特許第5998797号(P5998797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5998797
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20160915BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   G03G21/16 133
   G03G21/16 171
   G03G21/18 121
   G03G21/18 167
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-211682(P2012-211682)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-66840(P2014-66840A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】森 照吾
【審査官】 野口 聖彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−254328(JP,A)
【文献】 特開平10−149080(JP,A)
【文献】 特開2012−3143(JP,A)
【文献】 特開2012−145883(JP,A)
【文献】 特開2009−157001(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0162091(US,A1)
【文献】 実開平4−99397(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 21/18
B41J 29/00
B41J 2/447
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する装置本体と、前記開口を開閉するため前記装置本体に対して変位可能に設けられたカバーと、前記カバーが開いた状態で前記開口を通して前記装置本体に着脱可能に装着されるカートリッジと、を備えた画像形成装置であって、
前記装置本体は、前記カートリッジが当接したときに前記装置本体に対する前記カートリッジの位置を決める位置決め部を有し、
前記カートリッジは、前記装置本体に装着されたときに前記装置本体に設けられた本体側接地部材を介して接地される導電部材を有し、
前記カバーは、金属製の補強板と、当該補強板に設けられ、前記カバーを閉じたときに前記導電部材に当接して前記カートリッジを前記位置決め部に向けて押圧するように構成された導電性を有する押圧部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カートリッジは、感光体ドラムと、前記感光体ドラムを回転可能に支持するフレームと、を有し、
前記導電部材は、金属製であり、前記感光体ドラムの回転軸方向に延びて前記フレームを補強するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記導電部材は、前記カートリッジが前記装置本体に装着されたときに前記本体側接地部材に直接接触するように構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カートリッジは、前記カートリッジが前記装置本体に装着されたときに前記導電部材と前記本体側接地部材とを電気的に接続する導通部材を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カートリッジは、前記感光体ドラム、前記フレームおよび前記導電部材を有する感光体ユニットと、前記感光体ドラムに接触して現像剤を供給するように構成された現像ローラを有する現像ユニットと、を備え、
前記現像ユニットは、前記フレームに対して変位可能に構成され、
前記感光体ユニットは、前記現像ユニットを押圧することで、前記現像ローラを前記感光体ドラムに接触させるように構成された押圧機構を有し、
前記押圧部は、前記カバーを閉じたときに前記導電部材に当接して前記感光体ユニットを前記位置決め部に向けて押圧するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像ユニットは、前記フレームに対して着脱可能に構成されたことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記押圧部は、前記補強板に一体に形成されたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体の開口を開閉するためのカバーと、カバーが開いた状態で開口を通して装置本体に着脱可能に装着されるカートリッジとを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レーザプリンタなどの画像形成装置として、開口を有する装置本体と、開口を開閉するためのカバーと、カバーが開いた状態で開口を通して装置本体に着脱可能に装着されるカートリッジとを備えたものが知られている。特許文献1には、カバーに押圧バネが設けられ、カバーを閉じたときに押圧バネがカートリッジを押圧することで感光体ドラムの軸を装置本体設けられた位置決め部に向けて押圧するように構成された画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−36896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された画像形成装置のカバーに補強用の板金を設けた場合、板金からのノイズの発生などを抑制するために板金を接地する必要があるが、押圧バネなどを有するカバーに、さらに板金を接地するための部品を設けると部品点数が増加するという問題が生じる。部品点数が増加すると、それらを収容するためのスペースが必要になるため、装置の小型化が難しくなる。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、部品点数を削減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、開口を有する装置本体と、開口を開閉するため装置本体に対して変位可能に設けられたカバーと、カバーが開いた状態で開口を通して装置本体に着脱可能に装着されるカートリッジとを備える。
装置本体は、カートリッジが当接したときに装置本体に対するカートリッジの位置を決める位置決め部を有する。
カートリッジは、装置本体に装着されたときに装置本体に設けられた本体側接地部材を介して接地される導電部材を有する。
カバーは、金属製の補強板と、当該補強板に設けられ、カバーを閉じたときに導電部材に当接してカートリッジを位置決め部に向けて押圧するように構成された導電性を有する押圧部とを有する。
【0007】
このような構成によれば、押圧部により、補強板を接地することができるとともに、カートリッジを位置決めすることができるので、補強板を接地する部品とカートリッジを位置決め部に向けて押圧する部品を別に設ける構成と比較して、部品点数を削減することができる。また、これにより、装置の小型化を図ることも可能となる。
【0008】
前記した画像形成装置において、カートリッジは、感光体ドラムと、感光体ドラムを回転可能に支持するフレームとを有し、導電部材は、金属製であり、感光体ドラムの回転軸方向に延びてフレームを補強するように構成することができる。
【0009】
これによれば、フレームを補強する部品を接地用の部品とは別に設ける構成と比較して、部品点数を削減することができる。
【0010】
前記した画像形成装置において、導電部材は、カートリッジが装置本体に装着されたときに本体側接地部材に直接接触するように構成することができる。
【0011】
これによれば、導電部材と本体側接地部材との間に別の導通部品を介さないので、部品点数を削減することができる。
【0012】
前記した画像形成装置において、カートリッジは、当該カートリッジが装置本体に装着されたときに導電部材と本体側接地部材とを電気的に接続する導通部材を有する構成とすることもできる。
【0013】
これによれば、導電部材と本体側接地部材とをずらして配置することが可能となるので、導電部材や本体側接地部材の配置の自由度を向上させることができる。これにより、装置の設計自由度を向上させることが可能となる。
【0014】
前記した画像形成装置において、カートリッジは、感光体ドラム、フレームおよび導電部材を有する感光体ユニットと、感光体ドラムに接触して現像剤を供給するように構成された現像ローラを有する現像ユニットとを備える構成とすることができる。
この場合、現像ユニットは、フレームに対して変位可能に構成され、感光体ユニットは、現像ユニットを押圧することで、現像ローラを感光体ドラムに接触させるように構成された押圧機構を有し、押圧部は、カバーを閉じたときに導電部材に当接して感光体ユニットを位置決め部に向けて押圧するように構成することができる。
【0015】
これによれば、押圧部により導電部材を介して感光体ユニットが押圧される、言い換えれば、押圧部により現像ユニットは押圧されないので、押圧部の押圧力が押圧機構の押圧に影響を与えず、押圧機構により現像ローラを感光体ドラムに対して適切な接触圧で接触させることができる。これにより、現像ローラから感光体ドラムへ現像剤を良好に供給することができるので、画質の低下を抑制することができる。
【0016】
前記した画像形成装置において、現像ユニットは、フレームに対して着脱可能に構成することができる。
【0017】
これによれば、感光体ユニットのみの交換や現像ユニットのみの交換が可能となるので、カートリッジ全体を交換する構成と比較して、消耗品にかかるコストを抑制することができるとともに、環境負荷を低減することができる。
【0018】
前記した画像形成装置において、押圧部は、補強板に一体に形成された構成することができる。
【0019】
これによれば、補強板と押圧部を別部品として設ける構成と比較して、部品点数を削減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、押圧部により、補強板を接地することができるとともに、カートリッジを位置決めすることができるので、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラープリンタの概略構成を示す図である。
図2】トップカバーを開いた状態のカラープリンタを示す図である。
図3】補強板とプロセスカートリッジの斜視図(a)と、(a)のB−B断面図(b)である。
図4】プロセスカートリッジとその周辺の構成を示す拡大断面図である。
図5】プロセスカートリッジの構成を示す斜視図である。
図6】補強板が接地された状態を示す図である。
図7】変形例に係るプロセスカートリッジの構成を示す斜視図(a)と、補強板が接地された状態を示す図(b)である。
図8】他の変形例に係るプロセスカートリッジの構成を示す斜視図であり、補強部材を取り付ける前の状態を示す図(a)と、補強部材を取り付けた後の状態を示す図(b)である。
図9】変形例に係る押圧部の構成を示す図であり、補強板に板バネを取り付ける前の状態を示す図(a)と、補強板に板バネを取り付けた後の状態を示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1の概略構成を簡単に説明し、その後、本発明の特徴部分に係るカラープリンタ1の詳細な構成について説明する。また、以下の説明において、方向は、カラープリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、手前側を「右」、奥側を「左」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0023】
<カラープリンタの概略構成>
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体の一例としての本体筐体10と、カバーの一例としてのトップカバー20と、給紙部30と、画像形成部40とを主に備えている。
【0024】
トップカバー20は、本体筐体10の上部に設けられた開口11(図2参照)を開閉するためのカバーであり、本体筐体10の上部に配置され、本体筐体10に対して変位可能、具体的には後側の回動軸12を中心として本体筐体10に対して回動可能に設けられている。これにより、トップカバー20は、図1に示す開口11を覆って閉じる位置と、図2に示す開口11を露出させる位置との間で回動可能となっている。
【0025】
図1に戻り、給紙部30は、本体筐体10内の下部に設けられ、用紙Sを収容する給紙トレイ31と、給紙トレイ31から用紙Sを画像形成部40に供給する給紙機構32とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Sは、給紙機構32によって1枚ずつ分離されて画像形成部40に供給される。
【0026】
画像形成部40は、給紙トレイ31の上方に設けられ、カートリッジの一例としてのプロセスカートリッジ50と、LEDユニット60と、転写ユニット70と、定着ユニット80とを主に備えて構成されている。
【0027】
プロセスカートリッジ50は、4つ設けられており、トップカバー20と給紙トレイ31の間で前後方向に並んで配置されている。このプロセスカートリッジ50は、図2に示すように、トップカバー20が開いた状態で開口11を通して本体筐体10に対して着脱可能に装着されるように構成されている。各プロセスカートリッジ50は、感光体ドラム51や帯電器52などを有する感光体ユニット50Aと、感光体ドラム51に接触して現像剤の一例としてのトナーを供給するように構成された現像ローラ53などを有する現像ユニット50Bとを備えて構成されている。
【0028】
LEDユニット60は、4つ設けられており、保持部14を介してトップカバー20に揺動可能に支持され、トップカバー20が開かれたときには感光体ドラム51から離間し、図1に示すように、トップカバー20が閉じられたときにはその下端部が感光体ドラム51の上部に対向配置するように設けられている。このLEDユニット60は、画像データに基づいて下端部に設けられた図示しない複数のLED(発光ダイオード)が明滅することで、感光体ドラム51の表面を露光するように構成されている。
【0029】
転写ユニット70は、給紙トレイ31とプロセスカートリッジ50の間に設けられ、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを主に備えている。搬送ベルト73は、駆動ローラ71と従動ローラ72の間に張設された無端状のベルトであり、外側の面が感光体ドラム51に対向配置され、その内側には転写ローラ74が対応する感光体ドラム51との間で搬送ベルト73を挟持するように配置されている。
【0030】
定着ユニット80は、プロセスカートリッジ50および転写ユニット70の後方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを主に備えている。
【0031】
画像形成部40では、感光体ドラム51の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、LEDユニット60によって露光されることで、感光体ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム51に現像ユニット50Bの現像ローラ53からトナーが供給されることで、静電潜像が可視像化されて感光体ドラム51上にトナー像が形成される。その後、給紙部30から搬送された用紙Sが、感光体ドラム51と搬送ベルト73の間を搬送されることで、感光体ドラム51上に形成されたトナー像が用紙S上に転写される。トナー像が転写された用紙Sは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間を搬送されることでトナー像が熱定着された後、搬送ローラ92によって排紙トレイ13上に排出される。
【0032】
<カラープリンタの詳細構成>
次に、発明の特徴部分に係るカラープリンタ1の詳細な構成、具体的にはトップカバー20、プロセスカートリッジ50および本体筐体10の詳細な構成について説明する。
【0033】
[トップカバーの構成]
図1に示すように、トップカバー20は、トップカバー20の外装を構成する樹脂製のカバー本体210と、金属製の補強板220とを主に有している。
カバー本体210には、排紙トレイ13や、LEDユニット60を支持するための保持部14などが設けられている。
【0034】
図3(a)に示すように、補強板220は、板金をプレス加工するなどして形成されており、トップカバー20が閉じられたときに本体筐体10に装着されたプロセスカートリッジ50に上から対面するようにカバー本体210の内側に固定されている。この補強板220には、本体筐体10に装着された各プロセスカートリッジ50の上端部の左右両側と対面する位置に1箇所ずつ、合計8つの押圧部230が設けられている。
【0035】
図3(b)に拡大して示すように、押圧部230は、補強板220の一部を前斜め下方に向けるように切り起こした後、端部をヘミング曲げすることで、補強板220に一体に形成されている。この押圧部230は、実線で示す状態と二点鎖線で示す状態との間で弾性変形することで、板バネとして機能するように構成されている。
【0036】
[プロセスカートリッジの構成]
図4に示すように、プロセスカートリッジ50は、前記したとおり、感光体ユニット50Aと、現像ユニット50Bとを備えて構成されている。
【0037】
感光体ユニット50Aは、感光体ドラム51や帯電器52のほか、さらに、フレームの一例としての感光体フレーム510と、押圧機構520と、導電部材の一例としての補強ロッド530と、導通部材の一例としての導通板540(図5参照)とを有している。また、現像ユニット50Bは、現像ローラ53のほか、さらに、現像ローラ53にトナーを供給するための供給ローラ54と、現像ローラ53に担持されたトナーの厚さを規制するための層厚規制ブレード55と、トナーを収容可能に構成されたトナー収容部56と、現像ローラ53や供給ローラ54を回転可能に支持するとともにトナー収容部56を形成する現像フレーム57とを主に有している。
【0038】
感光体フレーム510は、帯電器52を含む感光体ユニット50Aのフレームを構成する部材であり、感光体ドラム51を回転可能に支持している。この感光体フレーム510は、当該感光体フレーム510に対して現像ユニット50Bが変位可能、具体的には着脱可能に装着されるように構成されている。
【0039】
押圧機構520は、感光体フレーム510に装着された現像ユニット50Bを感光体ドラム51に向けて押圧することで、現像ローラ53を感光体ドラム51に接触させるように構成された機構であり、感光体フレーム510の上端部で左右方向に所定の間隔をあけて2つ(図4では一方のみ図示)設けられている。この押圧機構520は、一例として、感光体フレーム510に対して揺動可能に支持された押圧部材521と、押圧部材521に対し現像ユニット50Bを押圧するための付勢力を付与するコイルバネ522とから主に構成されている。なお、押圧部材521に付勢力を付与する付勢部材は、コイルバネ522に限定されず、例えば、トーションバネや板バネ、発泡弾性体などであってもよい。
【0040】
補強ロッド530は、感光体フレーム510を補強するための部材であり、剛性の高い金属から中空の棒状に形成されている。図5に示すように、補強ロッド530は、感光体フレーム510の左右の側壁511,512をつなぐように、感光体ドラム51の回転軸方向である左右方向に延びて感光体フレーム510の上端部に支持され、これによって、感光体フレーム510を補強するように構成されている。
【0041】
補強ロッド530の左右両端部は、感光体フレーム510の上端部の左右両側に1箇所ずつ形成された切欠部513によって、上方から見て臨めるように露出している。各切欠部513は、その左右の幅が、トップカバー20の補強板220に設けられた押圧部230の左右の幅よりも大きく形成されており、トップカバー20を閉じたときに対応する押圧部230が入り込み可能となっている。このような構成により、トップカバー20を閉じたときには、押圧部230が補強ロッド530の端部に当接して、補強板220と補強ロッド530とが電気的に接続されることとなる(図4参照。一方のみ図示)。
【0042】
導通板540は、プロセスカートリッジ50が本体筐体10に装着されたときに補強ロッド530と本体筐体10に設けられた後述するアース電極120(図6参照)とを電気的に接続する部材であり、感光体フレーム510の右側壁511に倣って金属板を折り曲げることにより形成されている。この導通板540は、貫通孔が形成された固定部541と、固定部541の上部に設けられたロッド接点部542と、固定部541の下部に設けられた本体側接点部543とを一体に有している。
【0043】
導通板540は、ネジ58によって固定部541が右側壁511の上端部に固定されることで、ロッド接点部542の左右方向内側の面が補強ロッド530の右端縁531に当接して補強ロッド530と電気的に接続されている。そして、後述するように、プロセスカートリッジ50が本体筐体10に装着されたとき、本体側接点部543の左右方向外側の面が本体筐体10のアース電極120に当接することで、導通板540を介して補強ロッド530とアース電極120が電気的に接続されることとなる(図6参照)。
【0044】
[本体筐体の構成]
図2に示すように、本体筐体10は、左右の側壁内面に形成された装着ガイド110と、図示しない右側壁の内面に形成された本体側接地部材の一例としてのアース電極120とを有している。
【0045】
装着ガイド110は、プロセスカートリッジ50を本体筐体10に装着する際のガイドであり、各プロセスカートリッジ50が装着される位置の左右両側に略左右対称に形成されている(図2では1箇所のみ図示)。この装着ガイド110は、上部が開口した側面視略U字形状に形成されており、その下端部が位置決め部111となっている。
【0046】
図5に示すように、感光体フレーム510の下端部の左右両側(一方のみ図示)には、左右方向外側に向けて突出する略円筒状の被ガイド部514が形成されており、装着ガイド110は、この被ガイド部514をガイドするように設けられている。そして、図4に示すように、位置決め部111は、装着ガイド110に沿って本体筐体10に装着されたプロセスカートリッジ50の被ガイド部514が当接したときに本体筐体10に対するプロセスカートリッジ50の位置を決めるように構成されている。
【0047】
図6に示すように、アース電極120は、プロセスカートリッジ50が本体筐体10に装着されたときにプロセスカートリッジ50の導通板540と電気的に接続される部材であり、一例として、コイルバネ部121と、コイルバネ部121の左端に形成された略円環状の接点部122とを有して構成されている。
【0048】
本体筐体10の右側壁130には、左右方向に貫通する孔状の電極保持部131が形成されており、接点部122は、その左端部が右側壁130から突出するように電極保持部131に保持され、電極保持部131の内周面に沿って左右方向に移動可能となっている。この接点部122は、バネ性を有するコイルバネ部121により、本体筐体10に装着されたプロセスカートリッジ50の導通板540に対して弾性的に当接する。コイルバネ部121は、公知の構成により、直接または本体筐体10内に設けられた導通部品を介して接地されている。
【0049】
<カラープリンタの作用効果>
次に、プロセスカートリッジ50を交換するときの操作と作用、および、本実施形態に係るカラープリンタ1によって得られる効果について説明する。
【0050】
プロセスカートリッジ50を交換する際には、まず、図1に示す状態から、図2に示すように、トップカバー20を開いて開口11を露出させる。そして、交換すべきプロセスカートリッジ50を開口11を通して本体筐体10から取り外し、代わりの新しいプロセスカートリッジ50を本体筐体10に装着する。
【0051】
このとき、プロセスカートリッジ50は、感光体フレーム510の被ガイド部514が装着ガイド110にガイドされながら本体筐体10に装着されていき、図4に示すように、被ガイド部514が装着ガイド110の下端部である位置決め部111に当接することで、本体筐体10に装着されて本体筐体10に対する位置が決まることとなる。
【0052】
また、図6に示すように、プロセスカートリッジ50が本体筐体10に装着されたとき、プロセスカートリッジ50に設けられた導通板540の本体側接点部543に、本体筐体10に設けられたアース電極120の接点部122が当接するため、補強ロッド530は、導通板540およびアース電極120を介して接地されることとなる。
【0053】
新しいプロセスカートリッジ50を本体筐体10に装着した後は、図2に示す状態からトップカバー20を閉じていく。そうすると、トップカバー20の補強板220に設けられた押圧部230が補強ロッド530の端部に当接し、トップカバー20をさらに閉じていくことで、図3(b)および図4に示すように、押圧部230が弾性変形する。
【0054】
そして、トップカバー20を完全に閉じたとき、弾性変形した押圧部230の復元力によって補強ロッド530が後斜め下方に向けて押圧されるため、補強ロッド530が設けられたプロセスカートリッジ50、より詳細には感光体ユニット50Aの感光体フレーム510が位置決め部111に向けて押圧される。これにより、プロセスカートリッジ50の位置が精度よく決まることとなる。
【0055】
また、図6に示すように、トップカバー20が閉じられたときに補強板220に一体に形成された導電性を有する押圧部230が補強ロッド530に当接することで、補強板220は、補強ロッド530、導通板540およびアース電極120を介して接地されることとなる。
【0056】
以上のようにカラープリンタ1では、押圧部230により、プロセスカートリッジ50を位置決めすることができるとともに、補強板220を接地することができるので、トップカバーの補強板を接地する部品とプロセスカートリッジを位置決め部に向けて押圧する部品とを別に設ける構成と比較して、部品点数を削減することができる。また、部品点数が削減できることで、本体筐体10の小型化、すなわち、カラープリンタ1の小型化を図ることも可能となる。
【0057】
また、補強板220を接地するための補強ロッド530が、感光体フレーム510を補強するための部品としても機能しているので、感光体フレームを補強する部品を接地用の部品とは別に設ける構成と比較して、部品点数をより削減することができる。また、押圧部230が補強板220に一体に形成されているので、補強板と押圧部を別部品として設ける構成と比較して、部品点数を一層削減することができる。
【0058】
また、カラープリンタ1では、押圧部230により補強ロッド530を介して感光体ユニット50Aが押圧される、言い換えれば、押圧部230により現像ユニット50Bは押圧されないので、押圧部230の押圧力が押圧機構520の押圧に影響を与えることはない。そのため、押圧機構520により現像ローラ53を感光体ドラム51に対して適切な接触圧で接触させることができるので、現像ローラ53から感光体ドラム51へトナーを良好に供給することができ、用紙Sに形成される画像の質の低下を抑制することができる。
【0059】
また、カラープリンタ1では、補強ロッド530とアース電極120が導通板540を介して電気的に接続されるので、補強ロッド530とアース電極120とを左右方向から見てずらして配置することができる。これにより、補強ロッド530やアース電極120の配置の自由度を向上させることができるので、カラープリンタ1の設計自由度を向上させることが可能となる。
【0060】
なお、カラープリンタ1では、現像ユニット50Bが感光体フレーム510に対して着脱可能なので、感光体ユニット50Aのみの交換や、現像ユニット50Bのみの交換が可能となる。これにより、プロセスカートリッジ全体を交換する構成と比較して、消耗品にかかるコストを抑制することができるとともに、環境負荷を低減することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0062】
前記実施形態で示した導通板540の具体的な構成は、一例であり、本発明は前記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、図7(a)に示すように、導通板550は、貫通孔が形成された固定部551と、補強ロッド530の右端縁531が当接するロッド接点部552と、本体側接点部553とを有し、本体側接点部553が左右方向外側に向けて凸となるように弧状に曲げられて板バネとして機能するように構成されていてもよい。このような構成によれば、プロセスカートリッジ50が本体筐体10に装着されたときに、図7(b)に示すように、本体側接点部553を、本体筐体10の右側壁130の内面に固定された補強用の板金140などに弾性的に当接させる構成とすることができる。これにより、前記実施形態のアース電極120を設ける必要がなくなるので、本体筐体10の構成を簡略化することが可能となる。なお、図7(b)に示した板金140は、本体側接地部材の他の例であり、公知の構成によって接地されている。
【0063】
前記実施形態では、導電部材としての補強ロッド530が、導通部材としての導通板540を介してアース電極120に電気的に接続されるように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、導通部材を設けずに、導電部材は、プロセスカートリッジが本体筐体に装着されたときにアース電極に直接接触するように構成されていてもよい。具体的には、図8(a)に示すように、導電部材は、略T字形状の金属板の上部および左右両端部を後方に向けて折り曲げることによって形成され、図8(b)に示すように、ネジ59により感光体フレーム510の上端部に固定されることで、感光体フレーム510を補強する補強部材560として構成することができる。そして、導電部材としての補強部材560は、プロセスカートリッジ50が本体筐体10に装着されたときに、その右端面561にアース電極120(図6参照)が当接することで、アース電極120に直接電気的に接続される。このような構成によれば、補強部材560とアース電極120との間に別の導通部品を介さないので、部品点数を削減することができる。また、前記実施形態では、導電部材としての補強ロッド530や補強部材560が、感光体フレーム510を補強するために剛性の高い金属から形成されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、導電部材は、導電性樹脂などから形成されていてもよい。
【0064】
前記実施形態では、押圧部230が補強板220に一体に形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9(a),(b)に示すように、押圧部240は、補強板220とは別部品として導電性を有する金属などの材料から形成された板バネ240Sを、ネジ250などによって補強板220に固定することで、補強板220に設けられた構成としてもよい。また、補強板とは別部品として形成される押圧部としてのバネは、板バネに限定されず、例えば、トーションバネなどであってもよい。
【0065】
前記実施形態では、カバーとして、本体筐体10の上部に配置されたトップカバー20を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、カバーは、装置本体の前部に配置されたフロントカバーであってもよいし、装置本体の左や右の側部に配置されたサイドカバーであってもよい。また、前記実施形態では、トップカバー20(カバー)が本体筐体10に対して回動することで開口11を開閉するように構成されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、カバーは、装置本体に対して水平方向などにスライド移動することで開口を開閉するように構成されていてもよい。
【0066】
前記実施形態では、カートリッジとしてのプロセスカートリッジ50が、感光体ユニット50Aと、感光体フレーム510に対して着脱可能な現像ユニット50Bとを備えて構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、プロセスカートリッジは、現像ユニットが、感光体フレームから着脱することはできないが、現像ローラが感光体ドラムに対して近接・離間する方向に移動可能なように、フレームに対して変位可能に構成されていてもよい。また、プロセスカートリッジは、前記実施形態の感光体ユニット50Aと現像ユニット50Bが一体に形成されて、現像ユニットが感光体フレームに対して変位しないような構成であってもよい。さらに、カートリッジは、プロセスカートリッジに限定されず、例えば、前記実施形態の現像ユニット50Bと同様の構成を有する現像カートリッジであってもよいし、主にトナー収容部からなるトナーカートリッジであってもよい。
【0067】
前記実施形態では、画像形成装置として、カラー画像を形成可能なカラープリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画像形成装置は、モノクロ画像のみを形成可能なプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 カラープリンタ
10 本体筐体
11 開口
20 トップカバー
50 プロセスカートリッジ
50A 感光体ユニット
50B 現像ユニット
51 感光体ドラム
53 現像ローラ
111 位置決め部
120 アース電極
220 補強板
230 押圧部
510 感光体フレーム
520 押圧機構
530 補強ロッド
540 導通板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9