(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
契約体系に応じて異なるネットワークIDが設定されている複数の通信装置に対してネットワークサービスを提供するために、前記契約体系に応じたIPアドレスを前記通信装置に対して払い出すアドレス付与サーバを備えた通信システムに接続される中継装置であって、
前記通信装置と、前記通信システムが備えるネットワークとを中継する中継部と、
前記通信装置に対し、前記通信装置に割り当てられているIPアドレスに応じた中継先を選択する中継先選択部と、
を備え、
前記中継先選択部は、前記通信装置からコンテンツを要求することを示すコンテンツ要求を受信すると、前記IPアドレスに応じたコンテンツのデータを提供するコンテンツサーバを中継先として選択する中継装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態の通信システム1のシステム構成を表すシステム構成図である。通信システム1は、広域ネットワーク100、外部ネットワーク200、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ101、認証サーバ102、コンテンツサーバ103、管理サーバ104、複数台の中継装置301、一般通信装置302、第一契約通信装置303、第二契約通信装置304を備える。DHCPサーバ101、認証サーバ102、コンテンツサーバ103、管理サーバ104、中継装置301は広域ネットワーク100に接続されおり、広域ネットワーク100を介して互いに通信可能である。
【0012】
一般通信装置302、第一契約通信装置303、第二契約通信装置304は、中継装置301との間で通信を確立することによって、中継装置301を介して広域ネットワーク100に接続することができる。外部ネットワーク200は、広域ネットワーク100とは異なるネットワークであり、例えばインターネットである。一般通信装置302、第一契約通信装置303、第二契約通信装置304は、中継装置301及び広域ネットワーク100を介して外部ネットワーク200に接続することができる。以下、一般通信装置302と第一契約通信装置303と第二契約通信装置304とに共通した事項を記載する場合には、これらをまとめて「通信装置」と記す。
【0013】
一般通信装置302、第一契約通信装置303は、例えば携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置等の携帯可能な通信装置である。第二契約通信装置304は、例えば携帯電話機、PDA、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、据え置き型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、テレビ受像機、固定電話機等の通信装置である。
【0014】
一般通信装置302は、外部接続契約を行っていない者によって操作される通信装置である。外部接続契約とは、中継装置301及び広域ネットワーク100を介して外部ネットワーク200に接続することについての契約である。一般通信装置302には、予め一般用SSID(Service Set Identifier)が設定されている。一般用SSIDは、いわゆる認証フリーのSSIDである。一般用SSIDは、例えば一般通信装置302に対して所定のアプリケーションがインストールされることによって設定されても良いし、一般通信装置302のユーザに対して広告や雑誌やポスターやメールなどの媒体を介して通知されても良いし、中継装置301から送信されるビーコンによって一般通信装置302に通知されても良い。
【0015】
外部接続契約には、第一外部接続契約と第二外部接続契約の二種類の契約が存在する。
第一外部接続契約は、他者(第一契約通信装置303のユーザ以外の者)によって設置された中継装置301に接続することによって、外部ネットワーク200へ接続することを可能とする契約である。例えば、街中に設置された中継装置301(アクセスポイント)に無線接続することによってインターネットに接続することを可能とする商用サービスの契約が、第一外部接続契約の一例である。
【0016】
第二外部接続契約は、自身(第二契約通信装置304のユーザ)及びその親族(関係者)などによって設置された中継装置301に接続することによって、外部ネットワーク200へ接続することを可能とする契約である。例えば、中継装置301を購入して自宅に設置し、広域ネットワーク100への接続契約とインターネットへの接続提供者(インターネットサービスプロバイダ)との契約を行った者が、第二外部接続契約を行った者の一例である。
【0017】
第一契約通信装置303は、第一外部接続契約を行った者によって操作される通信装置である。第一外部接続契約を行った者には、予め第一契約用SSID、暗号鍵(例えば、WPA2(Wi-Fi Protected Access 2)キー、WEP(Wired Equivalent Privacy)キー)、外部ネットワーク接続用ID、外部ネットワーク接続用パスワードが通知されている。第一契約通信装置303のユーザは、通知された第一契約用SSID及び暗号鍵を、自身の第一契約通信装置303に予め設定しておく。このような設定をしておくことにより、第一契約通信装置303によって外部ネットワーク200に接続することが可能となる。
【0018】
第二契約通信装置304は、第二外部接続契約を行った者によって操作される通信装置である。第二外部接続契約を行った者には、予め外部ネットワーク接続用ID、外部ネットワーク接続用パスワードが通知されている。第二契約通信装置304のユーザは、中継装置301を設置する際に、自身の権限において中継装置301及び第二契約通信装置304を操作し、第二契約通信装置304と中継装置301とが通信可能となるように設定を行う。また、第二契約通信装置304のユーザは、第二契約通信装置304又は中継装置301に対して、外部ネットワーク200に接続するためのID及びパスワード等を設定する。この設定により、第二契約通信装置304は、中継装置301及び広域ネットワーク100を介して外部ネットワーク200に接続することが可能となる。なお、第二契約通信装置304は、中継装置301に対して無線通信で接続されても良いし、有線通信で接続されても良い。
【0019】
DHCPサーバ101は、予め設定されたIPアドレステーブルを記憶している。IPアドレステーブルは、DHCP要求の送信元IPアドレス(DHCPリレーエージェント(中継装置301)のIPアドレス)と、DHCP要求の送信元に対して払い出すIPアドレスの範囲とを対応づけたテーブルである。DHCPサーバ101は、IPアドレステーブルに基づいて、DCHP要求の送信元の通信装置に対してIPアドレスを払い出す。そのため、各通信装置に対して、接続する中継装置301毎に異なるIPアドレスが払い出される。したがって、通信装置に払い出されたIPアドレスを参照することによって、どの中継装置301に接続されている通信装置であるか判別することが可能である。また、後述するように、通信装置に設定されているSSID毎に、DHCPリレーエージェント(中継装置301)のIPアドレスが異なるため、通信装置に払い出されたIPアドレスを参照することによって、どのようなSSIDが設定された通信装置であるか(すなわち一般通信装置302、第一契約通信装置303、第二契約通信装置304のいずれであるか)判別することが可能である。
【0020】
認証サーバ102は、正当なユーザに対して割り当てられているID及びパスワードを記憶している。認証サーバ102は、外部ネットワーク200に接続しようとする通信装置について、正当なユーザによる接続であるか否かについて、ID及びパスワードに基づいて認証処理を行う。
【0021】
コンテンツサーバ103は、通信装置に対してコンテンツを提供するサーバである。コンテンツサーバ103は、例えばWEBサーバであり、HTTP(HyperText Transfer Protocol)に基づいて、HTML(HyperText Markup Language)等の言語で定義されたウェブページ(コンテンツ)のデータを通信装置に提供する。
コンテンツサーバ103には、例えば中継装置301毎に異なるアドレス(例えばURl(Uniform Resource Locator))とコンテンツとが対応づけて設定されている。コンテンツサーバ103は、あるアドレス宛のコンテンツ要求を受信すると、アドレスに対応するコンテンツのトップページのデータを読み出し、読み出したデータを要求元の通信装置に送信する。なお、コンテンツサーバ103に設置されている各アドレスは、中継先のアドレスとして各中継装置301の初期設定情報記憶部406に設定されている。
【0022】
管理サーバ104は、広域ネットワーク100を介して外部ネットワーク200に接続することを許可する通信装置のIPアドレスを定義したアクセスリストを認証サーバ102と連携して管理する。管理サーバ104は、認証サーバ102と連携してアクセスリストを更新すると、各中継装置301に対して更新後のアクセスリストを配布する。
【0023】
図2は、中継装置301の機能構成を表す概略ブロック図である。中継装置301は、第一通信部401、第二通信部402、中継部403、リレーIP情報記憶部404、リレーIP判定部405、初期設定情報記憶部406、中継先選択部407、アクセスリスト記憶部408、外部アクセス判定部409を備える。
【0024】
第一通信部401は、一般通信装置302、第一契約通信装置303、第二契約通信装置304と通信を行う。
第二通信部402は、広域ネットワーク100と通信を行う。広域ネットワークは、例えばNGN(Next Generation Network:次世代網)等のネットワークである。
【0025】
中継部403は、第一通信部401と第二通信部402との間で中継処理を行う。例えば、中継部403は、第一通信部401によって受信されたデータを、第二通信部402を介して広域ネットワーク100や外部ネットワーク200に転送する。また、中継部403は、第二通信部402によって受信されたデータを、第一通信部401を介して宛先となっている装置(一般通信装置302、第一契約通信装置303、第二契約通信装置304)に対して転送する。
【0026】
中継部403は、第一通信部401によって受信されたデータの宛先が外部ネットワーク200側の装置である場合、中継するか否か外部アクセス判定部409に問い合わせる。外部アクセス判定部409によって中継すると判定された場合には、中継部403は受信されたデータを第二通信部402を介して広域ネットワーク100へ中継する。一方、外部アクセス判定部409によって中継しないと判定された場合、中継部403は受信されたデータを第二通信部402へ中継せず、データの送信元である通信装置に対してエラーを送信する。
【0027】
中継部403は、第一通信部401によってDHCP要求(DHCPリクエスト)が受信されると、DHCPリレーエージェントとして動作する。具体的には以下の通りである。中継部403は、受信したDHCP要求に含まれるSSIDに基づいて、リレーIPアドレスをリレーIP判定部405に問い合わせる。中継部403は、リレーIP判定部405から通知されたリレーIPアドレスを送信元アドレスとして用いて、受信されたDHCP要求をDHCPサーバ101に転送する。
【0028】
リレーIP情報記憶部404は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。リレーIP情報記憶部404は、SSIDとリレーIPアドレスとを対応づけたリレーIP情報を記憶する。リレーIP情報は、DHCP要求の送信元である通信装置が用いるSSID毎に、中継部403がDHCPリレーエージェントとして用いるリレーIPアドレスを定義した情報である。このようなリレーIP情報に基づいてリレーIPアドレスが判定されることによって、DHCPサーバ101は、SSIDの通知を受けなくても、SSIDに応じたIPアドレスを払い出すことが可能となる。
リレーIP判定部405は、リレーIP情報を参照することによって、第一通信部401によって受信されたDHCP要求の送信元に設定されているSSIDに応じたリレーIPアドレスを判定する。中継部403は、リレーIP判定部405によって判定されたリレーIPアドレスを送信元IPアドレスとしてDHCP要求を転送する。
【0029】
初期設定情報記憶部406は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。初期設定情報記憶部406は、初期設定情報を記憶する。初期設定情報は、第一通信部401によって受信されるデータの送信元IPアドレスと中継先とを対応づけたテーブルを含む。
中継先選択部407は、初期設定情報を参照することによって、第一通信部401によって受信されたデータの送信元に設定されているIPアドレスに応じた中継先を判定する。そして、中継先選択部407は、第一通信部401によって受信されたコンテンツ要求を、判定した中継先へ中継する。このような処理により、各通信装置をSSIDに応じた中継先に接続させることが可能となる。
【0030】
アクセスリスト記憶部408は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。アクセスリスト記憶部408は、アクセスリストを記憶する。アクセスリストは、外部ネットワーク200に対する接続が許可されている通信装置のIPアドレスと接続条件とを対応づけたテーブルを含む。特に接続条件が無く無制限に接続が許されている通信装置のIPアドレスには、接続条件は対応づけられていなくても良い。
【0031】
外部アクセス判定部409は、アクセスリストを参照することによって、第一通信部401によって受信されたデータの送信元に対し、外部ネットワーク200への接続を許可するか否か判定する。例えば、外部アクセス判定部409は、アクセスリストにIPアドレスが登録されており、接続条件登録されていない送信元については、外部ネットワーク200への接続を無条件で許可する。例えば、外部アクセス判定部409は、アクセスリストにIPアドレスが登録されており、接続条件として接続時間が登録されている送信元については、登録されている接続時間の間だけ外部ネットワーク200への接続を許可する。この場合、外部アクセス判定部409は、接続時間が経過した後は外部ネットワーク200への接続を許可しない。
【0032】
図3は、中継装置301の電源投入時の動作の流れを示すフローチャートである。中継装置301の中継部403は、起動すると(ステップS101)、起動したことを示す起動信号を管理サーバ104に送信する(ステップS102)。管理サーバ104は、起動信号を受信すると、起動信号の送信元の中継装置301に対して初期設定情報を送信する(ステップS103)。初期設定情報には、中継装置301毎に異なるパラメータが含まれる。中継装置301の中継部403は、受信した初期設定情報を初期設定情報記憶部406に書き込む。
【0033】
図4は、一般通信装置302が広域ネットワーク100に接続する際の処理の流れを示すシーケンス図である。まず、一般通信装置302が、一般用SSIDを用いて中継装置301と無線接続する(ステップS201)。一般通信装置302は、中継装置301と無線通信が可能になると、DHCPサーバ101に対してIPアドレスの割り当ての要求を示すデータ(DHCP要求)を送信する(ステップS202)。
【0034】
中継装置301のリレーIP判定部405は、一般通信装置302からDHCP要求を受信すると、一般通信装置302のSSID(一般用SSID)に対応するリレーIPアドレスをリレーIP情報に基づいて判定する(ステップS203)。リレーIP判定部405は、判定したリレーIPアドレスを中継部403に通知する。中継部403は、一般通信装置302から受信したDHCP要求に応じて、リレーIPアドレスを用いたDHCPリレーを行う。DHCPリレーにより、DHCP要求はDHCPサーバ101に到達する(ステップS204)。
【0035】
DHCPサーバ101は、DHCP要求の送信元IPアドレスに応じたIPアドレスの範囲を参照し、その範囲の中から未だに払い出されていないIPアドレスを判定する(ステップS205)。そして、DHCPサーバ101は、DHCP要求のリレー元(中継装置301)に対し、判定したIPアドレスを割り当てIPアドレスとして通知する(ステップS206)。中継装置301の中継部403は、DHCPサーバ101から送信されたIPアドレスの通知を、DHCP要求の送信元の一般通信装置302に対して転送する(ステップS207)。一般通信装置302は、DHCPサーバ101から割り当てられたIPアドレスを用いてIP通信を行う。
【0036】
ユーザが一般通信装置302においてブラウザを起動させると(ステップS208)、ブラウザはホームページのウェブサイトのデータ(コンテンツ)を要求するためのデータ(コンテンツ要求)を送信する(ステップS209)。コンテンツ要求は、例えばHTTPのGETメソッドである。
中継装置301の中継先選択部407は、コンテンツ要求を受信すると、初期設定情報に基づいて、コンテンツ要求に設定されている送信元IPアドレス(一般通信装置302のIPアドレス)に応じた中継先を判定する(ステップS210)。中継先選択部407は、判定した中継先へ、受信したコンテンツ要求を転送する(ステップS211)。上述のように、初期設定情報記憶部406には、中継装置301に応じたコンテンツのアドレスが、一般通信装置302の中継先として設定されている。
【0037】
中継先として設定されているアドレスのコンテンツを提供するコンテンツサーバ103は、受信したコンテンツ要求に基づいてリダイレクト先を判定する(ステップS212)。コンテンツサーバ103は、判定されたリダイレクト先を、コンテンツ要求の送信元である一般通信装置302に対して通知する(ステップS213)。そのため、ステップS213の処理によって、一般通信装置302に対し、中継装置301に応じたコンテンツのアドレスがリダイレクト先として通知される。
【0038】
一般通信装置302は、リダイレクト先の通知を受けると、通知されたリダイレクト先へコンテンツ要求を送信する(ステップS214)。初期設定情報において、一般通信装置302に割り当てられることとなっているIPアドレスに対応づけられているリダイレクト先は、コンテンツサーバ103のトップページである。コンテンツサーバ103は、コンテンツ要求を受信すると、受信したコンテンツ要求の送信元IPアドレスに応じたコンテンツのトップページのデータを送信する(ステップS215)。
【0039】
上述したように、コンテンツサーバ103は、一般通信装置302に対して提供されるべきコンテンツを、接続している中継装置301毎(正確には、接続している中継装置301に応じて一般通信装置302に対して割り振られるIPアドレス毎)に記憶している。そのため、一般通信装置302に対して提供されるコンテンツは、接続している中継装置301によって異なる。例えば、A書店に設置された中継装置301に接続している一般通信装置302には、A書店に関するコンテンツや、本に関するコンテンツ等のトップページが提供される。例えば、B喫茶店に設置された中継装置301に接続している一般通信装置302には、B喫茶店で使用可能なクーポン券を入手可能なコンテンツのトップページが提供される。一般通信装置302のブラウザは、受信したトップぺージを表示する(ステップS216)。
【0040】
図5は、一般通信装置302が外部ネットワーク200に接続する際の処理の流れを示すシーケンス図である。
図4のステップS214において一般通信装置302に表示されたトップページには、外部ネットワーク200に所定の時間だけ接続するためのコンテンツ(外部ネットワーク接続コンテンツ)へのリンクが表示される。一般通信装置302のユーザが外部ネットワーク接続コンテンツへのリンクを選択すると(ステップS301)、一般通信装置302は外部ネットワーク接続コンテンツ要求をコンテンツサーバ103に送信する(ステップS302)。
【0041】
コンテンツサーバ103は、一般通信装置302から外部ネットワーク接続コンテンツ要求を受信すると、外部ネットワーク接続コンテンツ要求に応じて、一般通信装置302に対して認証ページのデータを送信する(ステップS303)。認証ページとは、外部ネットワーク200に接続するための認証を受けるためのサイトである。
【0042】
一般通信装置302のブラウザは、受信した認証ページを表示する(ステップS304)。一般通信装置302のユーザは、認証ページに対して認証情報(例えば、一般用ID及び一般用パスワード)を入力する(ステップS305)。一般用ID及び一般用パスワードは、どのような形でユーザに通知されていても良い。例えば、一般用ID及び一般用パスワードは、中継装置301が設置された店舗に掲示されたポスター等に表示されていても良いし、予め一般通信装置302のユーザに対してメール等によって通知されていても良いし、ステップS216で表示されるトップページ等のウェブサイトに表示されていても良いし、ワンタイムID及びワンタイムパスワードとして発行されても良い。一般用IDとして、ユーザが登録したメールアドレスが用いられても良いし、一般通信装置302のMACアドレスが用いられても良いし、他のシステムで発行されたIDが用いられても良い。また、パスワードは必須ではなく、パスワード無しで認証が行われても良い。
【0043】
一般通信装置302のブラウザは、ユーザによって入力された認証情報を認証サーバ102に送信する(ステップS306)。認証サーバ102は、認証情報を受信すると、受信した認証情報に基づいて認証処理を行う(ステップS307)。認証サーバ102は、管理サーバ104に対して認証結果を通知する(ステップS308)。以下、認証サーバ102による認証がなされた場合の処理の流れについて説明する。なお、認証サーバ102による認証がなされなかった場合は、認証サーバ102によって一般通信装置302に対しエラーが送信され、一般通信装置302は外部ネットワーク200へ接続できない。
【0044】
管理サーバ104は、認証結果を受けてアクセスリストの情報を更新する(ステップS309)。具体的には、管理サーバ104は、認証された一般通信装置302のIPアドレスと、接続条件とを対応づけてアクセスリストに追加する。管理サーバ104は、更新後のアクセスリストを中継装置301に送信する(ステップS310)。中継装置301の外部アクセス判定部409は、管理サーバ104からアクセスリストを受信すると、受信したアクセスリストでアクセスリスト記憶部408の情報を更新する(ステップS311)。
【0045】
中継装置301のアクセスリスト記憶部408に、一般通信装置302のIPアドレスが登録されているアクセスリストが記憶されることによって、一般通信装置302は接続条件を満たしている間だけ、中継装置301を介して外部ネットワーク200に接続することが可能となる(ステップS312)。具体的には以下の通りである。
【0046】
まず、一般通信装置302から外部ネットワーク200へのデータが送信された場合に、外部アクセス判定部409はアクセスリストに基づいてデータの中継を許可する。この許可に応じて、中継部403は、一般通信装置302から送信されたデータを広域ネットワーク100へ中継する。広域ネットワーク100において、一般通信装置302から送信されたデータは外部ネットワーク200へ中継される。また、一般通信装置302宛のデータが外部ネットワーク200から広域ネットワーク100を介して中継装置301に受信されると、外部アクセス判定部409はアクセスリストに基づいてデータの中継を許可する。この許可に応じて、中継部403は、外部ネットワーク200及び広域ネットワーク100を介して受信した一般通信装置302へのデータを、一般通信装置302へ中継する。このような処理により、一般通信装置302は接続条件を満たす間は外部ネットワーク200と通信することが可能となる。
【0047】
図5に示される接続条件は、所定時間内の接続という条件である。そのため、外部アクセス判定部409は、一般通信装置302が外部ネットワーク200に接続してから所定時間が経過したか否か判定する(ステップS313)。所定時間が経過すると(ステップS313−YES)、外部アクセス判定部409は、一般通信装置302の外部ネットワーク200への接続を許可しないことを示すようにアクセスリストの情報を更新する(ステップS314)。更新後は、一般通信装置302と外部ネットワーク200との接続は切断される(ステップS315)。
【0048】
図6は、第一契約通信装置303が外部ネットワーク200に接続する際の処理の流れを示すシーケンス図である。まず、第一契約通信装置303が、第一契約用SSIDを用いて中継装置301と無線接続する(ステップS401)。第一契約通信装置303は、中継装置301と無線通信が可能になると、DHCPサーバ101に対してIPアドレスの割り当ての要求を示すデータ(DHCP要求)を送信する(ステップS402)。
【0049】
中継装置301のリレーIP判定部405は、第一契約通信装置303からDHCP要求を受信すると、第一契約通信装置303のSSID(第一契約用SSID)に対応するリレーIPアドレスをリレーIP情報に基づいて判定する(ステップS403)。リレーIP判定部405は、判定したリレーIPアドレスを中継部403に通知する。中継部403は、第一契約通信装置303から受信したDHCP要求に応じて、リレーIPアドレスを用いたDHCPリレーを行う。DHCPリレーにより、DHCP要求はDHCPサーバ101に到達する(ステップS404)。
【0050】
DHCPサーバ101は、DHCP要求の送信元IPアドレスに応じたIPアドレスの範囲を参照し、その範囲の中から未だに払い出されていないIPアドレスを判定する(ステップS405)。そして、DHCPサーバ101は、DHCP要求のリレー元(中継装置301)に対し、判定したIPアドレスを割り当てIPアドレスとして通知する(ステップS406)。中継装置301の中継部403は、DHCPサーバ101から送信されたIPアドレスの通知を、DHCP要求の送信元の第一契約通信装置303に対して転送する(ステップS407)。第一契約通信装置303は、DHCPサーバ101から割り当てられたIPアドレスを用いてIP通信を行う。
【0051】
ユーザが第一契約通信装置303においてブラウザを起動させると(ステップS408)、ブラウザはホームページのウェブサイトのデータ(コンテンツ)を要求するためのデータ(コンテンツ要求)を送信する(ステップS409)。
中継装置301の中継先選択部407は、コンテンツ要求を受信すると、初期設定情報に基づいて、コンテンツ要求に設定されている送信元IPアドレス(第一契約通信装置303のIPアドレス)に応じた中継先を判定する(ステップS410)。中継先選択部407は、判定した中継先へ、受信したコンテンツ要求を転送する(ステップS411)。
中継先として設定されているアドレスのコンテンツを提供するコンテンツサーバ103は、受信したコンテンツ要求に基づいてリダイレクト先を判定する(ステップS412)。コンテンツサーバ103は、判定されたリダイレクト先を、コンテンツ要求の送信元である第一契約通信装置303に対して通知する(ステップS413)。
【0052】
第一契約通信装置303は、リダイレクト先の通知を受けると、通知されたリダイレクト先(認証サーバ102)に対してコンテンツ要求を送信する(ステップS414)。認証サーバ102は、コンテンツ要求に応じて、第一契約通信装置303に対して認証ページのデータを送信する(ステップS415)。
【0053】
第一契約通信装置303のブラウザは、受信した認証ページを表示する(ステップS416)。第一契約通信装置303のユーザは、認証ページに対して、予め自身に対して付与されている認証情報(例えば、外部ネットワーク接続用ID及び外部ネットワーク接続用パスワード)を入力する(ステップS417)。第一契約通信装置303のブラウザは、ユーザによって入力された認証情報を認証サーバ102に送信する(ステップS418)。認証サーバ102は、認証情報を受信すると、受信した認証情報に基づいて認証処理を行う(ステップS419)。認証サーバ102は、管理サーバ104に対して認証結果を通知する(ステップS420)。以下、認証サーバ102による認証がなされた場合の処理の流れについて説明する。なお、認証サーバ102による認証がなされなかった場合は、認証サーバ102によって第一契約通信装置303に対しエラーが送信され、第一契約通信装置303は外部ネットワーク200へ接続できない。
【0054】
管理サーバ104は、認証結果を受けてアクセスリストの情報を更新する(ステップS421)。具体的には、管理サーバ104は、認証された第一契約通信装置303のIPアドレスを対応づけてアクセスリストに追加する。管理サーバ104は、第一契約通信装置303のIPアドレスについては、接続条件を設定しない。すなわち、特に接続時間の制限を受けることなく第一契約通信装置303は外部ネットワーク200に接続することが可能となる。管理サーバ104は、更新後のアクセスリストを中継装置301に送信する(ステップS422)。中継装置301の外部アクセス判定部409は、管理サーバ104からアクセスリストを受信すると、受信したアクセスリストでアクセスリスト記憶部408の情報を更新する(ステップS423)。
【0055】
中継装置301のアクセスリスト記憶部408に、第一契約通信装置303のIPアドレスが登録されているアクセスリストが記憶されることによって、第一契約通信装置303は中継装置301を介して外部ネットワーク200に接続することが可能となる(ステップS424)。具体的には、第一契約通信装置303から外部ネットワーク200へのデータが送信された場合に、外部アクセス判定部409はアクセスリストに基づいてデータの中継を許可する。この許可に応じて、中継部403は、第一契約通信装置303から送信されたデータを広域ネットワーク100へ中継する。広域ネットワーク100において、第一契約通信装置303から送信されたデータは外部ネットワーク200へ中継される。また、第一契約通信装置303宛のデータが外部ネットワーク200から広域ネットワーク100を介して中継装置301に受信されると、外部アクセス判定部409はアクセスリストに基づいてデータの中継を許可する。この許可に応じて、中継部403は、外部ネットワーク200及び広域ネットワーク100を介して受信した第一契約通信装置303へのデータを、第一契約通信装置303へ中継する。このような処理により、第一契約通信装置303は外部ネットワーク200と通信することが可能となる。
【0056】
このように構成された通信システム1では、各通信装置には、ユーザの契約に応じたSSIDが設定される。通信装置のSSIDに応じたリレーIPアドレスを用いてのDHCPリレーが行われるため、各通信装置は、設定されているSSIDに応じたIPアドレスを受ける。通信装置においてブラウザが起動すると、ホームページを表示するために送信されたコンテンツ要求は、そのIPアドレス及び接続中の中継装置301に応じて、それぞれ異なるアドレスに中継される。一般通信装置302は、接続中の中継装置301に応じたコンテンツのトップページに中継される。第一契約通信装置303は、外部ネットワーク200に接続するための認証ページに中継される。第二契約通信装置304は、そもそも中継を受けることなく、外部ネットワーク200に接続する。一般通信装置302は、外部ネットワーク接続コンテンツを選択することによって、所定の条件を満たしている間(例えば所定の時間)、外部ネットワーク200に接続することが可能となる。このように、契約体系に応じて通信装置に対し異なるネットワークサービスを提供することが可能となる。
【0057】
また、従来から以下のような問題もある。通信装置は中継装置(AP)が設置されていない場所ではネットワークに接続することができない。そのため、通信装置がネットワークに接続できる環境を広げようとすると、それに応じて設置する必要のあるAPの台数が増大してしまうため、設備を提供する者の労力やコストがかさんでしまう。その結果、通信装置がネットワークに接続できる環境を広げることが困難となっていた。このような問題に対し、上述した通信システム1では、第二契約通信装置304のユーザは、自身の外部ネットワーク200への接続環境を構築すると共に、来店者(一般通信装置302のユーザ及び第一契約通信装置303のユーザ)に対するネットワークサービスを提供することが可能となる。そのため、第二契約通信装置304のユーザが店舗等を経営している場合、本通信システム1を導入するインセンティブが発生する。したがって、第二契約通信装置304による中継装置301の設置が進むことにより、中継装置(AP)が設置された環境を広げることが可能となる。
【0058】
<変形例>
図1には、1台の中継装置301のみに一般通信装置302、第一契約通信装置303、第二契約通信装置304が接続されているが、他の中継装置301にも同様に各通信装置が接続されても良い。
図1には、一般通信装置302、第一契約通信装置303、第二契約通信装置304は1台の中継装置301に対してそれぞれ一台しか示されていないが、1台の中継装置301に対してそれぞれ複数台接続されていても良い。また、1台の中継装置301に対して必ずしも上記の3種類の通信装置(一般通信装置302、第一契約通信装置303、第二契約通信装置304)の全てが接続されている必要は無く、いずれか1種であっても2種であっても良い。
広域ネットワーク100に接続された各装置(中継装置301を含む。)の機能は、他の装置によって実現されても良いし、いずれかの装置に集約されても良いし、さらに多くの装置に分散されても良い。
【0059】
中継装置301は、中継処理としてリダイレクト処理を行っても良い。この場合、中継先選択部407は、初期設定情報を参照することによって、第一通信部401によって受信されたデータの送信元に設定されているIPアドレスに応じた中継先を判定する。そして、中継先選択部407は、第一通信部401によって受信されたデータの送信元に対し、判定した中継先へのリダイレクト処理を実行する。このような処理により、各通信装置をSSIDに応じたリダイレクト先に接続させることが可能となる。
【0060】
図7は、中継装置301がリダイレクト処理を行うように構成された場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
図7において、
図4と同じ処理については同じ符号を付している。
中継装置301の中継先選択部407は、ステップS209の処理で送信されたコンテンツ要求を受信すると、初期設定情報に基づいて、コンテンツ要求に設定されている送信元IPアドレス(一般通信装置302のIPアドレス)に応じたリダイレクト先(中継先)を判定する(ステップS501)。中継先選択部407は、判定したリダイレクト先を、コンテンツ要求の送信元の一般通信装置302に対して通知する(ステップS502)。上述のように、初期設定情報記憶部406には、中継装置301に応じたコンテンツのアドレスが、一般通信装置302のリダイレクト先(中継先)として設定されている。そのため、ステップS502の処理によって、一般通信装置302に対し、中継装置301に応じたコンテンツのアドレスがリダイレクト先として通知される。
【0061】
一般通信装置302は、リダイレクト先の通知を受けると、通知されたリダイレクト先へコンテンツ要求を送信する(ステップS214)。初期設定情報において、一般通信装置302に割り当てられることとなっているIPアドレスに対応づけられているリダイレクト先は、コンテンツサーバ103のトップページである。コンテンツサーバ103は、コンテンツ要求を受信すると、受信したコンテンツ要求の送信元IPアドレスに応じたコンテンツのトップページのデータを送信する(ステップS215)。一般通信装置302のブラウザは、受信したトップぺージを表示する(ステップS216)。
【0062】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。