特許第5999947号(P5999947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5999947トルクコンバータ並びにクラッチ及びダンパのアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5999947
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】トルクコンバータ並びにクラッチ及びダンパのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16H 45/02 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   F16H45/02 C
   F16H45/02 Y
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-67249(P2012-67249)
(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2012-202554(P2012-202554A)
(43)【公開日】2012年10月22日
【審査請求日】2015年3月20日
(31)【優先権主張番号】61/467,808
(32)【優先日】2011年3月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【復代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】マークス シュタインベアガー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック リンデマン
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ ナイデル
【審査官】 渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−088079(JP,A)
【文献】 特開平04−191552(JP,A)
【文献】 特開2011−052726(JP,A)
【文献】 特開2002−310262(JP,A)
【文献】 特開平08−338505(JP,A)
【文献】 特開平11−311323(JP,A)
【文献】 米国特許第05080215(US,A)
【文献】 特開2000−002312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 45/00− 45/02
F16H 41/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクコンバータ用のクラッチ及びダンパのアセンブリであって、
前記クラッチを係合するためのピストンの摩擦面及びシール外径部を有するクラッチのピストンと、
弾性要素及び駆動板を有するダンパと、を有しており、
前記ピストンの摩擦面が前記弾性要素の半径方向内側に配置されており、
前記シール外径部が前記弾性要素の半径方向外側に配置されており、
前記駆動板が、前記弾性要素と駆動係合されており、前記クラッチのピストンと摩擦係合可能であることを特徴とする、クラッチ及びダンパのアセンブリ。
【請求項2】
前記クラッチのピストンが、前記ピストンの摩擦面の半径方向内側に配置されたシール内径部を有している、請求項1記載のクラッチ及びダンパのアセンブリ。
【請求項3】
前記ダンパが側板を有しており、
前記駆動板が前記側板によって半径方向に位置決めされている、請求項1又は2記載のクラッチ及びダンパのアセンブリ。
【請求項4】
前記側板が突出部を有しており、
前記駆動板が、前記突出部を収容するための切り欠きを有しており、
前記駆動板が、前記切り欠き内に挿入された前記突出部によって半径方向に位置決めされている、請求項記載のクラッチ及びダンパのアセンブリ。
【請求項5】
前記弾性要素が前記切り欠き内に配置されている、請求項記載のクラッチ及びダンパのアセンブリ。
【請求項6】
前記弾性要素がアーチ形に形成されたコイルばねであり、前記突出部が、前記コイルばねの円周方向中間点の近傍に配置されている、請求項4又は5記載のクラッチ及びダンパのアセンブリ。
【請求項7】
円周方向のシール面を有する、前記トルクコンバータ用のカバーが設けられており、
前記クラッチのピストンが前記シール外径部にシールを有しており、該シールが前記カバーのシール面と係合する、請求項1から6までのいずれか1項記載のクラッチ及びダンパのアセンブリ。
【請求項8】
前記ピストンが前記カバーと駆動係合する、請求項記載のクラッチ及びダンパのアセンブリ。
【請求項9】
円周方向のシール面を有するとともに、前記カバーに固く取り付けられている駆動リングが設けられており、
前記クラッチのピストンが、
前記ピストンの摩擦面の半径方向内側に配置されたシール内径部と、
該シール内径部において前記駆動リングのシール面と係合するシールと、を有している、請求項7又は8記載のクラッチ及びダンパのアセンブリ。
【請求項10】
前記ダンパが駆動板を有しており、
前記駆動リングが環状の摩擦面を有しており、
前記駆動板が、前記ピストンの摩擦面及び前記駆動リングの摩擦面と摩擦係合可能である、請求項記載のクラッチ及びダンパのアセンブリ。
【請求項11】
クラッチを係合するためのピストンの摩擦面及びシール外径部を有するクラッチのピストンと、
ダンパと、
カバーと、
該カバーに固く取り付けられた駆動リングと、
タービンと、
該タービンに固く取り付けられた側板と、を有するトルクコンバータにおいて、
前記ピストンの摩擦面が前記ダンパの半径方向内側に配置されており、
前記シール外径部が前記ダンパの半径方向外側に配置されており、
前記タービンが前記カバーの方に動かされている前記トルクコンバータの作動中、スラスト方向に係合するように、前記駆動リングと前記側板とが配置されていることを特徴とする、トルクコンバータ。
【請求項12】
前記ダンパが、前記側板によって半径方向に位置決めされた駆動板を有している、請求項11記載のトルクコンバータ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、トルクコンバータのクラッチ及びダンパに関し、より詳細には、ダンパの半径方向内側に配置された摩擦面を有するクラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
トルクコンバータ用のクラッチ及びダンパは既知である。一つの形態では、クラッチの摩擦面は、ダンパの半径方向内側に配置されている。同一出願人による米国特許第6099435号明細書、米国特許第6142272号明細書、及び米国特許第6244401号明細書に実例が示されており、その実例は参照することにより本願に含まれる。概して、ダンパの半径方向内側に配置されたクラッチに関して、ピストンのシール外径部はダンパの半径方向内側に配置されていて、使用可能なクラッチ容量を制限している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6099435号明細書
【特許文献2】米国特許第6142272号明細書
【特許文献3】米国特許第6244401号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、使用可能なクラッチ容量の制限を緩和することができるトルクコンバータのクラッチ及びダンパを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示する態様は、大まかに、トルクコンバータ用のクラッチ及びダンパのアセンブリを有しており、このアセンブリは、クラッチを係合するためのピストンの摩擦面及びシール外径部を備えたクラッチのピストンと、ダンパとを有している。ピストンの摩擦面はダンパの半径方向内側に配置されており、シール外径部はダンパの半径方向外側に配置されている。例示する実施形態において、クラッチのピストンは、ピストンの摩擦面の半径方向内側に配置されたシール内径部を有している。例示する幾つかの実施形態において、ダンパは、弾性要素と駆動板とを有している。駆動板は、弾性要素と駆動係合(駆動伝達が可能に係合)されており、クラッチのピストンと摩擦係合可能である。
【0006】
例示する幾つかの実施形態において、ダンパは側板を有しており、駆動板は側板によって半径方向に位置決めされている。例示する幾つかの実施形態において、側板は突出部を有しており、駆動板は突出部を収容するための切り欠きを有しており、駆動板は、この切り欠き内に挿入された突出部によって半径方向に位置決めされている。例示する幾つかの実施形態において、弾性要素は切り欠き内に配置されている。例示する一つの実施形態において、弾性要素はアーチ形に形成されたコイルばねであり、突出部はコイルばねのほぼ円周方向中間点に配置されている。
【0007】
例示する幾つかの実施形態において、クラッチ及びダンパのアセンブリは、円周方向のシール面を備える、トルクコンバータ用のカバーを有している。クラッチのピストンは、シール外径部にシールを有しており、このシールがカバーのシール面と係合する。例示する実施形態において、ピストンは、カバーと駆動係合(駆動伝達が可能に係合)している。例示する幾つかの実施形態において、クラッチ及びダンパのアセンブリは、円周方向のシール面を備えると共に、カバーに固く取り付けられた駆動リングを有している。クラッチのピストンは、ピストンの摩擦面の半径方向内側に配置されたシール内径部を有しており、そしてこのシール内径部に、駆動リングのシール面と係合するシールを有している。例示する実施形態において、ダンパは駆動板を有しており、駆動リングは環状の摩擦面を有しており、駆動板は、ピストンの摩擦面及び駆動リングの摩擦面と摩擦係合可能である。
【0008】
別に例示する態様は、大まかに、クラッチを係合するためのピストンの摩擦面及びシール外径部を備えたクラッチのピストンと、ダンパと、カバーと、カバーに固く取り付けられた駆動リングと、タービンと、タービンに固く取り付けられた側板と、を有するトルクコンバータを有している。ピストンの摩擦面はダンパの半径方向内側に配置されており、シール外径部はダンパの半径方向外側に配置されており、タービンがカバーの方に動かされているトルクコンバータの作動中、スラスト方向に係合するように、駆動リングと側板とが配置されている。例示する実施形態において、ダンパは、側板によって半径方向に位置決めされた駆動板を有している。
【0009】
本発明の作動方式及び作動性質は、添付の図面を用いて理解される以下の詳細な説明において十分に説明されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に基づくトルクコンバータのクラッチ及びダンパの利点は、使用可能なクラッチ容量の制限を緩和することができることである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本願で使用される空間的用語を表した円筒座標系の斜視図である。
図1B】本願で使用される空間的用語を表した、図1Aの円筒座標系における物体の斜視図である。
図2】クラッチ及びダンパのアセンブリを有するトルクコンバータの、上半分の断面図である。
図3図2におけるダンパの正面図である。
図4図2におけるダンパの一部分の斜視図である。
図5】クラッチ及びダンパのアセンブリと軸方向スラストブッシュとを有するトルクコンバータの、上半分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最初に、異なる図面に示された同一の参照符号は、同一の、又は機能的に類似する構造的要素であると認識されるべきである。さらに、本発明は、特定の実施形態、特定の方法、特定の材料、及び本明細書で所望とされる特定の変更のみに限定されるものではなく、勿論、そのようなものとして変更してもよいものとして理解される。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されるものであると理解される。
【0013】
そうでないことが定義されない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的な全ての用語は、本発明が属する技術分野における当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有している。本明細書で説明されるものと類似又は同等の、あらゆる方法、装置、又は材料を、本発明の実施又は試験において使用することができるが、ここでは、下記に例示する方法、装置、及び材料が説明される。
【0014】
図1Aは、本願において使用される空間的用語を表す円柱座標系80の斜視図である。本発明は、円柱座標系に関連して少なくとも部分的に説明される。座標系80は長手方向軸線81を有しており、この長手方向軸線81は、以下では、方向及び空間の用語のための基準として用いられている。「軸方向」、「半径方向」、及び「円周方向」という形容詞は、それぞれ、軸線81、半径82(軸線81に対して垂直である)、及び円周83に対して平行な方向を表している。また、「軸方向」、「半径方向」、及び「円周方向」という形容詞は、個々の平面に対して平行な方向も表す。種々の平面の配置を明確にするため、物体84、85、及び86が用いられる。物体84の面87は、軸方向平面を形成している。つまり、軸線81は、面87に沿う線を形成している。物体85の面88は、半径方向平面を形成する。つまり、半径82は、面88に沿う線を形成している。物体86の面89は、円周方向平面を形成している。つまり、円周83は、面89に沿う線を形成している。更なる例として、軸方向移動又は配置は軸線81に対して平行であり、半径方向移動又は配置は半径82に対して平行であり、円周方向の移動又は配置は円周83に対して平行である。回転は、軸線81を中心にされる。
【0015】
「軸方向に」、「半径方向に」、及び「円周方向に」という副詞は、それぞれ、軸線81、半径82、又は円周83に対して平行な方向を表すものである。また、「軸方向に」、「半径方向に」、及び「円周方向に」という副詞は、個々の平面に対して平行な方向も表す。
【0016】
図1Bは、本願で使用される空間的用語を表す、図1Aの円筒座標系80における物体90の斜視図である。円筒形の物体90は、円筒座標系における円筒形の物体を表しており、あらゆる点で本発明を限定しようとするものではない。物体90は、軸方向面91、半径方向面92、及び円周方向面93を有している。軸方向面91は軸方向平面の一部であり、半径方向面92は半径方向平面の一部であり、円周方向面93は円周方向平面の一部である。
【0017】
以下の説明は、図2から図4に関するものである。図2は、クラッチ及びダンパのアセンブリ102を有するトルクコンバータ100の、上半分の断面図である。図3は、トルクコンバータ100のダンパ110の正面図である。図4は、ダンパ110の一部分の斜視図である。
【0018】
アセンブリ102は、摩擦面106及びシール外径部108を有するクラッチのピストン104と、ダンパ110とを有している。ピストン104は、例えば鋼又はアルミニウム、或いはこの分野で公知とされる他の材料から製造され得る。例示する実施形態において、ピストン104は、鋳造アルミニウムから製造され、機械加工によって処理される。ピストン104の摩擦面106は、ダンパ110の半径方向内側に配置されている。つまり、摩擦面106の外径D1は、ダンパ110の内径D2よりも小さい。シール外径部108は、ダンパ110の半径方向外側に配置されている。つまり、シール径D3は、ダンパ110の外径D4よりも大きい。クラッチのピストン104は、ピストン104の摩擦面106の半径方向内側に配置されたシール内径部112を有している。つまり、シール径D5は、摩擦面106の内径D6よりも小さい。
【0019】
ダンパ110は、弾性要素114と駆動板116とを有している。駆動板116は、弾性要素114と駆動係合(駆動伝達が可能に係合)されており、クラッチのピストン104と摩擦係合可能である。例示する実施形態において、弾性要素114はコイルばねである。ばね114は単一のばねとして示されているが、ばね114は、この技術分野で公知とされる複数の同心状のばねであってもよい。ダンパ110は、ばね114を収容するための部位119を備えた側板118を有している。つまり、ばね114は、側板118によって、部位119において、少なくとも部分的に軸方向に及び/又は半径方向に位置決めされている。
【0020】
駆動板116は、側板118によって半径方向に位置決めされている。つまり、側板118は突出部120を有しており、駆動板116は突出部120を収容するための切り欠き122を有しており、駆動板116は、切り欠き122内に挿入された突出部120によって半径方向に位置決めされている。例示する実施形態において、弾性要素114は、切り欠き122内に配置されている。例示する実施形態において、弾性要素114は、アーチ形に形成されたコイルばねであり、ばね114を部位119内に円周方向に挿入することを補助するために、突出部120は、コイルばね114のほぼ円周方向中間点に配置されている。例示する実施形態において、側板118は、部位119内にばね114を保持するために配置された突出部121を有している。例示する実施形態において、側板118は、側板118に対するばね114の円周方向移動を制限するための端止め部123を有している。
【0021】
さらに、アセンブリ102は、トルクコンバータ100用のカバー126を有している。駆動板128は、カバー126に固く取り付けられている。駆動板128は、原動機(図示せず)と駆動係合(駆動伝達が可能に係合)するための締結具130を有している。例示する実施形態において、駆動板128は、突出したリベット132によってカバー126に固定されている。パイロットシャフト134は、原動機のクランクシャフト(図示せず)との位置決めのため、例えば突起溶接によってカバー126に固く取り付けられている。カバー126は円周方向のシール面136を有しており、クラッチのピストン104は、シール外径部108にシール138を有している。シール138は、カバー126のシール面136と係合する。つまり、シール138は、シール外径部108における溝140内に配置されており、液密なシールを形成するために、圧縮した状態でシール面136と係合する。シール138は、例えば、Oリング、Dリング、又は四角に切断された動的なシールであってよい。例示する実施形態において、ピストン104は、板ばね142においてカバー126と駆動係合(駆動伝達が可能に係合)しており、この板ばね142が、ピストン104とカバー126との間の円周方向の相対移動を制限しており、そしてシール138はDリング形のシールである。
【0022】
アセンブリ102は、円周方向のシール面146を備える駆動リング144を有している。駆動リング144は、例えば、溶接部148でカバー126に固く取り付けられている。例示する実施形態において、溶接部148は、レーザー溶接部である。カバー126は、駆動リング144に隣接して配置された半径方向の流路150を有しており、この流路150により、カバー126と駆動リング144との間での流体連通が可能になる。クラッチのピストン104は、シール内径部112にシール152を有している。シール152は、駆動リング144のシール面146と係合する。つまり、シール152は、シール内径部112における溝154内に配置されており、液密なシールを形成するために、圧縮した状態でシール面146と係合する。シール152は、例えば、Oリング、Dリング、又は四角に切断された動的なシールであってよい。例示する実施形態において、シール152はOリング形のシールである。
【0023】
駆動リング144は、環状の摩擦面156を有している。駆動板116は、ピストン104の摩擦面106及び駆動リング144の摩擦面156と摩擦係合可能である。つまり、流路150を通ってピストン104とカバー126との間のチャンバ158内に負荷圧力が導入されると、ピストン104は、駆動リング144の方へ軸方向に移動する。ピストン104の移動により、駆動板116の環状部160が駆動リング144に対して押し付けられ、これによってクラッチを摩擦係合している。摩擦面106及び156、又は環状部160の接続面は、摩擦材を含んでいてもよい。駆動リング144は内側シール面162を有しており、この内側シール面162はトランスミッション(図示せず)の入力軸との係合部をシールするためのものである。例示する実施形態において、摩擦材はクラッチを冷却するための複数の溝を有しており、流孔164は、摩擦面106及び156を冷却するためのオイルの、クラッチから離れる方向への流れを可能にしている。
【0024】
トルクコンバータ100は、タービン166を有している。側板118は、例えば、リベット168によってタービン166に固く取り付けられている。駆動リング144と側板118とは、トルクコンバータ100の作動中、スラスト方向に係合するように配置されている。つまり、トルクコンバータ100の特定の作動方式の間、流体力学的な力がタービン166をカバー126の方に動かす。摩擦面170は、側板118及び駆動リング144を介して、タービン166のスラスト力をカバー126に及ぼす。摩擦面170は、例えば、接着によって側板118又は駆動リング144に固く取り付けられた摩擦材を有していてもよい。例示する実施形態において、摩擦材は駆動リング144に取り付けられている。
【0025】
ハブ172は、リベット168によってタービン166に固く取り付けられており、トランスミッションの入力軸との駆動係合(駆動伝達が可能に係合)のためのスプライン部174を有している。また、トルクコンバータ100は、溶接部178でカバー126に固く取り付けられたインペラ176を有している。コンバータ100は、インペラ176とタービン166との間に軸方向に配置されたステータアセンブリ180を有している。
【0026】
以下の説明は、図5に関するものである。図5は、クラッチ及びダンパのアセンブリ202と軸方向スラストブッシュ204とを有するトルクコンバータ200の、上半分の断面図である。コンバータ100の説明は、以下に記載した事項を除いて、コンバータ200に概ね適用可能である。スラストブッシュ204は、トルクコンバータ200の作動中、駆動リング144とハブ172とをスラスト方向に係合するように配置されている。ブッシュ204は、ブッシュ204の半径方向突起206とハブ172における半径方向窪み208との係合によって、ハブ172に保持されている。例示する実施形態において、ブッシュ204は、ころ軸受けである。
【0027】
もちろん、請求項に記載された発明の精神又は範囲から逸脱することのない、本願の上述の実施形態に応じた変更及び修正というのは、当業者に容易に明らかであるべきである。本発明は、特定の好ましい実施形態及び/又は例示する実施形態を参照することにより説明されているが、請求項に記載された発明の精神又は範囲から逸脱することなく本発明のその他の実施形態が可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0028】
80 円柱座標系
81 長手方向軸線
82 半径
83 円周
84、85、86、90 物体
87、88、89 面
91 軸方向面
92 半径方向面
93 円周方向面
100、200 トルクコンバータ
102、202 クラッチ及びダンパのアセンブリ
104 クラッチのピストン
106、156、170 摩擦面
108 シール外径部
110 ダンパ
112 シール内径部
114 弾性要素
116、128 駆動板
118 側板
119 部位
120、121 突出部
122 切り欠き
123 端止め部
126 カバー
130 締結具
132、168 リベット
134 パイロットシャフト
136、146 シール面
138、152 シール
140、154 溝
142 板ばね
144 駆動リング
148、178 溶接部
150 流路
158 チャンバ
160 環状部
162 内側シール面
164 流孔
166 タービン
172 ハブ
174 スプライン部
176 インペラ
180 ステータアセンブリ
204 軸方向スラストブッシュ
206 突起
208 窪み
D1、D4 外径
D2、D6 内径
D3、D5 シール径
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5