特許第5998518号(P5998518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5998518
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】内燃機関の診断装置及び診断方法
(51)【国際特許分類】
   F02D 13/04 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   F02D13/04 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-38851(P2012-38851)
(22)【出願日】2012年2月24日
(65)【公開番号】特開2013-174168(P2013-174168A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2015年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】岸本 義久
(72)【発明者】
【氏名】稲村 晃浩
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友紀
(72)【発明者】
【氏名】山石 興平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聡
【審査官】 立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−279695(JP,A)
【文献】 特開2011−106565(JP,A)
【文献】 特開2003−120430(JP,A)
【文献】 特開平10−141076(JP,A)
【文献】 特開平08−093513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 13/04
F01L 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮行程において排気弁を開弁可能な排気弁開閉機構を備える内燃機関の診断装置であって、
前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、
前記排気弁開閉機構の開閉動作を制御して圧縮圧開放ブレーキを作動もしくは非作動にすると共に、前記排気弁開閉機構の開閉動作を圧縮圧開放ブレーキが作動となるように制御した際に前記回転数検出手段の検出値が第1の閾値から該第1の閾値よりも低い第2の閾値に達するまでの時間及び、前記排気弁開閉機構の開閉動作を圧縮圧開放ブレーキが非作動となるように制御した際に前記回転数検出手段の検出値が前記第1の閾値から前記第2の閾値に達するまでの時間を計測する制御手段と、
前記制御手段により計測された二つの時間の時間差が所定の判定閾値に達しない場合に、圧縮圧開放ブレーキを非作動と判定する作動判定手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の診断装置。
【請求項2】
圧縮行程において排気弁を開弁可能な排気弁開閉機構と、該排気弁開閉機構の開閉動作を制御して圧縮圧開放ブレーキを作動もしくは非作動にする制御手段とを有する内燃機関の診断方法であって、
前記制御手段に前記排気弁開閉機構の開閉動作を圧縮圧開放ブレーキが作動するように制御させると共に、前記内燃機関の回転数が第1の閾値から該第1の閾値よりも低い第2の閾値に達するまでの時間を計測する第1ステップと、
前記制御手段に前記排気弁開閉機構の開閉動作を圧縮圧開放ブレーキが非作動となるように制御させると共に、前記内燃機関の回転数が第1の閾値から該第1の閾値よりも低い第2の閾値に達するまでの時間を計測する第2ステップと、
前記第1ステップと前記第2ステップとで計測された二つの時間の時間差が所定の判定閾値に達しない場合に、圧縮圧開放ブレーキを非作動と判定する第3ステップと、を含むことを特徴とする内燃機関の診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の診断装置及び診断方法に関し、特に、排気行程以外の圧縮行程においても排気弁を開弁して圧縮圧開放ブレーキを作動可能な内燃機関の診断装置及び診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンブレーキ力を高める手法として、エンジンの圧縮行程時に排気バルブを開弁させて圧縮圧力を開放し、膨張行程時にピストンを押し下げる力の発生を抑制することで、圧縮行程で得た制動力を有効に作用させるようにした圧縮圧開放ブレーキが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−85187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧縮圧開放ブレーキを作動させる排気バルブは、エンジンの排気装置の一部として構成されているため、その作動状態を外部から目視で確認することは難しい。そのため、圧縮圧開放ブレーキの作動状態を確認するには、実車にて圧縮圧開放ブレーキを作動させた際のドライバーの減速感に頼るしかなかった。
【0005】
例えば、車両の生産ラインにおいては、エンジン単体では圧縮圧開放ブレーキの作動を確認できないため、車両組立後にシャシダイナモで作動確認を行う必要がある。そのため、シャシダイナモで作動確認を行った結果、圧縮圧開放ブレーキが非作動と判明した場合は、エンジンを車両から取り外して修理する作業が発生し、生産効率を低下させる要因ともなっている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的は、圧縮圧開放ブレーキの作動確認を容易に行うことができる内燃機関の診断装置及び診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明の内燃機関の診断装置は、圧縮行程において排気弁を開弁可能な排気弁開閉機構を備える内燃機関の診断装置であって、前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、前記排気弁開閉機構の開閉動作を制御して圧縮圧開放ブレーキを作動もしくは非作動にすると共に、前記排気弁開閉機構の開閉動作を圧縮圧開放ブレーキが作動となるように制御した際に前記回転数検出手段の検出値が第1の閾値から該第1の閾値よりも低い第2の閾値に達するまでの時間及び、前記排気弁開閉機構の開閉動作を圧縮圧開放ブレーキが非作動となるように制御した際に前記回転数検出手段の検出値が前記第1の閾値から前記第2の閾値に達するまでの時間を計測する制御手段と、前記制御手段により計測された二つの時間の時間差に基づいて圧縮圧開放ブレーキの作動を判定する作動判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記作動判定手段は、前記制御手段により計測された二つの時間の時間差が所定の判定閾値に達しない場合に、圧縮圧開放ブレーキを非作動と判定してもよい。
【0009】
また、上述の目的を達成するため、本発明の内燃機関の診断方法は、圧縮行程において排気弁を開弁可能な排気弁開閉機構と、該排気弁開閉機構の開閉動作を制御して圧縮圧開放ブレーキを作動もしくは非作動にする制御手段とを有する内燃機関の診断方法であって、前記制御手段に前記排気弁開閉機構の開閉動作を圧縮圧開放ブレーキが作動するように制御させると共に、前記内燃機関の回転数が第1の閾値から該第1の閾値よりも低い第2の閾値に達するまでの時間を計測する第1ステップと、前記制御手段に前記排気弁開閉機構の開閉動作を圧縮圧開放ブレーキが非作動となるように制御させると共に、前記内燃機関の回転数が第1の閾値から該第1の閾値よりも低い第2の閾値に達するまでの時間を計測する第2ステップと、前記第1ステップと前記第2ステップとで計測された二つの時間の時間差に基づいて圧縮圧開放ブレーキの作動を判定する第3ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、前記第3ステップは、前記第1ステップと前記第2ステップとで計測された二つの時間の時間差が所定の判定閾値に達しない場合に、圧縮圧開放ブレーキを非作動と判定してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の内燃機関の診断装置及び診断方法によれば、圧縮圧開放ブレーキの作動確認を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の診断装置を示す模式的な部分断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る圧縮圧開放ブレーキの作動判定を説明する図である。
図3】本発明の一実施形態に係る故障診断の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1〜3に基づいて、本発明の一実施形態に係る内燃機関の診断装置及び、診断方法を説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0014】
本実施形態の内燃機関の診断装置は、複数気筒(例えば、6気筒)のディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)10に適用されるものである。なお、図示の関係上、図1にはエンジン10の複数気筒のうち1気筒のみを示し、他の気筒については図示を省略している。
【0015】
シリンダブロック11に形成されたシリンダ13内には、ピストン14が上下方向に摺動可能に収容されている。また、シリンダブロック11の上部にはシリンダヘッド12が設けられ、このシリンダヘッド12には排気ポート15が形成されている。さらに、シリンダヘッド12のバルブ挿通孔には、バルブスプリング16,17により閉弁方向(図1中の上方)に付勢された一対の排気バルブ18,19が摺動可能に挿通されている。
【0016】
一対の排気バルブ18,19の上端部にはバルブブリッジ20が架設されており、このバルブブリッジ20の上部には、ロッカシャフト21が設けられている。また、ロッカシャフト21には一端部をバルブブリッジ20の上部に当接させたロッカアーム22が揺動可能に支持されている。
【0017】
シリンダヘッド12の上部にはカムシャフト23が設けられており、このカムシャフト23にはロッカアーム22の他端部と接触する排気用カム24が設けられている。すなわち、排気行程時においては、カムシャフト23と回転する排気用カム24がロッカアーム22の他端部を押し上げて揺動させると共に、ロッカアーム22の一端部がバルブブリッジ20を押し下げることで、一対の排気バルブ18,19はバルブスプリング16,17の付勢力に抗して開弁される。
【0018】
エンジン回転数センサ25は、エンジン10の図示しないクランクシャフトの回転数を検出するもので、検出された回転数は電気的に接続されたECU80にエンジン回転数Nとして出力される。
【0019】
圧縮圧開放ブレーキ機構30は、圧縮行程時に排気バルブ19を開弁させる圧縮圧開放ブレーキを作動させるもので、エンジン10の各気筒毎にそれぞれ対応して設けられている。以下、圧縮圧開放ブレーキ機構30の詳細について説明する。
【0020】
ブレーキ用カム31は、カムシャフト23に設けられており、ロッカシャフト21に揺動可能に支持されたブレーキ用ロッカアーム32の一端部とローラ33を介して接触する。また、ブレーキ用ロッカアーム32の他端部にはマスターシリンダ34が当接している。このマスターシリンダ34は、圧縮行程時にブレーキ用カム31がブレーキ用ロッカアーム32を揺動させることで、押圧されるように構成されている。なお、圧縮圧開放ブレーキ機構30を説明する関係上、図1にはロッカシャフト21とカムシャフト23とがそれぞれ2本示されているが、これらは何れも1本のシャフトである。
【0021】
ハウジング35は、その一端部にマスターシリンダ34を摺動可能に収容する中空部36が形成されると共に、その他端部に油圧作動部50が一体形成されている。また、ハウジング35内には、中空部36と油圧作動部50の中空部51とを接続する油路37が形成されている。さらに、この油路37は、後述するコントロールバルブ40の中空部41と油路38を介して接続されている。
【0022】
コントロールバルブ40には油路61を介してソレノイドバルブ60が接続されており、さらにこのソレノイドバルブ60には油路61を介してエンジンオイル(以下、作動油という)を圧送供給するオイルポンプ(不図示)が接続されている。
【0023】
コントロールバルブ40の中空部41内には、弁体43が摺動可能に収容されると共に、この弁体43を下方に向けて付勢するリターンスプリング44が収容されている。また、中空部41の上部にはドレン孔45が形成されると共に、中空部41の下部には油路61と連通する流入口46が形成されている。
【0024】
ソレノイドバルブ60は、ECU80と電気的に接続された電磁ソレノイド62と、この電磁ソレノイド62に電流が印可されると上方に移動する弁体63と、弁体63を下方に付勢する図示しないリターンスプリングとを備えている。すなわち、電磁ソレノイド62に電流が印可されて弁体63が上方に移動すると、コントロールバルブ40の弁体43はオイルポンプから圧送供給される作動油の油圧により上方に押し上げられて流入口46を開放する。これにより、3つの油路37,38,61が中空部41を介して連通状態となり、ハウジング35の中空部36及び油圧作動部50の中空部51に作動油が供給されるように構成されている。
【0025】
一方、電磁ソレノイド62への電流の印可がオフにされると、コントロールバルブ40の弁体43が下方に移動して流入口46を閉塞する。これにより、ハウジング35の中空部36は、油路37,38及び中空部41を介してドレン孔45と連通状態となり、ブレーキ用カム31がブレーキ用ロッカアーム32を揺動させてマスターシリンダ34を押圧した際に発生する油圧は、ドレン孔45から抜け出るように構成されている。
【0026】
油圧作動部50は、その上端側を中空部51内に上下方向に摺動可能に収容されたスレーブピストン52と、スレーブピストン52を上方に付勢するスレーブスプリング53とを有する。また、スレーブピストン52の下端部にはバルブブリッジ20に摺動可能に挿通されたピン部材54が当接しており、このピン部材54の下端部には排気バルブ19の上端部が当接している。すなわち、圧縮圧開放ブレーキを作動させる際は、中空部51内に供給される作動油の油圧によりスレーブピストン52が押し下げられると共に、ピン部材54が排気バルブ19を下方(開弁方向)に押し下げるように構成されている。
【0027】
サービスツール26は、操作者により操作されて、圧縮圧開放ブレーキ機構30の故障等を診断するための処理を実行する通信をECU80との間で行う端末機器であって、通信ケーブルを介してECU80の図示しないコネクタに接続される。
【0028】
ECU80は、エンジン10の燃料噴射等の各種制御を行うもので、公知のCPUやROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え構成されている。この各種制御を行うために、ECU80には、何れも図示しない車速センサや、アクセル開度センサ、エンジン回転数センサ25等の各種センサの出力信号が入力される。
【0029】
また、ECU80は、圧縮圧開放ブレーキ制御部81と、作動判定部82とを一部の機能要素として有する。これら各機能要素は、本実施形態では一体のハードウェアであるECU80に含まれるものとして説明するが、これらのいずれか一部を別体のハードウェアに設けることもできる。
【0030】
圧縮圧開放ブレーキ制御部81は、圧縮圧開放ブレーキ機構30を制御して圧縮圧開放ブレーキを作動させる。より詳しくは、操作者によりサービスツール26が操作されて、ECU80に圧縮圧開放ブレーキの作動をONにする信号(以下、作動ON信号という)が送信されると、圧縮圧開放ブレーキ制御部81は、ソレノイドバルブ60の電磁ソレノイド62に電流を印可する制御信号を出力する。すなわち、サービスツール26の操作により圧縮圧開放ブレーキを作動させる際は、電磁ソレノイド62に電流が印可されてソレノイドバルブ60は開弁される。これにより、圧縮圧開放ブレーキ機構30の3つの油路37,38,61は連通状態となり、ブレーキ用カム31がブレーキ用ロッカアーム32を押し上げてマスターシリンダ34を押圧すると共に、中空部51内の油圧によりスレーブピストン52が押し下げられることで、排気バルブ19は排気行程以外の圧縮行程においても開弁されるように構成されている。
【0031】
作動判定部82は、サービスツール26の操作に応じて、圧縮圧開放ブレーキ機構30による圧縮圧開放ブレーキの作動状態を判定する。より詳しくは、ECU80には、圧縮圧開放ブレーキが正常に作動した場合にエンジン回転数Nが高回転側閾値(第1の閾値)から低回転側閾値(第2の閾値)まで低下するのに要する標準時間TS1と、圧縮圧開放ブレーキが故障等により作動しなかった場合にエンジン回転数Nが高回転側閾値から低回転側閾値まで低下するのに要する標準時間TS2とが、予め実験やシミュレーション等で算出されて記憶されている。さらに、ECU80には、これら標準時間TS1,TS2の時間差(S2―TS1)が所定の判定閾値TSとして記憶されている。
【0032】
作動判定部82は、圧縮圧開放ブレーキの作動判定を行う場合、最初のステップとして、サービスツール26からECU80に圧縮圧開放ブレーキの作動ON信号が送信された状態で、エンジン回転数Nが高回転側閾値から低回転側閾値に達するまでの実時間T1を実測する(図2の実線参照)。その後、作動判定部82は、サービスツール26からECU80に圧縮圧開放ブレーキの作動をOFFにする信号(以下、作動OFF信号という)が送信された状態で、エンジン回転数Nが高回転側閾値から低回転側閾値に達するまでの実時間T2を実測する(図2の破線参照)。
【0033】
そして、作動判定部82は、これら実測した実時間T1,T2の時間差ΔT(=2−T1)が上述の判定閾値TSに達しない場合(ΔT<TS)は、圧縮圧開放ブレーキを「非作動」と判定する一方、時間差ΔTが判定閾値TS以上の場合(ΔT≧TS)は、圧縮圧開放ブレーキを「作動」と判定する。このようにして判定された結果は、圧縮圧開放ブレーキ機構30の診断結果としてサービスツール26に送信される。
【0034】
なお、ECU80に予め記憶してある判定閾値TSは、エンジン10の排気量や仕様等に応じて適宜変更することが可能である。また、エンジン10や圧縮圧開放ブレーキ機構30等の個体差による影響を考慮しない場合は、単に標準時間TS1と実時間T1とを比較させ、この実時間T1が標準時間TS1よりも長い場合(T1>TS1)に「非作動」と判定させてもよい。
【0035】
次に、圧縮圧開放ブレーキ機構30の故障診断の流れを、図3のフローチャートに基づいて説明する。まず、操作者によりサービスツール26がECU80に接続(スタート)されると、ステップS1ではサービスツール26の操作により故障診断の開始が選択される。
【0036】
ステップS2ではサービスツール26からECU80に作動ON信号が送信された後、ステップS3では作動判定部82によりエンジン回転数Nが高回転側閾値から低回転側閾値に達するまでの実時間T1が実測される。さらに、ステップS4ではサービスツール26からECU80に作動OFF信号が送信された後、ステップS5では作動判定部82によりエンジン回転数Nが高回転側閾値から低回転側閾値に達するまでの実時間T2が実測される。
【0037】
ステップS6では作動判定部82により、ステップS3,5で実測された実時間T1,T2の時間差ΔTが算出されると共に、時間差ΔTが判定閾値TSに達しているか否かが確認される。
【0038】
時間差ΔTが判定閾値TSに達している場合、すなわち実時間T1と実時間T2とに明確な時間差が生じている場合は、ステップS7で圧縮圧開放ブレーキは「作動」と判定される。一方、時間差ΔTが判定閾値TSに達していない場合、すなわち実時間T1と実時間T2とに時間差が殆ど生じていない場合は、ステップS8で圧縮圧開放ブレーキは「非作動」と判定される。その後、これら「作動」もしくは「非作動」の判定結果は、ステップS9で圧縮圧開放ブレーキ機構30の診断結果としてサービスツール26に送信される。
【0039】
次に、本実施形態の内燃機関の診断装置及び診断方法による作用効果について説明する。
【0040】
本実施形態の内燃機関の診断装置及び診断方法では、まずサービスツール26からECU80に圧縮圧開放ブレーキの作動ON信号が送信された状態で、エンジン回転数Nが高回転側閾値から低回転側閾値までに達する実時間T1が実測される。さらに、サービスツール26からECU80に圧縮圧開放ブレーキの作動OFF信号が送信された状態で、エンジン回転数Nが高回転側閾値から低回転側閾値までに達する実時間T2が実測される。そして、実測されたこれら実時間T1,T2の時間差ΔTが判定閾値Tsに達しない場合、圧縮圧開放ブレーキは「非作動」と判定される。
【0041】
したがって、本実施形態の内燃機関の診断装置及び診断方法によれば、圧縮圧開放ブレーキ機構30の故障診断を行うに際し、エンジン10を車両に搭載してシャシダイナモ等で試験を行うような大掛かりな確認作業を要することなく、エンジン回転数をモニターするのみで圧縮圧開放ブレーキの作動を容易に確認することができる。
【0042】
また、車両の生産ラインにおいて、従来技術では車両組立後にシャシダイナモ等で圧縮圧開放ブレーキの作動確認を行う必要があったが、本実施形態の内燃機関の診断装置及び診断方法を用いれば、車両組立前のエンジン単体の状態で圧縮圧開放ブレーキの作動確認を行うことが可能となる。したがって、車両組立後に圧縮圧開放ブレーキが非作動と判明したエンジンを車両から取り外すといった無駄な作業が回避され、車両の生産効率を効果的に向上することができる。
【0043】
また、本実施形態の内燃機関の診断装置及び診断方法によれば、サービスツール26を操作するのみで、圧縮圧開放ブレーキ機構30の故障診断が実行される。したがって、シャシダイナモ等の設備を備えていないサービス工場等においても、圧縮圧開放ブレーキの作動確認を容易に行うことができる。
【0044】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。例えば、本発明が適用されるエンジンは、ディーゼルエンジンに限られず、ガソリンエンジン等にも広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 エンジン(内燃機関)
25 エンジン回転数センサ(回転数検出手段)
26 サービスツール
30 圧縮圧開放ブレーキ機構(排気弁開閉機構)
80 ECU
81 圧縮圧開放ブレーキ制御部(制御手段)
82 作動判定部(作動判定手段)
図1
図2
図3