(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5998754
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20160915BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20160915BHJP
【FI】
G06Q30/06 310
G06Q30/02 490
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-189286(P2012-189286)
(22)【出願日】2012年8月29日
(65)【公開番号】特開2014-48757(P2014-48757A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 将
【審査官】
山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】
特許第4979098(JP,B1)
【文献】
特開2003−196526(JP,A)
【文献】
国際公開第03/003268(WO,A1)
【文献】
特開2002−133156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが商品の購入希望条件を含む、複数の商品購入希望情報を取得する商品購入希望情報取得手段と、
前記商品の販売希望条件を含む、商品販売希望情報を取得する商品販売希望情報取得手段と、
前記複数の商品購入希望情報のそれぞれについて、該商品購入希望情報に基づいて取得される購入希望価格から、前記商品販売希望情報に基づいて取得される販売希望価格を減算した差分を取得する差分取得手段と、
前記複数の商品購入希望情報のそれぞれについて取得された前記差分に基づいて、前記複数の商品購入希望情報の少なくとも一部であって、前記差分の総和が0以上となるような1又は複数の商品購入希望情報を、売買が実行されるべき商品購入希望情報と判定する判定手段と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記判定手段は、
前記複数の商品購入希望情報のそれぞれについて取得された差分を、差分の大きい順に累積的に加算する加算処理を行って加算結果を順次取得する加算手段、
前記加算手段による前記加算処理において、0以上の加算結果に対し差分を加算することで0より小さい加算結果が得られた場合、該差分より前に加算された差分に対応する商品購入希望情報の全てを、前記売買が実行されるべき商品購入希望情報と判定する手段、
を含むことを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理システムであって、
前記商品販売希望情報取得手段は、前記商品の販売に必要な経費を示す必要経費情報と、前記商品の販売における希望利益を示す希望利益情報をさらに取得し、
前記経費と、前記希望利益と、の和に基づいて、前記販売希望価格を取得することを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理システムであって、
前記商品購入希望情報は、前記商品の送付先を示す送付先情報をさらに含み、
前記商品販売希望情報は、前記商品の送付先の属性ごとに定められる費用を示す送付先費用情報を含み、
前記商品販売希望情報取得手段は、前記送付先情報と、前記送付先費用情報と、に基づいて、前記販売希望価格を取得することを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
それぞれが商品の購入希望条件を含む、複数の商品購入希望情報を取得する商品購入希望情報取得手段と、
前記商品の販売希望条件を含む、商品販売希望情報を取得する商品販売希望情報取得手段と、
前記複数の商品購入希望情報のそれぞれについて、該商品購入希望情報に基づいて取得される購入希望価格から、前記商品販売希望情報に基づいて取得される販売希望価格を減算した差分を取得する差分取得手段と、
前記複数の商品購入希望情報のそれぞれについて取得された前記差分に基づいて、前記複数の商品購入希望情報の少なくとも一部であって、前記差分の総和が0以上となるような1又は複数の商品購入希望情報を、売買が実行されるべき商品購入希望情報と判定する判定手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
それぞれが商品の購入希望条件を含む、複数の商品購入希望情報を取得する商品購入希望情報取得手段と、
前記商品の販売希望条件を含む、商品販売希望情報を取得する商品販売希望情報取得手段と、
前記複数の商品購入希望情報のそれぞれについて、該商品購入希望情報に基づいて取得される購入希望価格から、前記商品販売希望情報に基づいて取得される販売希望価格を減算した差分を取得する差分取得手段と、
前記複数の商品購入希望情報のそれぞれについて取得された前記差分に基づいて、前記複数の商品購入希望情報の少なくとも一部であって、前記差分の総和が0以上となるような1又は複数の商品購入希望情報を、売買が実行されるべき商品購入希望情報と判定する判定手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、商品を購入する顧客をグループ単位で識別し、同一グループに属する顧客からの注文商品数量に応じて商品提供価格を更新して提示し、さらに注文商品数量の追加することで設定されうる新たな商品提供価格を提示する電子商取引システムが開示されている。特許文献2には、データベースに登録される項目になされた変更に応じて、データベースの構成、およびデータの詳細を示す詳細画面を変更するデータ統合管理システムが開示されている。特許文献3には、販売商品エンティティ、会員顧客エンティティ、および注文エンティティを連動させて、会員顧客による購入申し込みが発生した場合に購入に基づく還元ポイントを会員顧客エンティティに反映するポイント情報管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−358454号公報
【特許文献2】特開2005−242516号公報
【特許文献3】特開2007−200258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の1つは、商品の購入希望価格と、該商品の販売希望価格と、に基づいて、売買が実行されるべき商品購入希望情報を判定する情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、それぞれが商品の購入希望条件を含む、複数の商品購入希望情報を取得する商品購入希望情報取得手段と、前記商品の販売希望条件を含む、商品販売希望情報を取得する商品販売希望情報取得手段と、前記複数の商品購入希望情報のそれぞれについて、該商品購入希望情報に基づいて取得される購入希望価格から、前記販売希望情報に基づいて取得される販売希望価格を減算した差分を取得する差分取得手段と、前記複数の商品購入希望情報のそれぞれについて取得された前記差分に基づいて、前記複数の商品購入希望情報の少なくとも一部であって、前記差分の総和が0以上となるような1又は複数の商品購入希望情報を、売買が実行されるべき商品購入希望情報と判定する判定手段と、を有することを特徴とする情報処理システムである。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理システムであって、前記判定手段は、前記複数の商品購入希望情報のそれぞれについて取得された差分を、差分の大きい順に累積的に加算する加算処理を行って加算結果を順次取得する加算手段、前記加算手段による前記加算処理において、0以上の加算結果に対し差分を加算することで0より小さい加算結果が得られた場合、該差分より前に加算された差分に対応する商品購入希望情報の全てを、前記売買が実行されるべき商品購入希望情報と判定する手段、を含むことを特徴とする情報処理システムである。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の情報処理システムであって、前記商品販売希望情報取得手段は、前記商品の販売に必要な経費を示す必要経費情報と、前記商品の販売における希望利益を示す希望利益情報をさらに取得し、前記経費と、前記希望利益と、の和に基づいて、前記販売希望価格を取得することを特徴とする情報処理システムである。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理システムであって、前記商品購入希望情報は、前記商品の送付先を示す送付先情報をさらに含み、前記商品販売希望情報は、前記商品の送付先の属性ごとに定められる費用を示す送付先費用情報を含み、前記商品販売希望情報取得手段は、前記送付先情報と、前記送付先費用情報と、に基づいて、前記販売希望価格を取得することを特徴とする情報処理システムである。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理システムであって、前記判定手段は、前記複数の商品購入希望情報のうち、前記差分が0より小さいものを、判定の対象から除外する手段をさらに有することを特徴とする情報処理システムである。
【0010】
また、請求項6に記載の発明は、それぞれが商品の購入希望条件を含む、複数の商品購入希望情報を取得する商品購入希望情報取得手段と、前記商品の販売希望条件を含む、商品販売希望情報を取得する商品販売希望情報取得手段と、前記複数の商品購入希望情報のそれぞれについて、該商品購入希望情報に基づいて取得される購入希望価格から、前記販売希望情報に基づいて取得される販売希望価格を減算した差分を取得する差分取得手段と、前記複数の商品購入希望情報のそれぞれについて取得された前記差分に基づいて、前記複数の商品購入希望情報の少なくとも一部であって、前記差分の総和が0以上となるような1又は複数の商品購入希望情報を、売買が実行されるべき商品購入希望情報と判定する判定手段と、を有することを特徴とする情報処理装置である。
【0011】
また、請求項7に記載の発明は、コンピュータを、それぞれが商品の購入希望条件を含む、複数の商品購入希望情報を取得する商品購入希望情報取得手段と、前記商品の販売希望条件を含む、商品販売希望情報を取得する商品販売希望情報取得手段と、前記複数の商品購入希望情報のそれぞれについて、該商品購入希望情報に基づいて取得される購入希望価格から、前記販売希望情報に基づいて取得される販売希望価格を減算した差分を取得する差分取得手段と、前記複数の商品購入希望情報のそれぞれについて取得された前記差分に基づいて、前記複数の商品購入希望情報の少なくとも一部であって、前記差分の総和が0以上となるような1又は複数の商品購入希望情報を、売買が実行されるべき商品購入希望情報と判定する判定手段と、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1,6,7に係る発明によれば、商品の購入希望価格と、該商品の販売希望価格と、に基づいて、売買が実行されるべき商品購入希望情報を判定する情報処理システム、情報処理装置、およびプログラムが提供される。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、差分の大きい順に累積的に加算した場合に、0以上の加算結果が得られる商品購入希望情報の全てを、前記売買が実行されるべき商品購入希望情報と判定する情報処理システムが提供される。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、商品の販売に必要な経費と、商品の販売における希望利益と、の和に基づいて、販売希望価格を取得する情報処理システムが提供される。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、送付先情報と、送付先費用情報と、に基づいて、販売希望価格を取得する情報処理システムが提供される。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、複数の商品購入希望情報のうち、差分が0より小さいものを、判定の対象から除外した判定処理を実行する情報処理システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムを示す図である。
【
図2】販売者側ユーザ端末により送信される商品販売希望情報の一例を示す図である。
【
図3】購入者側ユーザ端末により送信される商品購入希望情報の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る管理装置の構成を示す図である。
【
図5】関連コストおよび販売額の一例を示す図である。
【
図6】差分取得部により取得される差分の一例を示す図である。
【
図7】判定部により実行される判定処理を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る情報処理システムにおける判定処理を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態に係る構成による効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム1000を示す図である。
【0020】
情報処理システム1000は、ネットワーク900を介して互いに接続される管理装置100、販売者側ユーザ端末200、購入者側ユーザ端末300、400、および500を含む。管理装置100、販売者側ユーザ端末200、購入者側ユーザ端末300、400、および500は、パソコン等の情報処理装置である。
【0021】
情報処理システム1000は、ある商品の販売を行う販売者により操作される販売者側ユーザ端末200、および、同商品の購入を希望する購入者により操作される
購入者側ユーザ端末
300、400、500を有し、同商品の売買の実施/不実施の管理(判定)を行う。
【0022】
管理装置100は、販売者側ユーザ端末200から送信される商品販売希望情報、および購入者側ユーザ端末300,400、および500から送信される複数の商品購入希望情報を受信し、受信された商品販売希望情報および商品購入希望情報に基づいて、複数の商品購入希望情報の少なくとも一部について、売買が実施されるべき商品購入希望情報とする判定処理を行う。管理装置100の構成および管理装置100において実行される処理については後述する。
【0023】
販売者側ユーザ端末200は、ある商品の販売を希望する販売者の操作に基づき、同商品の販売に関して販売者の販売希望条件を含む商品販売希望情報を取得し、ネットワーク900を介して管理装置100に送信する。
図2は、販売者側ユーザ端末200により送信される商品販売希望情報の一例を示す図である。商品販売希望情報は、商品のそれぞれについて、販売により得られる商品1個当たりの希望利益(粗利)を含む。
【0024】
購入者側ユーザ端末300,400、および500は、ある商品の購入を希望する購入者の操作に基づき、同商品の購入に関して購入者の購入希望条件を含む商品購入希望情報を取得し、ネットワーク900を介して管理装置100に送信する。
図3は、購入者側ユーザ端末300,400、および500により送信される商品購入希望情報の一例を示す図である。商品購入希望情報は、注文ID、購入を希望する商品の商品ID、商品1個当たりの希望価格、購入個数、購入者の住所(送付先)等を含む。
【0025】
次に、管理装置100の構成および動作について説明する。
図4は、本実施形態に係る管理装置100の構成を示す図である。管理装置100は、商品購入希望情報取得部110、商品販売希望情報取得部120、差分取得部130、判定部140、通信部150、必要経費情報記憶部160、差分情報記憶部170、および判定結果記憶部180を含む。さらに、判定部140は、加算部141、および加算結果判定部142を含む。商品購入希望情報取得部110、商品販売希望情報取得部120、差分取得部130、判定部140、および通信部150は、例えばCPUの一機能として実現され、必要経費情報記憶部160、差分情報記憶部170、および判定結果記憶部180はメモリー等の記憶素子により構成される。
【0026】
商品購入希望情報取得部110は、購入者側ユーザ端末300,400、および500から受信した商品購入希望情報に基づいて、商品1個当たりの購入希望額を示す情報を取得する。
【0027】
商品販売希望情報取得部120は、購入者側ユーザ端末300,400、および500から受信した複数の商品購入希望情報のそれぞれに対して、販売者側ユーザ端末200から受信した商品販売希望情報、および必要経費情報記憶部160に記憶される、商品の生産費、輸送費等の必要経費(販売に必要な経費)を示す必要経費情報等に基づいて、販売希望額を示す情報を取得する。販売希望額は、商品販売希望情報により示される希望利益(粗利)と、必要経費情報により示される必要経費と、の和として取得される。
【0028】
図5は、必要経費および販売希望額の一例を示す図である。必要経費を示す必要経費情報は、例えば販売者により、商品に関連づける形で予め設定され、必要経費情報記憶部160に記憶されている。なお、必要経費における発送費は、例えば販売者により、送付先の属性ごとに定められた費用が送付先費用情報として必要経費情報記憶部160に記憶され、購入者側ユーザ端末300,400、および500から送信される商品購入希望情報に含まれる購入者の住所を示す送付先情報を参照して決定される。この必要経費と、
図2に示す希望利益と、を加算することで、販売希望額が得られる。
【0029】
差分取得部130は、複数の商品
購入希望情報のそれぞれについて商品
購入希望情報取得部1
10により取得された
購入希望額から、商品
販売希望情報取得部1
20により取得される
販売希望額を減じた差分を取得する。
図6は、差分取得部130により取得される差分の一例を示す図である。例えば注文ID1により示される注文では、
図3に示されるとおり商品ID101で指定される商品を、1個1000円で、7個購入することを希望している。これに対し販売者による条件に基づいて決定される販売額は920円であるため、1個当たりの差分は80円、7個購入した場合の差分は560円となる。取得された差分を示す差分情報は、差分情報記憶部170に保存される。
【0030】
判定部140は、複数の商品
購入希望情報のそれぞれについて取得された差分に基づいて、複数の商品
購入希望情報の少なくとも一部であって、差分の総和が0以上となるような1又は複数の商品
購入希望情報を、売買が実行されるべき商品購入希望情報と判定する。より具体的には、判定部140の加算部141が、商品
購入希望情報のそれぞれについて取得された差分を、差分の大きい順に累積的に加算する加算処理を行って加算結果を順次取得する。そして、加算結果判定部142が、加算部141による加算処理において、0以上の加算結果に対し差分を加算することで0より小さい加算結果が得られた場合、該差分より前に加算された差分に対応する商品
購入希望情報の全てを、売買が実行されるべき商品購入希望情報と判定する。
【0031】
図7は、判定部140により実行される判定処理を示す図である。ここでは、差分の大きい順に行われる加算処理を示すために、注文を差分が大きい順に並び替えて、並び替えた後の順位を「優先順位」として示している。この並び替え処理は、差分取得部130により取得された差分を示す情報を格納するテーブルを差分情報記憶部170に保存したうえで、実際にテーブル上の配列の順序を入れ替える構成で実現されてもよいし、加算処理において何らかの方法で差分が大きい順に読み出される構成により実現されてもよい。
図7において、上から順(差分が大きい順)に加算処理を行ったところ、0以上の加算結果(440)に、注文ID6で示される注文の差分(−720)を加算したことで、0より小さい加算結果(−280)が得られているため、該差分より前に加算された、注文ID1,5,4,3,2で示される注文が、売買が実行されるべき注文(商品購入希望情報)と判定される。ここでは、売買が実行されるべきと判定された注文を「○」、売買が実行されるべきでないと判定された注文を「×」で示す。
【0032】
判定部140による判定結果を示す情報は判定結果記憶部180に保存され、情報処理システム1000における判定処理は終了する。判定結果記憶部180に保存された判定結果は、販売者側ユーザ端末200、購入者側ユーザ端末300、400、および500におけるユーザの操作に基づいて、適宜通信部を介して送信され、各ユーザにより参照される。
【0033】
次に、本実施形態に係る情報処理システム1000における判定処理を、フローチャートを用いて説明する。
図8は、本実施形態に係る情報処理システム1000における判定処理を示すフローチャートである。
【0034】
まず、管理装置100の商品購入希望情報取得部110は、購入者側ユーザ端末300,400、および500から受信された商品購入希望情報を取得し(S801)、取得された商品購入希望情報に基づいて購入希望額を取得する。
【0035】
次に、管理装置100の商品販売希望情報取得部120は、販売者側ユーザ端末200から受信された商品販売希望情報を取得し(S802)、取得された商品販売希望情報、必要経費情報、および商品購入希望情報に基づいて販売希望額を取得する。
【0036】
次に、管理装置100の差分取得部130は、商品
購入希望情報のそれぞれについて、
購入希望額から
販売希望額を減じた差分を取得し(S803)、取得された差分を差分情
報記憶部170にテーブル形式で保存する。
【0037】
次に、管理装置100の判定部140は、差分情報記憶部170にテーブル形式で記憶された差分を、
図7に示したように、差分が大きい順にソートする(S804)。
【0038】
そして判定部140は、加算結果を0に初期化し(S805)、判定部140の加算部141は、未加算の差分のうちテーブルにおいて最上の差分(すなわちテーブルで最上のもの)を加算結果に加算する(S806)。判定部140の加算結果判定部142は、加算結果が0より小さいか判定し(S807)、加算結果が0より小さければ最後に加算したものより前に加算された差分に対応する商品購入希望情報の全てを売買が実行されるべき商品購入希望情報と判定し(S808)、管理装置100における判定処理は終了する。なお、ここでは加算した差分が最初のものである(当該差分より前に加算した差分がない)ため、該当する
商品購入希望情報は「無し」と判定されることになる。
【0039】
一方、S807において加算結果が0以上であった場合、判定部140は、加算部141において全ての商品購入希望情報の差分について加算処理が行われたか判定し(S809)、まだ加算されていない差分がある場合には、処理はS806に戻る。一方、全ての差分について加算されている場合には、判定部140は全ての商品購入希望情報について売買が実行されるべき販売希望情報であると判定して(S810)、管理装置100における判定処理は終了する。
【0040】
以上の構成により、商品の購入希望価格と、該商品の販売希望価格と、に基づいて、売買が実行されるべき商品購入希望情報を判定する情報処理システム1000が実現される。
【0041】
本実施形態に係る構成による効果について説明する。
図9は、本実施形態に係る構成による効果を示す図である。ここでは、これまで述べた条件に対する判定結果を示している。上述のとおり、本実施形態に係る構成では、注文ID1,5,4,3,2(1,2,3,4,5)について売買が実行されるべき注文との判定がなされる。これに対し、例えば差分が正である(購入者により示される希望購入額が、販売者の条件に基づく価格より高い)注文のみを売買が実行されるべき注文と判定する従来の構成では、注文ID1,4,5が、売買が実行されるべきと判定される。
【0042】
これらのそれぞれの結果について、最終的に得られる利潤額(購買側希望価格から関連コストを除算した差)の合計を算出する。例えば注文ID1で示される注文では、購買側希望価格は1000円、関連コストは420円、販売個数は7個であることから、利潤は(1000−420)×7=4060円となる。こうして得られる全体の利潤が、従来の構成では12660円であるのに対し、本実施形態に係る構成で得られる利潤は18440円となり、本実施形態に係る構成に係る構成の方が多額の利潤が得られることが分かる。
【0043】
これは、従来の構成が利益率の高さを重視して判定を行っているのに対し、本実施形態に係る構成では実際の利潤額の多さを重視して判定を行っていることに起因している。本実施形態に係る構成を採ることにより、上述のとおり従来の構成よりも高い利潤額が得られ、さらには売買が実行される注文が増えることで、顧客の増加等、ビジネスチャンスが増えることも期待される。
【0044】
なお、上記の実施形態では互いにネットワーク900を介して接続される管理装置100、販売者側ユーザ端末200、および購入者側ユーザ端末300,400、および500からなる情報処理システム1000の構成が示されたが、本発明はシステムとして上述の処理を行う構成を備えていればよく、例えば全ての処理が1つの装置で実行される構成や、管理装置100において行われる処理の一部が他の装置に切り出された構成としてもよい。
【0045】
また、上記の実施形態では取得される商品購入希望情報の全てについて判定部140における判定処理の対象とする構成としたが本発明はこれに限定されず、例えば差分取得部130において差分が取得された段階で、取得された差分が0以下の値もしくは負の値である商品購入希望情報は判定処理の対象外とする構成としてもよい。この構成によれば、利潤額の増加への貢献が期待できない商品購入希望情報が、売買が実行されるべきと判定されることが回避されるとともに、以降の処理の処理負荷が軽減される。
【0046】
また、各商品購入希望情報について購入者のIDをさらに取得し、同一IDに関連づけられた(同一購入者による)商品購入希望情報は1つの商品購入希望情報にまとめて判定対象とする構成としてもよい。この構成によれば、同一購入者による商品購入希望情報において売買が実行されるべきと判定されるものと、売買が実行されるべきでないと判定されるものと、が混在しなくなり、部分的に再度申し込むといった購入者の負担の増加を回避される。
【0047】
また、上記の実施形態では1つの販売者側ユーザ端末200が設けられ、単一の商品販売希望情報が取得される構成が開示されたが、例えば販売者側ユーザ端末200が複数設けられ、複数の販売者によって複数の商品販売希望情報が入力され、それぞれについて判定が行われる構成としてもよいし、さらに、同一商品については、より低価格で販売する販売者による商品販売希望情報を優先的に選択する構成としてもよい。
【0048】
なお、ここで述べた管理装置100、販売者側ユーザ端末200、購入者側ユーザ端末300,400、および500の動作は、それぞれに設けられる記憶部(図示しない)に記憶されるプログラムを動作させることで実現される。このプログラムは通信によって提供されてもよいし、コンピュータによる読み取りが可能な、CD−ROM等の記憶媒体に格納されて提供されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
100 管理装置、110 商品購入希望情報取得部、120 商品販売希望情報取得部、130 差分取得部、140 判定部、141 加算部、142 加算結果判定部、150 通信部、160 必要経費情報記憶部、170 差分情報記憶部、180 判定結果記憶部、200 販売者側ユーザ端末、300,400,500 購入者側ユーザ端末、900 ネットワーク、1000 情報処理システム。