特許第5998766号(P5998766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5998766
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】通信方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/07 20060101AFI20160915BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   G06K19/07 230
   G06K19/077 184
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-194851(P2012-194851)
(22)【出願日】2012年9月5日
(65)【公開番号】特開2014-52693(P2014-52693A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 燃
(72)【発明者】
【氏名】横山 貴一
【審査官】 福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−211381(JP,A)
【文献】 特開2007−156798(JP,A)
【文献】 特開2011−221838(JP,A)
【文献】 特開2014−016775(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0302875(US,A1)
【文献】 特開2001−143025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも近距離無線通信用のアンテナを有する読み取り器によりICチップを有し接触端子を備えた情報媒体を読取る通信方法であって、
該読み取り器がスマートフォン又はハンディターミナルであり、
スマートフォンカバー又はハンディターミナルカバーからなる接触端子及び近距離無線通信用のアンテナを有する通信補助部材とを用い、
該通信補助部材の接触端子と該情報媒体の接触端子を接続させ、
かつ該読み取り器のアンテナと通信補助部材のアンテナとを送受信可能な位置関係に配置させ、
読み取り器で通信補助部材を介して情報媒体のICチップから情報の読み取りを行う通信方法。
【請求項2】
前記通信補助部材が、アンテナと接触端子との間を接続する導体を備えていることを特徴とする請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
前記通信補助部材の接触端子がプローブ形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の通信方法。
【請求項4】
前記通信補助部材の接触端子が着脱可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触通信機能を有する装置を用いてIC(集積回路)チップに記憶された情報を読取り等を行う通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近距離無線通信(以下、非接触通信ともいう)が可能な装置は、NFC(near field communication)/FeliCa(登録商標)等の機能を使用した非接触ICカードやRFID(Radio Frequency Identification)等と、近距離(周波数帯によって数cm〜数m)の無線通信によって情報をやりとりする。
【0003】
ここで、非接触ICカードやRFIDタグは、基材上にワイヤコイルからなるアンテナと、そのワイヤコイルに接続されたICチップを備えた非接触通信媒体である。また、その非接触通信媒体は、ICチップ接続部およびワイヤコイル接続部が形成された導電層パターンを備えて構成される(特許文献1参照)。
【0004】
非接触通信媒体からアンテナを取り外して使用する場合には、前記読み取り器で読み取ることはできない。この場合には、非接触通信可能なICチップに接触通信用の接触端子を設け、そのICチップ側の接触端子に有線式の専用読み取り装置を用いてICチップの情報を読み取るようにした技術もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−103830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された非接触式で通信を行うICチップに対し、より小型化およびコストダウンが可能な有線通信も手軽に行いたいという要望がある。一方、必ずしも小型化およびコストダウンする目的ではないが、適宜非接触方式と、有線通信を区別して用いる場合がある。例えば、大量生産する製品に対し、製造工程および流通過程では、非接触通信用のアンテナを用いて非接触方式により、個別のIDに基づく品質管理を効率よく行い、販売後には、非接触通信用のアンテナを用いずに、有線通信により履歴管理を行う場合がある。そのような場合に用いる接触式の情報通信装置が望まれていたが、あまり手軽なものではなく、もっと手軽な有線通信手段が望まれている。
【0007】
以上のような既存技術に対する新たな要望を鑑みて、本発明では、アンテナを用いて無線通信を行う機能を有するICチップに対し、有線通信を手軽に行えるような通信方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも近距離無線通信用のアンテナを有する読み取り器によりICチップを有する情報媒体を読取る通信方法であって、接触端子及び近距離無線通信用のアンテナを有する通信補助部材とを用い、該通信補助部材の接触端子と該情報媒体のICチップを電気的に接続させ、かつ該読み取り器のアンテナと通信補助部材のアンテナとを送受信可能な位置関係に配置させ、読み取り器で通信補助部材を介して情報媒体のICチップから情報の読み取りを行う通信方法とする。
【0009】
また、通信補助部材が、アンテナと接触端子との間を接続する導体を備えていることを特徴とする。
【0010】
また、通信補助部材の接触端子がプローブ形状であることを特徴とする。
【0011】
また、通信補助部材の接触端子が着脱可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によればアンテナを用いて無線通信を行う機能を有するICチップに対し、有線通信を手軽に行えるような通信方法を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の通信方法の概略を示す説明図である。
図2】本発明の通信方法の概略を示す説明図である。
図3】本発明の通信方法に用いる通信補助部材の一例を示す説明図である。
図4】本発明の通信方法に用いる通信補助部材の一例を示す断面説明図である。
図5】本発明の通信方法に用いる通信補助部材の一例を示す説明図である。
図6】本発明の通信方法に用いる通信補助部材の一例を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について、図を用いて説明する。図1は本発明の通信方法の実施形態に係る概略回路図である。図1に示す通信補助部材20は、近距離無線通信が可能な読み取り器30に取付け又は近接させて用いる。
【0015】
通信補助部材20は、チップ側接触端子B1,B2に電気的接続が可能なアダプタ側接触端子C1,C2と、その通信補助部材側接触端子C1,C2に、導体25,26で接続されたアンテナ22と、を備えて構成されている。近距離無線通信が可能な読み取り器30は、読み取り機能を有するRFIDリーダまたはNFCデバイス等のリーダー機能を有するICデバイス(以下、単にRFIDリーダという)であり、ICチップ31とICチップに接続されたアンテナ32と、を備え、情報媒体10と非接触通信が可能である。
【0016】
なお、本明細書において、「非接触通信」とは、通信区間がわずかに離間しても通信可能である通信方式を意味する。したがって、必ずしも「非接触」に限定するものではなく、いわゆる「タッチ(接触)」状態での通信が可能であるものも含まれる。
【0017】
情報媒体10は、ICチップ11と、そのICチップ11に接続されたチップ側接触端子B1,B2と、を備えて構成されている。ICチップ11は、情報記憶可能な集積回路である。また、チップ側接触端子B1,B2に、アンテナを接続することにより、近距離通信が可能になる。
情報媒体10は、チップ回路M1を有するICチップ上に設けられたチップ端子(バンプ)A1、A2をチップ側接触端子B1,B2とするベアICチップを用いてもよいし、チップ側接触端子B1,B2を有する配線基板上にICチップを設け、チップ端子(バンプ)A1、A2を介してチップ側接触端子B1,B2とチップ回路M1が接続されてなるICモジュールを用いても良い。
【0018】
RFIDリーダは、ICチップ11に対して、データ読み取り開始するためのアクティブな動作をする。例えば、電源の備えが無いICチップ11に、少なくとも電源を提供することが可能で、データ読み取り開始する信号を含む電磁波を送信する。それに対応して、ICチップ11は、RFIDリーダに対して、パッシブな動作により、読み取らせるデータを送信する。
【0019】
図2は、本発明の通信方法の一例を示す説明図である。図2に示すように、通信補助部材20は、近距離無線通信が可能な読み取り器30と通信可能な位置に配置して用いる。
読み取り器30には、一例として、タブレット端末、またはその一種とも考えられるスマートフォンを用いても良い。タブレット端末とは、板状の筐体にコンピュータ本体としての処理機能と、入力装置としてのタッチパネルおよび幾つかのボタン、表示装置としてのディスプレイやスピーカー等を備えた製品である。また、スマートフォンは、多機能携帯電話を意味し、携帯電話とパソコン・PDA(携帯情報端末)との機能を組み合わせたものであり、タッチパネル式の端末が多い。
【0020】
また、読み取り器30は、後述するNFC/FeliCa(登録商標)の機能が搭載されている。なお、NFC/FeliCa(登録商標)の機能を搭載した機種であれば、近距離無線通信が可能な読み取り器30は、読み取り器に限らず、従来の携帯電話機でも構わない。なお、近距離無線通信が可能な読み取り器30は、携帯電話機に限らず、ハンディターミナルであっても良い。さらに、近距離無線通信が可能な読み取り器30は、非接触式ICカードリーダであっても良い。
【0021】
なお、ハンディターミナルは、宅配便等特定の業務において普及している堅牢性と安定性に優れたデータ収集用端末であり、本実施形態を利用できる機会が多い。このハンディターミナルは、データ収集端末ということに特化しており、単純な機能や操作によって確実な作業が行える。塵や埃をはじめ、悪天候時や油等を使用するような環境での運用を考慮した耐環境性と、操作中に誤って落とすことを考慮した耐衝撃性と、を備えている。ハンディターミナルは、機種にもよるが、概ね以下のような基本機能を有する。
・バーコードやRFID等のスキャニング
・キー入力
・画面表示
・音とバイブレーション
・ファイル入出力
・パソコンとのファイル送受信
【0022】
通信補助部材20は、少なくとも近距離無線通信用のアンテナとアンテナに接続されICチップと電気的に接続するための接触端子を有する。
通信補助部材側接触端子C1,C2は、情報媒体10のICチップの接続端子B1、B2の位置、形状に合わせて様々な形状をとることができる。
【0023】
一例として、図3、4に示すような、基材21上にループ状のアンテナ22を配置し、そのアンテナ22の両端に通信補助部材側接触端子C1,C2が接続されているものが挙げられる。
この時、通信補助部材側接触端子C1,C2が露出するように保護層23を設けることができる。
【0024】
また、図2、3、6に示すように、アンテナ22と通信補助部材側接触端子C1,C2は導体(ケーブル)25,26を介して接続されていてもよい。導体25,26が、着脱自在に接続されるように構成されたコネクタ24を備えることもできる。
コネクタ24に接続された導体25,26の先にはプローブ27が設けられ、そのプローブ27には通信補助部材側接触端子C1,C2が接続されている。通信補助部材側接触端子C1,C2の間隔は、チップ側接触端子B1,B2の間隔に適合し、確実な電気的接触が得られるように構成されている。
また、通信補助部材側アンテナ22と、アダプタ側の接触端子C1,C2と、の間は、導体(ケーブル)25,26により接続されている。このため、通信補助部材側の接触端子C1,C2に、チップ側接触端子B1,B2が接触するところと、読み取り器30とを、導体25,26の分だけ離すことができるので、特に狭隘な場所における使い勝手が良好である。
【0025】
コネクタ24からプローブ27までの形状は、いかようにも変形して対応することが可能である。例えば、プラグ・ジャックやコネクタ等を介在させてコネクタ28と着脱可能に構成しても構わない。通信補助部材側端子C1,C2は、接触面が平面としてもよいし、棒状のプローブで構成してもよい。これらは一例に過ぎず、用途に応じて適宜変形して実施すればよい。
【0026】
また、コネクタは着脱可能としてもよい。
また、着脱可能なコネクタにプローブを介さず直接接触端子C1,C2を設けてもよい。
【0027】
通信補助部材20は、用途に応じて様々な形態をとることができる。
例えば読み取り器30としてスマートフォンやハンディターミナルを用いる場合はスマートフォンカバーやハンディターミナルカバーとして用いることができる。
スマートフォンカバーやハンディターミナルカバーに用いるカバーは、読み取り器30の形状ごとに、その外形に沿って緊密に嵌め合わせられる形状であり、読み取り器30の画面、操作部、コネクタ等の機能部を露出するように切欠き窓や穴が設けられている。そのカバーは、ユーザが工具等を用いることなく読み取り器30に対して容易に着脱自在であり、全体的な装飾、すべり止め、落下対策としての緩衝カバー等の機能を考慮され、形成されていることが好ましい。なお、一例に挙げたように、読み取り器30がスマートフォンであれば、カバーは、スマートフォンカバーが適する。
カバー形状にする場合、スマートフォンやハンディターミナル等の読み取り器30の保持部材として機能させることもできる。
また、通信補助部材20は、情報媒体10に取り付けるアダプタとしてもよい。
【0028】
通信補助部材20のアンテナ22と、読み取り器30の非接触通信用のアンテナ33とは概ね同一である。これらは、13〜14MHzの周波数を送受信するために最適な形状である点で共通している。そして、アンテナ22と、アンテナ32との間の至近距離を無線通信することができるように構成されている。
なお、通信補助部材20のアンテナ22と、読み取り器30の非接触通信用のアンテナ32は、面積が±10%以内となるようなサイズで同様の形状であることが好ましい。また、アンテナ22とアンテナ32は少なくとも80%以上重なるような位置関係で近接配置させて送受信することが好ましい。
【0029】
そして、通信補助部材20を読み取り器30に嵌め合わせ、情報媒体10に対し、接触式により読み取り動作を行う場合、読み取り器30に、予めダウンロードしておいた専用アプリ等を実行し、読み取り開始トリガーとして、ポーリング読み取り状態で、端子を接触させても良い。あるいは、接触後に、読み取り器30のキー入力等により、読み取りを開始させるようにしても良い。
【0030】
なお、これまで情報媒体のICチップの情報を読取る方法について説明したが、情報媒体のICチップに情報を書き込むことも可能である。
【符号の説明】
【0031】
10・・・・情報媒体
11・・・・ICチップ
20・・・・通信補助部材
21・・・・基材
22・・・・アンテナ
23・・・・保護層
24・・・・コネクタ
25・・・・導体
26・・・・導体
27・・・・プローブ
30・・・・読み取り器
31・・・・ICチップ
32・・・・アンテナ
A1・・・・チップ端子
A2・・・・チップ端子
B1・・・・接触端子
B2・・・・接触端子
C1・・・・接触端子
C2・・・・接触端子
M1・・・・チップ回路部
図1
図2
図3
図4
図6
図5