特許第5998707号(P5998707)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5998707
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】光部品の光軸調整方法及び光軸調整装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/32 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   G02B6/32
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-166096(P2012-166096)
(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公開番号】特開2014-26108(P2014-26108A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】金元 慎典
【審査官】 百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−508015(JP,A)
【文献】 特開2003−302555(JP,A)
【文献】 特開2011−191647(JP,A)
【文献】 特開2008−051936(JP,A)
【文献】 特開2001−264663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26−6/27
G02B 6/30−6/34
G02B 6/42−6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の入力ポート及び、該入力ポートと光路により接続された出力ポートを備える光部品
の前記出力ポートに透光性の被光軸調芯部品を軸合せする際に用いる光軸調整装置であっ
て、
光の強度を計測する光パワーメータと、
前記入力ポート側に設けられて、テスト光を前記光路に入射させると共に、当該光路を
戻ってきた光を前記光パワーメータに導く光分岐回路素子と、
前記出力ポートに対面して進退可能に設けられると共に、当該光路の光軸に対して傾動
可能に設けられて、前記出力ポートから出射された前記テスト光を反射するミラーと、
前記ミラーの裏面に設けられて入射光を反射する裏面反射部と、
前記裏面反射部に光を照射して、その反射光を受光することにより、前記ミラーの傾きを検出する角度測定器とを、
備えることを特徴とする光軸調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光軸調整装置であって、
前記ミラーを光軸の方向に動かすミラー用アクチュエータと、
前記ミラー用アクチュエータを制御するミラー用コントローラと、を備えて、
前記光パワーメータが前記ミラーで反射された光を検出した際に、最大光量が検出されるように、前記ミラー用コントローラが前記ミラー用アクチュエータを制御し、当該ミラー用アクチュエータが前記ミラーの位置を調整することを特徴とする光軸調整装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光軸調整装置であって、
前記ミラーの傾きに基づき前記ミラーの角度ずれ量を演算し、前記ミラー用コントローラに制御信号を出力するミラー角度演算回路を備え、
前記ミラー用コントローラは、前記制御信号に基づいて前記ミラー用アクチュエータを制御することを特徴とする光軸調整装置。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の光軸調整装置であって、
前記光パワーメータの出力を光強度信号に変換する光強度演算回路と、
前記被光軸調芯部品を光軸の方向に動かす被光軸調芯部品用アクチュエータと、
前記光強度信号が最大値を示すように、前記被光軸調芯部品用アクチュエータを制御する被光軸調芯部品用コントローラと、を備えることを特徴とする光軸調整装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光軸調整装置であって、
前記光部品は光導波回路が複数設けられた平面光導波回路であり、
前記被光軸調芯部品は、光導波回路に対して調芯するレンズアレイであることを特徴とする光軸調整装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光軸調整装置であって、
前記光分岐回路素子と前記光パワーメータは、最も距離が離れた前記光路に対応して設置されることを特徴とする光軸調整装置。
【請求項7】
光の入力ポート及び、該入力ポートと光路により接続された出力ポートを備える光部品の前記出力ポートに透光性の被光軸調芯部品を軸合せする際に用いる光軸調整方法であって、
前記出力ポートにミラーを宛がうステップと、
前記光路にテスト光を入射するステップと、
前記ミラーにより反射されて前記出力ポートに再入射した前記テスト光の光強度を計測するステップと、
計測したテスト光の光強度が最大になるように、前記ミラーの位置を調整するステップと、
前記ミラーを前記出力ポートから前記ミラー面の角度を維持したまま光軸方向に待避させるステップと、
前記被光軸調芯部品を前記出力ポートに宛がうステップと、
前記ミラーで反射され、前記被光軸調芯部品を介して前記出力ポートから再入射した前記テスト光の光強度を計測するステップと、
計測した前記被光軸調芯部品を介して入射した光強度が最大になるように、前記被光軸調芯部品を所定の方向に動かすステップと、
前記ミラーの裏面に設けられた裏面反射部に光を照射するステップと、
前記裏面反射部で反射された反射光を受光して、前記ミラーの傾きを検出するステップと、
前記ミラーの傾きの検出により得られた前記ミラーの傾きに基づき前記ミラーの位置を調整するためのミラー角度制御信号を出力するステップと、
を含むことを特徴とする光軸調整方法。
【請求項8】
請求項7に記載の光軸調整方法であって、
前記ミラーで反射された前記テスト光の光強度が最大になるように、前記ミラーの位置を調整する際に、前記ミラーにより反射された前記テスト光の光強度に基づきミラー用アクチュエータを駆動して前記ミラーの位置を調整するステップと、を含むことを特徴とする光軸調整方法。
【請求項9】
請求項7に記載の光軸調整方法であって、
前記被光軸調芯部品を介して再入射した前記光強度が最大になるように、前記被光軸調芯部品の位置を調整する際に、計測した前記テスト光の光強度に基づき被光軸調芯部品用アクチュエータを駆動して前記被光軸調芯部品の位置を調整するステップと、を含むことを特徴とする光軸調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光部品の光軸調整方法及び光軸調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバ伝送の普及に伴い、CDMA(Code Division Multiple Access)、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)等の様々な通信方式が開発されている。
【0003】
これらの光通方式を用いた光通信装置には、光ファイバ、平面光導波回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)、レンズ、フォトダイオード、レーザダイオード等の複数の光部品が設けられている。このとき、レンズと他の光部品とを光接続する際に、高い精度で調芯する必要がある。このため、例えば、光ファイバとレンズとを光接続する際に、レンズ出射光の方向をカメラ等で観察しながら調芯することが行われている。
【0004】
ところが、近年の通信技術の高度化に伴い、多量の情報を同時に低損失で伝送する光アレイ素子等の光素子が要望され、光導波回路の出力ポートやレンズ等の光部品のアレイ化が進んでいる。そして、これらの光部品の光軸を調芯して組立てる光通信モジュールの開発が盛んになっている。この場合においても、調芯作業時間等を短縮して組立てることが要求される。
【0005】
そこで、特許文献1においては、光ファイバ部、レンズ部及び監視用光ファイバを光軸が概ね一致するように配置して調芯する光素子組立方法が開示されている。この方法では、光ファイバ部のレンズ側先端部と監視用光ファイバのレンズ側先端部との距離を所定距離に保ち、光ファイバ部のレンズ部から離れた側の端面に光を入射する。そして、光ファイバ部を通過した光をレンズ部により収束して監視用光ファイバ部の一端面に入射させる。このとき、監視用光ファイバ部を通過した光の光量が最大になるように光ファイバ部とレンズ部の位置合わせを行うことにより、各部品の光軸合せを行わせている。
【0006】
また、特許文献2においては、被調芯コリメータの出射光側にミラーを設け、このミラーで反射して被調芯コリメータを通過した光の光強度を光強度測定器により測定しながら、光強度が最大となるように被調芯コリメータの位置を調整する光強度検査方法が開示されている。この方法では、ミラーには光軸に対して2方向にスキャンする2つの回転体が付設されて、各回転体はそれぞれ一方向を高速でスキャンし、他方向を低速でスキャンする。従って、一方向毎にスキャンする場合に比べてミラーの最適な方向を短時間で検出することができる。
【0007】
さらに、特許文献3においては、複数の出力ポートに接続される光導波路と、ダミーポートに接続されるダミー光導波路を有する多芯の光導波路アレイと、光導波路の複数の出力ポートから出力される光を集光する複数のレンズと、光導波路アレイのダミーポートから出力される光をダミーポートに反射する反射光学部品とが並設されるレンズアレイと、を備えた光部品が開示されている。そして、ダミーポートを介してダミー光導波路に反射された反射光を用いて多芯の光導波路アレイに対するレンズアレイの調芯を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3158218号公報
【特許文献2】特開2002−258172号公報
【特許文献3】特開2011−191647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した各特許文献にかかる調芯方法においては、以下のような問題があった。即ち、特許文献1にかかる光素子組立方法においては、調芯する光ファイバアレイと監視用光ファイバアレイとの位置が同一光軸上にある集光光学系を前提としている。しかし、これらの部品が常に同一光軸上に設置されているとは限らない。従って、光軸がずれている場合には、このずれを補正するように、レンズ位置を強制的に調整する必要が生じ、調芯後の光ファイバアレイとレンズとの光軸がずれた状態となる。このような光軸がずれた状態では、集光部でのビーム形状に歪みが生じて、最大結合効率が低下する問題がある。
【0010】
また、特許文献2にかかる光強度検査方法においては、レンズアレイのレンズ間距離と光ファイバ間距離とをサブミクロンの精度で位置あわせする必要があり、調芯治具の軸数増加による大型化、複雑化する問題がある。
【0011】
さらに、特許文献3にかかる光部品においては、光部品の組立時のみ使用するダミーポートやダミーレンズが必要になり無駄が発生すると共に高価になり、かつ、設計自由度が制約される問題がある。加えて、ダミーレンズ間距離、ダミーレンズとレンズアレイとの間にも高精度な調芯が要求される。集光光学系の場合は、ダミーレンズ側とレンズアレイ側とで構成が異なるため、双方の焦点距離の関係を設計値通りに高精度に製作することが困難である。
【0012】
そこで、本発明の主目的は、集光光学系であるか否かにかかわらず、簡便かつ安価な構成で、高精度に調芯できる光部品の光軸調整方法及び光軸調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、光の入力ポート及び、該入力ポートと光路により接続された出力ポートを備える光部品の出力ポートに透光性の被光軸調芯部品を軸合せする際に用いる光軸調整装置は、光の強度を計測する光パワーメータと、入力ポート側に設けられて、テスト光を光路に入射させると共に、当該光路を戻ってきた光を光パワーメータに導くサーキュレータと、出力ポートに対面して進退可能に設けられると共に、当該光路の光軸に対して傾動可能に設けられて、出力ポートから出射されたテスト光を反射するミラーと、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、光の入力ポート及び、該入力ポートと光路により接続された出力ポートを備える光部品の出力ポートに透光性の被光軸調芯部品を軸合せする際に用いる光軸調整方法は、光の強度を計測する光強度計測手順と、入力ポート側に設けられて、テスト光を光路に入射させると共に、当該光路を戻ってきた光を光強度計測手順で計測可能なように光を導く光路設定手順と、出力ポートに対面して進退可能に設けられると共に、当該光路の光軸に対して傾動可能に設けられたミラーに、出力ポートから出射されたテスト光を反射させるミラー反射手順と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、テスト光を出力ポートに反射し、その光強度が最大になるように被光軸調芯部品の位置を調整するので、集光光学系であるか否かにかかわらず、簡便かつ安価な構成で、高精度に調芯できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態にかかる光軸調整装置を用いて光学部品の光軸調整を行う際の模式図である。
図2】第1実施形態にかかる光軸調整装置を用いて光学部品の光軸調整を行う際のフローチャートである。
図3】第1実施形態にかかる光軸調整装置を用いて光学部品の光軸調整を行う際の工程図で、ミラーを平面光波回路に近接させた際の工程図、(b)はミラーを傾動させた際の工程図、(c)はミラーを後退させる際の工程図である。
図4】第1実施形態にかかる光軸調整装置を用いて光学部品の光軸調整を行う際の工程図で、(a)レンズアレイを平面光波回路に近接させた際の工程図、(b)はレンズアレイの位置を調整する際の工程図、(c)はレンズアレイを平面光波回路に固定した際の工程図である。
図5】本発明の第2実施形態にかかる光軸調整装置を用いて光学部品の光軸調整を行う際の模式図である。
図6】本発明の第3実施形態にかかる光軸調整装置を用いて光学部品の光軸調整を行う際の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を説明する。図1は、光軸調整装置2Aを用いて光学部品の光軸調整を行う際の模式図である。以下、本実施形態では、光学部品としてレンズアレイ5を想定する。そして、このレンズアレイ5の光軸を平面光波回路3に設けられた複数の光導波回路4に一致させる場合を例として説明する。なお、図1に示す平面光波回路3には4つの光導波回路4が設けられている場合を示しているが、これは例示であって本発明を限定するものではない。
【0018】
図1に示すように、光軸調整装置2Aは、入射光を反射するミラー11、3以上の端子を備えて、常に一定方向にのみ光の入出力を行う複数のサーキュレータ(光分岐回路素子)12、入射光の光強度を測定する複数の光パワーメータ13を備える。
【0019】
次に、このような光軸調整装置2Aを用いてレンズアレイ5を平面光波回路3に調芯して取付ける手順を説明する。図2はかかる光軸調整装置2Aを用いて光軸調整する方法を示したフローチャートである。また、図3図4は、レンズアレイ5の取付け工程を示す図である。なお、図3(a)はミラーを平面光波回路に近接させた際の工程図、図3(b)はミラーを傾動させた際の工程図、図3(c)はミラーを後退させる際の工程図である。また、図4(a)はレンズアレイを平面光波回路に近接させた際の工程図、図4(b)はレンズアレイの位置を調整する際の工程図、図4(c)はレンズアレイを平面光波回路に固定した際の工程図である。
【0020】
ステップS1: 平面光波回路3の端面3aには光導波回路4の入力ポート4aが設けられ、端面3aと対向する端面3bには出力ポート4bが設けられている。そこで、入力ポート4aにテスト光Rが入射するようにサーキュレータ12の一端を接続する。このサーキュレータ12の他端には光パワーメータ13が接続されている。この状態で、平面光波回路3の端面3bにミラー11を宛がう(図3(a)参照)。
【0021】
このとき、光導波回路4が複数存在する場合には、少なくとも最も距離の離れた2つの光導波回路4にテスト光Rを入射させる。最も距離の離れた2つの光導波回路4で調芯を行えば、自ずとその間の光導波回路4は調芯されている。なぜならば、光導波回路4のピッチ寸法とレンズアレイ5のピッチ寸法は予めサブミクロン以下の精度で一致しているからである。
【0022】
ステップS2: テスト光Rを光導波回路4の入力ポート4aに入射する。このテスト光Rは、サーキュレータ12を介して光導波回路4に入射し、出力ポート4bから出射する。出射されたテスト光Rは、ミラー11で反射されて、出力ポート4bからこの光導波回路4に再入射する。そして、再入射したテスト光Rは、サーキュレータ12を介して光パワーメータ13に入射する。
【0023】
ステップS3,S4: ミラー11の面が光導波回路4の光軸と直交する場合は(正確には、ミラー11の反射面が出力ポート4bの端面と平行な場合)、テスト光Rは反射角ゼロで反射されて出力ポート4bから光導波回路4に入射して、光パワーメータ13の検出値が最大となる。そこで、光パワーメータ13の検出値が最大となるようにミラー11の位置をX軸及びY軸の回りに回転させてミラーの傾きを調整する(図3(b)参照)。
【0024】
ステップS5: ミラー11の傾き調整が完了すると、このミラー11を端面3bからミラー面と光軸を垂直に維持したまま、光軸方向に動かす(図3(c)参照)。ミラー11の移動量Lは、少なくとも端面3bとミラー11との間にレンズアレイ5が挿入できる距離とする。無論、集光光学系等の場合には、例えばレンズアレイ5の焦点位置近傍がミラー11の反射面に一致する距離に設定する。
【0025】
ステップS6: 次に、端面3bとミラー11との間にレンズアレイ5を挿入する(図4(a)参照)。レンズアレイ5は端面3bに固着されるので、レンズアレイ5を端面3bに密着又はμmオーダで近接させる。
【0026】
ステップS7,S8: そして、テスト光Rを光導波回路4に入射する。これによりテスト光Rは、出力ポート4bから出射され、レンズアレイ5で集光されてミラー11に入射する。テスト光Rは、ミラー11で反射されて、レンズアレイ5を介して出力ポート4bから光導波回路4に入射する。その後、テスト光Rは、サーキュレータ12を介して光パワーメータ13で検出される。
【0027】
そこで、光パワーメータ13の検出値が最大になるようにレンズアレイ5の位置を調整する。レンズアレイ5の位置調整は、レンズアレイ5をX軸、Y軸方向に平行移動させると共に、X軸,Y軸,Z軸の回りに回転させる(図4(b)参照)。レンズアレイ5をX軸、Y軸方向に平行移動させ、Z軸の回りに回転させることにより、各光導波回路4にレンズアレイ5の各レンズ5aが対応するようになる。
【0028】
このような位置調整処理により、レンズアレイ5の各レンズ5aの光軸は、対応する光導波回路4の光軸と一致するようになる。この状態に達すると、レンズアレイ5を接着剤等により平面光波回路3に固定する。そして、光軸調整装置2Aを取外して、光導波回路4とレンズアレイ5とを調芯して組立てる作業が完了する。
【0029】
したがって、この方法により、レンズを調整するため光導波路端の出射光軸とミラーの反射光軸が一致した基本光軸を容易に確保できる。
【0030】
以上説明したように、ミラー11での反射角がゼロになるようにミラー11の位置を調整し、その位置を保って平行移動させるため、光導波回路4とレンズアレイ5とを高精度に調芯しながら組立てることが、集光光学系であるか否かにかかわらず可能になる。
【0031】
このとき、ダミーポート等を必要としないため、光導波回路の設計の自由度を損なうことがなく、かつ、無駄な部品を用いることない。従って、安価になる。
【0032】
なお、上記説明では、レンズアレイを動かして調芯する場合について説明したが、位置調整は相対的な処理であることから、ミラーや平面光波回路を動かして調芯しても良い。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同一構成に関しては同一符号を用いて説明を適宜省略する。
【0033】
第1実施形態では、ミラー11やレンズアレイ5の移動は、マニュアルで行うことを前提に説明した。これに対し、本実施形態ではアクチュエータを用いて自動的に行えるようにした。
【0034】
図5は、第2実施形態にかかる光軸調整装置を用いて光学部品の光軸調整を行う際の模式図である。光軸調整装置2Bは、図1に示す光軸調整装置2Aに対し、光パワーメータ13の出力を検出する光強度演算回路21、レンズアレイ5を動かすレンズ用アクチュエータ23、このレンズ用アクチュエータ23を制御するレンズ用コントローラ22、ミラー11を動かすミラー用アクチュエータ25、このミラー用アクチュエータ25を制御するミラー用コントローラ24が追設されている。
【0035】
ミラー用コントローラ24とミラー用アクチュエータ25、及び、レンズ用コントローラ22とレンズ用アクチュエータ23は、同時に駆動されることはない。即ち、例えばミラー用コントローラ24とミラー用アクチュエータ25が動作中は、レンズ用コントローラ22及びレンズ用アクチュエータ23は停止している。
【0036】
ミラー用アクチュエータ25は、ミラー11をZ軸に沿って並進運動させ、またX軸,Y軸の回りに回転運動させる3軸駆動を行う。一方、レンズ用アクチュエータ23は、レンズアレイ5をX軸,Y軸,Z軸に沿って並進運動させ、またX軸,Y軸、Z軸の回りに回転運動させる6軸駆動を行う。なお、レンズ用アクチュエータ23、ミラー用アクチュエータ25の駆動軸数は、必要に応じて適宜設定できることは言うまでもない。
【0037】
ミラー11の位置調整時には、レンズ用コントローラ22は、レンズアレイ5がミラー11と平面光波回路3との間に位置しないように当該レンズアレイ5を待避させる。その後、ミラー用コントローラ24は、ミラー11を平面光波回路3の端面3
これにより平面光波回路3から出射したテスト光Rはミラー11で反射されて、平面光波回路3、サーキュレータ12を介して各光パワーメータ13によって検出される。そして、この光パワーメータ13の検出値が最大になるように、ユーザ等がミラー用コントローラ24に角度のコントロール情報を入力することにより行う。そして、ミラー11の傾きが調整され、この光パワーメータ13の検出値が最大になったら、ミラー用コントローラ24は、ミラー11と平面光波回路3の端面3bとの間にレンズアレイ5が挿入できるように、ミラー11をZ軸方向に後退させる。
【0038】
次に、レンズ用コントローラ22によりレンズ用アクチュエータ23を駆動してレンズアレイ5を平面光波回路3の端面3bに宛がう。光強度演算回路21は、光パワーメータ13からの信号から光強度を演算する。
【0039】
レンズ用コントローラ22は、まず、片方の光パワーメータからの光強度信号を受信しながら、レンズアレイのレンズアレイ5がX軸,Y軸,Z軸に沿って並進運動するようにレンズ用アクチュエータを駆動し、光強度信号が最大になると当該並進運動を停止させる。その時、レンズ用コントローラ22でX軸、Y軸、Z軸の位置を記憶する。
【0040】
その後、レンズ用コントローラ22は、同様に、もう一方の光パワーメータからの光強度信号を受信しながら、レンズアレイのレンズアレイ5がX軸,Y軸,Z軸に沿って並進運動するようにレンズ用アクチュエータを駆動し、光強度信号が最大になると当該並進運動を停止させる。再び、その時のレンズ用コントローラ22で、X軸、Y軸、Z軸の位置を記憶する。そこで、記憶した2つの位置(X軸、Y軸、Z軸)から2つの光パワーメータからの光強度信号が同時に最大になる位置(X軸、Y軸、Z軸、θz軸)を計算する。その計算した位置にレンズアレイ5を移動させ、2つの光強度信号を受信し、それらが各々の光強度が最大になるようにレンズ用コントローラにてレンズアレイ5の位置を調整する。これにより、レンズアレイ5の調芯作業が自動的に行える。
【0041】
なお、上記説明では、光強度演算回路21からの出力は、レンズ用コントローラ22にのみ入力する場合について説明したが、ミラー用コントローラ24にも入力するようにしても良い。この場合は、ミラー用コントローラ24には光強度演算回路21からの光強度信号が入力する。そして、ミラー用コントローラ24は光強度信号が最大となるようにミラー用アクチュエータを駆動する。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を説明する。なお、第1及び第2実施形態と同一構成に関しては同一符号を用いて説明を適宜省略する。
【0042】
ミラー11は、位置調整の後にレンズアレイ5を挿入するために、Z軸に沿って後退させる。このとき、ミラーがヨーイングやピッチングにより角度がずれるような場合がある。そこで、本実施形態ではかかる後退時に発生するミラーの角度ずれを補正できるようにした。特に、レンズ5aの焦点距離が長い集光結合系の場合には、ヨーイングやピッチングが発生し易いすいため効果的である。
【0043】
図6は、第3実施形態にかかる光軸調整装置を用いて光学部品の光軸調整を行う際の模式図である。光軸調整装置2Cは、ミラー11の裏面に設けられた裏面反射部35、この裏面反射部35に光を出射し、その反射光を受光してミラー11の傾きを検出するオートコリメータ等の角度測定器32、角度測定器32の出力が入力するコントローラ33、このコントローラ33からの出力からミラー11の角度ずれ量を演算するミラー角度演算回路34を備える。
【0044】
図6においては、コントローラ33には角度表示装置31が接続されて、コントローラ33からの指令で測定した角度を表示するようしている。
【0045】
なお、ミラー角度演算回路34は角度測定器32からの出力に基づきミラー角度を演算する構成であっても良い。この場合は、角度測定器32からの信号はコントローラ33に入力するが、このコントローラ33は、角度表示装置31にミラー11の角度を表示させるためのミラー角度制御信号を作成出力することになる。そして、ミラー角度演算回路34には、角度測定器32からの出力をそのまま出力することになる。
【0046】
このように、ミラー11に裏面反射部35を設けることにより、ミラー11をZ軸に沿って後退させた際に発生するヨーイングやピッチング等によるミラー角度のずれが角度測定器32により計測される。
【0047】
そして、ミラー11を平面光波回路3の端面に近接させて、その傾きを調整して、レンズアレイ5を挿入できる距離だけミラー11を後退させる。この際に、ミラー11にヨーイングやピッチング等の角度ずれが生じることがある。そこで、角度測定器32から光を裏面反射部35に向けて出射し、その反射光を角度測定器32で受光する。
【0048】
角度測定器32の出力は、コントローラ33に入力する。このコントローラ33は、入力した角度測定器32からの出力をミラー角度演算回路34及び角度表示装置31に出力する。
【0049】
ミラー角度演算回路34は、検出位置からミラー11の角度のずれを演算して、ミラー用アクチュエータ25を制御するミラー用コントローラ24に制御信号を出力する。ミラー用コントローラ24は、この制御信号に基づきミラー用アクチュエータ25を駆動する。これにより、ヨーイングやピッチング等によるミラー11の角度ずれが補正できる。
【0050】
このとき角度表示装置31は、検出角度を画面に表示する。これにより、ユーザはヨーイングやピッチング等により発生したミラーの角度ずれを視覚的に把握することが可能になる。
【0051】
なお、角度測定器32は複数点でミラー11の角度を計測し、それらの平均値からミラーの角度ずれを演算しても良い。
【符号の説明】
【0052】
2A〜2C 光軸調整装置
3 平面光波回路
3a 端面
3b 端面
4 光導波回路
4a 入力ポート
4b 出力ポート
5 レンズアレイ
5a レンズ
11 ミラー
12 サーキュレータ
13 光パワーメータ
21 光強度演算回路
22 レンズ用コントローラ
23 レンズ用アクチュエータ
24 ミラー用コントローラ
25 ミラー用アクチュエータ
31 角度表示装置
32 角度測定器
33 コントローラ
34 ミラー角度演算回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6