(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1筐体は、前記第1方向に延在する回動軸を中心に回動することにより、前記第1位置と、前記第2位置とに位置付けられるように、前記第2筐体に対して相対移動可能に連結されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
前記吐出面と平行な面内において前記第1方向に直交する第2方向に関して、前記複数の第2タンクの各々は、前記各第2タンクの中心位置が、前記各第2タンクに接続された一又は複数の前記吐出口の平均位置と同じとなるように、配置されていることを特徴とする請求項5、13、14のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
先ず、
図1及び
図2を参照し、本発明の第1実施形態に係るインクジェット式プリンタ1の概略構成について説明する。
【0011】
プリンタ1は、共に直方体形状の上筐体(第1筐体)11及び下筐体(第2筐体)12を有している。なお、
図1における左側面が正面3となっている。なお、
図1における右側面が背面4となっている。上筐体11は下面が開口し、下筐体12は上面が開口している。上筐体11は、下筐体12に対して回動軸13を中心に回動可能に連結されている。上筐体11は、互いの開口面を封止してプリンタ1の内部空間を画定する位置である閉位置(第1位置:
図1(a))と、プリンタ1の内部空間を開放させる位置である開位置(第2位置:
図1(b))との間を回動する。上筐体11の下面には、開閉センサ16が固定されている。開閉センサ16は、上筐体11が閉位置にあるときに検出信号を出力し、上筐体11が開位置にあるときに検出信号を出力しない構成となっている。プリンタ1は、上筐体11が閉位置にあるときに、上筐体11が回動するのを規制するロック機構14を有している。ロック機構は、制御装置1pにより開閉可能となっている(
図4参照)。ロック機構14の詳細は、後述する。また、上筐体11の上面には、排紙部15が設けられている。排紙部15には、印刷が完了した用紙Pが順に排出される。
【0012】
さらに、プリンタ1の内部空間には、4つのインクカートリッジ装着部(第1タンク装着部)41aと、インクカートリッジ41よりも容量が小さい4つのサブタンク(第2タンク)42と、インクジェットヘッド2と、用紙トレイ20と、用紙搬送機構30と、プラテン9と、廃液タンク47とが配置されている。
【0013】
4つのインクカートリッジ装着部41aには、互いに異なる種類のインク(Y:イエロー、C:シアン、M:マゼンタ、Bk:ブラック)を貯留する4つのインクカートリッジ41がそれぞれ装着される。各インクカートリッジ装着部41aは、下筐体12に固定されている。4つのインクカートリッジ装着部41aは、互いに同じ高さに配置されている。各インクカートリッジ装着部41aは、インクカートリッジ41が装着されたときに、インクカートリッジ41に挿入される2つのニードル17a、17b(接続部)を有している。各ニードル17a、17bは、各インクカートリッジ装着部41aにおいて、インクカートリッジ装着部41aに装着されたインクカートリッジ41の背面4側の面41bと対向する位置に配置されている。各ニードル17a、17bは、それぞれ副走査方向に沿って延出している。各インクカートリッジ装着部41aは、各インクカートリッジ装着部41aに装着されたインクカートリッジ41よりも、背面4側に配置されている。また、インクカートリッジ装着部41aは、副走査方向において、サブタンク42よりも背面4側に配置されている。また、4つのインクカートリッジ装着部41aは、主走査方向において、インクジェットヘッドの両外側に2つずつ配置されている。換言すると、4つのインクカートリッジ装着部41aは、主走査方向に関して、インクジェットヘッド2と重ならない範囲である第1範囲R1(
図2参照)に2つずつ配置されている。なお、主走査方向に関して、インクジェットヘッドと重なる範囲を第2範囲R2と称する。インクカートリッジ41は、概ね直方体形状を有する。各インクカートリッジ41は、下筐体12に固定されたインクカートリッジ装着部41aに装着されるため、インクカートリッジ装着部41aに装着されたインクカートリッジ41は、下筐体12に保持される。4つのインクカートリッジ41が4つのインクカートリッジ装着部41aにそれぞれ装着されたとき、各インクカートリッジ41は、その長手方向が回動軸13の延在方向(以下、主走査方向)に直交する副走査方向に沿う。各インクカートリッジ41は、インクカートリッジ装着部41aに装着されたときに、副走査方向における長さが最も長い。そして、次に鉛直方向における長さが長く、主走査方向における長さが最も短い。また、各インクカートリッジ41は、インクカートリッジ装着部41aに装着されたときに、主走査方向において、インクジェットヘッドの両外側に2つずつ配置されている。換言すると、各インクカートリッジ41は、インクカートリッジ装着部41aに装着されたときに、第1範囲R1に2つずつ配置される。具体的には、下筐体12の底部における主走査方向の図中左側には、イエロー及びシアンのインクカートリッジ41が、図中右側には、マゼンタ、ブラックのインクカードリッジ41が配置される。4つのインクカートリッジ41が、互いに同じ高さに配置されている。インクカートリッジ41は、下筐体12の正面から副走査方向に沿って正面3側から背面4側に向かって挿入されることで、インクカートリッジ装着部41aに装着可能となっている。つまり、インクカートリッジ41の挿入方向は、副走査方向となっている。
【0014】
4つのサブタンク42は、それぞれ概ね直方体形状を有している。各サブタンク42は、上筐体11に固定されている。各サブタンク42は、主走査方向及び鉛直方向における長さがほぼ同じであり、各サブタンク42の主走査方向及び鉛直方向における長さは、副走査方向における長さよりも長い。
図3に示すように、サブタンク42の上面には、インクカートリッジ41から供給されたインクが流れ込むインク流入口42aが形成されている。また、サブタンク42の内部には、内部に貯留されたインクの液面高さを検出する液面センサ42bが配置されている。インク流入口42aは、サブタンク42の上面に係る回動軸13から最も離れた位置に形成されている。上筐体11が開位置に位置するとき、インク流入口42aは、サブタンク42に貯留されたインクの最高液面よりも鉛直方向に関する上方に位置する。サブタンク42に貯留されたインクの最高液面とは、サブタンク42に貯留されたインクが最大量のときのインクの液面である。本実施形態では、所定量はサブタンク42のインク貯留量が最大量であることを意味する。なお、所定量は、最大量よりも少ない任意の量でもよい。最高液面は、例えば液面センサ42bの検知出力に基づいてポンプ43がサブタンク42にインクを供給することにより決定されるものでもよいし、サブタンク42の構造(例えばサブタンク42内の所定量を超えるインクを排出するためにサブタンク42の側面における最高液面の近傍に設けられた排出穴)に基づいて決定されるものでもよい。本実施形態では、インク流入口42aがサブタンク42の上面に係る回動軸13から最も離れた位置に形成されているので、サブタンク42の最高液面を比較的高くすることができ、したがってサブタンク42の貯留量を大きくすることができる。4つのサブタンク42のインク流入口42aと、対応するインクカートリッジ装着部41aとがチューブ(第1チューブ)43aを介して接続されている。さらに、チューブ43aと、対応するインクカートリッジ41とが、ニードル17aを介して接続されている。なお、チューブ43aの剛性は、サブタンク42とインクジェットヘッド2とを接続するチューブ42a(
図2参照)よりも低くなっている。各サブタンク42の上面には、大気連通口42cが形成されている。大気連通口42cにはバルブ42dが設けられている。バルブ42dが開放されると、大気連通口42cを介してサブタンク42内が大気と連通する。バルブ42dが閉塞されると、サブタンク42内が大気から遮断される。各サブタンク42の側面には、インク流出口42eが形成されている。インク流出口42eは、サブタンク42の側面の下端部に形成されている。インク流出口42eと、対応するインクカートリッジ装着部41aとがチューブ43bを介して接続されている。さらに、チューブ43bと、対応するインクカートリッジとが、ニードル17bを介して接続されている。チューブ43bの剛性は、チューブ43aと同じである。なお、
図3においては、上記構成を1つのサブタンク42のみについて示しているが、他のサブタンク42についても同様である。
【0015】
図1及び
図2に示すように、4つのサブタンク42は、主走査方向に関してインクジェットヘッド2の両外側に2つずつ配置されている。換言すると、4つのサブタンク42は、第1範囲R1に2つずつ配置されている。各サブタンク42は、対応するインクカートリッジ装着部41aに装着されたインクカートリッジ41と鉛直方向において重なる位置に配置されている。具体的には、上筐体11の主走査方向の図中左側においては、背面4側から順にイエロー及びシアンのサブタンク42が、図中右側においては、背面4側から順にマゼンタ、ブラックのサブタンク42が配置されている。上筐体11が閉位置に位置するとき、4つのサブタンク42が、互いに同じ高さに配置されている。つまり、上筐体11が閉位置に位置するとき、4つのサブタンク42の下端部の鉛直方向に関する位置は同じである。なお、
図1においては、マゼンタおよびブラックのサブタンク42の図示を省略している。各サブタンク42は、各サブタンク42の液面とインクジェットヘッド2の吐出面とが所定の水頭差の範囲内となるように、各サブタンク42の液面がインクジェットヘッド2の吐出面よりも下方に位置するように、配置されている。このため、サブタンク42は、上筐体11の下面から突出している。そして、上筐体11が閉位置に位置するとき、サブタンク42の下端部は、上筐体11の下端部よりもさらに鉛直方向において下方に突出し、プラテン9(後述)及び回動軸13より鉛直方向に関する下方に位置している。なお、下筐体12には、上筐体11が閉位置に位置するときにサブタンク42の突出した部分が挿入される空間領域が確保されている。この空間領域は、例えば、下筐体12に凹領域12aを設けることによって確保される。
【0016】
チューブ43aの途中部位にはポンプ43が取り付けられている。ポンプ43は、下筐体12に固定されている。ポンプ43は、対応するインクカートリッジ装着部41aよりも背面4側(インクカートリッジ41の挿入方向の下流側)に配置されている。ポンプ43は、副走査方向において、インクカートリッジ41及びインクカートリッジ装着部41aと重なる位置に配置されている。必要に応じてポンプ43が駆動されることで、対応するインクカードリッジ装着部41aに装着されたインクカートリッジ41からサブタンク42にインクが供給される。
【0017】
チューブ43bの途中部位には、バルブ43cが取り付けられている。バルブ43cが開放されると、サブタンク42内と、対応するインクカートリッジ41とが連通する。バルブ43cが閉塞されると、サブタンク42内が、対応するインクカートリッジから遮断される。バルブ42d及びバルブ43cが開放されると、サブタンク42と対応するインクカートリッジ41との水頭差によって、サブタンク42内のインクが、対応するインクカートリッジ41に戻される。変形例として、チューブ43b、バルブ42d、バルブ43c、ニードル17b、大気連通口42cがなくてもよい。
【0018】
インクジェットヘッド2は、概ね直方体形状を有している。インクジェットヘッド2は上筐体11に保持される。インクジェットヘッド2は、副走査方向において、上筐体11の略中央に配置されている。インクジェットヘッド2は、その下面に、インク滴が吐出される複数の吐出口8が形成された吐出面を有している。インクジェットヘッド2の吐出面は、鉛直方向において、上筐体11の下端とほぼ同じ位置に配置されている。インクジェットヘッド2の吐出面には、主走査方向に沿って複数の吐出口8が等間隔に配列された複数の吐出口列を有している。インクジェットヘッド2の上面には、4つのインク供給口21が形成されている。4つのインク供給口21は、インクジェットヘッド2の中心を基準に点対称に配置されている。また、インクジェットヘッド2の主走査方向に関する両側には、サブタンク42が2つずつ配置されている。主走査方向に関して吐出面に対する一方側に配置されたインク供給口21と、主走査方向に関するインクジェットヘッド2の一方側に配置されたサブタンク42とがチューブ(第2チューブ)42aを介して接続されている。主走査方向に関して吐出面に対する他方側に配置されたインク供給口21と、主走査方向に関するインクジェットヘッド2の他方側に配置されたサブタンク42とがチューブ42aを介して接続されている。
【0019】
インクジェットヘッド2の内部には、互いに異なるインク供給口21と連通していると共に回動軸13の延在方向(以下、主走査方向)に延びた4つのインク流路(不図示)が形成されている。各インク流路には、複数の吐出口8が圧力室(不図示)を介して連通している。アクチュエータ(不図示)が圧力室に圧力を付与することで、吐出口8からインク滴が吐出される。
【0020】
また、インクジェットヘッド2の吐出面には、主走査方向に関して千鳥状に配置された複数の吐出ブロック80が区画されている。各吐出ブロック80には、対応するインクカートリッジ41、言い替えればインクの種類(Y、C、M、Bk)毎に、吐出口8が主走査方向に等間隔で配列された吐出口列(吐出口群)が形成されている。すなわち、吐出口列の数とサブタンク42の数は共に4であって同じである。各吐出ブロック80内の4つの吐出口列は、主走査方向に直交する副走査方向に配列されている。そして、いずれの吐出ブロック80においても、対応するインクの種類に関する吐出口列の配列順序は同じになっている。具体的には、各吐出ブロック80において、4つの吐出口列は、対応するインクの種類に関して、背面側からY,M,C,Bkの順に並んでいる。なお、この配列順序(背面側からY→M→C→Bk)は、対応するインクの種類に関するサブタンク42の配列順序とも同じになっている。具体的には、
図2左側に配置される2つのサブタンクは、対応するインクの種類に関して、背面側からY,Cの順に並んでおり、Y,Cに対応する吐出口列の配列順序と同じになっている。また、
図2右側に配置される2つのサブタンクは、対応するインクの種類に関して、背面側からM,Bkの順に並んでおり、M,Bkに対応する吐出口列の配列順序と同じになっている。また、4つのサブタンク42は、背面側からY,M,C,Bkの順に並んでおり、4つの吐出口列の配列順序と同じになっている。また、同じサブタンク42と連通している全ての吐出口8の副走査方向に関する平均位置が、当該サブタンク42の副走査方向に関する中央位置と一致している。なお、平均位置とは、同じサブタンク42と連通しているすべての吐出口8について、副走査方向に関する位置の平均をとったものである。ここで、Yに対応するサブタンク42及び吐出口8を例にとって説明する。全ての吐出ブロック80におけるYに対応する複数の吐出口列の、副走査方向に関する平均位置Oは、Yに対応するサブタンク42の副走査方向に関する中央位置と一致している。換言すると、全ての吐出ブロック80におけるYに対応する複数の吐出口8の、副走査方向に関する平均位置O1は、Yに対応するサブタンク42の副走査方向に関する中央位置と一致している。なお、M,C,Bkに関しても同様に平均位置と中央位置とが一致している。このように、各吐出ブロック80における4つの吐出口列は、同じ種類のインク滴を吐出する全ての吐出口8の副走査方向に関する平均位置が、副走査方向においてインクの種類毎に互い異なる位置となるように、副走査方向に配列されている。
【0021】
なお、本実施形態では、各吐出ブロック80において、対応するインクの種類毎に1つの吐出口列を有するとしているが、1つに限らず複数であってもよい。なお、本実施形態において、背面側に位置する2つのサブタンク42(Y及びMに対応する2つのサブタンク42)の副走査方向における位置は異なっているが、同じ位置であってもよい。また、正面側に位置する2つのサブタンク42(C及びBkに対応する2つのサブタンク42)の副走査方向における位置は異なっているが、同じ位置であってもよい。
【0022】
用紙トレイ20は、積層された複数の用紙Pを保持可能であり、主走査方向に関する両側からインクカートリッジ41に挟まれるように、下筐体12の底面に着脱自在に配置されている。なお、用紙トレイ20は、下筐体12の正面から副走査方向に沿って着脱できるようになっている。用紙トレイ20は、鉛直方向において、インクジェットヘッド2と重なる位置に配置されている。換言すると、用紙トレイ20は、第2範囲R2に配置されている。
【0023】
プラテン9は、用紙を支持するための板部材であり、上筐体11が閉位置にあるとき、インクジェットヘッド2の吐出面と対向するように下筐体12に固定されている。上筐体11が開位置にあるとき、インクジェットヘッド2の吐出面は、上筐体11が閉位置にあるときよりもプラテン9から離隔する。プラテン9の主走査方向及び副走査方向の大きさは、吐出面よりも若干大きい。プラテン9は、鉛直方向において、インクジェットヘッド2と重なる位置に配置されている。換言すると、プラテン9は第2範囲R2に配置されている。プラテン9は、鉛直方向において、上筐体11が閉位置にあるときのサブタンク42の下端部よりも上方に配置されている。
【0024】
用紙搬送機構30は、用紙トレイ20からインクジェットヘッド2とプラテン9との間を通過して排紙部15まで至る用紙Pの搬送経路を構成するものである。用紙搬送機構30は、ピックアップローラ31と、ニップローラ32a〜32eと、ガイド33a〜33dとを含んでいる。ピックアップローラ31は、用紙トレイ20に積層されている用紙Pを上方から1枚ずつ送出する。ニップローラ32a〜32eは、搬送経路に沿って配置されており、用紙Pに搬送力を付与する。ガイド33a〜33dは、搬送経路においてピックアップローラ31及びニップローラ32a〜32eの間にそれぞれ配置されており、ニップローラ32a〜32eによって搬送力が付与された用紙Pが次のニップローラ32a〜32eに到達するまで当該用紙Pをガイドする。用紙搬送機構30によって搬送された用紙Pは、インクジェットヘッド2とプラテン9との間を通過する際に、インクジェットヘッド2の吐出口8から吐出されたインク滴によって画像が印刷される。画像が印刷された用紙Pは、用紙搬送機構30によってさらに搬送され、排紙部15に排出される。ピックアップローラ31、ニップローラ32a〜32d、及び、ガイド33a〜33cは、下筐体12に固定されている。ニップローラ32e及びガイド33dは上筐体11に固定されている。
【0025】
廃液タンク47は、概ね直方体形状を有している。インクジェットヘッド2の吐出口8から排出された廃インクを貯留する。廃インクは、インクジェットヘッド2の吐出口8の目詰まりなどを防止するメンテナンス作業(例えば、吐出口8から大量のインクを排出させるパージ動作など)により発生する。廃液タンク47は、インクジェットヘッド2よりも外側に配置されており、
図2(b)中左側に配置されている。換言すると、廃液タンク47は、第1範囲R1に配置されている。廃液タンク47は、インクカートリッジ41(Y)及びインクカートリッジ41(C)の上方に配置されており鉛直方向においてインクカートリッジ41と重なる。廃液タンク47は、副走査方向において、上筐体11が閉位置にあるときのサブタンク42(すなわち、凹領域12a)と重なる位置に配置されており、上筐体11が閉位置に位置しているときのサブタンク42(すなわち、凹領域12a)よりも正面3側に配置されている。これにより、廃液タンク47を容易に交換することができる。また、廃液タンク47が、副走査方向において凹領域12aと重なる位置に配置されることで、凹領域12a近傍の領域を有効活用することができる。
【0026】
次に、
図4及び
図5を参照しつつ、ロック機構14の詳細を説明する。ロック機構14は、円柱状の回転部材85と、2つの連動部材86a,86bと、揺動部材87a,87bと、バネ88a,88bと、固定部材89a,89bと、軸部材89c、89dとを含む。回転部材85と、連動部材86a,86bと、揺動部材87a,87bと、バネ89a,89bとは、上筐体11に保持されている。固定部材88a,88bと、軸部材88c、88dとは、下筐体12に保持されている。連動部材86a,86bは、長手方向一端がそれぞれ回転部材85の周面に連結されている。揺動部材87a,87bは、各連動部材86a,86bの長手方向他端に連結され、軸部材88c、88dと係合可能な凹部87c、87dをそれぞれ有している。バネ89a,89bは、各揺動部材87a,87bの上端に連結されている。固定部材88a,88bは、下筐体12から回転部材85に向かって突出している。軸部材88c、88dは、副走査方向に延出しており、固定部材88a、88bにそれぞれ固定され、凹部87c、87dと係合可能である。
【0027】
回転部材85の正面には、棒状のツマミ90が固定されている。ツマミ90は、ユーザが手動で回転させることができ、回転部材85と一体的に回転する。ツマミ90の回転中心には、ユーザが押下可能なロック解除スイッチ51が設けられている。また、ロック機構14には、
図5に示すように、回転部材85の回転を規制することによりツマミ90の回転を規制するソレノイド91が設けられている。ソレノイド91は、ソレノイド91に通電されていない状態において、プランジャ91aが回転部材85の背面に設けられた凹部85aに係合された状態(
図5において実線で示す状態)となる。ソレノイド91は、ソレノイド91に通電されると、プランジャ91aが凹部85aに係合されない状態(
図5において破線で示す状態)となる。ソレノイド91に通電されない状態では、プランジャ91aが凹部85aに係合されているため、回転部材85の回転が規制される。ソレノイド91に通電されると、プランジャ91aが凹部85aに係合されない状態となるため、回転部材の回転が許容される。
【0028】
バネ89a,89bはそれぞれ揺動部材87a,87bの上端が回転部材85に近づく方向に付勢している。これにより、外力が付加されない状況において、ロック機構70の各部は、
図4(a)に示すようにツマミ90が鉛直方向に延在した状態で、静止している。
【0029】
ツマミ90は、通常はソレノイド37によって回転が規制された回転規制状態にあり、制御装置1pによるソレノイド37の駆動制御によって、回転規制状態から回転許可状態に切り換えられる。例えば、ジャム処理(用紙搬送経路における用紙Pの詰まりを解消する作業)等のメンテナンス作業を行うために、ユーザがロック解除スイッチ51を押下すると、ロック機構14による規制が解除されることを示す規制解除信号が、ロック解除スイッチ51に内蔵されたロック解除センサ52(
図6参照)から制御装置1pに出力される。また、ユーザがロック解除スイッチ51を押下しなくとも、制御装置1pは、記録モード時におけるジャム(用紙搬送経路における用紙Pの詰まり)の発生を検知可能であり、ジャムの発生を検知したときに規制解除信号を受信したと判定する(具体的には、ジャムの発生は、搬送経路に配置された用紙センサや、送りローラ対22〜28の駆動モータからの信号に基づいて、制御装置1pが検知する。制御装置1pは、ジャムの発生を検知した場合、そのとき用紙センサ等から出力された信号を規制解除信号とみなして処理を行う)。本実施形態においては、ロック解除センサ52及びジャムの発生を検知した場合の用紙センサ等が規制解除信号を制御装置1pに出力する出力手段を構成している。制御装置1pは、規制解除信号を受信した場合、ソレノイド91を駆動してツマミ90を回転規制状態から回転許可状態に切り換える。
【0030】
ロック機構14は、
図4(a)に示す状態において、揺動部材87a、87bの凹部87c、87dが、軸部材88c、88dにそれぞれ係合している。この係合によって、閉位置にある上筐体11が開位置に向かって回動しないように、上筐体11の移動が規制されている。
【0031】
回転許可状態とされたツマミ90を、ユーザがバネ89a,89bの付勢力に抗して時計回りに回転させると、
図4(b)に示すように連動部材86a、86bが移動する。連動部材86a、86bが移動すると、揺動部材87a、87bの凹部87c、87dが軸部材88c、88dから外れるように揺動部材87a、87bが揺動する。これにより、揺動部材87a、87bの凹部87c、87dと、軸部材88c、88dとの係合が解除され(即ち、閉位置にある上筐体1aの移動規制が解除され)、ユーザが手動で上筐体11を閉位置から開位置に移動させることができる。このとき、開閉センサ16からの検出信号が制御装置1pに送られず、制御装置1pが上筐体11が開位置にあると判定する。
【0032】
一方、ユーザが上筐体11を手動で開位置から閉位置に復帰させると、バネ89a、89bの付勢力によって揺動部材87a、87bの凹部87c、87dと、軸部材88c、88dとの係合が自動的に復帰する。このとき、開閉センサ16から検出信号が制御装置1pに出力される。これにより、上筐体11が開位置から閉位置に戻ったと制御装置1pが判定し(この時点で揺動部材87a、87bの凹部87c、87dと、軸部材88c、88dとの係合も復帰している)、ソレノイド91を制御してツマミ90を回転許可状態から回転規制状態に切り換える。こうして、上筐体11の移動規制が開始される。このように、開閉センサ16からの検出信号は、上筐体11の移動規制が開始されることを示す、規制開始信号である。
【0033】
このように、全体構成としては、上筐体11が閉位置に位置するとき、主走査方向に関してインクジェットヘッド2と重ならない第1範囲R1内において、サブタンク42及びインクカートリッジ41が上方から順に平面視で互いに重なるように配置されている。主走査方向に関してインクジェットヘッド2と重なる第2範囲R2内において、インクジェットヘッド2、プラテン9及び用紙トレイ20が上方から順に平面視で互いに重なるように配置されている。
【0034】
図3に示すように、搬送経路において用紙Pがジャムしたときなど、メンテナンス作業においてプリンタ1の内部を開放させる必要があるときは、ユーザは上筐体11を閉位置から開位置に回動させる(後述)。これにより、インクジェットヘッド1とプラテン9との間の空間が開放され、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0035】
次に、プリンタ1を制御する制御装置1pについて説明する。
図6に示すように、制御装置1pは、印刷制御部71と、インク量判断部74と、ポンプ制御部72と、ロック制御部73と、バルブ制御部75(戻し制御手段)とを有している。印刷制御部71は、用紙Pに所望の画像が印刷されるように、インクジェットヘッド2及び用紙搬送機構30の動作を制御する。インク量判断部74は、サブタンク42の液面センサ42aの検知結果に基づいて、サブタンク42に貯留されているインク量を判断する。ポンプ制御部72は、ポンプ43の駆動を制御する。具体的には、ポンプ制御部72は、後述するロック解除スイッチ51が押された際に、インク量判断部74が判断したインク量が所定量未満のときは、インクカートリッジ41からサブタンク42にインクが供給されるようにポンプ43を駆動させる。サブタンク42に貯留されているインク量が所定値となったとき、ポンプ制御部72は、ポンプ43の駆動を停止する。ロック制御部73は、ロック解除スイッチ51の状態やインク量判断部74の判断結果に基づいて、ソレノイド91を制御する。バルブ制御部75は、バルブ42d、43cの開閉を制御する。
【0036】
ユーザが任意にメンテナンス作業を行う場合のプリンタ1の動作について説明する。通常は、ロック機構14においてツマミ90が回転規制状態となっているため、
図7に示すように、ユーザが任意にメンテナンス作業を行う場合、ユーザは上筐体11を開位置に移動させるための意思表示としてロック解除スイッチ51を押す。ロック解除スイッチ51が押されると、ロック解除センサ52が規制解除信号を制御部1pに出力する。規制解除信号が出力されると、インク量判断部74は、サブタンク42が所定量のインクを貯留しているか否か(インク貯留量が所定量、所定量未満のいずれであるか)を判断する(S101)。サブタンク42が所定量のインクを貯留していない(インク貯留量が所定量未満)とインク量判断部74が判断したとき(S101:NO)、所定量のインクを貯留しているとインク量判断部74が判断するまで(S101:YES)、ポンプ制御部72は、ポンプ43を駆動してサブタンク42にインクを供給する(S102)。
【0037】
サブタンク42が所定量のインクを貯留しているとインク量判断部74が判断すると(S101:YES)、ポンプ制御部72は、ポンプ43を停止させる(S103)。ロック制御部73は、ロック機構14のソレノイド91を制御してツマミ90を回転許可状態にする(S104)。その後、ユーザが上筐体11を開位置にしてメンテナンス作業を行った後、上筐体11を再び閉位置に戻したことを開閉センサ16が検知したら(S105)、ロック制御部73は、ロック機構14のソレノイド91を制御してツマミ90を回転規制状態にし(S106)、
図7のフローチャートを終了する。
【0038】
以上のように、本実施形態によるプリンタ1によると、上筐体11が閉位置に位置するとき、上筐体11の下面から突出しているサブタンク42が下筐体12の空間領域内に収容され、主走査方向に関してインクジェットヘッド2と重ならない第1範囲内において、サブタンク42及びインクカートリッジ41が上方から順に平面視で互いに重なるように配置される。また、主走査方向に関してインクジェットヘッド2と重ならなる第2範囲内において、インクジェットヘッド2、プラテン9及び用紙トレイ20が上方から順に平面視で互いに重なるように配置される。これにより、各部材が効率よく配置され、プリンタ1の省スペース化を図ることができる。
【0039】
サブタンク42の下端部が、プラテン9よりも下方に配置されていることにより、サブタンク42内の液体の液面と、吐出面との水頭差を適正に維持することができる。
【0040】
インクカートリッジ41が副走査方向に長尺になっており、主走査方向に長尺なインクジェットヘッド2と直交するように、各部材を配置することでプリンタ1の省スペース化を図ることができる。
【0041】
インクジェットヘッド2の延在方向に関する両側の各々にサブタンク42が配置されているため、1つのインクジェットヘッド2に接続されたサブタンク42の全てが当該インクジェットヘッド2の一方側に配置されている構成と比較して、延在方向に関して上筐体11の重量バランスがよく、回動機構に働くねじれ力を低減することができる。これにより、ジャム処理などの作業空間を容易に開放させることができる。また、サブタンク42の全てが副走査方向に配列する場合と比較して上筐体11の回動時における水頭差の変動を抑制することができる。
【0042】
また、インクジェットヘッド2の主走査方向に関する両側には、サブタンク42が2つずつ配置されており、主走査方向に関して吐出面に対する一方側に配置されたインク供給口21と、主走査方向に関するインクジェットヘッド2の一方側に配置されたサブタンク42とがチューブ42aを介して接続されており、主走査方向に関して吐出面に対する他方側に配置されたインク供給口21と、主走査方向に関するインクジェットヘッド2の他方側に配置されたサブタンク42とがチューブ42aを介して接続されている。さらに、4つのインク供給口21は、インクジェットヘッド2の中心を基準に点対称に配置されている。これらにより、同一のサブタンク42と連通する吐出口8同士の流路抵抗や位置関係の差が小さくなり、インクの吐出特性が均一化される。
【0043】
さらに、同じサブタンク42と連通している全ての吐出口8の副走査方向に関する平均位置が、当該サブタンク42の副走査方向に関する中心位置と一致している。加えて、いずれの吐出ブロック80においても、対応するインクの種類に関する吐出口列の配列順序は同じになっており、この配列順序は、対応するインクの種類に関するサブタンク42の配列順序とも同じになっている。これらにより、上筐体11が回動したときに、サブタンク42と対応する吐出口8との水頭差が変化しにくくなり、吐出口8のメニスカスが破壊されるのを抑制することができる。
【0044】
加えて、インクジェットヘッド2とサブタンク42とが共に上筐体11に固定されているため、両者の相対位置が変化しない。これにより、インクジェットヘッド2に対する水頭圧(サブタンクとの位置関係により決定される)を安定させることができる。また、サブタンク42がインクカートリッジ41よりも容量が小さいため、サブタンク42のインク残量変化に伴う上筐体11を回動させるための負荷変動を抑制することができ、メンテナンス作業などの作業空間を容易に開放させることができる。
【0045】
また、インクカートリッジ41とサブタンク42とを接続するチューブ43aは、サブタンク42とインクジェットヘッド2とを接続するチューブ42aよりも剛性が低くなっているため、上筐体11の回動に追従しやすい。また、チューブ42aにガスバリア性の高いものを用いることができるためインク内にエアが混入しにくくなる。
【0046】
また、上筐体41が開位置に位置するとき、インク流入口42aがサブタンク42に貯留されたインクの最高液面よりも鉛直方向に関する上方に位置するため、サブタンク42からインクが逆流するのを抑制することができる。
【0047】
さらに、ポンプ43が、下筐体12の底部におけるインクカートリッジ装着部41aのさらに背面側に配置されている。また、ポンプ43が、副走査方向において、インクカートリッジ装着部41aよりも回動軸13側に配置されている。これにより、チューブ43aの距離を比較的短くすることができる。これにより、上筐体11の重量を軽くすることができる。また、初期導入時にもポンプ43内に気体が導入されることがないため、インクを送出できるが気体を送出できないポンプ(非自吸式ポンプ)を使用することが可能となってポンプ選択の幅を広げることができる。つまり、ポンプ43が下筐体12(正確には、インクカートリッジ41内の液体が自重でポンプ43に流れてくる位置)にある場合には、自吸式ポンプだけでなく非自吸式ポンプが選択可能となる。なお、ポンプが上筐体11(正確には、インクカートリッジ41内の液体が自重でポンプ43に流れてこない位置)にある場合には、自吸式ポンプを選択すればよい。ここで、自吸式ポンプは、ポンプの吸込口付近に主にゴム製の逆止弁が取り付けられており、さらに空気分離室を有し、ポンプ本体に呼び水するだけで揚水するように作られたポンプである。一方、非自吸式ポンプは、吸込逆止弁や空気分離室による自吸能力を有さないポンプであり、押込運転(ポンプに水が流れ込む)以外は吸込管の先にフートバルブを取り付け、吸い込み管全部に呼び水をする必要がある。
【0048】
加えて、4つのインクカートリッジ41同士、及び、4つのサブタンク42同士が互いに同じ高さに配置されているため、インクカートリッジと対応するサブタンク42との間の水頭差が均一化し、サブタンク42へのインク供給力を安定させることができる。
【0049】
さらに、インクジェットヘッド2の主走査方向に関する両側に同数のサブタンク42が配置されているため、上筐体11の重量バランスが向上する。
【0050】
<第1変形例>
本実施形態では、1つのインクジェットヘッド2に対して4つのインクカートリッジ41及び4つのサブタンク42が接続される構成であるが、インクジェットヘッド2と対応するインクカートリッジ及びサブタンクの少なくともいずれかの数は任意のものであってよい。具体的には、インクジェットヘッド102よりも
図6中左側にCに対応するサブタンク42が配置され、インクジェットヘッド102よりも
図6中右側にMに対応するサブタンク42が配置されている。インクジェットヘッド102の吐出面には、4つの吐出口列が形成されている。4つの吐出口列のうち、背面側の2つの吐出口列に属する各吐出口8は、Cのインクを吐出し、正面側の2つの吐出口列に属する各吐出口8は、Mのインクを吐出する。2つのサブタンク42は、副走査方向において同じ位置に配置されている。各サブタンク42は、4つの吐出口列4に属する全ての吐出口の、副走査方向に関する平均位置O2と、各サブタンク42の副走査方向に関する中心位置とが一致するように配置されている。なお、上述の実施形態では、2つのサブタンク42の位置が副走査方向に関して同じ位置であるとしたが、2つのサブタンク42の位置が副走査方向に関してずれていてもよい。また、
図8においては、上筐体11が閉位置にあるとき、インクジェットヘッド2の主走査方向に関する両側にインクカートリッジ41及びサブタンク42がそれぞれ1つずつ配置されている。これによると、プリンタ全体の左右の重量バランスがよくなる。また、インクジェットヘッド102と2つのサブタンク42との水頭差が均一化されるため、吐出口8に形成されるメニスカスの安定化を図ることができる。なお、上述の実施形態では、1つのインクジェットヘッド102がC及びMのインクを吐出するとして説明したが、インクの組み合わせはこれに限らない。また、1つのインクジェットヘッド102が1色のみのインクを吐出してもよい。
【0051】
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。本実施形態においては、インクジェットヘッド202及びサブタンク242の構成が第1実施形態と異なるため、以下、この点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の部材については第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
図9に示すように、4つのサブタンク242は、インクジェットヘッド202の主走査方向に関する両側のそれぞれにおいて、主走査方向に沿って2つずつ配置されるように、上筐体11に固定されている。具体的には、上筐体11の主走査方向の図中左側においては、左側から順にイエロー及びシアンのサブタンク242が、図中右側においては、左側から順にマゼンタ、ブラックのサブタンク242が配置されている。上筐体11が閉位置に位置するとき、各サブタンク242の下方に対応するインクカートリッジ41が配置される。
【0053】
また、インクジェットヘッド202の上面には、4つのインク供給口21が形成されている。4つのインク供給口221は、インクジェットヘッド202の中心を基準に点対称に配置されている。また、インクジェットヘッド202の吐出面には、主走査方向に関して千鳥状に配置された4つの吐出ブロック280a、280bが区画されている。4つの吐出ブロック280は、副走査方向に関して、異なる位置に配置された2つの吐出ブロック280a、280bを有している。2つの吐出ブロック280aは背面側に配置されており、2つの吐出ブロック280bは正面側に配置されている。各吐出ブロック280には、対応するインクカートリッジ41、言い替えればインクの種類(Y、C、M、Bk)毎に、吐出口8が主走査方向に等間隔で配列された吐出口列(吐出口群)が形成されている。各吐出ブロック280a、280b内の4つの吐出口列は、主走査方向に直交する副走査方向に配列されている。背面側に配置された吐出ブロック(第1ブロック領域)280aにおける、対応するインクの種類に関する吐出口列の配列順序(背面側からY→M→C→Bk)と、正面側に配置された吐出ブロック(第2ブロック領域)280bにおける、対応するインクの種類に関する吐出口列の配列順序(背面側からBk→C→M→Y)とが逆になっている。具体的には、2つの吐出ブロック280aにおいて、4つの吐出口列は、対応するインクの種類に関して、背面側からY,M,C,Bkの順に並んでいる。また、2つの吐出ブロック280bにおいて、4つの吐出口列は、対応するインクの種類に関して、正面側からY,M,C,Bkの順に並んでいる。また、同じサブタンク242と連通している全ての吐出口8の副走査方向に関する平均位置O3(またはその近傍)が、当該サブタンク242の副走査方向に関する中心位置と一致している。このように、各吐出ブロック280a、280bにおける4つの吐出口列は、同じ種類のインク滴を吐出する全ての吐出口8の副走査方向に関する平均位置が、どの種類のインクについても同じとなるように、副走査方向に配列されている。なお、本実施例において、
図9中左側に配置された2つのサブタンク42、及び
図7中右側に配置された2つのサブタンク42は、それぞれ主走査方向に沿って並んで配置されているが、副走査方向に沿って並んで配置されていてもよい。
【0054】
以上のように、本実施形態によると、インクジェットヘッド202の延在方向に関する両側の各々にサブタンク242が配置されているため、1つのインクジェットヘッド202に接続されたサブタンク242の全てが当該インクジェットヘッド202の一方側に配置されている構成と比較して、延在方向に関して上筐体11の重量バランスがよく、回動機構に働くねじれ力を低減することができる。これにより、ジャム処理などの作業空間を容易に開放させることができる。また、サブタンク242の全てが副走査方向に配列する場合と比較して上筐体11の回動時における水頭差の変動を抑制することができる。
【0055】
また、上筐体11が回動したときに、サブタンク242と対応する吐出口8との水頭差が変化しにくくなる。
【0056】
<第2変形例>
上述の実施形態では、吐出面において千鳥状に配置された吐出ブロック80、280a、280bが区画される構成であるが、吐出口8の配置位置を限定するものではない。例えば、
図10に示すように、インクジェットヘッド302において、各色に対応する吐出口8が主走査方向に直線状に配列されていてもよい。
【0057】
<第3変形例>
また、上述の実施形態では、1つのインクジェットヘッド2が4色のインク滴を吐出する構成であるが、これに限られない。例えば、
図11に示すように、インクジェットヘッド402が単色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのいずれか)のインク滴を吐出する構成であってもよい。そして、各色に対応する4つのインクジェットヘッド402が副走査方向に沿って配列されていることが好ましい。インクジェットヘッド402の主走査方向に関するいずれか一方側に、対応するサブタンク442が配置されている。なお、1つのインクジェットヘッドの両側にサブタンクが配置され、各サブタンクから同色のインクが供給される構成であってもよい。このように、単色のインクが2つのサブタンクから供給されることで、インクジェットヘッドから吐出可能な単位時間当たりのインク量を大きくすることができる。
【0058】
以上のように、本実施形態によると、主走査方向に長尺なインクジェットヘッド2及びサブタンク42が副走査方向に並んで配置されるとともに、副走査方向に長尺なインクカートリッジ41が主走査方向に並んで配置されることにより、各部材が効率よく配置され、プリンタ1の省スペース化を図ることができる。
【0059】
また、サブタンク442が、インクジェットヘッド402と同様に主走査方向に長尺になっている。これにより、上筐体11が回動したときに、サブタンク442と対応する吐出口8との水頭差が変化しにくくなり、吐出口8のメニスカスが破壊されてインクが漏れ出したりするのを抑制することができる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上筐体11が下筐体12に対して姿勢を変えずに上下移動するように連結されていてもよい。つまり、上筐体11が下筐体12に対して相対移動可能に連結されていればよい。
【0061】
上述の実施形態においては、上筐体11が閉位置に位置するとき、平面視においてインクジェットヘッド2の主走査方向に関する両側にインクカートリッジ41及びサブタンク42がそれぞれ配置される構成であるが、インクカートリッジ及びサブタンクの少なくともいずれかが、主走査方向に関する一方側にだけ配置される構成であってもよい。例えば、
図12に示すように、プリンタが独立した2つのインクジェットヘッド402を有しており、上筐体11が閉位置を取っているとき、平面視において各インクジェットヘッド402の主走査方向に関する一方側(
図12中左方側)のみに、対応するインクカートリッジ41及びサブタンク42がそれぞれ配置されていてもよい。このとき、サブタンク42の下方に対応するインクカートリッジ41が配置されている。また、インクカートリッジ、サブタンク、インクジェットヘッドがそれぞれ1つだけでもよい。
【0062】
また、上述の実施形態において、インク供給口21が、インクジェットヘッド2の中心を基準に点対称に配置されているが、任意の位置に配置されていてもよい。例えば、線対称に配置されていてもよい。
【0063】
さらに、上述の実施形態において、インクカートリッジ41とサブタンク42とを接続するチューブ43aは、サブタンク42とインクジェットヘッド2とを接続するチューブ42aよりも剛性が低くなっているが、各チューブの剛性関係は任意のものであってよい。
【0064】
さらに、上述の実施形態において、インク流入口42aは、サブタンク42の上面に係る回動軸13から最も離れた位置に形成されているが、インク流入口は他の場所に形成されていてもよい。
【0065】
また、上述の実施形態においては、ポンプ43が、下筐体12の底部におけるインクカートリッジ装着部41aのさらに背面側に配置されている構成であるが、ポンプ43は、任意の場所にあってもよい。例えば、上筐体11に配置されていてもよい。
【0066】
加えて、上述の実施形態においては、サブタンク42が上筐体11の下面から突出しているが、突出しなくてもよい。また、サブタンク43の下面がプラテン9や回動軸13の高さ以上の位置にくるように、サブタンク42が配置されていてもよい。
【0067】
また、上述の実施形態においては、4つのインクカートリッジ41同士、及び、4つのサブタンク42同士が互いに同じ高さに配置される構成であるが、4つのインクカートリッジ41同士、及び、4つのサブタンク42同士の少なくともいずれかが互いに異なる高さに配置される構成であってもよい。
【0068】
上述の実施形態では、プラテン9がインクジェットヘッド2の吐出面と対向して配置され、記録媒体を支持するローラ搬送機構であるが、これに限られない。例えば、インクジェットヘッド2の搬送方向上流側及び下流側に配置された複数のローラに架け渡されて循環可能な無端状のベルトの表面で用紙を担持して搬送するベルト搬送機構を採用してもよい。この場合には、用紙を担持するベルトの表面が、本発明の支持部を構成する。
【0069】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。ヘッドは、インク以外の任意の液体を吐出してよい。記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な任意の媒体であってよい。