【実施例】
【0016】
図1は、本発明の実施例に係る光通信モジュール1の分解斜視図である。
なお、
図1には、光通信モジュールに接続される二つの光ファイバコネクタを追加して示している。
図2は、
図1に示した光通信モジュール1の斜視図である。
図3は、
図1に示した素子実装部20の拡大斜視図である。
図4は、
図1に示した素子実装部20の突き当て面21周辺を拡大した一部断面図である。
図5は、
図3に示した素子実装部20のA−A線断面図である。
図6は、
図1に示した素子実装部20の各突き当て面21に各光結合部材70が突き当てられている状態を示した図である。
図7は、
図6に示した一の光結合部材70と、突き当て面21周辺を断面で示した図である。
図8は、
図1に示した光通信モジュール1が相手接続基板200に位置決めされながら取り付けされることを説明するための図である。
本発明の実施例に係る光通信モジュール1は、二つの光ファイバコネクタ100,100ぞれぞれと、発光素子10、あるいは受光素子11との間で光信号を光学的に接続するものである。
この光通信モジュール1は、発光素子10および受光素子11、発光素子10および受光素子11が実装される素子実装部20、発光素子10、および受光素子11のそれぞれを各光ファイバコネクタ100,100に光学的に結合させる二つの光結合部材70,70を含む光結合部60と、を有してなる。
【0017】
まず、発光素子10および受光素子11について説明する。
発光素子10は、レーザーダイオード等によって実現され、素子実装部20に実装される。この発光素子10は、素子実装部20を介して伝達された電気信号を光信号に変換し、変換された光信号として光を出射するものである。
受光素子11は、フォトダイオード等によって実現され、素子実装部20に実装される。この受光素子11は、一の光ファイバコネクタ100から光信号として一の光結合部材70に入射され、光結合部材70から出射された光を電気信号に変換するものである。
【0018】
次に、素子実装部20について説明する。
素子実装部20は、プリント配線板等の回路基板によって実現され、発光素子10、および受光素子11、さらには光通信モジュール1の構成上必要な、集積回路(IC)、抵抗、コンデンサ等の電子部品12,12が実装されている。
この素子実装部20は、発光素子10、受光素子11のそれぞれに対応した各光結合部材70,70が突き当てされる突き当て面21,21と、発光素子10、および受光素子11のそれぞれが配置される素子配置用凹部30,30と、各光結合部材70,70の位置決め機能をなす位置決めガイド壁部40,40と、素子実装部20が相手接続基板200(
図8参照)に対して面実装可能に形成されてなる相手基板接続用実装面50と、を有してなる。
【0019】
各突き当て面21,21は、各光結合部材70,70の発光素子10、あるいは受光素子11と向かい合う側の端面である各素子側端面70a,70aが付き当てられる面である。
【0020】
素子配置用凹部30,30は、発光素子10および受光素子11のそれぞれが配置されるように二箇所に並んで設けられ、各突き当て面21,21に対して凹み形状をなし、かつ各底面30a,30aに発光素子10、および受光素子11のそれぞれが光結合のために定められた間隔をあけて各素子側端面70a,70aに向かい合うように配置される部分である。
より具体的には、各素子配置用凹部30,30は、発光素子10、あるいは受光素子11の周辺の上縁面が突き当て面21,21となり、その凹み深さが、発光素子10、あるいは受光素子11と、各光結合部材70,70との光結合効率を良くするために定められた間隔に等しくなるように設定されている。
【0021】
また、各素子配置用凹部30,30には、ジャンクションコーティングレジン(JCR)等の光透過性樹脂31が充填されている。このように光透過性樹脂31が充填されることによって、光透過性樹脂31が発光素子10と、受光素子11と、電子部品12とを外気から保護するようになっている。このような光透過性樹脂31は、凹部に充填されることによって、充填必要箇所以外に流れ出ることなく各素子配置用凹部30,30に封入される。
【0022】
なお、光透過性樹脂31は、各突き当て面21,21に面一になるように、あるいは各突き当て面21,21に対して突出されないように各素子配置用凹部30,30に充填されることによって、各突き当て面21,21の機能を妨げないようになっている。
【0023】
各位置決めガイド壁部40,40は、各突き当て面21,21に対して突出され、かつ各突き当て面21,21に突き当てられた各光結合部材70,70の外周面70b,70bに沿って設けられてなり、素子実装部20に対する各光結合部材70,70の位置決め機能をなすものである。
より具体的には、各位置決めガイド壁部40,40は、各光結合部材70,70の外周面70b,70bに対応した円周状に立設された壁であり、各光結合部材70,70が上端部40a,40aから各突き当て面21,21に向けて調芯されながら差しこまれるようになっている。
【0024】
また、各光結合部材70,70に対応した位置決めガイド壁部40,40は、各光結合部材70,70が互いに向かい合う側の各光結合部材70,70の各外周面70b,70bを囲うように設けられてなる。このように発光素子10、および受光素子11の実装領域を光結合部材70,70および位置決めガイド壁部40,40によって囲い込むことによって、発光素子10、および受光素子11の実装領域における光漏れを抑制し、結果的に発光素子10と受光素子11との間の光のクロストークが抑制されるようになっている。
【0025】
相手基板接続用実装面50は、
図3に示すように、相手接続基板200との電気的接続がなされる電気接続パッド51と、相手接続基板200に形成された3つの位置決め穴201に嵌入されるように突出されてなる3つの位置決め突部52とを含み、かつ相手接続基板200に対して面実装可能に形成されてなる。
この相手基板接続用実装面50は、素子実装部20の基板端20aが直角に屈曲されることによって形成された端縁面である。すなわち、素子実装部20は、
図8に示すように、発光素子10および受光素子11が実装される実装面が相手接続基板200の接続面200aに対して直交するようにして相手接続基板200に接続される。
【0026】
なお、この実施例では、相手接続基板200に3つの位置決め穴201が形成され、素子実装部20が3つの位置決め穴201に対応して設けられた3つの位置決め突部52を含むものを例示したが、これに限らず、相手接続基板200に1以上の位置決め穴201が形成され、素子実装部20が位置決め穴201に対応して数だけ設けられた位置決め突部52を含むようになっていればよい。
【0027】
次に、光結合部60について説明する。
光結合部60は、発光素子10および受光素子11のそれぞれに対応した二つの光結合部材70,70と、各光結合部材70,70が割スリーブ80に取り付けされた状態で収容される結合部材収容部90と、を有してなる。
【0028】
各光結合部材70,70は、いわゆる光ファイバスタブによって実現される。より具体的には、各光結合部材70,70は、セラミック材等からなる円柱状の光ファイバ保持部61の軸心に貫通孔61aが形成され、この貫通孔61a内に光ファイバ62が挿通され、かつ固定されてなる。
【0029】
各割スリーブ80,80は、各光結合部60,60を結合部材収容部90の後述する各筒状部92,92内の所定位置に固定するための部材である。
この割スリーブ80,80は、金属性の薄板を筒状に形成され、軸方向に形成されたスリット80a,80aによって径方向に弾性収縮可能な筒状金属部材である。このような割スリーブ80,80は、筒内に光結合部材70,70の一部を挿入された状態でその外周面が後述する筒状部92,92の内面に当接されることによって光結合部材70,70を筒状部92の所定位置に固定するようになっている。
【0030】
結合部材収容部90は、直方体形状をなし、かつ素子実装部20に取り付けされる側の取り付け面91aを有してなる基部91と、基部91の長手方向に並ぶようにして二箇所に設けられた筒状部92,92とを有してなる。
各筒状部92,92は、筒の内径が各割スリーブ80,80に取り付けされた各光結合部材70,70を収容可能な大きさに設定されている。
また、各筒状部92,92は、筒状に突出された端部が各光ファイバコネクタ100,100の挿入口92aになっており、各割スリーブ80,80内に先端部分が挿入された各光ファイバコネクタ100,100が各光結合部材70,70に当接されることによって、各光ファイバコネクタ100,100と各光結合部材70,70とが接続されるようになっている。
また、結合部材収容部90と素子実装部20とは、例えば、取り付け面91aに塗布された接着剤を介して固定させる。あるいは、結合部材収容部90と素子実装部20とは、例えば、不図示の係合部によって固定される。
【0031】
このような光通信モジュール1は、各光結合部材70,70が、素子側端面70a,70aを突き当て面21,21に突き当てられながら素子実装部20に取り付けられた場合、各光結合部材70,70は、発光素子10、あるいは受光素子11に対して光結合のために定められた間隔をあけて配置される。
このため、各光ファイバコネクタ100,100が各挿入口92a,92aに挿入され、各光結合部材70,70の素子側端面70a,70aとは逆側の端面に当接されることによって、各光ファイバコネクタ100,100と、発光素子10あるいは受光素子11とが光結合される。
【0032】
ここで、
図9を用いて光通信モジュール1の組み付け手順について説明する。
図9は、光通信モジュール1の組み付け手順を示した図である。なお、この組み付け作業は、自動組み立て装置等を用いても構わない。
まず、作業者は、各光結合部材70,70を各割スリーブ80,80に取り付けた状態で、結合部材収容部90の各筒状部92,92内に仮セットする(
図9(a)参照)。ここで仮セットとは、各光結合部材70,70の素子側端面70aが結合部材収容部90の取り付け面91aに対して突出された状態で保持されるようにすることである。この仮セット状態では、各光結合部材70,70の素子側端面70aが押圧されることによって、各光結合部材70,70が各筒状部92,92内の取り付け完了位置まで押し込み可能な状態になっている。
【0033】
その後、作業者は、仮セットされた各光結合部材70,70を各位置決めガイド壁部40,40によってガイドさせながら、各突き当て面21,21に突き当てる(
図9(b)参照)。これにより、各光結合部材70,70が、発光素子10、あるいは受光素子11に対して光結合のために定められた間隔をあけて配置される。
【0034】
その後、作業者は、結合部材収容部90の取り付け面91aが、素子実装部20に当接されるように素子実装部20と結合部材収容部90とを固定させる(
図9(c)参照)。これにより、各光結合部材70,70が各筒状部92,92内の所定位置に配置され、光通信モジュール1の組み付けが完了される。
なお、光通信モジュール1への各光ファイバコネクタ100,100の接続、および相手接続基板200の取り付け作業は、この光通信モジュール1の組み付け作業の前に行ってもよいし、この光通信モジュール1の組み付け作業が完了した後に行ってもよい。
【0035】
本発明の実施例に係る光通信モジュール1は、各光結合部材70,70を各突き当て面21,21に突き当てるだけで、発光素子10および受光素子11のそれぞれと、各光結合部材70,70とを光結合効率の良い間隔に設定することができるので、容易に組み付けることができる。
【0036】
また、本発明の実施例に係る光通信モジュール1は、各位置決めガイド壁部40,40によって発光素子10および受光素子11のそれぞれと、各光結合部材70,70との位置決めを容易に行うことができる。
【0037】
また、本発明の実施例に係る光通信モジュール1は、発光素子10、および受光素子11のそれぞれの実装領域を光結合部材70,70および位置決めガイド壁部40,40によって囲い込むことによって、発光素子10、および受光素子11のそれぞれの実装領域における光漏れを抑制し、結果的に発光素子10と受光素子11との間の光のクロストークが抑制さる。しかも、発光素子10と受光素子11との間の光のクロストークが抑制できるので、発光素子10と受光素子11とを互いに近づけて配置することができ、結果的に光通信モジュール1をコンパクト化することができる。
【0038】
また、本発明の実施例に係る光通信モジュール1は、発光素子10、あるいは受光素子11と、電子部品12とがボンディングワイヤによって接続される場合、ボンディングワイヤを短尺化させることが可能となり、結果的に高周波特性を向上させることができる。
【0039】
また、本発明の実施例に係る光通信モジュール1は、位置決め穴201と、位置決め突部52との嵌合によって、素子実装部20と、相手接続基板200との保持強度を高めることができるので、各光ファイバコネクタ100の挿抜時の応力に対して素子実装部20と、相手接続基板200との保持強度を向上させることができる。
【0040】
また、本発明の実施例に係る光通信モジュール1は、光透過性樹脂31が各素子配置用凹部30,30に充填されることによって、各素子配置用凹部30,30に配置された発光素子10、受光素子11、あるいは電子部品12が光透過性樹脂31によって覆われるので、発光素子10、受光素子11、あるいは電子部品12を光透過性樹脂31によって保護することができる。しかも、光透過性樹脂31は、凹部に充填されるため、光透過性樹脂31が充填必要箇所以外に流れ出ることを防止することができる。
【0041】
(変形例1)
次に、
図10を用いて本発明の実施例の光通信モジュール1の変形例1について説明する。
図10は、本発明の実施例の変形例1の光通信モジュール2の分解斜視図である。
なお、
図10には、光通信モジュール2に接続される二つの光ファイバコネクタ100,100を追加して示している。
この変形例1の光通信モジュール2は、発光素子10と、受光素子11とが別体の素子実装部22,23に設けられている点で実施例の光通信モジュール1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0042】
この変形例1の光通信モジュール2は、実施例の光通信モジュール1と同様な効果を奏することができる。
【0043】
(変形例2)
次に、
図11を用いて本発明の実施例の光通信モジュール1の変形例2について説明する。
図11は、本発明の実施例の変形例2の光通信モジュール3の分解斜視図である。
なお、
図11には、光通信モジュール3に接続される二つの光ファイバコネクタ100,100を追加して示している。
この変形例2の光通信モジュール3は、光ファイバスタブに代わって、屈折率分布型レンズ、いわゆるGRIN(Graded Index)レンズを光結合部材71,71として用いている点で実施例の光通信モジュール1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0044】
各光結合部材71,71は、実施例の光結合部材70,70と同形状の円柱状をなし、発光素子10、および受光素子11のそれぞれを各光ファイバコネクタ100,100に光学的に結合させる機能をなしている。
【0045】
この変形例2の光通信モジュール3は、実施例の光通信モジュール1と同様な効果を奏することができる。
【0046】
(変形例3)
次に、
図12を用いて本発明の実施例の光通信モジュール1の変形例3について説明する。
図12は、本発明の実施例の変形例3の光通信モジュール4の分解斜視図である。
なお、
図12には、光通信モジュール4に接続される二つの光ファイバコネクタを追加して示している。
この変形例3の光通信モジュール4は、素子実装部20がリードフレーム53を介して、相手接続基板200に接続される点で実施例の光通信モジュール1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0047】
この変形例3の光通信モジュール4は、実施例の光通信モジュール1と同様に、各光結合部材70,70を各突き当て面21,21に突き当てるだけで、発光素子10および受光素子11のそれぞれと、各光結合部材70,70とを光結合効率の良い間隔に設定することができるので、容易に組み付けることができる。
【0048】
なお、本発明の実施の実施例に係る光通信モジュール1,2,3,4は、素子実装部20,22,23が位置決めガイド壁部40,40を有してなるものを例示したが、これに限らず、素子実装部20,22,23が位置決めガイド壁部40,40を有しない構造であっても構わない。この場合、結合部材収容部90,93,94と素子実装部20,22,23との間に各光結合部材70,70が各突き当て面21,21に位置決めされるように位置決め機能を持たせるとよい。
【0049】
また、本発明の実施例に係る光通信モジュール1,2,3,4は、素子実装部20,22,23が回路基板であるものを例示したが、これに限らず、発光素子10、あるいは受光素子11が実装されるものであればその他のものであっても構わない。例えば、素子実装部が絶縁性の板状部材であり、リード線を介して相手接続基板200に接続されるようにしてもよい。
【0050】
また、本発明の実施例に係る光通信モジュール1,2,3,4は、素子配置用凹部30,30に、発光素子10、あるいは受光素子11以外にその他電子部品12が配置されるものを例示したがこれに限らず、素子配置用凹部30,30には発光素子10、あるいは受光素子11が配置されていればよい。
【0051】
以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。