特許第5999845号(P5999845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5999845タービンロータ組立体およびタービンロータ組立体における翼止板並びに翼止板の組付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5999845
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】タービンロータ組立体およびタービンロータ組立体における翼止板並びに翼止板の組付け方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/30 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   F01D5/30
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-239794(P2013-239794)
(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公開番号】特開2015-98848(P2015-98848A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2015年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】杉本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】茨木 誠一
(72)【発明者】
【氏名】平谷 文人
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−317907(JP,A)
【文献】 実開平06−018601(JP,U)
【文献】 実開平04−014702(JP,U)
【文献】 特開2009−024698(JP,A)
【文献】 特開2001−115801(JP,A)
【文献】 米国特許第2801074(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/30
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータディスクと、該ロータディスクの外周に形成される複数の軸方向溝と、該軸方向溝内に前記ロータディスクの周方向に沿って、翼止板を介して植設してなる動翼群と、を具備するタービンロータ組立体であって、
前記翼止板は、前記軸方向溝内に嵌合する基部と、該基部の両端にあって、前記軸方向溝から軸方向に突出した端部には、前記ロータディスクの径方向に折り曲げられて前記ロータディスクの軸方向端面に当接する折り曲げ部を有し、
前記両端の少なくとも一方の前記折り曲げ部は、半径方向の外側と内側とに指向して前記軸方向端面に突出される内外折り曲げ部を備えている、ことを特徴とするタービンロータ組立体。
【請求項2】
前記内外折り曲げ部は、少なくとも前記動翼群を通過させる作動流体の下流側に配置されている、ことを特徴とする請求項1記載のタービンロータ組立体。
【請求項3】
前記内外折り曲げ部の径方向外側折り曲げ部は回転軸方向視において略方形状に形成され、径方向内側折り曲げ部は、前記外側折り曲げ部から内側に向けて突出する突出部が形成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のタービンロータ組立体。
【請求項4】
ロータディスクと、該ロータディスクの外周に形成される複数の軸方向溝と、該軸方向溝内に前記ロータディスクの周方向に沿って、翼止板を介して植設してなる動翼群と、を具備するタービンロータ組立体において、前記動翼群を翼根を介して前記ロータディスクに固定するタービンロータ組立体における翼止板であって、
前記軸方向溝内に嵌合する基部と、該基部の両端にあって、前記軸方向溝から突出する端部と、
該端部のうち、少なくとも一方の端部は、前記端部と前記基部との境界位置から前記基部内側への突出部を備えた、
ことを特徴とするタービンロータ組立体における翼止板。
【請求項5】
請求項1に記載のタービンロータ組立体を組み立てるに当たり、
前記基部の端部を、半径方向の外側に折り曲げることで外側と内側とに突出する内外折り曲げ部を形成する第1工程と、
前記翼止板における前記基部を前記軸方向溝内に、上方から嵌め込む第2工程と、
動翼の翼根を前記軸方向溝に他方の端部側から装入する第3工程と、
該他方の端部を折り曲げて前記翼根を介して動翼を固定する第4工程と、
を具備する、ことを特徴とする、タービンロータ組立体における翼止板の組付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンロータ組立体およびタービンロータ組立体における翼止板並びに翼止板の組付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば軸流タービンの運転時、ロータディスクの周方向に、ロータディスクに形成された軸方向溝に翼根を介して取り付けられた動翼群には、ロータディスクの回転に基づく遠心力や振動によって翼根を介して外力がかかる。そのために、動翼群は、翼根を介してロータディスクに形成された軸方向溝上をずれ動くことがあり、そのための対策として、翼根と軸方向溝との間に固定体(以下、翼止板)を配設している(例えば特許文献1)。
【0003】
ここでの翼止板は、軸方向溝内に嵌合される基礎部分と軸方向溝を越えて突出する端部領域を有し、下流側と上流側に位置する端部領域が、翼根と軸方向溝との嵌合部位を背後から把持するように折り曲げられている。そして、さらに、下流側と上流側に位置する端部領域は、それぞれ両外側に配置される翼担体の端面が対向配置され、端部領域を広げることを回避するために、ストッパが配設されている。
すなわち、特許文献1では、翼担体と一体的に形成されている固定要素は、翼止板の第1の端部領域に軸方向に隣接するように配設されており、かつこの翼止板のために軸方向のストッパを構成する。また、翼止板の第1の端部領域は、ストッパと翼担体との間の周方向溝内に位置することになる。ストッパによって、翼止板が生じる力によって軸方向にその位置からずらされるか、端部領域が広げられてしまうことが回避され、これにより、翼根及びこの翼根により動翼は、その正確な位置を保たれるとしている。
【0004】
一方、特許文献2では、動翼を隙間のない状態で保持し、且つ、分解、組立の際に部品を繰り返して使用できるようにするために、動翼根底部とディスクにまたがって軸方向穴を穿設し、軸方向穴径よりも大径の頭を有し先端部にねじが切られたねじ穴を有する翼止ピンを軸方向穴に挿入し、穴径より大径の頭を有するねじを翼止ピンのねじ穴に螺合するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4315801号公報
【特許文献2】実開平5−14501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、翼止板の端部領域に対して、さらに外側に両外側に配置される翼担体の端面が対向配置され、端部領域が広がることを回避するために、ストッパが配設されるという構造であるから、構造が複雑化することは否めない。
また、特許文献2では、動翼を隙間のない状態で保持し、且つ、分解、組立の際に部品を繰り返して使用できるようにする構造であるから、動翼の分解、組み立てに大変な手間がかかる問題がある。しかも、特許文献2では、ディスクの径方向に対する動翼の動きを防止するために、ディスクの軸方向に穿設した軸方向穴に翼止めピンを挿入し、かかる翼止めピンが脱落しないように翼止めピンの挿入方向の反対側から、ねじで締めて固定している。そのため、繰り返し動翼に対してディスク軸方向にかかる外力を、翼止めピンの挿入方向の反対側からねじ止めした、ねじの頭で受ける構造であるから、ねじの頭に負荷が集中し、ねじの消耗が早まるおそれがあり、翼止め効果の低下が懸念され、頻繁に点検を行う必要性が出てくる。
本発明は、以上のような課題を解決するために提案されたものであって、より簡単な構造で、動翼をその位置に保持できるようにした、タービンロータ組立体およびタービンロータ組立体における翼止板並びに翼止板の組付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、タービンロータ組立体に係る第1の発明は、ロータディスクと、ロータディスクの外周に形成される複数の軸方向溝と、軸方向溝内にロータディスクの周方向に沿って、翼止板を介して植設してなる動翼群と、を具備するタービンロータ組立体であって、翼止板は、軸方向溝内に嵌合する基部と、基部の両端にあって、軸方向溝から軸方向に突出した端部には、ロータディスクの径方向に折り曲げられてロータディスクの軸方向端面に当接する折り曲げ部を有し、両端の少なくとも一方の折り曲げ部は、半径方向の外側と内側とに指向して軸方向端面に突出される内外折り曲げ部を備えている、ことを特徴とする。
【0008】
これにより、翼止板の、軸方向溝から軸方向に突出した端部のうち、ロータディスクの径方向に折り曲げられてロータディスクの軸方向端面に当接する折り曲げ部の一方の折り曲げ部が、半径方向の外側と内側との両方に突出される内外折り曲げ部を備えているため、動翼群に対して生じる力によって軸方向に動翼群がその位置からずらされるか、翼止板の端部領域が広げられてしまうことが回避され、これにより、翼根及びこの翼根により動翼は、その正確な位置が保たれる。
【0009】
また、本発明の一実施形態では、内外折り曲げ部は、少なくとも動翼群を通過させる作動流体の下流側に配置されている、ことを特徴とする。
【0010】
これにより、動翼群が作動流体により及ぼされる外力により、より影響を受ける下流側に内外折り曲げ部を配置することによって、動翼群が軸方向にその位置からずらされるか、翼止板の端部領域が広げられてしまうことが回避される。
【0011】
また、本発明の一実施形態では、内外折り曲げ部の径方向外側折り曲げ部は回転軸方向視において略方形状に形成され、径方向内側折り曲げ部は、外側折り曲げ部から内側に向けて突出する突出部が形成されている、ことを特徴とする。
【0012】
これにより、内外折り曲げ部の外側折り曲げ部と、内側折り曲げ部とが、ロータディスクの軸方向端面に当接した状態となり、より広い面積で、動翼にかかるずれ力に対抗することができ、好適に動翼を支えることができる。
【0013】
また、タービンロータ組立体における翼止板に係る第2の発明は、ロータディスクと、ロータディスクの外周に形成される複数の軸方向溝と、軸方向溝内にロータディスクの周方向に沿って、翼止板を介して植設してなる動翼群と、を具備するタービンロータ組立体において、動翼群を翼根を介してロータディスクに固定するタービンロータ組立体における翼止板であって、軸方向溝内に嵌合する基部と、基部の両端にあって、軸方向溝から突出する端部と、端部のうち、少なくとも一方の端部は、端部と基部との境界位置から基部内側への突出部を備えた、ことを特徴とする。
【0014】
これにより、翼止板の軸方向溝から突出する端部のうちの、少なくとも一方の端部に、前記端部と前記基部との境界位置から前記基部内側への突出部が設けられることで、動翼の軸方向への外力に対して十分に維持することができる。
【0015】
さらに、タービンロータ組立体における翼止板の組付け方法に係る第3の発明は、本発明の一実施形態では、請求項1に記載のタービンロータ組立体を組み立てるに当たり、基部の端部を、半径方向の外側に折り曲げることで外側と内側とに突出する内外折り曲げ部を形成する第1工程と、翼止板における基部を軸方向溝内に、上方から嵌め込む第2工程と、動翼の翼根を軸方向溝に他方の端部側から装入する第3工程と、他方の端部を折り曲げて翼根を介して動翼を固定する第4工程と、を具備する、ことを特徴とする。
【0016】
これにより、容易に動翼を軸方向溝に組付け固定することができ、タービンロータ組立体を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、翼止板の、軸方向溝から軸方向に突出した端部のうち、ロータディスクの径方向に折り曲げられてロータディスクの軸方向端面に当接する折り曲げ部の一方の折り曲げ部が、半径方向の外側と内側との両方に突出される内外折り曲げ部を備えているため、動翼群が生じる力によって軸方向にその位置からずらされるか、翼止板の端部領域が広げられてしまうことが回避され、これにより、翼根及びこの翼根により動翼は、その正確な位置が保たれる。
また、第2の発明によれば、動翼の軸方向への外力に対して動翼を十分に維持することができる翼止板が得られる。
また、第3の発明によれば、簡単に動翼を軸方向溝に組付け固定することができ、タービンロータ組立体を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明にかかるタービンロータ組立体の第1実施形態を示す、一部外観斜視図である。
図2図1に示すタービンロータ組立体に用いられる本実施形態にかかる翼止板の一例を示した平面図である。
図3】本発明にかかるタービンロータ組立体の組み立て手順を説明するための概略的斜視図である。
図4図3に示すロータディスクに翼止板の組付け後に、動翼を組み付ける手順を示した、模式図である。
図5】動翼を組付けた状態を示す、模式図である。
図6】動翼を翼止板の端部を折り曲げて固定する状態を示す、模式図である。
図7】第2実施形態にかかる翼止板の一例を示した平面図である。
図8図7に示す翼止板の折り曲げ部の折り曲げ手順を示した、要部拡大図である。
図9図7に示す翼止板を用いて動翼をロータディスクに組付けた状態を示す、要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0020】
(第1実施形態)
図1に、第1実施形態に係るタービンロータ組立体1を示す。タービンロータ組立体1は、例えば軸流タービンに搭載されるもので、ロータディスク2と、ロータディスク2の外周に形成される複数の軸方向溝3(図3参照)と、軸方向溝3内にロータディスク2の周方向に沿って、翼止板4を介して植設してなる動翼群5nと、を具備する。
【0021】
ロータディスク2は、所定径の回転ディスクで軸流タービンの軸周りに回転する。かかるロータディスク2の外周には、軸方向に所定角度なすように形成された軸方向溝3が所定間隔ごとに全周に亘って設けられている。軸方向溝3は、ロータディスク2の軸方向の端面から見ると、V字状に多段的に掘り込まれた段差壁を有する溝で、底部からロータディスク2外周部に向けて拡開している。また、軸方向溝3は、ロータディスク2の軸方向に所定角度をもって貫通している。
【0022】
動翼群5nは、個々の動翼5がロータディスク2の全周に亘って設けられた軸方向溝3に、それぞれ一定間隔ごとに列設される。動翼5は、実質的には、軸方向溝3に嵌合可能に形成された翼根51と翼部台部52と翼部53とで構成される。翼根51は、軸方向溝3に嵌合するように、段差状、且つ先細状に形成されている。
【0023】
そして、翼止板4は、図2に示すように薄い板厚の板体であり、軸方向溝3内、底部側の溝部に嵌合する基部41と、基部41の両端にあって、軸方向溝3から軸方向に突出した端部には、ロータディスク2の径方向、すなわち半径方向の外側に折り曲げられてロータディスク2の軸方向端面に当接する折り曲げ部42、42を有する。折り曲げ部42、42は、基部41の幅寸法に比較して、基部41の軸を横切る幅方向の寸法を大としている。
そしてかかる折り曲げ部42、42のうち、少なくとも一方の折り曲げ部42には、折り曲げ部42と基部41との境の折り曲げ線を介して、半径方向の外側に折り曲げ部42を折り曲げた際に、半径方向の外側と内側とに指向して突出される内外折り曲げ部である外折り曲げ部42oと、内側に突出する突出部である、一対の内折り曲げ部42iとを有している。
【0024】
基部41は、ロータディスク2に形成された軸方向溝3の軸方向の寸法と略同一寸法を有し、かかる基部41と両端の折り曲げ部42、42とは、軸方向溝3の軸方向に対する形成角度と同一の角度に偏向している。
【0025】
次に、以上のように構成されるタービンロータ組立体1について、組み立て手順、すなわち動翼5の組み付け手順について説明する。
図3に示すように、先ず、ロータディスク2に動翼5を組み付けるのに先立って、ロータディスク2の外周に列設された軸方向溝3に翼止板4を装着する。
翼止板4は、第1工程として各軸方向溝3に対して装着するために、基部41の折り曲げ部42、42のうち、外折り曲げ部42oと内折り曲げ部42iとを備えた折り曲げ部42を、折り曲げ部42と基部41との境の折り曲げ線を介して半径方向の外側に折り曲げる。このことにより、外折り曲げ部42oは、半径方向の外側に突出し、内折り曲げ部42iは半径方向の内側に突出する。
【0026】
次いで、第2工程として、翼止板4における基部41を軸方向溝3内に、上方から装入し、基部41を嵌め込む。この場合、基部41と軸方向溝3の長さ寸法は略同一であり、軸方向溝3はV字状に多段的に掘り込まれた段差壁を有する溝で構成されているので、基部41の幅寸法と軸方向溝3の溝幅とが略同一の位置の軸方向溝3に基部41を嵌合することができる。
また、軸方向溝3に基部41を嵌合すると、折り曲げ部42の外側折り曲げ部42oと、一対の内側折り曲げ部42iとが、ロータディスク2の軸方向端面に当接した状態となり、外側折り曲げ部42oのみが当接するより広い面積で軸方向端面を支えることができ、動翼5にかかるずれ力に対抗して、好適に動翼5を支えることができる。なお、このとき、翼止板4におけるもう一方の折り曲げ部42は、折り曲げられていない状態にある。
【0027】
次に、第3工程として、図4に示すように、動翼5の翼根51を軸方向溝3に、翼止板4の折り曲げられていない方の端部側から装入する。これにより、翼根51は、段差状に先細状に形成されている軸方向溝3に嵌合することができる(図5参照)。
【0028】
そして、第4工程として、最終的に翼止板4の折り曲げられていない方の折り曲げ部42を、径方向外側に折り曲げることで、動翼5の翼根51と軸方向溝3との嵌合部位が翼止板4の双方の折り曲げ部42、42によって挟持された状態となり、少なくともロータディスク2の軸方向にかかる外力に対して、十分に耐えるものとなる(図6参照)。
特に、作動流体がタービン動翼群5nを上流側から下流側へ通過させることで、動翼5の翼部53にかかる外力に対しては、下流側において、動翼5は、下流側での外側折り曲げ部42oと、内側折り曲げ部42iとが、ロータディスク2の軸方向端面に当接した状態であるので、外側折り曲げ部42oのみが当接する場合より広い面積で、動翼5にかかるずれ力に対抗することができ、好適に動翼5を支えることができる。
【0029】
(第2実施形態)
本発明は、第2実施形態によっても実施することができる。
第2実施形態では、図7に示すように、翼止板4は、軸方向溝3から軸方向に突出した端部のうち、第1実施形態のように一方の折り曲げ部42だけが、半径方向の外側に突出する外折り曲げ部42oと、半径方向の内側に突出する内折り曲げ部42iとを有するだけでなく、他方の折り曲げ部、すなわち、ロータディスク2軸方向上流側にセットされる折り曲げ部42は、外折り曲げ部42oに、外折り曲げ部42oの長手方向に突出される突出部である第2内折り曲げ部42i2を有している。
【0030】
かかる第2内折り曲げ部42i2は、動翼5の翼根51を軸方向溝3に、翼止板4の折り曲げられていない方の端部側から装入して嵌合した後、第1実施形態における第4工程で実行される、最終的に翼止板4の折り曲げられていない方の折り曲げ部42を、径方向外側に折り曲げた後、さらに、第2内折り曲げ部42i2を径方向内側に折り曲げることで(図8参照)、第2内折り曲げ部42i2は径方向内側に指向して突出する突出部として、ロータディスク2の軸方向端面に当接した状態となり、動翼5の翼根51と軸方向溝3との嵌合部位が翼止板4の双方の折り曲げ部42、42によって挟持された状態となって、少なくともロータディスク2の軸方向にかかる外力に対して、さらにずれ止めの効果を高めるものとなる(図9参照)。
【0031】
以上、本発明にかかるタービンロータ組立体1において、第1、第2実施形態を示し、その構造、組み付け工程を示して説明した。いずれにしても、本発明では、翼止板4を用いて、軸方向溝3から軸方向に突出した、折り曲げ部42、42を径方向外側内側に突出させることで、少なくともロータディスク2の軸方向にかかる外力に対して、十分に耐えるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、軸流タービンのタービンロータ組立体のみならず、あらゆる回転機械のブレード固定用として適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 タービンロータ組立体
2 ロータディスク
3 軸方向溝
4 翼止板
41 基部
42 折り曲げ部
42o 外折り曲げ部
42i 内折り曲げ部
42i2 第2内折り曲げ部
5 動翼
5n 動翼群
51 翼根
52 翼部台部
53 翼部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9