(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5999852
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】ラジアルシャフトシール、ラジアルシャフトシールアセンブリおよび設置の方法
(51)【国際特許分類】
F16J 15/3204 20160101AFI20160915BHJP
【FI】
F16J15/3204 201
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-515935(P2014-515935)
(86)(22)【出願日】2012年6月13日
(65)【公表番号】特表2014-517234(P2014-517234A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2012042168
(87)【国際公開番号】WO2012174059
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2015年3月13日
(31)【優先権主張番号】13/162,646
(32)【優先日】2011年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503170721
【氏名又は名称】フェデラル−モーグル・パワートレイン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL−MOGUL POWERTRAIN LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トス,デイビッド・エム
(72)【発明者】
【氏名】セドラー,ブレント・アール
【審査官】
杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−520974(JP,A)
【文献】
特開2007−270873(JP,A)
【文献】
特開平09−159031(JP,A)
【文献】
特開昭60−078168(JP,A)
【文献】
特開平06−213331(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0143055(US,A1)
【文献】
特開2003−269616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00 − 15/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジアルシャフトシールであって、前記ラジアルシャフトシールは、ハウジング内に受けられ、かつ、シャフトの周りに受けられて、前記シャフトシールのオイル側から前記シャフトシールの空気側を封止するように分離するように構成され、前記ラジアルシャフトシールは、
環状の取付部と、
オイル側端部と自由な空気側端部との間に延びる環状の内側封止表面を有するシールリップとを備え、前記内側封止表面は、前記シャフトと封止された係合状態で前記シャフトに沿って軸方向に延びるように構成され、前記ラジアルシャフトシールはさらに、
前記シールリップの前記オイル側端部に接続され、かつ、前記取付部に接続される環状ブリッジを備え、前記ブリッジは、前記シールリップに対して半径方向に重なる関係で延びており、前記ラジアルシャフトシールはさらに、
前記取付部から前記シールリップの前記空気側の最も内側の周囲まで半径方向に内側に延びる剛性の環状ディスクを備え、前記最も内側の周囲は、前記シャフトと接触しないままとなるように、前記シールリップの前記内側封止表面の直径よりも大きい内径を有し、前記シールリップが付勢されず、弛緩した状態で前記シャフト上に設置されたときには前記ディスクは前記シールリップと軸方向に離間され完全に前記シールリップと接触せず、前記シールリップが設置の間に前記ラジアルシャフトシールの前記空気側に向かって軸方向に動いたときには、前記ディスクは前記シールリップに突き合わされ、前記シールリップが巻かれ設置の間に前記ラジアルシャフトシールが前記空気側に向かって軸方向に反転することが防止される、ラジアルシャフトシール。
【請求項2】
前記ディスクの前記最も内側の周囲は、複数の半径方向に内側に延びる凸部を有する、請求項1に記載のラジアルシャフトシール。
【請求項3】
前記複数の凸部は、互いから円周方向に等距離に離間される、請求項2に記載のラジアルシャフトシール。
【請求項4】
前記ディスクは、実質的に平坦である、請求項3に記載のラジアルシャフトシール。
【請求項5】
前記ディスクの前記最も内側の周囲は、前記シールリップの前記自由な空気側端部から軸方向に離間される、請求項1に記載のラジアルシャフトシール。
【請求項6】
ラジアルシャフトシールアセンブリであって、前記ラジアルシャフトシールアセンブリは、
中心軸に沿って延び、かつ、規定の直径を有する運転表面を設けるシャフトと、
ハウジング内に受けられ、かつ、前記シャフトの周りに受けられて、前記ラジアルシャフトシールのオイル側から前記ラジアルシャフトシールの空気側を封止するように分離するように構成されたラジアルシャフトシールとを備え、前記ラジアルシャフトシールは、
環状の取付部と、
オイル側端部と自由な空気側端部との間に延びる環状の内側封止表面を有するシールリップとを備え、前記内側封止表面は、前記シャフトと封止された係合状態で前記シャフトの前記運転表面に沿って軸方向に延びるように構成され、前記ラジアルシャフトシールはさらに、
前記シールリップの前記オイル側端部に接続され、かつ、前記取付部に接続された環状のブリッジを備え、前記ブリッジは、前記シールリップに対して半径方向に重なる関係で延びており、前記ラジアルシャフトシールはさらに、
前記取付部から前記シールリップの前記空気側の最も内側の周囲まで半径方向に内側に延びる剛性の環状ディスクを備え、前記最も内側の周囲は、前記シャフトと接触しないままとなるように、前記内側封止表面の内径よりも大きい内径を有し、前記シールリップが付勢されず、弛緩した状態で前記シャフト上に設置されたときには、前記ディスクは前記シールリップと軸方向に離間され完全に前記シールリップと接触せず、前記シールリップが設置の間に前記ラジアルシャフトシールアセンブリの前記空気側に向かって軸方向に動いたときには、前記ディスクは前記シールリップに突き合わされ、前記シールリップが巻かれ前記ラジアルシャフトシールアセンブリが前記空気側に向かって軸方向に反転することが防止される、ラジアルシャフトシールアセンブリ。
【請求項7】
前記ディスクの前記最も内側の周囲は、複数の半径方向に内側に延びる凸部を有する、請求項6に記載のラジアルシャフトシールアセンブリ。
【請求項8】
前記複数の凸部は、互いから円周方向に等距離に離間されている、請求項7に記載のラジアルシャフトシールアセンブリ。
【請求項9】
前記ディスクは実質的に平坦である、請求項8に記載のラジアルシャフトシールアセンブリ。
【請求項10】
前記ディスクの前記最も内側の周囲は、前記シールリップの前記自由な空気側端部から軸方向に離間されている、請求項6に記載のラジアルシャフトシールアセンブリ。
【請求項11】
ラジアルシャフトシールをシャフト上へと設置する方法であって、前記方法は、
運転表面を有するシャフトを設けるステップと、
自由状態にある間に、オイル側端部から自由な空気側端部に集中する環状の封止表面を有するシールリップを前記ラジアルシャフトシールに設けるステップとを含み、環状のブリッジは、第1のヒンジにより前記オイル側端部に取付けられ、前記自由状態にある間に第2のヒンジに反らされ、前記第2のヒンジは、前記ブリッジが前記シールリップに対して半径方向に重なる関係で延びるように、外側取付部に取付けられ、前記シールはさらに、前記ブリッジから軸方向に離れるように前記取付部から延びる環状の凸部を含み、前記凸部は、前記シールリップに面するオイル側を有し、前記方法はさらに、
前記シャフトおよび前記ラジアルシャフトシールを互いに向かって軸方向に動かすステップと、
前記シールリップの前記オイル側端部を前記シャフトの端部と当接状態にし、前記シールリップの前記空気側端部を前記凸部の前記オイル側と当接状態になるように動かすステップと、
前記封止表面を前記運転表面と封止係合状態にし、同時に、前記シールリップの前記空気側端部を動かして、前記凸部と当接状態でなくなるように動かすステップとを含む、方法。
【請求項12】
前記運転表面の直径よりも大きい直径を有する自由端部まで延びる規定の長さを有する前記凸部を設けるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記封止表面を、前記第1のヒンジを介して集中している構成から反れている構成へと少なくとも部分的に旋回させるステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.技術分野
本発明は、一般的に、回転シャフトとハウジングとの間に液密シールを形成するための型の動的オイルシールに関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術
動的ラジアルシャフトオイルシールは、シールのいわゆる「オイル側」および「空気側」を有するように設計されている。これらの名称は、オイル側がハウジングの内部に面し、オイルと連通しており、一方、空気側が外側に面し、空気に晒された状態での、シールの設置されたときの向きに関係する。
【0003】
ラジアルシャフトオイルシールが設置できる手段には、少なくとも2つの異なる手段がある。「空気側設置」は、シールがまずハウジングのボア内に設置され、その後、シャフト(またはその摩耗スリーブ)が空気側からシールアセンブリ内に軸方向に(ハウジングの内部の方向に)設置され、封止が行なわれる手段である。「オイル側設置」はもう一つの手段であり、ハウジングおよびシャフトが既に存在しており、シールアセンブリがハウジング内に軸方向に摺動され、同時にシャフト(またはその摩耗スリーブ)上に摺動されることにより、シャフトがシールのオイル側からシールアセンブリに入る。その他の手段では、シールアセンブリがハウジング内に設置され、次に、シャフトがシールの「オイル側」からシールを通して挿入される。
【0004】
設置の間、型とは無関係に、シールは、シールのシールリップを逆方向に折れさせることなく、設置中に生じる軸方向の負荷に耐えることが可能でなければならず、さもなければ、シールは、完全に設置された状態においてシールリップが有効でない位置にずれてしまう。さらに、設置中、シールアセンブリは、シールリップがシャフト上の運転表面に対して同心関係に向けられた状態で設置されなければならない。さもなければ、シールリップの間に形成されたシールの完全性が損なわれてしまう。
【0005】
ラジアルシャフトシールは、漏れ試験の間または使用中に見られ得る、異なる軸圧にも晒される。シールの両端(シールのオイル側と空気側との間)で発生する圧力差は、一方向または他方向におけるシールに対する軸方向の負荷(ハウジング中の真空または増加した圧力)を付与し、シールを少なくとも若干程度シャフトから引離してしまい、極端な場合には、シールを圧力下で逆方向に折れさせて、崩れさせることにより、シールが破損してしまう可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の概要
一般的にいうと、本発明は、シャフト対ボアのミスアライメントの条件下においても、適切なオイル側設置を行なうことを容易化し、さらに、シールアセンブリが設置されたときに、シールアセンブリのオイル側で正圧または負圧に晒されたときの不都合なシール破損動作に対するシールアセンブリのシールリップへの支持を設ける特徴を有する、ラジアルシャフトシールアセンブリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の一つの現在好ましい局面に従うと、ハウジング内に受けられ、かつ、シャフトの周りに受けられて、シャフトシールのオイル側からシャフトシールの空気側を封止するように分離するように構成されたラジアルシャフトシールが提供される。ラジアルシャフトシールは、環状の取付部と、オイル側端部と自由な空気側端部との間に延びる環状の封止表面を有するシールリップとを含み、封止表面は、シャフトに相対的に軸方向に延びるように構成されている。さらに、環状のブリッジは、第1のヒンジによりシールリップのオイル側端部に接続され、第2のヒンジにより取付部に接続されている。ブリッジは、シールリップに対して半径方向に重なる関係で、第1のヒンジから第2のヒンジに延びている。少なくとも1つの凸部は、ブリッジから離れるように第1のヒンジからシールのオイル側に向かって延びる。凸部は、シールリップがオイル側設置プロセスの間に反転することを防止することにより、シールリップが使用中に運転表面と適切な封止接触を達成することを確実にする。
【0008】
発明の別の局面に従うと、ラジアルシャフトシールアセンブリが提供される。ラジアルシャフトシールアセンブリは、中心軸に沿って延び、かつ、既定の直径を有する運転表面を設けるシャフトと、ハウジング内に受けられ、かつ、シャフトの周りに受けられて、ラジアルシャフトシールのオイル側からラジアルシャフトシールの空気側を封止するように分離するように構成されたラジアルシャフトシールとを含む。ラジアルシャフトシールは、環状の取付部と、環状の封止表面、および、オイル側端部と自由な空気側端部との間に延びる反対側の裏張り表面を有するシールリップとを含み、封止表面は、運転表面と動的な封止接触状態で軸方向に延びるように構成されている。さらに、環状ブリッジは、第1のヒンジによりシールリップのオイル側端部に取付けられ、第2のヒンジにより取付部に取付けられる。ブリッジは、シールリップに対して半径方向に重なる関係で、第1のヒンジから第2のヒンジに延びる。さらに、少なくとも1つの凸部が、第1のヒンジからシールのオイル側に軸方向に向かって延びる。
【0009】
発明の別の局面に従うと、ラジアルシャフトシールをシャフト上に設置する方法が提供される。方法は、運転表面を有するシャフトを設けるステップと、自由状態にある間に、オイル側端部から自由な空気側端部に集中する環状の封止表面を有するシールリップをラジアルシャフトシールに設けるステップとを含む。さらに、第1のヒンジによりオイル側端部に取付けられた環状のブリッジをラジアルシャフトシールに設け、ブリッジは、自由状態にある間に、第2のヒンジに反れる。第2のヒンジは、ブリッジがシールリップと半径方向に重なる関係で延びるように、外側取付部に取付けられる。ラジアルシャフトシールは、さらに、第1のヒンジからシールのオイル側に向かって軸方向に延びる少なくとも1つの凸部を含む。さらに、シャフトおよびラジアルシャフトシールを互いに向かって軸方向に動かし、シールリップのオイル側端部をシャフトの端部と当接状態にする。さらに、凸部をシャフトの運転表面と当接状態にし、封止表面を運転表面と封止係合状態にして、同時に、凸部を運転表面と当接しなくなるように動かす。
【0010】
本発明のこれらおよび他の局面、特徴および利点は、以下の現在好ましい実施形態の詳細な説明および最良の形態、添付の請求項および付随の図面と関連して検討されると、より容易に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】シールがシャフト上に配置された状態で示される、発明の一局面に従って構築されたラジアルシャフトシールの正面図である。
【
図2A】自由な、組立てられていない状態で示される、
図1のシールの断面図である。
【
図2B】初めにシャフト上に配置された状態で示される、
図1のシールの図である。
【
図2C】シールがシャフト上に完全に配置された状態で示される、
図1の2C−2C線に沿って全体的に取られた図である。
【
図3A】シールの細片排除、反転防止ディスク上に半径方向に内側に延びるアライメント凸部特徴を示す、異なる箇所に沿って取られた
図2Aと同様の図である。
【
図3B】シールがまずシャフト上に配置された状態で示される、
図2Bと同様の図である。
【
図3C】シールがシャフト上に完全に配置された状態で示される、
図1の3C−3C線に沿って全体的に取られた図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施形態の詳細な説明
図面をより詳細に参照して、
図1は、発明の一局面に従って構築された、以下シール10と呼ぶ、ラジアルシャフトシールを図示する。シールは、例示であって限定ではないが、ラジアルシャフトシールアセンブリ13における回転可能なシャフト12の周りを封止するための、クランクケースへの適用における用途に好適である。シール10は、設置されたときのシール10の向きと関連して、オイル側Oおよび軸方向に反対側の空気側Aを有し、オイル側Oは、封止されている用途の内側に面し、空気側Aは、封止されている用途の外側環境に面している。シール10は、鍔14とも呼ばれる、外側ケースなどの取付部を含み、取付部は、エラストマーシール材料16が取付けられた金属もしくはポリマーの環状部または環構造15として設けられる。エラストマー材料16は、シール本体17を形成し、半径方向に内側に延びてシールリップ18を設ける。さらに、以下、ディスク20と呼ぶ、環状かつ剛性の細片排除、反転防止ディスクが、シール本体17の空気側Aのシール本体17および/または鍔14に固定される。ディスク20は平坦または実質的に平坦であり、シールリップ18から軸方向に離間された関係で、鍔14から半径方向に内側に延びてシールドを形成する。シールドは、細片がシールリップ18に影響を与えないようにするバリアとも呼ばれる。そのため、シールリップ18は、可能な細片からの損傷から保護され、細片は、シール10のオイル側Oに達することが阻止される。さらに、ディスク20は、シャフト12の周りのシールリップ18の半径方向のアライメントを容易化することにより、かつ、シャフト12を覆う設置の間にシールリップ18が反転することを防止することの両方により、シール10の適切な設置を容易化するように作用する。
【0013】
金属鍔14は、当該技術分野で知られているように、特定の用途の要件に依存して、図示するように、L型であってもよく、または、C型、S型、もしくは環状などの任意の数々の構成を採ってもよい。金属補強環構造15は、外側表面上のエラストマーシール材料16に少なくとも一部覆われた状態で示され、外側表面は、クランクケース(図示せず)のボア中でぴったりとフィットし、かつ液密な設置を設けるように起伏22でカーブを付けられてもよい。
【0014】
シールリップ18は、緩められ、設置されていない状態にあるとき(
図2Aおよび
図3A)、シール10の水平方向の中心軸24から約1〜10度の間など、数度だけ若干角度をなして延び、環状の半径方向に内側に面する内側封止表面26と、オイル側端部30と自由な空気側端部32との間に延びる、反対側の、半径方向に外側に面する外側裏張り表面28とを有する。封止表面26は、自由な状態にある間、シャフト12の運転表面34の外径OD(2 × r)未満のオイル側端部30での最大内径SD(2 × 1/2 SD)を有するため、全内側封止表面26は確実に、使用中、運転表面34と封止された係合状態となる。封止表面26は、シャフトの回転中、オイルをシールのオイル側Oに汲み戻すように作用するリブまたはねじ山の形態の流体力学的特徴36を有するように構成されることができる。さらに、空気側端部32は、例示であって限定ではないが、埃排除リップ38の形態で設けられることができ、埃排除リップ38は、シールアセンブリ10の空気側Aからオイル側Oへの汚染物質侵入の防止を容易化し、さらに、シールアセンブリ10のオイル側Oでの潤滑剤の維持を容易化する。
【0015】
環状ブリッジ40は、シールリップ18をシール本体17に動作可能に接続する。環状ブリッジ40は、第1のヒンジ42によりシールリップ18のオイル側端部30に接続され、第2のヒンジ44によりシール本体17に接続される。ブリッジ40は、シールリップ18から半径方向に外側に、おおむね横に延び、次に、約20〜40度の間など、水平方向の中心軸24に対して角度をなして重なっている態様で、シールリップ18を覆うように戻って延びる。しかし、角度は水平方向から1〜89度の範囲であり得る。したがって、ブリッジ40は、シールアセンブリ10の空気側Aに面する環状のポケット46を設ける。
【0016】
剛性のディスク20は、最も外側の環状の周囲48と、シールリップ18の空気側端部32から軸方向に離間された最も内側の環状の周囲50とを有する。ディスク20は、たとえば、圧着を介してなどして、鍔14に機械的に固定されることにより、および/または、たとえば、接着剤を介してなどして、シール本体17に固定されることによりなどして、鍔14およびシール本体17に対して相対的な動作に対抗して固定される。接着剤は、ディスク20の当接している表面とシール本体17との間に塗布され得、鍔14は、スピン形成および/またはステーキングプロセスを介して、最も外側の周囲50とロックされた係合状態にできることが認められるべきである。
図1に最もよく示されるように、ディスク20は、以下凸部52と呼ぶ、複数の半径方向に内側に延びるシャフト/シールリップアライメント特徴を有する。凸部52は、互いから円周方向に等距離に離間された状態で示され、互いから120度離れるとして示されるが、所望により、より多くの凸部を含むこともできる。
図1に示されるように、凸部52は、内径ID(2 × r′)を定義する自由な先端を有し、IDは、
図3Cに示すように、シャフト運転表面34のOD(2 × r)よりも若干大きい。したがって、シール10を介したシャフト12の設置の完了の際、凸部52はシャフト運転表面34と接触しないままである。しかしながら、シール10を介したシャフト12の設置の間、凸部52は、シャフト運転表面34に対するシールリップ18の適切な同心アライメントを容易化し、シールリップ18と運転表面34との間に望ましいシールを完成させる。したがって、ディスク20は、シール10を介したシャフト12の挿入の間およびその完了の際に、シールリップ18が不慮の反転から防止され、かつ、封止された配列に適切に構成されることを確実にする。
【0017】
図2Bおよび
図3Bは、シール10を介したシャフト12のオイル側設置の進行を図示する。設置の間、シール10は既にハウジング内に設置されており、シャフト12はその後、オイル側Oから空気側Aに向かってシール10を通って延ばされるか、または、ハウジングは、シール10がハウジングに固定された状態で、シャフト12がシール10の空気側を通って外側にシールのオイル側を通って延びるように、シャフト12を覆うように組立てられる。シャフト12がシール10を通って軸方向に摺動されるにつれ、シャフト12の端部60は、まず、シール10のオイル側端部30に係合し、これが起きるにつれ、主なシールリップ18は、半径方向に外側に拡大され、シールリップ24の空気側端部32は、半径方向に外側に傾斜されるため、ポケット46が部分的に崩されることにより、シャフト12の周りにシール10を設置するのに必要な軸方向の設置力が減少される。設置が進行するにつれ、空気側端部32は、シール10の空気側Aに向けて半径方向に外側にかつ軸方向に移動し続ける。結果的に、空気側端部32が対向し、シールリップ18がシール10の空気側Aに向かって軸方向に移動し続けることをディスク20が防止するように、ディスク20に影響を及ぼすようにされる。したがって、ディスク20は、シールリップ18およびブリッジ40が、シール10の空気側Aに向けて軸方向に外側に巻かれ、反転されることを防止する。そのため、
図2Cおよび
図3Cに示すように、シール10を介するシャフト12の完全な設置の際、シールリップ18は、半径方向に内側にかつディスク20から軸方向に離れるように自動的に戻り、シャフト12の運転表面34と適切な封止構成を達成することが可能である。
【0018】
上記の教示に照らして、本発明の多くの変更およびバリエーションが可能であることが明らかである。したがって、添付の請求項および最終的に許可される任意の請求項の範囲内であれば、具体的に記載された方法以外で本発明を実施してもよいことが理解されるべきである。