(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
本実施の形態1に係る加熱調理器を
図1〜
図6を用いて説明する。なお、以下の説明において、正面、背面、上下、左右、前後は、加熱調理器を前面側、つまり使用者が調理動作を行う側から見た場合の方向を意味している。また、左右方向を幅、前後方向を奥行き、上下方向を高さとして説明している。また、
図1及び後述の各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0011】
まず、本実施の形態1に係る加熱調理器100の全体構成について
図1および
図2を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100のトッププレート11を外した状態を示す分解斜視図である。
図2は、加熱調理器100の概略断面図である。
加熱調理器100の外殻を形成する筐体1は上面が開口された底部41および側部からなる箱形状であり、筐体1内には各機器が収容される。
【0012】
筐体1の側部の内、左右の側部は下側側部42および上側側部44からなる。左右の下側側部42間の内側の幅寸法は略一定に形成されており、左右の上側側部44間の内側の幅寸法も略一定に形成されているが、上側側部44間の内側の幅寸法は下側側部42間の内側の幅寸法よりも大きい。これは筐体1の左右の上側側部44が底部41に対して外側に広げられているからであり、下側側部42と上側側部44とは平坦部43によりつながっている。なお、平坦部43は
図2では傾斜の無い面だが、下側側部42と上側側部44との位置関係次第で傾斜があっても良いし、強度確保のための曲げ加工等が施されていても良いし、複数枚の板で構成されていても良い。また、下側側部42、平坦部43および上側側部44は筐体1に曲げ加工を施して連続的に形成しても良いし、別の板金をねじ止めや溶接などで接続させても良い。
また、下側側部42間の外側の幅寸法は、一般的なキッチンキャビネットの開口部の標準幅寸法である560mm以下としている。他方、上側側部44間の外側の幅寸法は、一般的なキッチンキャビネットの開口部の標準幅である560mmよりも大きく、一般的なトッププレートの幅寸法(例えば750mm)よりも小さく形成されている。
【0013】
筐体1の側部の内、前後方向の側部間の奥行き寸法は、後述するロースター9(グリル)を使用するために調理室扉が前方に張り出した形状をしているため、底部41付近は一般的なキッチンキャビネットの開口部の奥行き寸法である460mm以下であり、一番大きい奥行き寸法は500mm程度と寸法が変化する。
【0014】
図1では説明のため分解した状態を示しているが、加熱調理を行う際は
図2に示すように筐体1の上面にはトッププレート11がねじ止め等で取り付けられている。トッププレート11には、使用者に鍋などの被加熱物10を載置する位置を示す加熱口12a、12b、12c(以降まとめて加熱口12と呼ぶこともある)が塗布または印刷により形成されている。また、トッププレート11の後方には複数の通気孔が形成されており、冷却ファン14が筐体1の外部から吸気する吸気口15と、筐体1内部の冷却後に筐体1の外部へ排気する排気口16に、冷却空気が通過するようになっている。なお、
図1ではトッププレート11の後方に通気孔を形成している場合を例に示しているが、これに限定するものではなく、例えば、トッププレート11後方の通気孔をなくして筐体1前面及び背面に通気孔を形成してもよい。また、トッププレート11の前方には、ユーザからの操作を受け付けるための操作部5がある。
【0015】
図2に示すように、筐体1の平坦部43より下方の下側側部42には、筐体1とトッププレート11で区画された空間を上下に分ける仕切り板30がねじ止めやはめ込みにより設けられている。なお仕切り板30は必ずしも平らな形状である必要はなく、強度向上のための曲げ加工等が施されていても良いし、複数枚の板で構成されていても良い。また、仕切り板30には開口が形成され、仕切られた空間の上下間で空気が出入りしても良い。
【0016】
仕切り板30は筐体1の平坦部43より下方の下側側部42に設けられているので、トッププレート11下面から仕切り板30上面までの高さ寸法は、トッププレート11下面から平坦部43上面までの高さ寸法よりも大きい。本実施の形態1ではトッププレート11下面から仕切り板30上面までの高さ寸法を50mm程度、トッププレート11下面から平坦部43上面までの高さ寸法を40mm程度としている。
また、トッププレート11下面から平坦部43下面までの高さ寸法は一般的なキッチン天板26の厚さ(通常30〜40mm前後)以下となるように形成されている。
【0017】
底部41の前方左側には、調理室扉および調理室扉から背面側に配置された調理室を有するロースター9が収容され、調理室扉は調理室内で調理される被加熱物を調理室内へ出し入れできるようスライドして開閉する。なおロースター9の外壁と筐体1の底部との間は隙間ができるように形成され、該隙間を断熱空間として、空気層による断熱がおこなわれている。
【0018】
また、筐体1の仕切り板30上には加熱コイルユニット13a、13b、13c(以降まとめて加熱コイルユニット13と呼ぶこともある)が直接または後述する冷却ダクトを介して横並びに3個設けられている。加熱コイルユニット13はトッププレート11上に載置される被加熱物の加熱に使用される。
【0019】
また、底部41の右側には制御基板25が配設され、制御基板25の後方には制御基板25および加熱コイルユニット13を冷却する冷却ファン14が配設されている。
各制御基板25は、加熱コイルユニット13に高周波電源を供給させるためのインバータ3、加熱コイル2や冷却ファン14などを制御する制御部8とで構成されている。このインバータ3は、スイッチング素子等の発熱部分で形成された回路と、その回路に接続されている1または2以上のコンデンサとで構成されている。
【0020】
次に、加熱調理器100をシステムキッチンに取り付けた際の加熱コイルユニット13周辺の構成について
図3を用いて説明する。
図3は、加熱コイルユニット13の周辺部構成図である。なお、矢印は加熱コイル2を冷却する冷却風の流れを示す。
【0021】
本実施の形態1に係る加熱調理器100は、キッチン天板26とキッチンキャビネット27とを有するシステムキッチンに取り付けられるビルトイン型であり、加熱調理器100はキッチン天板26に対して、筐体1に取り付けられたトッププレート11下面にて支持される。そのためキッチン天板26の開口部と筐体1の上側側部44との間には隙間がある。またキッチンキャビネット27の開口部と筐体1の下側側部42との間にも隙間がある。また、キッチンキャビネット27上面と平坦部43との間にも隙間がある。なお、トッププレート11の下面にはパッキン等の浸水防止部材29が設けられており、水や吹きこぼれた調理物等がこれらの隙間内へ浸水することはない。なお、上側側部44の上端がフランジ状に曲げられてキッチン天板26にて支持されていても良い。
【0022】
次に、冷却ダクト21について説明する。
仕切り板30の上には冷却ダクト21が配置されている。冷却ダクト21は、制御基板25が収納されたケース(図示省略)と接続されており、冷却ファン14から送風されて制御基板25ケース内を通過した後の空気が冷却ダクト21内に流れ込むようになっている。また、冷却ダクト21の上面(コイルベース6との対向面)には、複数の噴流開口穴24が形成されている。従って、冷却ファン14から制御基板25ケース内を通過した後の空気は、冷却ダクト21の内部へと供給され、その後噴流開口穴24から加熱コイル2へ向けて噴き出される。噴き出された空気は加熱コイル2下面に衝突して冷却するとともに、一部の空気はコイルベース6に設けた開口23を通り、加熱コイル2同士の隙間を通過して加熱コイル2の上面へと供給され、トッププレート11下面との間隔を流れることで加熱コイル2の上面も冷却されるようになっている。
【0023】
次に、加熱コイルユニット13について説明する。
筐体1、トッププレート11および仕切り板30で区画された空間の内、筐体1、トッププレート11、下側側部42および下側側部42を垂直上方に伸ばした仮想線で区画された本体コイル収容部31には、加熱コイルユニット13cおよび加熱コイルユニット13aと加熱コイルユニット13bの一部が収納されている。
また、トッププレート11、上側側部44、平坦部43および下側側部42を垂直上方に伸ばした仮想線で区画された拡大コイル収容部32、つまりキッチンキャビネット27の開口部より広い範囲には、加熱コイルユニット13aと加熱コイルユニット13bの一部が収納されている。
加熱コイルユニット13は、加熱コイル2、コイルベース6、支持手段7、防磁リング17、フェライト19、間隔保持部材22を有する。
【0024】
支持手段7は仕切り板30上または冷却ダクト21上に設けられ、加熱コイル2とトッププレート11との間隔を略一定に支持する。また支持手段7は、輸送時に振動や衝撃が発生した際にもコイルベース6及びコイルベース6に設けられた部品へかかる圧力を和らげるよう、加熱コイルユニット13が上下方向に動ける程度に支持している。支持手段7は一定の弾性力を持つ弾性体で形成され、例えば、圧縮バネが挙げられる。本実施の形態1では図示省略しているが、支持手段7の設置数としては、略円形状のコイルベース6をバランス良く支持できる3個または4個が良い。
このとき、コイルベース6を支持する支持手段7は全て、仕切り板30の上方、つまり本体コイル収容部31側へ配置されている。そのため本実施の形態1では拡大コイル収容部32には支持手段7は配置されていない。
【0025】
コイルベース6は加熱コイル2を保持し、コイルベース6と加熱コイル2はシリコンなどを用いて接着固定されている。コールベース6には支持手段7と対向する箇所に被支持部20が形成され、被支持部20にて支持手段7と接触している。また、コイルベース6には加熱コイル2の下方にフェライト19が設けられており、加熱コイル2で発生した高周波磁界が加熱コイルユニット13よりも下方に流れるのを抑制するとともに、高周波磁界を上方の被加熱物10へと集中させる目的がある。本実施の形態1では設置例として、加熱コイル2の巻線と概直交する場合を図示している。
【0026】
また、コイルベース6の加熱コイル2およびフェライト19が設けられていない部分には、開口23が複数個設けられており、前述した冷却ダクト21からの冷却風が通風可能となっている。また、コイルベース6は、保持する加熱コイル2の重量に耐えうる最低限のリブが形成(図示省略)されながら、なるべく通風抵抗の少ない構造となっている。
【0027】
加熱コイル2は、高周波電流によって発生する磁力線によって、加熱コイル2の上方に載置される被加熱物10に渦電流が生じ、被加熱物10自体を発熱させるようになっている。なお、本実施の形態1では、3つの加熱口12の全てが誘導加熱できるよう加熱コイルユニット13を配置しているが、例えば加熱口12のひとつを商用周波数の交流電力が供給されてヒータそのものが発熱することにより、輻射熱で被加熱物10を加熱するラジエントヒータにするなど他の加熱方式を採用しても良い。なお、本実施の形態1において加熱コイルユニット13には、ひとつの加熱口12に対してひとつの加熱コイル2が設けられているが、ひとつの加熱口12に対して複数の加熱コイル2を対向配置させる構成としても良い。
【0028】
防磁リング17は、加熱コイル2の外周を囲むことで、高周波電流が流れた際に上方の被加熱物10に到達しない高周波磁界が、加熱コイル2の外部及び筐体1外部に漏れないようにするためのものであり、加熱コイル2の外周を囲むようにコイルベース6に設けられている。防磁リング17は一方向に長い金属部材を円状に曲げ、端部をカシメるなどの圧接または溶接した結合部を設けることで形成し、電気的に導通したものになっている。従って、加熱コイル2により高周波磁界が発生すると、防磁リング17にも渦電流が流れ、防磁リング17の内部抵抗により熱へと変換されることにより、漏れ磁束を抑制することとなる。防磁リング17の材質としては例えばアルミニウムや銅などが挙げられる。
【0029】
コイルベース6の上面には、間隔保持部材22が設けられている。トッププレート11が設けられた状態においては、間隔保持部材22は、トッププレート11の下面に押し当てられる。そして、コイルベース6及び加熱コイル2は、トッププレート11の下面と所定の間隔を空けて、トッププレート11と略平行に配置される。これにより、被加熱物10と加熱コイル2の上面部との距離が適切に保たれて、誘導加熱を効率良く行なうことができる。また、加熱コイル2上面とトッププレート11下面との間隔を適切に保ち、これらの間に加熱コイル2を冷却する冷却風が通過することを可能としている。間隔保持部材22の材質としては、コイルベース6の一部を用いても良いが、コイルベース6とは別部材でゴムなど弾性のある材質で形成すると、間隔保持部材22とトッププレート11との密着度が向上するため、振動落下時など強い衝撃が加わった際でも加熱コイルユニット13の位置ずれを抑えることが可能となる。トッププレート11が設けられた状態においては、支持手段7はトッププレート11と冷却ダクト21によって圧縮され、この反力により、コイルベース6上の間隔保持部材22はトッププレート11に押し当てられることとなる。
【0030】
また、コイルベース6には温度検知手段4が設けられており、被加熱物10の温度をトッププレート11を介して測定できるようになっている。本実施の形態1では、この温度検知手段4をコイルベース6の1個当たりに複数個備えるとともに、全ての温度検知手段4を本体コイル収容部31へと配置している。
【0031】
次に、加熱調理器100をシステムキッチンへ取り付ける動作について
図4を用いて説明する。
図4は、加熱調理器100をシステムキッチンへ取り付ける方法の説明図である。
加熱調理器100はシステムキッチンに取り付けられる。キッチン天板26は、たとえば傷や汚れ、熱に強いステンレスや人工大理石などで構成され、キッチンキャビネット27は、木材などで構成され、内部に調味料や調理道具などが収容される。組み付けの方法は、
図4に示すように、まずキッチン天板26に形成された開口穴28の上方から筐体1の前方をキッチン天板26に引っかけて斜めに差し込むように落とし込み、開口穴28の周縁のキッチン天板26にトッププレート11を掛止して取り付けられる。
【0032】
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器100と従来の加熱調理器90をシステムキッチンへ取り付けた際の違いについて
図5を用いて説明する。
図5は、本実施の形態1に係る加熱調理器100と従来の加熱調理器90とを取り付ける時の比較を示す図である。
どちらも取り付け時の動作は
図3に示したものと同様だが、本実施の形態1に係る加熱調理器100がキッチン天板26上面とトッププレート11との段差をほぼトッププレート11の厚み程度に抑えるためには、キッチン天板26に形成した開口穴28の幅寸法を、筐体1の上部の外側の幅寸法に合わせて予め広げておく必要がある。そのため従来の開口穴28を、筐体1の上部の外側の幅寸法に合わせて、一般的なキッチンキャビネット27の標準幅である560mmよりも大きく、一般的なトッププレートの幅寸法(例えば750mm)よりも小さい範囲で拡大して、
図4に示す開口穴28aとしている。前述したように、筐体1の下側側部42の外側幅寸法は、一般的なキッチンキャビネット27の標準幅である560mm以下なので、従来の加熱調理器90と同様にキッチンキャビネット27の開口部に収まる。一方、本実施の形態1に係る加熱調理器100の加熱コイル2を配置できる領域は従来の加熱調理器90に比べて筐体1の平坦部43および上側側部44の箇所だけ広がり、
図4に点線で示した従来の加熱口12を配置することができた範囲を表す枠C1からトッププレート11の左右方向に拡大した枠C2の範囲まで加熱口12を配置することができる。
【0033】
ここで、加熱調理器100を組み付けるために、開口部28aを拡大コイル収容部32の幅に合わせて拡大したが、トッププレート11は従来と同幅であるため、開口穴28aの周縁はトッププレート11に被覆され、組み付けた状態では見かけ上の変化はなく、特にトッププレート11の下面にパッキン等の浸水防止部材29を設けることで、システムキッチン内へ浸水する問題も無い。従って、本実施の形態1の加熱調理器100から従来品へ置き換えを行なった際にも、開口穴28aの拡大部分はトッププレート11で被覆されるため、組み付けた状態では特に問題はない。
【0034】
以上のように本実施の形態1に係る加熱調理器100は、左右方向の側部を底部41に対して外側に広げて、上側側部44間の内側の幅寸法を下側側部42間の内側の幅寸法よりも大きく形成し、下側側部42と上側側部44とを平坦部43によりつなげた。これにより、キッチンキャビネット27の開口部よりも広い範囲に加熱コイル2を配置することができるので、加熱口12の大きさや配置する位置の自由度が向上する。
これにより、たとえば隣接配置する加熱コイル2同士の中心間の距離を広げることができるので、被加熱物10を複数トッププレート11上に置いて同時使用した場合でも、被加熱物10間距離に余裕ができようになるため、被加熱物10同士の衝突を抑制し使い勝手が向上する。また、従来の加熱コイル2の直径でも3個の加熱口12を横並びに配置できるようになるため、それぞれの加熱口12を比較的近い距離で同じ操作方法及び仕様で直感的に使用でき、従来よりも操作性が向上する。
なお、本実施の形態1では、加熱口12の大きさや配置する位置の自由度が向上する例として加熱コイル2の直径や仕様、操作部5の構成を3個とも全て同じとして説明したが、全て同じではなく真ん中の加熱コイル2の直径を変えるなどして加熱コイル2の直径を一部変えて構成しても良い。また、加熱コイル2のレイアウトも円中心合せの横並び配置としたが、従来同様上方から見て二等辺三角形や全て長さの異なる三角形となるように配置しても良い
【0035】
また、従来よりも大型の加熱コイル2を設置することができるようになるため、被加熱物10として直径の大きな鍋を使用する際にも、鍋底の一部を局所的に高火力で加熱することなく、鍋底全体を均一にムラ無く加熱することができる。
【0036】
また、トッププレート11下面から平坦部43上面までの高さ寸法を少なくとも加熱コイル2を収容できる程度に抑えることで、トッププレート11下面から平坦部43下面までの高さ寸法を一般的なキッチン天板26の厚さ(通常30〜40mm前後)以下となるように形成した。これによりキッチン天板26の開口穴の寸法のみを拡大するだけで、キッチンキャビネット27の開口部よりも広い範囲に加熱コイル2を配置しながらも、トッププレート11上面とキッチン天板26上面との段差を抑制することができる。トッププレート11とキッチン天板26との段差が少ないので段差に引っかかることなくゆったりと調理を行なうことができ、作業性を向上させることができ、デザイン性や清掃性も向上させることができる。
また、キッチンキャビネット27の幅寸法まで拡大する必要が無く、そのためキッチンキャビネット27の収納スペースを削ること無く誘導加熱調理器100を取り付けることができる。
なお、仮にキッチン天板26の開口穴の寸法が従来どおりのシステムキッチンに本実施の形態1の加熱調理器100を取り付ける場合にはトッププレート11下面から平坦部43上面までの高さ寸法分だけキッチン天板26よりトッププレート11上面が高くなるが、その場合でもトッププレート11下面から平坦部43上面までの高さ寸法が小さいため、トッププレート11とキッチン天板26との段差を抑制することができる。
【0037】
また、本実施の形態1に係る加熱調理器100は、上側側部41より下方の下側側部42の間に、筐体1とトッププレート11で区画された空間を上下に分ける仕切り板30をねじ止めやはめ込み等により設けることで、トッププレート11下面から仕切り板30までの高さ寸法を、トッププレート11下面から平坦部43上面までの高さ寸法よりも大きくした。これによりトッププレートと平坦部との間の高さ寸法を拡大することなく加熱コイルを冷却するスペースを確保することができる。
そして、仕切り板30に制御基板25後方に設けられた冷却ファン14からの冷却風を加熱コイル2に供給する風路となる冷却ダクト21を設けたことで、トッププレート11下面から平坦部43下面までの高さ寸法を拡大することなく加熱コイル2を冷却する冷却風路を確保することができる。また、冷却風路が確保されることにより、加熱コイル2の上下面へ冷却風を供給しやすくなるため、冷却風を発生させ冷却ファン14の駆動負荷を低減させることが可能となり、加熱中の運転騒音を抑制することができる。
【0038】
また、コイルベース6を支持する支持手段7を仕切り板30上または冷却ダクト21上に設けたため、コイル圧縮ばねなどにより全て同じ仕様の支持手段7を設けた場合においても、組立て時のそれぞれのたわみ量を同じにすることができ、加熱コイル2をトッププレート11に安定して平行に押付けることができる。そのため、拡大コイル収容部32の高さ寸法を抑制しつつ誘導加熱時においても加熱コイル2と被加熱物10との距離を平行に維持することができて、温度ムラが少なく効率の良い加熱を行なうことができる。また、加熱コイル2をある程度上下可動な状態で支持することができるため、製品輸送時の振動や落下による加熱コイル2やトッププレート11の損傷を抑制できる。
【0039】
また、本実施の形態1に係る加熱調理器100はキッチン天板26に対して、筐体1に取り付けられたトッププレート11下面にて支持される。そのためキッチン天板26の開口部と筐体1の上側側部44との間には隙間がある。またキッチンキャビネット27の開口部と筐体1の下側側部42との間にも隙間がある。また、キッチンキャビネット27上面と平坦部43との間にも隙間がある。この隙間が空気層の役割を果たし、加熱コイル2からの伝熱や加熱コイル2を冷やした後の温度が上昇した冷却風が当たることによって加熱された筐体1の平坦部43や上側側部44の熱が直接キッチン天板26やキッチンキャビネット27に伝わることを防ぐ。
【0040】
更に、本実施の形態1によれば、加熱コイル2の一部を拡大コイル収容部32へ収納しつつも、温度検知手段4を全て本体コイル収容部31へ収容しているので、防磁・防風構造を備えた比較的大きな温度検知手段4であっても、仕切り板30との距離を確保可能となり、製品輸送時の振動や落下による温度検知手段4の損傷を抑制できる。
【0041】
実施の形態2.
図6は、本実施の形態2に係る加熱コイルユニット13周辺部構成図である。なお、本実施の形態2では実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
図6に示すように、コイルベース6は高反発支持手段71と低反発支持手段72により支持されている。支持手段71、72としては、圧縮バネ等の弾性体が例として挙げられ、低反発指示手段72は、高反発指示手段71に対して本体組立て時の反発力が小さくなるように、ばねの線径を細くしたり、ばねの巻き数を多くするなどしてばね定数を小さくして構成されている。高反発支持手段71は上端がコイルベース6に形成された被支持部20と接触し、下端は仕切り板30上または冷却ダクト21上に固定されている。一方、低反発支持手段72は上端が被支持部20と接触し、下端は平坦部43に直接または間接的に設けられている。この際、高反発支持手段71及び低反発支持手段72は、輸送時に振動や衝撃が発生した際にもコイルベース6及びコイルベース6に設けられた部品へかかる圧力を和らげるよう、一定の弾性力を持つもので形成され、加熱コイルユニット13は上下方向に動ける程度に支持されている。
【0043】
トッププレート11が設けられた状態においては、高反発支持手段71は、トッププレート11と冷却ダクト21によって圧縮される。また、低反発支持手段72はトッププレート11と筐体1のフランジ状に広がった受け面によって圧縮される。高反発支持手段71および低反発支持手段72の反力により、コイルベース6上の間隔保持部材22はトッププレート11に押し当てられることとなる。
【0044】
なお、コイルベース6を支持する高反発支持手段71と低反発支持手段72の設置数としては、合計で略円形状のコイルベース6をバランス良く支持できる3個または4個が望ましく、また、本実施の形態2では低反発支持手段72よりも高反発支持手段71の数の方が多くなるよう構成されている。
【0045】
以上のように本実施の形態2によれば、実施の形態1で得られる効果に加えて、高反発支持手段71を仕切り板30または冷却ダクト21に設け、低反発支持手段72を平坦部43に設けてコイルベース6を支持する構成としたため、トッププレート11下面から仕切り板30までの高さ寸法を、トッププレート11下面から平坦部43上面までの高さ寸法よりも大きくした場合でも、組立て時に高反発支持手段71と低反発支持手段72による反発力を同等に維持することができる。そのため、誘導加熱時においても加熱コイル2と被加熱物10との距離を平行に維持することができて、温度ムラが少なく効率の良い加熱を行なうことができる。
【0046】
更に、高反発支持手段71および低反発支持手段72をコイルベース6の外周側に配置した。これにより、冷却ダクト21の噴流開口穴24との干渉を避けた位置に高反発支持手段71および低反発支持手段72を配置することができるので、冷却風の損失が低減される。また、冷却の効率が上がるので、冷却ファン14をより小さい出力で動作させることができ、騒音がさらに低減する。