特許第5999780号(P5999780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5999780
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】グリル
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/30 20060101AFI20160915BHJP
   A47J 37/06 20060101ALI20160915BHJP
   F24C 3/08 20060101ALI20160915BHJP
   F23D 14/14 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   F23D14/30
   A47J37/06 366
   F24C3/08 M
   F23D14/14 A
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-66513(P2014-66513)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-190653(P2015-190653A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2015年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕康
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−007442(JP,A)
【文献】 実開平05−059113(JP,U)
【文献】 特開平07−067790(JP,A)
【文献】 特開平10−339412(JP,A)
【文献】 特開2005−140399(JP,A)
【文献】 実開平05−044034(JP,U)
【文献】 米国特許第06461149(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/00 − 14/18
F23D 14/26 − 14/84
A47J 37/00 − 37/07
F24C 3/00 − 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロ本体内に組み込まれるグリルであって、グリル庫と、グリル庫の天井部に配置するグリルバーナと、グリルバーナを上方から覆う遮熱板とを備え、グリルバーナは、下面が開放された偏平箱形の板金製のバーナ本体と、バーナ本体の下面を覆うようにバーナ本体に固定された多数の炎孔を有する板金製の燃焼板とを備えるものにおいて、
バーナ本体の上板部は、上方に寄棟状又は四角錐状に盛り上がるように絞り成形された板材で構成されることを特徴とするグリル。
【請求項2】
前記遮熱板に、前記バーナ本体の上板部の頂部に当接する下方に窪んだ凹部が設けられることを特徴とする請求項1記載のグリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロ本体に組み込まれるグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のグリルは、グリル庫と、グリル庫の天井部に配置するグリルバーナとを備えると共に、コンロ内部の温度上昇を防止するため、グリルバーナを上方から覆う遮熱板を備えている。また、グリルバーナは、下面が開放された偏平箱形の板金製のバーナ本体と、バーナ本体の下面を覆うようにバーナ本体に固定される多数の炎孔を有する燃焼板とを備えている。そして、従来、燃焼板として、一般的に用いられるセラミックプレートに代えて板金製のものを用い、コストダウンを図れるようにした板金製グリルバーナも知られている。
【0003】
ここで、上記の如き板金製グリルバーナでは、燃焼開始直後から定常燃焼状態になるまでの3〜4分間に、大きな共鳴音を発生することがある。即ち、燃焼開始直後には定常燃焼状態と比較してバーナ自体の温度が低いため、燃焼炎の熱が燃焼板に奪われて、炎孔での燃焼速度とガス噴出速度とのバランスの崩れにより燃焼状態が不安定になり、燃焼炎が周期的に振動する振動燃焼を生じ、この振動燃焼の振動数とバーナ本体の固有振動数とが一致して共鳴音が発生する。
【0004】
そこで、従来、特許文献1により、板金製グリルバーナにおいて、バーナ本体の上板部に、上方に盛り上がる絞りリブを格子状に形成したものが知られている。これによれば、バーナ本体の剛性が高められて、バーナ本体の固有振動数が振動燃焼の振動数よりも高くなり、共鳴音の発生を防止できる。
【0005】
然し、このものでは、長期の使用で遮熱板が垂れ下がると、格子状の絞りリブに遮熱板が接触して、上板部と遮熱板との間の空隙による遮熱効果が得られなくなり、遮熱板を介しての放熱でコンロ内部の温度が上昇してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−7442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、共鳴音の発生を防止できると共にコンロ内部の温度上昇も防止できるようにしたグリルを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、コンロ本体に組み込まれるグリルであって、グリル庫と、グリル庫の天井部に配置するグリルバーナと、グリルバーナを上方から覆う遮熱板とを備え、グリルバーナは、下面が開放された偏平箱形の板金製のバーナ本体と、バーナ本体の下面を覆うようにバーナ本体に固定された多数の炎孔を有する板金製の燃焼板とを備えるものにおいて、バーナ本体の上板部は、上方に寄棟状又は四角錐状に盛り上がるように絞り成形された板材で構成されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、バーナ本体の上板部を平坦形状にするものに比しバーナ本体の剛性が高められて、バーナ本体の固有振動数が振動燃焼の振動数(燃焼振動数)よりも高くなり、共鳴音の発生が防止される。更に、長期の使用で遮熱板が垂れ下がっても、バーナ本体の上板部の頂部に遮熱板が接触するだけで、上板部の頂部以外の部分と遮熱板との間に遮熱のための十分な空隙が確保され、コンロ内部の温度が上昇することを防止できる。
【0010】
また、本発明においては、遮熱板に、バーナ本体の上板部の頂部に当接する下方に窪んだ凹部を設けることが望ましい。これによれば、バーナ本体への凹部の当接により一種の補強効果が得られて、バーナ本体の固有振動数が更に高くなる。そのため、炎孔の詰り等で燃焼振動数が高くなっても、バーナ本体の固有振動数の方が燃焼振動数よりも高くなり、共鳴音の発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態のグリルの斜視図。
図2図1のII−II線で切断したグリルの断面図。
図3】実施形態のグリルが具備するグリルバーナの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図2を参照して、1は、図示省略したコンロ本体内に組み込まれる本発明の実施形態のグリルを示している。このグリル1は、前面に開閉自在はグリル扉21を有するグリル庫2と、グリル庫2の天井部22に配置したグリルバーナ3と、グリルバーナ3を上方から覆う遮熱板4とを備えている。
【0013】
グリル庫2内には、グリル扉21に連結されるグリル皿23と、グリル皿23上の焼き網24とが収納されており、焼き網24に載置した被調理物がグリルバーナ3の燃焼により焼成される。グリルバーナ3の燃焼排ガスは、グリル庫2の後方上部に画成される煙道25を介して天井部22の後端の排気口26に導かれる。また、煙道25には温度センサ27が配置されており、庫内発火等で温度センサ27の検出温度が異常に上昇したときはグリルバーナ3を消火する。
【0014】
遮熱板4は、グリル庫2の天井部22の前端の立上り部22aと天井部22の排気口26の手前部分とに跨るようにして天井部22上に配置されている。
【0015】
図3も参照して、グリルバーナ3は、下面が開放された偏平箱形のバーナ本体31と、バーナ本体31の下面を覆うようにバーナ本体31に固定された多数の炎孔(図示省略)を有する板金製の燃焼板32と、バーナ本体31の横方向一側部に接続された混合管33とを備えている。そして、グリル庫2の天井部22に開設したバーナ用開口22bに燃焼板32を臨ませた状態で、天井部22にグリルバーナ3を配置している。グリルバーナ3の横方向他側部には、先端を燃焼板32の下方に臨ませた点火電極34と熱電対35とが付設されている。
【0016】
尚、燃焼板32は、バーナ用開口22bに臨む主体部の周辺に張り出すフランジ部32aを有しており、バーナ本体31にも同様のフランジ部31aを設けて、フランジ部31aの下面にフランジ部32aを突き合せた状態でフランジ部31aの外縁部をヘミング加工することによりバーナ本体31に燃焼板32を固定している。また、混合管33は、バーナ本体31に一体の上半部と燃焼板32に一体の下半部とを上下に重ね合わせて形成されている。
【0017】
ところで、バーナ本体31の剛性が低いと、バーナ本体31の固有振動数が上述した振動燃焼の振動数(燃焼振動数)と一致して、共鳴音が発生する。そこで、本実施形態では、バーナ本体31の上板部31bを、上方に寄棟状に盛り上がるように絞り成形している。これによれば、バーナ本体31の上板部31bを平坦形状にするものに比しバーナ本体31の剛性が高められて、バーナ本体31の固有振動数が燃焼振動数よりも高くなり、共鳴音の発生が防止される。
【0018】
更に、本実施形態では、遮熱板4に、バーナ本体31の上板部31bの頂部31cに当接する下方に窪んだ凹部41を設けている。これによれば、バーナ本体31への凹部41の当接により一種の補強効果が得られて、バーナ本体31の固有振動数が更に高くなる。そのため、炎孔の詰り等で燃焼振動数が高くなっても、バーナ本体31の固有振動数の方が燃焼振動数よりも高くなり、共鳴音の発生が防止される。
【0019】
また、本実施形態では、長期の使用で遮熱板4が垂れ下がっても、遮熱板4は上板部31bの頂部31c以外の部分に接触することはない。そのため、上板部31bの頂部31c以外の部分と遮熱板4との間に遮熱のための十分な空隙が確保され、コンロ内部の温度が上昇することを防止できる。
【0020】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、バーナ本体31の上板部31bを上方に寄棟状に盛り上がるように絞り成形しているが、上方に四角錐状に盛り上がるように上板部31bを絞り成形してもよい。
【符号の説明】
【0021】
1…グリル、2…グリル庫、22…天井部、3…グリルバーナ、31…バーナ本体、31b…上板部、31c…頂部、32…燃焼板、4…遮熱板、41…凹部。
図1
図2
図3