(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記車外側補助シールリップの先端は、上記ドアガラスの閉位置における上記ドアガラスの外側表面の位置で接続された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車用ガラスラン。
【背景技術】
【0002】
図6に示すように、自動車のドア1のドアフレーム2の内周には、ドアガラス5の昇降を案内するガラスラン110が取付けられている。その従来の取付構造を
図7に示す。
図7は、ドアフレーム2と車体開口部周縁6におけるガラスラン110とウエザストリップの取付関係を示す
図6におけるA−A線に沿った断面図である。
【0003】
従来、ガラスラン110は、
図7に示すようにドアフレーム2のチャンネル7内に取付けられて、ドアフレーム2の内周側に形成されているドアガラス開口部内のドアガラス5の昇降を案内するとともにドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。さらに、
図6に示すように、ガラスラン110は、押出成形により成形された直線状の直線部111からなるドア1の上辺部とフロント側縦辺部及びリヤ側縦辺部を、ドアフレーム2の形状に合わせて型成形するコーナー部112で接続している。
【0004】
なお、
図7に示すように、ドア1と車体との間のシールは、ドアフレーム2の外周に取付けられたドアウエザストリップ108および/または車体の車体開口部周縁6のフランジに取付けられたオープニングウエザストリップ109によりなされている。オープニングウエザストリップ109は、その中空シール部がドア閉時にドアフレーム2のインナーパネル2dの膨出部2gの車内側側面に当接してシールしている。
【0005】
ガラスラン110は、
図7に示すように、車外側側壁120と、車内側側壁130と、底壁140からなる断面略U字状をなしている。車外側側壁120の先端付近から車外側シールリップ150が上記断面略U字状の内側に向けて延出するように設けられている。また、車内側側壁130にもその先端付近から車内側シールリップ160が断面略U字状の内側に向けて延出するように設けられている。さらに、車外側側壁120の先端から車外側の外面に沿って底壁140方向に延びる車外側カバーリップ124が延設され、車内側側壁130の先端から車内側の外面に沿って底壁140方向に延びる車内側カバーリップ134が延設されている。車外側カバーリップ124と車内側カバーリップ134はドアフレーム2の形状により短く形成されるものもある。
【0006】
そして、ドアフレーム2のコーナー部2bにおいては、
図6に示すように、ドアフレーム2の上辺部と縦辺部が突き合わされて、接合され、チャンネル7も上辺部と縦辺部が同様に接合されている。このため、ドアフレーム2のコーナー部2bは鋭角状に形成され、ガラスラン110はコーナー部112において、ドアフレーム2のチャンネル7の形状に合わせて、鋭角状に型成形により形成されている。
【0007】
図8に示すような、ドアフレーム2のフランジの先端がガラスラン210で覆われるタイプでは、ドア1の上辺部とフロント側縦辺部に取付けられるガラスラン上辺部213とガラスランリヤ側縦辺部214を接続するコーナー部212において、ドアフレーム2の上辺部をガラスラン210のトリム部230のトリム部底壁233で覆い、車外側からはトリム部底壁233とガラスラン部220の車外側側壁221の外面が見えるように形成されている。コーナー部212では、トリム部底壁233とガラスラン210の車外側側壁221がガラスラン上辺部213から連続して端部まで延設されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
更に、ガラスラン上辺部213とガラスランリヤ側縦辺部214を接続するコーナー部212では、ガラスランリヤ側縦辺部214から延設された車外側側壁221と車外側シールリップ224、車内側側壁222、車内側シールリップ225、底壁223が、ガラスラン上辺部213の車外側側壁221と車外側シールリップ224、車内側側壁222、車内側シールリップ225、底壁223とそれぞれ接続されている。
【0009】
その接続部分215は、
図8に示すように、ガラスラン上辺部213の延長部分の車外側シールリップ224の根元に、ガラスランリヤ側縦辺部214の車外側シールリップ224が直線的に接続されている。これは、ガラスラン上辺部213のトリム部底壁233とガラスラン210の車外側側壁221がモール部として、意匠が横方向に連続するようにするためである。
【0010】
また、
図9に示すように、ガラスランリヤ側縦辺部214の車外側側壁320が車外側シールリップ321と車外側補助シールリップ324を有する場合には、ガラスラン上辺部213の車外側側壁221及び車外側シールリップ224と、ガラスランリヤ側縦辺部214の車外側側壁320及び車外側シールリップ224は、コーナー部312でそれぞれ連続するように接続されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
この場合に、車外側補助シールリップ324は、コーナー部では、ガラスラン上辺部の車外側シールリップの根元部分に接続されている。その接続部分315は、円弧状に形成されている。
しかしながら、
図8に示すように、ドアフレーム2の上辺の意匠が横方向に連続するように、コーナー部312において、ガラスランリヤ側縦辺部214の車外側補助シールリップ324をガラスラン上辺部213の車外側シールリップ331の根元部分に直線的に接続すると、車外側補助シールリップ324の先端は薄肉であるため、組付け時や使用時に割れや破れが生じる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、自動車ドアのドアフレームのコーナー部において、ガラスランリヤ側縦辺部の車外側補助シールリップをガラスラン上辺部の車外側シールリップの根元部分に直線的に接続して、耐久性に優れた、デザイン的にも好ましいガラスランを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車のドアのドアフレームの内周に取付けられ、ドアガラスの昇降を案内するとともに、
押出成形部分である直線部と、ドアフレームのコーナー部に取付けられるコーナーピースと当接する
型成形部分であるコーナー部を有する自動車用ガラスランにおいて、
ガラスランの直線部は、ドアフレームの上辺部に取付けられるガラスラン上辺部と、ドアフレームのフロント側縦辺部に取付けられるガラスランフロント側縦辺部と、ドアフレームのリヤ側縦辺部に取付けられるガラスランリヤ側縦辺部とを有し、
ガラスラン上辺部は、トリム部を一体的に形成するとともに、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略U字形をなし、車外側側壁と車内側側壁の先端から、それぞれ断面略U字状の斜め内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの両側端部の車外側面及び車内側面をシールし、
ガラスランリヤ側縦辺部又はガラスランフロント側縦辺部は、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略U字形をなし、車外側側壁の先端から断面略U字状の斜め内側に向かって延出する車外側シールリップを設けるとともに、車外側側壁の先端から車外側側壁の延長方向に車外側延長壁を形成し、車外側延長壁の先端から断面略U字状の斜め外側に向かって延出する車外側補助シールリップを形成し、車内側側壁の先端から、断面略U字状の斜め内側に向かって延出する車内側シールリップを設け、車外側シールリップ、車外側補助シールリップ及び車内側シールリップによりドアガラスの両側端部の車外側面及び車内側面をシールし、
ガラスラン上辺部とガラスランリヤ側縦辺部又はガラスランフロント側縦辺部を接続するコーナー部では、車外側側壁、車内側側壁、底壁、車外側シールリップ及び車内側シールリップはそれぞれ上辺部側と縦辺部側の対応する部分と型成形により接続されるとともに、上辺部側は、車外側側壁がガラスラン上辺部から連続してコーナー部の端部まで延設されて、縦辺部側の車外側補助シールリップは、延長されたガラスラン上辺部側の車外側シールリップの根元に直線的に接続され、車外側補助シールリップと上辺部側の車外側シールリップの根元の接続部分の内面側に、接続部分を覆う接続肉厚部を形成したことを特徴とする自動車用ガラスランである。
【0015】
請求項1の本発明では、ガラスランの直線部は、ドアフレームの上辺部に取付けられるガラスラン上辺部と、ドアフレームのフロント側縦辺部に取付けられるガラスランフロント側縦辺部と、ドアフレームのリヤ側縦辺部に取付けられるガラスランリヤ側縦辺部とを有する。このため、それぞれの直線部で適切な断面形状を有することができる。
【0016】
ガラスラン上辺部は、トリム部を一体的に形成したため、トリム部でドアフレームの先端のフランジ部を保持して、トリム部底壁と車外側側壁が一体的に連続したモール面を形成することができ、デザイン的に好ましい。
ガラスラン上辺部は、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略U字形をなし、車外側側壁と車内側側壁の先端から、それぞれ断面略U字状の斜め内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの両側端部の車外側面及び車内側面をシールする。
【0017】
このため、ドア閉時に、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略U字状の内側にドアガラスの上端部を収納することができ、ドアガラスが上昇したときに、ドアガラスの上端部を確実に保持することができる。車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの両側端部の車外側面および車内側面をシールするようにしたため、ドアガラスが上昇したときに、シールリップがドアガラスに当接し、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアフレームの上辺部とドアガラスとの間のシールをすることができる。
【0018】
ガラスランリヤ側縦辺部又はガラスランフロント側縦辺部は、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略U字形をなし、車外側側壁の先端から断面略U字状の斜め内側に向かって延出する車外側シールリップを設けるとともに、車外側側壁の先端から車外側側壁の延長方向に車外側延長壁を形成し、車外側延長壁の先端から断面略U字状の斜め外側に向かって延出する車外側補助シールリップを形成し、車内側側壁の先端から、断面略U字状の内側に向かって延出する車内側シールリップを設け、車外側シールリップ、車外側補助シールリップ及び車内側シールリップによりドアガラスの両側端部の車外側面及び車内側面をシールする。
【0019】
このため、ドア昇降時に、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略U字状の内側にドアガラスの端部を収納することができ、ドアガラスを確実に保持することができる。車外側シールリップ、車外側補助シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの両側端部の車外側面および車内側面をシールするようにしたため、ドアガラスの昇降に応じて、シールリップがドアガラスに当接し、車外側シールリップ、車外側補助シールリップと車内側シールリップによりドアフレームとドアガラスとの間のシールをすることができる。
【0020】
ガラスラン上辺部とガラスランリヤ側縦辺部又はガラスランフロント側縦辺部を接続するコーナー部では、車外側側壁、車内側側壁、底壁、車外側シールリップ及び車内側シールリップは、それぞれ上辺部側と縦辺部側の対応する部分と型成形により接続される。このため、コーナー部において、側壁とシールリップが連続して形成されるため、コーナー部のシール性を確保することができる。
【0021】
コーナー部の上辺部側は、車外側側壁がガラスラン上辺部から連続してコーナー部の端部まで延設されているため、コーナー部においてもガラスラン上辺部から連続して車外側側壁がコーナー部の端部まで、横方向に連続した意匠面を有することができ、デザイン的に好ましい。
【0022】
コーナー部の縦辺部側の車外側補助シールリップは、延長された上辺部側の車外側シールリップの根元に直線的に接続され、車外側補助シールリップと上辺部側の車外側シールリップの根元の接続部分の内面側に、接続部分を覆う接続肉厚部を形成した。このため、車外側から見た面において、鋭角的なコーナー部の意匠面を有することができ、デザイン的に好ましい。更に、車外側補助シールリップと上辺部側の車外側シールリップの根元の接続部分の強度を向上させることができ、組付け時や使用時に接続部分が破損することを防止できる。
【0023】
請求項2の本発明は、接続肉厚部の表面は、凹状に湾曲又は直線状に形成された自動車用ガラスランである。
【0024】
請求項2の本発明では、接続肉厚部の表面は、凹状に湾曲又は直線状に形成されたため、接続肉厚部に外力が加わっても、応力が集中する部分がなく、組付け時や使用時に接続部分が破損することを防止できる。
【0025】
請求項3の本発明は、接続肉厚部は、車外側補助シールリップの先端部分に形成された自動車用ガラスランである。
【0026】
請求項3の本発明では、接続肉厚部は、車外側補助シールリップの先端部分に形成されたため、組付け時や使用時に最も外力が加わる部分を保護して、接続部分のヒケ等を防止できる。
【0027】
請求項4の本発明は、車外側補助シールリップの先端は、ドアガラスの閉位置におけるドアガラスの外側表面の位置で接続された自動車用ガラスランである。
【0028】
請求項4の本発明では、車外側補助シールリップの先端は、ドアガラスの閉位置におけるドアガラスの外側表面の位置で接続された。このため、ドアガラスの閉位置におけるドアガラスの外側表面の位置にあわせて車外側補助シールリップの先端をガラスラン上辺部の車外側シールリップに接続したため、ドアガラスが閉じ切った状態において、車外側補助シールリップの先端(接続部付近)とドアガラスの外表面との間には、隙間ができない。更に、撓み代も亡くなっているため、接続部の歪が発生しなく、リップ接続部に亀裂や裂けの発生も抑制される。
【発明の効果】
【0029】
ガラスラン側縦辺部側の車外側補助シールリップは、延長されたガラスラン上辺側の車外側シールリップの根元に直線的に接続され、車外側補助シールリップと上辺部側の車外側シールリップの根元の接続部分の内面側に、接続部分を覆う接続肉厚部を形成したため、車外側から見た面において、鋭角的なコナー部の意匠面を有することができ、デザイン的に好ましい。更に、車外側補助シールリップと上辺部側の車外側シールリップの根元の接続部分の強度を向上させることができ、組付け時や使用時に接続部分が破損することを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態を
図1〜
図6に基づき説明する。
図6は自動車の側面図である。
図6に示すように、自動車のドア1の上部にはドアフレーム2が設けられ、ドアガラス5が昇降自在に取付けられる。即ち、ドアフレーム2の内周のドアガラス開口部には、ドアガラス5とガラスラン10が設けられ、ガラスラン10がドアガラス5の昇降を案内するとともに、ドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。
【0032】
ガラスラン10は、全体として押出成形で形成された略直線状の直線部11と、ドアフレーム2のコーナー部2bに取付けられ、その直線部11を接続し型成形で形成されるコーナー部12からなる。
直線部11は、ドアフレーム2の上辺に取付けられるガラスラン上辺部13と、ドアフレーム2のリヤ側縦辺に取付けられるガラスランリヤ側縦辺部14と、ドアフレーム2のフロント側縦辺に取付けられるガラスランフロント側縦辺部16とからなる。ドアのフロント側では、ドアフレーム2の上辺部は、前方に向けて斜め下方に形成され、ガラスランフロント側縦辺部16とは鈍角をなしている。ドアフレーム2には、ドアフレーム2とドアモールとでガラスラン10を装着する断面略U字形のチャンネルを形成している。
【0033】
ガラスラン10は、これらの直線部11を、ドアフレーム2に対応した形状となるように、コーナー部分において、型成形により成形して接続して、コーナー部12を形成しており、ガラスラン10のコーナー部12は、ドアフレーム2のコーナー部2bに装着される部分となる。本発明について、フロント側のドア1のリヤ側のコーナー部12を例にとり説明するが、リヤ側のドア1のフロント側もコーナー部12についても同様に本発明を使用することができる。
【0034】
ガラスラン上辺部13の断面形状は、
図4に示すように、ドアフレーム2の内周に取付けられるガラスラン部20と、ドアフレーム2の先端に形成されるドアフレームフランジ部3に取付けられるトリム部30とから構成される。
【0035】
ガラスラン部20は、車外側側壁21、車内側側壁22及びガラスラン部底壁23からなる断面略コ字状の本体部と、車外側側壁21及び車内側側壁22の先端から断面略コ字状の内部方向斜めにそれぞれ車外側シールリップ24と車内側シールリップ25を延設している。このため、車外側側壁21、車内側側壁22及びガラスラン部底壁23からなる断面略コ字状の内部をドアガラス5の端部が摺動して、ドアガラス5を保持することができる。
【0036】
ガラスラン部20は、車内側側壁22、車外側シールリップ24と車内側シールリップ25が軟質部材から形成されている。軟質部材として、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することが好ましい。
【0037】
車外側側壁21とガラスラン部底壁23は、硬質部材で形成されている。
車外側側壁21は、根元部が厚肉に形成され、先端に行くにつれて肉厚を薄くするように形成されて、車外側側壁21は、内面が湾曲して形成されている。このため、車外側側壁21の剛性が大きく、ドアフレーム2の湾曲が大きくても、車外側側壁21が、皺が寄ったり、波打ったりするような変形することがない。また、ドアガラス5が車外側に寄っても、ドアガラス5の先端を車外側側壁21が保持することができ、ドアガラス5がガラスラン部20から外れることがない。
【0038】
車内側側壁22と車内側シールリップ25を車外側側壁21と車外側シールリップ24よりも大きく、肉厚に形成することが好ましい。この場合には、ドアガラス5が上昇してガラスラン10内に位置したときに、ドアガラス5を車外側にシフトさせることができ、ドア1の車外側面の段差を小さくして、見栄えを良くし、風切り音を減少させることができる。また、車内側側壁22がドアフレーム2のドアフレーム取付面に確実に取付けられることができる。
【0039】
ガラスラン部底壁23の内面側に、車内側側壁22との連結部分から底壁リップ26を形成することができる。底壁リップ26は、ドアガラス5が上昇したときに、ドアガラス5の上端が底壁リップ26に当接して、ガラスラン部底壁23への衝撃を吸収することができる。
【0040】
車内側側壁22、車外側シールリップ24、車内側シールリップ25、車内側カバーリップ27は、軟質部材で形成されている。このため、車外側シールリップ24と車内側シールリップ25でドアガラス5の先端部分をシールすることができる。また、車内側側壁22は柔軟に曲がって、ドアフレーム2が湾曲していても、容易に取付けることができる。
【0041】
次に、トリム部30について説明する。トリム部30は、ガラスラン部底壁23と一体に形成されるガラスラン側側壁31と、車体開口部周縁6と対向するボディー側側壁32及びトリム部底壁33からなる断面略コ字状をなしている。
この断面略コ字状の内部に、ドアフレーム2の先端のドアフレームフランジ部3が挿入され、トリム部30で挟持し、ガラスラン10をドアフレーム2に保持する。本実施の形態では、ガラスラン部20のガラスラン部底壁23とトリム部30のガラスラン側側壁31は、同じ素材で同一の部材として一体的に形成されている。
【0042】
トリム部30のボディー側側壁32の外面(車体開口部周縁6と対向する面)には、2本のトリム部外側シールリップ34、34が形成されている。
図4に示すように、ドア閉時に、2本のトリム部外側シールリップ34、34が車体開口部周縁6に当接して、車体開口部周縁6とドアフレーム2の間を二重にシールする。
【0043】
ボディー側側壁32の断面略コ字状の内面には、2本のトリム部内側シールリップ35、35が形成され、ガラスラン側側壁31の断面略コ字状の内面には、3個のトリム部保持突条38、38、38が形成されている。
図4に示すように、ドアフレームフランジ部3がトリム部30の断面略コ字状の内部に挿入されたときに、ドアフレームフランジ部3の一方の面をトリム部内側シールリップ35、35で保持し、ドアフレームフランジ部3の他方の面をトリム部保持突条38、38、38で保持することができる。また、トリム部30が安定的にドアフレームフランジ部3に保持されることができる。
【0044】
ボディー側側壁32の先端の内面には、トリム部カバーリップ37が形成されている。
図4に示すように、ドアフレームフランジ部3がトリム部30の断面略コ字状の内部に挿入されたときに、ドアフレームフランジ部3の根元部分の屈曲した部分にトリム部カバーリップ37が当接して、トリム部30がドアフレームフランジ部3から外れることを防止している。
【0045】
ガラスラン側側壁31の先端に、トリム部30の内部方向に向かって、トリム部係止リップ36が形成されている。ドアフレームフランジ部3がトリム部30の断面略コ字状の内部に挿入されたときに、トリム部係止リップ36は、ドアフレームフランジ部フック3aに係合する。このため、トリム部30は、サイドバイザーを接着しても、ドアフレームフランジ部3から外れ難くなっている。
【0046】
トリム部30は、ガラスラン側側壁31と、ボディー側側壁32、トリム部底壁33、トリム部係止リップ36、トリム部カバーリップ37、トリム部保持突条38は、硬質部材で形成され、トリム部外側シールリップ34、34、トリム部内側シールリップ35、35は軟質部材で形成され、トリム部全体が硬質部材と軟質部材の同時成形により押出成形される。なお、ガラスラン部20の車外側側壁21は、上述のように硬質部材で形成されている。このため、サイドバイザーを接着する部分の剛性を大きくすることができる。
【0047】
これにより、トリム部30の本体部分は剛性が強く、ドアフレームフランジ部3を保持することができるとともに、トリム部外側シールリップ34、34は、車体開口部周縁6の形状に合わせて、柔軟に当接してシールし、トリム部内側シールリップ35、35はドアフレームフランジ部3に柔軟に当接して、シールすることができる。
トリム部係止リップ36とトリム部カバーリップ37が硬質部材で形成されているため、トリム部30がドアフレームフランジ部3に強く係合される。
【0048】
次に、
図5に基づいて、ガラスランリヤ側縦辺部14の断面形状について説明する。
なお、ガラスランリヤ側縦辺部14について説明するが、ガラスランフロント側側縦辺部16についても同様である。
ガラスランリヤ側縦辺部14の断面形状は、ドアフレーム2の内周に取付けられるガラスラン部20のみであり、トリム部30を有しない。ガラスラン部20の形状は、ガラスラン上辺部13と類似しており、車外側側壁21、車内側側壁22及びガラスラン部底壁23からなる断面略コ字状の本体部と、車外側側壁21及び車内側側壁22の先端から断面略コ字状の内部方向斜めにそれぞれ車外側シールリップ24と車内側シールリップ25を延設している。このため、車外側側壁21、車内側側壁22及びガラスラン部底壁23からなる断面略コ字状の内部をドアガラス5の端部が摺動して、ドアガラス5を保持することができる。
【0049】
ガラスラン上辺部13と異なり、車外側側壁21からその延長方向に車外側延長壁21aが形成され、車外側延長壁21aの先端から斜め外方に車外側補助シールリップ21bが形成されている。このため、ドアガラス5の車外側面を車外側シールリップ24と車外側補助シールリップ21bで2重にシールすることができる。
車外側延長壁21aの外面には、ガーニッシュ50の先端が当接している。
【0050】
ガラスラン部20は、車内側側壁22、車外側シールリップ24と車内側シールリップ25が軟質部材から形成されている。軟質部材として、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することが好ましい。
【0051】
次に、ガラスラン10のコーナー部12について説明する。
ドアフレーム2は、
図6に示すように、自動車ドアのリヤ側のコーナー部2bにおいては、上辺部は、略水平に形成され、縦辺部は若干リヤ側に傾いて形成され、その上辺部と縦辺部とが付き合わされるように接合され、上辺部と縦辺部は鋭角を形成する。そして
図6に示すように、ドアフレーム2のコーナー部2bにガラスラン10のコーナー部12が取付けられている。
【0052】
ガラスラン10のコーナー部12は、
図3に示すように、ドアフレーム2の上辺部と縦辺部に取付けられるガラスラン上辺部13とガラスランリヤ側縦辺部14を接続し、ドアフレーム2のコーナー部2bに沿った形状に形成するために型成形で形成される。コーナー部12は、ガラスラン上辺部13とガラスランリヤ側縦辺部14を型成形時にその熱で接続している。
なお、ガラスラン上辺部13とガラスランリヤ側縦辺部14のコーナー部12について説明するが、ガラスラン上辺部13とガラスランフロント側縦辺部16のコーナー部12についても同様である。
【0053】
ガラスラン10のコーナー部12の形状は、
図3に示すように、ガラスラン上辺部13と接続される上辺部側では、ガラスラン上辺部13と略同様の断面形状を有するとともに、車外側面である、車外側側壁21とトリム部底壁33の連続する部分が、ドアフレーム2の端まで直線的に延設されている。このため、コーナー部12においてもガラスラン上辺部13から連続して車外側側壁21とトリム部底壁33の外面が切れ目なく延設され、横方向に連続した意匠面を有することができ、デザイン的に好ましい。
【0054】
コーナー部12のガラスランリヤ側縦辺部14と接続される縦辺部側では、ガラスランリヤ側縦辺部14と略同様の断面形状を有するとともに、上辺部側と縦辺部側の車外側側壁21、車内側側壁22、ガラスラン部底壁23、車外側シールリップ24と車内側シールリップ25は、それぞれ対応する部分で接続されている。
【0055】
図1に示す、車外側延長壁21aと車外側補助シールリップ21bは、上辺部側の車外側シールリップ24の根元部分に直線的に接続されている。
車外側補助シールリップ21bの先端は、上辺部側の車外側シールリップ24の車外側側壁21の先端との連続部分である根元付近で、若干先端よりに部分で、ドアガラス5の上昇時にドアガラス5の先端の車外側先端部が当接する部分に接続されている。この場合には、ドアガラス5が上昇するときに、ドアガラス5の先端の車外側面が、確実に上辺部側の車外側シールリップ24の根元に当接して、車外側シールリップ24の表面に沿って、ガラスラン部20の内部に進入することができる。
【0056】
車外側補助シールリップ21bと上辺部側の車外側シールリップ24の根元の接続部分15の内面側に、接続部分15を覆う接続肉厚部21cが形成されている。このため、車外側補助シールリップ21bと上辺部側の車外側シールリップ24の根元の接続部分15の強度を向上させることができ、組付け時や使用時に接続部分15が破損することを防止できる。
【0057】
接続肉厚部21cの表面を凹状に湾曲又は直線状に形成することが好ましい。この場合には、接続肉厚部21cに外力が加わっても、応力が集中する部分がなく、組付け時や使用時に接続部分15が破損することを防止できる。
また、接続肉厚部21cを車外側補助シールリップ21bの先端部分に形成した場合には、組付け時や使用時に最も外力が加わる部分を保護して、接続部分15のヒケ等を防止できる。
【0058】
ガラスラン10の成形においては、直線部11とコーナー部12の成形材料はいずれも、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂が使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、オレフィン系エラストマー、軟質合成樹脂では、軟質塩化ビニル等が使用される。EPDMゴム、オレフィン系エラストマーを使用すると同種材料のためリサイクルが容易である。
【0059】
直線部11は、押出成形機により直線状に成形される。
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫が行われる。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、冷却され固化される。その後所定の長さに切断されて、押出成形部分は製造される。
【0060】
次に、コーナー部12を形成する型成形部分の成形は、上記により製造された直線部11を形成する押出成形部材を所定寸法に切断して、その切断した押出部分の端部を、型成形部分を成形する金型に挟持して、その金型のキャビティーに型成形部分を形成する材料を注入する。型成形部分の断面形状は押出成形部分の断面形状と略同じである。成形材料は、押出成形部分に使用した材料と同じ種類のものを使用することが好ましい。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、金型に注入されたときに注入材料は溶融されているため、その熱と圧力とで押出成形部分と型成形部分は一体的に融着される。