【実施例】
【0013】
図1(A)は、本発明の実施例に係る車載用電子システムの構成を示す図である。当該車載用電子システム10は、車両に搭載されたラジオ受信装置20と、ナビゲーション装置30とを含んで構成される。ラジオ受信装置20は、ユーザーにより選局されたラジオ放送を受信し、ラジオ放送に重畳されたデータに含まれる道路交通情報がナビゲーション装置30へ提供される。RDS放送では、アナログのFM放送信号にデジタルデータ(RDSデータ)が重畳され、このRDSデータには、放送番組を識別するPIコード、放送番組名、放送番組のジャンル、TMCサービスによる道路交通情報などが含まれている。
【0014】
ラジオ受信装置20により取得された道路交通情報は、ナビゲーション装置30へ提供され、ナビゲーション装置30は、取得した道路交通情報を道路地図上に表示したり、音声案内に利用することができる。
図1(A)に示す車載用電子システム10は、1つの構成例を表すものであり、テレビ受信装置や、DVD/ブルーレイディスクの再生装置、多機能型端末(スマートフォン)等を含むものであってもよいし、ラジオ受信装置だけを有するものであってもよい。
【0015】
図1(B)は、本実施例のラジオ受信装置の構成を示すブロック図である。ラジオ受信装置20は、第1のアンテナ100A、第1のアンテナ100Aを介して選択された周波数(放送局)の放送信号を受信する第1のチューナー110A、第2のアンテナ100B、第2のアンテナ100Bを介して選択された周波数(放送局)の放送信号を受信する第2のチューナー110B、第1および第2のチューナー110A、110Bからの受信信号を受け取り、各受信信号について必要な処理を実行する信号処理部120、信号処理部120で処理されたオーディオ信号を増幅するアンプ130、アンプ130で増幅されたオーディオ信号を出力するスピーカ132、信号処理部120で復号されたデータなどを表示可能な表示部140、記憶部150、ユーザーからの入力を受け取る入力部160、ナビゲーション装置30などの外部機器との接続を可能にするインターフェース(I/F)部170、第1および第2のチューナー110A、110B、信号処理部120、アンプ130等を制御する制御部180を含んで構成される。
【0016】
第1のチューナー110Aは、公知のように、第1のアンテナ100AからRF信号を受け取り、これを増幅するRF増幅器、増幅されたRF信号から希望局の周波数信号を選択する同調回路、局部発信器からの周波数信号とRF信号を混合し中間周波(IF)信号を生成する混合器、中間周波信号を直流検波しその受信電界強度信号(Sメータ信号)を抽出するSメータ回路などを含んでいる。但し、電界強度信号のほかにもC/N値(Carrier to noise)を用いて受信感度を判定するようにしてもよい。さらに、第1のチューナー110Aは、ADC(アナログ/ディジタル変換器)により中間周波信号(IF)およびSメータ信号をディジタル信号に変換し、これらを信号処理部120および制御部180へ出力する。第2のチューナー110Bもまた第1のチューナー110Aと同様に構成される。第1および第2のチューナー110A、110Bは、制御部180からの指示に応じて同一の周波数または異なる周波数を選局することができるが、本実施例の好ましい態様では、第1のチューナー110Aによりラジオ放送が視聴されているとき、第2のチューナー110Bはバックグランド動作により周波数帯域を走査し、受信可能な周波数のチェックやRDSデータの抽出が行われる。
【0017】
信号処理部120は、例えばDSP(Digital Signal Processor)などを用いて構成される。信号処理部120は、FFT、ディジタルフィルタリング、信号同期、時間・周波数デインターリーブ、オーディオデコード、データデコード、フェーズダイバーシティ等の信号処理を行うことができる。これらの信号処理は、信号処理部120内のプログラムメモリに格納されたソフトウエアを利用して制御することができる。好ましい態様では、信号処理部120は、DAC(ディジタル/アナログ変換器)を含み、第1のチューナー110Aから受信したディジタル信号から音声信号を抽出し、これをアナログ信号に変換して音声出力させるためにアンプ130へ提供する。また、信号処理部120は、第2のチューナー110Bから受信した信号からRDSデータを抽出し、RDSデータについての種々の処理を可能にする。例えば、RDSデータからPIコード、番組サービス名(PS:Program Service)、道路交通情報などを抽出し、これを制御部180へ提供する。
【0018】
制御部180は、例えばマイクロコントローラなどから構成され、メモリに格納されたプログラムを実行することで各部を制御する。好ましい動作態様では、制御部180は、第1のチューナー110Aによりラジオ放送を受信させている間に、第2のチューナーをバックグランド処理により周波数帯域を走査させ、信号処理部120を介してRDSデータを取得する。
【0019】
図2は、本実施例の制御部180の機能ブロックを示している。同図において、制御部180は、バックグランド処理時に第2のチューナー110Bに全周波数帯域を一定の周波数間隔で走査させる周波数走査部200と、周波数帯域を走査したときに抽出されたRDSデータを信号処理部120を介して取得するRDSデータ取得部202と、取得されたRDSデータからPIコードを抽出するPIコード抽出部204と、抽出されたPIコードに基づきPIコードを同一とする周波数を登録した代替周波数テーブルを作成する代替放送局作成部206と、作成された代替周波数テーブルを保持する代替放送局保持部と208と、周者数帯域を走査したときに受信された電界強度信号がしきい値以上である周波数を判別し、このような受信可能な周波数を登録した周波数テーブルを作成する周波数テーブル作成部210と、作成された周波数テーブルを保持する周波数テーブル保持部と212と、周波数テーブル保持部212で保持された周波数テーブルに基づき受信可能な放送局のリストを表示する放送局表示部214と、周波数帯域を走査している期間中に、周波数テーブル内の周波数が受信可能であるか否かを個別に判定する受信感度判定部216と、受信感度判定部216により受信可能でないと判定された周波数に対応する放送局を放送局リストから削除する放送局削除部218とを有する。
【0020】
周波数走査部200は、第1のチューナー110Aによりラジオ放送の視聴が行われている間、第2のチューナー110Bに予め決められた周波数帯域の上限から下限または下限から上限までを一定の周波数間隔で走査させ、受信可能な周波数をチェックする。受信可能な周波数か否かは、第2のチューナー110Bからの電界強度信号がしきい値以上であれば、受信可能であると判定する。周波数走査部200の走査結果は、逐次、周波数テーブル作成部210へ提供される。
【0021】
周波数走査部200により受信可能な周波数が検出されたとき、当該周波数の放送信号に多重化されたRDSデータが信号処理部120により抽出され、抽出されたRDSデータがRDSデータ取得部202へ提供される。そして、PIコード抽出部204は、RDSデータの中から現在受信している周波数の番組識別情報であるPIコードを抽出する。抽出されたPIコードは、周波数テーブル作成部210へ提供される。
【0022】
周波数テーブル作成部210は、周波数走査部200により受信可能とされた周波数と、PIコード抽出部204により抽出されたPIコードを受け取り、周波数とPIコードをペアとした周波数テーブルを作成する。欧州のFM放送を受信する場合には、第2のチューナー110Bに108.0MHzから87.5MHzまで周波数帯域を100KHzの間隔で走査させ、そこから受信可能な周波数が判別される。
図3は、受信可能と判別された周波数を登録した周波数テーブルの一例である。周波数テーブルには、受信可能な周波数と、その周波数に対応するPIコードとの関係が規定される。周波数テーブルは、全周波数帯域の走査中に受信可能な放送局が発見されるたびに当該放送局が登録されるように更新されるが、本実施例では、後述するようにこのような通常の走査期間中に、周波数テーブルに登録された個々の周波数の受信感度が判定され、その判定結果が周波数テーブルに随時反映されるようになっている。
【0023】
代替放送局作成部206は、PIコード抽出部204で抽出されたPIコードに基づき代替周波数テーブルを作成する。代替周波数テーブルは、PIコードを同一とする周波数を登録したものであり、言い換えれば、現在受信している放送局と同一の放送番組を配信している放送局を識別するテーブルである。
図4は、代替周波数テーブルの一例を示している。例えば、代替周波数テーブル220では、現在の周波数が98.5MHzであり、そのPIコードがD303である(
図3を参照)。PIコードとしてD303を有する代替の周波数は、AF(1)〜AF(4)で表された、92.3MHz、94.3MHz、99.7MHz、107.5MHzである。また、代替周波数テーブル220には、番組サービス名(PS)として、「BAYERN 3」が登録されている。このような代替周波数テーブルは、少なくとも
図3に示す周波数テーブルに含まれる周波数について作成される。
【0024】
放送局表示部214は、
図3に示す周波数テーブルおよび代替周波数テーブルのPSを参照し、受信可能な周波数に対応する放送局リストを表示する。
図5は、放送局リストの表示例である。この放送局リストは、現在受信している番組サービス名を表示する欄230と、その下部のリスト欄240に受信可能な周波数の番組サービス名のリストが表示されている。リスト欄240のうち、現在受信中の放送番組には識別表示242が付されている。放送局リストは、番組サービス名以外の情報として、放送番組ジャンルや周波数なども併せて表示するようにしてもよい。
【0025】
受信感度判定部216は、
図3に示される周波数テーブルに含まれる周波数が受信可能であるか否かを判定する。この判定方法の詳細は後述されるが、判定は、周波数走査部200による周波数帯域の走査中に時分割で実行されることに留意すべきである。受信感度判定部216の判定結果は、放送局削除部218へ提供され、放送局削除部218は、放送局リストから受信可能でない放送局を削除する。好ましい例として、受信感度判定部216の判定結果は、
図6に示すような周波数テーブルに関連付けされた受信判定フラグにより表される。「1」は、受信可能であり、受信可能でないと判定されたとき、その周波数のフラグが「0」に変更される。放送局削除部218は、受信判定フラグが「0」に変更されたとき、その周波数に対応する放送局を、
図5に示す放送局リストから削除する。
【0026】
次に、本発明の実施例に係るラジオ受信装置の動作について説明する。
図7は、バックグランド動作される第2のチューナー110Bの走査時に行われる処理を説明するグラフである。縦軸は、周波数であり、横軸は時間である。周波数帯域の上限は、108.0MHz、下限は87.5MHzであり、上限から下限に向けての走査が3回行われた例を模式的に示している。処理Aは、RDS放送局からのRDSデータの抽出、処理Bは、周波数テーブルに登録されている周波数の受信感度の判定、処理Cは、TMC放送局からの道路交通情報の抽出を示している。
【0027】
先ず、周波数走査部200による走査が開始され、周波数f1が受信可能であると判定されると、RDS放送局の放送信号が受信され、放送信号からRDSデータを抽出する処理Aが行われる。RDSデータには、例えば、PIコード、番組のジャンルを識別する情報(PTY)、番組サービス名、交通プログラム識別(TP)などが含まれる。なお、
図7には、周波数f1における処理Aのみが示されているが、処理Aは、他の受信可能な周波数についても同様に行われる。周波数帯域の走査中に受信可能な放送局が見つかる都度、
図6に示すような周波数テーブルに周波数とPIコードが登録され、かつ受信判定フラグが「1」に設定され、全周波数帯域の1回の走査が終了すると、
図3または
図6に示すような周波数テーブルが完成される。
【0028】
図8は、周波数走査部による周波数テーブルの作成動作を説明するフローである。周波数走査部200により第2のチューナー110Bの周波数が変化され(S101)、第2のチューナー110Bにより受信された周波数の電界強度信号が制御部180へ提供される(S102)。制御部180は、電界強度信号がしきい値以上であるか否かを判定し(S103)、しきい値以上であれば、当該周波数が受信可能であると判定し(S104)、次いで、当該周波数の放送局がRDS放送局であるか否かを判定する(S105)。RDS放送局であれば、
図7に示したように処理AにおいてRDSデータが抽出され(S106)、周波数とPIコードが周波数テーブルに登録される(S107)。周波数帯域の上限または下限の周波数に到達すれば(S108)、走査が終了され、再び、次の走査が開始される。
【0029】
再び、
図7のグラフに戻り、処理Aが終了すると、次に、周波数テーブルに登録された周波数が受信可能であるか否かを判定する処理Bが行われる。周波数テーブル内のどの周波数から判定を開始するかは任意であるが、例えば、周波数の高い方から順に走査が行われるのであれば、周波数テーブルの周波数の高いものから受信感度のチェックが行われる。
図7では、周波数テーブルに登録された周波数f7の受信感度が判定される様子が示されている。この処理Bは、周波数走査部200による周波数帯域を走査中に、受信感度判定部216により時分割で行われる。
【0030】
図9は、周波数テーブルの周波数の受信感度を判定する処理フローである。受信感度判定部216は、周波数テーブルに登録された複数の周波数の中から1つの周波数を選択し(S201)、当該周波数の電界強度信号がしきい値以上であるか否かをチェックする(S202)。このとき、第2のチューナー110Bは、制御部180の制御により受信感度を判定すべき周波数に同調される。電界強度信号がしきい値以上であれば、当該周波数は受信可能であるため、周波数テーブルから次の周波数が選択され、その周波数の受信感度が判定されるが、当該次に選択された周波数の判定は、次の時分割期間に割り当てられた処理Bで行われる。
【0031】
電界強度信号がしきい値未満であった場合には、当該周波数に対応するPIコードに基づき代替周波数テーブルが検索され(S203)、当該代替周波数テーブルに登録された代替周波数が選択され(S204)、当該代替周波数についての受信感度が判定される(S205)。例えば、
図3に示す周波数テーブルの周波数98.5MHzの電界強度信号がしきい値未満であると判定された場合、当該周波数のPIコード「D303」に対応する代替周波数テーブル(
図4を参照)が検索される。この代替周波数テーブルには、4つの代替周波数AF(1)〜AF(4)が登録されているため、これら4つの代替周波数についての受信感度が判定される。この判定は、上記と同様に第2のチューナー110Bを代替周波数に同調させ、そのときの電界強度信号がしきい値以上であるか否かによる。
【0032】
全ての代替周波数の受信感度が悪化しているとき、すなわち全ての代替周波数の電界強度信号がしきい値未満であるとき(S206)、周波数テーブルで選択された周波数は受信可能でないと判定される(S207)。そして、受信感度判定部216により該当する周波数の受信判定フラグが「0」に変更され(S208)、これに応答して放送局表示リストが更新され、すなわち放送局削除部218は、フラグ「0」に対応する放送局を放送局リストから削除する(S209)。他方、いずれかの代替周波数の電界強度信号がしきい値以上であれば、周波数テーブルで選択された周波数は受信可能であると判定され、周波数テーブルの中から次の周波数が選択される(S201)。周波数テーブルに未判定の周波数が存在すれば(S210)、ステップS201へ戻り、未判定の周波数が残っていなければ、終了となる。こうした周波数テーブルに登録された周波数の受信感度を判定する処理Bは、周波数走査部200による周波数帯域の走査と平行して時分割処理にて実行される。
【0033】
再び
図7に戻ると、次に、周波数f2において、TMC放送局が送信する道路交通情報(TMCデータ)を抽出する処理Cが実行される。以後、周波数f6やf7において道路交通情報を抽出する処理Bが実行される。1回目の走査が終了すると、第2のチューナー110Bは、第2回目の走査を開始する。受信可能な周波数の数が多ければ、1回の走査に要する時間は長くなり、例えば、受信可能な周波数が20程度あれば、1回の走査に約2分程度を要する。
【0034】
次に、放送局リストの作成動作を
図10のフローに示す。放送局表示部214は、周波数テーブル作成部210により作成された周波数テーブルを参照し、各周波数に対応する番組サービス名(PS)をRDSデータから抽出する(S301)。放送局表示部214は、
図5に示すような現在受信している周波数の放送局名と受信可能な放送局名のリストを表示するための放送局リストを作成する(S302)。
【0035】
図7に示す処理Bにおいて、受信感度判定部216により周波数テーブル内の周波数が受信可能でないと判定されると、受信判定フラグが「0」に変更される(S303)。放送局削除部218は、受信判定フラグが「0」に変更されると、フラグ「0」に対応する放送局を放送局リストから削除する(S304)。
【0036】
図11は、放送局リストの表示を更新するタイミングを示すフローである。放送局表示部214は、周波数テーブルを参照し、現在受信している放送局名と受信可能な放送局名を含む放送局リストを表示する(S401)。放送局リストの表示中、周波数走査部200による周波数帯域の走査が行われこれにより受信可能な周波数の有無が判定され、これと平行して受信感度判定部216により周波数テーブルに登録された周波数が受信可能か否か判定され(S402)、これらの判定結果は、周波数テーブルのフラグに反映される。放送局削除部218は、フラグが「0」に変更されると(S403)、放送局リストの表示を更新し(S404)、つまり放送局リストからフラグ「0」の周波数に対応する放送局を削除する。なお、周波数帯域の走査により新たに受信可能な周波数が見つかった場合には、当該周波数は周波数テーブルに登録される。
【0037】
図12(A)は、従来の放送局リストの表示動作を模式的に示し、
図12(B)は、本実施例による放送局リストの表示動作を模式的に示している。従来の場合、周波数帯域の走査において、ある周波数fcが受信可能と判定されたとき、それに応答して時刻Tr1で放送局リストに周波数fcの放送局が表示される。周波数fcの受信状態は、次の周波数帯域の走査において更新され、つまり時刻Tr2で放送局リストの周波数fcが更新される。仮に、時刻Tr1の直後に、周波数fcが受信可能でない状態に遷移した場合、放送局リストには、時刻Tr2まで、周波数fcが受信可能な状態で表示され続けてしまう。周波数帯域の1回の走査に必要な時間をTsとしたとき、時刻Tr1から時刻Tr2までの放送局の更新期間Tdは、1回の走査期間Tsに依存する。1回の走査において受信可能な周波数の数が多ければ、それに応じて走査期間Tsは長くなり、周波数fcの更新期間Tsも長くなってしまう。
【0038】
これに対し本実施例では、周波数帯域の走査中に、周波数テーブルの各周波数の受信感度が繰り返し時分割で判定される。例えば、周波数テーブルにn個の周波数(fa、fb、fc…fn)が登録されている場合、1回の走査期間中に、n個の周波数の受信感度が繰り返し何度もチェックされ、その判定結果が周波数テーブルのフラグに反映される。時刻Tr1の直後に周波数fcが受信可能でない状態に遷移した場合、周波数fcの次の受信感度の判定は、従来のように次の周波数帯域の走査期間で行われるのではなく、周波数テーブルを用いた走査において行われるため、放送局リストにおける周波数fcの更新期間Tdxは、従来の更新期間Tdよりも非常に短くなる。従って、もし、周波数テーブル内に受信可能でない周波数が見つかった場合には、その放送局が放送局リストから即座に削除される。これにより、最新の正確な放送局リストをユーザーに提示することができ、ユーザーが放送局リストの中から放送局を選択したときに受信することができないという確率を従来処理よりも低減することができる。
【0039】
図13は、具体的な放送局リストの表示例を示すものであり、
図13(A)は、従来処理によるもの、
図13(B)は、本実施例の処理によるものである。時間T1、T2、T3のときの表示リストが示され、時間T2において車両がトンネルまたは地下駐車場のような電波受信環境が良くないエリア(走行する長さは比較的大きく、例えば1Km程度あるものとする)に突入し、電波受信環境が良くないエリアでは、「BAYERN 3」のみが受信可能であるものとする。
【0040】
時間T1において、放送局リストには、現在受信している番組名「ARABERA」と、受信可能な複数の番組名とが表示されている。次に、時間T2において車両が受信環境が良くないエリアに進入する。従来処理の場合には、放送局リストの更新期間が長いため、依然として時間T1のときと同じ放送局リストが表示され続けている。一方、本実施例では、周波数テーブル内の周波数の受信感度が逐次時分割でチェックされ、「BAYERN 3」以外が受信可能でないと判定され、放送局リストには「BAYERN 3」のみが残され、他の受信可能でない番組名は全て削除される。このため、ユーザーは、放送局リストから「BAYERN 3」のみが受信可能であると認識することができる。
【0041】
時間T3において、従来処理の放送局リストを参照したユーザーは、「ARABERA」を視聴することができなくなったため、「HITRADO」を選択するが、「HITRADO」は受信感度が悪く視聴するができず、雑音のみがスピーカから出力される。これに対し、本実施例の放送局リストを参照したユーザーは、「BAYERN 3」に受信を切替えることができる。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0043】
上記実施例では、周波数もしくは放送局の受信感度の判定に、電界強度信号を利用したが、これ以外にも信号の誤り率やマルチパスの有無を、電界強度信号に代えてあるいは電界強度信号とともに判定条件に用いることが可能である。さらに上記実施例では、受信感度判定部216は、受信可能でないと判定した周波数にフラグ「0」をセットする例を示したが、これは一例であり、例えば、受信感度判定部216は、周波数テーブルからそのような周波数を削除するようにしてもよい。さらに上記実施例では、RDS放送を受信するラジオ受信装置を例示したが、データを多重化できる放送であれば、RDS放送に限らず他のラジオ放送であってもよい。また、それは、アナログラジオ放送のみならず、DAB等のディジタルラジオ放送であってもよい。さらに上記実施例では2つのチューナーを有するラジオ受信装置を例示したが、チューナーの数は特に制限されるものではなく、単一のチューナーを放送信号の受信とデータの抽出に時分割で使用するもの、あるいは3つ以上のチューナーをもつものであってもよい。