(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
透明基板を基材として、該基材の一面側において、表示用領域の外側に遮光性の額縁部を形成し、前記額縁部側とは反対側を最も外側(観察者側)として、表示装置に用いられるカバーガラスであって、前記額縁部を形成する額縁部形成層は、前記基材と接する側を、色材として染料を溶解させた樹脂層と、色材として顔料を分散させた樹脂層とを、積層しているものであり、前記額縁部形成層は、前記基材と接する側を前記色材として染料を溶解させた樹脂層としていることを特徴とするカバーガラス。
請求項1記載のカバーガラスであって、前記額縁部形成層は、色材として染料を溶解させた樹脂層と、色材として顔料を分散させた樹脂層とを、積層した2層積層構造で形成されていることを特徴とするカバーガラス。
請求項1記載のカバーガラスであって、前記額縁部形成層は、前記基材側から順に、色材として染料を溶解させた樹脂層、色材として染料を溶解し、且つ、顔料を分散させた樹脂層、色材として顔料を分散させた樹脂層を積層して、形成されていることを特徴とするカバーガラス。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置の普及がめざましい中、フラットディスプレイパネルとして液晶表示装置等の表示装置が広く用いられている。
例えば、液晶表示装置は、一般に、透明基板の一面に、遮光性の着色層からなるブラックマトリックス層と各色の着色層とを配設しているカラーフィルタ形成基板と、対向電極基板(TFT基板とも言う)とを所定の間隙をもたせて向かい合わせて配し、該隙部に液晶を封止した構造で、各色の着色層の画素の光透過率の制御を液晶の配向を電気的に制御することによりカラー画像を表示している。
特に、最近では、モバイル機種であるノートパソコンや多機能端末機器(高機能端末機器とも言う)の普及が盛んになってきており、中でもタブレット型の多機能端末機器は急速な普及が見込まれるようになってきているが、これらの端末機器(以下、モバイル電子機器と言う)の表示装置は、高い表示品質に加えてより良い意匠性も求められている。
最近普及しているモバイル電子機器においては、これまで、高付加価値化として高精細化、省エネ化や小型化( 軽量化) などの取り組みが行われている。
【0003】
これらモバイル電子機器の表示装置としては、従来より、透明基板を基材としてその一面側に、表示用領域の周辺全周に渡り非表示用領域を形成するための遮光性の黒色の額縁部を設けたカバーガラスを用い、その基材側を最も外側(観察者側)に配して非表示領域を形成する形態があるが、これらモバイル電子機器の軽量化要求に対応して、このようなカバーガラスを用いずに、透明基板を基材としてその一面側に、カラーフィルタ用の各色の着色層を表示用領域に配し、且つ、該表示用領域の周辺全周に渡り非表示用領域を形成するため遮光性の黒色の額縁部を配したカラーフィルタ形成基板を用い、その基材側を最も外側(観察者側)に配して非表示領域を形成する形態もある。
カバーガラスを用いないモバイル電子機器の表示装置の場合は、例えば、簡略化して断面構成を示すと、
図9(a)に示すように、カラーフィルタ形成基板110の基材側111を外側(観察者側)にして、カラーフィルタ形成基板110、TFT基板150の順の位置関係となっている。
また、カバーガラスを用いるモバイル電子機器の表示装置の場合は、簡略化して断面構成を示すと、
図9(b)に示すように、カバーガラス130を外側(観察者側)にして、カバーガラス130、カラーフィルタ形成基板110、TFT基板150の順の位置関係となっている。
また、カバーガラスを用いないイン・セル・タッチパネル型のモバイル電子機器の表示装置の場合は、例えば、簡略化して断面構成を示すと、
図10(a)に示すように、カラーフィルタ形成基板110の基材側111を外側(観察者側)にして、カラーフィルタ形成基板110とタッチパネル140とを一体化した部材、TFT基板150の順の位置関係となっている。
一方、カバーガラスを用いるタッチパネル型のモバイル電子機器の表示装置の場合は、簡略化して断面構成を示すと、
図10(b)に示すように、カバーガラスを外側(観察者側)にして、カバーガラス130とタッチパネル140とを一体化した部材、カラーフィルタ形成基板110、TFT基板150の順の位置関係となっている。
尚、
図9(a)、
図9(b)、
図10(a)、
図10(b)は、簡略化して、上記各部の位置関係だけを離間して示している。
【0004】
そして、
図9(b)、
図10(b)に示すモバイル電子機器の表示装置に用いられるカバーガラスは、通常、
図11に示すような形態をしている。
尚、
図11(a)は、カバーガラスの平面図で、
図11(b)、
図11(c)は、それぞれ、
図11(a)のE1−E2、E3−E4において矢印の方向に見た図である。
そして、表示装置の表示用領域の周辺全周に渡り非表示用領域を形成するための、カバーガラスの遮光性の額縁部132の形成は、カラーフィルタ形成基板のカラーフィルタ用の着色層と同様、顔料を分散させた感光性の樹脂材料を用いて、フォトリソ法により行うか、あるいは、印刷法やインクジェット法により行っていた。
【0005】
このようなモバイル電子機器の使用は、屋内にとどまらず、屋外での使用頻度も格段に多いため、陽光下での表示画像の視認性の改善(コントラストアップ)が、実施されていた。
しかし、カバーガラスの額縁部の意匠性の観点での改善の取り組みはほとんどなされていなかった。
いずれの形態のモバイル電子機器の表示装置においても、屋内外、室内光下、太陽光下で、前記遮光性の額縁部の黒色の締りがよくなく、特に、屋外においては、太陽光の影響を受けて額縁部が白っぽく見えてしまうことがあり、意匠面で、高級感のある製品に仕上げることが難しく、これが問題となっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、最近では、モバイル機種であるノートパソコンや多機能端末機器(高機能端末機器とも言う)の普及が盛んになってきており、なかでもタブレット型の多機能端末機器は急速な普及が見込まれるようになってきており、これらモバイル電子機器の表示装置として液晶表示装置が用いられているが、高い表示品質に加えてより良い意匠性が求められている。
このような中、モバイル電子機器において、
図9(b)、
図10(b)に示すような、カバーガラスを用いた形態の場合において、屋内外、室内光下、太陽光下で、表示用領域の外側周辺全周に渡る非表示領域を形成する遮光性の黒色の額縁部の黒色の締りがよくなく、特に、屋外においては、太陽光の影響を受けて額縁部が白っぽく見えてしまうことがあるため、製品に高級感がでないという不具合があり、この対応が求められていた。
本発明は、これに対応するもので、カバーガラスを用いた形態のモバイル電子機器の表示装置において、特に、屋外においては、太陽光の影響を受けて額縁部が白っぽく見えることを抑制でき、製品に高級感を持たせることができるカバーガラスを提供しようとするものです。
同時に、このようなカバーガラスを用い、該カバーガラスの額縁部側とは反対側を最も外側(観察者側)に配して非表示領域を形成する形態のモバイル電子機器の表示装置を提供しようとするものです。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカバーガラスは、透明基板を基材として、該基材の一面側において、表示用領域の外側に遮光性の額縁部を形成し、前記額縁部側とは反対側を最も外側(観察者側)として、表示装置に用いられるカバーガラスであって、前記額縁部を形成する額縁部形成層は、前記基材と接する側を、色材として染料を溶解させた樹脂層としていることを特徴とするものである。
そして、上記カバーガラスであって、前記額縁部形成層は、色材として染料を溶解させた樹脂層と、色材として顔料を分散させた樹脂層とを、積層しているものであることを特徴とするものであり、前記額縁部形成層は、色材として染料を溶解させた樹脂層と、色材として顔料を分散させた樹脂層とを、積層した2層積層構造で形成されていることを特徴とするものである。
あるいは、前記額縁部形成層は、前記基材側から順に、色材として染料を溶解させた樹脂層、色材として染料と顔料とを分散させた樹脂層、色材として顔料を分散させた樹脂層を積層して、形成されていることを特徴とするものである。
尚、ここでは、色材として染料を溶解させた樹脂層とは、色材として主に染料を溶解させている樹脂層で、染料のみを色材としているものと同様に、額縁部が太陽光や蛍光灯下での光の影響により白っぽく見えるようになることを防止できる樹脂層であり、また、色材として顔料を分散させた樹脂層とは、色材として主に顔料を分散させている樹脂層である。
また、ここでは、表示装置に用いられた際に、表示領域となる領域を表示用領域とし、また、表示領域とはならない領域を非表示用領域としている。
また、ここで言う表示装置を、単に、表示部とも言う。
【0009】
本発明の表示装置は、上記いずれかのカバーガラスを用いて、表示部を形成していることを特徴とするものであり、前記表示部がイン・セル・タッチパネル型の表示部であることを特徴とするものである。
【0010】
(作用)
本発明のカバーガラスは、このような構成にすることにより、カバーガラスを用いた形態のモバイル電子機器の表示装置において、屋内外の外光により、特に、屋外においては、太陽光の影響を受けて額縁部が白っぽく見えることを抑制でき、製品に高級感を持たせることができるカバーガラスの提供を可能としている。
特に、モバイル電子機器の表示装置のように、屋内外で用いられもので、高品質、意匠性が求められる表示装置には有効としている。
詳しくは、額縁部を形成する額縁部形成層は、前記基材と接する側を、色材として染料を溶解させた樹脂層としていることにより、観測者側から額縁部を見た場合の拡散反射の影響を、従来の色材として顔料を分散させた樹脂材料からなる場合に比べて、少なくでき、これにより、屋内外の外光により、特に、屋外において、太陽光の影響を受けて額縁部が白っぽく見えてしまい、製品に高級感がでないという不具合を解消することを可能としている。
観測者側から額縁部を見た場合の拡散反射の影響は、樹脂材量に分散されている色材のサイズが大きいほど、また、色材の含有量が多いほど、また、色材が基材に近くにあるほど、大きいが、色材として染料を溶解させた場合、染料は溶解されているため、従来の顔料を分散させた場合のものに比べて、拡散反射の影響を格段に小さいものにできる。
具体的には、額縁部形成層は、色材として染料を溶解させた樹脂層と、色材として顔料を分散させた樹脂層とを、積層している形態が挙げられ、更に具体的には、前記額縁部形成層は、色材として染料を溶解させた樹脂層と、色材として顔料を分散させた樹脂層とを、積層した2層積層構造で形成されている請求項3の発明の形態、あるいは、前記額縁部形成層は、前記基材側から順に、色材として染料を溶解させた樹脂層、
色材として染料を溶解し、且つ、顔料を分散させた樹脂層、色材として顔料を分散させた樹脂層を積層して、形成されている請求項4の発明の形態が挙げられる。
上記請求項3の発明の形態、請求項4の発明の形態は、額縁部形成層の形成が複雑でなく作業的に実用レベルと言える。
【0011】
尚、額縁部を色材として顔料のみを分散させた樹脂層で形成した形態のカバーガラスを用いて表示装置を形成した場合、以下に説明するように、額縁部についての外光(観察者側からの光)の拡散反射については、屈折率差の生じる透明基板(ガラス)と遮光性の樹脂層との界面で起こるため、額縁部を色材として顔料のみを分散させた樹脂層で形成した形態の場合、拡散反射光の影響を抑えるには、界面に透明基板(ガラス)との屈折率差の大きい顔料(ピグメントとも言う)の粒子を近づけない、曲率半径が大きい顔料の粒子を界面に近づけない等が要求される。
このことを踏まえて、染料を溶解させた樹脂層を基材側にして額縁部を形成した本願発明の構成を成したものです。
例えば、
図7(c)に示すように大きな径の粒子12B3が界面11Sに接しており、
図7(a)に示すように小さな径の粒子12B1が界面11Sに接している場合、
図7(c)に示す界面における粒子12B3の拡散反射は、
図7(a)に示す界面における粒子12B1の拡散反射よりも大きくなる。
また、
図7(a)に示すように小さな径の粒子12B1が界面に接しており、
図7(b)に示すように粒子12B2に樹脂被膜12Cを被覆した状態で界面に接している場合、
図7(a)に示す界面における粒子12B1の拡散反射は、
図7(b)に示す粒子12B2に樹脂被膜12Cを被覆した状態で界面に接している場合の拡散反射よりも大きくなる。
このように、額縁部を色材として顔料を分散させた樹脂層で形成した形態の場合、顔料粒子の粒径(平均粒子径)が小さいほど、顔料粒子の濃度が小さいほど、透明基板の基材外側(観察者側)からみた額縁部からの拡散反射は小さくなり、また、顔料の粒子に樹脂被覆を施すことにより、拡散反射を小さくすることができる。
尚、透明基板がガラス基板の場合の屈折率は1.4程度で、カラーフィルタ用に用いられている樹脂の屈折率は、1.4〜1.5程度である。
また、黒色の顔料として通常用いられているカーボンブラックは複素屈折率の虚数項の値が大きいため、光は主に表面で反射される。
【0012】
更にまた、
図8(a)に示すように、遮光性の額縁部を透明基板面側から顕微分光測光装置にて垂直入射光の反射光を測定して得られた反射率の分光特性から求めたJIS Z8701のXYZ表色系における明るさYが、3.50以下で、
図8(b)に示すように、前記遮光性の額縁部を透明基板面側から分光測色計により拡散反射光を検出できる測定方式(SCE方式とも言う)で測定して得られた反射率の分光特性から求めた前記XYZ表色系における明るさYが、0.03以下である場合には、見た目で、額縁層の黒の締りが良く好ましい。
尚、ここで、遮光性の額縁部をガラス面側から分光測色計により拡散反射光を検出できる測定方式で測定して得られた反射率の分光特性とは、遮光性の額縁部をガラス面側から、分光測色計により拡散反射成分を検出できる測定方式で、拡散反射光を測定して得られた反射率の分光特性のことであり、また、拡散反射成分を検出できる測定方式は、正反射光を除去して測定する測定方式で、一般には、SCE方式(Specular Components Exclude方式の略)あるいは、拡散反射測定方式、と呼ばれている。
SCE方式(拡散反射測定方式)による測定は、
図8(b)に示すように、正反射光を取り除いて測定するため、同じ色でも、試料の表面状態によって測定値が異なり、目視評価の状況に近い測定結果を得ることができる。
また、分光測色計では正反射光と拡散反射光の合計を検出できる測定方式もあり、一般にはSCI方式(Specular Components Include方式の略)と呼ばれており、例えば、
図8(b)においてトラップ64を設けない状態で測定する測定方法である。
SCI方式は物体色を測定する場合に広く用いられている。
尚、
図8(b)においては、太線実線矢印は、光源62からの入射光62Lを示し、点線矢印は各点からの光の向きを示し、細線実線矢印は、検出器63へ入射する検出光63Lを示している。
【0013】
また、絶縁性の確保の面から、遮光性の額縁部の表面抵抗値は、1×10
11[Ω/cm
2 □]以上であることが好ましい。
【0014】
本発明の表示装置は、このような構成にすることにより、透明基板を基材としてその一面側に、表示用領域の周辺全周に渡り非表示用領域を形成するため遮光性の黒色の額縁部を配したカバーガラスを用い、その額縁部側とは反対側を最も外側(観察者側)に配して非表示領域を形成する形態のモバイル電子機器等の表示装置において、屋内外、太陽光下や室内光下の明るい所の下で、太陽光や室内光の影響を受けて、額縁部が白っぽく見えてしまうことがあるため、製品に高級感がでないという不具合を解消することができる表示装置の提供を可能としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、このように、透明基板を基材としてその一面側に、表示用領域の周辺全周に渡り非表示用領域を形成するため遮光性の黒色の額縁部を配したカバーガラスを用い、その額縁部側とは反対側を最も外側(観察者側)に配して非表示用領域を形成する形態のモバイル電子機器の表示装置において、屋内外の外光により、特に、屋外で、太陽光の影響を受けて額縁部が白っぽく見えてしまうという不具合を解消することができる表示装置の提供を可能とし、そのような表示装置を作製することができるカバーガラスの提供を可能とした。
【発明を実施するための形態】
【0017】
先ず、本発明のカバーガラスの実施形態の第1の例を、
図1に基づいて説明する。
第1の例のカバーガラス10は、モバイル機種のノートパソコンや多機能端末機器(高機能端末機器とも言う)等のモバイル電子機器の液晶表示装置に用いられるカバーガラスであり、
図1(a)に示すように、ガラス基板からなる透明基板を基材11として、該基材11の一面側において、表示用領域13Sの外側に非表示用領域として遮光性の額縁部12を設けている。
第1の例においては、額縁部12を形成する層(以下、額縁部形成層とも言う)は、基材11と接する側を、色材として染料を溶解させた樹脂層12aとし、該樹脂層12aと、色材として顔料を分散させた樹脂層12bとを、積層した2層積層構造で形成されている。
該2層積層構造にて、光学濃度4.0以上を得ている。
そして、額縁部側とは反対側を最も外側(観察者側)として、
図9(b)に示す形態、あるいは、
図10(b)に示す形態のモバイル電子機器の表示装置に用いられる。
図1に示す第1の例のバーガラス10を
図1(a)のA6側から見ると、明暗は概略的には
図4のように見えるが、
図9(b)に示す形態、あるいは、
図10(b)に示す形態のモバイル電子機器の表示装置もほぼこのように見える。
【0018】
特に、第1の例では、額縁部12を形成する額縁部形成層は、基材11と接する側を、色材として染料を溶解させた樹脂層12aとし、該樹脂層12aと、色材として顔料を分散させた樹脂層12bとを、積層した2層積層構造で形成されていることにより、従来の色材として顔料を分散させた樹脂層1層で額縁部を形成しているカバーガラスを表示装置に用いた場合の、屋内外の外光により、特に、屋外においては、太陽光の影響を受けて額縁部が白っぽく見えてしまい、製品に高級感がでないという不具合を解消することができる、カバーガラスの提供を可能としている。
モバイル電子機器の表示装置のように、屋内外で用いられもので、高品質、意匠性が求められる表示装置には特に有効としている。
【0019】
本例において、色材として染料を溶解させた樹脂層12aの染料の種類や溶解させる量を適宜選び、遮光性の額縁部12を透明基板(ガラス)からなる基材11面側から顕微分光測光装置にて垂直入射光の反射光を測定して得られた反射率の分光特性から求めたJIS Z8701のXYZ表色系における明るさYが、3.50以下とし、前記遮光性の額縁部をガラス面側から分光測色計により拡散反射成分を検出できるSCE方式で測定して得られた反射率の分光特性から求めたXYZ表色系における明るさYが、0.03以下としている場合には、屋内外、室内光および太陽光源下でも、表示用領域の外側、周辺全周に渡り非表示用領域として形成されている遮光性の額縁部の黒色の締りをよくでき、製品に高級感を持たせることができる。
尚、顕微分光測光装置による測定は、例えば、顕微分光測光装置としてOSP−SP2000(OLYMPUS(株)製)を用いて、
図8(a)に示すようにして、380nm〜780nmの波長範囲で反射率の測定を行う。
また、SCE方式の測定は、例えば、分光測色計として、コニカミノルタ(株)製のCM−2500dを用いて、
図8(b)に示すようにして、320nm〜740nmの波長範囲で反射率の測定を行う。
JIS Z 8722での表記(照射角/受光角度)でいうd/8°(dは拡散光)なる光学系に基づいて行い、
図8(b)における角度θは、ここでは、8°であるが、他の光学系を用いても差し支えない。
そして、これらの測定で得られた結果をもとに、C光源を用いて測定したJIS Z8701のXYZ表色系における色度座標(x、y)、明るさYにて表すが、色度座標(x、y)は、黒色の遮光性の樹脂層であればほとんど変わらないので、明るさYをパラメータとして用いる。
【0020】
尚、ここでは、表示装置に用いられた際に、表示領域となる領域を表示用領域13Sとしており、
図1(a)の額縁部12の内側の領域を意味する。
また、表示領域とはならない額縁部12の領域を非表示用領域としている。
【0021】
次に各部の材料について述べる。
<基材11>
第1の例に用いられる透明基板からなる基材11としては、従来よりカバーガラスに用いられているものを用いることができ、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明な無機基板、および、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明な樹脂基板等を挙げることができるが、特に、無機基板を用いることが好ましく、無機基板のなかでもガラス基板を用いることが好ましい。
さらには、上記ガラス基板の中でも化学強化処理が施されたガラス基板(以下化学強化ガラス基板と略す)を用いることが好ましい。
尚、一般的に、化学強化処理とは、アルカリ溶融塩にガラスを浸漬することにより行う。
その際にガラスに含まれる一部のイオンをより大きなイオンに置換することでガラス基板を化学強化する。
例えば、被置換イオンがリチウムイオンであれば置換するイオンはナトリウムイオンであり、被置換イオンがナトリウムイオンであれば置換するイオンはカリウムイオンである。
化学強化ガラス基板は一般的なガラス基板と比較して、撓みを抑えつつ、薄板であっても強度があるため、カバーガラスに好適に用いることができるからである。
上記基板は、通常、透明な透明基板が用いられている。
【0022】
<額縁部12の着色層>
第1の例では、額縁部12を形成する層(額縁部形成層)は、基材11と接する側を、色材として染料を溶解させた樹脂層12aとし、該樹脂層12aと、色材として顔料を分散させた樹脂層12bとを、積層した2層積層構造で形成されているが、色材として染料を溶解させた樹脂層12aの形成は、色材として染料のみを感光性樹脂中に溶解させた樹脂材料が用いられ、色材として顔料を分散させた樹脂層12bの形成は、色材として顔料のみを感光性樹脂中に均一分散させた樹脂材料が用いられる。
尚、染料を溶解させた樹脂層12aは、必ずしも黒色である必要はなく、黒以外の他の色の単色でも構わず、青色の染料を用いても構わない。
黒以外の単色として望ましいのは、光学濃度が比較的高い青色です。
染料の種類としては、公知のもので構いません。
黒色の顔料としては、通常、カーボンブラック、チタン粒子等が用いられているが、屈折率や粒子径サイズから、入手し易いカーボンブラックの20〜100nm径程度が好ましく用いられ、より好ましくは50nm径以下が用いられる。
尚、カーボンブラックを顔料としてバインダ樹脂中に分散させたものは、膜厚を比較的薄くして遮光性の樹脂層を形成することができるが、通常、単位厚(1μm)あたり光学濃度が3.5以下で、樹脂層12aと樹脂層12bとにより、光学濃度4.0以上を得る膜厚とする。
顔料系では、他には、アセチレンブラック(C.I.77266)、ランプブラック(C.I.77266)、ボーンブラック(C.I.77267)、黒鉛(C.I.77265)、鉄黒(C.I.77499)、アニリンブラック(C.I.50440),シアニンブラック等も挙げられる。
色材としての黒色染料は、顔料と同様に均一分散で使用する場合、黒着色染料であれば何でも良い。
水溶性感光性樹脂に溶解させて使用する場合は、直接染料を用い、C.I.DirectBlack17(C.I.27700)、C.I.DirectBlack19(C.I.35255)、C.I.DirectBlack22(C.I.35435)、C.I.DirectBlack32(C.I.35440)、C.I.DirectBlack38(C.I.30235)、C.I.DirectBlack(C.I.27720)、C.I.DirectBlack56(C.I.34170)、C.I.DirectBlack71(C.I.25040)、C.I.DirectBlack74(C.I.34180)、C.I.DirectBlack75(C.I.35870)、C.I.DirectBlack77(C.I.35860)等がある。
また、油性感光性樹脂には、油溶染料、具体的には、C.I.SolventBlack3(C.I.26150)、C.I.SolventBlack5(C.I.50415)、C.I.SolventBlack7(C.I.50415)、C.I.AcidBlack123(SolventBlack)(C.I.12195)等が用いられる。
これら色材は、感光性樹脂との反応の有無、十分な感度と解像性、基板への密着性、塗布性を維持すべく慎重に材料を選定する必要がある。
また、これらの色材は、単一で黒である必要はなく、例えば、赤、青、緑色材料との混合色によっても得られる。
ここでは、額縁部12の着色層の形成をフォトリソグラフィー法を用いているが、この場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。
この場合、黒色の色材および感光性樹脂を含有する、額縁部形成用の感光性樹脂組成物に、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
【0023】
第1の例では、保護層を設けていないが、カバーガラス10の額縁部12や表示用領域13Sを覆う保護層を設けてる形態も挙げられ、この形態の場合、保護層用の材料としては、熱硬化性樹脂組成物と光硬化性樹脂組成物が挙げられる。
保護層用の光硬化性樹脂組成物としては、上記カラーフィルタ形成用の各色の着色層に用いられるバインダ樹脂と同様のもの、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。
この場合も、感光性樹脂を含有する着色部形成用感光性樹脂組成物に、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
保護層用の熱硬化性樹脂組成物としては、エポキシ化合物を用いたもの、熱ラジカル発生剤を用いたものがあげられる。
エポキシ化合物としては、カルボン酸やアミン系化合物などにより硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができ、このようなエポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
熱ラジカル発生剤としては過硫酸塩、ヨウ素等のハロゲン、アゾ化合物、および有機過酸化物からなる群から選択される少なくとも一種であり、より好ましくは、アゾ化合物または有機過酸化物である。
アゾ化合物としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス−[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、および2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)などが挙げられ、有機過酸化物としては、ジ(4−メチルゼンゾイル)ペーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルエキサネート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボネート、t−ブチル−4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタネート、およびジクミルパーオキサイドなどが挙げられる。
【0024】
第1の例のカバーガラス10の作製は、透明基板としての基材11の一面に、所定の感光性、硬化性の樹脂を用いて、額縁部12をフォトリソ法により形成して形成する。
ここで、額縁部をフォトリソ法により形成する方法を、
図5に基づいて、簡単に説明しておく。
先ず、基材11の一面に、樹脂層12a形成用の感光性、硬化性の樹脂材料を塗布して樹脂層12a1を形成し、乾燥処理(第1の乾燥処理)を行う。(
図5(a)〜
図5(c))
第1の乾燥処理後、額縁部12形成領域の形状に合わせて選択露光を行い、現像し、硬化して、額縁部12の樹脂層12aを形成する。(
図5(d))
ここでの選択露光は、通常、フォトマスクを用いて行う。
次いで、樹脂層12aを覆い、全面に、樹脂層12b形成用の感光性、硬化性の樹脂材料を塗布して樹脂層12b1を形成し、乾燥処理(第2の乾燥処理)を行う。(
図5(e)、
図5(f))
第2の乾燥処理後、額縁部12形成領域の形状に合わせて選択露光を行い、現像し、硬化して、額縁部12の樹脂層12bを形成する。(
図5(g))
ここでの選択露光は、フォトマスクを用いて、膜面側から露光して行う。
このようにして、第1の例のカバーガラス10における額縁部12は、形成される。
【0025】
次に、本発明のカバーガラスの実施形態の第2の例を挙げる。
第2の例は、第1の例において、額縁部12を形成する層(額縁部形成層)を、基材11側から順に、色材として染料を分散させた樹脂層12a、色材として染料を溶解し、且つ、顔料を分散させた樹脂層12c、色材として顔料を分散させた樹脂層12bを積層して、形成しているものである。
該積層構造にて、光学濃度4.0以上を得ている。
額縁部12を形成する層の層構成以外は、第1の例と同じであり、
図2に示す第2の例のカバーガラス10Aを
図2(a)のB6側から見ると、明暗は概略的には
図4のように見える。
第2の例においても、第1の例と同様に、基材11と接する側に、色材として染料を溶解させた樹脂層12aを配しており、従来の色材として顔料を分散させた樹脂層1層で額縁部を形成しているカバーガラスを表示装置に用いた場合の、屋内外の外光により、特に、屋外においては、太陽光の影響を受けて額縁部が白っぽく見えてしまい、製品に高級感がでないという不具合を解消することができるカバーガラスの提供を可能としている。
第2の例における各部は、基本的に第1の例と同様なものである。
第2の例における、額縁部12を形成する層(額縁部形成層)の、色材として染料を溶解し、顔料を分散させた樹脂層12cは樹脂層12cは、作製の際、樹脂層12aを形成する樹脂材料の染料と樹脂層12bを形成する樹脂材料の顔料が拡散して染料と顔料とが混在する層で、層の厚さ方向位置により混在状態が異なる。
【0026】
第2の例のカバーガラス10Aの作製も、第1の例の場合と同様、透明基板としての基材11の一面に、額縁部12をフォトリソ法により形成する。
第2の例のカバーガラス10Aの額縁部12をフォトリソ法により形成する方法を、
図6に基づいて、簡単に説明しておく。
先ず、基材11の一面に、第1の例のカバーガラスの作製に用いている樹脂層12a形成用の樹脂材料12a1を塗布し、乾燥処理を行い、続いて樹脂材料12b1を塗布し、乾燥処理を行う。(
図6(a)〜
図6(f))
樹脂層12a形成用の樹脂材料による塗布膜と樹脂層12b形成用の樹脂材料による塗布膜との境部においては、拡散により、色材である染料、顔料が混ざった状態の樹脂層が形成される。
尚、
図6(f)における点線は、色材である染料、顔料が混ざった状態の樹脂層が形成されていることを示している。
乾燥処理後、額縁部12形成領域の形状に合わせて選択露光を行い、現像し、硬化して、額縁部12を形成する。(
図6(g))
額縁部12は、基材11側から順に、色材として染料を溶解している樹脂層12a、色材として染料を溶解し、且つ、顔料を分散させた樹脂層12c、色材として顔料を分散している樹脂層12bの積層構造で形成される。
ここでの選択露光は、通常、フォトマスクを用いて行う。
このようにして、第2の例のカバーガラス10Aにおける額縁部12は、形成される。
【0027】
次に、本発明のカバーガラスの実施形態の第3の例を挙げる。
第3の例は、第1の例において、額縁部12を形成する層(額縁部形成層)を、色材として染料を溶解させた樹脂層12dの1層としているものである。
該樹脂層12dにて、光学濃度4.0以上を得ている。
額縁部12を形成する層の層構成以外は、第1の例と同じであり、
図3に示す第3の例のカバーガラス10Bを
図2(a)のC6側から見ると、明暗は概略的には
図4のように見える。
第3の例においても、第1の例と同様に、基材11と接する側に、色材として染料を溶解させた樹脂層12aを配しており、従来の色材として顔料を分散させた樹脂層1層で額縁部を形成しているカバーガラスを表示装置に用いた場合の、屋内外の外光により、特に、屋外においては、太陽光の影響を受けて額縁部が白っぽく見えてしまい、製品に高級感がでないという不具合を解消することができるカバーガラスの提供を可能としている。
第3の例における各部は、基本的に第1の例と同様なものである。
第3の例のカバーガラス10Bの作製は、第1の例の場合とは異なり、額縁部12を、色材として染料を溶解させた樹脂材を用いて、スクリーン印刷等の印刷法やインクジェット法により直接パターニング形成して得るが、パターニング可能であればフォトリソ法でも良い。
【0028】
本発明のカバーガラスは、上記形態に限定はされない。
第1の例において、顔料を分散させた樹脂層12bに代えて、染料を溶解し、且つ顔料を分散させた樹脂層、あるいは、染料を溶解させた樹脂層としても良い。
また、第1の例〜第3の例の各例における、色材として染料を溶解させた樹脂層に、染料を主な色材として顔料を分散させた形態、あるいは、色材として顔料を分散させた樹脂層に顔料を主な色材として染料を溶解させた形態も挙げられる。
また、第3の例の変形例としては、第3の例の色材として染料を溶解させた樹脂層12d層、1層を、複数層の、色材として染料を溶解させた樹脂層で置き代えたものも挙げられる。
この場合も、スクリーン印刷等の印刷法やインクジェット法により直接パターニング形成して得ることができるが、パターニング可能であればフォトリソ法でも良い。
また、第1の例〜第3の例の各例のカバーガラスは、用いられる表示装置を液晶表示装置には限定はされない。
例えば、表示装置を有機EL表示装置とする形態も挙げられる。
また、第1の例〜第3の例の各例では、四角形状であるが、場合によっては、コーナー部を丸くした形状としても良い。
また、第1の例〜第3の例の各例のカバーガラスは、モバイル機種のノートパソコンや多機能端末機器(高機能端末機器とも言う)等のモバイル電子機器の表示装置に用いられるカバーガラスであるが、用途はこれらに限定はされない。
太陽光下や室内光下の明るい所の下で使用するTV等の表示装置にも適用できる。
【0029】
[実施例]
実施例を挙げて、本発明を更に説明する。
(実施例1)
実施例1は、
図1に示す第1の実施形態例を、
図5に示す作製方法にて作製したもので、以下のように、光硬化性の硬化性樹脂組成物Aを調製し、調製された硬化性樹脂組成物Aを用いて、それぞれ、額縁部の樹脂層12a、樹脂層12bを形成するための感光性、硬化性の樹脂組成物として、樹脂材料12a1、樹脂材料12b1を作製し、これらの樹脂組成物を用いて、フォトリソ法を行い、額縁部形成層を形成したものです。
【0030】
(硬化性樹脂組成物Aの調製)
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63重量部、アクリル酸(AA)を12重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88重量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2、2’ーアゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7重量部添加し、均一に溶解させた。
その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。
得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7重量部、トリエチルアミンを0.4重量部、及びハイドロキノンを0.2重量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
次に下記の材料を室温で攪拌、混合して硬化性樹脂組成物とした。
・ 上記共重合樹脂溶液(固形分50%) :16重量部
・ ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社 SR399)
:24重量部
・ オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社 エピコート180S70) :4重量部
・ 2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン :4重量部
・ ジエチレングリコールジメチルエーテル :52重量部
【0031】
(額縁部12の樹脂層12a形成用の樹脂材料の調製)
まず、下記の材料を室温で混合、攪拌して染料を溶解させた樹脂組成物を調製した。
・ 染料(BasicBlue7) :2.4重量部
・ 高分子分散材(ビックケミー・ジャパン株式会社 Disperbyk 163) :14.7重量部
・ 溶剤(酢酸−3−メトキシブチル) :73.5重量部
次に、下記分量の成分を十分混合して、遮光性の着色層用組成物を得た。
・ 硬化性樹脂組成物A :9.4重量部
【0032】
(額縁部12の樹脂層12b形成用の樹脂材料の調製)
まず、下記分量の成分を混合し、ビーズミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調整した。
・ 樹脂被覆カーボンブラック(三菱化学社製MS18E) :20重量部
・ 高分子分散材(ビックケミー・ジャパン株式会社 Disperbyk 163) :5重量部
・ 溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) :75重量部
次に、下記分量の成分を十分混合して、額縁部12の樹脂層12b形成用の樹脂材料を得た。
・ 上記黒色顔料分散液 :43重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :19重量部
・ ジエチレングリコールジメチルエーテル :38重量部
尚、上記の樹脂被覆カーボンブラック(三菱化学社製MS18E)は、平均粒径25nmである。
粒径は、例えば、日機装社製のレーザードップラー散乱光解析粒度分析計(商品名「Microtrac934UPA」)を用い、通常は、着色組成物に含まれる溶剤(希釈溶剤と呼ぶ)で希釈し、着色組成物の顔料粒径の累積が50%を占める粒径を50%平均粒径とし、その値を測定して求める。
【0033】
化学強化ガラス基板からなる基材11上に上記樹脂層12a形成用の第1の樹脂材料をスピンコーターで塗布して遮光性の樹脂層12a1を形成し、100℃で3分間乾燥処理を施した。(
図5(a)〜
図5(c))
乾燥処理が施された樹脂層12a1の膜面から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより、2.0kWの超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を170℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して、色材として染料のみを分散させた樹脂層12aを額縁部12領域に形成した。(
図5(d))
加熱処理後の形成膜厚は1.0μmとなった。
次いで、樹脂層12aを覆うように、全面に、上記樹脂層12b形成用の樹脂材料をスピンコーターで塗布して遮光性の樹脂層12b1を形成し、100℃で3分間乾燥処理を施した。(
図5(e)〜
図5(f)))
乾燥処理が施された樹脂層12b1の膜面から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより、2.0kWの超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を230℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して、色材として顔料のみを分散させた樹脂層12bを額縁部12領域に形成した。
このように、フォトリソ法を用いて、基材11側から順に、色材として染料のみを分散させた樹脂層12aと色材として顔料のみを分散させた樹脂層12bとを積層させた積層構造の額縁部12を形成して、
図1に示す第1の例のカバーガラス10Aを作製した。
尚、加熱処理後の、額縁部12の膜厚(樹脂層12aと樹脂層12bとのトータル膜厚)は2.5μmとなった。
【0034】
(実施例2)
実施例2は、実施例1の樹脂層12a形成用の第1の樹脂材料を用いて、額縁部を形成したものであり、実施例1と同様の方法により、パターニング形成し、加熱処理後の形成膜厚を7.6μmとなった。
【0035】
(比較例1)
実施例1において、額縁部12を、色材として顔料チタンのみを分散させた樹脂層、1層にて、形成した額物部に置き代えたものである。
まず、下記分量の成分を混合し、ビーズミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調整した。
・ チタンブラック(三菱化学社製) :60重量部
・ 高分子分散材(ビックケミー・ジャパン株式会社 Disperbyk 163) :7重量部
・ 溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) :33重量部
次に、下記分量の成分を十分混合して、遮光性の着色層用組成物を得た。
・ 上記黒色顔料分散液 :40重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :22重量部
・ ジエチレングリコールジメチルエーテル :38重量部
化学強化ガラス基板からなる基材11上に上記遮光性の着色層用組成物をスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、遮光性の着色層を形成した。
当該遮光性の着色層を塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより、2.0kWの超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を230℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して、遮光性の着色層を額縁部領域に形成した。
ここでは、着色層を全領域上に形成し、フォトリソ法により、額縁部の遮光性の樹脂層を形成した。
加熱処理後の形成膜厚は1.3μmとなった。
尚、上記の顔料チタンは、平均粒径25nmである。
他は、実施例と同様にした。
【0036】
(比較例2)
実施例1において、額縁部を、色材として顔料のレアカーボンブラックのみを分散させた樹脂層1層とした額縁部の置き代えたものである。
まず、下記分量の成分を混合し、ビーズミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調整した。
・ カーボンブラック(R−1060 コロンビヤン社製) :30重量部
・ 高分子分散材(ビックケミー・ジャパン株式会社 Disperbyk 163) :7重量部
・ 溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) :63重量部
次に、下記分量の成分を十分混合して、遮光性の着色層用組成物を得た。
・ 上記黒色顔料分散液 :39重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :19重量部
・ ジエチレングリコールジメチルエーテル :42重量部
化学強化ガラス基板からなる基材11上に上記遮光性の着色層用組成物をスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、遮光性の着色層を形成した。
当該遮光性の着色層を塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより、2.0kWの超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を230℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して遮光性の着色層を額縁部領域に形成した。
ここでは、着色層を全領域上に形成し、フォトリソ法により、額縁部の遮光性の樹脂層形成した。
加熱処理後の形成膜厚は1.0μmとなった。
尚、上記のカーボンブラックは、平均粒径30nmである。
他は、実施例と同様にした。
【0037】
(比較例3)
実施例1において、額縁部を、色材として顔料の、樹脂被覆カーボンブラックのみを分散させた樹脂層1層とした額縁部に置き代えたものである。
まず、下記分量の成分を混合し、ビーズミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調整した。
・ 樹脂被覆カーボンブラック(三菱化学社製MS18E) :20重量部
・ 高分子分散材(ビックケミー・ジャパン株式会社 Disperbyk 163) :5重量部
・ 溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) :75重量部
次に、下記分量の成分を十分混合して、遮光性の着色層用組成物を得た。
・ 上記黒色顔料分散液 :43重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :19重量部
・ ジエチレングリコールジメチルエーテル :38重量部
化学強化ガラス基板からなる基材11上に上記遮光性の着色層用組成物をスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、遮光性の着色層を形成した。
当該遮光性の着色層を塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより、2.0kWの超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を230℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して遮光性の着色層を額縁部領域に形成した。
ここでは、着色層を全領域上に形成し、フォトリソ法により、額縁部の遮光性の樹脂層を形成した。
加熱処理後の形成膜厚は1.3μmとなった。
尚、上記の樹脂被覆カーボンブラック(三菱化学社製MS18E)は、平均粒径25nmである。
他は、実施例1と同様にした。
【0038】
(比較例4)
染料を溶解させた樹脂層の代わりに、硬化性樹脂組成物Aを用いた保護膜Aを形成し、その上に実施例1と同様に樹脂被覆カーボンを用いて樹脂層を形成させた。
【0039】
上記実施例1〜実施例2、比較例1〜比較例4のようにして作製されたカバーガラスを、それぞれ、サンプルS1〜S6として、各サンプルについて、基材の額縁部を形成した側とは反対側の面側から、投光機(OLMPUS(株)製、TH3−100)にて面に直行する方向から光を当て、人が面に45度の角度にて、反射光を観察して、評価したが、結果は、表1のようになった。
顕微分光測光装置としてOSP−SP2000(OLYMPUS(株)製)を用いて、380nm〜780nmの波長範囲で反射率の測定、及び、SCE方式の測定を分光測色計として、コニカミノルタ(株)製のCM−2500dを用いて、320nm〜740nmの波長範囲で反射率の測定を実施した。
<測定条件:顕微分光測光装置>
測定器 : OLYMPUS(株)製、顕微分光測光装置
照明範囲 : 直径60μmの円形
<測定条件:分光測色計>
測定器 : コニカミノルタ( 株) 製、分光測色計「CM−2500d」
照明の受光条件 : d/8°( JIS Z8722条件c)
第1の照射領域 : 測定径=直径11mmの円形
第2の照射領域 : 第1の照射領域と同じ測定径=直径11mmの円形
測定領域 : 照射領域中の8mmの円形(重心位置は照射領域、直径11mmの円形と同じ)
【表1】
表1に示すように、目視による評価については、基材側に、色材として染料を溶解させた樹脂層を配している、実施例1、実施例2の場合は、良好であったが、基材側に、基材側に、色材として顔料を分散させた樹脂層を配している比較例1〜比較例4の場合は、良好ではなかった。
尚、目視による評価は、人の眼で、白っぽく見える場合を×(不良)とし、白っぽく見えない場合を○(良好)としている。
光学濃度の評価判定は、遮光膜として通常必要とされる光学濃度OD値4.0以上をOK(良好)とし、4.0未満を不良としている。
目視による評価、光学濃度の面から、実施例1のサンプルのみが、判定○(OK)となった。
また、実施例1、実施例2のサンプルについては、表1のように、遮光性の額縁部を透明基板面側から顕微分光測光装置にて垂直入射光の反射光を測定した得られた反射率の分光特性から求めたJIS Z8701のXYZ表色系における明るさYが、3.50以下、且つ、遮光性の額縁部を透明基板面側から分光測色計により拡散反射光を検出できる測定方式(SCE方式とも言う)で測定して得られた反射率の分光特性から求めた前記XYZ表色系における明るさYが、0.03以下となった。