相当)において、正三角形の形状になるよう配置されている。
【0027】
これにより、バスバー41〜43の非交差部412は、中心軸Lを含む平面による断面において、上記三角形の一辺を中心軸Lと平行にし、かつ、当該一辺の両端である頂点を、中心軸Lからの径方向(
図5〜
図7のR方向に相当)で、当該一辺に含まれない頂点より内側になるように配置されている。
【0028】
また、
図3に示すように、
図5に相当する非交差部412は、交差部411を介して
図6に示す非交差部412と隣接しており、
図6に示す非交差部412は、交差部411を介して
図6に示す非交差部412と隣接している。そのため、交差部411を介して隣接する非交差部412の位置のうち、一方の非交差部412の位置は、他方の非交差部412の位置に対して、中心軸Lを含む平面による断面において、上記正三角形の重心を中心に120度回転するよう配置されていることが分かる。
【0029】
ゆえに、バスバー41〜43の中心軸上の任意の点を原点(例えば、中心軸Lと基準面Aの原点)とし、バスバー41〜43の各非交差部412を円筒座標系で示し、中心軸Lを座標軸の一つとした場合には、非交差部412の位置は、角度成分を除き、同一座標で表される。
【0030】
次に、
図8を用いて結線端子44の構成について説明する。
図8は結線端子44の斜視図である。結線端子44は、狭持部441と、狭持部442と、連結部443とを備え、導電材料により形成されている。狭持部441は、板状の部材と、当該部材両端から部材の主面方向と平行に、それぞれ延在した二つの側壁とにより構成されている。二つの側壁による間隔は、バスバー41〜43の導体の直径に対応している。狭持部441は、バスバー41〜43の導体を側壁から挟み込むことで、バスバー41〜43と電気的に接続される。
【0031】
狭持部442は、狭持部441と同形状であり、コイル30の一端を側面から挟み込むことで、コイル30と電気的に接続される。そして、連結部443は狭持部441と狭持部442とを連結する部材であり、狭持部441による狭持部分の向きと、狭持部442による狭持部分の向きとが90度ずれるように、狭持部441と狭持部442とを連結する。狭持部441、442及び連結部443は一体に形成されている。
【0032】
次に、
図9及び
図10を用いて、バスバー41〜43と結線端子44との接続部分の構成について説明する。
図9は、バスバー41〜43及び結線端子44の拡大斜視図である。
図10は
図1のX-X線で沿う断面の部分断面図である。結線端子44は、バスバー41〜43の非交差部412の中央付近にそれぞれ接続されている。また
図1及び
図9に示すように、コイル30の各相と対応して、非交差部412は三つ配置されているが、当該三つの非交差部412のうち、一つの非交差部412に接続されている。
【0033】
結線端子44は、バスバー41〜43の中心軸の軸方向の下向きに開口している狭持部441で、バスバー41〜43の上方から、バスバー41〜43を狭持することで、非交差部412に接続されている。また、バスバー41〜43の径方向に開口している狭持部442で、コイル30から引き出された引き出し線を狭持し、コイル30に接続されている。
【0034】
さらに、結線端子44と非交差部412との接続を容易にするために、結線端子44と非交差部412との接続部分は、非交差部412のうち、コイル30に近く、かつ、バスバー41〜43の中心軸の軸方向で一方の端側に配置された非交差部412に接続されている。すなわち、バスバー41〜43と結線端子44との接続部分は、
図5に示す非交差部412の配置の場合にはバスバー41の非交差部412となり、
図6に示す非交差部412の配置の場合にはバスバー42の非交差部412となり、
図7に示す非交差部412の配置の場合にはバスバー43の非交差部412となる。また、結線端子44は、
図5〜
図7に示す正三角形において、中心軸Lと平行な辺の両端の一方の頂点を含む非交差部412に接続されている。
【0035】
次に、ステータコア及びコイル30と、バスバ41〜43との間の絶縁距離について説明する。
図10に示すように、ハウジング11とステータ12との間に、本例の配電部品40を配置すると、バスバー41〜43のうち、ステータコア121側に配置されるバスバー42、43の非交差部412は絶縁材料により覆われている。また、結線端子44と接続されるバスバー41の非交差部412とステータコア121との間には、十分な絶縁距離が確保されている。そのため、本例は、結線端子44とバスバー41との接続部分からステータコア121までの絶縁距離を確保することができる。
【0036】
また、結線端子44と接続されるバスバー41の非交差部412と、コイル30との間には、ボビン122による側壁が介在される。当該側壁はボビン122にコイル30を巻回させるために利用される側壁である。すなわち、本例は、コイル30とバスバー41〜43との間の絶縁性を確保するために、インシュレータ(ボビン等)に絶縁壁を別途、設けなくてもよい。ゆえに、本例は、結線端子44との接続部分から、コイル30、ステータコア121及びボビン122までの絶縁距離を確保しつつ、当該接続部分をコイル30に近づけることができ、結線端子44の小型化を図ることができる。
【0037】
これにより、本例において、バスバー41〜43と結線端子44との各接続部分は、中心軸Lに対して垂直な平面上に位置しつつ、当該平面上において、中心軸Lからの距離を同一になるように配置される。言い換えると、当該接続部分は、バスバー41〜43の径方向の位置、及び、中心軸方向の位置を相対的に同一になるよう、それぞれ配置される。
【0038】
図2に戻り、バスバー41の両端に形成されている引き出し部413、バスバー42の両端に形成されている引き出し部423、バスバー43の両端に形成されている引き出し部433には、給電端子45がカシメによりそれぞれ接続されている。給電端子45は、図示しないインバータ等を介してバッテリなどの電源と、モータとを接続するための端子である。
【0039】
モールド部46は、樹脂により形成されており、束ねられたバスバー41〜43を固定するための部材である。モールド部46は、交差部411を樹脂により覆っている。
【0040】
次に、本例の配電部品40の製造方法について説明する。まず、絶縁材により被覆された導線を、モータの各相に対応するよう、3本形成し、各相の給電端子45を形成する。また同一形状の結線端子44を形成する。そして、当該導線の両端である先端部分の絶縁部材を加工し、先端部分の導電性を確保する。また、結線端子44と接続される接続部分の絶縁部材を加工し、接続部分の導電性を確保する。上記の通り、結線端子44は複数のコイル30と対応しつつ接続され、複数のコイル30は環状に規則性をもって配置されている。そのため、結線端子44を接続するために加工した箇所は、各バスバー41〜43で、それぞれ規則性をもちつつ、間隔を変えて、形成されている。
【0041】
次に、加工後の各バスバー41〜43の両端部分に引き出し部413、423、433を確保しつつ、残りの部分を環状にして、軸心を同一にするよう集める。そして、交差部411を介して隣接する非交差部412が互いにポロイダル方向に120度回転するように曲げることで、交差部411でバスバー41〜43を互いに交差しつつ、非交差部412では互いに平行にする。この際、非交差部412が複数のコイルに対応するように、交差部411及び非交差部412を交互に形成しつつ周期的に配置する。また、各非交差部412のうち、結線端子44と接続される部分の、バスバー41〜43の中心軸に対して垂直な径方向への中心軸からの距離、及び、当該中心軸の軸方向への位置を同一にするようにする。さらに、非交差部412の断面(中心軸Lを含む平面の断面)の配置が、三角形になるようにする。
【0042】
次に、コイル30側に配置され、バスバー41〜43の中心軸の一方側に配置された、各非交差部412に、結線端子44を接続する。この際、結線端子44は、非交差部412のうち、絶縁材料で被覆されていない導体部分に接続する。また、引き出し部413、423、433に給電端子45を接続する。なお、これらの接続は、ヒュージング、ろう付け、溶接、圧着等により接続すればよい。
【0043】
そして、各交差部411に、モールド部46を形成するための成形型をセットする。そして、成形型の射出口から溶融樹脂を注入することで、交差部411を樹脂材で覆うモールド部46を形成する。これにより、バスバー41〜43が
図3に示す位置関係を維持しつつ、バスバー41〜43が固定される。
図2に示す本例の配電部品40が完成する。
【0044】
上記のように、本例において、複数の結線端子44と複数のバスバー41〜43との接続部分が、バスバー41〜43の中心軸Lに対して垂直な径方向への中心軸Lからの距離、及び、中心軸Lの軸方向への位置を同一とする。これにより、結線端子44を相毎に異なる形状にする必要がなくなるため、結線端子44の種類の数を減らすことができる。その結果として、結線端子44の形状を統一させることができるため、結線端子44の製造コストを削減することができる。
【0045】
また本例において、非交差部412は、バスバー41〜43の中心軸を含む平面のよる断面において三角形の形状に配置されている。これにより、結線端子44からハウジング11及びステータコア121までの絶縁距離を確保しつつ、結線端子44と非交差部412との接続部分をコイル30に近づけることができるため、結線端子44の小型化を図ることができる。
【0046】
また本例において、一相のバスバー41〜43の複数の非交差部412のうち、交差部411を介して隣接する非交差部412は、上記断面(バスバー41〜43の中心軸を含む平面のよる断面)において、バスバー41〜43による三角形の重心を中心に120度回転させた位置に配置されている。これにより、非交差部412と結線端子44との接続部分の位置管理が容易になるため、結線端子44とバスバー41〜43との接合を容易にすることができる。その結果として、接続部分への結合端子44の位置精度を向上させることができ、結合端子44の加工費を削減することができる。
【0047】
また本例において、非交差部412は、上記断面(バスバー41〜43の中心軸を含む平面のよる断面)において、バスバー41〜43による三角形の三辺のうち一辺をバスバー41〜43の中心軸Lと平行にし、かつ、当該一辺の両端である第1頂点を、中心軸Lからの径方向で、当該三角形の頂点のうち当該一辺に含まれない第2頂点より内側になるよう配置され、結線端子44が第1頂点の一方の頂点を含む非交差部412に接続する。これにより、当該径方向において、結線端子44と非交差部412の接続部分をコイル30に近づけることができるため、結線端子44の小型化を図ることができる。また、本例は、接続部分とコイル30との間で絶縁距離を確保することができ、接続部分とコイル30との間に、インシュレータ等の他の部品による絶縁壁を別途設けなくてもよい。その結果として、結線端子44の小型化により材料費の削減を可能とし、インシュレータ等の他部品を設けることによるコスト増を抑制することができる。
【0048】
また、本例は、複数の交差部411に、樹脂のモールド加工によってモールド部を形成し、バスバー41〜43を固定する。これにより、配電部品40の強度を上げることができる。
【0049】
なお、本例は、
図10に示す非交差部412の配置を、
図11に示すような配置にしてもよい。
図11は、本発明の変形例に係る配電部品40を備えたステータの断面図であって、
図1のX-X線の沿う断面図に相当する。
図11に示すように、バスバー41〜43の非交差部412は、バスバー41〜43の中心軸Lを含む平面による断面において、三角形状に配置されており、また、当該三角形の一辺を中心軸Lに対して垂直方向(径方向)と平行にし、かつ、当該一辺に含まれない三角形の頂点を、中心軸の軸方向で、当該一辺の両端の頂点よりコイル30からの引き出し線301に近い方に配置されている。そして、結線端子44は、当該一辺に含まれない三角形の頂点を含む、バスバー41の非交差部412に接続されている。これにより、バスバー41の非交差部412との周囲には、バスバー42とバスバー43と間隔より広いスペースが形成されるため、結線端子44と非交差部412との接続を容易にすることができる。その結果として、結線端子44と非交差部412との接続工程における製造コストを抑制することができる。
【0050】
なお、本例は、
図10に示す非交差部412の配置を、
図12に示すような配置にしてもよい。
図12は、本発明の変形例に係る配電部品を備えたステータの断面図であって、
図1のX-X線の沿う断面図に相当する。
図12に示すように、バスバー41〜43の非交差部412は、バスバー41〜43の中心軸Lを含む平面による断面において、三角形状に配置されており、また、当該三角形の一辺を中心軸Lと平行にし、かつ、三角形の頂点のうち当該一辺に含まれない頂点を、中心軸Lからの径方向で、当該一辺の両端の頂点より内側(コイル30に近い側)になるよう配置されている。そして、結線端子44は、当該一辺に含まれない頂点を含む、スバー41の非交差部412に接続されている。これにより、バスバー41の非交差部412との周囲には、バスバー42とバスバー43との間隔より広いスペースが形成されるため、結線端子44と非交差部412との接続を容易にすることができる。その結果として、結線端子44と非交差部412との接続工程における製造コストを抑制することができる。
【0051】
なお本例において、
図11及び
図12は、バスバー41に結線端子44を接続した接続部分について説明したが、バスバー42、43と結線端子44との接合部分についても、上記と同様の接続構造をとる。
【0052】
なお、本例において、バスバー41〜43に交差部411及び非交差部412を設けたが、交差部411を連続して設け、非交差部412を設けなくてもよい。
【0053】
図10に示すように、点線の三角形の頂点のうち、バスバー41、42による頂点が本発明の「第1頂点」に相当し、バスバー43による頂点が本発明の「第2頂点」に相当する。また、
図11に示すように、点線の三角形の頂点のうち、バスバー41による頂点が本発明の「第3頂点」に相当し、バスバー42、43による頂点が本発明の「第4頂点」に相当する。また、
図12に示すように、点線の三角形の頂点のうち、バスバー41による頂点が本発明の「第5頂点」に相当し、バスバー42、43による頂点が本発明の「第6頂点」に相当する。
【0054】
《第2実施形態》
図13は発明の他の実施形態に係る配電部品40の斜視図である。
図14は配電部品40に設けられるホルダ部47の斜視図である。本例では上述した第1実施形態に対して、モールド部46の代わりにホルダ部47を設ける点、及び配電部品40の製造方法の一部が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、その記載を適宜、援用する。
【0055】
図13に示すように、本例の配電部品40は、バスバー41〜43と、結線端子44と、給電端子45と、ホルダ部47とを備えている。ホルダ部47は、バスバー41〜43を保持するための部材であって、非交差部412に設けられている。一方、第1実施形態に係る配電部品40とは異なり、本例の配電部品40は、交差部411にモールド部46を設けていない。
【0056】
図14に示すように、ホルダ部47は、外形を八角形の角柱状に形成されており、バスバー41〜43を貫通させるための挿入孔471を有している。挿入孔471は、角柱の表面のうち対向する側壁の間を、円柱状に貫通するように形成されている。挿入孔471は、バスバー41〜43の数に対応して設けられ、三つの挿入孔471a〜471cである。またホルダ部47は、底面に相当する部分に平面472を有している。また、挿入孔471が設けられた両側面の間に、切り欠き部473が設けられている。これにより、バスバー41〜43が挿入孔471を通ると、バスバー41〜43が挿入孔471を通っていることを、目視により確認することができる。
【0057】
挿入孔471の位置は、各挿入孔471の開口部分の中心点を結ぶと三角形になるよう配置されている。すなわち、バスバー41〜43の中心軸Lを含む断面において、挿入孔471の位置は非交差部412の位置と対応している。
【0058】
次に、
図15〜
図17を用いて、本例の配電部品40の製造方法を説明する。
図15は、交差部411を形成する工程を説明するための図であり、(a)は交差部411を形成する前の配電部品40の状態を示す斜視図であり、(b)は交差部411を形成する前の配電部品40の状態を示す斜視図である。また、
図16(a)は
図15(a)のXVIa線で囲った部分の拡大図であり、
図16(b)は
図15(b)のXVIb線で囲った部分の拡大図である。
図17は引き出し線413、423、433を接続する工程を説明するための図であり、(a)はバスバー41〜43の両端を接続する前の、引き出し線413、423、433の斜視図であり、(b)はバスバー41〜43の両端を接続後の、引き出し線413、423、433の斜視図である。
【0059】
三本のバスバー41〜43、結線端子44及び給電端子45を形成し、結線端子44を接続するためにバスバー41〜43を加工するまでの工程は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。バスバー41〜43の加工後、直線状の三本のバスバー41〜43を、ホルダ部47の挿入孔471に通す。複数のホルダ47がバスバー41〜43に通されるが、挿入孔471にバスバー41〜43を通す際には、
図15(a)及び
図16(a)に示すように、ホルダ部47は、前に通したホルダ部47に対して、120度回転させた状態で、バスバー41〜43に通される。
【0060】
例えば、あるホルダ部417において、バスバー41が、三角形状に配置された挿入孔471のうち、挿入孔471a(
図14参照)に通され、バスバー42が挿入孔471bに通され、バスバー43が挿入孔471cに通されたとする。次のホルダ部471では、バスバー41は挿入孔471bに通され、バスバー42は挿入孔471cに通され、バスバー43は挿入孔471aに通される。これにより、複数のホルダ部417は、各ホルダ部47の底面472の主面方向を120度ずつ回転させながら、バスバー41〜43の交差部411に相当する部分に、所定の間隔を保ちながら配置される。
【0061】
次に、
図15及び
図16に示すように、各ホルダ部47の全ての底面472が面一になるように、各ホルダ部47を回転させる。バスバー41〜43のうち、ホルダ部47が貫通していない部分は互いに交差するため、交差部411が形成される。また、交差部411が形成されることで、ホルダ部47は、交差部411と非交差部412との境界部分で保持される。
【0062】
そして、ホルダ部47を備えたバスバー41〜43において、それぞれ両端部分に引き出し部413、423、433を確保しつつ、残りの部分を環状に形成することで、バスバー41〜43をトーラス状に曲げる。その後、引き出し部413、423、433に給電端子45を接続し、非交差部412に結線端子46を接続する。これにより、本例の配電部品が完成する。
【0063】
上記のように、本例の配電部品40は、交差部411にホルダ部47を設け、当該ホルダ部47は、非交差部412の断面形状である三角形に対応して配置された挿入孔471と、バスバー41〜43の中心軸Lに対して垂直な平面を有する。これにより、ホルダ部47の挿入孔471にバスバー41〜43を通し、ホルダ部47の当該平面が面一になるように、ホルダ部47を回転させることで、交差部411を形成することができる。またホルダ部47を、交差部411を作成するための治具として作用しつつ、バスバー41〜43の固定部材としても兼用させることができる。その結果として、配電部品の製造するための工数を削減することができる。
【0064】
なお、本例のホルダ部47は、
図18及び
図19に示すように、断面を三角形の形状としてもよい。
図18及び
図19は、本発明の変形例に係る配電部品のホルダ部47の斜視図である。挿入孔471は、非交差部412の断面での配置である三角形に対応して配置され、三角形の形状になるように配置されている。また、上記と同様に、ホルダ部47は、底面472を有している。
図18のホルダ部47では、挿入孔471の中心点を結ぶ三角形と、ホルダ部47の外縁の形状である三角形との間で、互いの辺が平行になるように、挿入孔471が配置されている。一方、
図18のホルダ部47では、挿入孔471の中心点を結ぶ三角形が、ホルダ部47の外縁の形状である三角形に対して30度回転するように、挿入孔471が配置されている。
【0065】
本例では、ホルダ部47の断面形状を三角形にしつつ、挿入孔471の配置も断面において三角形にしている。これにより、ホルダ部47をバスバー41〜43に通した後、交差部411の形成の前後で、ホルダ部47が同一位相になり、ホルダ部47を回転させた後、回転位置を変えることなく、次のホルダ部47を回転させることができる。これにより、治具であるホルダ部47の無駄な動きが削減できるため、配電部品の製造するための工数を削減することができる。
【0066】
上記のホルダ部47が本発明の「保持部」に相当する。
【0067】
《第3実施形態》
図20は発明の他の実施形態に係る配電部品40を製造するための治具の斜視図である。本例では上述した第1実施形態に対して、配電部品40の製造方法の一部が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、その記載を適宜、援用する。
【0068】
図20に示すように、治具50は、本例の配電部品40の交差部411を形成するために用いられる治具である。治具50は、一対の治具51、52により構成され、四角柱を二分割させた形状である。治具50の切れ目は、各挿入孔501を分割するように形成されている。挿入孔501は、バスバー41〜43の形状に対応して、円筒状に形成されている。
【0069】
次に、治具50を用いた、本例の配電部品40の製造方法について、
図21〜
図23を用いて説明する。
図21は、バスバー41〜43の交差部411を、治具50を用いて形成し、治具50を外す前の配電部品40の斜視図である。
図22は、非交差部412をモールド部46でモールドした後の状態の配電部品40の斜視図である。
図23は非交差部412をモールドした後に治具50を外した状態の配電部品40の斜視図である。
【0070】
三本のバスバー41〜43、結線端子44及び給電端子45を形成し、結線端子44を接続するためにバスバー41〜43を加工するまでの工程は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。まず、非交差部412が形成される部分に治具50を配置して、非交差部412におけるバスバー41〜43を治具50で狭持する。治具50は、等間隔で配置される。そして、隣接する治具50の間で120度回転するように、各治具50を回転させる。この際の回転軸は、バスバー41〜43の中心軸L(
図3を参照)に垂直な径方向(
図3、
図5〜7のR方向に相当)及び中心軸の軸方向に対して垂直な方向を回転軸とする。直線状の三本のバスバー41〜43のうち、両端に引き出し線413、423、433を形成し、残りの部分を環状にすることで、
図21に示す配電部品40が形成される。
【0071】
次に、治具50でバスバー41〜43を狭持させた状態で、射出成形により、交差部411にモールド部46を形成する(
図22を参照)。そして、
図23に示すように、治具50を取り外す。最後に、結線端子44及び給電端子45をバスバー41〜43に接続して、本例の配電部品が完成する。
【0072】
上記のように、本例は、バスバー41〜43を一対の治具50で狭持させて、治具50を上記の回転軸で120度回転させることで、バスバー41〜43を交差させる。これにより、交差部411を一度に加工することができるため、配電部品の製造工数を削減し、製造時間を短縮化することができる。
【0073】
なお、本例は、治具50を射出成形前に取り外してから、交差部411にモールド部46を形成してもよい。