特許第5999519号(P5999519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5999519少なくとも1つの可動台を備える、とくにバランストレーニングのための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5999519
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】少なくとも1つの可動台を備える、とくにバランストレーニングのための装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 22/16 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   A63B22/16
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-58883(P2014-58883)
(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公開番号】特開2014-184144(P2014-184144A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2014年6月27日
(31)【優先権主張番号】13160477.9
(32)【優先日】2013年3月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512202923
【氏名又は名称】エアバス デーエス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ケルン
(72)【発明者】
【氏名】マルコス エステラー ヴェラ
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ キュプラー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス シンナッハ
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0045812(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0312165(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01880702(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 22/16
A63B 22/14
A63G 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バランストレーニング及び/又は微細運動トレーニングのための装置であり、少なくとも回転可能である少なくとも1つの可動台(12a〜b)、及び前記少なくとも1つの可動台(12a〜b)の回転を引き起こすトルクに抵抗を加えるために設けられている少なくとも1つの反力ユニット(20a〜b)を備えている装置であって、
前記反力ユニット(20a〜b)と前記少なくとも1つの可動台(12a〜b)とを接続する、少なくとも1つの第1の接続エレメント(22a〜b)及び少なくとも1つの第2の接続エレメント(23a〜b)を備え、
前記少なくとも1つの第1の接続エレメント(22a〜b)及び前記少なくとも1つの第2の接続エレメント(23a〜b)は、前記少なくとも1つの可動台(12a〜b)の中心に対して異なる間隔を置いて前記少なくとも1つの可動台(12a〜b)に配置されており、
前記少なくとも1つの可動台(12a〜b)は、人が上に立つ立位上面を有し、前記人は、自身の動きによって前記少なくとも1つの可動台(12a〜b)を揺らす、及び/又は外的要因による前記少なくとも1つの可動台(12a〜b)の揺動に対して抵抗することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の接続エレメント(22a〜b)が、少なくとも1つの静止位置において、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの可動台(12a〜b)の前記静止位置の中立軸(30a〜b)に沿って通る中央の接続エレメント(22a〜b)として形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の接続エレメント(22b)及び前記少なくとも1つの第2の接続エレメント(23b)が、互いに独立して前記反力ユニット(20b)に接続されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1の接続エレメント(22a)及び前記少なくとも1つの第2の接続エレメント(23a)が、少なくとも部分的に互いに一体形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの反力ユニット(20a〜b)が、少なくとも1つの運動転換ユニット(24a〜b)を有しており、該ユニットは、前記少なくとも1つの可動台(12a〜b)の少なくとも2次元の動きの1つの回転部分を、独自の軸を中心とする前記少なくとも1つの中央の接続エレメント(22a〜b)の回転運動に変換することを特徴とする、少なくとも請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記運動転換ユニット(24a〜b)が、丸みを付けられた開口部を備える少なくとも1つのスリーブ又は少なくとも1つの穴(26a〜b)を有していることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの反力ユニット(20a〜b)が、少なくとも1つのスプリングエレメント(32a〜b)を有していることを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
反力強さを調整するために設けられている少なくとも1つの調整ユニット(34a〜b)を特徴とする、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの調整ユニット(34a〜b)が、少なくとも1つのアクチュエータ(36a〜b)、好ましくは少なくとも1つの電気アクチュエータ(36a〜b)を有していることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの調整ユニット(34a〜b)が、コントロールユニット(40a〜b)を有していることを特徴とする、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1の接続エレメント(22a〜b)及び前記少なくとも1つの第2の接続エレメント(23a〜b)が、外部摩擦を使って前記少なくとも1つの可動台(12a〜b)の動きを緩衝するために設けられていることを特徴とする、請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの反力ユニットが、非線形の力特性を備える少なくとも1つのエレメントを有していることを特徴とする、請求項1〜11のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つの中央の接続エレメント(22a〜b)が、前記少なくとも1つの可動台(12a〜b)の少なくとも2次元の動きを、1次元で、少なくとも1つの反力ユニット(20a〜b)に伝達することを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つの中央の接続エレメント(22a〜b)が、少なくとも部分的にワイヤエレメントから形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項15】
ゲーム機(44a〜b)との相互作用における、バランストレーニング及び/又は微細運動トレーニングのための、請求項1〜14のうちいずれか一項に記載の装置(10a〜b)の使用。
【請求項16】
低重力条件下における、請求項15に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に基づく装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バランストレーニング及び/又は微細運動トレーニングのための装置は、少なくとも2つの次元で揺動可能な少なくとも1つの可動台を有している。可動台の動きを緩和するための緩衝エレメントを備える装置が知られており、これらの緩衝エレメントは、例えばプラスチックで被覆されたスチールケーブルとして形成されており、これらのスチールケーブルは、吊り下げたまま台を固定し、プラスチック被覆の材料特性によってショックを和らげる作用がある。周知の緩衝エレメントは、非常に大まかにしか調整することができず、装置の作動中に動的変更又は緩衝特性の適合を行うことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、とくに、緩衝の適合性に関して改善された特性を備える、業界標準の装置を提供することにある。この課題は、本発明に基づき、請求項1の特徴によって解決され、本発明の有利な実施形態及び発展形態は従属請求項に示されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は1つの装置、詳細にはバランストレーニング及び/又は微細運動トレーニングのための装置を前提とし、この装置は、少なくとも回転可能な少なくとも1つの可動台、及び少なくとも1つの可動台の回転を引き起こすトルクに抵抗を加えるために設けられている少なくとも1つの反力ユニットを備えている。「少なくとも回転可能な可動台」とは、詳細には、例えばフレームに取り付けられている懸架部によって、少なくとも、ヨー軸、詳細には静止位置の中心軸を中心とする回転に置き換えられることができ、好ましくはさらに、1つの平面、好ましくは装置が置かれている床面に対して平行な平面において、互いに垂直に通る2方向に沿って、規定の移動範囲内を並進移動することができ、かつ静止位置への移動の戻りを有しているように支持されている台、好ましくは平坦な台を意味するものとする。好ましくは、この可動台は、平面における2方向への移動に加えて、さらにこの平面に対して垂直な方向に傾斜することもできる、あるいは並進的な動きなしに、3次元的に横揺れ角及び/又は縦揺れ角を移動することができる。この台は立位上面を有し、この上に人が立ち、自分の動きによって台を動かす、及び/又は外部の刺激によって台の移動に対して反対に行動する。好ましくは、この立位上面は平坦に実施されているが、基本的には、湾曲して又はその他の、平坦な面とは異なる基本形態、例えば半円形に実施されていてもよい。この装置は、とくに、平衡感覚を強化するためのトレーニングに用いるか、又は平衡感覚障害の治療に用いるようになっている。「可動台が移動するための力に抵抗を加える反力ユニット」とは、とくに、台の移動を引き起こす力に反力を加え、それによって台の移動に特定の抵抗を加えるために設けられているユニットを意味するものとする。とくに、反力ユニットは、このために、例えばスプリングエレメントのように、戻る力を生じる弾性エレメントを具備している。
【0005】
この装置が、少なくとも1つの第1の接続エレメント及び少なくとも1つの第2の接続エレメントを有し、これらのエレメントは反力ユニットを少なくとも1つの台と接続しており、少なくとも1つの第1の接続エレメント及び少なくとも1つの第2の接続エレメントは、少なくとも1つの台の中心に対して異なる間隔を置いてこの台に配置されていることが提案される。とくに、少なくとも1つの第1の接続エレメント及び少なくとも1つの第2の接続エレメントが、反力ユニットによって生じる少なくとも1つの反力を少なくとも1つの台に伝達し、このとき、少なくとも1つの第1の接続エレメント及び少なくとも1つの第2の接続エレメントが少なくとも1つの台の中心に対して異なる間隔を置いていることにより、この反力は、少なくとも1つの台の回転に抵抗する逆トルクに変換される。「接続エレメント」とは、とくに、静止位置からの台の移動を少なくとも1つの別のエレメントに伝達するために設けられているエレメントを意味するものとする。好ましいのは、接続エレメントが柔軟なエレメントとして形成されていることである。台の中心に対して異なる間隔で接続エレメントを取り付けることによって、台の回転運動により、第1の接続エレメント及び第2の接続エレメントが異なる距離を動かされ、これにより、台運動の純粋な回転部分が伝達され、反力エレメントによって、反力を台運動の純粋な回転部分に加えることができる。とくに、これらの接続エレメントは、同様に反力ユニットによって発生する反力も伝達し、この反力は、台の純粋な並進移動に抵抗する。とくに、僅かな数の接続エレメントと共に少なくとも1つの第1の接続エレメント及び少なくとも1つの第2の接続エレメントを用いることによって、回転部分、詳細には静止位置における中立軸を中心とする回転にも反力が加えられる。とくに、反力ユニットによる反力は、台の懸架エレメントなどのねじれ又は材料弾性によって起こり得る反力に追加して加えられ、台に送り込まれ、好ましくは変更可能であり、有利には台の作動中に調整可能及び/又は適合可能である。とくに台運動の回転部分に対する逆トルクは、台運動の並進部分に対する反力に追加して発生させることができ、強さの異なる反作用が台の並進及び回転に対して提供されることにより、高いトレーニング効果を有するトレーニング台及び複雑なトレーニング方法のための追加的な調整の可能性が提供される。
【0006】
さらに、少なくとも1つの第1の接続エレメントが、台の少なくとも1つの静止位置において、少なくとも部分的に台の静止位置の中立軸に沿って通る中央の接続エレメントとして形成されている。「台の静止位置の中立軸」とは、とくに、台の平面上に垂直に立ち、台の静止位置において、台の幾何学的中心を通る軸を意味するものとする。「中央の接続エレメント」とは、とくに、接続エレメントが、台の静止位置の中立軸に近い少なくとも1つの部分に配置されており、好ましくは台の1つの面の中心に固定されていること、及びこの接続エレメントが、量的には等しい、互いに逆方向への台の移動を、1つの同一の移動に変換することを意味するものとする。とくに、中央の接続エレメントにより、台の並進運動の緩衝を、この中央の接続エレメントの動きが緩衝されることによって行うことができる。「動きの緩衝」とは、とくに、反力、詳細には戻り力又は逆トルクが、動きに対抗して加えられるため、移動の力又はトルクが作用することによって達成されている台の移動又は回転は、作用する移動の力又は作用するトルクが緩衝を受けないで作用することができる場合の移動又は回転よりも小さいことを意味するものとする。とくに、中央の接続エレメントは、少なくとも2次元の動きを1次元で反力ユニットに伝達するために設けられている。とくに、台の移動及び回転運動に対する抵抗を生成するために必要な反力エレメントの数を軽減することが可能となる。
【0007】
さらに、少なくとも1つの第1の接続エレメント及び少なくとも1つの第2の接続エレメントが、互いに独立して反力ユニットに接続されていることが提案される。「少なくとも1つの第1の接続エレメント及び少なくとも第2の接続エレメントが、互いに独立して反力ユニットに接続されている」とは、とくに、少なくとも1つの第1の接続エレメント及び少なくとも1つの第2の接続エレメントが互いに接続されないで配置されており、それぞれが、反力を発生させるための異なる反力エレメントと接続されているため、少なくとも1つの第1の接続エレメント及び少なくとも1つの第2の接続エレメントには、異なる反力エレメントによって、逆トルクを発生させるためにそれぞれの反力が加えられ、これらの反力は台の回転運動に抵抗することを意味するものとする。とくに、台の回転運動に対する反力を発生させる反力ユニットへの接続を構造的に簡単に実現することができる。
【0008】
さらに、少なくとも1つの第1の接続エレメント及び少なくとも1つの第2の接続エレメントが、少なくとも部分的に互いに一体形成されていることが提案される。「少なくとも1つの第1の接続エレメント及び少なくとも1つの第2の接続エレメントが、少なくとも部分的に互いに一体形成されている」とは、とくに、少なくとも1つの第1の接続エレメント及び少なくとも1つの第2の接続エレメントが互いに固定されているか、又は例えば共通のワイヤエレメントの分割部分として、共通のエレメントから発生していることを意味するものとする。とくに、少なくとも1つの第2の接続エレメントが、少なくとも1つの第1の接続エレメントと一緒に、接触点でY型の接続を形成している。とくに、少なくとも1つの第1の接続エレメント及び少なくとも1つの第2の接続エレメントは、互いに一体形成されている部分で反力ユニットと接続されている。とくに、逆トルクを発生させるために必要とされる反力ユニットの反力エレメント数を削減することができる。
【0009】
さらに、少なくとも1つの中央の接続エレメントが、少なくとも1つの台の少なくとも2次元の動きを、1次元で、少なくとも1つの反力ユニットに伝達することが提案される。とくに、反力ユニットの反力エレメントの必要数を軽減することが可能となる。
【0010】
さらに、少なくとも1つの反力ユニットが、少なくとも1つの運動転換ユニットを有しており、このユニットは、少なくとも1つの台の少なくとも2次元の動きの回転部分を、独自の軸を中心とする少なくとも1つの中央の接続エレメントの回転運動に変換する。とくに、静止位置からの台の併進移動の量は、中央の接続エレメントの移動として残る。とくに、台の動きの回転部分は、少なくとも1つの可動台と少なくとも1つの運動転換ユニットとの間に配置されている、中央の接続エレメントの部分範囲において、少なくとも1つの中央の接続エレメントの動きの回転部分に変換され、この中央の接続エレメントの動きの回転部分が、独自の軸を中心とする中央の接続エレメントの回転運動に転換される。従って、とくに、少なくとも2次元の台の動きが、中央の接続エレメントの1次元の動きに変換される。「運動転換ユニット」とは、とくに、1つの回転方向又は併進方向への動きを、その他の回転方向又は併進方向への動きに転換するために設けられているユニットを意味するものとする。好ましくは、運動転換ユニットが、動きの次元性を減少させるために設けられており、このことは、例えば、回転成分を備える2次元の動きが、1つの次元における純粋な並進運動への動きに変換されることによって行われる。好ましくは、運動転換ユニットが1つのエレメントを具備しており、このエレメントを中心に中央の接続エレメントが回転可能であり、それによって動きの回転部分を、中央の接続エレメントの軸を中心とする回転に変換する。とくに、必要な緩衝エレメント数の削減を達成できるようにするには、もう1回だけ静止位置からの台の並進移動に抵抗を加える。
【0011】
さらに、少なくとも1つの運動転換ユニットが、丸みを付けられた開口部を備える少なくとも1つのスリーブ又は少なくとも1つの穴を有していることが提案される。とくに、丸みを付けられた開口部を備えるスリーブ又は穴は、中央の接続エレメントの動きの回転部分を、独自の軸を中心とする中央の接続エレメントの回転に変換するために設けられており、このことは、中央の接続エレメントが、丸みを付けられた開口部のスリーブ又は穴との接触点を中心に回転することによって行われる。基本的に、代替の実施形態において、この開口部は、丸みを付けられた開口部の代わりに、鋭形の開口部によって形成されていてもよい。とくに、構造的に簡単な運動転換ユニットを実現することができる。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つの中央の接続エレメントが、少なくとも部分的にワイヤエレメントから形成されている。「ワイヤエレメント」とは、とくに、天然繊維又は人工繊維あるいは金属製ワイヤから成る、柔軟性のある長いエレメントであって、引張力を伝達するために設けられているエレメントを意味するものとし、この場合、繊維又はワイヤはねじられている。とくに、このワイヤエレメントは、鋼索から成るスチールケーブルから形成されている。とくに、ワイヤエレメントは、同じ材料又は繊維もしくはワイヤの材料とは異なる材料から成るコーティング、スリーブ又はジャケットを有していてもよい。基本的に、中央の接続エレメントは、少なくとも部分的にチェーンエレメントによって形成されていてもよい。とくに、簡単に製造可能であり、安価な中央の接続エレメントを実現することができる。
【0013】
さらに、少なくとも1つの反力ユニットが、少なくとも1つのスプリングエレメントを有していることが提案される。「スプリングエレメント」とは、とくに、通常の作動状態において、少なくとも1つの長さが少なくとも10%、とくに少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、及びとくに好ましくは少なくとも50%弾性的に変化することができ、とくに長さの変化に応じて、及び好ましくはその変化に比例した反力を発生させ、この反力は変化の反対に作用する、巨視的エレメントを意味するものとする。エレメントの「長さ」とは、とくに、エレメントの平面上への垂直投影の2つの点の最大距離を意味するものとする。「巨視的エレメント」とは、とくに、少なくとも1mm、とくに少なくとも5mm、好ましくは少なくとも10mm、とくに好ましくは少なくとも50mmの伸びを備えるエレメントを意味するものとする。とくに、スプリングエレメントは、中央の接続エレメントに接続されており、中央の接続エレメントの移動に対して予荷重に応じた抵抗を加えることから、1つの方向への移動に抵抗が加えられる。このスプリングエレメントは、直線的に柔軟に変形可能なエレメントとして、又はねじりバネエレメントとして形成されていてもよい。基本的に、反力ユニットは、スプリングエレメントの代わりに、又はスプリングエレメントに加えて追加の緩衝エレメントを具備することもでき、この緩衝エレメントは、スプリングエレメントと直列又は並列に反力ユニットの中に配置することができる。原則的には、互いに並列に配置されているスプリングエレメントと追加の緩衝エレメントのグループを数個使用することも考えられ、この場合、この数個のグループは互いに並列及び/又は直列に接続されている。追加の緩衝エレメントは、内部の緩衝特性を備えるエレメント、例えばゴムひも又は非線形の負荷特性を備える撚りゴムひもなどによって形成されていてもよい。追加の緩衝エレメントは、スプリングエレメントと一体形成にすることもできる。とくに、構造的に単純に実施された反力ユニットを実現することができる。
【0014】
好ましくは、この装置が、中央の接続エレメントと、独自の軸を中心とする中央の接続エレメントの回転を可能にしているスプリングエレメントとを接続するための少なくとも1つのねじれ解除ユニット(Entdralleinheit)を具備している。「ねじれ解除ユニット」とは、とくに、1つのエレメント、詳細には中央の接続エレメントの端部に固定されているユニットであって、エレメントの範囲内で独自の軸を中心とするエレメントの回転を可能にしているユニットを意味するものとし、このとき、エレメントの回転は、ねじれ解除ユニットの内部の回転に変換される。とくに、中央の接続エレメントとスプリングエレメントとの構造的に簡単な接続を達成することができる。
【0015】
さらに、反力の強さを調整するために設けられている少なくとも1つの調整ユニットが提案される。「調整ユニット」とは、とくに、手動又は電子制御で反力ユニットに作用するユニットであって、反力ユニットの反力強さを変更し、それによって、移動する力が与えられている場合に、台の可能な運動半径を変更するユニットを意味するものとする。好ましくは、この調整ユニットが、装置の作動中に反力の強さを変更するために設けられている。とくに、異なる条件に柔軟に適合可能な装置を実現することができる。
【0016】
さらに、少なくとも1つの調整ユニットが、少なくとも1つのアクチュエータ、好ましくは少なくとも1つの電気アクチュエータを有していることが提案される。「電気アクチュエータ」とは、とくに、電気信号を運動に変換する、詳細には直線運動に変換するために設けられているメカトロニクス構成部品を意味するものとする。とくに、この電気アクチュエータは、スプリングエレメントの予荷重を調整するために設けられている。とくに、このアクチュエータは、予荷重の無段階調整のために設けられている。とくに、安価に実現可能であり、かつ簡単に制御可能な無段階調整ユニットを実現することができる。
【0017】
代替として、少なくとも1つの反力ユニットが、直接調整可能な少なくとも1つの緩衝エレメントを有することができる。「直接調整可能な緩衝エレメント」とは、とくに、この緩衝エレメントの反力強さを、あらかじめアクチュエータで予荷重を調整することなく、直接電気制御によって調整することができる、あるいは外部の電場及び/又は磁場を印加することによって調整が可能な緩衝エレメントを意味するものとする。代替の実施形態では、反力ユニットが、直接制御可能な緩衝エレメント及び/又はスプリングエレメントの代わりに、あるいはこれに加えて、渦電流ブレーキ又は摩擦ブレーキを有することもできる。とくに、反力強さの調整を、構造的に簡単に、無段階で、かつ迅速に行うことができる。とくに、この直接調整可能な緩衝エレメントは、電気粘性流体ダンパ及び/又は磁性流体ダンパによって形成することができる。「電気粘性流体ダンパ」とは、とくに、電気粘性流体を備えるダンパを意味するものとする。「電気粘性流体」とは、とくに、電気分極可能な粒子が懸濁されている流体であって、電場を印加することで粒子の双極子が形成され、それにより変化可能な粘性を有する流体を意味するものとする。「磁性流体ダンパ」とは、とくに、磁性流体を備えるダンパを意味するものとする。「磁性流体」とは、とくに、磁気分極可能な粒子が懸濁されている流体であって、磁場を印加することによって変化可能な粘性を有する流体を意味するものとする。とくに、構造的に簡単であり、かつ直接調整可能な緩衝エレメントを実現することができる。
【0018】
さらに、少なくとも1つの調整ユニットが、少なくとも1つのコントロールユニットを有していることが提案される。「コントロールユニット」とは、とくに、少なくとも1つの演算ユニット及び少なくとも1つのメモリユニットを有するユニットであって、メモリユニット内に保存されている少なくとも1つのプログラムを実行し、好ましくは、保存されているプログラム及び/又は台の動きに応じて反力強さの調整を行うために設けられているユニットを意味するものとする。とくに、このコントロールユニットは、台の移動、移動速度又は移動加速度を測定するための少なくとも1つのセンサ測定値に応じて、反力強さを調整するために設けられていてもよい。このセンサは、例えば、カメラ、誘導センサ又はその他の、当業者が適切と見なす位置測定用センサによって形成するとができる。特に、フレキシブルに調整可能な装置を実現することができる。とくに、異なる要求事項に簡単かつ迅速に適合することができ、また、とりわけその他の外部装置、例えばビデオゲーム機などと組み合わせることのできる装置が実現可能となる。
【0019】
さらに、台の移動振幅の増加による反力ユニットの反力強さのゆっくりとした低下が、反力強さの急激な上昇に重ね合わされるというトレーニングプログラムを実施するために、少なくとも1つのコントロールユニットを設けることもできる。反力強さの「ゆっくりとした低下」及び「急激な上昇」とは、とくに、反力強さの低下が、反力強さの上昇に比べ、ゆっくりと進行することを意味するものとする。「移動振幅の増加」とは、とくに、反力強さが低下することによって、及び/又は台上の人の動きによって、例えば、外部から刺激を受けてその人が補整運動を行うことによって、静止位置からの台の移動振幅が増加することを意味するものとする。好ましくは、台の移動振幅の増加が、コントロールユニットの演算ユニットによって調査される。とくに、反力強さの上昇は、台の移動振幅が過剰に増加するのを防止するために用いられる。詳細には、反力強さのゆっくりとした低下は、トレーニングプログラムの進行中、台の上に乗っている人が同じ動きをしている場合に、移動振幅が徐々に増加していくことによって、トレーニングプログラム進行中に繰り返しその人に要求が出され、それによって高いトレーニング効果を達成するために設けられている。とくに、反力強さのゆっくりとした低下、及びそのことに起因する、人の動きによって生じる台の移動の拡大によって、トレーニングプログラムを続けている人の安定性及び運動能力を簡単かつ確実に決定し、訓練することが可能となる。とくに、個々人に応じて適合される、高い安定性を備えるトレーニングプログラムを実現することができる。さらに、中央の接続エレメントは、外部摩擦を使って台の動きを緩衝するために設けられていてもよい。「外部摩擦」とは、とくに、中央の接続エレメントとは異なる装置構成部品と中央の接続エレメントとの摩擦を意味するものする。とくに、中央の接続エレメントは、オイラー‐アイテルワイン方程式に従って、丸みを付けられた開口部を備えるスリーブ又は穴の表面と摩擦し、運動エネルギーを消散的に熱エネルギーに変換するために設けられている。とくに、可動台の動きの追加的な緩衝を達成することができる。
【0020】
さらに、少なくとも1つの反力ユニットが、非線形の力特性を備える少なくとも1つのエレメントを有していることが提案される。「非線形の力特性を備えるエレメント」とは、とくに、引張応力の下で非線形に伸ばされるエレメントを意味するものとし、例えば、非線形の力‐伸び特性曲線を備えるゴムひも又はスプリングエレメントなどである。とくに、反力ユニットによって生み出される反力の高い変動性を実現することができる。
【0021】
本発明に基づく装置は、とくに、バランストレーニング及び/又は治療に用いるために設けられている。治療においては、本発明に基づく装置を、例えば筋力トレーニングに用いることができる。とくに、本発明に基づく装置を、ゲーム機との相互作用で用いることが提案される。好ましくは、本発明に基づく装置が、ゲーム機に接続されたコントロールユニットを具備し、このコントロールユニットは、ゲーム機内に組み込むこともでき、あるいはこのゲーム機から独立して形成することもできる。とくに、ゲーム機に接続されているコントロールユニットは、調整ユニットのコントロールユニットによって形成されている。
【0022】
さらに、本発明に基づく装置を、低重力条件下でのバランストレーニング及び/又は微細運動トレーニング及び/又は治療のために用いることが提案される。「低重力条件」とは、とくに、重力効果が最大0.9g、有利には最大1*10−3g、好ましくは最大1*10−6g、とくに好ましくは最大1*10−8gが生じる条件を意味するものとする。重力効果は、引力及び/又は加速によって人工的に発生させることができる。「g」は、9.81m/sの地球での落下加速度を示している。とくに、本発明に基づく装置を、低重力条件下においてゲーム機との相互作用で用いることが提案される。とくに、個々人の必要性に容易に適合できるトレーニングの可能性を、低重力条件下においても提供することができる。
【0023】
とくに、本発明に基づく装置は、台の移動振幅の増加による反力ユニットの反力強さのゆっくりとした低下が、反力強さの急激な上昇に重ね合わされるというトレーニングプログラムのために設けられていてもよい。とくに、個々人に応じて適合される、高い安定性を備えるトレーニングプログラムを実現することができる。
【0024】
この場合、本発明に基づく装置は、上述した使用法および実施形態に制限されるべきではない。とくに、本発明に基づく装置は、ここで説明された機能を実行するために、ここに示された数の個々のエレメント、構成部品およびユニットとは異なる数を有していてもよい。
【0025】
その他の利点は、以下の図から説明される。図には、本発明の二つの実施例が示されている。これらの図、説明及び請求項には、組合せの形で多数の特徴が含まれている。当業者は、これらの特徴を個々においても有利なものとみなし、その他の有効な組合せにまとめるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】回転及び並進移動可能な台を備える本発明に基づく装置を斜め上から見た略図である。
図2】反力ユニット、第1の接続エレメント及びこの第1の接続エレメントと部分的に一体形成されている第2の接続エレメントを備える装置の詳細図であり、これらの接続エレメントは、台と反力ユニットとを接続しており、この反力ユニットによって生み出される反力を、台の回転運動に対して逆トルクを発生させるために台へ送り込む。
図3】第1の接続エレメントと第2の接続エレメントの配置、及び第1の接続エレメントと第2の接続エレメントの反力ユニットへの接続部の略図である。
図4】第1の接続エレメントと第2の接続エレメントの代替の配置、及び第1の接続エレメントと第2の接続エレメントの反力ユニットへの代替の接続部を備える代替装置の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、2つの次元で回転及び並進移動することができる可動台12aと、台12aの回転のためのトルクに抵抗を加える反力ユニット20aとを備えた、バランストレーニング及び/又は微細運動トレーニングのための本発明に基づく装置10aを斜め上から見た図を示している。可動台12aは、懸架ユニット14aの懸架エレメント16a、18aによって、例えばアルミニウムから製造可能なフレーム52aに、揺動するように支持されており、このとき、懸架エレメント16aは可動台12aの運動方向48aにおける支持を提供し、懸架エレメント18aは可動台12aの運動方向48aに対して、可動台12aの垂直な運動方向50aにおける支持を提供している。懸架エレメント16a、18aは、この場合、プラスチックで被覆されたスチールケーブルとして実施されており、これらのスチールケーブルは、プラスチック被覆の材料の変形により、追加的な緩衝を運動にもたらす。フレーム52aは、詳細には台に上る際の支援として設けられている2つのハンドル46aを有している。台12aは、2つの運動方向48a、50aに移動可能であり、従って2次元で移動することができる。代替の実施形態では、可動台12aを、さらに傾斜可能に形成することもできる。装置10aは、治療の際のバランストレーニングで使用するために設けられており、さらに、ゲーム機44aとの相互作用で使用するようにもなっている。ゲーム機44aとの相互作用により、詳細には異なる条件のシミュレーションを、例えばトレーニングのために行うことができる。装置10aは、低重力条件下において、例えば宇宙ステーション又は宇宙カプセルの機内で、あるいは月、惑星又は小惑星で、宇宙飛行士の筋肉形成トレーニング対策のために使用することもできる。装置10aの可動台12aは、台12aの平坦な表面に立っている人の動きによって移動し、このとき、代替の実施形態では、台12aの表面は、平坦な形状とは異なる形を有することもできる。さらに、代替の実施形態では、移動ユニット、例えば取り付けた偏心モータなどを用いた移動によって可動台12aを動かすこともでき、その際、上面に立っている人は、トレーニング効果を達成するために、移動ユニットによって引き起こされる動きを補整しなければならない。
【0028】
装置10aは反力ユニット20aを有している(図2)。その他に、装置10aは、第1の接続エレメント22a及び第2の接続エレメント23aを有し、これらの接続エレメントは反力ユニット20aを台12aに接続し、このとき、第1の接続エレメント22a及び第2の接続エレメント23aは、台12aの中心に対して異なる間隔を置いてこの台に配置されている。第1の接続エレメント22a及び第2の接続エレメント23aは、反力ユニット20aによって生じる反力を台12aに伝達し、このとき、少なくとも1つの第1の接続エレメント22a及び少なくとも1つの第2の接続エレメント23aが台12aの中心に対して異なる間隔を置いていることにより、この反力は、台12aの回転に抵抗する逆トルクに変換される。第1の接続エレメント22aは、台12aの静止位置の中立軸30aに少なくとも部分的に沿って通る、中央の接続エレメント22aとして形成されている。第1の接続エレメント22a及び第2の接続エレメント23aは、部分的に互いに一体形成されており、接触点でY型を形成している。第2の接続エレメント23aは、台12aから見て、第1の接続エレメント22aへのY型の移行部の後で、反力ユニット20aに接続されている。中央の接続エレメント22aは、スチールケーブルとして形成されている、ワイヤエレメントによって形成されている。代替の実施形態のバリエーションでは、中央の接続エレメント22aがスチール以外の材料のワイヤエレメントから作られ、例えば被覆を有しているか、又は中央の接続エレメント22aが少なくとも部分的にチェーンから形成されていてもよい。中央の接続エレメント22aは、可動台12aの下面の中心点で、この可動台と接続されている。
【0029】
台12aの運動の回転部分と並進部分は、第1の接続エレメント22a及び第2の接続エレメント23aによって伝達され、このとき、並進部分及び回転部分は、異なる方法で、第1の接続エレメント22a及び第2の接続エレメント23aの一次元の並進に変換される。以下では、まず、台12aの運動の並進部分の伝達を説明する。中央の接続エレメント22aとして形成されている第1の接続エレメント22a、及び第2の接続エレメント23aは、台12aの少なくとも2次元の動きの並進部分を一次元で反力ユニット20aに伝達する。この場合、運動転換ユニット24aが、台12aの少なくとも2次元の動きの回転部分を、独自の軸を中心とする中央の接続エレメント22aの回転運動に変換する。運動転換ユニット24aは、丸みを付けられた開口部を備えるボディ内に穴26aを有している。代替の実施形態では、運動転換ユニット24aが、穴26aの代わりに、丸みを付けられた開口部を備えるスリーブをボディ内に有することができる。基本的には、同様に、穴26a又はスリーブが鋭形の開口部を有することも考えられる。中央の接続エレメント22aは、穴26aを通り抜けており、このとき、接続エレメントは開口部に接触している。静止位置から台12aが移動する場合、この移動の並進部分及び従って台12aの動きは、中央の接続エレメント22aの並進運動に変換され、一方、この動きの1つの回転部分は、運動転換ユニット24aの穴26aを中心とする、穴26aと台12aとの間にある中央の接続エレメント22aの一部分の回転に変換され、穴26aを中心とする回転が複数の場合は、独自の軸を中心とする中央の接続エレメント22aの回転に変換される。これにより、台12aの動きの回転部分が抽出され、静止位置からの移動量だけが残され、この移動には反力ユニット20aによって抵抗が加えられる。第2の接続エレメント23aは、丸みを付けられた開口部を備える、同様に形成された穴27aからボディを通過している。基本的には、台12aの2つの運動方向48a、50aのそれぞれ1つに対して、異なる抵抗強さを設けること、及び独立した反力エレメントと接続するための異なるエレメントを、中央の接続エレメント22aに代わって設けることが考えられる。台12aの動きの回転部分は、台12aの中心からの第1の接続エレメント22a及び第2の接続エレメント23aの異なる間隔を介して、反力ユニット20aに伝達されるが、それは、台12aの回転が、台12aの中心からの異なる間隔によって回転時の距離範囲が異なることにより、第1の接続エレメント22aと第2の接続エレメント23aの異なる長さの引張距離に変換されるからである。これに相応して、部分的に互いに一体形成されている第1の接続エレメント22aと第2の接続エレメント23aとは、全体として、引張距離の差の分が並進的に動かされる。第1の接続エレメント22aの引張距離と第2の接続エレメント23aの引張距離との差によって、台12aの動きの回転部分から、台12aの並進運動とは無関係かつこの並進運動に加えて、第1の接続エレメント22aと第2の接続エレメント23aの並進運動が生じ、この並進運動が反力ユニット20aに伝達され、反力ユニット20aはこの並進運動に抵抗を加える。
【0030】
反力ユニット20aは、中央の接続エレメント22aと接続されているスプリングエレメント32aを有し、このスプリングエレメントは、中央の接続エレメント22aの並進運動に戻り力による抵抗を加えることから、中央の接続エレメント22aを介して台12aの移動及び回転に抵抗が加えられる。反力ユニット20aの追加の緩衝エレメント58aは、スプリングエレメント32aと直列に配置されている。反力ユニット20aは非線形の力特性を備えるエレメントを有し、このエレメントは、追加の緩衝エレメント58aによって形成されている。追加の緩衝エレメント58aは、非線形の力特性を備える撚りゴムひもとして形成されている。反力ユニット20aの代替の実施形態では、反力ユニット20aの追加の緩衝エレメント58aをスプリングエレメント32aと平行に配置することができる。中央の接続エレメント22aは、さらに、外部摩擦を使って台12aの動きを緩衝するようにもなっており、それは、中央の接続エレメント22aが、並進運動の際に、オイラー‐アイテルワイン方程式に従って穴26aの表面と摩擦し、この外部摩擦時に中央の接続エレメント22aと、従って台12aの運動エネルギーが消散され、このことにより、台12aの動きが緩衝されるからである。とくに、中央の接続エレメント22aと穴26aの表面との外部摩擦は、移動時の台12aの後揺れ、ならびに人が台に上がる動きによる後揺れを緩衝するために設けられている。図示されている実施例では、中央の接続エレメント22aも、穴26aの丸みを付けられた開口部の表面もスチールから製造されているが、基本的には、中央の接続エレメント22aも、穴26aの丸みを付けられた開口部の表面もその他の材料から製造することができる。穴26aとスプリングエレメント32aとの間の区間には、中央の接続エレメント22aがガイドプーリ54aによって方向転換される。装置10aは、中央の接続エレメント22aと、独自の軸を中心とする中央の接続エレメント22aの回転を可能にしているスプリングエレメント32aとを接続するために、自在軸受によって形成されているねじれ解除ユニット56aを有しており、これにより、独自の軸を中心とする接続エレメント22aの回転によるスプリングエレメント32aへの力の作用が回避され、スプリングエレメント32aには、静止位置からの台12aの移動量による力の作用だけが加えられる。自在軸受によって形成されるねじれ解除ユニット56aは、スリーブエレメント28aによってスプリングエレメント32aと接続されている。代替の実施形態では、反力ユニット20aがスプリングエレメント32aに加えて、又はその代りに、例えば渦電流ブレーキ又は摩擦ブレーキを緩衝のために有することが考えられる。
【0031】
調整ユニット34aは、反力ユニット20aの反力強さを調整するために設けられている。調整ユニット34aは、スプリングエレメント32aへの予荷重を調整する電気アクチュエータ36aを有している。アクチュエータ36aによってスプリングエレメント32aの予荷重を調整することにより、反力ユニット20aの反力強さが調整される。その理由は、1つには、予荷重の増加によって台12aによる中央の接続エレメント22aの移動により高い反力が加えられること、他方では、中央の接続エレメント22aへの力が変化することにより、オイラー‐アイテルワイン方程式による穴26aの表面との摩擦力が変動することである。調整ユニット34aはコントロールユニット40aを有し、このコントロールユニットは調整ユニット34aの中に組み込まれており、演算ユニット及びプログラムが保存されているメモリユニットを具備している。コントロールユニット40aは、緩衝を適合させるアクチュエータ36aを制御するために設けられている。とくに、装置10aを使用するユーザーの異なる要求に装置10aを適合させるため、例えば治療でバランストレーニングを実施している異なる人々が有しているバランス障害の異なる度合に合わせて、さまざまな反力強さを設定することができる。電気アクチュエータ36aにより、反力強さの調整は無段階に行うことができる。コントロールユニット40aは、そのメモリユニット内に、詳細には異なる難易度を備えたさまざまなトレーニングプログラムを有しており、これらのプログラムは異なる反力強さによって実現され、保存されるが、このとき、多くのトレーニングプログラムでは難易度がトレーニングプログラムの実施中に変化する。詳細には、コントロールユニット40a及び電気アクチュエータ36aを介し、調整ユニット34aを用いて反力強さの調整及び適合を装置10aの使用中に実施することができ、このことにより、反力強さ及び難易度の異なるトレーニングプログラムを実現することが、反力強さを適合するためにトレーニングプログラムを中断することなく可能となる。コントロールユニット40aは、台12aの移動振幅の増加による反力ユニット20aの反力強さのゆっくりとした低下が、反力強さの急激な上昇に重ね合わされるというトレーニングプログラムを実施するために設けられている。反力強さの急激な上昇は、台12aの移動振幅の過剰な増加の防止に働き、一方で、トレーニングプログラムの進行中に反力強さがゆっくりと低下することにより、移動振幅が徐々に増加して、台12aに乗っている人が同じ動きをしている場合も、トレーニングプログラムの進行につれてその人には常に要求が行われるため、高いトレーニング効果が達成される。とくに、このトレーニングプログラムは、高い反力強さを伴う初期段階を有し、この段階においては、台12a上の人の動きは、台12aの僅かな移動しか引き起こさない。この初期段階の後、反力ユニット20aの反力強さのゆっくりとした低下によって実際のトレーニング段階への移行が行われ、この段階では、反力ユニット20aの反力強さの低下により、結果的に台12aの移動振幅が上昇するため、コントロールユニット40aによって反力強さの急激な上昇が制御され、これが反力強さのゆっくりとした低下に重ね合わされることにより、素早く切り換わるトレーニング条件が生じ、これらの条件から高いトレーニング効果が達成される。
【0032】
さらに、コントロールユニット40aを用いたゲーム機44aとの相互作用により、異なる反力強さによって、ゲーム機44aのトレーニングゲーム、例えば宇宙飛行士のトレーニングのために、異なる状況をシュミレーションすることが可能である。代替の実施形態では、コントロールユニット40aをゲーム機44aの中に組み込むことができるため、調整ユニット34aの制御をゲーム機44aによって行うことができる。さらに、反力強さの適合を、スプリングエレメント32aにおいて手動で行う代替の実施形態も考えられる。コントロールユニット40aは、台12aの移動を測定するための少なくとも1つのセンサ42aの測定値に応じて、反力強さを調整するために設けられている。センサ42aはカメラによって形成されており、このカメラを介して、コントロールユニット40aは、台12aの下面に付けられたマークを検出することにより、台12aの動きを捉える。代替の実施形態では、台12aの位置測定のためのセンサ42aを、当業者には適切であると見なされるセンサ42aによって形成することができる。
【0033】
図3には、第1の接続エレメント22aと第2の接続エレメント23aの配置の略図及び第1の接続エレメント22aと第2の接続エレメント23aによる台12aと反力ユニット20aとの接続の略図が示されている。台12aは、静止位置が示されている。別の接続エレメント38aは、このエレメントが緊張していない状態において、接続エレメント22a、23aの並進によってまず引き締められることにより、力中断ユニットのエレメントとして形成されることができ、このとき、スプリングエレメント32aには、別の接続エレメント38aが引き締められている間、力に関してほとんど負荷がかけられておらず、従って反力が発生しないため、接続エレメント22a、23aは、完全に引き締められるまで反力なしに並進することができる。従って、並進移動又は回転の部分範囲において、移動又は回転が部分的に反力又は逆トルクなしに行われる作動モードを提供することができる。別の接続エレメント38aは、並進移動又は回転の部分範囲の作動中に、これらが反力又は逆トルクなしで行われることにより、予備設定、変更又は適合を行うためのアクチュエータ36aを使って引き締められるか、又は緩めることができる。
【0034】
図4には、本発明のもう1つの実施例が示されている。以下の説明および図は、主としてこれらの実施例間の違いに限定され、同一の名称で表される構成部品に関して、とくに同じ符号を持つ構成部品に関しては、基本的に、その他の実施例の図及び/又は説明も参照することができ、とくに図1〜3の説明を参照することができる。実施例を区別するため、図1〜2の実施例の符号には文字aが付けられている。図4の実施例には、文字aの代わりに文字bが用いられている。
【0035】
図4には、図3と同様の略図において、2つの次元で回転及び並進移動することができる可動台12b、少なくとも1つの台12bの回転する力に抵抗を加える反力ユニット20b、及び反力ユニット20bを台12bに接続する第1の接続エレメント22bと第2の接続エレメント23bを備えた、バランストレーニング及び/又は微細運動トレーニングのための装置10bが示され、このとき、第1の接続エレメント22b及び第2の接続エレメント23bは、台12bの中心に対して異なる間隔を置いてこの台に配置されており、少なくとも1つの台12bの回転に抵抗する逆トルクを発生させるために、反力エレメント20bによって生み出される反力が、少なくとも1つの台12bに伝達される。第1の接続エレメント22bは、台12bの静止位置の中立軸30bに少なくとも部分的に沿って通る、中央の接続エレメント22bとして形成されている。台12bは、静止位置が示されている。この実施例では、第1の接続エレメント22bと第2の接続エレメント23bとが互いに独立して反力ユニット20bに接続されている。第1の接続エレメント22bは、穴26bを通過した後にスプリングエレメント32bに接続されており、別の接続エレメント38bによって、反力ユニット20bの調整ユニット34bの電気アクチュエータ36bに接続されている。第2の接続エレメント23bは、穴27bを通過した後にスプリングエレメント33bに接続されており、別の接続エレメント39bによって、反力ユニット20bの調整ユニット34bの電気アクチュエータ37bに接続されている。電気アクチュエータ36b、37bは、装置10bの作動中に追加的に、スプリングエレメント32b、33bの予荷重を調整する、及び/又は印加する、及び/又はスプリングエレメント32b、33bの荷重を取り除く。中心軸を中心として台12bが回転する場合、接続エレメント32b、33bは、台12bの中心までの間隔が異なっていることにより、長さの異なる範囲経路に沿って動かされ、従って異なる距離を以前の位置から移動する。別の接続エレメント38b、39bは、このエレメントが緊張していない状態において、接続エレメント22b、23bの並進によってまず引き締められることにより、力中断ユニットとして形成されることができ、このとき、スプリングエレメント32b、33bには、別の接続エレメント38b、39bが引き締められている間、ほとんど負荷がかけられておらず、従って反力が発生しないため、接続エレメント22b、23bは、完全に引き締められるまで反力なしに並進することができる。従って、並進移動又は回転の1つの部分範囲において、並進移動又は回転が、部分的に反力又は逆トルクなしに行われる作動モードを提供することができる。別の接続エレメント38b、39bは、並進移動又は回転の部分範囲の作動中に、これらが反力又は逆トルクなしで行われることにより、予備設定、変更又は適合を行うためのアクチュエータ36b、37bを使って引き締められるか、又は緩めることができる。
【符号の説明】
【0036】
10 装置
12 台
14 懸架ユニット
16 懸架エレメント
18 懸架エレメント
20 反力ユニット
22 接続エレメント
23 接続エレメント
24 運動転換ユニット
26 穴
27 穴
28 スリーブエレメント
30 中立軸
32 スプリングエレメント
33 スプリングエレメント
34 調整ユニット
36 アクチュエータ
37 アクチュエータ
38 接続エレメント
39 接続エレメント
40 コントロールユニット
42 センサ
44 ゲーム機
46 ハンドル
48 運動方向
50 運動方向
52 フレーム
54 ガイドプーリ
56 ねじれ解除ユニット
58 追加の緩衝エレメント
図1
図2
図3
図4