特許第5998571号(P5998571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5998571駆動力伝達装置及びこれを備えた四輪駆動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5998571
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】駆動力伝達装置及びこれを備えた四輪駆動車
(51)【国際特許分類】
   F16D 13/52 20060101AFI20160915BHJP
   F16D 28/00 20060101ALI20160915BHJP
   B60K 23/08 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   F16D13/52 D
   F16D28/00 Z
   B60K23/08 C
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-74611(P2012-74611)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-204701(P2013-204701A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年2月18日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】藤井 則行
(72)【発明者】
【氏名】北村 克史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】高井 智義
【審査官】 村上 聡
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0054373(US,A1)
【文献】 特開2007−132517(JP,A)
【文献】 特開2010−254058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 13/52
B60K 23/08
F16D 28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主駆動源によって回転する第1の回転部材と、
前記第1の回転部材にその回転軸線上で相対回転可能に配置された第2の回転部材と、
前記第2の回転部材と前記第1の回転部材との間に介在して配置され、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材とを断続可能に連結するクラッチと、
前記クラッチにクラッチ動作力を付与するためのカム推力に副駆動源からの回転力を変換するカム機構とを備え、
前記カム機構は、前記副駆動源から回転力を受けて回転するカム部材、前記カム部材を転動する転動部材、及び前記転動部材の転動によって前記カム推力を前記クラッチ側に出力する出力部材を有し、前記出力部材が前記回転軸線回りの回転の規制を受け、かつ前記転動部材を転動可能に保持して前記回転軸線の方向に移動可能なリテーナによって構成され
前記出力部材は、前記第2の回転部材を挿通させる挿通孔を有し、当該挿通孔に前記転動部材が収容されて回転可能に支持され、
前記クラッチは、前記回転軸線方向に並列し、かつ摩擦係合とその解除によって前記第1の回転部材と前記第2の回転部材とを断続する第1のクラッチプレート及び第2のクラッチプレートを有し、
前記カム機構により、前記副駆動源からの回転力が、前記第1のクラッチプレートと前記第2のクラッチプレートとの間のクリアランスを短縮するための第1のカム推力、及び前記第1のクラッチプレートと前記第2のクラッチプレートとを摩擦係合させるための第2のカム推力に変換される、
駆動力伝達装置。
【請求項2】
前記カム機構は、前記出力部材が前記転動部材を収容する収容空間を有する円環部材によって形成されている請求項1に記載の駆動力伝達装置。
【請求項3】
前記カム機構は、前記出力部材がその移動方向に沿って固定ガイドを挿通させ、かつ円周方向に間隔をもって並列する複数のガイド挿通孔を有する請求項1又は2に記載の駆動力伝達装置。
【請求項4】
前記カム機構は、前記転動部材が前記カム部材の軸線と直交する軸線をもつ円筒ころによって形成されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動力伝達装置。
【請求項5】
前記カム機構は、前記カム部材が前記回転軸線の回りに並列する凹部及び凸部からなるカム面を前記転動部材側に有する円環部材によって形成されている請求項1乃至のいずれか1項に記載の駆動力伝達装置。
【請求項6】
前記カム機構は、前記凸部の前記転動部材側の端面が前記凹部側から前記カム部材の円周方向に沿ってその軸線方向厚さを漸次大きくする軌道面で形成されている請求項に記載の駆動力伝達装置。
【請求項7】
前記カム機構は、前記カム部材において前記軌道面の円周方向両端部のうち前記凹部側の端部を始端部とするとともに、前記始端部と反対側の端部を終端部とすると、前記転動部材が前記始端部に配置されている状態において前記出力部材から前記第1のカム推力を出力し、前記転動部材が前記始端部と前記終端部との間に配置された状態において前記出力部材から前記第2のカム推力を出力する請求項に記載の駆動力伝達装置。
【請求項8】
前記カム機構は、前記カム部材が前記副駆動源に歯車伝達機構を介して噛合するギヤ部を有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の駆動力伝達装置。
【請求項9】
前記カム機構は、前記副駆動源の回転力が減速機構を経て前記歯車伝達機構から前記カム部材に伝達され、
前記減速機構は、前記副駆動源からの回転力を入力するとともに、この回転力を減速して前記歯車伝達機構に出力する偏心揺動減速機構である請求項に記載の駆動力伝達装置。
【請求項10】
前記減速機構は、
前記副駆動源の回転軸線を軸線とし、この軸線に平行な軸線を中心軸線とする偏心部を有する回転軸と、
前記回転軸の前記偏心部に転がり軸受を介して嵌合する中心孔、及び前記中心孔の軸線回りに等間隔をもって並列する複数の貫通孔を有する外歯歯車からなる入力部材と、
前記入力部材に前記外歯歯車の歯数よりも大きい歯数をもって噛合する内歯歯車からなる自転力付与部材と、
前記自転力付与部材によって付与された自転力を前記入力部材から受けて前記歯車伝達機構に出力し、前記複数の貫通孔を挿通する出力部材と
を備えた請求項に記載の駆動力伝達装置。
【請求項11】
主駆動輪側から補助駆動輪側に駆動トルクを伝達する駆動力伝達軸と、
前記駆動力伝達軸の前記主駆動輪側に配置された主駆動輪側の駆動力伝達系と、
前記主駆動輪側の駆動力伝達系の前記補助駆動輪側に配置された補助駆動輪側の駆動力伝達系とを備え、
前記補助駆動輪側の駆動力伝達系は、前記駆動力伝達軸と前記補助駆動輪側とを断続可能に連結する補助駆動輪側の駆動力断続部を含み、前記補助駆動輪側の駆動力断続部が請求項1乃至1のいずれか1項に記載の駆動力伝達装置であり、
前記主駆動輪側の駆動力伝達系は、前記駆動力伝達軸と前記主駆動輪側とを断続可能に連結する主駆動輪側の駆動力断続部を含む
四輪駆動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力軸からの駆動力を出力軸に伝達する駆動力伝達装置及びこれを備えた四輪駆動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駆動力伝達装置として、例えば四輪駆動車に搭載され、一対の回転部材をクラッチによってトルク伝達可能に連結するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この駆動力伝達装置は、入力軸と共に回転する第1の回転部材(後輪出力軸)と、第1の回転部材にその軸線上で相対回転可能な第2の回転部材(クラッチドラム)と、第2の回転部材と第1の回転部材とを断続可能に連結するクラッチと、クラッチのクラッチ動作によって第1の回転部材からの回転力をクラッチ側への押付力(カム推力)に変換するカム機構とから構成されている。
【0004】
第1の回転部材は、車両用のエンジンに入力軸を介して連結されている。第2の回転部材は、出力軸(前輪出力軸)に伝達ベルトを介して連結されている。クラッチは、内外2種のクラッチプレートを有し、第1の回転部材と第2の回転部材との間に配置されている。カム機構は、入力用のカム部材(外歯歯車)、入力用のカム部材に噛合する出力用のカム部材(内歯歯車)、及び両カム部材の間に介在するカムフォロアを有し、電動モータに減速機構を介して連結されている。
【0005】
以上の構成により、エンジン側からの駆動力が入力軸を介して第1の回転部材に入力されると、第1の回転部材がその軸線回りに回転する。ここで、電動モータに通電してカム機構を作動させる。次に、カム機構が作動すると、電動モータの回転力がカム推力に変換され、このカム推力がクラッチに付与される。このため、クラッチのクラッチプレート同士が接近して摩擦係合し、第1の回転部材と第2の回転部材とがトルク伝達可能に連結される。これにより、エンジン側の駆動力が入力軸から駆動力伝達装置を介して出力軸に伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−78134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に示す駆動力伝達装置においては、四輪駆動車の二輪駆動時にクラッチのクラッチプレート間の寸法が潤滑油の粘性に基づく引き摺りトルクによって悪影響を及ぼさない程度の大きい寸法に設定されていると、クラッチプレート間の寸法の合計がカム機構の作動による出力用のカム部材の移動距離を大きく上回ってしまい、このままでは四輪駆動時に良好なクラッチ動作が得られない。
【0008】
そこで、四輪駆動時に良好なクラッチ動作を得るために、例えばカム機構においてカムフォロアのボール径を大きくし、この大きさに応じたカム推力を得ることが考えられるが、この場合には入力用のカム部材と出力用のカム部材とを互いに反対の方向に回転させる必要からカム機構の搭載スペースが広くなる。
【0009】
また、カムフォロアのボール径を大きくする手段に代え、カム機構においてカム溝のカム角を大小2つの角度に設定して四輪駆動時に良好なクラッチ動作を得ることも考えられるが、この場合には通常リテーナが回転の規制を受けていないことから、カムフォロアがカム面に追従せず、所望のカム動作が確保されない。
【0010】
このため、カム機構の搭載スペースが広くならず、所望のカム動作を確保することができる駆動力伝達装置の出現が要望されていた。
【0011】
従って、本発明の目的は、カム機構の搭載スペースが広くならず、所望のカム動作を確保することができる駆動力伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために、(1)〜(1)の駆動力伝達装置及びこれを備えた四輪駆動車を提供する。
【0013】
(1)主駆動源によって回転する第1の回転部材と、前記第1の回転部材にその回転軸線上で相対回転可能に配置された第2の回転部材と、前記第2の回転部材と前記第1の回転部材との間に介在して配置され、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材とを断続可能に連結するクラッチと、前記クラッチにクラッチ動作力を付与するためのカム推力に副駆動源からの回転力を変換するカム機構とを備え、前記カム機構は、前記副駆動源から回転力を受けて回転するカム部材、前記カム部材を転動する転動部材、及び前記転動部材の転動によって前記カム推力を前記クラッチ側に出力する出力部材を有し、前記出力部材が前記回転軸線回りの回転の規制を受け、かつ前記転動部材を転動可能に保持して前記回転軸線の方向に移動可能なリテーナによって構成され、前記出力部材は、前記第2の回転部材を挿通させる挿通孔を有し、当該挿通孔に前記転動部材が収容されて回転可能に支持され、前記クラッチは、前記回転軸線方向に並列し、かつ摩擦係合とその解除によって前記第1の回転部材と前記第2の回転部材とを断続する第1のクラッチプレート及び第2のクラッチプレートを有し、前記カム機構により、前記副駆動源からの回転力が、前記第1のクラッチプレートと前記第2のクラッチプレートとの間のクリアランスを短縮するための第1のカム推力、及び前記第1のクラッチプレートと前記第2のクラッチプレートとを摩擦係合させるための第2のカム推力に変換される、駆動力伝達装置。
【0014】
(2)上記(1)に記載の駆動力伝達装置において、前記カム機構は、前記出力部材が前記転動部材を収容する収容空間を有する円環部材によって形成されている。
【0015】
(3)上記(1)又は(2)に記載の駆動力伝達装置において、前記カム機構は、前記出力部材がその移動方向に沿って固定ガイドを挿通させ、かつ円周方向に間隔をもって並列する複数のガイド挿通孔を有する。
【0016】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の駆動力伝達装置において、前記カム機構は、前記転動部材が前記カム部材の軸線と直交する軸線をもつ円筒ころによって形成されている。
【0018】
)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の駆動力伝達装置において、前記カム機構は、前記カム部材が前記回転軸線の回りに並列する凹部及び凸部からなるカム面を前記転動部材側に有する円環部材によって形成されている。
【0019】
)上記()に記載の駆動力伝達装置において、前記カム機構は、前記凸部の前記転動部材側の端面が前記凹部側から前記カム部材の円周方向に沿ってその軸線方向厚さを漸次大きくする軌道面で形成されている。
【0020】
)上記()に記載の駆動力伝達装置において、前記カム機構は、前記カム部材において前記軌道面の円周方向両端部のうち前記凹部側の端部を始端部とするとともに、前記始端部と反対側の端部を終端部とすると、前記転動部材が前記始端部に配置されている状態において前記出力部材から前記第1のカム推力を出力し、前記転動部材が前記始端部と前記終端部との間に配置された状態において前記出力部材から前記第2のカム推力を出力する。
【0021】
)上記(1)乃至()のいずれかに記載の駆動力伝達装置において、前記カム機構は、前記カム部材が前記副駆動源に歯車伝達機構を介して噛合するギヤ部を有する。
【0022】
)上記()に記載の駆動力伝達装置において、前記減速機構は、前記副駆動源からの回転力を入力するとともに、この回転力を減速して前記歯車伝達機構に出力する偏心揺動減速機構である。
【0023】
(1)上記()に記載の駆動力伝達装置において、前記減速機構は、前記副駆動源の回転軸線を軸線とし、この軸線に平行な軸線を中心軸線とする偏心部を有する回転軸と、前記回転軸の前記偏心部に転がり軸受を介して嵌合する中心孔、及び前記中心孔の軸線回りに等間隔をもって並列する複数の貫通孔を有する外歯歯車からなる入力部材と、前記入力部材に前記外歯歯車の歯数よりも大きい歯数をもって噛合する内歯歯車からなる自転力付与部材と、前記自転力付与部材によって付与された自転力を前記入力部材から受けて前記歯車伝達機構に出力し、前記複数の貫通孔を挿通する出力部材とを備えた。
【0024】
(1)主駆動輪側から補助駆動輪側に駆動トルクを伝達する駆動力伝達軸と、前記駆動力伝達軸の前記主駆動輪側に配置された主駆動輪側の駆動力伝達系と、前記主駆動輪側の駆動力伝達系の前記補助駆動輪側に配置された補助駆動輪側の駆動力伝達系とを備え、前記補助駆動輪側の駆動力伝達系は、前記駆動力伝達軸と前記補助駆動輪側とを断続可能に連結する補助駆動輪側の駆動力断続部を含み、前記補助駆動輪側の駆動力断続部が上記(1)乃至(1)のいずれかに記載の駆動力伝達装置であり、前記主駆動輪側の駆動力伝達系は、前記駆動力伝達軸と前記主駆動輪側とを断続可能に連結する主駆動輪側の駆動力断続部を含む四輪駆動車。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、カム機構の搭載スペースが広くならず、所望のカム動作を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置が搭載された四輪駆動車の概略を説明するために示す平面図。
図2】本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置の全体を説明するために示す断面図。同図において、上半分はディスコネクト状態を、また下半分はコネクト状態をそれぞれ示す。
図3】本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置の副駆動源及び減速機構等を説明するために示す断面図。
図4】本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置のカム機構及びクラッチ等を説明するために示す断面図。
図5】本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置の減速機構を説明するために簡略化して示す断面図。
図6】本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置のカム機構を説明するために示す斜視図。
図7】本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置のカム機構において、カム部材を説明するために示す斜視図。
図8】本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置のカム機構において、出力部材(リテーナ)を説明するために示す斜視図。
図9】本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置のカム機構において、転動部材及び支持ピンを説明するために示す斜視図。
図10】本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置におけるカム機構の動作を説明するために簡略化して示す側面図。
図11】本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置において、カム部材の回転角と出力部材の移動ストローク及び第1の回転部材から第2の回転部材への伝達トルクとの関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1の実施の形態]
図1は四輪駆動車の概略を示す。図1に示すように、四輪駆動車200は、駆動力伝達系201,エンジン(主駆動源)202,トランスミッション203,主駆動輪としての前輪204L,204R及び補助駆動輪としての後輪205L,205Rを備えている。
【0028】
駆動力伝達系201は、四輪駆動車200におけるトランスミッション203側から後輪205L,205R側に至る駆動力伝達経路にフロントディファレンシャル206及びリヤディファレンシャル207と共に配置され、かつ四輪駆動車200の車体(図示せず)に搭載されている。
【0029】
そして、駆動力伝達系201は、主駆動輪側の駆動力伝達系201A,補助駆動輪側の駆動力伝達系201B及び駆動力伝達軸(プロペラシャフト)2を有し、四輪駆動車200の四輪駆動状態を二輪駆動状態に、また二輪駆動状態を四輪駆動状態にそれぞれ切り替え可能に構成されている。
【0030】
主駆動輪側の駆動力伝達系201Aは、主駆動輪側の駆動力断続部(駆動力断続装置3)を含み、プロペラシャフト2の前輪204L,204R側に配置されている。補助駆動輪側の駆動力伝達系201Bは、補助駆動輪側の駆動力断続部(駆動力伝達装置1)を含み、プロペラシャフト2の後輪205L,205R側に配置されている。駆動力伝達装置1の詳細については後述する。
【0031】
フロントディファレンシャル206は、サイドギヤ209L・209R,一対のピニオンギヤ210,ギヤ支持部材211及びフロントデフケース212を有し、トランスミッション203に連結されている。サイドギヤ209Lは前輪側のアクスルシャフト208Lに、またサイドギヤ209Rは前輪側のアクスルシャフト208Rにそれぞれ接続する。一対のピニオンギヤ210は、サイドギヤ209L,209Rにギヤ軸を直交させて噛合する。ギヤ支持部材211は、一対のピニオンギヤ210を回転可能に支持する。フロントデフケース212は、ギヤ支持部材211,一対のピニオンギヤ210及びサイドギヤ209L,209Rを収容する。
【0032】
リヤディファレンシャル207は、サイドギヤ214L・214R,一対のピニオンギヤ215,ギヤ支持部材216及びリヤデフケース217を有し、プロペラシャフト2に連結されている。サイドギヤ214Lは後輪側のアクスルシャフト213Lに、またサイドギヤ214Rは駆動力伝達装置1(後輪側のアクスルシャフト213R)にそれぞれ接続する。一対のピニオンギヤ215は、サイドギヤ214L,214Rにギヤ軸を直交させて噛合する。ギヤ支持部材216は、一対のピニオンギヤ215を回転可能に支持する。リヤデフケース217は、ギヤ支持部材216,一対のピニオンギヤ215及びサイドギヤ214L,214Rを収容する。
【0033】
エンジン202は、トランスミッション203及びフロントディファレンシャル206を介して前輪側のアクスルシャフト208L,208Rに駆動力を出力することにより前輪204L,204Rを駆動する。
【0034】
また、エンジン202は、トランスミッション203,駆動力断続装置3,プロペラシャフト2及びリヤディファレンシャル207を介して一方の後輪側のアクスルシャフト213Lに駆動力を出力することにより一方の後輪205Lを駆動する。エンジン202は、トランスミッション203,駆動力断続装置3,プロペラシャフト2,リヤディファレンシャル207及び駆動力伝達装置1を介して他方の後輪側のアクスルシャフト213Rに駆動力を出力することにより他方の後輪205Rを駆動する。
【0035】
プロペラシャフト2は、駆動力断続装置3とリヤディファレンシャル207(駆動力伝達装置1)との間に配置されている。そして、プロペラシャフト2は、エンジン202の駆動力(駆動トルク)をフロントデフケース212から受けて前輪204L,204R側から後輪205L,205R側に伝達する。
【0036】
プロペラシャフト2の前輪側端部には、互いに噛合するドライブピニオン60及びリングギヤ61からなる前輪側の歯車機構6が配置されている。プロペラシャフト2の後輪側端部には、互いに噛合するドライブピニオン70及びリングギヤ71からなる後輪側の歯車機構7が配置されている。
【0037】
駆動力断続装置3は、第1のスプライン歯部30,第2のスプライン歯部31及びスリーブ32を有するドグクラッチからなり、四輪駆動車200の前輪204L,204R側に配置され、かつアクチュエータ(図示せず)を介して車両用のECU(Electronic Control Unit:図示せず)に接続されている。そして、駆動力断続装置3は、プロペラシャフト2とフロントデフケース212とを断続可能に連結する。第1のスプライン歯部30はフロントデフケース212に、また第2のスプライン歯部31はリングギヤ61にそれぞれ回転不能に接続されている。スリーブ32は、第1のスプライン歯部30及び第2のスプライン歯部31にスプライン嵌合可能に連結されている。
【0038】
(駆動力伝達装置1の全体構成)
図2は駆動力伝達装置の全体を示す。図3は副駆動源及び減速機構等を示す。図4はカム機構及びクラッチ等を示す。図2図4に示すように、駆動力伝達装置1は、クラッチとしての多板クラッチ8,ハウジング(第1の回転部材)12,インナシャフト(第2の回転部材)13及びカム機構16を有し、四輪駆動車200(図1に示す)の後輪205R(図1に示す)側に配置され、かつ装置ケース4内に収容されている。
【0039】
そして、駆動力伝達装置1は、プロペラシャフト2(図1に示す)と後輪側のアクスルシャフト213R(図1に示す)とを断続可能に連結する。すなわち、後輪側のアクスルシャフト213Rとプロペラシャフト2とは駆動力伝達装置1を介在させて連結されている。後輪側のアクスルシャフト213L(図1に示す)とプロペラシャフト2とは駆動力伝達装置1を介在させることなく連結されている。
【0040】
これにより、駆動力伝達装置1による連結時には、一方の後輪側のアクスルシャフト213Lとプロペラシャフト2とが、また他方の後輪側のアクスルシャフト213Rとプロペラシャフト2とがそれぞれ歯車機構7及びリヤディファレンシャル207(共に図1に示す)を介してそれぞれトルク伝達可能に連結される。一方、駆動力伝達装置1による連結の解除時には、一方の後輪側のアクスルシャフト213Lとプロペラシャフト2とが歯車機構7及びリヤディファレンシャル207を介して連結されたままであるが、他方の後輪側のアクスルシャフト213Rとプロペラシャフト2との連結が遮断される。
【0041】
装置ケース4は、回転軸線O片側(図2の右側)に開口するケース本体40、及びケース本体40の開口部を閉塞するケース蓋体41からなり、四輪駆動車200の車体に取り付けられている。装置ケース4内には、カム機構16及び多板クラッチ8等を収容する主収容空間42が設けられている。
【0042】
ケース本体40には、ハウジング12における第1のハウジングエレメント120を挿通させるエレメント挿通孔40a、及びエレメント挿通孔40aの外側開口周縁からその軸線方向に突出する円筒部40bが設けられている。また、ケース本体40には、その外側面に突出し、かつエンジン202(図1に示す)と異なるカム作動用の副駆動源5を取り付けるための取付部40cが一体に設けられている。取付部40cには、回転軸線Oと平行な軸線両方向に開口する貫通孔400cが設けられている。ケース本体40とケース蓋体41とには回転軸90(回転軸線O)と平行な軸線をもつ丸ピンからなる複数(本実施の形態では3個)のガイド(固定ガイド)43が取り付けられている。複数のガイド43は、回転軸線O回りに等間隔をもって配置されている。
【0043】
ケース蓋体41は、ケース本体40にボルト(図示せず)によって取り付けられ、全体がインナシャフト13(後述)を挿通させるキャップ部材によって形成されている。
【0044】
ケース蓋体41には、ケース本体40の取付部40cに減速機構9等を介して対向する蓋部41aが設けられている。蓋部41aと取付部40cとの間には、主収容空間42に連通する副収容空間44が設けられている。蓋部41aと取付部40cとにはガイド43と平行な支持軸45が取り付けられている。蓋部41aには、副収容空間44に連通し、かつ軸線O方向に沿って開口する凹孔410aが設けられている。また、ケース蓋体41には、インナシャフト13を挿通させるシャフト挿通孔41b、及びシャフト挿通孔41bの外側開口周縁からその軸線方向に突出する円筒部41cが設けられている。
【0045】
副駆動源5は、電動モータ50を有し、駆動源用ハウジング52内に収容され、かつ減速機構用ハウジング94にボルト53によって取り付けられている。また、副駆動源5は、電動モータ50のモータ軸(入力軸としての駆動軸)500に減速機構9及び歯車伝達機構10を介してカム機構16(後述するカム部材17)に連結されている。これにより、電動モータ50のモータ回転力(駆動力)が減速機構9で減速されて歯車伝達機構10からギヤ部170aを介してカム部材17に確実に伝達される。
【0046】
なお、図2及び図3において、電動モータ50は部分断面図で示す。電動モータ50のモータハウジング51は側方から見て外観図で示す。モータハウジング51は駆動源用ハウジング52に固定されている。電動モータ50の回転部分は、モータハウジング51に対して回転可能に配設され、断面図として示すモータ軸500に繋がっている。モータ50は、モータハウジング51に対してモータ軸500が回転する。
【0047】
図5は減速機構を示す。本実施の形態において、減速機構は、偏心揺動減速機構であり、偏心揺動減速機構のうちでも少歯数差インボリュート減速機構である。偏心揺動減速機構を用いることにより大きな減速比を得ることができる。図3及び図5に示すように、減速機構9は、回転軸90,入力部材91,自転力付与部材92及び複数(本実施の形態では6個)の出力部材93を有し、駆動源用ハウジング52とケース本体40の取付部40cとの間に介在して配置され、かつ減速機構用ハウジング94内に収容されている。そして、減速機構9は、電動モータ50のモータ回転力を減速して駆動力を歯車伝達機構10に伝達するように構成されている。
【0048】
回転軸90は、電動モータ50のモータ軸500の軸線O(回転軸90の回転中心の軸線Oと等しい)から偏心量δをもって平行に偏心する軸線Oを中心軸線とする偏心部90aを有し、モータ軸500に連結され、かつ減速機構用ハウジング94のハウジングエレメント940及び歯車伝達機構10の第1の歯車(出力軸としての従動軸)100にそれぞれ玉軸受95,96を介して回転可能に支持されている。
【0049】
入力部材91は、軸線O(本実施の形態では軸線Oとする)を中心軸線とする中心孔91aを有する外歯歯車からなり、減速機構用ハウジング94内に収容され、かつ中心孔91aの内周面と偏心部90aの外周面との間に針状ころ軸受97を介在させて回転軸90に回転可能に支持されている。針状ころ軸受97に代えて、ラジアル荷重が受けられる他の種類の転がり軸受であってもよい。ラジアル荷重を受けるそして、入力部材91は、電動モータ50からモータ回転力を受けて偏心量δをもつ矢印m,m方向の円運動(軸線Oが軸線O回りの公転運動)を行う。
【0050】
入力部材91には、軸線O回りに等間隔をもって並列する複数(本実施の形態では6個)の貫通孔としてのピン挿通孔91bが設けられている。ピン挿通孔91bの孔径は、出力部材93の外径に針状ころ軸受98の外径を加えた寸法よりも大きい寸法に設定されている。入力部材91の外周面には、軸線Oを中心軸線とするピッチ円のインボリュート歯形をもつ外歯91cが設けられている。
【0051】
自転力付与部材92は、軸線O(本実施の形態では軸線Oとする)を中心軸線とする内歯歯車からなり、減速機構用ハウジング94のハウジングエレメント940と装置ケース4の取付部40cとの間に介在して配置され、全体が軸線Oの両方向に開口して減速機構用ハウジング94の一部を構成する円環部材によって形成されている。そして、自転力付与部材92は、入力部材91に噛合し、電動モータ50のモータ回転力を受けて公転する入力部材91に矢印n,n方向(軸線O回り)に自転力を付与する。自転力付与部材92の内周面には、入力部材91の外歯91cに噛合するインボリュート歯形の内歯92aが設けられている。内歯92aの歯数をZとするとともに、入力部材91の外歯91cの歯数をZとすると、減速機構9の減速比αがα=Z/(Z−Z)から算出される。
【0052】
複数の出力部材93は、略均一な外径をもつピンからなり、入力部材91のピン挿通孔91bを挿通して歯車伝達機構10における第1の歯車100のピン取付孔100aに取り付けられている。そして、複数の出力部材93は、自転力付与部材92によって付与された自転力を入力部材91から受けて第1の歯車100に出力する。
【0053】
複数の出力部材93の外周面には、入力部材91におけるピン挿通孔91bの内周面との間の接触抵抗を低減するための針状ころ軸受98が取り付けられている。
【0054】
歯車伝達機構10は、第1の歯車100及び第2の歯車101を有し、減速機構9とカム機構16との間に介在して配置され、かつ装置ケース4内に収容されている。歯車伝達機構10では、減速機構9で減速された副駆動源5からの駆動力を受けてカム機構16に伝達する。
【0055】
第1の歯車100は、回転軸90の軸線O上に配置され、かつ装置ケース4内に玉軸受102,103を介して回転可能に支持されている。第1の歯車100は、各外径を互いに異にする円筒部100b〜100eを有し、軸線両方向に開口する段状の円筒部材によって形成されている。
【0056】
円筒部100bは、円筒部100c〜100eの各外径よりも大きい外径をもって減速機構9の近傍に配置されている。円筒部100bの外周面とケース本体40(取付部40c)の貫通孔400cとの間には玉軸受102が介在して配置されている。
【0057】
円筒部100cは、円筒部100bと円筒部100dとの間に介在して配置されている。円筒部100cの外周面とケース本体40(取付部40c)の貫通孔400cの内周面との間にはシール機構104が介在して配置されている。
【0058】
円筒部100dは、円筒部100cの外径よりも小さい外径をもって円筒部100cと円筒部100eとの間に介在して配置されている。円筒部100dの外周面には、第2の歯車101のギヤ部101aに噛合するギヤ部1000dが設けられている。
【0059】
円筒部100eは、円筒部100b〜100dの各外径よりも小さい外径をもってケース蓋体41(蓋部41a)の近傍に配置されている。円筒部100eの外周面とケース蓋体41(蓋部41a)における凹孔410aの内周面との間には玉軸受103が介在して配置されている。
【0060】
第2の歯車101は、ギヤ部101aが第1の歯車100に噛合する位置に配置され、かつ支持軸45に玉軸受105を介して回転可能に支持されている。
【0061】
(多板クラッチ8の構成)
多板クラッチ8は、図4に示すように、回転軸線O方向に並列する複数のインナクラッチプレート80(第1のクラッチプレート)及び複数のアウタクラッチプレート81(第2のクラッチプレート)を有する摩擦式のクラッチからなり、ハウジング12とインナシャフト13との間に配置されている。
【0062】
そして、多板クラッチ8は、インナクラッチプレート80及びアウタクラッチプレート81のうち互いに隣り合う内外のクラッチプレート同士を摩擦係合させ、またその摩擦係合を解除してハウジング12とインナシャフト13とを断続可能に連結する。
【0063】
インナクラッチプレート80及びアウタクラッチプレート81は、回転軸線Oに沿って交互に配置され、かつ環状の摩擦板によって形成されている。インナクラッチプレート80及びアウタクラッチプレート81のうち互いに隣り合う2つのクラッチプレート間の初期状態におけるクリアランスCは、四輪駆動車200(図1に示す)の二輪駆動時に潤滑油の粘性に基づく引き摺りトルクによってクラッチプレート同士が摩擦係合しない寸法に設定されている。
【0064】
複数のインナクラッチプレート80は、その内周部にストレートスプライン嵌合部80aを有し、ストレートスプライン嵌合部80aを円筒部13a(インナシャフト13)のストレートスプライン嵌合部130aに嵌合させてインナシャフト13に相対回転不能かつ相対移動可能に連結されている。
【0065】
複数のインナクラッチプレート80には、その円周方向に沿って並列し、かつ回転軸線O方向に開口する複数の油孔80bが設けられている。
【0066】
複数のアウタクラッチプレート81は、その外周部にストレートスプライン嵌合部81aを有し、ストレートスプライン嵌合部81aを第2のハウジングエレメント121のストレートスプライン嵌合部121b(後述)に嵌合させてハウジング12に相対回転不能かつ相対移動可能に連結されている。
【0067】
(ハウジング12の構成)
ハウジング12は、図4に示すように、第1のハウジングエレメント120及び第2のハウジングエレメント121からなり、後輪側のアクスルシャフト213R(図1に示す)の軸線(回転軸線O)上に配置され、かつ装置ケース4内に針状ころ軸受122,123を介して回転可能に支持されている。
【0068】
第1のハウジングエレメント120は、回転軸線Oを軸線とする軸状部材からなり、ハウジング12の一方側(図4では左側)端部に配置され、かつサイドギヤ214R(図1に示す)にスプライン嵌合によって連結されている。第1のハウジングエレメント120の外周面とエレメント挿通孔40a及び円筒部40bの両内周面との間に針状ころ軸受122が介在して配置されている。第1のハウジングエレメント120の外周面と円筒部40bの内周面との間には、エレメント挿通孔40aの軸線方向に並列するシール機構124,125が介在して配置されている。第1のハウジングエレメント120には、カム機構16側に開口する丸孔からなる凹部120aが設けられている。
【0069】
第2のハウジングエレメント121は、ハウジング12の他方側(図4では右側)端部に配置され、かつカム機構16側に開口する有底円筒部材によって形成されている。第2のハウジングエレメント121は円筒内周面にストレートスプライン嵌合部121bが設けられている。第2のハウジングエレメント121の円筒内周面に面する空間は収容空間121aである。収容空間121aは第1のハウジングエレメント120の凹部120aと装置ケース4の主収容空間42とに連通している。ストレートスプライン嵌合部121bは収容空間121aに露出している。第2のハウジングエレメント121の底部とケース本体40の挿通孔40aの内側開口周縁との間には針状ころ軸受123が介在して配置されている。
【0070】
(インナシャフト13の構成)
インナシャフト13は、図4に示すように、ハウジング12の回転軸線O上に配置され、かつハウジング12に針状ころ軸受130,131を介して、またケース蓋体41に玉軸受132を介して回転可能に支持されている。インナシャフト13は、各外径が互いに異なる円筒部13a〜13c,軸部13dを有し、軸線方向片側(図1に示す後輪205R側)に開口する有底円筒部材によって形成されている。インナシャフト13は、その開口部内に後輪側のアクスルシャフト213R(図1に示す)の先端部を挿入させて収容する。後輪側のアクスルシャフト213Rは、インナシャフト13にスプライン嵌合によって相対回転不能かつ相対移動可能に連結されている。
【0071】
円筒部13aは、円筒部13cと軸部13dとの間に介在して配置されている。円筒部13aの外径は、円筒部13b,13c及び軸部13dの各外径よりも大きい寸法に設定されている。円筒部13aの外周面には、装置ケース4の主収容空間42に露出し、かつ多板クラッチ8におけるインナクラッチプレート80のストレートスプライン嵌合部80aに嵌合するストレートスプライン嵌合部130aが設けられている。円筒部13aの底部とハウジング12における第2のハウジングエレメント121の底部との間には針状ころ軸受131が介在して配置されている。
【0072】
円筒部13bは、インナシャフト13の一方側(図4では右側)端部に配置されている。円筒部13bの外径は、円筒部13cの外径よりも小さい寸法に設定されている。円筒部13bの外周面とケース蓋体41における円筒部41cの内周面との間には玉軸受132及びシール機構133が介在して配置されている。
【0073】
円筒部13cは、円筒部13aと円筒部13bとの間に介在して配置されている。円筒部13cの外径は、円筒部13aの外径と円筒部13bの外径との間の寸法に設定されている。
【0074】
軸部13dは、インナシャフト13の他方側(図4では左側)端部に配置され、かつハウジング12における第1のハウジングエレメント120の凹部120a内に収容されている。軸部13dの外径は、円筒部13a〜13cの各外径よりも小さい寸法に設定されている。軸部13dの外周面と第1のハウジングエレメント120における凹部120aの内周面との間に針状ころ軸受130が介在して配置されている。
【0075】
(カム機構16の構成)
図6はカム機構を示す。図4及び図6に示すように、カム機構16は、カム部材(入力部材)170,リテーナ(出力部材)18及び転動部材19を有し、インナシャフト13における円筒部13cの外周囲に配置され、かつ装置ケース4の主収容空間42に収容されている。そして、カム機構16は、多板クラッチ8にクラッチ動作力となる押付力を付与するためのカム推力に副駆動源5(電動モータ50)からのモータ回転力(減速機構9からの駆動力)を変換する。カム推力には、多板クラッチ8のインナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81との間にクリアランスCを例えばC=0とするための第1のカム推力P、及び多板クラッチ8のインナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81とを互いに摩擦係合させるための第2のカム推力Pが含まれる。
【0076】
図7はカム部材を示す。図4及び図7に示すように、カム部材17は、インナシャフト13を挿通させるシャフト挿通孔17aを有し、カム機構16の一方側(図4では右側)端部に配置され、回転軸線O回りに回転する円環部材によって形成されている。
【0077】
カム部材17の外周縁には、その放射方向に突出する凸片170が設けられている。凸片170には、歯車伝達機構10における第2の歯車101(ギヤ部101a)に噛合するギヤ部170aが設けられている。
【0078】
カム部材17の軸線方向一方側端面には、シャフト挿通孔17aの開口周縁から後輪205R(図1に示す)側に向かって突出する円筒部17bが設けられている。円筒部17bの内周面とインナシャフト13における円筒部13cの外周面との間には針状ころ軸受171が介在して配置されている。カム部材17の軸線方向一方側端面とケース蓋体41のシャフト挿通孔41bの内側開口周縁との間には針状ころ軸受172が介在して配置されている。カム部材17の軸線方向他方側(図4では左側)端面は、多板クラッチ8に対向するカム面としての凹凸面173で形成されている。
【0079】
凹凸面173は、カム部材17の軸線回りに交互に並列する凹部174及び凸部175を有し、転動部材19を転動させて回転軸線Oに沿う方向の第1のカム推力P及び第2のカム推力Pを転動部材19に付与する。本実施の形態では、カム部材17の円周方向に互いに隣接する凹部174及び凸部175を一組の凹凸部とすると、三組の凹凸部から凹凸面173が構成される。
【0080】
凹部174は、切り欠き幅が略均一な一対の切り欠き側面174a,174b、及び一対の切り欠き側面174a,174b間に介在する切り欠き底面174cを有する断面略矩形状の切り欠きによって形成されている。
【0081】
一方の切り欠き側面174aは、回転軸線O回りの一方側で凹部174から凸部175へ転動部材19を誘導するための曲面をもつ誘導面として機能する。他方の切り欠き側面174bは、回転軸線O回りの他方側で切り欠き底面174cに略直交するストッパ面として機能する。
【0082】
凸部175は、3つ凹部174のうち互いに隣り合う2つの凹部間に介在して配置されている。凸部175において、転動部材19側の端面は、カム部材17の円周方向に互いに隣接する面175a,175bから構成されている。
【0083】
一方の面175aは、凹部174側から他方の面175bに向かって(カム部材17の円周方向に沿って)カム部材17の軸線方向厚さ(凸部175の突出高さ)を漸次大きくする傾斜面からなる軌道面で形成されている。これにより、一方の面175aの円周方向両端部のうち凹部174側の端部を始端部175a図10に示す)とすると、カム機構16は転動部材19が始端部175aに配置された状態においてリテーナ18から第1のカム推力Pを出力する。また、一方の面175aの円周方向両端部のうち始端部175aと反対側(他方の面175b側)の端部を終端部175a図10に示す)とすると、カム機構16は転動部材19が始端部175aと終端部175aとの間に配置された状態においてリテーナ18から第2のカム推力Pを出力する。
【0084】
他方の面175bは、カム部材17の軸線方向厚さを略均一な寸法とする平面で形成されている。
【0085】
図8は出力部材(リテーナ)を示す。図4及び図8に示すように、リテーナ18は、インナシャフト13を挿通させるシャフト挿通孔18aを有し、カム機構16の他方側(図4では左側)端部に配置され、回転軸線Oの方向に移動可能な円環部材によって形成されている。そして、リテーナ18は、その回転の規制を複数のガイド(固定ガイド)43で受けて第1のカム推力P及び第2のカム推力Pを多板クラッチ8側に出力し、かつ転動部材19を転動可能に保持するリテーナによって構成されている。シャフト挿通孔18aは、転動部材19を収容する収容空間として機能する。
【0086】
リテーナ18のクラッチ側端面には、シャフト挿通孔18aの開口周縁から多板クラッチ8側に向かって突出する円筒部18bが設けられている。円筒部18bの外周囲には、リテーナ18から第1のカム推力P及び第2のカム推力Pを受けて多板クラッチ8(アウタクラッチプレート81)を押し付ける円環状の押付部材20が配置されている。押付部材20の外周縁には、ハウジング12における第2のハウジングエレメント121のストレートスプライン嵌合部121bに嵌合するストレートスプライン嵌合部20aが設けられている。押付部材20の片側(多板クラッチ側端面と反対側)端面とリテーナ18のクラッチ側端面との間には針状ころ軸受21が介在して配置されている。
【0087】
リテーナ18の外周縁には、その放射方向に突出する複数(本実施の形態では3個)の凸片22が設けられている。複数の凸片22は、リテーナ18の円周方向に等間隔をもって配置されている。複数の凸片22には、ガイド43を挿通させるガイド挿通孔22aが設けられている。ガイド挿通孔22aの内周面とガイド43の外周面との間には軸受ブッシュ23が介在して配置されている。これにより、リテーナ18がガイド43に沿って移動する際の抵抗が低減される。ガイド挿通孔22aの開口周縁とケース本体40のスプリング受面40dとの間に復帰用スプリング24が介在して配置されている。
【0088】
リテーナ18には、その内外周面に開口し、かつ支持ピン25を挿通させる複数(本実施の形態では3個)のピン挿通孔18cが設けられている。複数のピン挿通孔18cは、カム部材17及びリテーナ18の軸線(回転軸線O)と直交する方向の軸線Lをもち、それぞれが対応する凸片22の近傍に配置されている。複数のピン挿通孔18cの内側開口周縁には円環状のころ受部材26を着座させる座面180cが、また外側開口周縁にはナット27を着座させる座面181cがそれぞれ設けられている。
【0089】
支持ピン25は、外径を互いに異にする大小2つの胴部25a,25b(大径の胴部25a,小径の胴部25b)を有し、胴部25a及びナット27によって軸線方向に移動の規制を受けた状態でリテーナ18に取り付けられている。支持ピン25内には、その軸線に軸線を一致させて芯材28が埋め込まれている。
【0090】
大径の胴部25aは、シャフト挿通孔18a内に露出した状態で支持ピン25の軸線方向一方側(回転軸線O側)端部に配置されている。大径の胴部25aの外周面は針状ころ29の内側軌道面として機能する。大径の胴部25aには、回転軸線O側の端部で外周面に突出し、かつ複数の針状ころ29を介してころ受部材26に対向する鍔部250aが設けられている。
【0091】
小径の胴部25bは、ピン挿通孔18cを挿通した状態で支持ピン25の軸線方向他方側(ガイド43側)端部に配置されている。小径の胴部25bには、ナット27を螺合(結合)するねじ部250bが設けられている。
【0092】
図9は転動部材及び支持ピンを示す。図4及び図9に示すように、転動部材19はリテーナ18のシャフト挿通孔18a内に配設される。転動部材19は円筒部材によって形成されている。転動部材19の外周面は凹凸面173を転動する。そして、転動部材19は、ピン挿通孔18cの軸線L上に配置され、かつ大径の胴部25aの外周面に針状ころ29を介して回転可能に支持されている。
【0093】
転動部材19には、軸線方向中央部で針状ころ29側に突出する円筒状の凸部19aが設けられている。凸部19aの軸線方向一方側端面は鍔部250aの端面に、また軸線方向他方側端面はころ受部材26の端面にそれぞれ対向する。凸部19aの内周面は針状ころ29の外側軌道面として機能する。支持ピン25と複数の針状ころ29と転動部材19とは、それぞれ内輪(又は内軸)と転動体と外輪とに相当し、外輪外周面が凹凸面173を転動する一種のローラである。
【0094】
(駆動力伝達装置1の動作)
次に、本実施の形態に示す駆動力伝達装置の動作につき、図1図2及び図10を用いて説明する。図10はカム機構における転動部材の動作状態を示す。
【0095】
図1において、四輪駆動車200の二輪駆動時には、エンジン202の回転駆動力がトランスミッション203を介してフロントディファレンシャル206に伝達される。そして、フロントディファレンシャル206から前輪側のアクスルシャフト208L,208Rを介して前輪204L,204Rにエンジン202の回転駆動力が伝達され、前輪204L,204Rが回転駆動される。
【0096】
この場合、駆動力断続装置3では、第1のスプライン歯部30と第2のスプライン歯部31との間でトルク伝達が不能となっている。また、図2(上半分)において、副駆動源5の電動モータ50が非通電状態であるため、電動モータ50のモータ回転力が減速機構9及び歯車伝達機構10を介してカム機構16に伝達されず、カム機構16が作動することがない。そして、転動部材19は凹部174の切り欠き底面174cに当接していて、インナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81とは摩擦係合していない。
【0097】
一方、二輪駆動状態にある四輪駆動車200を四輪駆動状態に切り替えるには、駆動力伝達装置1によってプロペラシャフト2と後輪側のアクスルシャフト213Rとをトルク伝達可能に連結する。引き続き、駆動力断続装置3によってフロントデフケース212とプロペラシャフト2とをトルク伝達可能に連結する。プロペラシャフト2と後輪側のアクスルシャフト213Lとは、リヤディファレンシャル207等を介してトルク伝達可能に常時連結されている。
【0098】
このため、エンジン202の回転駆動力がプロペラシャフト2からリヤディファレンシャル207及び後輪側のアクスルシャフト213L等を介して後輪205Lに伝達され、後輪205Lが回転駆動される。
【0099】
ここで、駆動力伝達装置1によってプロペラシャフト2と後輪側のアクスルシャフト213Rとを連結するには、図2(下半分)に示すように、電動モータ50のモータ回転力をカム機構16に付与し、カム機構16を作動させる。この場合、カム機構16が作動すると、カム部材17が回転軸線O回り一方向(リテーナ18を矢印X方向に移動させる方向)に回転する。
【0100】
これに伴い、転動部材19は、図10に実線で示すようにカム部材17における凹凸面173の凹部174に配置された状態(初期状態)から転動し、図10に一点鎖線で示すようにカム部材17の凸部175の一方の面175aに乗り上げて始端部175aに配置される。この際、カム機構16において、多板クラッチ8のインナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81との間のクリアランスC(図示せず)をC=0とするための第1のカム推力Pに電動モータ50のモータ回転力が変換される。
【0101】
このため、転動部材19は、回転軸線Oに沿って多板クラッチ8側(矢印X方向)に移動し、この移動方向に針状ころ29及び支持ピン25を介してリテーナ18を押し付ける。
【0102】
これに伴い、リテーナ18は、復帰用スプリング24のばね力に抗して矢印X方向に移動し、インナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81とを互いに接近させる方向に押付部材20を押し付ける。
【0103】
これにより、押付部材20がインナクラッチプレート80及びアウタクラッチプレート81を矢印X方向に押し付け、互いに隣り合う2つのクラッチプレート間のクリアランスC(図示せず)が例えばC=0となる。
【0104】
次に、カム部材17が電動モータ50のモータ回転力を受けて回転軸線O回り一方向にさらに回転すると、転動部材19が図10に一点鎖線で示す位置から凸部175の一方の面175aを他方の面175bに向かって転動する。この後、転動部材19が一方の面175aの終端部175aに到達して凸部175の他方の面175bに乗り上げる。この際、例えば始端部175aと終端部175aとの間で転動部材19が一方の面175aを転動する範囲であって、終端部175aに近い側に到達したとき、カム機構16ではインナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81とを摩擦係合させるための第2のカム推力Pに電動モータ50のモータ回転力が変換される。
【0105】
このため、転動部材19は、図10に二点鎖線で示すように回転軸線Oに沿って多板クラッチ8側(矢印X方向)に移動し、この移動方向に針状ころ29及び支持ピン25を介してリテーナ18を押し付ける。
【0106】
これに伴い、リテーナ18は、復帰用スプリング24のばね力に抗して矢印X方向に移動し、インナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81とを互いに摩擦係合させる方向に押付部材20を押し付ける。
【0107】
このため、押付部材20がインナクラッチプレート80及びアウタクラッチプレート81を矢印X方向に押し付け、互いに隣り合う2つのクラッチプレート同士が摩擦係合する。
【0108】
これにより、エンジン202の回転駆動力は、ハウジング12からインナシャフト13に、さらにインナシャフト13から後輪側のアクスルシャフト213Rを介して後輪205Rに伝達され、後輪205Rが回転駆動される。
【0109】
次に、カム部材17の回転角α[°]と、リテーナ18の回転軸線Oに沿う移動ストロークS[mm]、及びハウジング12からインナシャフト13に伝達されるトルク(伝達トルク)T[N・m]との関係について考察する。
【0110】
本考察は、駆動力伝達装置1において、第1のカム推力P及び第2のカム推力Pが発生する方向にカム部材17を回転させ、この回転角αに対する移動ストロークS及び伝達トルクTを測定することにより試みた。
【0111】
この結果、移動ストロークSは、回転角αがα=0からα=αまでにある角度では比較的緩やかな凸状の曲線を描いて大きくなり、回転角αがα=αを超えると、αに略比例して大きくなることが確認された。この場合、転動部材19は、カム部材17の凹凸面173上を転動し、α=αにおいて図10に一点鎖線で示す位置に、またα=αにおいて図10に二点鎖線で示す位置にそれぞれ配置される。
【0112】
一方、伝達トルクTは、回転角αがα=0からα=α(α<α)までにある角度ではT=0であり、回転角αがα>αである角度ではT>0となることが確認された。また、回転角αがα=αを超えると、伝達トルクTは急激に大きくなることが確認された。
【0113】
なお、回転角αがα=αであるとき、転動部材19は始端部175aに接していると考えられる。回転角αがα=αであるとき、転動部材19は一方の面175aの部位175aに接していると考えられる。また、回転角αがα=αであるとき、転動部材19は終端部175aに接していると考えられる。
【0114】
このことは、図11に示す通りである。図11は回転角とリテーナの移動ストローク及び回転部材間の伝達トルクとの関係について考察した結果を示す。図11において、移動ストロークSを一点鎖線で、また伝達トルクTを実線でそれぞれ示す。
【0115】
[実施の形態の効果]
以上説明した第1の実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0116】
(1)リテーナ18の回転を規制してカム部材17のみを回転させて第1のカム推力P及び第2のカム推力Pを得るため、カム機構16の搭載スペースとしては従来のようには広くならない。また、リテーナ18の回転が規制されることは、カム機構16の作動時に転動部材19がカム部材17の回転に追従して転動し、所望のカム動作を確保することができる。
【0117】
(2)リテーナ18のシャフト挿通孔18a内に転動部材19を収容するため、カム機構16の軸線方向寸法を短縮して装置全体の小型化に貢献することができる。
【0118】
(3)リテーナ18は、その円周方向に並列する複数のガイド43に沿って移動するため、複数のガイド43によって回転が規制される。
【0119】
(4)転動部材19は、円筒ころであるため、カム部材17に線接触して転動する。これにより、転動部材が玉(ボール)である場合に比べてラジアル荷重の負荷能力が高められる。
【0120】
(5)カム部材17において、リテーナ18を多板クラッチ8側に移動させる(第1のカム推力P及び第2のカム推力Pを得る)ための2段カムを凹凸面173によって得ることができる。この場合、凹凸面173における凸部175の一方の面175aがカム部材17の円周方向に沿ってその軸線方向厚さを漸次大きくする軌道面で形成されているため、転動部材19が一方の面175aを上る方向(始端部175a側から終端部175a側)に転動すると、リテーナ18の多板クラッチ8側への移動量が増加する。
【0121】
(6)カム部材17が減速機構9及び歯車伝達機構10を介して噛合するギヤ部170aを有する。このため、電動モータ50のモータ回転力は、減速機構9で減速された後、歯車伝達機構10からギヤ部170aを介してカム部材17に確実に伝達される。
【0122】
以上、本発明の駆動力伝達装置及び四輪駆動車を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0123】
(1)上記実施の形態では、支持ピン25と転動部材19とが相対回転であるため、これら部材間に介在する転動体として針状ころ29を用いたが、本発明はこれに限定されず、針状ころ29以外の転動体として玉,円筒ころ,棒状ころ,円すいころ,凸面ころ,凹面ころなど他の転動体を用いてもよい。
【0124】
(2)上記実施の形態では、減速機構9が偏心揺動減速機構であり、少歯数差インボリュート減速機構である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えばサイクロイド減速機構等の偏心揺動減速機構を用いてもよく、偏心揺動減速機構以外の他の減速機構を用いてもよい。
【0125】
(3)上記実施の形態では、インナクラッチプレート80(第1のクラッチプレート)とアウタクラッチプレート(第2のクラッチプレート)81との間のクリアランスCを例えばC=0に短縮するための第1のカム推力Pを発生させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、インナクラッチプレートとアウタクラッチプレートとの間のクリアランスが初期状態の場合と比べて小さくなるような第1のカム推力を発生させてもよい。
【0126】
(4)上記の実施の形態では、前輪204L,204Rが主駆動輪であり、後輪205L,205Rが補助駆動輪である四輪駆動車200に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、前輪が補助駆動輪であり、後輪が主駆動輪である四輪駆動車に適用してもよい。
【符号の説明】
【0127】
1…駆動力伝達装置、2…プロペラシャフト、3…駆動力断続装置、30…第1のスプライン歯部、31…第2のスプライン歯部、32…スリーブ、4…装置ケース、40…ケース本体、40a…エレメント挿通孔、40b…円筒部,40c…取付部、400c…貫通孔、40d…スプリング受面、41…ケース蓋体、41a…蓋部、410a…凹孔、41b…シャフト挿通孔、41c…円筒部、42…主収容空間、43…ガイド、44…副収容空間、45…支持軸、5…副駆動源、50…電動モータ、500…モータ軸、51…モータハウジング、52…駆動源用ハウジング、53…ボルト、6…歯車機構、60…ドライブピニオン、61…リングギヤ、7…歯車機構、70…ドライブピニオン、71…リングギヤ、8…多板クラッチ、80…インナクラッチプレート、80a…ストレートスプライン嵌合部、80b…油孔、81…アウタクラッチプレート、81a…ストレートスプライン嵌合部、9…減速機構、90…回転軸、90a…偏心部、91…入力部材、91a…中心孔、91b…ピン挿通孔、91c…外歯、92…自転力付与部材、92a…内歯、93…出力部材、94…減速機構用ハウジング、940…ハウジングエレメント、95,96…玉軸受、97,98…針状ころ軸受、10…歯車伝達機構、100…第1の歯車、100a…ピン取付孔、100b〜100e…円筒部、1000d…ギヤ部、101…第2の歯車、101a…ギヤ部、102,103…玉軸受、12…ハウジング、104…シール機構、105…玉軸受、120…第1のハウジングエレメント、120a…凹部、121…第2のハウジングエレメント、121a…収容空間、121b…ストレートスプライン嵌合部、122,123…針状ころ軸受、124,125…シール機構、13…インナシャフト、13a…円筒部、130a…ストレートスプライン嵌合部、13b,13c…円筒部、13d…軸部、130,131…針状ころ軸受、132…玉軸受、133…シール機構、16…カム機構、17…カム部材、17a…シャフト挿通孔、17b…円筒部、170…凸片、170a…ギヤ部、171,172…針状ころ軸受、173…凹凸面、174…凹部、174a,174b…切り欠き側面、174c…切り欠き底面、175…凸部、175a…一方の面、175a…始端部、175a…終端部、175a…部位、175b…他方の面、18…リテーナ、18a…シャフト挿通孔、18b…円筒部、18c…ピン挿通孔、180c,181c…座面、19…転動部材、19a…凸部、20…押付部材、20a…ストレートスプライン嵌合部、21…針状ころ軸受、22…凸片、22a…ガイド挿通孔、23…軸受ブッシュ、24…復帰用スプリング、25…支持ピン、25a…胴部、250a…鍔部、25b…胴部、250b…ねじ部、26…ころ受部材、27…ナット、28…芯材、29…針状ころ、200…四輪駆動車、201…駆動力伝達系、201A…主駆動輪側の駆動力伝達系、201B…補助駆動輪側の駆動力伝達系、202…エンジン(主駆動源)、203…トランスミッション、204L,204R…前輪、205L,205R…後輪、206…フロントディファレンシャル、207…リヤディファレンシャル、208L,208R…前輪側のアクスルシャフト、209L,209R…サイドギヤ、210…ピニオンギヤ、211…ギヤ支持部材、212…フロントデフケース、213L,213R…後輪側のアクスルシャフト、214L,214R…サイドギヤ、215…ピニオンギヤ、216…ギヤ支持部材、217…リヤデフケース、P…第1のカム推力、P…第2のカム推力、O…回転軸線、L,O,O…軸線、δ…偏心量
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