特許第6000260号(P6000260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6000260三次元物体表面の二次元画像を取得する装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000260
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】三次元物体表面の二次元画像を取得する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/952 20060101AFI20160915BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20160915BHJP
   G01N 21/89 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   G01N21/952
   G01N21/85 A
   G01N21/89 S
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-532290(P2013-532290)
(86)(22)【出願日】2011年10月5日
(65)【公表番号】特表2013-542427(P2013-542427A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】IB2011002849
(87)【国際公開番号】WO2012046146
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2014年9月3日
(31)【優先権主張番号】61/391,139
(32)【優先日】2010年10月8日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512054458
【氏名又は名称】キャプシュゲル・ベルジウム・エヌ・ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ロブソン・ハンフリーズ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・アントニー・メリット
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ヤーク・ヴァンクイッケンボーン
【審査官】 小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−039746(JP,A)
【文献】 特開2002−350358(JP,A)
【文献】 特表2010−501441(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/058312(WO,A1)
【文献】 特表2012−509127(JP,A)
【文献】 特開平07−072087(JP,A)
【文献】 特開平09−021755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 − G01N 21/958
G01B 11/00 − G01B 11/30
H01N 7/18
G06T 1/00 − G06T 1/40
G06T 3/00 − G06T 5/50
G06T 9/00 − G06T 9/40
B65G 47/00 − B65G 47/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−経路に沿って物体(3)を支持し、変位させるための変位手段(5);
−物体表面の部分の画像を捕捉するための単一カメラ(15);
−該単一カメラ(15)に物体表面の連続部分(3a)を露光し、それにより単一カメラ(15)が物体表面の連続的な露光部分(3a)に対応する画像を捕捉可能となるように、物体(3)を上記経路の一セクションに沿ってその軸線の一つ(Y)の周りで回転させるための回転手段(10);
を含む、製薬学又はヘルスケアの分野で用いられる種類のカプセルから選択される三次元物体(3)の外面の二次元画像(2)の取得装置であって、
−単一カメラ(15)が、画像をそれぞれの単一フレームとして順次捕捉するように構成されること、及び前記装置が:
−各連続的な単一フレームについて、
・物体表面の露光部分(3a)のそれぞれの個々の部分(3b)に対応するサブフレーム(2a)を、その単一フレームから読み出し、それにより該連続的なサブフレーム(2a)は、物体表面の連続的な隣接した個々の部分(3b)に既定義の相互オーバーラップを有して対応し;
・該サブフレームを格納し;
・連続的なサブフレーム(2a)を、物体全露光表面の二次元画像(2)に対応する組み立てフレームに組み立てる;
ように、適合された電子処理手段;
をさらに含み、
ここで、変位手段(5)は、物体(3)を受けるように構成されたハウジング(7)を備える少なくとも一つのキャリヤ(6)を含み、前記回転手段は、キャリア(6)から回転の軸線(Y)に対して垂直である垂直方向(Z)に距離を置き、ハウジング(7)に面して配置され、且つ物体(3)がキャリヤ(6)のハウジング(7)内に置かれたとき、該物体(3)の外面と局部的に接触するように配置された摩擦部材(10)を含み、変位手段(5)は、摩擦部材(10)に対してキャリヤ(6)を動かすように適合された駆動部材をさらに含み、
ここで、物体表面の連続部分(3a)が露光される経路を覆うように単一カメラ(15
)の視野は、垂直方向(Z)に伸びて摩擦部材(10)に向かい拡幅する円錐形内に広がり、さらに、
前記組み立てフレームが、10より多い数のサブフレームによって画成される、
ことを特徴とする、上記取得装置。
【請求項2】
電子処理手段が、矩形形状を有する連続的なサブフレーム(2a)を画成するように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
物体(3)が変位手段(5)によって変位する経路は、一方向(X)に伸び、回転手段(10)によって画成される物体(3)の回転の軸線が該方向(X)に対して実質的に垂直である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
単一カメラ(15)が、視方向(V)を有し、物体(3)が変位手段(5)によって変位する経路は、視方向(V)に対して実質的に垂直である平面(XY)に伸びる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
−経路に沿って物体(3)を支持し、変位させるステップ;
−物体表面の部分の画像を単一カメラ(15)で捕捉するステップ;
−該単一カメラ(15)に物体表面の連続的な部分(3a)を露光し、それにより単一カメラ(15)が物体表面の連続的な露光部分(3a)に対応する画像を捕捉可能となるように、物体(3)を上記経路の一セクションに沿ってその軸線(Y)の一つの周りで回転させるステップ;
を含む、製薬学又はヘルスケアの分野で用いられる種類のカプセルから選択される三次元物体(3)の外面の二次元画像(2)の取得方法であって:
−画像をそれぞれの単一フレームとして順次捕捉するステップ;並びに
−以下の
・物体表面の露光部分(3a)のそれぞれの個々の部分(3b)に対応するサブフレーム(2a)を、その単一フレームから読み出すステップであって、それにより該連続的なサブフレーム(2a)は、物体表面の連続的な隣接した個々の部分(3b)に既定義の相互オーバーラップを有して対応するステップ;
・該サブフレームを格納するステップ;及び
・連続的なサブフレーム(2a)を、物体全表面の二次元画像(2)に対応する組み立てフレームに組み立てるステップ;
を行うことによって連続的な単一フレームを処理するステップ;
を含み、
ここで、変位手段(5)は、物体(3)を受けるように構成されたハウジング(7)を備える少なくとも一つのキャリヤ(6)を含み、回転手段は、キャリア(6)から回転の軸線(Y)に対して垂直である垂直方向(Z)に距離を置き、ハウジング(7)に面して配置され、且つ物体(3)がキャリヤ(6)のハウジング(7)内に置かれたとき、該物体(3)の外面と局部的に接触するように配置された摩擦部材(10)を含み、変位手段(5)は、摩擦部材(10)に対してキャリヤ(6)を動かすように適合された駆動部材をさらに含
ここで、物体表面の連続部分(3a)が露光される経路を覆うように単一カメラ(15)の視野は、垂直方向(Z)に伸びて摩擦部材(10)に向かい拡幅する円錐形内に広がり、さらに、前記組み立てフレームが、10より多い数のサブフレームによって画成される、
ことを特徴とする、上記取得方法。
【請求項6】
処理するステップが、矩形形状を有する連続的なサブフレーム(2a)を画成することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
物体(3)が変位する経路が、方向(X)に伸び、物体(3)の回転の軸線が該方向(X)に対して実質的に垂直である、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
画像を捕捉するステップが、視方向(V)に配向された単一カメラによって行われ、物体(3)が変位する経路が、視方向(V)に対して実質的に垂直である平面(XY)内に伸びる、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
物体を回転させるステップは、物体(3)が摩擦部材(10)に対して変位したとき、該物体(3)の外面と局部的に接触するように配置された摩擦部材(10)によって行われる、請求項5〜8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2010年10月8日付けで出願された米国仮出願番号61/391139号の優先権を主張するものであり、これの開示は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、三次元物体表面の二次元画像を取得する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明は、製薬学及びヘルスケアの分野に、特に三次元物体としてのカプセル、カプレット、ピルなどの品質管理プロセスに適用される。このような分野においては、外面の二次元画像が、印刷、表面状態、形状、色、寸法又は任意の可視特徴を検査するため、特に欠陥又は物理的損傷の存在を検出するために使用され得る。二次元画像は、一般的に、例えばカプセルの長さなど、外表面の観察から得られるどのような適切な情報をも明らかにするために使用され得る。しかしながら、本発明の適用は、製薬学及びヘルスケアの分野における上述の適用に限定されるものではない。
【0004】
より詳しくは、本発明は、
−経路に沿って物体を支持し、変位させるための変位手段;
−物体表面の部分の画像を捕捉するための単一カメラ;
−該単一カメラに物体表面の連続部分を露光し、それにより単一カメラが物体表面の連続的な露光部分に対応する画像を捕捉可能となるように、物体を上記経路の一セクションに沿ってその軸線の一つの周りで回転させるための回転手段;
を含む装置に向けられる。
【0005】
かかる装置は、特許文献1で知られている。
【0006】
この文献に記載された装置において、感知手段は、連続的増分ベースで物体の露出表面の限定部分の画像を取得するマトリックスセンサーを含む。マトリックスセンサー上に撮像される部分の限定は、スリットを備えた可動マスクを含む機械的手段によって達成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP1112473
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このタイプの装置に付随する主な問題点は、可動マスクの存在によって増大する機械システムの複雑さ、及び照明の有効性に有意に影響を及ぼすスリットの存在に起因する強力な照明の必要性である。
【0009】
従って、本発明の主たる目的は、機械システムの複雑さ及びそのような装置の操作に必要な照度の双方を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、本発明によれば、
−単一カメラが、画像をそれぞれの単一フレームとして順次捕捉するように構成され、
そして装置が:
−各連続的な単一フレームについて、
・物体表面の露光部分(3a)のそれぞれの個々の部分(3b)に対応するサブフレーム(2a)を、その単一フレームから読み出し(それにより該連続的なサブフレーム(2a)は、物体表面の連続的な隣接した個々の部分(3b)に既定義の相互オーバーラップを有して対応する);
・該サブフレームを格納し;
・連続的なサブフレームを、物体の剥離していない表面エリヤの二次元画像に対応する組み立てフレームに組み立てる;
ように、適合された電子処理手段;
をさらに含むように構成された、前述のタイプの装置が提供される。
【0011】
それゆえ、本発明による装置は、撮像デバイスによってビューされた(viewed)露光部分の電子処理を通して外面の全露光部分の明確に画成された基本的なエリヤのみを撮像することを可能にする。本システムは、それが可動性の機械的構成部材に関連する物理的スリットの必要性を排除するので、単純化される。製造コストの低減に加えて、装置の向上した信頼性が、本発明により得られる。また、物理的なスリット、又はマスクの排除は、サブフレームのサイズ及び照度レベルの独立した電子的可変調整を可能にする。
【0012】
さらに、電子処理は、特にサブフレームの適切な選択のため、異なる物体又は寸法に対して、例えば種々のサイズのカプセルに対してなど、装置の適合性の改善を可能にする。
【0013】
前述の先行技術とは対照的に、本発明に従う装置及び方法は、捕捉するのに不連続モードで操作し、かつ全物体表面をカバーするために別々のサブフレームを再組み立てする。
【0014】
場合により、本発明に従う装置は、以下:
−電子処理手段は、相互のオーバーラップを有しない連続的なサブフレームを読み出すように適合される;
−電子処理手段は、矩形形状を有する連続的なサブフレームを画成するように適合される;
−物体が変位手段によって変位する経路は、一方向に伸び、回転手段によって画成される物体の回転の軸線は該方向とは実質的に垂直である;
−単一カメラは視方向(viewing direction)を有し、そして物体が変位手段によって変位する経路は、視方向とは実質的に垂直である平面に伸びる;及び
−変位手段は、物体を受けるように構成されたハウジングを備えた少なくとも一つのキャリヤを含み、そして回転手段は、物体がキャリヤのハウジング内に置かれたとき、該物体の外面と局部的に接触するように配置された摩擦部材を含み、変位手段はキャリヤを摩擦部材に対して動かすように適合された駆動部材をさらに含む;
という一つ又はそれより多い特徴を含んでいてもよい。
【0015】
第二の側面において、本発明は、三次元物体の外面の二次元画像を取得する方法であって:
−経路に沿って物体を支持し、変位させるステップ;
−物体表面の部分の画像を単一カメラで捕捉するステップ;
−該単一カメラに物体表面の連続的な部分を露光し、それにより単一カメラが物体表面の連続的な露光部分に対応する画像を捕捉可能となるように、物体を上記経路の一セクションに沿ってその軸線の一つの周りで回転させるステップ;
を含む、上記取得方法に関する。
【0016】
本発明によれば、本方法は
−画像をそれぞれの単一フレームとして順次捕捉するステップ;並びに
−以下の
・物体表面の露光部分(3a)のそれぞれの個々の部分(3b)に対応するサブフレーム(2a)を、その単一フレームから読み出すステップ(それにより該連続的なサブフレーム(2a)は、物体表面の連続的な隣接した個々の部分(3b)に既定義の相互オーバーラップを有して対応する);
・該サブフレームを格納するステップ;及び
・連続的なサブフレームを、物体の剥離していない表面エリヤの二次元画像に対応する組み立てフレームに組み立てるステップ;
を行うことによって連続的な単一フレームを処理するステップ;
を含んでなる。
【0017】
場合により、本発明に従う方法は、以下:
−読み出しステップは、相互のオーバーラップを有しない連続的な
サブフレームを読み出すことにある;
−処理ステップは、矩形形状を有する連続的なサブフレームを画成することを含む;
−物体が変位手段によって変位する経路は、一方向に伸び、物体の回転の軸線は、該方向とは実質的に垂直である;
−画像を捕捉するステップは、視方向に向けられた単一カメラによって行われ、物体が変位する経路は、視方向とは実質的に垂直である平面に伸びる;及び
−物体を回転させるステップは、物体が摩擦部材に対して変位したとき、該物体の外面と局部的に接触するように配置される摩擦部材を用いて行われる;
という一つ又はそれより多い特徴を含んでいてもよい。
【0018】
第三の側面において、本発明は、製薬学又はヘルスケアの分野において使用されるタイプのカプセルの外面の二次元画像を取得するための前述した装置及び方法の使用に関する。
【0019】
そのような応用において、組み立てフレームは、10より多い、好ましくは20より多い、そして最も好ましくは30より多い数のサブフレームによって画成されていてもよい。
【0020】
本発明の他の目的及び利点は、非限定的な実施例として示された特定の実施態様の、添付した図面を参照して作られた以下の開示に現れるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の特定の実施態様に従う装置の概略的立面図である。
図2図1の装置によって行われる本発明の方法の概略的説明図である。
【0022】
図面において、同じ参照数字は、同一の又は類似の要素をいう。
【0023】
図1は、製薬学及びヘルスケアの分野で使用されるタイプのカプセルの外面の二次元画像(2)(図2で明確である)を取得するための装置(1)を示す。
【0024】
もちろん、本発明はこの格別な応用に限定されるものではなく、このような装置は、製薬産業及びヘルスケア産業で使用される他の三次元物体、例えばカプレット、ピル又は他の剤形の外面を検査するために使用してもよい。これらの好ましい応用に加えて、本発明はさらに種々の分野の他の三次元物体の検査にも応用可能である。
【0025】
図1に示されている装置(1)は、製造ラインにおいて搬送されるカプセル(3)の外面の何らかの欠陥を検出するための品質管理プロセスで使用される。本発明は、各カプセルの信頼性のある連続的なインライン検査を可能にする。一旦、欠陥、とりわけ形状、色、又は印刷特性などの欠陥が1個のカプセル(3)の外面の画像上で検出されると、このカプセル(3)は製造ラインから除去される。また、図1に示されている装置(1)は、製造プロセスへのフィードバックを発生させるように使用される。
【0026】
図示したカプセル(3)は、各々が中心軸に沿って円形断面の略円筒形の形状を有し、互いに入れ子式に嵌入される両半分で作られる容器を含む「硬外皮」(“hard-shell”)タイプのものである。容器は空であるか、又は適切な形態(粉末又は液体など)の適切な内容物で充填される。
【0027】
装置(1)は、適切な駆動部材によって縦方向Xに水平に駆動される、直線矢印によって概略的に示されている、直線コンベヤ(5)の形態の変位手段を含む。図1では、コンベヤ(5)の一部のみが示されていると考えることができる。実際には、表された装置(1)は、製造ラインの品質管理プロセスを行うステーションであり得、コンベヤ(5)は、さらに製造プロセスの異なる作業を行うための異なるステーションにカプセル(3)を搬送するために使用される。
【0028】
コンベヤ(5)は、カプセル(3)を受けるように構成されたハウジング(7)を備えるキャリヤ(6)を支持する。特に、ハウジングは、水平で縦方向Xとは垂直の横方向Yに伸びる半円筒形状を有する。ハウジング(7)は、カプセル(3)の下方半分を収容するように大きさを合わせて作られる。図1では、同一のキャリヤ(6)が、線状のコンベヤ(5)が縦方向Xに沿って駆動されているときに占められる種々の位置上に、示されている。唯一のキャリヤ(6)で表されているが、コンベヤ(5)は、以下から明らかになるような適切な仕方で互いに間隔を置いて配置される複数のキャリヤ(6)を備えることもできる。
【0029】
それゆえに、図1に見られるように、キャリヤ(6)のハウジング(7)内に置かれたカプセル(3)の上方半分は、おおよそ縦方向X及び横方向Yとは垂直の垂直方向Zに向けられた外面のフリー領域を見せる。変位手段の特性及び実行に依存するが、外面のフリー領域は、外面の1/4を超える任意の他の量、及び上方半分を超える任意の他の位置を有していてもよい。
【0030】
また、装置(1)は、縦方向Xに伸び、キャリヤ(6)から垂直方向Zに距離を置いて配置され、そしてハウジング(7)に面する、摩擦バー(10)の形態の回転手段を含む。好ましくは横方向Yの縮幅部(reduced width)を有する摩擦バー(10)は、カプセル(3)がキャリヤ(6)のハウジング(7)内に置かれたとき、カプセル(3)の外面フリー領域の上部エリヤに局部的に接触するように位置付けられる。摩擦バー(10)は、カプセル(3)の外面と接触したとき、カプセル(3)がキャリヤ(6)内で回転するのを可能にする摩擦効果を生ずるように適合される材料で作られる。カプセル(3)及びキャリヤ(6)間の摩擦は、カプセル(3)及びバー(10)間の摩擦未満であることが必要である。
【0031】
装置(1)は、カプセル(3)の外面を照明するように配置される照明デバイスを含む。図示された実施態様において、照明デバイスは、発光ダイオード(11)(LED)の下方アレイ、及びLEDの二つの上方アレイ(13)を含む。
【0032】
LEDの下方アレイ(11)は、カプセル(3)の外面の底部領域を、必要ならばディフューザ(12)を通して、照明するようにコンベヤ(5)の下に縦方向Xに配置される。下方側からのカプセルの照明を可能にするために、キャリヤ(6)は、図示された実施態様では貫通孔(8)の形態のハウジング(7)と連通する光透過窓又は光拡散窓を備える。
【0033】
LEDの上方アレイ(13)は、カプセル(3)の外面のフリー領域を、必要ならば直交偏光子(crossed polariser)(14)を通して照明するように摩擦バー(10)の実質的に各端部に横方向Yに配置される。一定の場合には、直交偏光子の使用は、適切な照明角を設定することによって回避できる。
【0034】
また、照明は、LEDの上方アレイによる物体の前方光照明のみで構成され得ることに留意すべきである。このような場合、光反射を得、かくして色(又は他の光学特性)が顕在化するように、好ましくは反射要素及び/又は拡散要素がハウジング(7)内に設けられる。
【0035】
中心軸が横方向Yに伸びた状態でキャリヤ(6)のハウジング(7)内に置かれるカプセル(3)が、コンベヤ(5)によって縦方向Xに移動しているとき、外面のそのフリー領域が摩擦バー(10)と接触する。これが、カプセル(3)をその中心軸周りに回転させる(図示されている実施態様では、旋回矢印Rによって示されるように反時計回り)。外面の連続部分が、外面のフリー領域(キャリヤ上のカプセルの露出領域を意味する)上に動き、摩擦バー(10)は、カプセル(3)の全外面がフリー領域上に連続して動き得るように選択される長さを有する。
【0036】
図示された実施態様において、コンベヤ(5)及び摩擦バー(10)は、カプセル(3)が、フリー領域上の外面の複数の部分(3a)をカメラ(15)の形態の撮像デバイスに露光するように、並進して動く直線経路を画成する。以下から明らかになるように、外面の複数の露光部分(3a)は、カプセル(3)の全外面を含む。
【0037】
本発明は、前述の変位手段、回転手段及び照明デバイスの配置に限定されるものではない。特に、キャリヤ(6)及び摩擦バー(10)は、カプセル(3)の回転運動を提供するように、任意の他の適切な位置に配置し得る。その上、移動デバイスは、キャリヤ(6)を摩擦バー(10)に対して動かすように適合された記載した駆動部材よりもむしろ摩擦バー(10)をキャリヤ(6)に対して動かすように適合された駆動部材を備えることもできる。さらに、他の実施態様において、物体を任意の他の種類の経路、例えばアーチ形経路などに沿って動かすように適合された他の適切な移動デバイスを設けることもできる。
【0038】
カプセル(3)の外面を走査し、撮像するため、カメラ(15)は、フリー領域上を動く外面の複数の露光部分(3a)を検査するように配置される。特に、カメラ(15)は、矩形形状の視野を有する。この矩形形状は、図示された実施態様ではレンズ(16)から垂直方向Zと平行である視方向Vに伸び、外面の複数の部分(3a)が露光される経路をカバーするように、摩擦バー(10)に向かって拡幅する円錐形内に広がる。カメラ(15)のレンズ(16)は、直交偏光子(17)が装備されていてもよい。
【0039】
図1で明らかなように、カメラ(15)の視野内に置かれ、カメラ(15)に面する外面は、外面の露光部分(3a)を形成する。図1では、経路内のカプセル(3)の3個の連続的な位置に対応して、斜線で示されている3個の露光部分(3a1、3a2及び3a3)が表されている。
【0040】
カプセル(3)が第一の位置(左から二番目のカプセル(3)の描画)にあるとき、カメラ(12)に面する第一の露光部分(3a1)は、カプセル(3)が視方向Vに対してオフセットされているから外面のフリー領域の全体には広がらない。第一の露光部分(3a1)は、左手のカプセル(3)の外面に正接の仮想上の点線の直線(l1)と、右手のキャリヤ(6)との間に広がる。
【0041】
カプセル(3)が第二の位置(カプセル(3)の三番目の描画)にあるとき、カメラ(12)に面する第二の露光部分(3a2)は、カプセル(3)が視方向Vに対して合っているから外面のフリー領域上に広がる。
【0042】
カプセル(3)が第三の位置(左から四番目のカプセル(3)の描画)にあるとき、カメラ(12)に面する第三の露光部分(3a3)は、カプセル(3)が視方向Vに対してオフセットされているから外面のフリー領域の全体には広がらない。第三の露光部分(3a3)は、左手のキャリヤ(6)と、右手のカプセル(3)の外面に正接の仮想上の点線の直線(l3)との間に広がる。
【0043】
視野内で、カメラ(15)によって検査された外面の全露光部分(3a)のうちから、カメラ(15)は、露光部分(3a)の基本エリヤ(3b)に限定された画像を取得するように制御され、基本エリヤ(3b)は、カプセル(3)の外面の上部エリヤと実質的に同じ高さの水平面内に配置される。
【0044】
その目的を達成するため、装置は、カメラ(15)によって行われる画像の取得をコンベヤ(5)によって行われるカプセル(3)の動きと同期するように、カメラ(15)及びコンベヤ(5)に接続される電子制御ユニット(図示せず)を含む。さらに、電子制御ユニットは、外面の露光部分(3a)の画像取得を、カプセル(3)の外面の基本エリヤ(3b)の画像に対応する図2において明らかなサブフレーム(2a)に限定するように適合される。カプセル(3)が経路に沿って走行しているときカプセル(3)の外面の露光部分(3a)は変化し、カメラ(15)は、外面の隣接基本エリヤ(3b)の画像にそれぞれ対応する多くの連続的なサブフレーム(2a)を取得する。
【0045】
例えば図1で、基本エリヤ(3b)は、レンズ(16)から出発する二つの仮想上の点線の間の、太線で示され、概略的にサブフレームを表している。カプセル(3)が第一の位置にあるとき、第一の露光部分(3a1)の第一の基本エリヤ(3b1)のみが撮像される。カプセル(3)が第二の位置にあるとき、第二の露光部分(3a2)の第二の基本エリヤ(3b2)のみが撮像される。カプセル(3)が第三の位置にあるとき、第三の露光部分(3a3)の第三の基本エリヤ(3b3)のみが撮像される。
【0046】
サブフレーム(2a)の数及び大きさは、隣接する基本エリヤ(3b1)がカプセル(3)の全体の外面を構成するように選択される。それゆえ、隣接基本エリヤ(3b)の画像にそれぞれ対応する連続的なサブフレーム(2a)の取得を通して、外面は、図2に示されているように、次いで組み立ててられて外面の二次元画像に対応する組み立てフレームを形成する覆われない連続的なサブフレーム(2a)であり得る。
【0047】
さて、図2について参照するに、これは変位手段でサブフレームを取得するのをトリガするステップ、及び連続的なサブフレームを組み立てて外面の二次元画像を獲得するステップの同期を図解している。
【0048】
図解した実施例において、カメラ(15)は、経路内で外面露光部分(3a)の上部エリヤの12個の連続したレターボックス形状の画像を取得するように制御される。得られた12個の矩形サブフレーム(2a)は、次いで組み立ててられて図2の組み立てフレームを形成する。摩擦バー(10)によって遮蔽された上部エリヤの一部は、生じた画像上では見えていない。このことは、摩擦バー(10)の別の配置を通して、回避できる。
【0049】
図2を参照して、本装置(1)の前述した実施態様を実行するカプセル(3)の外面の二次元画像を取得するための方法を開示する。
【0050】
先に説明したように、外面の複数の部分(3a)が、コンベヤ(5)及び摩擦バー(10)によってカプセル(3)に伝えられた回転のおかげでカメラ(15)に露光される。
【0051】
次いで、外面の複数の露光部分(3a)内の取得しようとする連続的なサブフレーム(2a)の数や大きさが、電子制御ユニットによって決定される。特に、サブフレームの数や大きさは、電子制御ユニットのメモリ内に予め設定したり、又は通信インタフェースを通してプログラムすることができる。
【0052】
図解した実施例においては、カプセル(3)が経路を前進しているときその外面の12個の隣接上部エリヤの画像に対応する矩形形状の12個のサブフレーム(2a)を取得しようとしている。もちろん、サブフレームの数は、異なっていてもよく、カプセル又は検査しようとする物体の大きさ、また必要な最終画像の品質に適合される。
【0053】
典型的には、サブフレームの数は、6個〜36個の範囲内にあり得る。好ましくは例えばカプセル検査への適用において、この数は10より多く、好ましくは20より多く、最も好ましくは30よりも大である。
【0054】
次いで、電子制御ユニットは、視野に取り付けられた基準平面の第一の及び第二の方向に沿った連続的なサブフレーム(2a)の各々の座標(coordinate)の計算に進めてもよい。図解された実施例において、基準平面は、カプセル(3)の外面の上部エリヤと同じ高さの水平面フである。第一の方向は、縦方向Xに対応し、第二の方向は横方向Yに対応する。この基準平面において、視野は、長さLに対応する縦方向Xの次元、及び幅Wに対応する横方向Yの次元を有する。
【0055】
連続的なサブフレームの縦方向Xの座標が、第一の方向X中の連続的なサブフレームの数に対する視野の長さLの比率に等しいオフセットで、原点0からX座標を増分することで、電子制御ユニットによって決定される。Y方向は視野の幅Wによって決定される。
【0056】
12個の連続的なサブフレームが相互のオーバーラップを持たず、各々が視野の全幅Wに沿って伸びる図解した実施例において、各サブフレーム(2a)の、ピクセル又はmm単位の座標は、以下の方法でサブフレームの対向する端部に対応する二者一組の点によって規定される:
−サブフレーム2a1:(0;0)、(長さL/12−1ピクセル又はmm;幅W)
−サブフレーム2a2:(長さL/12;0)、(2*長さL/12−1ピクセル又はmm;幅W)
−サブフレーム2a3:(2*長さL/12;0)、(3*長さL/12−1ピクセル又はmm;幅W)
・・・
−サブフレーム2an:((n−1)*長さL/12;0)、(n*長さL/12−1ピクセル又はmm;幅W)、n=1、...、12。
【0057】
図2に見られるように、連続的なサブフレームの取得は、カプセル(3)の動きと同期され、カプセルの中心線がサブフレームの中心にあるときトリガされ得る。コンベヤ(5)がいくつかのキャリヤ(6)を含むとき、二つの連続したキャリヤ(6)間のピッチは、物体の完全な表面が撮像され得るかを前提として算出すべきである。
【0058】
カプセル(3)の外面の二次元画像(2)を得るため、連続的なサブフレーム(2a1、2a2、2a3、・・・)は、次いで電子制御ユニットによって組み立ててられる。
【0059】
移動するカプセルの光学的撮像ステップから画像処理用の最終的な組み合わせフレームの作出ステップまでのシーケンスは以下のとおりである:
(i)カメラのセンサが、データ消去される;
(ii)カプセルの光学的画像が、カメラの2Dセンサ上に投影される;
(iii)その位置のカプセルの全画像が、センサ上に単一フレームとして捕捉される;
(iv)フレームの領域、関心あるサブフレームが読み出しされ、転送され、格納される;
(v)サブフレームが標的の組み合わせフレーム中に加えられる/挿入される;
(vi)カプセルが、前方に動き続け、撮像する予定の新しい領域を露光する;
(vii)全てのサブフレームが撮像され組み合わせフレームに転送されてしまうまで、処理が、ステップ(i)以降繰り返される;
(viii)最終的な画像処理が、最終的な組み合わせフレーム上で行われる。
【0060】
前述の説明は、中心軸に沿って円形断面の円筒形状を有するカプセルに関連して行ってきた。しかしながら、本発明は、そのような三次元物体の円筒形外面の二次元画像の取得に限定されるものではなく、任意の他の形状、例えばより複雑な外面を備えた三次元物体の取得に応用できるものである。
【0061】
そのため、移動するデバイスが、上で開示した実施態様のそれよりも多くの数の軸線に対して物体を動かし、そして特に並進移動させ、回転させるような任意の適切な仕方で、適合され得る。特に、物体を、縦軸、横軸、及び垂直軸を含む三つの直交軸のうちの少なくとも二つの軸に対して並進移動させ、そして/又は回転させることができる。それに加えて、電子制御ユニット及びカメラも、例えばサブフレームの適切な形状の画成及びサブフレームの適切な座標の計算を通してなど、適切なサブフレームの取得に適合され得る。
【0062】
本発明は、単一カメラの使用に基づく画像品質における有意なゆがみ又は低減なしに、そして機械的シャッタ装置を使用することなく、3D物体表面を撮像し、2D表現に翻訳する装置及び方法を提供する。組み立てフレームが、光学的に構築されたものとは対照的に、複数のサブフレームから単一のカメラセンサフレーム上に、ディジタル方式で構築される。サブフレームの寸法決めは、3D物体表面の2D組み合わせフレームへの投影が、最小のゆがみや劣化しか有さないことを確実にするように選択される。
【0063】
物体の並進運動及び回転は、外面の全体が組み合わせフレーム内に完全に露光されるように、制御できる。代替の実施態様において、完全な外面は組み合わせフレーム内にフィットするようにアンダードライブ又はオーバードライブして拡張するか又は圧縮することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 装置
2 二次元画像
2a 連続的なサブフレーム
2a1、2a2、2a3 連続的なサブフレーム
3 物体、カプセル
3a 物体表面の連続部分、カプセルの外面の露光部分
3a1 第一の露光部分
3a2 第二の露光部分
3a3 第三の露光部分
3b 物体の露光部分のそれぞれの個々の部分、カプセル(3)の外面の基本エリヤ
3b1、3b2、3b3 基本エリヤ
5 変位手段、コンベヤ
6 キャリヤ
7 ハウジング
8 貫通孔
10 回転手段、摩擦部材、摩擦バー
11 発光ダイオード(LED)の下方アレイ
12 ディフューザ
13 LEDの上方アレイ
14 直交偏光子
15 単一カメラ
16 レンズ
17 直交偏光子
l1 仮想上の点線の直線
l3 仮想上の点線の直線
L 長さ
O 原点
R 旋回矢印
V 視方向
W 幅
X 縦軸
Y 横軸
Z 垂直軸
図1
図2