【実施例】
【0040】
以下実施例により本発明を説明する。
【0041】
実施例中の化学純度、光学純度は以下に示す方法で測定した。
【0042】
<化学純度分析法>
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析条件
カラム:Inertsil ODS−3 4.6mmφ×150mm,0.25μm(GL Sciences)
移動相: A液:20mMリン酸緩衝液(pH2.1)、B液:アセトニトリル
グラジエント:A/B=80/20(3分)→25分→50/50(10分)→2分→80/20(5分)
流速: 1mL/分
カラム温度:40℃
検出器:UV(230nm)
保持時間:3.1分(テトラヒドロフラン−2−カルボン酸) 。
【0043】
<光学純度分析法>
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析条件
カラム:SUMICHIRAL OA−6000 4.6mmφ×250mm,5μm(住化分析センター)
移動相:2mM硫酸銅(II)水溶液/アセトニトリル=90/10(v/v)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
検出器:UV(254nm)
保持時間:5.4分((R)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸)
7.9分((S)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸)。
【0044】
参考例1 (R)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸・ベンジルアミン塩の製造
温度計、コンデンサー及び撹拌機の付いた2L四つ口フラスコに、(R)−および(S)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の混合物200g(1.72モル,96.2%e.e.(R))、2−プロパノール700gを加え、65℃まで昇温した。60〜70℃でベンジルアミン203g(1.90モル)を滴下し、完溶後、65℃まで降温してから種晶を添加し、同温度付近で1時間熟成した。その後、20℃まで緩やかに冷却し、同温度付近で1時間熟成してから析出結晶をろ過し、減圧乾燥後、(R)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸・ベンジルアミン塩337.2gを得た。その塩の光学純度は、99.5%e.e.であり、仕込みテトラヒドロフラン−2−カルボン酸のR体に対する取得塩中のR体収率は、89.6%であった。
1H−NMR(DMSO−d
6,400MHz)δppm: 7.43−7.27(m,5H),4.02(m,1H),3.89(s,2H),3.75(m,1H),3.64(m,1H),1.98(m,1H),1.73(m,3H)
13C−NMR(DMSO−d
6,400MHz)δppm:176.4,137.1,128.4,127.7,78.3,67.5,42.9,30.0,25.0
m.p.:134−135℃。
【0045】
実施例1
(第一工程)
温度計、コンデンサー及び撹拌機の付いた2L四つ口フラスコに、参考例1で得た(R)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸・ベンジルアミン塩337.2g、水272.6g、32%苛性ソーダ水192.5g(1.54モル)を加え、完溶させた。次いでトルエン175gを加え、ベンジルアミンをトルエン層側に抽出除去した。ベンジルアミンが除去されたことを確認した後、テトラヒドロフラン175gを加え、静置後、テトラヒドロフラン層を分液除去し、洗浄後水層688.8gを得た。
【0046】
(第二工程)
温度計、コンデンサー及び撹拌機の付いた2L四つ口フラスコに、第一工程で得られた洗浄後水層688.8gを加え、35℃〜45℃で98%硫酸75.5gを滴下し、同温度範囲で1時間熟成してから分液した。水層にさらにテトラヒドロフラン各87.7gを加え、二次、三次抽出をおこなった。抽出率は、87.7%であった。
【0047】
(第三工程)
温度計、コンデンサー及び撹拌機の付いた2L四つ口フラスコに、抽出後のテトラヒドロフラン層を合わせた液570.8gを加え、溶媒を濃縮留去し、析出した無機塩を除くため濾過を実施した。最後に、減圧下、薄膜蒸留(熱媒温度:130℃)により(R)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸154.8gを得た。化学純度:99.3%、光学純度:99.5%e.e.であり、総合収率:77.4%であった。
【0048】
参考例2 (S)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸・ベンジルアミン塩の製造
温度計、コンデンサー及び撹拌機の付いた2L四つ口フラスコに、(R)−および(S)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の混合物200g(1.72モル,95.7%e.e.(S))、2−プロパノール700gを加え、65℃まで昇温した。60〜70℃でベンジルアミン203g(1.90モル)を滴下し、完溶後、65℃まで降温してから種晶を添加し、同温度付近で1時間熟成した。その後、20℃まで緩やかに冷却し、同温度付近で1時間熟成してから析出結晶をろ過し、減圧乾燥後、(S)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸・ベンジルアミン塩332.2gを得た。その塩の光学純度は、99.5%e.e.であり、仕込みテトラヒドロフラン−2−カルボン酸のS体に対する取得塩中のS体収率は、88.3%であった。
1H−NMR(DMSO−d
6,400MHz)δppm: 7.43−7.27(m,5H),4.02(m,1H),3.89(s,2H),3.75(m,1H),3.64(m,1H),1.98(m,1H),1.73(m,3H)
13C−NMR(DMSO−d
6,400MHz)δppm:176.4,137.1,128.4,127.7,78.3,67.5,42.9,30.0,25.0
m.p.:134−135℃。
【0049】
実施例2
(第一工程)
温度計、コンデンサー及び撹拌機の付いた2L四つ口フラスコに、参考例2で得た(S)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸・ベンジルアミン塩332.2g、水268.6g、32%苛性ソーダ水189.7g(1.52モル)を加え、完溶させた。次いでトルエン173gを加え、ベンジルアミンをトルエン層側に抽出除去した。ベンジルアミンが除去されたことを確認した後、テトラヒドロフラン173gを加え、静置後、テトラヒドロフラン層を分液除去し、洗浄後水層678.7gを得た。
【0050】
(第二工程)
温度計、コンデンサー及び撹拌機の付いた2L四つ口フラスコに、第一工程で得られた洗浄後水層678.7gを加え、35℃〜45℃で98%硫酸74.4gを滴下し、同温度範囲で1時間熟成してから分液した。水層にさらにテトラヒドロフラン各86.4gを加え、二次、三次抽出をおこなった。抽出率は、87.7%であった。
【0051】
(第三工程)
温度計、コンデンサー及び撹拌機の付いた2L四つ口フラスコに、抽出後のテトラヒドロフラン層を合わせた液517.5gを加え、溶媒を濃縮留去し、析出した無機塩を除くため濾過を実施した。最後に、減圧下、薄膜蒸留(熱媒温度:130℃)により(S)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸152.5gを得た。化学純度:99.4%、光学純度:99.5%e.e.であり、総合収率:76.3%であった。
【0052】
実施例3
実施例1の第一工程において、洗浄溶媒をトルエンからp−キシレンに変えた以外は実施例1と同様の操作をおこなった。得られた(R)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸153.6gは、化学純度:99.2%、光学純度:99.5%e.e.であり、総合収率:76.8%であった。
【0053】
比較例1
実施例1の第三工程において、抽出溶媒をテトラヒドロフランからメチルエチルケトンに変えた以外は実施例1と同様の操作をおこなった。得られた(R)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸155.2gは、化学純度:96.3%(5−メチル−5−ヘプテン−3−オン:1.5%、5−メチル−4−ヘプテン−3−オン:0.5%を含む)、光学純度:99.5%e.e.であり、総合収率:77.6%であった。実施例1〜3の場合、化学純度が99.2%以上であったが、比較例1では、化学純度が96.3%であり、低かった。
【0054】
比較例2
実施例1の第二工程において、抽出溶媒をテトラヒドロフランからメチルtert−ブチルエーテルに変えた。抽出率は、59.8%であり、低かった。
【0055】
比較例3
実施例1の第二工程において、抽出溶媒をテトラヒドロフランからシクロペンチルメチルエーテルに変えた。抽出率は、27.3%であり、かなり低かった。
【0056】
比較例4
実施例1の第二工程において、抽出溶媒をテトラヒドロフランからトルエンに変えた。抽出率は、1.7%であり、著しく低かった。