特許第5998810号(P5998810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5998810
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】シート受け装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/20 20060101AFI20160915BHJP
   B65H 1/26 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   B65H31/20
   B65H1/26 310H
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-218697(P2012-218697)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-69944(P2014-69944A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】飯島 章太
(72)【発明者】
【氏名】山本 竜司
【審査官】 田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−003149(JP,U)
【文献】 特開2008−213969(JP,A)
【文献】 特開2011−236046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00− 3/68,31/00−31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置から排出されるシートを支持する第1受け部材と、
上記第1受け部材に支持される第2受け部材であって、上記第1受け部材に対して第1位置と、当該第1位置よりも引き出し向きに引き出された第2位置と、に移動可能であり、上記第2位置において上記第1受け部材とともにシートを支持する第2受け部材と、
第1端と、当該第1端よりも上記引き出し向き上流側の第2端と、を有し、上記第1受け部材に対して上記引き出し向きに沿って摺動可能に連結し、且つ上記第2受け部材に対して上記引き出し向きに沿って摺動可能に連結する連結部材と、を備え、
上記第2受け部材が上記第2位置に位置する状態において、上記連結部材の上記第1端は、上記第1受け部材の上記引き出し向きの下流端よりも上記引き出し向きの下流側に位置し、且つ上記連結部材の上記第2端は、上記第2受け部材の上記引き出し向きの上流端よりも上記引き出し向きの上流側に位置しており、
上記第2受け部材が上記第1位置に位置する状態において、上記連結部材の上記第1端は、上記第1受け部材及び上記第2受け部材の上記引き出し向きの下流端よりも上記引き出し向きの上流側に位置し、且つ上記連結部材の上記第2端は、上記第1受け部材及び上記第2受け部材の上記引き出し向きの上流端よりも上記引き出し向きの下流側に位置しているシート受け装置。
【請求項2】
上記第1受け部材は、上記シートを支持する支持部を有し、
上記支持部は、上記連結部材を収容する収容部を有する請求項1に記載のシート受け装置。
【請求項3】
上記収容部は、底部と、当該底部から立設され且つ上記引き出し向きに沿って延設された壁部と、を有し、
上記連結部材は、上記底部の上記壁部側の面に当接する底板部と、上記底板部から上記壁部の立設向き及び延設向きと同じ向きに立設及び延設され且つ上記壁部に当接する立設部と、を有し、
上記第2受け部材は、上記底部に向けて延びており且つ上記引き出し向きに沿って延設されたリブを有する請求項2に記載のシート受け装置。
【請求項4】
上記収容部は、上記引き出し向きと直交する幅方向において離間して2つ設けられており、
上記支持部は、2つの上記収容部の間に、上記引き出し向きに沿って延設されており、上記壁部の立設先端よりも上記底部の側に位置する低壁部を有する請求項3に記載のシート受け装置。
【請求項5】
上記連結部材は、上記引き出し向きと直交する幅方向における上記第1受け部材の端部よりも中央側にて上記第1受け部材と連結し、且つ、上記幅方向における上記第2受け部材の端部よりも中央側にて上記第2受け部材と連結する請求項2から4のいずれかに記載のシート受け装置。
【請求項6】
上記第2受け部材は、上記第1受け部材におけるシートの排出向きの下流側の端部から上記第1受け部材に対して引き出し及び押し入れされるものであり、
上記第2受け部材は、上記第1受け部材の上側に配置されたものであり、
上記連結部材は、上記引き出し向きと直交する幅方向において離間して2つ設けられ且つ上記引き出し向きに沿って延設された延設部を有し、
上記第2受け部材は、上記引き出し向きの上流端部における2つの上記延設部の間に、上記引き出し向きの下流側に向かうにしたがって上向きに傾斜する傾斜部を有し、
上記傾斜部は、上記引き出し向きの上流側において上記延設部の上端よりも下方に位置し、上記引き出し向きの下流側において上記延設部の上端よりも上方に位置する請求項1から5のいずれかに記載のシート受け装置。
【請求項7】
上記第1受け部材は、上記第1位置の上記第2受け部材と弾性変形によって係脱可能な引き出しストッパを有する請求項1から6のいずれかに記載のシート受け装置。
【請求項8】
上記第1受け部材は、上記第2位置の上記第2受け部材と弾性変形によって係脱可能な押し入れストッパを有する請求項1から7のいずれかに記載のシート受け装置。
【請求項9】
装置に給送されるシートを収容する第1トレイと、
上記第1トレイに対して引き出し及び押し入れ可能であり、上記第1トレイから引き出された状態で上記第1トレイとともにシートを収容する第2トレイと、を更に備え、
上記第1受け部材は、上記第1トレイと係合されており、
上記第2受け部材は、上記第2トレイと係合されている請求項1から8のいずれかに記載のシート受け装置。
【請求項10】
装置から排出されるシートを支持する第1受け部材と、
上記第1受け部材に支持される第2受け部材であって、上記第1受け部材に対して第1位置と、当該第1位置よりも引き出し向きに引き出された第2位置と、に移動可能であり、上記第2位置において上記第1受け部材とともにシートを支持する第2受け部材と、
第1端と、当該第1端よりも上記引き出し向き上流側の第2端と、を有し、上記第1受け部材に対して上記引き出し向きに沿って摺動可能に連結し、且つ上記第2受け部材に対して上記引き出し向きに沿って摺動可能に連結する連結部材と、を備え、
上記第2受け部材が上記第2位置に位置する状態において、上記引き出し向きにおける上記第1受け部材と上記連結部材とが重なる長さ、及び上記引き出し向きにおける上記第2受け部材と上記連結部材とが重なる長さは、いずれも上記引き出し向きにおける上記第1受け部材と上記第2受け部材とが重なる長さよりも長く、
上記第2受け部材が上記第1位置に位置する状態において、上記連結部材は、上記引き出し向きにおいて上記第1受け部材と上記第2受け部材とが重なる範囲内に位置するシート受け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置から排出されたシートを受けるシート受け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの画像記録装置からは、記録用紙などのシートが排出される。そのため、画像記録装置は、通常、排出されたシートを受けるシート受け装置を備えている。近年、画像記録装置の小型化が求められている一方で、大きなサイズの記録用紙が画像記録装置によって画像記録されることが求められている。
【0003】
この相反する要望を解決するために、シート受け装置の一例として、特許文献1には、第1排紙トレイ部と、当該第1排紙トレイ部に対して伸縮可能に設けられた第2排紙トレイ部とを備えた画像記録装置が開示されている。当該画像記録装置では、大きなサイズの記録用紙が画像記録される際、第2排紙トレイが第1排紙トレイ部に対して伸張された状態とされることによって、排出された当該大きなサイズの記録用紙は、第1排紙トレイ部と第2排紙トレイ部とによって受けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−173832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像記録装置が益々小型化されると、或いは、画像記録装置が更に大きなサイズの記録用紙に画像を記録可能に構成されると、第2排紙トレイ部が第1排紙トレイ部に対して大きく伸張される必要が生じる。第2排紙トレイ部が第1排紙トレイ部に対して大きく伸張されると、伸張方向において、伸張された第2排紙トレイ部が第1排紙トレイ部と重なる長さが短くなってしまう。その結果、第2排紙トレイ部が第1排紙トレイ部から伸張された状態において、第2排紙トレイ部と第1排紙トレイ部との剛性が低下してしまい、排紙されるシートを支えきれなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートを支持可能な第1受け部材に対して引き出し及び押し入れ可能な第2受け部材を、第1受け部材から大きく引き出した場合であっても、第1受け部材及び第2受け部材の剛性を高く維持することができるシート受け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係るシート受け装置は、装置から排出されるシートを支持する第1受け部材と、上記第1受け部材に対して第1位置と、当該第1位置よりも引き出し向きに引き出された第2位置と、に移動可能であり、上記第2位置において上記第1受け部材とともにシートを支持する第2受け部材と、第1端と、当該第1端よりも上記引き出し向き上流側の第2端と、を有し、上記第1受け部材に対して上記引き出し向きに沿って摺動可能に連結し、且つ上記第2受け部材に対して上記引き出し向きに沿って摺動可能に連結する連結部材と、を備える。上記第2受け部材が上記第2位置に位置する状態において、上記連結部材の上記第1端は、上記第1受け部材の上記引き出し向きの下流端よりも上記引き出し向きの下流側に位置し、且つ上記連結部材の上記第2端は、上記第2受け部材の上記引き出し向きの上流端よりも上記引き出し向きの上流側に位置している。上記第2受け部材が上記第1位置に位置する状態において、上記連結部材の上記第1端は、上記第1受け部材及び上記第2受け部材の上記引き出し向きの下流端よりも上記引き出し向きの上流側に位置し、且つ上記連結部材の上記第2端は、上記第1受け部材及び上記第2受け部材の上記引き出し向きの上流端よりも上記引き出し向きの下流側に位置している。
【0008】
本構成によれば、第2受け部材が第2位置に位置することにより、引き出し向きにおける第1受け部材と第2受け部材とが重なる範囲が短くなっても、短くなった当該重なる範囲は、連結部材によって補強される。詳述すると、連結部材を設けることによって、引き出し向きにおいて、第1受け部材と第2受け部材とが重なる範囲を、第1受け部材と連結部材とが重なる範囲及び第2受け部材と連結部材とが重なる範囲まで見かけ上長くすることができる。これにより、第1受け部材及び第2受け部材の剛性を高く維持することができる。
【0009】
(2) 上記第1受け部材は、上記シートを支持する支持部を有し、上記支持部は、上記連結部材を収容する収容部を有する。第1受け部材における支持部以外の箇所に収容部が設けられる場合、収容部が配置される分だけ、第1受け部材が大型化してしまうおそれがある。しかし、本構成によれば、支持部を配置するために必要な空間と、収容部を配置するために必要な空間とを共用することができるため、第1受け部材の大型化を抑制することができる。
【0010】
(3) 上記収容部は、底部と、当該底部から立設され且つ上記引き出し向きに沿って延設された壁部と、を有する。上記連結部材は、上記底部の上記壁部側の面に当接する底板部と、上記底板部から上記壁部の立設向き及び延設向きと同じ向きに立設及び延設され且つ上記壁部に当接する立設部と、を有する。上記第2受け部材は、上記底部に向けて延びており且つ上記引き出し向きに沿って延設されたリブを有する。
【0011】
本構成によれば、収容部の底部と連結部材の底板部とが当接されており、収容部の壁部と連結部材の立設部とが同じ向きに立設且つ延設されている。そのため、本構成によれば、連結部材によって妨げられることなく第2受け部材のリブを第1受け部材に向けて延ばして配置することができる。その結果、第1受け部材と第2受け部材との剛性を高くすることができる。
【0012】
(4) 上記収容部は、上記引き出し向きと直交する幅方向において離間して2つ設けられている。上記支持部は、2つの上記収容部の間に、上記引き出し向きに沿って延設されており、上記壁部の立設先端よりも上記底部の側に位置する低壁部を有する。
【0013】
本構成によれば、幅方向における中央部の低壁部が、幅方向における両端部の壁部の立設先端よりも底部の側に位置している。これにより、支持部に排出されたシートは、幅方向において湾曲形状となり、剛性が高くなる。その結果、本構成によれば、シートを、排出時に折れ曲がりにくくすることができる。
【0014】
(5) 上記連結部材は、上記引き出し向きと直交する幅方向における上記第1受け部材の端部よりも中央側にて上記第1受け部材と連結し、且つ、上記幅方向における上記第2受け部材の端部よりも中央側にて上記第2受け部材と連結するものであってもよい。
【0015】
(6) 上記第2受け部材は、上記第1受け部材におけるシートの排出向きの下流側の端部から上記第1受け部材に対して引き出し及び押し入れされるものである。上記第2受け部材は、上記第1受け部材の上側に配置されたものである。上記連結部材は、上記引き出し向きと直交する幅方向において離間して2つ設けられ且つ上記引き出し向きに沿って延設された延設部を有する。上記第2受け部材は、上記引き出し向きの上流端部における2つの上記延設部の間に、上記引き出し向きの下流側に向かうにしたがって上向きに傾斜する傾斜部を有する。上記傾斜部は、上記引き出し向きの上流側において上記延設部の上端よりも下方に位置し、上記引き出し向きの下流側において上記延設部の上端よりも上方に位置する。
【0016】
本構成によれば、シートは傾斜部に沿って排出されるため、当該シートが延設部の間に入り込む可能性を低くすることができる。また、本構成によれば、幅方向において、連結部材が存在している位置に傾斜部を配置することができる。そのため、連結部材が存在している構成であっても、幅方向において、傾斜部が配置される範囲を大きくすることができる。
【0017】
(7) 上記第1受け部材は、上記第1位置の上記第2受け部材と弾性変形によって係脱可能な引き出しストッパを有する。本構成によれば、第1受け部材と第2受け部材との間の位置決めを連結部材を介することなく行うことができる。
【0018】
(8) 上記第1受け部材は、上記第2位置の上記第2受け部材と弾性変形によって係脱可能な押し入れストッパを有する。本構成によれば、上記(7)と同様に、第1受け部材と第2受け部材との間の位置決めを連結部材を介することなく行うことができる。
【0019】
(9) 本発明に係るシート受け装置は、装置に給送されるシートを収容する第1トレイと、上記第1トレイに対して引き出し及び押し入れ可能であり、上記第1トレイから引き出された状態で上記第1トレイとともにシートを収容する第2トレイと、を更に備える。上記第1受け部材は、上記第1トレイと係合されている。上記第2受け部材は、上記第2トレイと係合されている。
【0020】
本構成によれば、第2トレイを第1トレイに対して引き出すことによって、第2受け部材を第1受け部材に対して引き出すことができ、第2トレイを第1トレイに対して押し入れることによって、第2受け部材を第1受け部材に対して押し入れることができる。
【0021】
(10) 本発明に係るシート受け装置は、装置から排出されるシートを支持する第1受け部材と、上記第1受け部材に対して第1位置と、当該第1位置よりも引き出し向きに引き出された第2位置と、に移動可能であり、上記第2位置において上記第1受け部材とともにシートを支持する第2受け部材と、第1端と、当該第1端よりも上記引き出し向き上流側の第2端と、を有し、上記第1受け部材に対して上記引き出し向きに沿って摺動可能に連結し、且つ上記第2受け部材に対して上記引き出し向きに沿って摺動可能に連結する連結部材と、を備える。上記第2受け部材が上記第2位置に位置する状態において、上記引き出し向きにおける上記第1受け部材と上記連結部材とが重なる長さ、及び上記引き出し向きにおける上記第2受け部材と上記連結部材とが重なる長さは、いずれも上記引き出し向きにおける上記第1受け部材と上記第2受け部材とが重なる長さよりも長い。上記第2受け部材が上記第1位置に位置する状態において、上記連結部材は、上記引き出し向きにおいて上記第1受け部材と上記第2受け部材とが重なる範囲内に位置する。本構成によっても、上記(1)と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、シートを支持可能な第1受け部材に対して引き出し及び押し入れ可能な第2受け部材を、第1受け部材から大きく引き出した場合であっても、第1受け部材及び第2受け部材の剛性を高く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、複合機10の外観斜視図である。
図2図2は、第2受け部材82が第1受け部材81に対して第1位置のときのシート受け装置19の外観斜視図である。
図3図3は、第2受け部材82が第1受け部材81に対して第2位置のときのシート受け装置19の外観斜視図である。
図4図4は、排紙トレイ21を斜め上から状態の見た分解斜視図である。
図5図5は、排紙トレイ21を斜め下から見た状態の分解斜視図である。
図6図6は、第2受け部材82が第1受け部材81に対して第1位置のときのシート受け装置19の平面図である。
図7図7(A)は、図6のVIIA−VIIA断面図であり、図7(B)は、図6のVIIB−VIIB断面図である。
図8図8(A)は、第2受け部材82が第1受け部材81に対して第2位置のときのシート受け装置19の前側の平面図であり、図8(B)は、図8(A)の8B−8B断面図である。
図9図9(A)は、図8のIXA−IXA断面図であり、図9(B)は、図8のIXB−IXB断面図である。
図10図10は、プリンタ部12の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図11図11は、第2受け部材82が第1受け部材81に対して第1位置のときの排紙トレイ21の底面図である。
図12図12は、第2受け部材82が第1受け部材81に対して第1位置のときの排紙トレイ21の平面図である。
図13図13(A)は、図12のXIIIA−XIIIA断面図であり、図13(B)は、図12のXIIIB−XIIIB断面図である。
図14図14は、第2受け部材82が第1受け部材81に対して第2位置のときの排紙トレイ21の平面図である。
図15図15(A)は、図14のXIVA−XIVA断面図であり、図15(B)は、図14のXIVB−XIVB断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0025】
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10(本発明の装置の一例)は、概ね直方体に形成されている。複合機10は、その上部に、記録用紙などの原稿に記録された画像をイメージセンサによって読み取って画像データを取得するスキャナ部11を備えている。また、複合機10は、その下部に、上記画像データなどに基づいて、記録用紙15(本発明のシートの一例、図10参照)に画像を記録するプリンタ部12を備えている。
【0026】
スキャナ部11は、所謂フラットベッドスキャナとして構成されているが、ここでは、スキャナ部11の内部構成の詳細な説明は省略される。プリンタ部12は、概ね直方体に形成されており、正面に開口13が形成されたプリンタ筐体14を有している。
【0027】
図10に示されるように、プリンタ部12におけるプリンタ筐体14の内部には、開口13から前後方向8に挿抜可能であって内部に記録用紙15が収容される給紙トレイ20を備えた本発明に係るシート受け装置19と、給紙トレイ20に収容された記録用紙15を搬送路23に沿って搬送させる搬送ローラ対63及び排出ローラ対66と、スキャナ部11によって原稿から読み取られた画像データなどに基づいて、搬送路23を搬送される記録用紙15に画像を記録する記録部24などが配設されている。
【0028】
画像が記録された記録用紙15は、給紙トレイ20の上側に設けられた排紙トレイ21に排出され、排紙トレイ21に載置される。ここで、排紙トレイ21は、給紙トレイ20の上側に給紙トレイ20と重ねられて設けられており、給紙トレイ20と一体に開口13に挿抜される。給紙トレイ20が開口13に挿入されている状態において、排紙トレイ21は、開口13の底面を構成している。記録部24によって画像が記録された記録用紙15は、排紙トレイ21に排出される。なお、排紙トレイ21については、後に詳細に説明される。
【0029】
[搬送路23]
図10に示されるように、搬送路23は、給紙トレイ20の後端部を基点として、下方から上方に延びつつUターンしてから、前向きに延びて排紙トレイ21に至る通路である。搬送路23は、所定間隔を隔てて互いに対向する第1ガイド部材31及び第2ガイド部材32によって構成される空間である。記録用紙15は、給紙トレイ20から搬送路23に給送され、搬送路23を、図10に破線の矢印で示される向きである搬送向き16に搬送される。
【0030】
[搬送ローラ対63及び排出ローラ対66]
図10に示されるように、搬送路23における記録部24よりも搬送向き16の上流側には、搬送ローラ61及びピンチローラ62よりなる搬送ローラ対63が設けられている。ピンチローラ62は、ばねなどの弾性部材(不図示)によって搬送ローラ61のローラ面に圧接されている。搬送路23における記録部24よりも搬送向き16の下流側には、排出ローラ64及び拍車65よりなる排出ローラ対66が設けられている。拍車65は、ばねなどの弾性部材(不図示)によって排出ローラ64のローラ面に圧接されている。
【0031】
搬送ローラ61及び排出ローラ64は、搬送用モータ(不図示)から駆動力が伝達されることによって回転される。駆動力が伝達された搬送ローラ61及び排出ローラ64は、ピンチローラ62及び拍車65との間に記録用紙15を挟持しつつ搬送向き16へ搬送する。
【0032】
[記録部24]
図10に示されるように、記録部24は、搬送路23の上側に配置されている。記録部24は、搬送路23に対向可能な位置に設けられた記録ヘッド37と、記録ヘッド37を搭載したキャリッジ38とを備えている。記録ヘッド37には、インクカートリッジ(不図示)から供給されたインクを搬送路23に向けて吐出するための複数のノズル36が形成されている。キャリッジ38は、左右方向9に往復移動可能に構成されている。キャリッジ38が左右方向9へ往復移動されながら、搬送路23に沿って搬送される記録用紙15に向かってノズル36からインク滴が吐出される。これにより、記録用紙15に画像が記録される。
【0033】
なお、本実施形態において、記録部24が記録用紙15に画像を記録する方式は、インクジェット記録方式であるが、記録部24が記録用紙15に画像を記録する方式はインクジェット記録方式に限らず、例えば電子写真方式などであってもよい。
【0034】
[シート受け装置19]
図2及び図3に示されるように、シート受け装置19は、給紙トレイ20と排紙トレイ21とを備えている。
【0035】
[給紙トレイ20]
図2及び図3に示されるように、給紙トレイ20は、第1トレイ72と第2トレイ73とを備えている。第1トレイ72は、底板74と、底板74の左右端から上向きに立設された一対の側板75と、底板74の後端から上向きに立設された凸部76とを備えている。
【0036】
第2トレイ73は、第1トレイ72の上側に重畳した状態で配置されている。第2トレイ73は、底板77と、底板74の左右端から上向きに立設された一対の側板78と、底板74の前端から上向きに立設された前板79とを備えている。第2トレイ73の一対の側板78は、左右方向9において、第1トレイ72の一対の側板75の内側に隣接している。また、第1トレイ72の一対の側板75には、第2トレイ73の一対の側板78の左右方向9への移動を制止しつつ前後方向8への移動を許容するように、一対の側板78の上端部と係合される係合部(不図示)が設けられている。これにより、第2トレイ73は、第1トレイ72に対して前後方向8に摺動される。つまり、第2トレイ73は、第1トレイ72に対して前向きに引き出し可能であり且つ後向きに押し入れ可能である。
【0037】
図2に示されるように、第2トレイ73が第1トレイ72に対して押し入れられた状態のとき、搬送路23に給送される記録用紙15は、第1トレイ72の底板75の上側に重畳された第2トレイ73の底板77、及び第2トレイ73に重畳されていない第1トレイ72の底板74の一部(後端部)に載置される。つまり、このとき、搬送路23に給送される記録用紙15は、第1トレイ72に収容される。
【0038】
一方、図3に示されるように、第2トレイ73が第1トレイ72に対して引き出された状態のとき、搬送路23に給送される記録用紙15は、第1トレイ72の底板74の前端部を除く大部分及び第2トレイ73の底板77に載置される。つまり、このとき、搬送路23に給送される記録用紙15は、第1トレイ72及び第2トレイ73の双方に収容される。換言すると、第2トレイ73は、第1トレイ72から引き出された状態で第1トレイ72とともに記録用紙15を収容する。
【0039】
[排紙トレイ21]
図2及び図3に示されるように、排紙トレイ21は、第1受け部材81と、第2受け部材82と、連結部材83とを備えている。
【0040】
[第1受け部材81]
図4及び図5に示されるように、第1受け部材81は、前後方向8よりも左右方向9の方が長い矩形状であり、樹脂成形されたものである。第1受け部材81は、本体板84と、本体板84から上向きに立設され且つ前後方向8に延設された複数のリブ85(本発明の支持部の一例)とを備えている。各リブ85は、左右方向9において、所定の間隔を空けて配置されている。各リブ85の上面は、複合機10から排出される記録用紙15を支持する。
【0041】
第1受け部材81には、連結部材83が収容される収容部86が形成されている。本実施形態では、収容部86は、第1受け部材81の左右方向9(本発明の幅方向の一例)の中央部よりも右側と左側とに1つずつ設けられている。つまり、収容部86は、左右方向9において離間して2つ設けられている。
【0042】
各収容部86は、本体板84と2つのリブ85とで構成されている。収容部86を構成する本体板84と2つのリブ85とによって区画され、上方が開放された空間に、連結部材83が収容される。つまり、各収容部86を構成する本体板84は、本発明の底部の一例であり、各収容部86を構成する2つのリブ85は、本発明の壁部の一例である。
【0043】
リブ85は、左右方向9の中央部に設けられた低リブ85A(本発明の低壁部の一例)と、低リブ85Aよりも左右方向9の右側及び左側に設けられており、低リブ85Aよりも上側まで立設された高リブ85Bとで構成されている。つまり、低リブ85Aの立設先端は、高リブ85Bの立設先端よりも本体板84の側に位置する。また、低リブ85Aは、左右方向9において、2つの収容部86の間に、換言すると右側の収容部86よりも左側且つ左側の収容部86よりも右側に設けられている。低リブ85Aの後端側が前端側よりも高くなっている。この高い後端側の前端部よりも前側に記録用紙15は排出される。そして、当該前端部は、第1受け部材81に排出された記録用紙15が後側に移動することを規制している。
【0044】
図4に示されるように、複数のリブ85のうちの中央よりも右側のリブ85と、中央より左側のリブ65とに設けられ、それぞれのリブ85の側面には、引き出しストッパ51(図11参照)及び押し入れストッパ93が形成されている。なお、本実施形態では、引き出しストッパ51及び押し入れストッパ93は、1つのリブ85に対して1つずつ形成されている。引き出しストッパ51及び押し入れストッパ93は、前後方向8に対して傾斜したテーパを有する突起形状となっている。引き出しストッパ51及び押し入れストッパ93は、前側のテーパと後側のテーパとを備えている。前側のテーパは後ろに向かうほど左右方向9外側に向かって傾斜しており、後側のテーパは、後ろに向かうほど左右方向9内側に向かって傾斜している。引き出しストッパ51は、リブ85の後端近傍に形成されており、押し入れストッパ93は、引き出しストッパ51が形成されているリブ85の前端近傍に形成されている。引き出しストッパ51及び押し入れストッパ93は、後述する第2受け部材82の弾性変形部94と係合することによって、第2受け部材82の前後方向8に沿った移動を所定の力で規制する。これにより、第2受け部材82が第1受け部材81に対して位置決めされる。
【0045】
図2及び図3に示されるように、第1受け部材81は、第1トレイ72に矢印88の方向に回動可能に支持されている。以下に詳述する。第1受け部材81の後端部には、左右方向9に延びた軸87が設けられており、軸87は、第1トレイ72の前後方向8の中央部に設けられた開口に挿通されている。また、第1受け部材81の本体板84の下面は、第1トレイ72の側板75に支持されている。以上より、第1受け部材81は、軸87及び第1トレイ72に設けられた上記開口によって、第1トレイ72と係合されている。
【0046】
[第2受け部材82]
図2及び図4に示されるように、第2受け部材82は、第1受け部材81と同様に、前後方向8よりも左右方向9の方が長い矩形状であり、樹脂成形されたものである。第2受け部材82は、第1受け部材81の上側に配置されており、第1受け部材81によって支持されている。図5に示されるように、第2受け部材82は、本体板89と、本体板89から下向きに立設され且つ前後方向8に延設された複数のリブ90とを備えている。複数のリブ90は第1受け部材81の本体板84に向けて延びている。また、図7(B)及び図9(B)に示されるように、複数のリブ90のうち、上下方向7において第1受け部材81の収容部86と対向する位置に設けられているリブ90Aは、本体板84のうち収容部86を構成する部分に向けて延びている。
【0047】
複数のリブ90は、左右方向9において、第1受け部材81の複数のリブ85の間に位置しており、それぞれリブ85に当接可能となっている。そのため、リブ90は、2つのリブ85の間において、前後方向8に摺動可能である。これにより、第2受け部材82は、第1受け部材81に対して前後方向8に案内されて摺動可能である。本実施形態では、第2受け部材82は、第1受け部材81における前端部、つまり記録用紙15の排出向きの下流側の端部から、第1受け部材81に対して前向きに引き出し可能であり且つ後向きに押し入れ可能である。なお、第2受け部材82は、第1受け部材81に対して摺動可能な程度にガタをもって配置されており、そのガタ以上の左右方向9への移動があると、リブ85とリブ90とが当接する。但し、第2受け部材82が第1受け部材81に対して常に左右方向9で当接してももちろんよい。
【0048】
ここで、第2受け部材82が第1受け部材81に押し入れられたとき、第2受け部材82は図2に示される第1位置に位置しており、第2受け部材82が第1受け部材81から引き出されたとき、第2受け部材82は図3に示される第2位置に位置している。つまり、第2受け部材82は、第1受け部材81に対して第1位置と、当該第1位置よりも前向き(本発明の引き出し向きの一例)に引き出された第2位置とに移動可能である。なお、以下の説明において、後側から前側へ向かう向きは、引き出し向きとも記される。
【0049】
図2に示されるように、第2受け部材82が第1位置のとき、第2受け部材82は第1受け部材81の上側に重畳されている。これにより、第2受け部材82が第1位置のとき、第2受け部材82の本体板89の上面には、複合機10から排出される記録用紙15が支持される。一方、図3に示されるように、第2受け部材82が第2位置のとき、第2受け部材82は第1受け部材81よりも前側に位置する。これにより、複合機10から排出される記録用紙15は、第1受け部材81の各リブ85の上面及び第2受け部材82の本体板89の上面に載置される。つまり、第2受け部材82は、第2位置において第1受け部材81とともに記録用紙15を支持する。
【0050】
図3及び図4に示されるように、第2受け部材82の後端部、つまり引き出し向きの上流端部には、前方斜め下向きに傾斜した傾斜部91が形成されている。傾斜部91は、左右方向9において、第2受け部材82の後端から前向きに延びたスリット92を介して複数形成されている。つまり、左右方向9における各傾斜部91の間には、スリット92が形成されている。各スリット92は、第2受け部材82が第2位置にあると、左右方向9において、第1受け部材81のリブ85の前端部と同位置に形成されている。なお、スリット92は、左右方向9において、後述する連結部材83の一対の立設部96とも同位置に形成されている。つまり、傾斜部91は、2つのリブ85の間、及び2つの立設部96の間に設けられている。
【0051】
また、傾斜部91の後端は、各リブ85及び立設部96の上下方向9における最も高い位置よりも低い位置である。一方、傾斜部91の前端は、各リブ85及び立設部96の上下方向9における最も高い位置よりも高い位置である。つまり、傾斜部91は、引き出し向きの上流側において各リブ85及び立設部96の上端よりも下方に位置し、上記引き出し向きの下流側において各リブ85及び立設部96の上端よりも上方に位置する。以上より、スリット92には、各リブ85及び立設部96が入り込んだ状態となっている。換言すると、傾斜部91は、各リブ85及び立設部96の間に入り込んだ状態となっている。
【0052】
図4に示されるように、第2受け部材82の後端近傍であって、第1受け部材81の引き出しストッパ51及び押し入れストッパ93が形成されているリブ85と対向する位置には、弾性変形することによって引き出しストッパ51及び押し入れストッパ93と係合可能な弾性変形部94が設けられている。弾性変形部94は、第2受け部材82の先端から後側に延びており、その先端が左右方向9中央側に向かって突出している。従って、弾性変形部94は、先端側が左右方向9外側に移動するよう弾性変形可能である。弾性変形部94は、引き出しストッパ51及び押し入れストッパ93に押されて弾性変形することによって、引き出しストッパ51及び押し入れストッパ93に対して係脱する。
【0053】
第2受け部材82が第2位置から第1位置に向けて移動して第1位置近傍に迫ると、弾性変形部94は前側から引き出しストッパ51に当接して弾性変形する。これにより、引き出しストッパ51と弾性変形部94とは係合する。一方、第2受け部材82が第1位置から第2位置に向けて移動するとき、引き出しストッパ51との当接に応じて弾性変形部94は弾性変形することによって引き出しストッパ51から離脱される。それから、第2受け部材82が第2位置近傍に迫ると、弾性変形部94は後側から押し入れストッパ93に当接して弾性変形する。これにより、押し入れストッパ93と弾性変形部94とは係合する。なお、第2受け部材82が第2位置から第1位置に向けて移動するとき、弾性変形部94は弾性変形することによって押し入れストッパ93から離脱される。
【0054】
引き出しストッパ51及び押し入れストッパ93と弾性変形部94との離脱及び係合は、以下の動作となる。第2受け部材82が第1受け部材81に対して後側に移動するときは、引き出しストッパ51及び押し入れストッパ93の前側のテーパと当接することにより、弾性変形部94の先端が左右方向9外側に向かって変形させられる。このときユーザは、それぞれのストッパ51、93による規制を解除するために、所定以上の力が必要となる。前側のテーパを超えると、後側のテーパと当接しながら弾性変形から復帰し、係合または離脱が完了となる。このとき、ユーザには、クリック感が与えられる。また、第2受け部材82が第1受け部材81に対して前側に移動するときは、引き出しストッパ51及び押し入れストッパ93の後側のテーパと当接することにより、弾性変形部94の先端が左右方向9外側に向かって変形させられる。このときユーザは、それぞれのストッパ51、93による規制を解除するために、所定以上の力が必要となる。後側のテーパを超えると、前側のテーパと当接しながら弾性変形から復帰し、係合または離脱が完了となる。このとき、ユーザには、クリック感が与えられる。
【0055】
以上より、第1受け部材81の引き出しストッパ51は、第1位置の第2受け部材82と弾性変形によって係脱可能であり、第1受け部材81の押し入れストッパ93は、第2位置の第2受け部材82と弾性変形によって係脱可能である。なお、本実施形態では、第1受け部材81にストッパが設けられ、第2受け部材82に弾性変形部94が設けられていたが、第2受け部材82にストッパが設けられ、第1受け部材81に弾性変形部94が設けられていてもよい。
【0056】
図3に示されるように、第2受け部材82は、第2トレイ73に下側から支持されている。詳述すると、第2受け部材82の前端部68が、第2トレイ73の前板79に支持されている。また、図5に示されるように、第2受け部材82の前端部の左右両端部の下面側には、孔60が設けられている。一方、図8に示されるように、第2トレイ73の前板79における孔60に対向する位置には、突起52が設けられている。そして、第2受け部材82が第2トレイ73に支持された状態では、当該突起52が孔60に係入されている。つまり、第2受け部材82は、第2トレイ73と係合されている。これにより、第2トレイ73が第1トレイ72に対して摺動されると、第2受け部材82が第1受け部材81に対して摺動する。
【0057】
[連結部材83]
図4及び図5に示されるように、連結部材83は、底板部95と、底板部95の左右両端部から上向き(本発明の立設向きの一例)に立設され且つ前後方向8(本発明の延設向きの一例)に延設された一対の立設部96とを備えている。立設部96は、左右方向9において離間して2つ設けられているため、本発明の延設部の一例である。連結部材83は、樹脂成形されたものである。
【0058】
図3及び図7〜9に示されるように、連結部材83は、第1受け部材81の収容部86に収容されている。詳細には、図7(B)及び図9(A)、(B)に示されるように、底板部95は、第1受け部材81の本体板84に支持されている。連結部材83は、第1受け部材81に形成された収容部86に嵌りこむよう形成されている。連結部材83は、上方が開放されている。 本実施形態においては、中央よりも左側に1つの連結部材83が配置されており、中央よりも右側に1つの連結部材83が配置されている。第2受け部材82において、右側の連結部材83の前側には、ユーザが把持するための孔が形成されている。そのため、右側の連結部材83は、左側の連結部材83よりも前後方向8において短い 。
【0059】
また、図7及び図9に示されるように、右側の立設部96は、収容部86を構成する2つのリブ85のうち右側のリブ85の左側に、当該右側のリブ85と当接可能に配置されている。左側の立設部96は、収容部86を構成する2つのリブ85のうち左側のリブ85の右側に、当該左側のリブ85と当接可能に配置されている。さらに、立設部96の上端側に上から当接するよう、リブ85は庇部を有している。
【0060】
また、図7及び図9に示されるように、一対の立設部96の内側には、第2受け部材82の2本のリブ90Aが、連結部材83の上側から底板部95に向けて延びている。2本のリブ90Aのうち右側のリブ90Aには、右側の立設部96の左側に向かって突出した突部53が前後方向8に沿って複数配置されている。この突部53が当該右側の立設部96と当接可能に配置されている。また、2本のリブ90Aのうち左側のリブ90Aには、左側の立設部96の右側に向かって突出した突部54が前後方向8に沿って複数配置されている。この突部54が当該左側の立設部96と当接可能に配置されている。さらに、第2受け部材82のリブ90Aは、連結部材83の底板部95に上方から当接可能に配置されている。
【0061】
以上より、各立設部96は、左右方向9において、第1受け部材81のリブ85と第2受け部材82のリブ90とに挟まれるようにして配置されている。これにより、連結部材83は、左右方向9への移動を規制されている。また、以上より、底板部95は、上下方向7において、第1受け部材81の本体板84と第2受け部材82のリブ90とに挟まれるようにして配置されている。これにより、連結部材83は、上下方向7への移動を規制されている。一方で、連結部材83は、後述する第1受け部材81の被係合部99(図5参照)及び第2受け部材82の前端部68を除いて、第1受け部材81及び第2受け部材82によって前後方向8への移動を規制されていない。
【0062】
以上より、連結部材83は、第1受け部材81に対して引き出し向きに沿って摺動可能に連結し、且つ第2受け部材82に対して引き出し向きに沿って摺動可能に連結している。なお、連結部材83は第1受け部材81に対して摺動可能な程度にガタをもって配置されており、そのガタ以上の左右方向9への移動があると、リブ85と当接する。 また、連結部材83は第2受け部材82に対して摺動可能な程度にガタをもって配置されており、そのガタ以上の左右方向9への移動があると、リブ90Aの突部53、54と当接する。 ただし、連結部材83が第1受け部材81に対して常に左右方向9で当接してももちろんよく、連結部材83が第1受け部材81に対して常に左右方向9で当接してももちろんよい。
【0063】
図5図13、及び図15に示されるように、連結部材83の底板部95の前端(本発明の第1端の一例)の近傍には、第1係合部97が設けられている。第1係合部97は、底板部95に形成された開口100と、開口100の前側の縁から上側へ突出した突部101とで構成されている。
【0064】
また、底板部95の前端よりも引き出し向き上流側である後端(本発明の第2端の一例)の近傍には、第2係合部98が設けられている。第1係合部97と第2係合部98との左右方向9の位置は同位置である。第2係合部98は、底板部95に形成された開口104と、開口104の後側の縁から下側へ突出した突部105で構成されている。
【0065】
一方、第2受け部材82が第2位置にあるときの第2受け部材82の本体板89における第1係合部97と対向する位置には、第1被係合部106が設けられている。第1被係合部106は、本体板89から下方に突出しており、かつ左右方向9に沿って長いリブ形状となっている。第1受け部材81の本体板84における第2係合部98と対向する位置には、第2被係合部99が設けられている。第2被係合部99は、本体板95に形成された開口102と、開口102の前側の縁から上側へ突出した突部103とで構成されている。
【0066】
また、第1受け部材81の後端近傍には、連結部材83の後端109と当接可能な第1当接部107が形成されている。第1当接部107は、リブ85Bの後端近傍に設けられており、2つのリブ85Bの左右方向9の間隔を狭めるよう壁状となっている。さらに、第2受け部材82の前端111近傍には、連結部材83の前端112と当接可能な第2当接部108が形成されている。第2当接部108は、第2受け部材82の前端部68の後ろ側面に設けられており、リブ形状となっている。
【0067】
そして、連結部材83は、前向きに移動する際に、第2係合部98の開口104に突部103が進入し、突部105が突部103と当接することによって、それ以上の前向きへの移動が規制される。また、連結部材83は、後向きに移動する際に、連結部材83の後端109が第1当接部107と当接することによって、それ以上の後向きへの移動が規制される。
【0068】
なお、上述したように、連結部材83は、収容部86に収容されている。つまり、連結部材83は、左右方向9における第1受け部材81の端部よりも中央側にて第1受け部材81と連結し、且つ、左右方向9における第2受け部材81の端部よりも中央側にて第2受け部材82と連結している。
【0069】
[第1受け部材81に対する第2受け部材82及び連結部材83の摺動動作]
以下、第1受け部材81に対する第2受け部材82及び連結部材83の摺動動作について説明する。
【0070】
図2及び図11〜13に示されるように、第2受け部材82が第1受け部材81に押し入れられている状態、つまり第2受け部材82が第1位置に位置する状態では、連結部材83の前端112は、第1受け部材81の前端110及び第2受け部材82の前端111よりも後側に位置し、連結部材83の後端109は、第1受け部材81の後端113及び第2受け部材82の後端114よりも前側に位置している。換言すると、第2受け部材82が第1位置に位置する状態では、連結部材83は、前後方向8において第1受け部材81と第2受け部材82とが重なる範囲内に位置している。
【0071】
なお、上記状態では、連結部材83の後端109が第1当接部107と当接している。そして、これにより、連結部材83が現状よりも後向きへ移動することが規制されている。また、引き出しストッパ51と弾性変形部94とが係合しており、前側への移動は、所定の力で規制されている。
【0072】
上記状態において、ユーザが第2受け部材82の前端部68と第2トレイ73の前板79(図2及び図3参照)とを把持して前側に引き出すと、第2受け部材82は、第2トレイ73と係合されているため、第2トレイ73の移動とともに、第2受け部材82も移動する。第2受け部材82が第1受け部材81に対して前側へ、つまり第2位置へ向けて摺動されると、引き出しストッパ51と弾性変形部94とが離間し、第2受け部材82のみが先に前側へ移動する。さらに第2受け部材82が前側へ移動すると、第2受け部材82の第1被係合部106が連結部材83の第1係合部97の突部101と当接した後、第1被係合部106が、連結部材83の第1係合部97の突部101を後側から前向きに押す。これにより、連結部材83は第2受け部材82とともに前側へ摺動される。
【0073】
前側へ摺動されている連結部材83の第2係合部98の突部105が、第1受け部材81の突部103と当接すると、連結部材83の前側への摺動は制止され、それとともに第2受け部材82の前側への摺動は制止される。このとき、図3図14、及び図15に示されるように、第2受け部材82は、第1受け部材81に対して引き出されている状態であり、第2位置に位置している。なお、摺動が制止される前に押し入れストッパ93(図4参照)と弾性変形部94とは係合を開始し、摺動が制止された状態では、押し入れストッパ93と弾性変形部94とは係合を完了している。
【0074】
第2受け部材82が第2位置に位置する状態では、連結部材83の前端112は、第1受け部材81の前端110よりも前側に位置し、且つ連結部材83の後端109は、第2受け部材82の後端114よりも後側に位置している。換言すると、第2受け部材82が第2位置に位置する状態では、前後方向8における第1受け部材81と連結部材83とが重なる長さ、及び前後方向8における第2受け部材82と連結部材83とが重なる長さは、いずれも前後方向8における第1受け部材81と第2受け部材82とが重なる長さよりも長い。
【0075】
上記状態において、ユーザが第2受け部材82の前端側68と第2トレイ73の前板79とを把持して後側に押し入れると、第2受け部材82は、第2トレイ73と係合されているため、第2トレイ73の移動とともに、第2受け部材82も移動する。第2受け部材82が第1受け部材81に対して後側へ、つまり第1位置へ向けて摺動されると、押し入れストッパ93と弾性変形部94とが離間し、第2受け部材82のみが第1受け部材81に対して移動する。第2受け部材の第2当接部108が連結部材83の前端112と当接するまでの間、第2受け部材82のみが摺動され、連結部材83は摺動されない。そして、第2受け部材62の第2当接部108が連結部材83の前端112と当接すると、連結部材83は、第2当接部108に押されて第2受け部材62とともに第1位置へ向けて摺動される。また、これにより、連結部材83の第2係合部98は、第1受け部材81の被係合部99の突部103から離間される。その後、連結部材83の後端113が第1当接部107と当接することによって、連結部材83の移動は制止され、これにより第2受け部材82の移動も制止される。このとき、第2受け部材82は、第1受け部材81に対して図2及び図11〜13に示されるように押し入れられている状態であり、第1位置に位置している。なお、このとき、摺動が制止される前に引き出しストッパ51と弾性変形部94とは係合を開始し、摺動が制止された状態では、押し入れストッパ93と弾性変形部94とは係合を完了している。第2受け部材82と連結部材83とが移動する間、第1受け部材81のリブ85によって、第2受け部材82と連結部材83とは前後方向8に沿った方向に案内されている。
【0076】
なお、第1位置にある第2受け部材82を引き出す際に、先に第2受け部材82と連結部材83とがともに移動し、第2係合部98の突部105と第2被係合部99の突部103とが当接して移動が制止された後、第2受け部材82のみが第1受け部材81に対して摺動して移動してもよい。また、第2位置にある第2受け部材82を押し込む際に、先に第2受け部材82と連結部材83とがともに移動し、連結部材83の後端109が第1当接部107と当接して移動が制止された後、第2受け部材82のみが第1受け部材81に対して摺動して移動してもよい。この移動時の摺動状態は、第1受け部材81と連結部材83との間の摩擦係数や力のかかり具合、及び、第2受け部材82と連結部材83との間の摩擦係数や力のかかり具合等によって、変化する。
【0077】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、第2受け部材82が第2位置に位置することにより、引き出し向きにおける第1受け部材81と第2受け部材82とが重なる範囲が短くなっても、短くなった当該重なる範囲は、連結部材83によって補強される。詳述すると、連結部材83を設けることによって、引き出し向きにおいて、第1受け部材81と第2受け部材82とが重なる範囲を、第1受け部材81と連結部材83とが重なる範囲及び第2受け部材82と連結部材83とが重なる範囲まで見かけ上長くすることができる。これにより、第1受け部材81及び第2受け部材82の剛性を高く維持することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、第1受け部材81における複数のリブ85の間以外の箇所に収容部86が設けられる場合、収容部86が配置される分だけ、第1受け部材81が大型化してしまうおそれがある。しかし、本実施形態によれば、複数のリブ85を配置するために必要な空間と、収容部86を配置するために必要な空間とを共用することができるため、第1受け部材81の大型化を抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、収容部86の本体板84と連結部材83の底板部95とが当接されており、収容部86のリブ85と連結部材83の立設部96とが同じ向きに立設且つ延設されている。そのため、本実施形態によれば、連結部材83によって妨げられることなく第2受け部材82のリブ90を第1受け部材81に向けて延ばして配置することができる。その結果、第1受け部材81と第2受け部材82との剛性を高くすることができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、左右方向9における中央部の低リブ85Aが、左右方向9における両端部の高リブ85Bの立設先端よりも低位置である。これにより、リブ85の上面に排出された記録用紙15は、左右方向9において湾曲形状となり、剛性が高くなる。その結果、本実施形態によれば、記録用紙15を、排出時に折れ曲がりにくくすることができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、記録用紙15は傾斜部91に沿って排出されるため、当該記録用紙15が立設部96の間に入り込む可能性を低くすることができる。また、本実施形態によれば、左右方向9において、連結部材83が存在している位置に傾斜部91を配置することができる。そのため、連結部材83が存在している構成であっても、左右方向9において、傾斜部91が配置される範囲を大きくすることができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、引き出しストッパ51及び押し入れストッパ93によって、第1受け部材81と第2受け部材82との間の位置決めを連結部材83を介することなく行うことができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、第2トレイ73を第1トレイ72に対して引き出すことによって、第2受け部材82を第1受け部材81に対して引き出すことができ、第2トレイ73を第1トレイ72に対して押し入れることによって、第2受け部材82を第1受け部材81に対して押し入れることができる。
【0084】
[変形例]
上述の実施形態では、第2受け部材82が第1受け部材81に対して前後方向8に摺動したが、第1受け部材81が第2受け部材82に対して前後方向8に摺動してもよい。つまり、第2受け部材82が本発明の第1受け部材の一例であり、第1受け部材81が本発明の第2受け部材の一例であってもよい。
【0085】
また、連結部材83は、第1受け部材81の左右端よりも内側に配置されていたが、左右端に配置されても良いし、収容部86に収容される構成でなくても良い。
【0086】
さらに、第1位置にある第2受け部材82は、第1受け部材81に対して完全に重なるよう設けられているが、引き出された状態から、それよりも後ろ側に位置する状態であれば、第1受け部材81に対して完全に重ならなくても良い。
【0087】
また、第1受け部材81と第2受け部材82とは、給紙トレイ20の上側に取り付けられていたが、複合機10に取り付けられるなどして、給紙トレイ20とは別体であってももちろんよい。また、引き出しストッパ51及び押し入れストッパ93と弾性変形部94との係合によって第1受け部材81に対する第2受け部材82の位置決めを行っていたが、別の方法で行っても良い。例えば、第2受け部材82が第2トレイ73に係合しており、第1受け部材81が第1トレイ72に係合している構成であって、第1トレイ72に対して第2トレイ73が位置決めされる構成を設けてあれば、第1トレイ72及び第2トレイ73を介して、第1受け部材81に対して第2受け部材82の位置決めが可能となる。
【符号の説明】
【0088】
7・・・上下方向
8・・・前後方向
9・・・左右方向
10・・・複合機
15・・・記録用紙
19・・・シート受け装置
81・・・第1受け部材
82・・・第2受け部材
83・・・連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15