(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000064
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】燃料供給部のインレットボックス取付構造
(51)【国際特許分類】
B60K 15/04 20060101AFI20160915BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
B60K15/04 D
F02M37/00 301Q
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-239446(P2012-239446)
(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-88110(P2014-88110A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087619
【弁理士】
【氏名又は名称】下市 努
(72)【発明者】
【氏名】冨田 春樹
(72)【発明者】
【氏名】荒井 克利
【審査官】
常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−028731(JP,U)
【文献】
実開昭63−130323(JP,U)
【文献】
特開2005−125949(JP,A)
【文献】
特開昭61−285124(JP,A)
【文献】
実開昭62−200029(JP,U)
【文献】
欧州特許出願公開第02082914(EP,A1)
【文献】
実開昭62−008121(JP,U)
【文献】
実開昭62−019356(JP,U)
【文献】
特開平10−129279(JP,A)
【文献】
実開昭61−205819(JP,U)
【文献】
実開昭62−090830(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/04
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体パネルの給油用開口と、燃料タンクに連通するフューエルパイプと、該フューエルパイプの給油口部分と前記給油用開口との間に配設されたインレットボックスと、該インレットボックスに配設されたピン回りに回動可能に配置され、前記給油用開口を開閉するリッドと、該リッドを閉位置にロックするリッドロック機構とを備えた燃料供給部の、前記インレットボックスを前記車体パネルに取り付けるインレットボックス取付構造であって、
前記インレットボックスは、前記車体パネルの給油用開口の開口フランジ部にシール部材を挟んで当接するインレットフランジ部と、前記開口フランジ部を前記インレットフランジ部のリブとで挟み込む係止部とを有し、
前記リッドロック機構は、前記インレットボックスの、前記ピンの配設部近傍に配置された係止部の前記フューエルパイプを挟んで略反対側部分に取付ブラケットを介在させてねじ締め固定されており、
前記取付ブラケットは、前記リッドロック機構をインレットボックスにねじ締め固定することにより、前記開口フランジ部を、前記インレットフランジ部とで挟持する挟持部を備えている
ことを特徴とする燃料供給部のインレットボックス取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクに連通するフューエルパイパの給油口と車体パネルの給油用開口部との間の空間にインレットボックスを配置し、給油用開口を開閉するリッドをロック機構でロック可能に構成された燃料供給部に関し、詳細には前記インレットボックスの車体パネルへの取付構造の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
インレットボックスを車体パネルの給油用開口部に取り付ける従来構造として、インレットボックスのフランジ部と係止爪とで前記給油用開口の縁部を挟むことによりインレットボックスを車体パネルの開口部に固定する構造が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4088239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来のインレットボックス取付構造は、インレットボックスのフランジ部と係止爪との係合力のみで車体パネルの開口縁部にインレットボックスを固定する構造であるので、大きな外力が作用すると前記係合が外れるおそれがある。
【0005】
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、別部品を追加することなく高い締結力でインレットボックスを固定でき、大きな外力が作用しても外れることのない燃料供給部のインレットボックス取付構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車体パネルの給油用開口と、燃料タンクに連通するフューエルパイプと、該フューエルパイプの給油口部分と前記給油用開口との間に配設されたインレットボックスと、
該インレットボックスに配設されたピン回りに回動可能に配置され、前記給油用開口を開閉するリッドと、該リッドを閉位置にロックするリッドロック機構とを備えた燃料供給部の、前記インレットボックスを前記車体パネルに取り付けるインレットボックス取付構造であって、
前記インレットボックスは、前記車体パネルの給油用開口の開口フランジ部にシール部材を挟んで当接するインレットフランジ部と、
前記開口フランジ部を前記インレットフランジ部のリブとで挟み込む係止部とを有し、
前記リッドロック機構は、前記インレットボックス
の、前記ピンの配設部近傍に配置された係止部の前記フューエルパイプを挟んで略反対側部分に取付ブラケットを介在させてねじ締め固定されており、
前記取付ブラケットは、前記リッドロック機構をインレットボックスにねじ締め固定することにより、前記開口フランジ部を、前記インレットフランジ部とで挟持する挟持部を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る燃料供給部のインレットボックス取付構造によれば、インレットボックスの係止部を車体パネルの開口フランジ部に係止させるとともに、リッドロック機構をインレットボックスに取付ブラケットを介してねじ締め固定すると、同時に取付ブラケットに形成されている挟持部がインレットフランジ部とで車体パネルの開口フランジ部を挟持する。これにより、別部品を設けることなく高い締結力でインレットボックスを車体パネルに固定でき、大きな外力が作用しても外れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例1に係る燃料供給部のインレットボックス取付構造の断面平面図である。
【
図2】前記取付構造の断面側面図(
図1のII-II線断面図)である。
【
図5】前記取付構造の締め付け力を説明するための模式図である。
【
図6】前記取付構造の係止部の拡大断面図(
図1のVI部分の拡大図)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1ないし
図6は、本発明の実施例1による燃料供給部のインレットボックス取付構造を説明するための図である。
【0011】
図において、1は車体の側部に形成された燃料供給部である。該燃料供給部1は、車体パネル2に形成された給油用開口2aと、図示しない燃料タンクに連通接続されたフューエルパイプ3と、前記給油用開口2aの内側に配設され、前記フューエルパイプ3の給油キャップ3bで開閉される給油口3a部分囲む碗形状のインレットボックス4と、前記給油用開口2aひいては前記インレットボックス4の開口4aを開閉するリッド5と、該リッド5を閉位置にロックするリッドロック機構6とを備えている。前記インレットボックス4の底部には前記フューエルパイプ3が挿通するパイプ穴4cが形成されており、該パイプ穴4cと前記フューエルパイプ3との間はシール部材8で閉塞されている。
【0012】
前記車体パネル2の前記給油用開口2aは略円形状をなしており、その周縁には開口フランジ部2bが車内側に段落ちするように形成されている。
【0013】
また前記インレットボックス4の開口4aは略円形状をなしており、その周縁にはインレットフランジ部4bが前記開口フランジ部2bと重なるように形成されている。そして該両フランジ部4b,2b間にはTPO(オレフィン系エラストマー)ゴム製等のシール部材7が介在されている。
【0014】
前記リッド5は、リッドプレート5aと、該リッドプレート5aの内面に固定されたリッドアーム5bとを有する。前記リッドプレート5aは前記給油用開口2aより少し小径の円形状をなしており、その外周縁部は前記開口フランジ部2bに重なっている。また前記リッドアーム5bは、回動時にインレットボックス4の開口4aとの干渉を回避できるよう前記リッドプレート5aの裏面から大略半円をなすように延びる湾曲部5cを有し、その先端部はピン5dを介して前記インレットボックス4の前記湾曲部5cを収容可能に膨出する膨出部4dに回動可能に支持されている。また、前記湾曲部5cには、前記膨出部4dに固定された付勢部材9のピン9aが当接している。このピン9aは突出方向の付勢力が付与されており、これによりリッド5は開方向に押圧付勢されている。
【0015】
前記インレットボックス4のインレットフランジ部4bの、前記膨出部4dに対応する部分、及びここから略90°の部分には係止部4b′が形成されている。この係止部4b′は、前記インレットフランジ部4bと、これに対向するように形成されたリブ4gとで前記開口フランジ部2bの対応する被係止部2b′を挟み込んで係止するように形成されている。
【0016】
また前記リッドプレート5aの、前記ピン5dの反対側部分にはロック穴5eを有するロック部材5fが設けられている。このロック穴5eに、前記リッドロック機構6のロックボディ6aから出没可能に突出したロックピン6bが係合している。このロックピン6bは内蔵するスプリング等で突出方向に付勢されており、解除ケーブル6cを矢印a方向に引っ張ると前記ロックピン6bのロック穴5eとの係合が解除され、リッド5は付勢部材9の付勢力により開方向に少し開くこととなる。
【0017】
ここで前記リッドロック機構6は、前記膨出部4d部分に形成された係止部4b′の略反対側に配設されており、ロックボディ6aとインレットボックス4の側壁4eとの間に回り止め用の取付ブラケット10を介在させるとともに、ねじ部6eを前記側壁4eの取付け穴4fから内方に突出させ、該突出部にナット6dを螺着することにより前記側壁4eにねじ締め固定されている。
【0018】
そして前記取付ブラケット10には、挟持部10aが一体形成されている。この挟持部10aは、前記リッドロック機構6をインレットボックス4の側壁4eにナット6dで締め付け固定することにより、前記車体パネル2の開口フランジ部2bを、前記インレットボックス4のインレッ
トフランジ部4bとで挟持する。これにより前記インレットボックス4は、そのインレットフランジ部4bが前記車体パネル2の開口フランジ部2bに固定され、間に介在されたシール部材7を圧縮している。
【0019】
ここで前記シール部材7への圧縮力fは、前記ナット6dの締め付けによる軸力をF、前記ねじ部6eの軸線と前記開口フランジ部2bとのなす角度をαとすると、f=F×sinα、となる。
【0020】
本実施例に係る燃料供給部1において、インレットボックス4を取り付けるには、まず、インレットボックス4にリッド5をピン5dにより取り付け、車体パネル2の開口フランジ部2bにシール部材7を配置するとともに、インレットボックス4を給油用開口2a内に膨出部4dが先に入るように挿入し、インレットフランジ部4bの各係止部4b′により開口フランジ部2aの被係止部2b′を挟み込むように係止するとともに、インレットフランジ部4bをシール部材7を介在させて開口フランジ部2bに当接させる。続いて、リッドロック機構6のねじ部6eをインレットボックス4の側壁4eの取付け穴4fに取付ブラケット10を介在させて挿入し、前記ねじ部6eにインレットボックス4内からナット6dを螺着し、締め付け固定する。これにより取付ブラケット10に形成されている挟持部10aがインレットボックス4のインレットフランジ部4bとで車体パネル2の開口フランジ部2bを挟持する。このようにして、別部品を設けることなくナット6dによる高い締結力でインレットボックス4を車体パネル2に対して固定でき、大きな外力が作用しても外れることがない。
【0021】
また開口フランジ部2bとインレットフランジ部4bとをナット6dの締め付けにより強固に挟持したので、両フランジ部2b,4b間に介在されたシール部材7を十分に圧縮でき、シール性を向上できる。
【符号の説明】
【0022】
1 燃料供給部
2 車体パネル
2a 給油用開口
2b 開口フランジ部
3 フューエルパイプ
3a 給油口
4 インレットボックス
4b インレットフランジ部
4b′ 係止部
5 リッド
6 リッドロック機構
10 取付ブラケット
10a 挟持部