(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出力ステップにおける出力が上限設定候補値から最大の物理量に到達するまでの時間が、前記制御ステップにおいて前記弁にOFF信号を出力してから前記弁が閉状態となるまでのOFF応答時間と一致したときの前記上限設定候補値を前記上限設定値として設定する上限設定ステップと、
前記出力ステップにおける出力が下限設定候補値から最小の物理量に到達するまでの時間が、前記制御ステップにおいて前記弁にON信号を出力してから前記弁が開状態となるまでのON応答時間と一致したときの前記下限設定候補値を前記下限設定値として設定する下限設定ステップとをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のエアー洗浄方法。
前記検出部は、圧力センサを有し、前記ノズル内の流路における圧力、または、前記ノズル近傍の流路における圧力を前記物理量として出力することを特徴とする、請求項8に記載のエアー洗浄装置。
請求項8または9に記載のエアー洗浄装置としてコンピュータを機能させるためのエアー洗浄プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるためのエアー洗浄プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、どのような種類のノズルであっても、最大圧力が使用圧力となるように、バルブの開閉を時間によって制御することは困難である。具体的には、ノズルの種類によって形状、流路長や流量等が異なるので、バルブを開状態にしてからノズル内が最大圧力に到達するまでの時間がノズルの種類によって異なる。このため、バルブの開閉の頻度は、ノズルの種類によって変えなければ、最大圧力を使用圧力とすることはできない。
【0007】
また、非特許文献1によれば、エアー洗浄装置は、可能な限り間欠的にエアーを吹き付けることが除去率向上には好ましい。しかしながら、特許文献1のエアー洗浄装置において、バルブの開閉頻度の設定の際には、バルブを開状態にしてからノズル内が最大圧力となるまでの周期を考慮してバルブの開閉頻度を設定しなければ、高速の間欠的なエアーの吹き付け、および、最大圧力のエアーの吹き付けは実現できない。この実現のためには、バルブを開状態にしてからノズル内が最大圧力となるまでの周期に合わせて、バルブの最適な開閉頻度を設定する操作を試験的に何度も繰り返さなければならない。このような操作は、非効率的である。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、効率的に除去率を向上させることが可能なエアー洗浄方法、エアー洗浄装置、プログラムおよび記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のエアー洗浄方法は、エアーをノズルから洗浄対象物に吹き付けることにより該洗浄対象物を洗浄するためのエアー洗浄方法であって、上限設定値と、該上限設定値より小さい下限設定値との2つの基準値に基づいて、エアーが前記ノズルに至る流路の途中に設けられる弁の開閉を制御する制御ステップと、前記弁の開閉に応じて変化する、エアーに関連した物理量を出力する出力ステップとを含み、前記制御ステップは、前記出力ステップにおいて出力される物理量が上限設定値未満から上限設定値以上に変化したとき、前記弁を閉状態にするOFF信号を前記弁に出力し、前記出力ステップにおいて出力される物理量が下限設定値より大きい値から下限設定値以下に変化したとき、前記弁を開状態にするON信号を前記弁に出力する。
【0010】
上記の構成によれば、弁が開状態のときには、ノズルにエアーが供給されるので、ノズルに供給されるエアーが増加するにつれて、出力ステップにおいて出力される物理量が最大の物理量に向けて上昇していく。すなわち、出力ステップにおいて出力される物理量は、ノズルにエアーが供給されることによるノズル内の圧力の上昇につれて上昇する。したがって、ノズル内が上限設定値に相当する圧力に到達したときに弁を開状態から閉状態に切り換えることができる。
【0011】
弁が閉状態のときには、ノズルにエアーが供給されなくなるので、ノズル内のエアーが減少するにつれて、出力ステップにおいて出力されるエアーが最小圧力に向けて低下していく。すなわち、出力ステップにおいて出力される物理量は、ノズル内の圧力の低下につれて低下する。したがって、ノズル内が下限設定値に相当する圧力に到達したときに弁を閉状態から開状態に切り換えることができる。
【0012】
また、弁は、ON信号が入力されてから開状態となるまでの遅れ時間と、OFF信号が入力されてから閉状態となるまでの遅れ時間とが存在する。この遅れ時間を利用しているため、最大の物理量に相当する最大圧力に到達する前に弁を開状態から閉状態に切り替えても、上限設定値に相当する圧力を超えた圧力のエアーを吹き付けることができ、最小の物理量に相当する最小圧力に到達する前に弁を閉状態から開状態に切り替えても、下限設定値に相当する圧力を下回る圧力のエアーを吹き付けることができる。したがって、上限設定値および下限設定値を適切に調整することで、最大圧力および最小圧力を使用圧力としたエアーを吹き付けることができる。すなわち、間欠的なエアーの吹き付け動作を高速にすることができる。
【0013】
したがって、効率的に除去率を向上させることが可能なエアー洗浄方法を提供することができる。
【0014】
さらに、本発明のエアー洗浄方法は、前記出力ステップにおける出力が上限設定候補値から最大の物理量に到達するまでの時間が、前記制御ステップにおいて前記弁にOFF信号を出力してから前記弁が閉状態となるまでのOFF応答時間と一致したときの前記上限設定候補値を前記上限設定値として設定する上限設定ステップと、前記出力ステップにおける出力が下限設定候補値から最小の物理量に到達するまでの時間が、前記制御ステップにおいて前記弁にON信号を出力してから前記弁が開状態となるまでのON応答時間と一致したときの前記下限設定候補値を前記下限設定値として設定する下限設定ステップとをさらに含む。
【0015】
上記の構成によれば、最大の物理量に相当する最大圧力に到達したあと、時間を空けずに弁を開状態から閉状態に切り換え、最小の物理量に相当する最小圧力に到達したあと、弁を閉状態から開状態に切り換えることができるので、間欠的なエアーの吹き付け動作を最速にすることができる。
【0016】
さらに、本発明のエアー洗浄方法は、洗浄時における異常を検出する第1異常検出ステップをさらに含み、前記第1異常検出ステップは、前記弁を開状態にするためのON信号が該弁に出力されてから第1設定検出時間の経過時に、前記出力ステップにおける出力が前記上限設定値未満である場合、異常と判断して、洗浄を停止し、前記弁を閉状態にするためにOFF信号が該弁に出力されてから第2設定検出時間の経過時に、前記出力ステップにおける出力が前記下限設定値より大きい場合、異常と判断して、洗浄を停止する。
【0017】
また、本発明のエアー洗浄方法は、洗浄時における異常を検出する第2異常検出ステップをさらに含み、前記第2異常検出ステップは、洗浄を開始してから設定終了時間が終了するまでに洗浄が終了しない場合、異常と判断して、洗浄を停止する。
【0018】
上記の構成によれば、弁の開閉の不良やノズルに至る流路における詰まりによって生じる不完全なエアーの吹き付けを防止することができる。
【0019】
さらに、本発明のエアー洗浄方法は、前記弁の寿命を検出する寿命検出ステップと、前記出力ステップにおいて出力される物理量の変化をパルスとしてカウントするカウントステップとをさらに含み、前記寿命検出ステップは、前記カウントステップにおいてカウントされたパルスの回数を積算したパルス積算回数が設定寿命回数に達したと判断すると、前記弁の点検および交換の通知をする。
【0020】
上記の構成によれば、弁の開閉の不良が生じるのを未然に防止することができる。
【0021】
さらに、本発明のエアー洗浄方法は、前記出力ステップが出力する物理量は、前記ノズル内の圧力値であり、前記上限設定値は、最大圧力近傍であり、前記下限設定値は、最小圧力0(MPa)近傍である。
【0022】
上記の構成によれば、最小圧力0(MPa)を使用圧力とした完全なパルスエアーの吹き付けを実現することができる。
【0023】
さらに、本発明のエアー洗浄方法において、前記弁は、電磁弁であることが好ましい。
【0024】
さらに、上記の課題を解決するために、本発明のエアー洗浄装置は、エアーをノズルから洗浄対象物に吹き付けることにより該洗浄対象物を洗浄するためのエアー洗浄装置であって、エアーが前記ノズルに至る流路の途中に設けられ、該流路を開閉する弁と、前記弁の開閉に応じて変化する、エアーに関連した物理量を出力する検出部と、上限設定値と、該上限設定値より小さい下限設定値との2つの基準値に基づいて前記弁の開閉を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記検出部が出力する物理量が上限設定値未満から該上限設定値以上に変化したとき、前記弁を閉状態にし、前記検出部が出力する物理量が下限設定値より大きい値から下限設定値以下に変化したとき、前記弁を開状態にする。
【0025】
上記の構成によれば、効率的に除去率を向上させることが可能なエアー洗浄装置を提供することができる。
【0026】
さらに、本発明のエアー洗浄装置において、前記検出部は、圧力センサを有し、前記ノズル内の流路における圧力、または、前記ノズル近傍の流路における圧力を前記物理量として出力する。
【0027】
本発明の各態様に係るエアー洗浄装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記エアー洗浄装置が備える各手段として動作させることにより上記エアー洗浄装置をコンピュータにて実現させるエアー洗浄装置のエアー洗浄プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、効率的に除去率を向上させることができるといった効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0031】
図1は、本発明の実施形態におけるエアー洗浄装置の一例を示す構成図である。
図2は、本発明の実施形態におけるエアー洗浄装置の一例を示す機能ブロック図である。エアー洗浄装置は、支持体によって所定高さに保たれた洗浄対象物に対して、パルスエアーを吹き付けることにより塵等を除去する装置である。エアー洗浄装置によって洗浄対象物から除去された塵は、吸塵ダクトを通って、吸塵機によって集められる。
【0032】
図1,2に示されるように、エアー洗浄装置1は、シーケンス制御装置(制御装置)100と、レギュレータ(フィルタ付減圧弁)10と、エアー配管70によって互いに接続されたミストフィルタ20、電磁弁30、インラインフィルタ40および吹付機(吹付部)50と、二位置圧力スイッチ(コンパレータ)60とを含む。シーケンス制御装置100とコンパレータ60とでパルス制御部200が構成され、レギュレータ10、ミストフィルタ20、電磁弁30およびインラインフィルタ40で空圧制御部300が構成される。
【0033】
レギュレータ10は、図示しないエアー供給部からの加圧されたエアーの圧力を所定の圧力に調整したエアーをミストフィルタ20に供給する。ミストフィルタ20は、レギュレータ10から送られてきたエアーからミストを除去する。
【0034】
電磁弁30は、ミストフィルタ20とインラインフィルタ40との間に介在し、シーケンス制御装置100によって開閉が制御される。インラインフィルタ40は、エアー内に含まれる異物を捕集および除去する。
【0035】
吹付機50は、レギュレータ10、ミストフィルタ20、電磁弁30およびインラインフィルタ40を通過してきたエアーに基づいて、洗浄対象物にパルスエアーを吹き付ける。ここで、吹付機50の構成について、図を用いて説明する。
【0036】
図3は、吹付機の一例を示す構成図である。
図3に示されるように、吹付機50は、ノズル51と、パルス検出部(検出部)53とで構成される。ノズル51は、筒状で、先端に向かうに連れて径が小さいテーパ形状となっており、先端には細い孔が設けられている。エアーは、ノズル51の孔から放出される。
【0037】
パルス検出部53は、例えば圧力センサであり、ノズル51に設けられる。具体的には、ノズル51には、エアーの流路と連通する開口が筒の側面に設けられ、その開口に筒の外側からパルス検出部53が埋め込まれる。このため、パルス検出部53は、ノズル51内の圧力を検出することが可能である。パルス検出部53は、検出した圧力値を含む圧力信号をアナログ信号入力回路230を介してコンパレータ60に出力する。
【0038】
なお、ここでは、パルス検出部53がノズル51に設けられる場合を例に説明したが、これに限定するものではない。例えば、
図4に示すように、エアー配管70のうちノズル51に近い位置に、エアーの流路に連通する開口を設け、その開口にエアー配管70の外側からパルス検出部53を埋め込む構成であってもよい。
【0039】
コンパレータ60は、パルス検出部53によって検出された圧力値と、予め設定された上限設定値および下限設定値とを比較する。上限設定値は、レギュレータ10から供給される圧力(以下、「最大圧力」という)近傍であり、例えば0.1〜0.2(MPa)であることが好ましい。下限設定値は、ノズル51内における最小圧力0(MPa)近傍であることが好ましく、例えば0.01〜0.02(MPa)の範囲内である。
【0040】
コンパレータ60は、パルス検出部53によって検出された圧力値が上限設定値未満から上限設定値以上に変化したならば、その旨を示す第1比較信号をシーケンス制御装置100に出力し、パルス検出部53によって検出された圧力値が下限設定値より大きい値から下限設定値以下に変化したならば、その旨を示す第2比較信号をシーケンス制御装置100に出力する。
【0041】
シーケンス制御装置100は、コンパレータ60が出力する信号に基づいて、電磁弁30の開閉を制御する。シーケンス制御装置100は、コンパレータ60から第1比較信号が入力されると、電磁弁30にOFF信号を出力することにより電磁弁30を閉状態にする。これにより、レギュレータ10からノズル51までの流路が閉じられる。
【0042】
シーケンス制御装置100は、コンパレータ60から第2比較信号が入力されると、電磁弁30にON信号を出力することにより電磁弁30を開状態にする。これにより、レギュレータ10からノズル51までの流路が形成される。
【0043】
シーケンス制御装置100の指示により電磁弁30が開状態となると、吹付機50にエアーが供給されることによりノズル51内の圧力は最大圧力に向けて急峻に高くなる。このため、吹付機50は、強い圧力のエアーを瞬時に放出することができる。一方、シーケンス制御装置100の指示により電磁弁30が閉状態となると、吹付機50にエアーが供給されなくなることによりノズル51内の圧力は最小圧力に向けて急峻に低くなる。このため、吹付機50は、エアーの吹き付けを瞬時に抑えることができる。このように、シーケンス制御装置100の指示により電磁弁30の開閉を繰り返すことで、エアーを間欠的に吹き付けることができる。
【0044】
図5は、エアー洗浄装置の動作チャートを示す図である。電磁弁30がシーケンス制御装置100からON信号が入力されると(弁開閉信号:ON)、ON応答時間の経過時後に電磁弁30の出口における圧力(弁出口圧力)、ノズル51内の圧力(ノズル圧力)と吹付機50によってエアーが吹き付けられる洗浄対象物の面の衝突圧力(以下、単に「衝突圧力」という)とが上昇し始める。ON応答時間は、電磁弁30にON信号が入力されてから電磁弁30が開状態となるまでの遅れの時間である。
【0045】
ON応答時間経過後は、ノズル51内にエアーが供給されていくに連れてノズル51内の圧力および衝突圧力(エアー噴付面の衝突圧力)が上昇していく。そして、昇圧時間の経過後、ノズル51内の圧力は上限設定値に到達し、上限設定値に到達したことがコンパレータ60により検出されると(コンパレータ60の出力:1)、シーケンス制御装置100からOFF信号が電磁弁30に入力される(弁開閉信号:OFF)。昇圧時間は、エアーが電磁弁30を通過し、電磁弁30からノズル51までの流路がエアーで満たされるまでの時間である。
【0046】
電磁弁30にOFF信号が入力されると(弁開閉信号:OFF)、OFF応答時間の経過後に電磁弁30における出口の圧力、ノズル51内の圧力および衝突圧力が下降し始める。OFF応答時間は、電磁弁30にOFF信号が入力されてから電磁弁30が閉状態となるまでの遅れの時間である。この時間が存在するため、電磁弁30にOFF信号が入力されてから電磁弁30が閉状態となるまで、ノズル51内の圧力は、上昇し続け、上限設定値を超えて最大圧力となる。また、衝突圧力は、ノズル51内の圧力の上昇に伴って上昇し、最大の圧力に到達する。
【0047】
OFF応答時間経過後は、ノズル51からエアーが放出されるに連れてノズル51内の圧力および衝突圧力が下降していく。そして、降圧時間の経過後、ノズル51内の圧力は下限設定値に到達し、下限設定値に到達したことがコンパレータ60により検出されると(コンパレータ60の出力:0)、シーケンス制御装置100からON信号が電磁弁30に入力される。
【0048】
降圧時間は、電磁弁30からノズル51までの流路に存在するエアーが完全にノズル51から放出されるまでの時間である。この時間が存在するため、電磁弁30にON信号が入力されてから電磁弁30が開状態となるまで、ノズル51内の圧力は、下降し続け、下限設定値を下回って最小圧力0(MPa)となる。また、衝突圧力は、ノズル51内の圧力の低下に伴って低下し、最小圧力0(MPa)に到達する。
【0049】
なお、ON応答時間およびOFF応答時間は、電磁弁固有のものであり、その種類、固体および動作電圧のバラツキにより異なる。
【0050】
また、電磁弁30が開状態となった後は、ノズル51内の圧力の上昇に伴って、衝突圧力は上昇し、最大の圧力に到達し、電磁弁30が閉状態となった後は、ノズル51内の圧力の低下に伴って、衝突圧力は低下し、最小圧力0(MPa)に到達することを上述したが、このことは、ノズル51内の圧力の上昇と衝突圧力の上昇、および、ノズル51内の圧力の下降と衝突圧力の下降が同期していることを示す
図7の実験データにより本発明者により初めて実証されている。
【0051】
上述したように、電磁弁30の開閉は、ON応答時間、昇圧時間、OFF応答時間および降圧時間を考慮に入れて制御される。すなわち、最小圧力に到達する前の下限設定値のときに電磁弁30にON信号を出力することで、最小圧力に到達したときに電磁弁30を開状態にすることができる。換言すれば、ノズル51内の圧力が下限設定値から最小圧力に到達するまでの時間をON応答時間に一致させている。このため、最小圧力に到達した後、時間を空けずにノズル51内の圧力を上昇させることができる。
【0052】
一方、最大圧力に到達する前の上限設定値のときに電磁弁30にOFF信号を出力することで、最大圧力に到達したときに電磁弁30を閉状態にすることができる。換言すれば、ノズル51内の圧力が上限設定値から最大圧力に到達するまでの時間をOFF応答時間に一致させている。このため、最大圧力に到達した後、時間を空けずにノズル51内の圧力を下降させることができる。
【0053】
したがって、最大圧力と最小圧力を利用したエアーの吹き付けの間欠的な動作の最速化を実現することができる。従来のタイマ等によって、バルブの最適な開閉頻度を設定する構成では、ON応答時間と昇圧時間とを含めた時間と、OFF応答時間と降圧時間とを含めた時間とを考慮する必要があり、これら時間を把握して適した開閉頻度を設定するのは困難である。これに対して、本実施形態におけるエアー洗浄装置1は、ノズル51内において最大圧力付近である上限設定値で示される圧力および最小圧力付近である下限設定値で示される圧力がパルス検出部53により把握されることで、電磁弁30の開閉を制御するため、電磁弁30の開閉頻度の設定は不要となる。
【0054】
図1,2に戻って、シーケンス制御装置100は、洗浄時におけるエアー洗浄装置1の異常を検出する異常検出部101と、電磁弁30の寿命を検出する寿命検出部103とを含む。
【0055】
異常検出部101は、洗浄の開始から終了までにおいて異常を検出する。エアー洗浄装置1は、支持体の所定位置に洗浄対象物が位置したことを確認して、パルスエアーの噴出を開始し、パルスエアーの噴出回数が設定噴出回数に到達すると、洗浄を終了する。具体的には、支持体における所定位置を監視するセンサなどを設けており、そのセンサにより洗浄対象物が検出されると、開始信号が外部信号入力回路210を介して入力されるので、その入力により洗浄を開始する。また、洗浄が終了すると、外部信号出力回路220を介して終了信号を出力する。
【0056】
パルスエアーの噴出回数は、例えばパルス検出部53が出力する圧力の変化をパルスとしてカウントした回数である。異常検出部101は、パルス検出部53が上限設定値の圧力を検出した後、下限設定値の圧力を検出すると、1回分のパルスとしてカウントする。なお、パルスエアーの噴出回数は、洗浄の開始から計測され、洗浄の終了時に初期化される。
【0057】
異常検出部101は、洗浄を開始してから設定終了時間内に洗浄が終了しない場合、異常と判断する。また、異常検出部101は、電磁弁30にON信号を出力してから第1設定検出時間内にコンパレータ60により上限設定値が検出されない場合、および、電磁弁30にOFF信号を出力してから第2設定検出時間内にコンパレータ60により下限設定値が検出されない場合、異常と判断する。異常検出部101は、洗浄時において異常と判断した場合、外部信号出力回路220を介して警報信号を出力する。例えば、異常と判断した時点で洗浄を終了させる。これにより、電磁弁30の開閉の不良やノズル51に至る流路における詰まりによって生じる不完全なエアーの吹き付けを防止することができる。
【0058】
寿命検出部103は、電磁弁30が開閉する開閉回数と設定寿命回数とに基づいて、電磁弁30の寿命を検出する。電磁弁30の開閉回数は、例えばパルスエアーの噴出回数を積算した回数である。寿命検出部103は、開閉回数が設定寿命回数に到達した場合、電磁弁30の寿命と判断し、点検・交換を促す信号を出力する。例えば、シーケンス制御装置100が備える表示画面に警告を表示するようにすればよい。これにより、電磁弁30の開閉の不良が生じるのを未然に防止することができる。なお、電磁弁30の開閉回数は、点検・交換が検出されたときに初期化される。
【0059】
図6は、パルスエアー制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。パルスエアー制御処理は、シーケンス制御装置100によってパルスエアー制御プログラムを実行することにより実行される処理である。
【0060】
図6に示されるように、シーケンス制御装置100は、洗浄の開始後、エアー供給部からの供給圧力が設定圧力以上であるか否かを判断する(ステップS01)。供給圧力が設定圧力以上であるならば処理をステップS02に進めるが、そうでなければ処理をステップS14に進める。エアー洗浄装置1は、支持体における所定位置を監視するセンサなどを設けており、そのセンサにより洗浄対象物が検出されると、開始信号が入力されるので、その入力により洗浄を開始する。
【0061】
ステップS02において、シーケンス制御装置100は、第1タイマの値を「0」に設定する。第1タイマは、ステップS01における洗浄の開始からの経過時間を計時する。
【0062】
次のステップS03において、シーケンス制御装置100は、初期化処理を実行し、処理をステップS04に進める。初期化処理は、パルスエアーの噴出回数(パルス回数)を0に設定し、電磁弁30の開閉回数(パルス積算回数)を前回値に設定する処理である。
【0063】
ステップS04において、シーケンス制御装置100は、電磁弁30にON信号を出力することにより、電磁弁30を開状態にする。そして、第2タイマの値を「0」に設定する(ステップS05)。ステップS05における第2タイマは、ステップS04における電磁弁30へのON信号の出力時からの経過時間を計時する。
【0064】
次のステップS06において、シーケンス制御装置100は、ステップS05において第2タイマにより計時された時間が第1設定検出時間に到達したか否かを判断する。ステップS05において第2タイマにより計時された時間が第1設定検出時間以下であるならば処理をステップS07に進めるが、そうでなければ処理をステップS08に進める。
【0065】
ステップS07において、シーケンス制御装置100は、ノズル51内の圧力が上限設定値以上であるか否かを判断する。具体的には、コンパレータ60から第1比較信号が入力されると、ノズル51内の圧力が上限設定値以上と判断する。シーケンス制御装置100は、ノズル51内の圧力が上限設定値以上であるならば処理をステップ09に進めるが、そうでなければ処理をステップS06に戻す。
【0066】
ステップS08において、シーケンス制御装置100は、昇圧異常と判断し、処理をステップS14に進める。
【0067】
ステップS09において、シーケンス制御装置100は、電磁弁30にOFF信号を出力することにより、電磁弁30を閉状態にする。そして、第2タイマの値を「0」に設定する(ステップS10)。ステップS10における第2タイマは、ステップS09における電磁弁30へのOFF信号の出力時からの経過時間を計時する。
【0068】
次のステップS11において、シーケンス制御装置100は、ステップS10において第2タイマにより計測された時間が第2設定検出時間以下であるか否かを判断する。ステップS10において第2タイマにより計測された時間が第2設定検出時間以下であるならば処理をステップS12に進めるが、そうでなければ処理をステップS13に進める。
【0069】
ステップS12において、シーケンス制御装置100は、ノズル51内の圧力が下限設定値以下であるか否かを判断する。具体的には、コンパレータ60から第2比較信号が入力されると、ノズル51内の圧力が下限設定値以下と判断する。シーケンス制御装置100は、ノズル51内の圧力が下限設定値以下であるならば処理をステップ15に進めるが、そうでなければ処理をステップS11に戻す。
【0070】
ステップS13において、シーケンス制御装置100は、降圧異常と判断し、処理をステップS14に進める。ステップS14において、シーケンス制御装置100は、エアー洗浄装置1全体を停止させ、パルスエアー制御処理を終了する。
【0071】
ステップS15において、シーケンス制御装置100は、パルス回数をカウントするカウントアップ処理を実行する。具体的には、ステップS07においてノズル51内の圧力が上限設定値以上に達した後、ステップS12において下限設定値以下に達したので、この変化を1回のパルス回数としてカウントする。
【0072】
次のステップS16において、シーケンス制御装置100は、ステップS15においてカウントされたパルス回数が設定噴出回数に達したか否かを判断する。ステップS15においてカウントされたパルス回数が設定噴出回数に達したならば処理をステップS19に進めるが、そうでなければ処理をステップS17に進める。ステップS15においてカウントされたパルス回数が設定噴出回数に達したとき、洗浄が終了する。
【0073】
ステップS17において、シーケンス制御装置100は、ステップS02において第1タイマにより計測されている時間が設定終了時間以下であるか否かを判断する。換言すれば、設定終了時間以内に洗浄が終了するか否かを判断する。ステップS02において第1タイマにより計測されている時間が設定終了時間以下であるならば処理をステップS04に戻すが、そうでなければ処理をステップS18に進める。
【0074】
ステップS18において、シーケンス制御装置100は、エアー洗浄装置1全体を停止させ、パルスエアー制御処理を終了する。
【0075】
ステップS19において、シーケンス制御装置100は、パルス積算回数を更新する。具体的には、前回値とステップS16において設定噴出回数に達したパルス回数とを加算した値をパルス積算回数として算出する。
【0076】
次のステップS20において、シーケンス制御装置100は、ステップS19において更新されたパルス積算回数が設定寿命回数未満であるか否かを判断する。ステップS19において更新されたパルス積算回数が設定寿命回数未満であるならばパルスエアー制御処理を終了するが、そうでなければ処理をステップS21に進める。
【0077】
ステップS21において、シーケンス制御装置100は、電磁弁交換警告処理を実行し、処理をステップS22に進める。電磁弁交換警告処理は、点検・交換を促す信号を出力する処理である。
【0078】
ステップS22において、シーケンス制御装置100は、電磁弁30が交換されたか否かを判断する。電磁弁30が交換されたならばパルスエアー制御処理を終了するが、そうでなければ処理をステップS21に戻す。
【0079】
なお、以上説明したように、本発明の実施形態におけるエアー洗浄装置1は、エアーをノズルから洗浄対象物に吹き付けることにより該洗浄対象物を洗浄するための装置であって、エアーがノズル51に至る流路の途中に設けられ、該流路を開閉する電磁弁30と、電磁弁30の開閉に応じて変化する圧力値を出力するパルス検出部53と、上限設定値と、該上限設定値より小さい下限設定値との2つの基準値に基づいて電磁弁30の開閉を制御するシーケンス制御装置100とを備え、シーケンス制御装置100は、パルス検出部53が出力する圧力値が上限設定値未満から該上限設定値以上に変化したとき、電磁弁30を閉状態にし、パルス検出部53が出力する圧力値が下限設定値より大きい値から下限設定値以下に変化したとき、電磁弁30を開状態にする。
【0080】
上記の構成によれば、電磁弁30が開状態のときには、ノズルに供給されるエアーが増加するにつれて、ノズル内の圧力が最大圧力に向けて上昇していくので、ノズル内が上限設定値に相当する圧力に到達したときに電磁弁を開状態から閉状態に切り換えることができる。
【0081】
電磁弁が閉状態のときには、ノズル内のエアーが減少するにつれて、ノズル内の圧力が最小圧力に向けて低下していくので、ノズル内が下限設定値に相当する圧力に到達したときに電磁弁を閉状態から開状態に切り換えることができる。
【0082】
また、電磁弁は、ON信号が入力されてから開状態となるまでの遅れ時間と、OFF信号が入力されてから閉状態となるまでの遅れ時間とが存在する。この遅れ時間を利用しているため、最大圧力に到達する前に電磁弁30を開状態から閉状態に切り替えても、上限設定値に相当する圧力を超えた圧力のエアーを吹き付けることができ、最小圧力に到達する前に電磁弁30を閉状態から開状態に切り替えても、下限設定値に相当する圧力を下回る圧力のエアーを吹き付けることができる。したがって、最大圧力および最小圧力を使用圧力としたエアーを吹き付けることができる。
【0083】
また、最大圧力に到達する前に電磁弁30を開状態から閉状態に切り換え、最小圧力に到達する前に電磁弁30を閉状態から開状態に切り換えることにより、間欠的なエアーの吹き付け動作を高速にすることができる。
【0084】
したがって、効率的に除去率を向上させることが可能なエアー洗浄装置を提供することができる。
【0085】
なお、本実施形態においては、ノズル51にパルス検出部53として圧力センサを設ける構成を例に説明したが、これに限定するものではない。電磁弁30の開閉に応じて変化する、エアーに関連した物理量を出力するセンサであればよく、圧力センサに代えて、流量センサ、風速センサを用いることが可能である。また、温度センサを代用する構成であってもよい。この場合、ノズル51内に熱源を設けておき、ノズル51内の流体による熱源の温度変化を検出する。
【0086】
また、噴出感知センサを代用して、洗浄対象物の温度変化(赤外線)を検出するようにしてもよい。噴出感知センサを代用する場合、赤外線で検出された温度変化を利用して、照射範囲を制御するようにしてもよい。また、電磁弁30に代えて空気作動弁を用い、ノズル51内の圧力の一部を空気作動弁のパイロット信号にループバックすることにより自励式にしてもよい。
【0087】
〔ソフトウェアによる実現例〕
エアー洗浄装置1の制御ブロック(特にシーケンス制御装置100、パルス制御部200)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0088】
後者の場合、エアー洗浄装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0089】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。