(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一端部に容器本体開口部が形成され他端部が閉塞された筒状の壁部であって、奥壁、上壁、下壁、及び一対の側壁を有し前記上壁の一端部、前記下壁の一端部、及び前記側壁の一端部によって前記容器本体開口部が形成された壁部を備え、前記上壁の内面、前記下壁の内面、前記側壁の内面、及び前記奥壁の内面によって、複数の基板を収納可能であり前記容器本体開口部に連通する基板収納空間が形成された容器本体と、
前記容器本体開口部に対して着脱可能であり、前記容器本体開口部を閉塞可能な蓋体と、を備え、
前記上壁は、前記上壁の中央部に配置された被係止部であって、前記容器本体を吊り上げ可能な吊り上げ部材に係止される被係止部を有し、
前記上壁の外面は、一方の前記側壁から他方の前記側壁へ向かう開口部幅方向における両端部分に位置する内方指向外面端部であって、前記開口部幅方向における中央部分に近づくにつれて前記基板収納空間の内方へ向かう内方指向外面端部と、前記開口部幅方向における中央部分に位置し、前記上壁の外面の両端よりも前記基板収納空間の内方寄りに位置する外面中央低部と、を有する基板収納容器。
前記上壁の内面における少なくとも前記上壁の前記一端部に相当する部分は、前記開口部幅方向における両端部分に位置する内方指向内面端部であって、前記開口部幅方向における中央部分に近づくにつれて、前記基板収納空間の内方へ向かう内方指向内面端部と、前記開口部幅方向における中央部分に位置し、前記上壁の内面の両端よりも前記基板収納空間の内方寄りに位置する内面中央低部と、を有する請求項1に記載の基板収納容器。
前記外面中央低部と前記内面中央低部とは、互いに一致した位置関係の長方形状を有し、前記長方形状の一辺は、前記容器本体開口部を形成する前記上壁の一端部の一部を構成する請求項2に記載の基板収納容器。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等の基板を収納する容器としては、容器本体と、蓋体と、基板支持板状部と、フロントリテーナと、奥側基板支持部とを備える構成のものが、従来より知られている。
【0003】
容器本体は、一端部に容器本体開口部が形成され、他端部が閉塞された筒状の壁部を有する。容器本体内には基板収納空間が形成されている。基板収納空間は、壁部により取り囲まれて形成されており、複数の基板を収納可能である。蓋体は、容器本体開口部に対して着脱可能であり、容器本体開口部を閉塞可能である。基板支持板状部は、基板収納空間内において対をなすように壁部に設けられている。基板支持板状部は、蓋体によって容器本体開口部が閉塞されていないときに、隣接する基板同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板の縁部を支持可能である。
【0004】
フロントリテーナは、蓋体の部分であって容器本体開口部を閉塞しているときに基板収納空間に対向する部分に設けられている。フロントリテーナは、蓋体によって容器本体開口部が閉塞されているときに、複数の基板の縁部を支持可能である。
奥側基板支持部は、フロントリテーナと対をなすように壁部に設けられている。奥側基板支持部は、複数の基板の縁部を支持可能である。奥側基板支持部は、蓋体によって容器本体開口部が閉塞されているときに、フロントリテーナと協働して複数の基板を支持することにより、隣接する基板同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板を保持する。
なお、奥側基板支持部は、基板支持板状部と一体に形成されていてもよく、あるいは、基板支持板状部とは別体で構成されていてもよい。
【0005】
容器本体の壁部は、奥壁と、上壁と、下壁と、第1側壁と、第2側壁と、を有している。上壁には、壁部の剛性を高めるためのリブが設けられている。また、上壁の中央部は、フランジ部を装着可能なフランジ装着部を有している。AMHS(自動ウェーハ搬送システム)、PGV(ウェーハ基板搬送台車)等において基板収納容器を搬送する際に、これらの機械のフランジ部係合部は、フランジ装着部に装着されたフランジ部に掛けられる。そして、基板収納容器は、フランジ部と一体でフランジ部係合部によって吊り上げられ、搬送される。
【0006】
基板収納容器は、このように吊り上げられて搬送されるため、上壁には、基板収納容器自体及び基板収納容器に収納された複数の基板の重量が作用する。これにより、上壁が弾性変形したり、塑性変形して上壁の形状が変わったりすることがある。これを抑制するため、例えば、上壁の一部を上方へ突出させた形状として、上壁の剛性を高めている(特許文献1参照)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態による基板収納容器について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る基板収納容器を示す斜視図である。
図2Aは、本実施形態に係る基板収納容器を示す正面図である。
図2Bは、本実施形態に係る基板収納容器を示す平面図である。
図2Cは、本実施形態に係る基板収納容器を示す右側面図である。
図2Dは、
図2AのA−A線に沿った断面図である。
図3Aは、本実施形態に係る基板収納容器の蓋を開いた状態を示す分解斜視図である。
図3Bは、本実施形態に係る基板収納容器の容器本体の基板収容空間に基板を収納した状態を示す分解斜視図である。
図4は、本実施形態に係る基板収納容器のフランジ部を取り外した状態を示す斜視図である。
【0017】
図5Aは、本実施形態に係る基板収納容器の容器本体を示す概略斜視図である。
図5Bは、本実施形態に係る基板収納容器の容器本体を示す概略正面図である。
図5Cは、本実施形態に係る基板収納容器の容器本体を示す概略断面図である。
図5Dは、本実施形態に係る基板収納容器の容器本体を示す概略下方斜視図である。
図6Aは、本実施形態に係る基板収納容器の第1変形例の容器本体を示す概略斜視図である。
図6Bは、本実施形態に係る基板収納容器の第1変形例の容器本体を示す概略正面図である。
図6Cは、本実施形態に係る基板収納容器の第1変形例の容器本体を示す概略断面図である。
【0018】
図7Aは、本実施形態に係る基板収納容器の第2変形例の容器本体を示す概略斜視図である。
図7Bは、本実施形態に係る基板収納容器の第2変形例の容器本体を示す概略正面図である。
図7Cは、本実施形態に係る基板収納容器の第2変形例の容器本体を示す概略断面図である。
図8Aは、本実施形態に係る基板収納容器の第3変形例の容器本体を示す概略斜視図である。
図8Bは、本実施形態に係る基板収納容器の第3変形例の容器本体を示す概略断面図である。
【0019】
ここで、説明の便宜上、後述の容器本体2から蓋体3へ向かう方向(
図2Cにおける左方向)を前方向D11と定義し、その反対の方向を後方向D12と定義し、これらを前後方向D1と定義する。また、後述の下壁24から上壁23へと向かう方向(
図2Cにおける上方向)を上方向D21と定義し、その反対の方向を下方向D22と定義し、これらを上下方向D2と定義する。また、後述する第2側壁26から第1側壁25へと向かう方向(
図2Aにおける左方向)を左方向D31と定義し、その反対の方向を右方向D32と定義し、これらを左右方向D3と定義する。
【0020】
また、基板収納容器1に収納される基板W(
図3B等参照)は、円盤状のシリコンウェーハ、ガラスウェーハ、サファイアウェーハ等であり、産業に用いられる薄いものである。本実施形態における基板Wは、直径450mmのシリコンウェーハである。
【0021】
図1〜
図4に示すように、基板収納容器1は、容器本体2と、蓋体3と、シール部材4と、基板支持板状部5と、フロントリテーナ7(
図2D参照)とを有している。
【0022】
容器本体2は、一端部に容器本体開口部21が形成され、他端部が閉塞された筒状の壁部20を有する。容器本体2内には基板収納空間27が形成されている。基板収納空間27(
図3A等参照)は、壁部20により取り囲まれて形成されている。壁部20の部分であって基板収納空間27を形成している部分には、基板支持板状部5が配置されている。基板収納空間27には、
図3Bに示すように、複数の基板Wを収納可能である。
【0023】
基板支持板状部5は、基板収納空間27内において対をなすように壁部20に設けられている。基板支持板状部5は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていないときに、隣接する基板W同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板Wの縁部を支持可能である。基板支持板状部5の奥側には、奥側基板支持部6が設けられている。奥側基板支持部6は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、複数の基板Wの縁部の後部を支持可能である。
【0024】
蓋体3は、容器本体開口部21に対して着脱可能であり、容器本体開口部21を閉塞可能である。フロントリテーナ7は、蓋体3の部分であって蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに基板収納空間27に対向する部分に設けられている。フロントリテーナ7は、奥側基板支持部6と対をなすように配置されている。
【0025】
フロントリテーナ7は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、複数の基板Wの縁部の前部を支持可能である。フロントリテーナ7は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、奥側基板支持部6と協働して複数の基板Wを支持することにより、隣接する基板W同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板Wを保持する。以下、各部について、詳細に説明する。
【0026】
容器本体2の壁部20は、奥壁22と上壁23と下壁24と第1側壁25と第2側壁26とを有する。奥壁22、上壁23、下壁24、第1側壁25、及び第2側壁26は、プラスチック材等により構成されており、第1実施形態では、ポリカーボネートにより一体成形されて構成されている。
【0027】
図3A等に示すように、第1側壁25と第2側壁26とは対向しており、上壁23と下壁24とは対向している。上壁23の後端、下壁24の後端、第1側壁25の後端、及び第2側壁26の後端は、全て奥壁22に接続されている。上壁23の前端、下壁24の前端、第1側壁25の前端、及び第2側壁26の前端は、奥壁22に対向する位置関係を有し、略長方形状をした容器本体開口部21を形成する開口周縁部28を構成する。
【0028】
開口周縁部28は、容器本体2の一端部に設けられており、奥壁22は、容器本体2の他端部に位置している。壁部20の外面により形成される容器本体2の外形は箱状である。壁部20の内面、即ち、奥壁22の内面、上壁23の内面、下壁24の内面、第1側壁25の内面、及び第2側壁26の内面は、これらによって取り囲まれた基板収納空間27を形成している。開口周縁部28に形成された容器本体開口部21は、壁部20により取り囲まれて容器本体2の内部に形成された基板収納空間27に連通している。基板収納空間27には後述のように、最大で25枚の基板Wを収納可能である。
【0029】
図3Aに示すように、上壁23及び下壁24の部分であって、開口周縁部28の近傍の部分には、基板収納空間27の外方へ向かって窪んだラッチ係合凹部231A、231B、241A、241Bが形成されている。ラッチ係合凹部231A、231B、241A、241Bは、上壁23及び下壁24の左右両端部近傍に1つずつ、計4つ形成されている。
【0030】
図1に示すように、上壁23は、厚さが略均一な板状を有している。上壁23は、中央低部232と内方指向端部233とを有している。
中央低部232は、上壁23の一部であって、左右方向D3の中央部分、即ち、長方形状の容器本体開口部21の上側の長辺の延びる方向(以下、「開口部幅方向」とする)の中央部分を構成しており、下方向D22へ下がった位置にある。即ち、中央低部232は、左右方向D3において上壁23を略3等分したときの中央の部分により構成されている。左右方向D3における容器本体2の幅は、略500mm程度であるのに対して、左右方向D3における中央低部232の幅は、250mm程度である。中央低部232の前端部は、開口周縁部28の一部を構成して容器本体開口部21を形成している。中央低部232の後端部は、奥壁22に接続されている。
【0031】
従って、中央低部232の内面である内面中央低部232A(
図5A、
図5B参照)は、上壁23の内面の両端233C、233C(
図5A、
図5B参照)よりも2mm〜10mm程度基板収納空間27の内方寄りに位置しており、本実施形態では、5mm程度基板収納空間27の内方寄りに位置する。また、中央低部232の外面である外面中央低部232Bは、上壁23の外面の両端233D、233Dよりも2mm〜10mm程度基板収納空間27の内方寄りに位置しており、本実施形態では、5mm程度基板収納空間27の内方寄りに位置する。
また、内面中央低部232Aと外面中央低部232Bとは、互いに一致した位置関係の長方形状を有しており、長方形状の一辺は、開口周縁部28の一部を構成して容器本体開口部21を形成している。
【0032】
また、内方指向端部233は、上壁23において、左右方向D3における中央低部232の両脇にある両端部分に位置しており、開口部幅方向における上壁23の中央部分、即ち、左右方向D3において中央低部232に近づくにつれて基板収納空間27の内方へ向かって傾斜している。従って、内方指向端部233の内面である内方指向内面端部233A、及び、内方指向端部233の外面である内方指向外面端部233Bも、それぞれ、開口部幅方向において中央低部232に近づくに従って、基板収納空間27の内方へ向かうように傾斜している。
従って、
図5Bに示すように、正面から見た上壁23の前端部分により構成される開口周縁部28の部分であって、後述の蓋体3のシール部材が当接する部分281は、中央低部232が最も下方に突出するように下方へ突出した形状を有している。
【0033】
図4に示すように、上壁23の外面においては、フランジ固定部234及びリブ235A、235Bが、上壁23と一体成形されて設けられている。
フランジ固定部234は、上壁23の中央部に配置されている。フランジ固定部234には、
図1に示すように、被係止部としてのトップフランジ236が固定される。従って、トップフランジ236は、上壁23の中央部に配置されている。トップフランジ236は、
図2Cに示すように、フランジ固定部234に固定される被固定部236Aと、被固定部236Aに接続され、上壁23の外面に対向するフランジ部236Bとを有している。トップフランジ236は、AMHS(自動ウェーハ搬送システム)、PGV(ウェーハ基板搬送台車)等において基板収納容器1を吊り下げる際に、吊り上げ部材としてのこれらの機械のアーム(図示せず)に掛けられ、これにより基板収納容器1は、アームに吊り下げられる。
【0034】
リブ235A、235Bは、内方指向外面端部233Bと、外面中央低部232Bとにそれぞれ設けられている。内方指向外面端部233Bに設けられているリブ235Aは、上壁23の左右方向D3における左端から右斜め後方へフランジ固定部234に近づく方向へ3本延びており、また、上壁23の左右方向D3における右端から左斜め後方へフランジ固定部234に近づく方向へ3本延びている。これらのリブ235Aは、上下方向D2における高さが、上壁23の左右方向D3における左端、右端からフランジ固定部234へ近づくにつれて、徐々に高くなっている。
【0035】
また、外面中央低部232Bに設けられているリブ235Bは、上壁23の前端からフランジ固定部234へ向けて、後方へフランジ固定部234に近づく方向へ5本延びている。従って、平面視で上壁23の外面は、被係止部としてのフランジ固定部234を中心とした放射状に延びるこれらのリブ235A、235Bを有している。これらのリブ235Bは、上下方向D2における高さは一定であり、内方指向外面端部233Bに設けられているリブ235Aの部分であって、最も高さの高い部分と同一の高さを有している。
【0036】
図3Aに示すように、基板支持板状部5は、第1側壁25及び第2側壁26にそれぞれ設けられて、左右方向D3において対をなすようにして基板収納空間27内に配置されている。具体的には、
図2Dに示すように、基板支持板状部5は、板部51と板部支持部52とを有している。板部51と板部支持部52とは、樹脂が一体成形されて構成されている。板部51は、板状の弧形状を有している。板部51は、第1側壁25、第2側壁26に、それぞれ25枚ずつ計50枚設けられている。隣接する板部51は、上下方向D2において10mm〜12mm間隔で互いに離間して平行な位置関係で配置されている。なお、最も上に位置する板部51の上方にも、板部51と同一形状のものが配置されているが、これは、最も上に位置して基板収納空間27内へ挿入される基板Wに対して、当該挿入の際のガイドの役割をする部材である。
【0037】
また、第1側壁25に設けられた25枚の板部51と、第2側壁26に設けられた25枚の板部51とは、互いに左右方向D3において対向する位置関係を有している。また、50枚の板部51、及び、板部51と略同形状の2枚のガイドの役割をする部材は、下壁24の内面に平行な位置関係を有している。
図2Dに示すように、板部51の上面には、凸部511が設けられている。板部51に支持された基板Wは、凸部511の突出端にのみ接触し、面で板部51に接触しない。
【0038】
板部支持部52は、
図2Dに示すように、上下方向D2に延びる部材により構成されている。第1側壁25に設けられた25枚の板部51は、第1側壁25側に設けられた板部支持部52に接続されている。同様に、第2側壁26に設けられた25枚の板部51は、第2側壁26側に設けられた板部支持部52に接続されている。基板支持板状部5は、第1側壁25、第2側壁26にそれぞれ固定される。
このような構成の基板支持板状部5により、複数の基板Wのうちの隣接する基板W同士を、所定の間隔で離間した状態で且つ互いに平行な位置関係とした状態で、複数の基板Wの縁部を支持可能である。
【0039】
図2Dに示すように、奥側基板支持部6は、壁部基板支持部60を有している。壁部基板支持部60は、基板支持板状部5の板部51の後端部に、板部51と一体で成形されている。
なお、奥側基板支持部6は、基板支持板状部5とは別体、即ち、壁部基板支持部60は、基板支持板状部5の板部51とは別体で構成されていてもよい。
【0040】
壁部基板支持部60は、基板収納空間27に収納可能な基板Wの一枚毎に対応した個数、具体的には、25個設けられている。第1側壁25及び第2側壁26に設けられた壁部基板支持部60は、前後方向D1において、後述するフロントリテーナ7と対をなすような位置関係を有している。後述のように基板収納空間27内に基板Wが収納され、蓋体3が閉じられることにより、壁部基板支持部60は、基板Wの縁部の端縁を挟持する。
【0041】
図3Aに示すように、蓋体3は、容器本体2の開口周縁部28の形状と略一致する略長方形状を有している。蓋体3は容器本体2の開口周縁部28に対して着脱可能であり、開口周縁部28に蓋体3が装着されることにより、蓋体3は、容器本体開口部21を閉塞可能である。蓋体3の外周縁部においては、シール部材嵌合溝が蓋体3の外周縁部に沿って形成されている。シール部材嵌合溝においては、
図3Aに示すように、弾性変形可能なPOE(ポリオキシエチレン)製、PEE製をはじめ、ポリエステル系、ポリオレフィン系など各種熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム製、シリコンゴム製等の環状のシール部材4が嵌め込まれている。シール部材4は、蓋体3の外周縁部を一周するように配置されている。
【0042】
蓋体3が開口周縁部28に装着されたときに、蓋体3の外周縁部は、シール部材4を介して容器本体2の開口周縁部28の内周縁部に当接する。これにより、シール部材4は蓋体3の外周縁部と開口周縁部28の内周縁部とにより挟まれて弾性変形し、蓋体3は、容器本体開口部21を密閉した状態で閉塞する。開口周縁部28から蓋体3が取り外されることにより、容器本体2内の基板収納空間27に対して、基板Wを出し入れ可能となる。
【0043】
蓋体3においては、ラッチ機構が設けられている。ラッチ機構は、蓋体3の左右両端部近傍に設けられており、
図3A、
図3Bに示すように、蓋体3の上辺から上方向D21へ突出可能な2つの上側ラッチ部32Aと、蓋体3の下辺から下方向D22へ突出可能な2つの下側ラッチ部(図示せず)と、を備えている。2つの上側ラッチ部32Aは、蓋体3の上辺の左右両端近傍に配置されており、2つの下側ラッチ部は、蓋体3の下辺の左右両端近傍に配置されている。
【0044】
蓋体3の外面においては操作部33が設けられている。操作部33を蓋体3の前側から操作することにより、上側ラッチ部32A、下側ラッチ部(図示せず)を蓋体3の上辺、下辺から突出させることができ、また、上辺、下辺から突出しない状態とさせることができる。上側ラッチ部32Aが蓋体3の上辺から上方向D21へ突出して、容器本体2のラッチ係合凹部231A、231Bに係合し、且つ、下側ラッチ部が蓋体3の下辺から下方向D22へ突出して、容器本体2のラッチ係合凹部241A、241Bに係合することにより、蓋体3は、容器本体2の開口周縁部28に固定される。
【0045】
蓋体3の内側においては、基板収納空間27の外方へ窪んだ凹部(図示せず)が形成されている。凹部は、蓋体3の左右方向D3の中央位置に形成されている。凹部を形成している蓋体3の内面においては、フロントリテーナ係止部(図示せず)が左右方向D3において対をなして設けられている。
【0046】
凹部(図示せず)においては、フロントリテーナ7が設けられている。フロントリテーナ7は、
図2Dに示すように、上下方向D2に平行に延びる一対の縦枠体71と、フロントリテーナ脚部72と、フロントリテーナ基板受け部73とを有している。一対の縦枠体71、フロントリテーナ脚部72、及びフロントリテーナ基板受け部73は、樹脂により一体成形され、互いに接続されている。
【0047】
フロントリテーナ基板受け部73は、左右方向D3に所定の間隔で離間して対をなすようにして2つずつ配置されている。このように対をなすようにして2つずつ配置されたフロントリテーナ基板受け部73は、上下方向D2に25対並列した状態で設けられている。後述のように基板収納空間27内に基板Wが収納され、蓋体3が閉じられることにより、フロントリテーナ基板受け部73は、基板Wの縁部の端縁を挟持して支持する。
【0048】
対をなしている縦枠体71が蓋体3に固定されることにより、フロントリテーナ7は蓋体3に固定される。縦枠体71の蓋体3への固定が解除されることにより、フロントリテーナ7は蓋体3から取り外される。
【0049】
上記構成の本実施形態による基板収納容器1によれば、以下のような効果を得ることができる。
上壁23の外面は、一方の側壁から他方の側壁へ向かう開口部幅方向、即ち、左右方向D3における両端部分に位置する内方指向外面端部233Bであって、開口部幅方向における中央部分に近づくにつれて基板収納空間27の内方へ向かう内方指向外面端部233Bと、開口部幅方向における中央部分に位置し、上壁23の外面の両端よりも基板収納空間27の内方寄りに位置する外面中央低部232Bと、を有する。
【0050】
このため、上壁23の上面から、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格に基づく上限までの距離を、より長く確保することができる。この結果、上壁23の上面から、SEMI規格に基づく上限までの間に容器本体2の剛性を高めるためのリブ235A、235Bを設けた場合に、上壁23の上面からSEMI規格に基づく上限の位置へと向かうリブ235A、235Bの高さを、より高く確保することができる。これにより、容器本体2の剛性をより高くすることができる。
【0051】
また、上壁23の内面は、開口部幅方向における両端部分に位置する内方指向内面端部233Aであって、開口部幅方向における中央部分に近づくにつれて、基板収納空間27の内方へ向かう内方指向内面端部233Aと、開口部幅方向における中央部分に位置し、上壁23の内面の両端233Cよりも基板収納空間27の内方寄りに位置する内面中央低部232Aと、を有する。
このため、吊り上げ部材によって容器本体2が持ち上げられたときに、上壁23が上方へ引かれるように変形した場合であっても、容器本体開口部21を形成する上壁23の一端部の一部281が蓋体3の縁部に対向しなくなることを防止することができ、常に蓋体3のシール部材が上壁23の一端部分に接触することができる。これにより、容器本体開口部21を形成する上壁23の一端部の一部281と、蓋体3の縁部との間のシール性を維持することができる。
【0052】
また、外面中央低部232Bと内面中央低部232Aとは、互いに一致した位置関係の長方形状を有し、長方形状の一辺は、上壁23の一端部により形成される容器本体開口部21の一部を構成する。このため上壁23を、必要以上に厚く構成せずに、内方指向外面端部233B、外面中央低部232B、内方指向内面端部233A、及び内面中央低部232Aを有する構成とすることができる。これにより、上壁23を構成する材料を節約することができ、また、容器本体2の軽量化を図ることができる。
【0053】
また、内方指向外面端部233Bは、被係止部(トップフランジ236)に近づく方向へ延びるリブ235Aを有する。また、上壁23の外面は、被係止部を中心とした放射状に延びるリブ235A、235Bを有する。このため、内方指向外面端部233B、外面中央低部232B、においてリブ235A、235Bの高さをより高くできることと相まって、容器本体2の剛性をより高くすることができる。また、上壁23の外面に対向するフランジ部236Bを有するため、フランジ部236Bを容易に吊り上げ部材に係止させることができる。
【0054】
本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。
例えば、容器本体及び蓋体の形状や、容器本体に収納可能な基板Wの枚数、寸法は、本実施形態における容器本体2及び蓋体3の形状や、容器本体2に収納可能な基板Wの枚数、寸法に限定されない。
【0055】
例えば、内方指向外面端部、外面中央低部、内方指向内面端部、及び内面中央低部の形状や構成は、本実施形態の形状や構成に限定されない。例えば、中央低部232は、左右方向D3において上壁23を略3等分したときの中央の部分により構成されていたが、この構成に限定されない。
【0056】
例えば、
図6A、
図6B、
図6Cに示すように、容器本体2Hの中央低部232Hは、長方形状ではなく、上壁23Hの前端部に下底を有し、上壁23Hの後端部に上底を有し、前後方向D1に高さを有する台形状であってもよい。また、
図7A、
図7B、
図7Cに示すように、上壁23Iは、容器本体2Iの上壁左右方向D3における上壁23の両端から左右方向D3における上壁23Iの中央に向かって緩やかに下方向D22へ向かって下がる曲面を有していてもよい。この場合、上壁23Iの部分であって、最も下方向D22へ下がった部分であって、左右方向D3における上壁23Iの中央の部分は、中央低部232Iであり、上壁23Iの一部であって、左右方向D3における中央低部232Iの両側の部分は、内方指向端部233Iである。
【0057】
また、例えば、中央低部232の外面と中央低部232の内面とは、互いに一致した位置関係の長方形状を有していたが、この構成に限定されない。例えば、長方形同士が互いに一致した位置関係を有していなくてもよい。
【0058】
また、例えば、上壁の内面における少なくとも上壁の一端部に相当する部分、即ち、開口周縁部の部分であって上壁の前端部により構成されている部分やその近傍部分のみが、内方指向内面端部と、内面中央低部と、を有していてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、上壁23の内面は、内方指向内面端部233Aと内面中央低部232Aと、を有していたが、上壁の内面は、これらを有していない平坦面により構成されていて、上壁の外面は、内方指向外面端部233Bと外面中央低部232Bとを有していてもよい。また、このように上壁の内面が平坦面により構成されている場合であっても、外面中央低部232Bは長方形状であっても長方形状でなくてもよい。
【0060】
また、リブの形状は、本実施形態の形状に限定されない。例えば、
図8A、
図8Bに示すように、内方指向外面端部233Bに設けられたリブ235Jは、左右方向D3に平行に伸びて、互いに平行な位置関係をなし、外面中央低部232Bに設けられたリブ235Kは、前後方向D1に平行に伸びて、互いに平行な位置関係をなしていてもよい。
【0061】
また、被系止部は、フランジ部236Bを有していたが、この構成に限定されない。被係止部は、吊り上げ部材に係止される構成を有していればよい。
【0062】
また、基板支持板状部5の隣接する板部51は、互いに離間して平行な位置関係で配置されていたが、厳密に平行な位置関係でなくてもよく、並列されていればよい。