特許第6000246号(P6000246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000246
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセントデバイス
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20160915BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20160915BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20160915BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   H05B33/02
   H05B33/04
   H05B33/06
   H05B33/14 A
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-522334(P2013-522334)
(86)(22)【出願日】2011年8月1日
(65)【公表番号】特表2013-532896(P2013-532896A)
(43)【公表日】2013年8月19日
(86)【国際出願番号】IB2011053415
(87)【国際公開番号】WO2012017376
(87)【国際公開日】20120209
【審査請求日】2014年7月29日
(31)【優先権主張番号】10172057.1
(32)【優先日】2010年8月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005362
【氏名又は名称】オーエルイーディーワークス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】OLEDWorks GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ボエルナー ハーベルト フリードリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン エルスベルゲン ボルカー
(72)【発明者】
【氏名】シュワブ ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン ソーレン
(72)【発明者】
【氏名】ラーシュ デトレフ
【審査官】 岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−005227(JP,A)
【文献】 特開2007−188647(JP,A)
【文献】 特開2007−232802(JP,A)
【文献】 特開2009−076266(JP,A)
【文献】 特開2011−086874(JP,A)
【文献】 特開2011−243431(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0045175(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
H01L 51/50
H05B 33/04
H05B 33/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上のエレクトロルミネッセント積層と、前記エレクトロルミネッセント積層を封入する覆蓋とを含む、有機エレクトロルミネッセントデバイスであって、前記覆蓋は、前記エレクトロルミネッセント積層および少なくとも1つの固定要素と電気的に接触する少なくとも1つの電気フィードスルーを含み、前記少なくとも1つの固定要素は、前記覆蓋を筐体に固定するための前記覆蓋の周縁の少なくとも一部である、有機エレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項2】
前記固定要素は、バイオネットコネクタのオスまたはメス部であるか、または、プレート、フラップ、ラッチ若しくはフックを含む要素の群のうちの少なくとも1つの要素であることを特徴とする、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項3】
前記固定要素は、前記覆蓋の背面に取り付けられるか、または、前記覆蓋のシール部に取り付けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項4】
前記固定要素は、発光方向に垂直な方向において前記基板を越えることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項5】
少なくとも前記覆蓋の前記固定要素は、磁性材料で作られることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項6】
前記固定要素のうち少なくとも1つ、それ以外の前記覆蓋の少なくとも一部、およびシール材料は、導電性材料で作られることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項7】
前記覆蓋と前記基板との間の容積は、前記エレクトロルミネッセント積層と前記覆蓋との間に優れた熱伝導率を与える不活性流体またはゲルで充填されることを特徴とする、請求項5または6に記載の有機エレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのフィードスルーは、前記覆蓋の外側に延在するピンとして、または、外側から電気接点と接触するのに適した接点領域として構成されることを特徴とする、請求項1乃至7の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセントデバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の少なくとも1つの有機エレクトロルミネッセントデバイスと、少なくとも1つの筐体とを含み、前記筐体は、前記有機エレクトロルミネッセントデバイスに電気接点を与え、且つ、前記有機エレクトロルミネッセントデバイスを前記筐体に前記固定要素を介して固定するように前記固定要素に対して適応された1以上の受容要素を含む、発光ユニット。
【請求項10】
前記1以上の受容要素と前記少なくとも1つの固定要素とは、バイオネットコネクタを形成するか、または、前記1以上の受容要素は、プレート、フラップ、ラッチ若しくはフックを含む要素の群のうちの少なくとも1つの要素として構成された、前記有機エレクトロルミネッセントデバイスの前記少なくとも1つの固定要素を固定することを特徴とする、請求項9に記載の発光ユニット。
【請求項11】
前記筐体は少なくとも1つの磁石を含み、少なくとも前記覆蓋の前記固定要素は、磁性材料で作られることを特徴とする、請求項9または10に記載の発光ユニット。
【請求項12】
前記磁石のうちの少なくとも1つは、前記覆蓋への電気接点を与えることを特徴とする、請求項11に記載の発光ユニット。
【請求項13】
前記1以上の受容要素の少なくとも1つは、前記少なくとも1つの固定要素を介して前記有機エレクトロルミネッセントデバイスへの電気接点を与えるために、導電性材料で作られることを特徴とする、請求項9乃至11の何れか一項に記載の発光ユニット。
【請求項14】
前記筐体は、導電性材料で作られた少なくとも1つのピンを含み、前記ピンは、前記覆蓋および/または前記覆蓋内の少なくとも1つの電気絶縁されたフィードスルーと電気的に接触することを特徴とする、請求項9乃至12の何れか一項に記載の発光ユニット。
【請求項15】
前記筐体は、前記有機エレクトロルミネッセントデバイスの前記覆蓋の少なくとも一部と接触するヒートシンク構造体を含むことを特徴とする、請求項9乃至14の何れか一項に記載の発光ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定要素を含む覆蓋を有する有機エレクトロルミネッセントデバイスの分野、および、かかる有機エレクトロルミネッセントデバイスを含む発光ユニットに係る。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセントデバイス(即ち、ダイオード)は、かかる有機エレクトロルミネッセントデバイス(OLED)に駆動電圧が印加されると有機分子が発光するデバイスである。OLEDは、通常、透明基板を含み、当該基板上に堆積される積層が、2つの電極層、通常、基板上の透明アノード層と有機積層上の反射性カソード層との間に有機積層を含んでいる。有機分子は、湿気および酸素に反応するため、積層は、基板上にシールされる気密性覆蓋によって封入される。アノードおよび/または電気フィードスルーの構造に応じて、覆蓋は、アノードまたは任意の他の導電性材料上に部分的にシールされる。OLEDを動作させるには、OLEDは、数ボルト、例えば2〜10V程度の駆動電圧を供給する電源への電気的接続を与えるソケット内に配置される必要がある。(ベースとしての)OLEDと、OLEDホルダでもあるソケットとのソケットベースシステムも容易に用いることができ、特にOLEDはソケットに容易に接続される。
【0003】
米国特許出願公報US2010/0046210は、OLEDがOLEDフレームの背面に配置された機械的/電気的カプラを介してマウントに取付けられる、OLED用のソケットベースシステムであって、ホルダ/筐体における相補的開口内に一方向動作で挿入される複数の突起としてOLEDを含む、ソケットベースシステムを開示する。この連結機構は、LEGO(登録商標)ブロックの連結機構と似ている。別の実施形態では、OLEDデバイスは、互いに嵌り合う管状カプラによって、または、隣接するOLEDの対応金属インサート内に嵌る突起によって互いに直接結合されて、これにより、OLEDは筐体がなくて済む。これらのカプラは、OLEDデバイスに付加されるべき追加のコンポーネントである。これに対し、費用効果的なソケットベースシステムを提供するために、必要なコンポーネント数を減少する要望がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、費用効果的で信頼性の高い方法でソケットに容易に接続可能な有機エレクトロルミネッセントデバイスを提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、かかる有機エレクトロルミネッセントデバイスを含む発光ユニットを提供することを更なる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、基板上のエレクトロルミネッセント積層と、エレクトロルミネッセント積層を封入する覆蓋とを含む、有機エレクトロルミネッセントデバイスであって、覆蓋は、エレクトロルミネッセント積層および少なくとも1つの固定要素と電気的に接触する少なくとも1つの電気フィードスルーを含み、少なくとも1つの固定要素は、筐体の固定時の覆蓋の背面への力が最小限となるように有機エレクトロルミネッセントデバイスを筐体に固定するように構成される、有機エレクトロルミネッセントデバイスによって達成される。覆蓋は、通常、有機エレクトロルミネッセントデバイス(OLED)のエレクトロルミネッセント積層を封入する機能を有する。本発明では、覆蓋は同時にOLEDを筐体に固定するためにも使用されるので、追加の機能が覆蓋に追加されている。通常、OLEDデバイスは、OLEDをフレームにしっかりと固定する一方で、フレームと筐体との間に接続を確立するために使用されるフレームを含む。本発明では、フレームがなくて済み、筐体が、電気接点を与えるソケットとして機能し、且つOLEDを少なくとも部分的に収容するキャビティとして機能するソケットベースシステムにおいて、必要な部品数が少なくなり、製造費用が削減される。さらに、OLED自体に(覆蓋を介して)固定要素が具備されているので、筐体への接続が素早く且つ容易にでき、OLEDフレームを使用しなくて済む。固定要素は、発光方向に垂直な方向において基板を越える。或いは、固定要素は、発光方向とは反対の方向に突出してもよい。固定要素は、いずれの場合も、覆蓋への筐体の固定時に覆蓋の背面への直接の力が回避されるように、覆蓋に取付けられる。直接の力が回避されるとは、覆蓋への筐体の固定時に加えられる力が、覆蓋の側壁を介して基板に伝達されることが好適であることを意味する。したがって、敏感なエレクトロルミネッセント積層の全体に亘って延在する覆蓋の背面の曲げが、減少さらには回避される。筐体内へのOLEDの直接的な固定は、OLEDとフレームとの接続およびフレームと筐体との接続からなる二重接続とは対照的に、1つの接続しか必要でないので、ソケットベースシステムの信頼性を向上させる。必要な接続の数が少ないことにより、接続問題の危険が少なくなるので、OLEDからの発光の信頼性を向上させる。
【0007】
有機エレクトロルミネッセントデバイスは、有機小分子またはポリマーを使用して光を発生させる。したがって、OLEDは、小分子有機発光デバイス(SMOLED)またはポリマー発光デバイス(PLED)とも呼ばれる。しかし、SMOLEDの方が、その発光性能の良さから推奨される。基板は、2つの基本的に平行な面を有する、例えばガラスまたはプラスチックといった透明材料で作られる。エレクトロルミネッセント積層に面している基板の側面は、以下において背面とも表される。背面とは反対の基板の側面は、発光面(または前面)とも表される。エレクトロルミネッセント積層は、アノードとカソードとして少なくとも2つの電極と、これらの間に有機発光層とを含む。他の実施形態では、正孔輸送層、電子輸送層、正孔阻止層、電子阻止層、(例えば発光分子が埋め込まれたホスト材料を含む)1以上の発光層といった複数の有機層が電極間に配置される。当業者には、異なる数/種類の層を含む、多数の様々なエレクトロルミネッセント積層が知られており、当業者であれば、所望の用途に応じて適切なエレクトロルミネッセント積層を選択できよう。通常は、基板上に堆積される電極は、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)で作られる透明アノードである。もう1つの電極は、通常カソードであるが、例えばAlである反射性材料で作られる。幾つかの実施形態では、OLEDの光取り出し挙動を向上させるために透明アノードと基板との間に追加の層がある。追加の硬化層が、覆蓋の側面からのカソードへの接触を可能とするために、透明アノード上に局所的に堆積される。このような硬化層は、例えば背面(覆蓋の側面)からの接触ワイヤまたはピンによるカソードの接触により引き起こされるアノードとカソードとの間の短絡を回避するために、電気絶縁材料で作られなければならない。
【0008】
一実施形態では、固定要素は、覆蓋を筐体に固定する際にエレクトロルミネッセント積層に加えられる力を回避するために、発光方向に垂直な方向において基板を越える。エレクトロルミネッセント積層は、少なくとも1つの電気フィードスルーを介して覆蓋(覆蓋の背面)を通って接触されるので(背面接触(back-contacting)とも表される)、覆蓋はあらゆる方向で基板を越えてもよい。電気フィードスルーは、(エレクトロルミネッセント積層に面している)覆蓋の内側から覆蓋の外側(即ち、背面、内側と反対側の側面)への導電路を含む。電気経路は、通常、覆蓋に対して電気絶縁されている。このような絶縁は、蓋が金属で作られる場合には必要である。背面接触の場合、覆蓋の外側の基板の背面上では、エレクトロルミネッセント積層と接触するための接点領域は不要である。したがって、覆蓋は、基板を部分的に越えるか、または、基板の背面に平行な全方向に沿って越えることができる。発光面は、少なくとも、光の大部分が環境へと放射される基板の側面であり、発光面とは反対の基板の側面は、基板の背面と表される。基板の発光面を通じた発光は、最大光が基板の発光面に垂直に放射(以下において発光方向とも称する)されるランバート(Lambertian)特性を有する。「越える」との用語は、覆蓋の寸法が、基板の対応寸法よりも、基板の発光面の表面に垂直である発光方向に垂直な方向に沿って、長い(または基板から飛び出す)ことを表す。
【0009】
覆蓋は、電気フィードスルーが具備されるのに適した任意の材料で作られ、また、OLEDを筐体に固定できるように十分に硬い。固定要素は、固定要素として基板を完全にまたは部分的に越える覆蓋の周縁であってもよい。或いは、覆蓋は、OLEDを筐体に固定するために適切な形状である、様々な形状を有する固定要素を含んでもよい。少なくとも固定手段の材料は、金属またはプラスチックである。固定手段以外の覆蓋の材料は、金属またはプラスチックだけでなくセラミック材料またはガラスでもよい。覆蓋は、例えばエレクトロルミネッセント積層の周りにガラスフリット(非導電性)または導電性のエポキシ接着剤の切れ目のないラインであるシール材料によって封入を確立し、湿気および酸素に対する気密シールを与えるために、基板にシールされる。「OLEDを固定する」との表現は、好適には筐体が置かれている位置および/または向きに関係なく、OLEDが筐体内にぴったりと嵌るようにする筐体内へのOLEDの挿入を表す。したがって、固定要素は、少なくとも、筐体にぴったりと嵌るように少なくとも1mm、好適には5mmよりも多く基板を越える。
【0010】
別の実施形態では、固定要素は、バイオネットコネクタのオス若しくはメス部であるか、または、プレート、フラップ、ラッチ若しくはフックを含む要素の群のうちの少なくとも1つの要素である。ここでは、バイオネットコネクタ(またはバイオネットマウント)は、例えば1以上のピンを有するオス側と、対応するL字型スロットを有するメスレセプタと、これら2部品を共にロックした状態に維持するバネとからなる固定機構である。これらの2部品を結合するために、オス部のピンはメス部のスロットに位置合わせされ、これらの2部品は押し合わされる。ピンがスロットの底部に到達すると、2部品は相対する方向に回転され、ピンはL字型スロットの底部に亘って案内される。次にバネがピンを定位置に保持してピンが後退して出てくることを防ぐ。取り外すためには、2部品は、バネに打ち勝つように押し合わされる一方で、ロック回転を逆転するようにわずかにねじられる。結合の強度は、ピンのせん断強度と、ロックされた場合にピンを定位置に保持するL字型スロットの強度とに依存する。熟練のユーザであれば、これらを素早く接続でき、また、これらは部品を回転させた際に生じる傷(cross-threading)の影響を受けない。他の実施形態では、バイオネットコネクタは、本発明の範囲内で異なる形状にされてもよい。或いは、固定要素としてのプレートは、筐体内に挿入されるべきスロットまたはキャビティが必要となり、フラップおよびラッチにも同じことが言える。フックは対応する穴またはボルト内に挿入されるか、ピンの背後に挿入されて、OLEDを筐体に固定する。これらの固定要素はすべてOLEDを筐体に素早くロックすることと、要求に応じてOLEDを筐体から素早く取り外すこととを可能にする。この素早い固定および/または取り外しは、要求に応じてOLEDの配置が変更されるOLEDタイルが具備されたOLED壁において必要となる。
【0011】
別の実施形態では、固定要素は、覆蓋の背面に取付けられるか、または、覆蓋のシール部に取付けられる。複数のOLED用の筐体内にある隣接OLEDの基板間の間隙が可能な限り小さい(隣接OLED間に間隙がないことが好適である)場合では、固定要素は、覆蓋の背面に配置され、それにより、隣接OLEDの、近接して配置される基板と共にぴったりと嵌るよう筐体の機械的設計の自由が広がる。覆蓋の背面とは、基板に面していない方の覆蓋の側面を表す。その一方で、覆蓋のシール部にある固定要素によって、小さい建物深度で(例えば基板に対して近い距離に配置された背面を有する平らな覆蓋で)OLEDを筐体に固定することができる。シール部とは、蓋が基板にシールされる、覆蓋の領域を表す。
【0012】
別の実施形態では、少なくとも覆蓋の固定要素は、磁性材料で作られる。磁性材料は、筐体内の対応磁石に固定され、追加で必要となるような機械的ロック手段を必要としない。磁石を用いてOLEDを筐体に固定することは、OLEDを、磁石を追加コンポーネントとして含むフレーム内に置くことにより従来技術において実現されている。そして、フレームの磁石は、筐体内の金属部分に取付けられる。本発明では、OLEDを筐体に固定するために、追加の磁石ではなく、磁性材料で作られた覆蓋を用いることができる。一例として鋼を覆蓋の磁性材料として用いてもよい。固定は、任意の強度を有する1以上の磁石を筐体内に置くことによって達成することができる。OLEDは筐体に容易に可逆的に取付けることができる。OLEDを筐体内にぴったりと嵌めるためにOLED覆蓋を変形する必要がないことが利点である。
【0013】
別の実施形態では、固定要素のうち少なくとも1つ、それ以外の覆蓋の少なくとも一部、およびシール材料は、導電性材料で作られ、覆蓋は基本的に導電性材料で作られることが好適である。ここでは、覆蓋は、この電極上に少なくとも部分的にシールされている場合に導電性シール材料(例えば導電性フィラーを有するエポキシ接着剤)を介してエレクトロルミネッセント積層の電極のうちの1つに接続される電気経路として用いられてもよい。基本的に導電性材料で作られる覆蓋は、電極と接触するだけでなく、この電極に付与される電流を分配することでシャント構造としても機能するように用いられる。このシャント構造は、OLEDの輝度の均一性を向上させる。覆蓋は「基本的に」との用語は、電気フィードスルーがある覆蓋の領域を除いた覆蓋全体を表す。
【0014】
別の実施形態では、覆蓋と基板との間の容積は、エレクトロルミネッセント積層と覆蓋との間に優れた熱伝導率を与える不活性流体またはゲルで充填され、流体またはゲルは、フッ素化された流体またはシリコーンゲルであることが好適であり、シルガード(登録商標)3−6636シリコーン誘電体ゲルまたはダウ・コーニング社のフルオロゲルQ3−6679誘電体ゲルであることがより好適である。OLEDは、現在、約30W/mの比較的低い電力密度で動作され、輝度値は通常1.000cd/mである。将来、10.000cd/mというずっと高い値が予想されている。このような高い輝度レベルはOLEDに相当な自己発熱をもたらし、OLEDの冷却を向上させることが必要となる。エレクトロルミネッセント積層と金属蓋との間の熱伝導率が十分である場合、金属蓋は、冷却のために筐体への十分な熱伝達を与えることができる。現在、覆蓋内の容積は熱伝達率が低すぎるガスで充填されている。容積を充填する流体またはゲルは、エレクトロルミネッセント積層から覆蓋への熱伝達を向上させる。流体またはゲルは、エレクトロルミネッセント積層内の有機層に対して化学的に不活性でなければならない。したがって、フッ素化された流体またはゲルが推奨される。
【0015】
別の実施形態では、少なくとも1つのフィードスルーは、覆蓋の外側に延在するピンとして、または、外側から電気接点と接触するのに適した接点領域として構成される。このような外側からの接触は接点ピンである。覆蓋の背面におけるフィードスルーのこのような形状によって、筐体から与えられる対応電気経路に接続することが容易である。接点領域とは、ピンの断面より有意に大きいサイズの領域を表す。ピンが覆蓋の外面を越える一方で、接点領域は覆蓋の外側における突起であっても覆蓋の外側と同じレベルのものであってもよい。接点領域は平らで滑らかな面を有することが好適である。ピンはその上部に丸みがついたまたは鋭い先端を有する。
【0016】
本発明は、本発明による少なくとも1つの有機エレクトロルミネッセントデバイスと少なくとも1つの筐体とを含み、筐体は、有機エレクトロルミネッセントデバイスに電気接点を与えるように適応され、且つ、有機エレクトロルミネッセントデバイスを筐体に固定手段を介して固定するように固定手段に対して適応された1以上の受容要素を含む、発光ユニットにさらに係る。筐体は、OLEDを少なくとも部分的に収容するのに適した任意の形状の任意のキャビティであってもよい。OLEDを固定できるように、筐体はOLEDの、対応する形状を有する固定要素にぴったりと嵌るように適応された受容要素を含まなければならない。受容要素は、金属、プラスチック、または任意の他の材料といった任意の適切な材料で作られる。好適には、1以上の受容要素および少なくとも1つの固定要素が、バイオネット(差し込み)コネクタを形成するか、または、1以上の受容要素が、プレート、フラップ、ラッチ若しくはフックを含む要素の群のうち少なくとも1つの要素として構成された有機エレクトロルミネッセントデバイスの少なくとも1つの固定要素を、固定するように構成される。筐体内の電気接点は、筐体内の電気接点を介してOLEDに駆動電圧を印加するために、電源に更に接続される。電源は、筐体内に組み込まれても外部配置されてもよい。電源は、数ボルト、例えば2〜15V程度の駆動電圧を供給するのに適した任意の電源であってもよい。電源への接続は、電気接点に接続された(例えば溶接されたまたははんだ付けされた)ワイヤによって確立されても、電気接点に接続された他の導電路(例えば導電層)によって確立されてもよい。電気接点自体が、導電層、ワイヤ、ピン、または、OLEDへの電気接点を確立するための他の適切な手段であってもよい。「電気接点」との用語は、常に、OLEDの覆蓋を介する(覆蓋に直接か、および/または、覆蓋内に配置された電気フィードスルーを介する)OLEDのエレクトロルミネッセント積層のアノードおよびカソードの別個の接触を表す。
【0017】
別の実施形態では、筐体は少なくとも1つの磁石を含み、1以上の受容要素の少なくとも一部は、有機エレクトロルミネッセントデバイスの覆蓋を固定するために、磁石として構成されることが好適であり、少なくとも覆蓋の固定要素は、磁性材料で作られる。磁石は、覆蓋および/または固定要素の形状に適応された筐体の適切な位置に配置されなければならない。適切な磁石は、一般的な永久磁石である。磁性材料が導電性でもある場合、磁石のうち少なくとも1つは覆蓋への電気接点を与えることが好適である。磁石が非導電性の磁性材料で作られる場合、これらの磁石には電気コーティングが被覆されて電気接点として使用するのに適した磁石を提供する。これにより、OLEDを電源に接続するために、筐体内に追加の電気接点がなくて済む。筐体の磁石は、ワイヤまたは他の電気的接続手段を用いてその背面から容易に接触される。同時に電気接点のうちの少なくとも1つとなる機械的固定(mechanical fixation)は、OLED、OLEDのソケットベースシステム、および筐体の構造をさらに単純化する。電気接点としての磁石は、筐体および/またはOLEDの僅かな機械的動作がある場合であっても、信頼性の高い接触を与える。
【0018】
別の実施形態では、1以上の受容要素は、少なくとも1つの固定要素を介して有機エレクトロルミネッセントデバイスへの電気接点を与えるために、導電性材料で作られる。受容要素は、OLEDを固定するために覆蓋に接続されている。受容要素が同時に電気接点としても使用される場合、機械的固定および電気的接続の機能は1つのコンポーネントに組み込まれ、それによりコンポーネント費用が節約される。2つの電気的に分離された受容要素が、電源と、エレクトロルミネッセント積層のアノードおよびカソードに別個に(例えばアノードへはシールされた局所的に導電性の覆蓋および導電性シール材料を介して、カソードへは覆蓋内の電気フィードスルーを介して、或いは、覆蓋内の2つの別個のフィードスルーを介して)接続する分離された導電路を含む適切な覆蓋とに接続される場合、OLEDは、受容要素および覆蓋を介して電源に容易に電気的に接続できる。
【0019】
代替実施形態では、筐体は、導電性材料で作られた少なくとも1つのピンを含み、ピンは、覆蓋および/または覆蓋内の少なくとも1つの電気絶縁されたフィードスルーと電気的に接触して、有機エレクトロルミネッセント層のアノードおよび/またはカソードに電気接点を与えるようバネ荷重されることが好適である。ここでは、少なくとも1つのフィードスルーとの1つの電気接点(または電気接続)は、受容要素を介して確立されるのではなく、電気フィードスルーがある覆蓋の背面と確立される。このことは、受容要素を、例えば金属で作られ、また例えば固定要素を介して覆蓋との電気接点を与える単一のコンポーネントとして製造する可能性を提供する。第2の電気接点は、覆蓋内の電気フィードスルーとの直接接触によって確立される。接点領域を与えるフィードスルーの場合、ピンが、フィードスルーの接点領域と当該接点領域に接触している電源との間の電気的接続を容易に与えることができる。この場合、覆蓋は、完全に導電性である金属で作られる(フィードスルーは覆蓋に対して電気絶縁されている)か、または、適切な導電性部品を含んでいなければならない。このような導電性部品は、部分的に金属で作られた覆蓋によって、または、覆蓋上に適切な導電層を堆積させて例えばアノードである電極のうちの1つに電気接点を与えることによって確立される。或いは、アノードおよびカソードは共に、筐体内で2つの別個のピンによって接触される2つの別個のフィードスルーを介して接続されてもよい。後者の場合、覆蓋は必ずしも金属で作られる必要はない。非導電性材料も覆蓋材料として用いることができる。バネ荷重ピンの場合、バネは、接点領域にピンの信頼性の高い連続的な電気接点を確立するようピンに十分な力を加える。バネ力は、覆蓋が曲がってエレクトロルミネッセント積層に接触しないように適切な力に適合されなければならない。当業者であれば、覆蓋の厚さおよびサイズ、および、覆蓋とエレクトロルミネッセント積層との間の距離に応じて十分なバネ力を選択できよう。
【0020】
別の実施形態では、筐体は、有機エレクトロルミネッセントデバイスの覆蓋の少なくとも一部と接触するヒートシンク構造体を含む。OLEDは、現在、OLEDは、現在、約30W/mの比較的低い電力密度で動作され、輝度値は通常1.000cd/mである。将来、10.000cd/mというずっと高い値が予想されている。このような高い輝度レベルはOLEDに相当な自己発熱をもたらし、OLEDの冷却を向上させることが必要となる。エレクトロルミネッセント積層と金属蓋と間の熱伝導率が十分である場合、金属蓋は、冷却のために筐体への有意な熱伝達(OLEDの有意な冷却)を与えることができる。金属覆蓋と接触するヒートシンクは、そのような優れた熱伝導率を与える。ヒートシンク構造体は、例えば半導体回路に適用されるようなヒートシンク構造体といった任意の適切な構造体である。好適な実施形態では、ヒートシンク構造体は、OLEDと筐体との間の空気間隙を回避するよう覆蓋と筐体との間の間隙を少なくとも部分的に充填するヒートペーストである。このような空気間隙は、最大で8000倍も熱伝達を大幅に減少してしまう。OLEDと、例えばヒートペーストと接触する領域が金属で作られ、且つ、筐体の背面に配置された別のヒートシンクに任意選択的に接続された筐体との間の直接的な接触は、OLEDからの優れた熱伝達を与える。セラミックベース、金属ベース、およびカーボンベースのヒートペーストが今日市場に出ている。このようなヒートペーストの熱伝導率は、最大で200W/mKを超えるぐらいであり、例えば酸化ベリリウムペーストでは218、または、窒化アルミニウムペーストでは170であって、これは、銅(380W/mK)または銀(429W/mK)の熱伝導率の約半分である。ペーストは、通常、シリコーン熱化合物(silicone thermal compounds)中に懸濁される金属酸化物および/または窒化物粒子を含む。ヒートペーストが導電性であり、覆蓋とフィードスルーとを単層として覆う場合にアノード接点とカソード接点との間に短絡を引き起こすので、ヒートペーストは、電気フィードスルーおよび/または電気接点(例えば金属ピン)の領域外に配置されることが好適である。
【0021】
本発明のこれらのおよび他の態様は、以下に記載する実施形態を参照することにより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明による、有機エレクトロルミネッセントデバイスおよび筐体からなる2つの実施形態を示し、(a)では固定要素が覆蓋のシール部に配置され、(b)では固定要素が覆蓋の背面に配置されている図である。
図2図2は、磁石を含む筐体の別の実施形態を示す図である。
図3図3は、電気接点のうちの1つとして筐体の受容要素を有する、本発明による発光ユニットの実施形態を示す図である。
図4図4は、筐体内の2つの電気接点がバネ荷重ピンとして構成されている、本発明による発光ユニットの別の実施形態を示す図である。
図5図5は、筐体の受容要素を電気接点のうちの1つとして、バネ荷重ピンを筐体内に配置された他の電気接点として有する、本発明による発光ユニットの別の実施形態を示す図である。
図6図6は、筐体内の2つの電気接点がバネ荷重ピンとして構成されている、本発明による発光ユニットの別の実施形態を示す図であって、覆蓋は非導電性材料で作られている図である。
図7図7は、ヒートペーストを、筐体と有機エレクトロルミネッセントデバイスとの間のヒートシンク構造体として含む、本発明による発光ユニットの別の実施形態を示す図である。
図8図8は、発光方向とは反対の方向に突出する固定要素が覆蓋の背面に配置されている、本発明による、有機エレクトロルミネッセントデバイスおよび筐体からなる別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明による、有機エレクトロルミネッセントデバイス1および筐体8からなる2つの実施形態を示し、図1(a)では固定要素62が覆蓋6のシール部6sに配置され、図1(b)では固定要素62が覆蓋6の背面6bに配置されている。ここでは、有機エレクトロルミネッセントデバイス1は、基板2上にエレクトロルミネッセント積層3、4、5と、エレクトロルミネッセント積層3、4、5を封入する覆蓋6とを含む。基板は、ガラスまたはプラスチック(例えばPMMAまたはPET)といった透明材料で作られている。エレクトロルミネッセント積層は、少なくとも基板2上に第1の透明電極3、通常はインジウムスズ酸化物(ITO)で作られるアノード3と、第1の電極3上に有機発光層4又は有機発光積層4と、有機発光層4又は有機発光積層4上に第2の電極5、通常はアルミニウムといった反射性材料で作られるカソード5とを含む。発光層4は、有機ホスト材料と埋め込み発光分子とを含んでもよい。幾つかの場合では、層4は、積層4を形成する追加層を含む。これらの追加層は、正孔輸送層、電子輸送層、正孔阻止層、電子阻止層、追加の有機発光層の群のうちの1以上の層を含んでもよい。幾つかのエレクトロルミネッセント積層が知られている。当業者であれば、特定の用途に適したエレクトロルミネッセント積層を選択できよう。覆蓋6は、環境からの湿気および酸素に対してエレクトロルミネッセント積層3、4、5を封入するのに適した任意の材料で作られてもよい。しかしながら、この材料は、アノード3およびカソード5と接触するために気密に電気フィードスルー61を収容するのに少なくとも適しているべきである。覆蓋6は、基板2および/または基板上のアノード3に、導電性シール材料64によって接続される。シール材料64(例えばエポキシ接着剤)には、導電性となるよう金属粒子がドープされる。覆蓋6は、電極3、5のうち少なくとも一方と電気的に接触するための少なくとも1つの電気フィードスルー61と、発光方向に垂直な方向に基板2を越える少なくとも1つの固定要素62とをさらに含む。図1では、有機エレクトロルミネッセントデバイス1を筐体8に固定するように配置された2つの固定要素62がある。筐体8は、固定要素62を収容するための2つの対応受容要素82を含む。受容要素82の材料は、例えば金属もしくはプラスチックまたは木材等といった、OLED1を固定するのに適した任意の材料である。図1では、固定構造は概略的にのみ示している。2つの受容要素82および2つの固定要素62は、バイオネットコネクタを形成するか、または、プレート、フラップ、ラッチ若しくはフックとして構成された、有機エレクトロルミネッセントデバイス1の2つの固定要素62を固定するように構成される。固定要素62は、固定要素62を押すバネを介してバイオネットコネクタの対応する部分に固着される。当業者であれば、バイオネットコネクタに適切な形状を選択することができよう。ラッチ、プレートまたはフラップとしての固定要素62は、受容要素8として対応する形状を有するキャビティ内に挿入される。挿入は、筐体8、OLED1および/または覆蓋6、62の形状に応じて、並進運動を介してまたは回転運動を介して行われてもよい。固定要素62の材料は、OLED1を筐体8に固定するのに適した任意の材料である。固定要素62は、固定要素62以外の覆蓋6と同じ材料で作られることが好適である。固定要素62を含む覆蓋6は、一体成形コンポーネント6であることがより好適である。有機エレクトロルミネッセントデバイス1を筐体8内に挿入(IN)後、発光ユニットが形成される。適切な電源10(例えば更なるドライバ等を含む)によって有機エレクトロルミネッセントデバイス1に駆動電圧が印加されると、OLED1は、基板2を通して光7を発する。発光7の主方向は、エレクトロルミネッセント積層3、4、5に向いていない基板2の前面に垂直である。固定要素62は、筐体8の対応受容要素82内に嵌り込むために、発光7の方向に垂直(鉛直)に、基板2を越えて配置される。筐体8の形状に応じて、固定要素62は、シール材料64に近い、覆蓋6のシール部6sに配置されても、覆蓋6の背面6bに配置されてもよい。前者の場合、受容要素82は、発光ユニットの滑面を与えるために基板2の前面と同じ高さにおいて終端するように配置される。後者の場合、OLED1は筐体8から突き出ることになり、これは別の場合においては望ましい。図1における電気接点は、筐体8内に挿入(IN)された場合に、覆蓋6の背面6bに対向して筐体8内にある2つの電気接点81によって確立される。アノード用の接点は、フィードスルー61以外のどこかで覆蓋6と接触するように配置される。ここでは、覆蓋は金属で作られている。導電性シール材料64と、シール材料64と電気的に接触しているアノード3とで、電源10によって供給される正電圧が、金属覆蓋6と電気的に接触する(破線矢印CAによって示される)、筐体8内の電気接点81に接続されるワイヤを介してアノード3に印加され、金属覆蓋6は、アノード3と電気的に接触している導電性シール材料64を介してアノード3とさらに電気的に接触する。負電圧は、破線矢印CCによって示されるように(グレー領域61の周りの白の領域によって示されるように金属覆蓋から絶縁されている)フィードスルー61と電気的に接触する、筐体8内の電気接点81に接続されるワイヤを介して電源10から供給され、フィードスルー61は、フィードスルーとカソードとの間の電気的ブリッジ61aを介してカソード5とさらに電気的に接触する。このようなブリッジは、例えば導電性接着剤51によって、または導電性接着剤51とフィードスルー61との間に配置されたワイヤによって確立される。エレクトロルミネッセント積層3、4、5を損傷しないように、特にアノード3とカソード5との間に短絡を引き起こさないように、アノード3と有機発光層4との間で導電性接着剤51の下に硬い非導電性層が局所的に配置されてもよい。フィードスルー61は、接点ピンを含むか、または、筐体8の電気接点81に接続されるべき平らな導電面として配置されてもよい。
【0024】
図2は、磁石91、92を含む筐体8の別の実施形態を示す。磁石91は、筐体8内にOLED1を固定する、および/または、(受容要素82によって与えられる固定に加えて)固定することを支援するため任意の適切な位置に配置される。2つの磁石91を有する、図示される筐体は、ほんの一例である。本発明の範囲内の別の実施形態では、磁石の数、サイズおよび位置は様々であってもよい。代替実施形態では、磁石92は、受容要素82の一部として配置される。これらの代替実施形態は共に、固定要素62および/または覆蓋6が例えば鋼または任意の他の適切な金属である磁性材料で作られる場合、有機エレクトロルミネッセントデバイス1の覆蓋6を固定することができる。
【0025】
図3は、左側の受容要素82のグレー領域で示されるように、筐体8の受容要素82が電気接点81のうちの1つとして構成されている、本発明による発光ユニットの実施形態を示す。図1とは対照的に、この実施形態では、覆蓋6の背面の電気接点81は1つだけで済む。OLED1をぴったりと嵌め、且つ、例えばアノード3への電気接点81を与える受容要素82の二重機能によって、筐体8のコンポーネント数を少なくできる。覆蓋の背面における接点81は、フィードスルー61と接触するピン81aによって確立される。
【0026】
図4は、筐体8内の2つの電気接点81が2つのバネ荷重ピン81bとして構成されている、本発明による発光ユニットの別の実施形態を示す。電源10とOLED(アノード3、カソード5)との間の電気的接続は、図1における電気的接続の説明に対応する。バネ荷重ピン81bによって、最終的には覆蓋がエレクトロルミネッセント積層3、4、5に接触してエレクトロルミネッセント積層3、4、5を損傷する覆蓋の曲げを回避するために、覆蓋6に特定の最大圧を印加することが可能となる。さらにバネ荷重ピン81bは、バネが弾性的接続を与えるので、筐体8内でOLED1が少し機械的動作を起こしても、フィードスルー61および/または覆蓋6への信頼度が高い電気的接続を与える。
【0027】
図5は、電気接点81のうちの1つとして筐体8の受容要素82と、他の電気接点81としてバネ荷重ピン81bとが筐体8に配置された、本発明による発光ユニットの別の実施形態を示す。図5は、図3および図4に示す実施形態の有利な組み合わせである。
【0028】
図6は、筐体8内の2つの電気接点81が2つのバネ荷重ピン81bとして構成されている、本発明による発光ユニットの別の実施形態を示す。電源10とOLED(アノード3、カソード5)との間の電気的接続は、図1における電気的接続の説明に対応する。バネ荷重ピン81bによって、最終的に覆蓋がエレクトロルミネッセント積層3、4、5に接触してエレクトロルミネッセント積層3、4、5を損傷する覆蓋の曲げを回避するために、覆蓋6に特定の最大圧力を印加することが可能となる。さらに、2つのバネ荷重ピン81bは、バネが弾性的接続を与えるので、筐体8内でOLED1が少し機械的動作を起こしても、2つのフィードスルー61への信頼度が高い電気的接続を与える。この実施形態では、カソード5と同様にアノード3もフィードスルーとアノード3間の電気的ブリッジ61aによってバネ荷重ピンと接触しているので、覆蓋は必ずしも導電性である必要はない。このようなブリッジは、例えば導電性接着剤51によってまたは導電性接着剤51とフィードスルー61との間に配置されたワイヤによって確立される。非導電性の覆蓋6に替えて、覆蓋6は導電性であってもよい。さらに、シール材料64も、例えばガラスフリットのように非導電性であってもよい。ここでは、カソード5およびアノード3の電気接点は、覆蓋6に対して電気的に絶縁されているフィードスルー61aを介して与えられるので、導電性/非導電性の覆蓋6、および/または、導電性/非導電性のシール材料64のあらゆる組み合わせを用いてもよい。
【0029】
図7は、ヒートペースト11を、筐体8と有機エレクトロルミネッセントデバイス1との間にヒートシンク構造体として含む、本発明による発光ユニットの別の実施形態を示す。セラミックベース、金属ベース、およびカーボンベースのヒートペーストが今日市場で入手可能である。このようなヒートペーストの熱伝導率は、最大で200W/mKを超えるぐらいであり、例えば酸化ベリリウムペーストでは218、または、窒化アルミニウムペーストでは170であって、これは、銅(380W/mK)または銀(429W/mK)の熱伝導率の約半分である。ペーストは、通常、シリコーン熱化合物(silicone thermal compounds)中に懸濁される金属酸化物および/または窒化物粒子を含む。導電性ヒートペースト11の場合、図7に示すように、ヒートペーストは、電気フィードスルー61および/または電気接点81、81a、81bの領域外に配置されなければならない。筐体は、ヒートペーストと直接接触している筐体の背面(OLED1には向いていない方の筐体の面)に従来のヒートシンク(ここでは図示せず)を更に含んでもよい。または、ヒートペーストとヒートシンクとの間の筺体が金属で作られている(しかし、電気接点81に対して絶縁されている)。熱伝達を向上させるために、エレクトロルミネッセント積層3、4、5も覆蓋6に熱的に結合されるべきである。通常、封入された容積63には、熱伝導率の低いガスが充填される。エレクトロルミネッセント積層3、4、5から覆蓋6への熱伝達は、エレクトロルミネッセント積層3、4、5と覆蓋6との間の容積63に優れた熱伝導率を与える不活性流体またはゲルを充填することによって、著しく向上することができる。流体またはゲルは、フッ素化された流体またはゲル、例えばシリコーンゲルであることが好適である。好適なゲルとしては例えばシルガード(登録商標)3−6636シリコーン誘電体ゲルまたはダウ・コーニング社のフルオロゲルQ3−6679誘電体ゲルがある。
【0030】
図8に示される本発明の代替実施形態では、固定要素62は、発光方向7とは反対の方向に突出する。固定要素62は、筐体8への覆蓋6の固定時に覆蓋の背面6bによってエレクトロルミネッセント積層に加えられる力を回避または少なくとも制限するために、覆蓋のシール部6sのすぐ上方に配置されている。これにより、突出している固定要素62を筐体8の対応受容要素82内に挿入することによって覆蓋6を容易に固定することができる。図8に示されるように、筐体8の安定的且つ信頼性の高い固定を与えるために、固定要素62は、覆蓋の断面がH字のように見えるように覆蓋6の周囲全体の周りに延在する。或いは、発光方向7とは反対の方向に突出する2以上の固定要素62が、覆蓋6の縁に設けられてもよい。図8に示されるように、突出固定要素62は、アノードおよびカソードへの電気接点を与えるために、フィードスルー61として用いられてもよい。
【0031】
ここには明示されていない他の実施形態では、電気接点81の数は2より多くてもよい。ある実施形態では、覆蓋6は、カソード5内の電流分配を向上させるようカソード5に並列に接触するために複数のフィードスルー61を含む。別の実施形態では、アノード3の電流分配を向上させるために、すべての受容要素62が覆蓋6への電気接点81として配置される。別の実施形態では、覆蓋6は、複数の電気的に分離されたエレクトロルミネッセント積層3、4、5を含む構造化されたOLED1の複数のアノード3および複数のカソード5と接触するために、複数のフィードスルー61を含んでもよい。別の実施形態では、覆蓋6は、いわゆる積層OLEDの垂直積層されたエレクトロルミネッセント積層間に存在する複数の中間電極(ここでは図示せず)と接触するために複数のフィードスルー61を含んでもよい。
【0032】
本発明は図面および上記記載において詳細に解説且つ説明したが、このような解説及び説明は、例示的と見なされるべきであって限定的ではない。本発明は、開示した実施形態に限定されない。開示した実施形態の他の変形は、請求に係る発明を実施する際に、図面、開示内容、添付の特許請求の範囲を検討することにより、当業者により理解および達成される。特許請求の範囲において、「含む」との用語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、また、単数形として示されるものもそれが複数存在することを排除するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実がこれらの手段の組み合わせを有利に用いることができないことを示すものではない。特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0033】
参照符号
1 有機エレクトロルミネッセントデバイス
2 基板
3 通常アノードである第1の電極
4 有機発光層(積層)
5 通常カソードである第2の電極
51 導電性接着剤
6 覆蓋
61 覆蓋内のフィードスルー
61a 電気フィードスルーへの導電性ブリッジ
62 固定要素
63 覆蓋により封入される容積
64 シール材料、例えばガラスフリットまたは導電性フィラーを有するエポキシ接着剤
6s 覆蓋のシール部
6b 覆蓋の背面
7 発光方向
8 筐体
81 電気接点
81a ピンとしての電気接点
81b バネ荷重ピンとしての電気接点
82 受容要素
91 筐体内の磁石
92 筐体の受容要素内に配置された磁石
10 電源
11 ヒートシンク構造体、特にヒートペースト
CC カソードへの電気接点
CA アノードへの電気接点
IN 筐体内へのOLEDの挿入
図1(a)】
図1(b)】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8