特許第5999007号(P5999007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5999007
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】設備状態監視装置及び監視方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   G05B23/02 V
   G05B23/02 301Q
   G05B23/02 301V
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-79784(P2013-79784)
(22)【出願日】2013年4月5日
(65)【公開番号】特開2014-203303(P2014-203303A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100083013
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 正明
(72)【発明者】
【氏名】木戸 健太郎
【審査官】 稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−209415(JP,A)
【文献】 特開昭56−094428(JP,A)
【文献】 特開平11−028642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設備の状態を監視する設備状態監視装置であって、
前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを検出する設備状態検出手段と、
前記設備状態検出手段によって検出された前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りが入力されるシーケンサと、
前記シーケンサに接続され、前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に表示する表示手段と、
を備え、
前記シーケンサは、前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に記憶する記憶手段を有し、
前記シーケンサは、
前記複数の設備を備えた設備システムに生じた異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段によって異常が検出されたときに、前記設備システム全体を停止させる異常停止手段と、
前記異常検出手段によって異常が検出されたときに、前記記憶手段に記憶された前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りと切替り時刻とに基づく前記複数の設備のON/OFF状態の切替りパターンを予め設定された前記複数の設備のON/OFF状態の切替りパターンと比較して該切替りパターンと異なる部分を異常発生部として特定する異常発生部特定手段と、を備えている、
ことを特徴とする設備状態監視装置。
【請求項2】
前記異常発生部特定手段によって特定された前記異常発生部は、前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に表示した前記表示手段の画面において前記異常発生部以外の部分と異なる色で表示される又は点滅して表示される、あるいは音声によって出力される、
ことを特徴とする請求項1に記載の設備状態監視装置。
【請求項3】
前記設備は、物品を搬送する搬送システムの設備である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の設備状態監視装置。
【請求項4】
シーケンサと該シーケンサに接続される表示手段とを用い、複数の設備の状態を監視する設備状態監視方法であって、
複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを検出し、検出された前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りをシーケンサに入力し、前記シーケンサに入力された前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に前記シーケンサに記憶させると共に、前記シーケンサに入力された前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に前記表示手段に表示させ、且つ前記複数の設備を備えた設備システムに生じた異常を検出し、異常が検出されたときに、前記設備システム全体を停止させ、前記シーケンサに記憶された前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りと切替り時刻とに基づく前記複数の設備のON/OFF状態の切替りパターンを予め設定された前記複数の設備のON/OFF状態の切替りパターンと比較して該切替りパターンと異なる部分を異常発生部として特定するようにした、
ことを特徴とする設備状態監視方法。
【請求項5】
前記異常発生部を、前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に表示した前記表示手段の画面において前記異常発生部以外の部分と異なる色で表示させる又は点滅して表示させる、あるいは音声によって出力させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の設備状態監視方法。
【請求項6】
前記設備は、物品を搬送する搬送システムの設備である、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の設備状態監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の設備の状態を監視する設備状態監視装置及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車製造ラインにおける車体を搬送する搬送システムなどでは、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、所謂シーケンサを用い、搬送システムに備えられた複数の機器(設備)の状態を検出してその状態を監視しながら搬送システムを自動運転させることが行われている。
【0003】
このように、シーケンサを用いて複数の設備の状態を監視するものとして、例えば特許文献1には、シーケンサがプログラムを実行しているときにすべての入力接点及び出力接点のON/OFF状態を連続的に検出して記憶する故障診断装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−209415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるように、複数の設備についてそれぞれON/OFF状態を連続的に検出して記憶する場合、シーケンサに記憶される情報量が大きくなることから、シーケンサのメモリ容量を大きくすることが必要となる。特に車体を搬送する搬送システムでは、非常に多くの設備の状態を監視することが必要であるので、非常に大きなメモリ容量を有するシーケンサを用いることが必要となる。
【0006】
図5は、従来の設備状態監視装置を説明するための説明図であり、図5では、設備のON/OFF状態を実線で示している。図5に示すように、従来の設備状態監視装置では、監視開始時から複数の設備A、B、C、DについてそれぞれON/OFF状態を時間と共に連続的に検出してシーケンサに記憶させる。このため、非常に多くの設備の状態を監視する設備状態監視装置では、メモリ容量の大きいシーケンサを用意することが必要となる。
【0007】
図6は、従来の別の設備状態監視装置を説明するための説明図であり、図6では、設備のON状態のみを黒棒で示している。複数の設備A、B、C、DについてそれぞれON/OFF状態を時間と共に連続的に検出してシーケンサに記憶させることに代えて、図6に示すように、この設備状態監視装置では、例えば0.5秒などの所定時間t毎に周期的に複数の設備A、B、C、DについてそれぞれのON/OFF状態を検出してシーケンサに記憶させる。
【0008】
図6に示すように、所定時間毎に周期的に複数の設備A、B、C、DについてそれぞれのON/OFF状態を検出してシーケンサに記憶させる場合、図5に示すように、複数の設備A、B、C、DについてそれぞれON/OFF状態を時間と共に連続的に検出してシーケンサに記憶させる場合に比して、シーケンサに記憶させる情報量を少なくすることができる。
【0009】
しかしながら、所定時間毎に周期的に複数の設備についてそれぞれのON/OFF状態を検出してシーケンサに記憶させる設備状態監視装置では、例えば、図6の斜線棒S10に示す設備Dの時間6tと時間7tとの間に一時的に生じたON/OFF状態の切替りなど、ある検出時刻から次の検出時刻までの間の非検出時間に一時的に生じた設備のON/OFF状態の切替りを検出することができないこととなる。
【0010】
特に、この非検出時間に一時的に生じた設備のON/OFF状態の切替りが原因となって複数の設備を備えた設備システムに異常が生じた場合、異常原因を診断するときに、このON/OFF状態の切替りが検出されていないので、異常原因を特定することができなくなるおそれがある。
【0011】
本発明は、前記技術的課題に鑑みてなされたものであり、設備に一時的なON/OFF状態の切替りが生じた場合においても、このON/OFF状態の切替りを検出することができ、シーケンサのメモリ容量を大きくすることなしに複数の設備の状態を精度良く監視することができる設備状態監視装置及び監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0013】
まず、本願の請求項1に係る発明は、複数の設備の状態を監視する設備状態監視装置であって、前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを検出する設備状態検出手段と、前記設備状態検出手段によって検出された前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りが入力されるシーケンサと、前記シーケンサに接続され、前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に表示する表示手段と、を備え、前記シーケンサは、前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に記憶する記憶手段を有し、前記シーケンサは、前記複数の設備を備えた設備システムに生じた異常を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段によって異常が検出されたときに、前記設備システム全体を停止させる異常停止手段と、前記異常検出手段によって異常が検出されたときに、前記記憶手段に記憶された前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りと切替り時刻とに基づく前記複数の設備のON/OFF状態の切替りパターンを予め設定された前記複数の設備のON/OFF状態の切替りパターンと比較して該切替りパターンと異なる部分を異常発生部として特定する異常発生部特定手段と、を備えていることを特徴とする。

【0015】
更に、本願の請求項に係る発明は、請求項に係る発明において、前記異常発生部特定手段によって特定された前記異常発生部は、前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に表示した前記表示手段の画面において前記異常発生部以外の部分と異なる色で表示される又は点滅して表示される、あるいは音声によって出力されることを特徴とする。
【0016】
また更に、本願の請求項に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記設備は、物品を搬送する搬送システムの設備であることを特徴とする。
【0017】
また更に、本願の請求項に係る発明は、シーケンサと該シーケンサに接続される表示手段とを用い、複数の設備の状態を監視する設備状態監視方法であって、複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを検出し、検出された前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りをシーケンサに入力し、前記シーケンサに入力された前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に前記シーケンサに記憶させると共に、前記シーケンサに入力された前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に前記表示手段に表示させ、且つ前記複数の設備を備えた設備システムに生じた異常を検出し、異常が検出されたときに、前記設備システム全体を停止させ、前記シーケンサに記憶された前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りと切替り時刻とに基づく前記複数の設備のON/OFF状態の切替りパターンを予め設定された前記複数の設備のON/OFF状態の切替りパターンと比較して該切替りパターンと異なる部分を異常発生部として特定するようにしたことを特徴とする。
また更に、本願の請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、前記異常発生部を、前記複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に表示した前記表示手段の画面において前記異常発生部以外の部分と異なる色で表示させる又は点滅して表示させる、あるいは音声によって出力させることを特徴とする。
また更に、本願の請求項6に係る発明は、請求項4又は請求項5に係る発明において、前記設備は、物品を搬送する搬送システムの設備であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上の構成により、本願各請求項の発明によれば、次の効果が得られる。
【0019】
まず、本願の請求項1に係る発明によれば、設備状態監視装置は、複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを検出する設備状態検出手段と、検出された複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りが入力されるシーケンサと、複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に表示する表示手段とを備え、シーケンサは、複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に記憶する記憶手段を有している。
【0020】
これにより、複数の設備のON/OFF状態を時間と共に連続的に記憶させる場合に比してシーケンサに記憶させる情報量を少なくすることができ、また設備に一時的なON/OFF状態の切替りが生じた場合においてもこのON/OFF状態の切替りを検出することができるので、シーケンサのメモリ容量を大きくすることなしに複数の設備の状態を精度良く監視することができる。
【0021】
た、シーケンサは、設備システムに生じた異常が検出されたときに、記憶手段に記憶された複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りと切替り時刻とに基づく複数の設備のON/OFF状態の切替りパターンを予め設定された複数の設備のON/OFF状態の切替りパターンと比較して異なる部分を異常発生部として特定する異常発生部特定手段を備えていることにより、複数の設備のON/OFF状態において異常発生部を特定することができ、複数の設備の異常診断を行うことができる。
【0022】
更に、本願の請求項に係る発明によれば、特定された異常発生部は、複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に表示した表示手段の画面において異常発生部以外の部分と異なる色で表示される又は点滅して表示される、あるいは音声によって出力されることにより、異常発生部を作業者に早期に知らせることができる。これにより、設備システムの異常を早期に取り除く、つまり修復時間を短縮することが可能となる。
【0023】
また更に、本願の請求項に係る発明によれば、設備は、物品を搬送する搬送システムの設備であることにより、搬送システムに用いられるシーケンサのメモリ容量を大きくすることなしに搬送システムに用いられる複数の設備の状態を精度良く監視することができる。
【0024】
また更に、本願の請求項に係る発明によれば、複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを検出し、検出された複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りをシーケンサに入力し、シーケンサに入力された複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共にシーケンサに記憶させると共に、シーケンサに入力された複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に表示手段に表示させる。
【0025】
これにより、複数の設備のON/OFF状態を時間と共に連続的に記憶させる場合に比してシーケンサに記憶させる情報量を少なくすることができ、また設備に一時的なON/OFF状態の切替りが生じた場合においてもこのON/OFF状態の切替りを検出することができるので、シーケンサのメモリ容量を大きくすることなしに複数の設備の状態を精度良く監視することができる。
また、複数の設備を備えた設備システムに生じた異常が検出されたときに、シーケンサに記憶された複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りと切替り時刻とに基づく複数の設備のON/OFF状態の切替りパターンを予め設定された複数の設備のON/OFF状態の切替りパターンと比較して異なる部分を異常発生部として特定することにより、複数の設備のON/OFF状態において異常発生部を特定することができ、複数の設備の異常診断を行うことができる。
また更に、本願の請求項5に係る発明によれば、異常発生部を、複数の設備のそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に表示した表示手段の画面において異常発生部以外の部分と異なる色で表示させる又は点滅して表示させる、あるいは音声によって出力させることにより、異常発生部を作業者に早期に知らせることができる。これにより、設備システムの異常を早期に取り除く、つまり修復時間を短縮することが可能となる。
また更に、本願の請求項6に係る発明によれば、設備は、物品を搬送する搬送システムの設備であることにより、搬送システムに用いられるシーケンサのメモリ容量を大きくすることなしに搬送システムに用いられる複数の設備の状態を精度良く監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る設備状態監視装置の構成を概略的に示す図である。
図2】前記設備状態監視装置の表示装置に表示される画面を示す図である。
図3】前記設備状態監視装置によって監視される複数の設備のそれぞれのON/OFF状態のタイムチャートを示す図である。
図4】前記設備状態監視装置の表示装置に表示される別の画面を示す図である。
図5】従来の設備状態監視装置を説明するための説明図である。
図6】従来の別の設備状態監視装置を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る設備状態監視装置の構成を概略的に示す図である。本発明の実施形態に係る設備状態監視装置1は、設備システムに備えられた複数の設備の状態を監視するものであり、これに限定されるものではないが、自動車製造ラインにおける車体を搬送する搬送システムなどの物品を搬送する搬送システムに適用される。
【0028】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る設備状態監視装置1は、設備システム2に備えられたセンサなどの複数の機器(設備)A、B、C、D、Eの状態をそれぞれ検出する設備状態検出部3A、3B、3C、3D、3Eと、設備状態検出部3A、3B、3C、3D、3Eに接続されるシーケンサ20と、シーケンサ20に接続される表示装置30とを備えている。
【0029】
設備状態検出部3Aは、設備Aの状態、具体的にはON状態又はOFF状態を検出するように構成されると共に、設備AのON状態からOFF状態への切替り又はOFF状態からON状態への切替り(ON/OFF状態の切替り)を検出するように構成されている。
【0030】
設備状態検出部3Aはまた、シーケンサ20に、設備システム2の複数の設備の状態を監視する監視開始時に設備AのON状態又はOFF状態を出力するように構成されると共に、監視開始時以降は設備AのON/OFF状態の切替りを出力するように構成されている。
【0031】
設備状態検出部3B、3C、3D、3Eについても同様に、設備状態検出部3B、3C、3D、3Eはそれぞれ、設備B、C、D、EのON状態又はOFF状態を検出すると共に設備B、C、D、EのON/OFF状態の切替りを検出するように構成されている。
【0032】
また、設備状態検出部3B、3C、3D、3Eはそれぞれ、シーケンサ20に、監視開始時に設備B、C、D、EのON状態又はOFF状態を出力するように構成されると共に、監視開始時以降は設備B、C、D、EのON/OFF状態の切替りを出力するように構成されている。
【0033】
シーケンサ20は、外部から信号が入力されるシーケンサ入力部21と、外部に信号を出力するシーケンサ出力部22と、設備システム2の作動などを制御する制御部23と、設備システム2の作動を制御するためのプログラムなどを記憶する記憶部24と、時刻を発信するように構成された時刻発信部25とを備えている。
【0034】
シーケンサ20の記憶部24には、設備システム2の作動を制御するための制御プログラムが記憶されるプログラム記憶部24aと、制御プログラムに従って設備システム2が作動するときの予め設定された設備システム2の複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態の切替りパターンが記憶されるパターン記憶部24bとが備えられている。
【0035】
記憶部24にはまた、複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態の切替りが切替り時刻と共に記憶される状態切替り記憶部24cが備えられている。状態切替り記憶部24cには、監視開始時に複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON状態又はOFF状態が時刻発信部25によって発信された開始時刻と共に記憶され、監視開始時以降は複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態の切替りが時刻発信部25によって発信された切替り時刻と共に記憶されるようになっている。
【0036】
シーケンサ20の制御部23は、シーケンサ入力部21を介してシーケンサ20に、監視開始時における設備A、B、C、D、EのON状態又はOFF状態及び監視開始時以降における設備A、B、C、D、EのON/OFF状態の切替りが入力されると、監視開始時における複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON状態又はOFF状態を時刻発信部25によって発信された開始時刻と共に状態切替り記憶部24cに記憶させるように、また監視開始時以降における複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態の切替りを時刻発信部25によって発信された切替り時刻と共に状態切替り記憶部24cに記憶させるように制御する。
【0037】
制御部23はまた、プログラム記憶部24aに記憶された制御プログラムに従って、複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態に基づいて設備システム2全体の作動を制御する。
【0038】
制御部23はまた、シーケンサ出力部22を介して表示装置30に、監視開始時における複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON状態又はOFF状態及び監視開始時以降における複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態の切替りを時刻と共に順次時系列的に表示させるように制御する。
【0039】
さらに、制御部23は、設備システム2に生じた異常を検出する異常検出部4を備え、異常検出部4は、設備システム2に故障などの異常が生じたときにシーケンサ入力部21を介して故障を検出するように構成されている。異常検出部4は、例えば設備システム2としての搬送システムにエアシリンダを使用している場合にエア漏れによってエアシリンダに故障などが生じたときに異常を検出するように構成されている。
【0040】
図2は、前記設備状態監視装置の表示装置に表示される画面を示す図である。図2では、設備システム2の設備の状態を監視するときに表示装置30に表示される画面を示し、設備のON状態を長い黒棒で示し、設備のOFF状態を短い黒棒で示している。
【0041】
図2に示すように、表示装置30の画面には、設備A、B、C、D、Eの状態を監視するとき、監視開始時における複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON状態又はOFF状態が表示されると共に、監視開始時以降は複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態の切替りが切替り時刻と共に順次時系列的に表示される。
【0042】
図2では、監視開始時である時刻t0において、設備BがON状態であることが表示されると共に設備A、C、D、EがOFF状態であることが表示され、監視開始時以降は複数の設備のいずれかのON/OFF状態の切替りが入力される毎に複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態の切替りが順次時系列的に表示されている。
【0043】
具体的には、時刻t1における設備AのOFF状態からON状態への切替り、時刻t2における設備BのON状態からOFF状態への切替り、時刻t3における設備DのOFF状態からON状態への切替り、時刻t4における設備CのOFF状態からON状態への切替り、時刻t5における設備CのON状態からOFF状態への切替り、時刻t6における設備EのOFF状態からON状態への切替りが順次時系列的に表示されている。
【0044】
図2ではまた、切替り時刻t1〜t6についてそれぞれ、設備のON/OFF状態の切替りが入力される設備以外の設備については、設備のON/OFF状態が維持された状態で表示されている。時刻t1では、設備A以外の設備については時刻t0のON/OFF状態が維持され、設備BがON状態であることが表示されると共に設備C、D、EがOFF状態であることが表示される。
【0045】
時刻t2〜t6についても同様に、時刻t2、t3、t4、t5、t6ではそれぞれ、設備のON/OFF状態の切替りが入力される設備B、D,C、C、E以外の設備については、時刻t1、t2、t3、t4、t5における設備のON/OFF状態が維持された状態で表示されている。
【0046】
このように、設備状態監視装置1では、表示装置30に、監視開始時における複数の設備A、B、C、D、EのON/OFF状態を表示させると共に、監視開始時以降は、複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に表示させ、複数の設備A、B、C、D、Eの状態を監視する。なお、この時刻は、○時△分□秒で表示され、秒は0.1秒単位で表示するのが好ましい。
【0047】
設備状態監視装置1ではまた、シーケンサ20の制御部23に備えられた異常検出部4によって設備システム2の異常が検出されたときに、シーケンサ出力部22を介して設備システム2全体の作動を停止させるように設備システム2の作動を制御する異常停止部23aが備えられている。
【0048】
制御部23にはまた、設備システム2の異常が検出されたときに、複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態の切替りと切替り時刻とに基づく複数の設備のON/OFF状態の切替りパターンを予め設定された複数の設備のON/OFF状態の切替りパターンと比較して該切替りパターンと異なる部分を異常発生部として特定する異常発生部特定部23bが備えられている。
【0049】
図3は、前記設備状態監視装置によって監視される複数の設備のそれぞれのON/OFF状態のタイムチャートを示す図であり、図3では、監視開始時である時刻t0から設備システム2の異常が検出される時刻t7までのタイムチャートが示されている。
【0050】
図3に示すように、制御部23の異常発生部特定部23bでは、設備システム2の異常が検出されたときに、状態切替り記憶部24cに記憶された監視開始時における設備A、B、C、D、EのそれぞれのON状態又はOFF状態と監視開始時以降における設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態の切替り及び切替り時刻とに基づいて複数の設備A、B、C、D、EのON/OFF状態のタイムチャートが作成される。
【0051】
制御部23の異常発生部特定部23bではまた、監視開始時における設備A、B、C、D、EのそれぞれのON状態又はOFF状態と監視開始時以降における設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態の切替り及び切替り時刻とに基づいて、監視開始時からON状態の設備が(B)→(A,B)→(A)→(A、D)→(A、C、D)→(A、D)→(A、D、E)→・・・の順に切替る切替りパターンが算出される。
【0052】
一方、パターン記憶部24bには、予め設定された設備システム2の複数の設備A、B、C、D、EのON/OFF状態の切替りパターンが記憶され、本実施形態では、監視開始時からON状態の設備が(B)→(A,B)→(A)→(A、D)→(A、D、E)→・・・の順に切替る切替りパターンが記憶されている。
【0053】
異常発生部特定部23bでは、実際の複数の設備A、B、C、D、EのON/OFF状態の切替りパターン、本実施形態では監視開始時からON状態の設備が(B)→(A,B)→(A)→(A、D)→(A、C、D)→(A、D)→(A、D、E)→・・・の順に切替る切替りパターンを、パターン記憶部24bに記憶された監視開始時からON状態の設備が(B)→(A,B)→(A)→(A、D)→(A、D、E)→・・・の順に切替る切替りパターンと比較して、該切替りパターンと異なる部分である時刻t4における設備CのOFF状態からON状態への切替りが異常発生部S1として特定される。
【0054】
制御部23はまた、異常発生部特定部23bによって特定された異常発生部S1を、複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に表示した表示装置30の画面において異常発生部S1以外の部分と異なる色で表示するように制御する。
【0055】
図4は、前記設備状態監視装置の表示装置に表示される別の画面を示す図であり、設備システムに異常が生じたときに異常発生部特定部23bによって複数の設備のON/OFF状態の切替りパターンから異常発生部が特定された後の画面を示している。
【0056】
図4に示すように、設備状態監視装置1では、異常発生部S1が特定されると、複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に表示した表示装置30の画面において、時刻t4における設備CのOFF状態からON状態への切替りが異常発生部S1であることを報知するために黒棒に代えて斜線棒で表示される。
【0057】
本実施形態では、複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態の切替りが切替り時刻と共に順次時系列的に表示された表示装置30の画面において、異常発生部S1を斜線棒で表示して異常発生部S1以外の部分とは異なる色で表示しているが、異常発生部以外を黒色で表示して異常発生部を赤色で表示するなど、異常発生部を他の色に代えて表示するようにしてもよい。
【0058】
また、複数の設備A、B、C、D、EのそれぞれのON/OFF状態の切替りが切替り時刻と共に順次時系列的に表示された表示装置30の画面において、異常発生部S1を点滅させて表示するようにしてもよい。あるいは、スピーカなどの音声出力装置を用いて、異常発生部の時刻及び設備名を音声によって出力し、異常発生部を音声によって出力するようにしてもよい。
【0059】
このように、本実施形態に係る設備状態監視装置1は、複数の設備A〜EのそれぞれのON/OFF状態の切替りを検出する設備状態検出部3A〜3Eと、検出された複数の設備A〜EのそれぞれのON/OFF状態の切替りが入力されるシーケンサ20と、複数の設備A〜EのそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に表示する表示装置30とを備え、シーケンサ20は、複数の設備A〜EのそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に記憶する記憶部24を有している。
【0060】
これにより、複数の設備A〜EのON/OFF状態を時間と共に連続的に記憶させる場合に比してシーケンサ20に記憶させる情報量を少なくすることができ、また設備に一時的なON/OFF状態の切替りが生じた場合においてもこのON/OFF状態の切替りを検出することができるので、シーケンサ20のメモリ容量を大きくすることなしに複数の設備A〜Eの状態を精度良く監視することができる。
【0061】
また、シーケンサ20は、設備システム2に生じた異常が検出されたときに、記憶部24に記憶された複数の設備A〜EのそれぞれのON/OFF状態の切替りと切替り時刻とに基づく複数の設備A〜EのON/OFF状態の切替りパターンを予め設定された複数の設備A〜EのON/OFF状態の切替りパターンと比較して異なる部分を異常発生部S1として特定する異常発生部特定部23bを備えていることにより、複数の設備A〜EのON/OFF状態において異常発生部S1を特定することができ、複数の設備の異常診断を行うことができる。
【0062】
更に、特定された異常発生部S1は、複数の設備A〜EのそれぞれのON/OFF状態の切替りを切替り時刻と共に順次時系列的に表示した表示装置30の画面において異常発生部S1以外の部分と異なる色で表示される又は点滅して表示される、あるいは音声によって出力されることにより、異常発生部S1を作業者に早期に知らせることができる。これにより、設備システム2の異常を早期に取り除くことが可能となる。
【0063】
また更に、設備A〜Eは、物品を搬送する搬送システム2の設備であることにより、搬送システム2に用いられるシーケンサ20のメモリ容量を大きくすることなしに搬送システム2に用いられる複数の設備A〜Eの状態を精度良く監視することができる。
【0064】
なお、本実施形態に係る設備状態監視装置1では、設備システム2に備えられた設備として、センサなどの検出機器に限定されるものではなく、スイッチなどの操作機器や各種リレーなど、シーケンサ20に入力される各種入力機器が用いられる。
【0065】
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように、本発明によれば、シーケンサのメモリ容量を大きくすることなしに複数の設備の状態を精度良く監視することが可能となるから、物品を搬送する搬送システムなど、複数の設備を備えた設備システムにおいて好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0067】
1 設備状態監視装置
2 設備システム
3A、3B、3C、3D、3E 設備状態検出部(設備状態検出手段)
4 異常検出部(異常検出手段)
20 シーケンサ
23 制御部
23a 異常停止部(異常停止手段)
23b 異常発生部特定部(異常発生部特定手段)
24 記憶部(記憶手段)
25 時刻発信部
30 表示装置(表示手段)
A、B、C、D、E 設備
S1、S10 異常発生部
図1
図2
図3
図4
図5
図6