(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照しながらタイムレコーダの実施形態について説明する。
【0012】
《第1実施形態》
図1に示すように、本実施形態のタイムレコーダ1は、操作部11と、ICタグ読取部12と、液晶ディスプレイ13とを備える。タイムレコーダ1は、例えば、出退勤管理、入退室管理等に用いられる。
【0013】
操作部11は、ファンクションキー15a〜15cと、キャンセルキー16と、ファンクション表示パネル17a〜17cと、キャンセル表示パネル18と、正読み表示LED19と、誤読み表示LED20とを備える。
【0014】
ファンクションキー15a〜15cは、ファンクションを選択するためのキーであり、出勤時間、外出時間、退勤時間といった個人の管理情報を入力するために操作されるキーである。ファンクションキー15aは、出勤時に押下され、ファンクションキー15bは、外出時に押下され、ファンクションキー15cは、退勤時に押下される。キャンセルキー16は、押下されたファンクションキー15a,15b,15cの操作入力をキャンセルするためのキーである。なお、ファンクションキー15a,15b,15cが押下されると、押下されたファンクションキー15a,15b,15cを示す信号が後述する制御部30に通知される。ファンクションキー15a,15b,15cには、対応する数字がそれぞれ割り当てられており、制御部30は、押下されたファンクションキー15a,15b,15cに対応する数字を含む勤怠データを後述するRAM33に記録する。したがって、RAM33には、ファンクションキー15a,15b,15cの選択結果が数字で記録される。
【0015】
ファンクション表示パネル17a〜17cは、各ファンクションキー15a〜15cの内容を表示するものである。同様に、キャンセル表示パネル18は、キャンセルキー16の内容を表示するものである。また、ファンクション表示パネル17a〜17cにはLEDが搭載され、ファンクションキー15a〜15cが押下された際に、対応するファンクション表示パネル17a〜17cのLEDが点灯する。キャンセル表示パネル18にもLEDが搭載され、キャンセルキー16の押下によりLEDが点灯する。
【0016】
正読み表示LED19は、ICタグ50の読み込みに成功した際に点灯するLEDである。誤読み表示LED20は、ICタグ50の読み込みが失敗した際に点灯するLEDである。
【0017】
ICタグ読取部12は、ICタグ50を近づけた際に、ICタグ50に記録された識別データを読み取る。なお、
図1には、ICタグ50を貼り付けた勤怠管理カードを示している。
【0018】
液晶ディスプレイ13には、日付と時刻とが表示される。
【0019】
図2にタイムレコーダ1の備えるハードウェアを示す。タイムレコーダ1は、制御部30と、入力インターフェース21と、グラフィックインターフェース23と、ネットワークインターフェース25と、操作部11と、ICタグ読取部12と、時計部22と、表示部24とを備える。また、制御部30は、CPU31と、ROM32と、RAM33とを備える。制御部30と、入力インターフェース21と、グラフィックインターフェース23と、ネットワークインターフェース25と、記憶装置26とはバス27に接続している。
【0020】
操作部11と、ICタグ読取部12と、時計部22とは、入力インターフェース21に接続している。時計部22は、時刻を計測する。時計部22の計時する時刻データや、ICタグ読取部12で読み取ったICタグ50の識別データは、入力インターフェース21を介して制御部30に送られる。また、ファンクションキー15a〜15cやキャンセルキー16が押下されることで受け付けた操作情報も、入力インターフェース21を介して制御部30に送られる。
【0021】
表示部24は、グラフィックインターフェース23に接続している。表示部24は、ファンクション表示パネル17a〜17c、正読み表示LED19、誤読み表示LED20の点灯制御を行う。表示部24は、CPU31から点灯する指令が供給されて対応するLEDを点灯させる。また、表示部24は、制御部30の制御により、液晶ディスプレイ13に日付、時刻等の情報を表示させる。
【0022】
ネットワークインターフェース25は、CPU31の制御によりネットワーク40に接続する。ネットワーク40には、
図3に示すように複数のタイムレコーダ1や、タイムレコーダ1から勤怠データを収集するデータ収集装置100が接続している。データ収集装置100は、予め設定された時刻になると、ネットワーク40に接続したタイムレコーダ1に、勤怠データの送信要求を出力する。データ収集装置100から送信要求を受け取ったタイムレコーダ1は、RAM33に記録された勤怠データを読み出して、データ収集装置100に送信する。なお、タイムレコーダ1がデータ収集装置100に送信する勤怠データは、RAM33に記録された全ての勤怠データである必要はない。タイムレコーダ1は、RAM33に記録している勤怠データに、データ収集装置100に未送信のデータがある場合に、この未送信の勤怠データをRAM33から読み出してデータ収集装置100に送信する。なお、勤怠データの詳細については後述する。
【0023】
記憶装置26は、タイムレコーダ1の電源がオフされた際にバックアップの必要なデータを記憶する。記憶装置26には、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等が使用される。記憶装置26には、例えば、後述する勤怠データ、処理許可範囲データ又は処理不許可範囲データが記憶される。
【0024】
次に、制御部30について説明する。ROM32には、CPU31が実行するプログラムが記録されている。RAM33には、CPU31の作業に必要な情報が記録される。CPU31は、タイムレコーダ1全体を制御するためのものである。具体的には、CPU31は、ファンクションキー15a〜15cのいずれかが押下されたと判定した場合には、押下されたファンクションキー15a〜15cに対応するファンクション表示パネル17a〜17cを点灯するように表示部24に指示する。
また、CPU31は、ICタグ読取部12がICタグ50から読み取った識別データを取得する。CPU31は、取得した識別データに日付情報と時刻情報とを付加して、RAM33に記録させる。また、CPU31は、時計部22が計時した時刻を液晶ディスプレイ13に表示するように表示部24に指示する。
【0025】
次に、ICタグ50のメモリ(不図示)に記録された識別データの構成の一例について
図4を参照しながら説明する。ICタグ50の備えるメモリには、識別データが記録されている。この識別データは、ICタグ50の生産時にメモリに書き込まれ、書き込まれた識別データは、ICタグ50の購入者であっても書き換えることができない。
【0026】
識別データは、各部がブロック化されたブロックデータを複数有している。識別データは、ブロックデータとして、ヘッダ部51、ロット番号部52、識別番号部53を備える。なお、ICタグ50のメモリには、2進数で表現されたブロックデータが記録されている。タイムレコーダ1の制御部30は、ICタグ読取部12で読み取った識別データをRAM33に記録させる場合に、2進数のデータを16進数のデータに変換する。
【0027】
ヘッダ部51は、識別データの先頭に設けられるブロックデータであり、例えば、ICタグ50の製造場所等のデータが記録される。
ロット番号部52は、ヘッダ部51の下位に記録されたブロックデータである。ロット番号部52には、例えば、一定数のICタグ50に共通して付される番号である、生産ロット番号が記録される。生産ロット番号は、規則的な番号である。規則的とは、例えば、ICタグ50の生産ロット順に番号を割り当てることをいう。一定数のICタグ50を生産するごとに、ロット番号部52に記録する生産ロット番号を大きくしていく。また、逆に、一定数のICタグ50を生産するごとに、ロット番号部52に記録する生産ロット番号を小さくしていくこともできる。なお、生産ロット番号には、数字だけではなく、文字を使用することもできる。文字の例として、例えば、文字に並び順のあるアルファベットを使用することができる。
【0028】
識別番号部53は、ロット番号部52の下位に記録されたブロックデータである。識別番号部53には、各ICタグ50に割り当てられた識別番号が記録される。なお、識別番号部53に記録される識別番号も規則的な番号である。例えば、ICタグ50の生産順に識別番号を割り当てるようにしてもよいし、逆に、ICタグ50の生産順が遅いほど小さい番号を割り当てるようにしてもよい。また、識別番号部53の番号は、連続する番号である必要はない。例えば、「1、3、5、7・・・」といったような等差の番号を割り当ててもよいし、「1、3、4、5、6、8、9」といったように使用する番号の間に、使用しない番号が含まれていてもよい。識別番号も数字だけではなく、文字を使用することもできる。文字の例として、例えば、文字に並び順のあるアルファベットを使用することができる。
【0029】
次に、制御部30の備える機能ブロックについて
図5を参照しながら説明する。機能ブロックとは、制御部30のCPU31、RAM33などのハードウェアと、ROM32に記録された制御プログラムとの協働によって実現される処理を、一連の処理で実現される機能ごとにまとめたブロックである。制御部30は、機能ブロックとして入力部61と、判定部62と、処理部63とを備える。
【0030】
入力部61は、ICタグ読取部12が読み取った識別データを入力する。ICタグ読取部12は、ICタグ50から識別データを読み出して入力部61に出力する。入力部61は、入力した識別データを判定部62と処理部63とに出力する。
【0031】
判定部62は、入力部61が出力した識別データを入力する。判定部62は、入力した識別データから後述する連結データを生成し、生成した連結データがRAM33に記録された処理許可範囲データの示す処理許可範囲内に含まれるか否かを判定する。なお、CPU31は、処理許可範囲データを記憶装置26から読み出して、RAM33に記録させている。
【0032】
ここで、ICタグ50とタイムレコーダ1とを用いた従業員の勤怠管理の問題点について説明し、その後、連結データと処理許可範囲データについて説明する。
ICタグ50とタイムレコーダ1とを使用して、従業員の勤怠管理を行う場合、タイムレコーダ1に、処理を許可する識別データを登録する必要がある。例えば、定期入れ等に勤怠管理用のICタグ50以外のICタグ50が含まれていた場合、タイムレコーダ1は、2つのICタグ50の識別データを読み込んでしまう場合がある。この場合、タイムレコーダ1には勤怠管理には無関係な識別データが記録されることになるので、タイムレコーダ1から勤怠データを収集するデータ収集装置100において、不要な識別データを削除する手間がかかる。
また、ICタグ50には識別データがメモリに事前に記録され、記録された識別データは書き換えることはできない。このため、メモリに記録された識別データを利用して、勤怠管理用のICタグ50と、それ以外のICタグ50を区別する必要があるが、タイムレコーダ1に勤怠管理用のICタグ50の識別データを1つ1つ設定するのは、手間のかかる作業となる。そこで、ICタグ50の生産者から、ロット番号部52に記録された生産ロット番号が同一のICタグ50をすべて購入することができれば、タイムレコーダ1に、勤怠管理用のICタグ50の識別データを簡単に設定することができる。すなわち、タイムレコーダ1に、購入したICタグ50の生産ロット番号(1つの番号)を登録すれば、生産ロット番号を使用して勤怠管理用のICタグ50とそれ以外のICタグ50とを区別することができる。しかしながら、生産ロット番号が同一のICタグ50をすべて購入するのは、金銭的に大きな負担となる場合がある。例えば、識別番号部53に設定可能なデータ数が増加すればするほど、生産ロット番号が同一のICタグ50の数も増加することになる。
【0033】
このため本実施形態では、ICタグ50に記録された識別データのうち、各ICタグ50に番号が規則的に割り振られたブロックデータのデータを利用して、読み取り対象のICタグ50と、それ以外のICタグ50とを選別している。本実施形態の場合、ロット番号部52に記録された生産ロット番号と、識別番号部53に記録された識別番号とが、各ICタグ50に番号が規則的に割り振られたブロックデータに該当する。そこで、生産ロット番号と識別番号とを連結して一続きの連結データとし、この連結データを使用して処理を許可するICタグ50の範囲を示す処理許可範囲を設定する。なお、本実施形態では、生産ロット番号が上位のデータで、識別番号が下位のデータであるので、連結データの下位を識別番号とし、連結データの上位を生産ロット番号とする。例えば、生産ロット番号が「0000123」で、識別番号が「112233456」であったとする。この場合、連結データは、「0000123112233456」となる。
【0034】
判定部62は、ICタグ読取部12が読み取った識別データの生産ロット番号と識別番号とを一続きにした連結データが、RAM33に記録された処理許可範囲データの示す処理許可範囲内に入っているか否かを判定する。判定部62は、連結データが、処理許可範囲データの示す処理許可範囲内に入っていると判定した場合、識別データに対する処理の許可を処理部63に通知する。また、判定部62は、連結データが処理許可範囲に入っていないと判定した場合、識別データを破棄するように処理部63に通知する。
【0035】
処理部63は、入力部61の出力する識別データを入力する。また、処理部63は、入力した識別データに対する処理の許可、不許可の通知を判定部62から入力する。処理部63は、判定部62から識別データに対する処理の許可通知を受けた場合、識別データに日付、曜日、時刻等のデータを付加した勤怠データとしてRAM33に記録する。
図6(A)に、RAM33に記録させる勤怠データの一例を示す。勤怠データの先頭には、日付、曜日、時刻、ファンクションキー15a〜15cによって選択されたファンクションに相当する番号等の各データを配置し、これらのデータの後に識別データを配置する。また、処理部63は、判定部62から識別データに対する処理の不許可通知を受けた場合、入力部61から入力した識別データを破棄する。従って、処理許可範囲内にない識別データが勤怠データとしてRAM33に記録されることはない。なお、制御部30は、RAM33に記録させた勤怠データを、記憶装置26にも記憶させて、バックアップをとる。
【0036】
本実施形態において、処理許可範囲データは、記憶装置26に複数設定されており、チャネルと呼称する番号で指定することで、必要な処理許可範囲が記憶装置26から読み出されて、RAM33に記録される。
【0037】
処理許可範囲データは、チャネルごとに設定することができる。すなわち、チャネルごとに複数の処理許可範囲データを設定することができる。
図6(B)には、チャネル番号1のチャネルと、チャネル番号2のチャネルとに設定された処理許可範囲データを示す。処理許可範囲データは、処理許可範囲の下限値を示す開始データと、処理許可範囲の上限値を示す終了データとを有している。例えば、
図6(B)に示された例では、チャネル番号1の開始データが「00001000001」であり、終了データが「00001001000」である。
【0038】
次に、データ収集装置100が、タイムレコーダ1に、処理許可範囲データを設定する処理について説明する。
データ収集装置100は、ネットワーク接続したタイムレコーダ1にコマンドを送信して処理許可範囲データを設定する。
図7(A)に処理許可範囲データを設定するコマンドの一例を示す。コマンドには、コマンド識別情報71、データ数72、チャネル番号73、開始データ74、終了データ75が含まれる。
コマンド識別情報71は、コマンドの種別を示すデータである。コマンドには、例えば、処理許可範囲データの設定、勤怠データの読み出し、削除、初期化などのコマンドがある。データ数72は、データ数72に続く下位データ(チャネル番号73、開始データ74、終了データ75)のデータ数を表す。チャネル番号73は、処理許可範囲データを設定するチャネルの番号(以下、チャネル番号という)を指定する。タイムレコーダ1は、例えば、1から4の4チャネルを有しており、各チャネルごとに異なる処理許可範囲データを設定することができる。開始データ74は、処理許可範囲データの下限値を示すデータである。終了データ75は、処理許可範囲データの上限値を示すデータである。例えば、処理許可範囲が「000200」〜「000500」であった場合、開始データ74は、「000200」となり、終了データ75は、「000500」となる。
図7(A)に示すコマンドを受信したタイムレコーダ1は、コマンド識別情報71を参照して、受信したコマンドが処理許可範囲データを設定するコマンドであると認識する。処理許可範囲データの設定であると認識したタイムレコーダ1は、コマンドに設定されたチャネル番号73のチャネルに、開始データ74と終了データ75とを設定する。
【0039】
次に、
図8に示すフローチャートを参照しながら本実施形態の処理手順を説明する。
まず、制御部30は、ICタグ読取部12がICタグ50から読み取った識別データを取得する(ステップS1)。次に、制御部30は、チャネルを識別するチャネル番号Nを1に設定し、N=1のチャネル番号から処理を開始する(ステップS2)。次に、制御部30は、RAM33に、チャネル番号Nの処理許可範囲データが登録されているか否かを判定する(ステップS3)。制御部30のRAM33には、チャネルごとに開始データと終了データとを設定した、
図6(B)に示す処理許可範囲データが記録されている。なお、本実施例では、チャネル数を1〜4の4チャネルとして説明する。制御部30は、チャネル番号Nに処理許可範囲データが登録されていると判定すると(ステップS3/YES)、識別データから生産ロット番号と識別番号とを取り出して連結し、一続きの連結データを生成する。そして、制御部30は、生成した連結データが、チャネル番号Nの処理許可範囲データの示す処理許可範囲内に含まれているか否かを判定する。まず、制御部30は、処理許可範囲データの下限値となる開始データを取得し、連結データが、取得した開始データ以上であるか否かを判定する(ステップS4)。否定判定であった場合の処理については後述する。肯定判定であった場合(ステップS4/YES)、制御部30は、処理許可範囲データの上限値となる終了データを取得し、連結データが、取得した終了データ以下であるか否かを判定する(ステップS5)。否定判定であった場合の処理については後述する。肯定判定であった場合(ステップS5/YES)、制御部30は、生成した連結データが、チャネル番号Nの処理許可範囲データの示す処理許可範囲内に含まれていると判定する。すなわち、制御部30は、識別データを読み込んだICタグ50は、読み取り対象のICタグ50であると判定する(ステップS9)。
【0040】
また、ステップS3、S4、S5のいずれかの判定で否定判定であった場合、制御部30は、チャネル番号Nのチャネルに対する処理を終了して、チャネル番号Nに1を加算し(ステップS6)、次のチャネル番号Nに対する処理に移行する。制御部30は、1加算したチャネル番号Nが4以下であるか否かを判定する(ステップS7)。肯定判定の場合、制御部30は、ステップS3からの処理を繰り返す。また、否定判定の場合(ステップS7/NO)、全チャネル番号に対する判定が終了したと判定し、制御部30は、連結データが、チャネル番号Nの処理許可範囲データの示す処理許可範囲内に含まれていないと判定する。すなわち、制御部30は、識別データを読み込んだICタグ50は、読み取り対象のICタグ50ではないと判定する(ステップS8)。
【0041】
以上のように本実施形態は、ICタグ50が、識別データをメモリに事前に記録し、記録された識別データを書き換えることができないICタグ50であっても、タイムレコーダ1に、処理の対象となるICタグ50の設定を容易に行うことができる。すなわち、識別データが事前に記録されたICタグ50は、識別データの番号が連続する番号になっていない場合もあり、タイムレコーダ1に識別データを登録する際に手間がかかる場合もある。このため、本実施形態では、各ICタグ50に番号が規則的に割り振られたブロックデータのデータを利用して、タイムレコーダ1に処理対象のICタグ50と、それ以外のICタグ50とを区別させるための処理許可範囲データを設定している。具体的には、生産ロット番号や識別番号等、番号が規則的に割り振られたブロックデータは、これらのデータを連結した連結データも番号に規則性がある。このため、連結データの上限値と下限値とを処理許可範囲データとしてタイムレコーダ1に設定している。従って、連結データが処理許可範囲データの示す処理許可範囲内に含まれていれば、ICタグ50は処理対象のICタグ50と判定することができ、処理の対象となるICタグ50をタイムレコーダ1に容易に設定することができる。
【0042】
《第2実施形態》
添付図面を参照しながら第2実施形態について説明する。なお、本実施形態のハードウェア構成は、
図2と同一であるため説明を省略する。
本実施形態は、タイムレコーダ1に、処理許可範囲データの他に、処理不許可範囲データを設定可能としている。処理許可範囲データと、処理不許可範囲データとの設定は、チャネルごとに行う。例えば、チャネル番号として、1〜8の8チャネルが用意されている場合に、1〜4チャネルに処理許可範囲データを設定し、5〜8チャネルに処理不許可範囲データを設定することができる。ただし、処理許可範囲データを設定可能なチャネル、処理不許可範囲データを設定可能なチャネルが予め定められているわけではなく、1〜8チャネルのうちの任意のチャネルに処理許可範囲データを設定することができ、処理不許可範囲データを設定することができる。ただし、同一のチャネルに処理許可範囲データと処理不許可範囲データとを設定することはできない。
【0043】
データ収集装置100は、ネットワーク接続したタイムレコーダ1にコマンドを送信して処理許可範囲データと処理不許可範囲データとを設定する。なお、以下では、処理許可範囲データと処理不許可範囲データとをまとめて表現する場合に範囲データと呼ぶ。
図7(B)に、範囲データを設定するコマンドの一例を示す。コマンドには、コマンド識別情報71、データ数72、チャネル番号73、開始データ74、終了データ75の他に、モード設定パラメータ76が含まれる。例えば、モード設定パラメータ76を1に設定した場合、タイムレコーダ1は、受信したコマンドが、指定されたチャネルに処理許可範囲データを設定するコマンドであると判定する。モード設定パラメータ76に2を設定した場合、タイムレコーダ1は、受信したコマンドが、指定されたチャネルに処理不許可範囲データを設定するコマンドであると判定する。
【0044】
図9には、RAM33に、チャネルごとに記録される範囲データの一例を示す。範囲データには、開始データと終了データとの他に、データ設定情報が含まれる。データ設定情報は、該当のチャネルに処理許可範囲データが設定されているのか、処理不許可範囲データが設定されているのかを示す。例えば、データ設定情報が1である場合、開始データと終了データとが処理許可範囲データであることを示し、データ設定情報が2である場合、開始データと終了データとが処理不許可範囲データであることを示している。なお、範囲データは、記憶装置26に記憶されており、必要な範囲データが記憶装置26から読み出されて、RAM33に記録される。
【0045】
次に、データ収集装置100によって範囲データを設定されたタイムレコーダ1に、ICタグ50の識別データを読み取らせた場合のタイムレコーダ1の処理手順について
図10及び11に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、制御部30は、ICタグ読取部12がICタグ50から読み取った識別データを取得する(ステップS11)。次に、制御部30は、チャネルを識別するチャネル番号Nを1に設定する(ステップS12)。次に、制御部30は、RAM33を参照して、チャネル番号Nに範囲データ(処理許可範囲と処理不許可範囲とのいずれか一方)が登録されているか否かを判定する(ステップS13)。否定判定の場合(ステップS13/NO)の処理については後述する。制御部30は、チャネル番号Nに範囲データが登録されていると判定すると(ステップS13/YES)、チャネル番号Nのデータ設定情報は、1であるか否かを判定する(ステップS14)。データ設定情報が1である場合、該当チャネルの範囲データは処理許可範囲データであると判定できる。否定判定の場合(ステップS14/NO)の処理については後述する。肯定判定の場合(ステップS14/YES)、制御部30は、識別データから生産ロット番号と識別番号とを取り出して連結し、一続きの連結データを生成する。制御部30は、生成した連結データがチャネル番号Nに設定された処理許可範囲の下限データである開始データ以上であるか否かを判定する(ステップS15)。否定判定(ステップS15/NO)であった場合の処理については後述する。肯定判定であった場合(ステップS15/YES)、制御部30は、連結データがチャネル番号Nに設定された処理許可範囲の上限データである終了データ以下であるか否かを判定する(ステップS16)。肯定判定であった場合(ステップS16/YES)の処理については、
図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。また、ステップS13、14、15、16のいずれかの判定で否定判定であった場合、制御部30は、チャネル番号Nに対する処理を終了してチャネル番号Nに1を加算し(ステップS17)、次のチャネル番号Nに対する処理に移行する。制御部30は、次のチャネルを示すチャネル番号Nが8以下であるか否かを判定する(ステップS18)。この処理手順では、タイムレコーダ1には、1〜8の8チャネルが設定されているものとして説明する。否定判定の場合(ステップS18/NO)、全チャネル番号に対する判定が終了したと判定し、制御部30は、生成した連結データが、チャネル番号Nの処理許可範囲データの示す処理許可範囲内に含まれていないと判定する。すなわち、制御部30は、識別データを読み込んだICタグ50は、読み取り対象外のICタグ50であると判定する(ステップS19)。また、肯定判定の場合(ステップS18/YES)、制御部30は、ステップS13からの処理を繰り返す。
【0046】
次に、
図11に示すフローチャートを参照しながらステップS16の判定が肯定判定であった場合の処理について説明する。
ステップS16の判定が肯定判定であった場合、制御部30は、まず、チャネル番号Nの数を1に設定する(ステップS20)。ここで、チャネル番号Nを1に設定する理由について説明する。
図10に示すフローチャートでは、チャネル番号Nを変更しながら、範囲データが処理許可範囲データであるチャネル番号Nを検出していた。従って、
図10に示すフローチャートで検出したチャネル番号Nよりも前のチャネルに、処理不許可範囲データが設定されたチャネルがある場合もあるため、チャネル番号Nを1に設定している。
制御部30は、RAM33を参照して、変更したチャネル番号Nに範囲データが登録されているか否かを判定する(ステップS21)。否定判定の場合(ステップS21/NO)の処理については後述する。肯定判定であった場合(ステップS21/YES)、制御部30は、チャネル番号Nのデータ設定情報は、2であるか否かを判定する(ステップS22)。データ設定情報が2である場合、該当チャネルの範囲データは処理不許可範囲データであると判定できる。否定判定(ステップS22/NO)の場合の処理については後述する。肯定判定(ステップS22/YES)の場合、制御部30は、生成した連結データがチャネル番号Nに設定された処理許可範囲の下限データである開始データ以上であるか否かを判定する(ステップS23)。否定判定(ステップS23/NO)であった場合の処理については後述する。肯定判定であった場合(ステップS23/YES)、制御部30は、連結データがチャネル番号Nに設定された処理許可範囲の上限データである終了データ以下であるか否かを判定する(ステップS24)。肯定判定であった場合(ステップS24/YES)、制御部30は、生成した連結データが、チャネル番号Nの処理許可範囲データの示す処理許可範囲内に含まれ、他のチャネルの処理不許可範囲データの示す処理不許可範囲内にも含まれていると判定する。この場合、制御部30は、識別データを読み込んだICタグ50は、読み取り対象外のICタグ50であると判定する(ステップS28)。
【0047】
また、ステップS21、22、23、24のいずれかの判定が否定判定であった場合、制御部30は、チャネル番号Nに対する処理を終了してチャネル番号Nに1を加算し(ステップS25)、次のチャネル番号Nに対する処理に移行する。制御部30は、変更したチャネル番号Nが8以下であるか否かを判定する(ステップS26)。否定判定の場合(ステップS26/NO)、全チャネル番号に対する判定が終了したと判定する。この場合、制御部30は、生成した連結データが、チャネル番号Nの処理許可範囲データの示す処理許可範囲内に含まれ、他のチャネルの処理許可範囲データの示す処理不許可範囲内には含まれないと判定する。このため、制御部30は、識別データを読み込んだICタグ50は、読み取り対象のICタグ50であると判定する(ステップS27)。
なお、処理不許可範囲データは、1つのチャネルに設定されるものではなく、複数のチャネルに設定されている場合もある。このため、例えば、チャネル番号N=2のチャネルに処理不許可範囲データが設定されていることを検出しても、制御部30は、さらにチャネル番号Nの値を変更して、チャネル番号N=2以降のチャネルに、処理不許可範囲データが設定されているか否かを判定する。すなわち、制御部30は、チャネル番号Nが8になるまで、ステップS20〜S26の処理を繰り返す。
【0048】
以上説明したように本実施形態は、タイムレコーダ1に、ICタグ50の記録する識別データの処理許可範囲と、処理不許可範囲とを設定している。従って、読み取り対象のICタグ50として使用していたICタグ50を、読み取り対象外のICタグ50に設定することも可能となる。例えば、会社の部署変更により、使用しなくなったICタグ50を、読み取り対象のICタグ50から除外することができる。
【0049】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の形態である。ただし、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。