(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5999626
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】台所用リモコン
(51)【国際特許分類】
H01H 13/06 20060101AFI20160915BHJP
H01H 9/04 20060101ALI20160915BHJP
F24H 1/00 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
H01H13/06 B
H01H9/04 C
F24H1/00 H
F24H1/00 602V
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-73539(P2012-73539)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-206680(P2013-206680A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】辻 智広
【審査官】
段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−031046(JP,U)
【文献】
特開2010−040301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/06
F24H 1/00
H01H 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台所の略垂直な壁面に取り付けられ、壁面に取り付けられた状態で壁面と平行になるケーシングの前面に開口が形成され、この開口から前方に突出した押し操作可能な操作ボタンを有し、その操作ボタンをケーシングの内側に向かって押し操作することにより、別所に設置された機器の動作を制御する台所用リモコンにおいて、上記ケーシングの前面に形成された開口からケーシングの内側に進入した液状物を堰き止める壁部をケーシングの内面に設けると共に、その壁部で堰き止められた液状物を上記開口の下縁からケーシングの外側に導いて排出する排出部をケーシングに形成したことを特徴とする台所用リモコン。
【請求項2】
上記壁部を、開口を上方および左右方向から囲むコ字状に形成すると共に、この壁部で堰き止められ、壁部の左右部分を伝って下方に流れる液状物を受ける受け部を上記排出部に形成したことを特徴とする請求項1に記載の台所用リモコン。
【請求項3】
上記操作ボタンの周囲に、上記コ字状の壁部に係合する溝部を形成したことを特徴とする請求項2に記載の台所用リモコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外などに設置された給湯装置等の機器の操作をするために、台所の壁面に設置される台所用リモコンに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室や台所に温水を供給する給湯装置は、燃焼ガスが発生するため屋外に設置される場合が多い。この給湯装置の操作を行うための操作パネルが給湯装置本体に設置されていたのでは、操作する度に屋外の設置場所に行かなければならず、使い勝手が非常に悪くなる。そのため、従来より、浴室に風呂リモコンを取り付け、台所には台所用リモコンを取り付け、各々浴室内から操作し、また台所から操作できるように構成されている。
【0003】
風呂リモコンは浴室内に設置されることから、完全な水密構造が採用されており、シャワーなどで風呂リモコンに直接湯水を掛けても、風呂リモコンの内部へは湯水が浸入しないように設計されている。
【0004】
ところが、このような完全な水密構造を採用するとリモコンのコストが高くなる一方、台所用リモコンでは、水などの液状物が掛かるおそれはあるものの、風呂リモコンほどの完全な水密構造までは要求されない。そこで、台所用リモコンではないが、清掃時等に水拭きがされた際にケーシング内に水が進入しないようにしたリモコン装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−76376号公報(段落0004,
図2,
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のものでは、ケーシングの前面に操作ボタンが嵌め込まれる凹部を形成し、その凹部の底面に、凹部よりも小さい開口を形成して、水などの液状物がかかると、凹部の底面の内の開口を囲む部分でその液状物を受け、更に凹部から下方へ水を流す溝をケーシングの前面に形成している。
【0007】
ところが、このような構成では、底面で受けられた液状物が開口からケーシングの内部に進入した場合、その液状物をケーシングの外部に排出することができないという不具合がある。そのため、拭き掃除などの際に通常より多量の水が操作ボタンにかかって開口まで水が到達した場合や、操作ボタンの背面と凹部の底面との間の隙間を毛細管現象で拡がった水が開口内に進入すると、ケーシング内の電子部品に水が到達し、故障の原因となる。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、操作ボタン用の開口からケーシング内に液状物が進入してもケーシング外に排出することのできる台所用リモコンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明による台所用リモコンは、台所の
略垂直な壁面に取り付けられ、
壁面に取り付けられた状態で壁面と平行になるケーシングの前面に
開口が形成され、この開口から前方に突出した押し操作可能な操作ボタンを有し、その操作ボタンを
ケーシングの内側に向かって押し操作することにより、別所に設置された機器の動作を制御する台所用リモコンにおいて、上記ケーシングの前面に形成された開口からケーシングの内側に進入した液状物を堰き止める壁部をケーシングの内面に設けると共に、その壁部で堰き止められた液状物を
上記開口の下縁からケーシングの外側に導いて排出する排出部を
ケーシングに形成したことを特徴とする。
【0010】
仮に開口から液状物がケーシング内に進入しても、上記壁部でその液状物の進入を堰き止めることができ、そして堰き止められた液状物は排出部によってケーシングの外側に排出される。
【0011】
上記壁部の具体的形状として、上記壁部を、開口を上方および左右方向から囲むコ字状に形成すると共に、この壁部で堰き止められ、壁部の左右部分を伝って下方に流れる液状物を受ける受け部を上記排出部に形成することが考えられる。
【0012】
そして、その際、上記操作ボタンの周囲に、上記コ字状の壁部に係合する溝部を形成しておけば、更に確実に液状物を壁部で堰き止めることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明は、開口からケーシングの内側に進入した液状物を堰き止める壁部をケーシングの内面に設けたので、ケーシングの外観を損なうことなく、確実に開口から内部に進入した液状物を外部に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図5】操作ボタンを前ケーシングに取り付けた状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、1は機器である図外の給湯装置の動作を制御するために台所の壁面に取り付けられる台所用リモコンである。この台所用リモコン1は後ケーシング11と前ケーシング2とが前後に合わさったケーシングを有しており、前ケーシング2の前面には押し操作できる操作ボタン3が配列されている。
【0016】
図2および
図3を参照して、前ケーシング2には操作ボタン3を内側から前方に向かって突出させるための開口21が形成されている。そして、各開口21には、壁部22が形成されている。この壁部22は前ケーシング2の裏面に形成されており、開口21を上方および左右方向から囲むようにコ字状に形成されている。従って、開口21から水などの液状物が前ケーシング2の内側に回り込んできても、この壁部22で堰き止められ、壁部22の内側を伝って下方へと流れる。
【0017】
一方、開口21の下部には排出部23が形成されている。この排出部23の後端部には液状物が排出部23を越えて後方に回り込まないように、土手部24が形成されている。また、排出部23の左右には斜めに形成された受け部25が設けられている。
【0018】
上述のように、開口21から前ケーシング2の内側に回り込んだ液状物は壁部22で堰き止められ、壁部22の内側を伝って下方に流れるが、その流れ落ちてくる液状物を受け部25が受けて排出部23に導くように設定されている。従って、開口21から前ケーシング2の内側に向かって上方および左右方向に回り込んだ液状物は壁部22で堰き止められ、受け部25から排出部23に流れる。また、開口21の下部から回り込もうとする液状物は土手部24で堰き止められる。このように、開口21から液状物がいずれの方向に回り込もうとしても全て最終的に排出部23に集められる。排出部23に集められた液状物はそのまま前ケーシング2の前面側に排出されるので、液状物が排出部23に停留することはない。
【0019】
以上説明したように、壁部22と排出部23および受け部25を設けることで開口21から前ケーシング2の内側に回り込む液状物を堰き止め、外部へ排出することができるが、更に液状物の回り込みを堰き止める構成を追加した。
【0020】
図4を参照して、操作ボタン3の上部および左右部分にフランジ部31を張り出させ、そのフランジ部31に上記壁部22と係合する溝部32を形成した。
図5に示すように、操作ボタン3を前ケーシング2に取り付けた状態では、溝部32に壁部22が嵌まり込んで、ラビリンスシールと同様の構造になり、仮に多量の液状物が壁部22を乗り越えようとしても、溝部32内を通って下方に流れ落ちることになる。
【0021】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0022】
1 台所用リモコン
2 前ケーシング
21 開口
22 壁部
23 排出部
25 受け部
3 操作ボタン
32 溝部