(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
肺障害、肺疾患または肺損傷を治療するための医薬の製造における、少なくとも1種のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および少なくとも1種のTLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用であって、前記TLR2阻害剤は、TLR2遺伝子を標的とする核酸分子を含んでおり、前記TLR4阻害剤は、TLR4遺伝子を標的とする核酸分子を含んでおり、
前記肺障害、肺疾患または肺損傷は、肺移植に伴う肺障害である、
使用。
肺障害、肺疾患または肺損傷を治療するための医薬の製造における、少なくとも1種のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用であって、前記TLR2阻害剤は、TLR2遺伝子を標的とする核酸分子を含んでおり、
前記肺障害、肺疾患または肺損傷は、肺移植に伴う肺障害である、
使用。
前記少なくとも1種のTLR2阻害剤および前記少なくとも1種のTLR4阻害剤は、同一のまたは異なる製剤で受容者に併用投与するためのものである、請求項1に記載の使用。
前記少なくとも1種のTLR2阻害剤および/または前記少なくとも1種のTLR4阻害剤は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、門脈内、皮下、直接注射、気管内注入、吸入、鼻腔内、肺内およびポンプを介した肺への投与からなる群より選択される方法によって受容者に投与するためのものである、請求項1または2に記載の使用。
前記核酸分子は、低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)または低分子ヘアピンRNA(shRNA)からなる群より選択される、請求項1または2に記載の使用。
(N)xは、配列番号723〜1440、2247〜3052、7076〜8312および8459〜8604を有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、(N’)yは、配列番号5〜722、1441〜2246、5839〜7075および8313〜8458を有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるセンス鎖オリゴヌクレオチドを含む、請求項9に記載の使用。
(N)xは、配列番号723〜1440、および2247〜3052に存在するアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、(N’)yは、配列番号5〜722、および1441〜2246に存在するセンス鎖オリゴヌクレオチドを含む、請求項11に記載の使用。
(N)xの配列は、配列番号4153〜5252、5546〜5838、10319〜12032、および12085〜12136を有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、(N’)yの配列は、配列番号3053〜4152、5253〜5545、8605〜10318、および12033〜12084を有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるセンスオリゴヌクレオチドを含む、請求項14に記載の使用。
(N)xの配列は、配列番号4153〜5252、および5546〜5838のいずれかから選択され、(N’)yの配列は、配列番号3053〜4152、および5253〜5545のいずれかから選択される、請求項16に記載の使用。
少なくとも1種のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および少なくとも1種のTLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、ならびに薬学的に許容される担体を含み、前記TLR2阻害剤は、TLR2遺伝子を標的とする核酸分子を含んでおり、前記TLR4阻害剤は、TLR4遺伝子を標的とする核酸分子を含んでいる、肺障害、肺疾患または肺損傷を治療するための医薬組成物であって、
前記肺障害、肺疾患または肺損傷は、肺移植に伴う肺障害である、
組成物。
【発明の概要】
【0005】
肺疾患を治療するための組成物、方法およびキットが本明細書において提供される。ある特定の態様および実施形態において、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺気腫、肺移植誘導性急性移植片機能不全および肺移植後の閉塞性細気管支炎の治療を含む、哺乳動物における肺障害または損傷を治療するための組成物および治療方法が提供される。ある特定の態様および実施形態において、一次生着不全、虚血−再灌流傷害、再灌流傷害、再灌流肺水腫、同種移植片機能不全、肺再移植反応、肺移植後の閉塞性細気管支炎、および/または臓器移植、特に肺移植後の原発性移植片機能不全(PGD)の治療、予防または進行の軽減を含む、臓器移植、特に肺移植に伴う炎症および/または移植片拒絶を治療または予防するための併用療法のための組成物および方法が提供される。ある特定の態様および実施形態において、哺乳動物における肺障害または損傷を治療するための併用療法のための組成物および方法が提供される。組成物および方法は、遺伝子Toll様受容体2(TLR2)、または遺伝子Toll様受容体2(TLR2)およびToll様受容体4(TLR4)を阻害することに関わる。
【0006】
様々な態様および実施形態において、本明細書で提供される組成物、方法およびキットは、遺伝子Toll様受容体2(TLR2)の発現/活性/機能を標的とする、低下させる、下方制御する、または阻害することができる。様々な態様および実施形態において、本明細書で提供される組成物、方法およびキットは、遺伝子(i)Toll様受容体2(TLR2)および(ii)Toll様受容体4(TLR4)の発現/活性/機能を標的とする、低下させる、下方制御する、または阻害することができる。
【0007】
一態様において、治療を必要とする哺乳動物における肺障害、疾患または損傷を治療するための方法が提供される。方法は、哺乳動物を治療するために効果的な量のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグから選択される少なくとも1種の治療薬剤を、哺乳動物に投与することを含み得る。
【0008】
別の態様において、治療を必要とする哺乳動物における肺障害、疾患または損傷を治療するための方法が提供される。方法は、哺乳動物を治療するために効果的な量の(i)TLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および(ii)TLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグから選択される少なくとも2種の治療薬剤を、哺乳動物に投与することを含み得る。
【0009】
方法は、これらに制限されないが、ARDS、急性肺障害、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、COPD、および対象における肺移植に伴う疾患、障害または損傷等の肺障害または損傷を、予防、治療、改善、および/またはその進行を抑制することを含み得る。方法は、遺伝子TLR2を対象とする治療上効果的な量の治療薬剤を前記対象に投与することにより、上述の疾患もしくは状態またはその関連した症状もしくは合併症を治療、改善、および/またはその進行を抑制することを含み得る。方法は、治療上効果的な量のTLR2を下方制御する少なくとも1種の治療薬剤およびTLR4を下方制御する少なくとも1種の治療薬剤を前記対象に投与することにより、上述の疾患もしくは状態またはその関連した症状もしくは合併症を治療、改善、および/またはその進行を抑制することを含み得る。方法は、遺伝子TLR2およびTLR4、ならびに/または遺伝子TLR2およびTLR4の遺伝子産物を下方制御することができる治療上効果的な量の単一治療薬剤を前記対象に投与することにより、上述の疾患もしくは状態またはその関連した症状もしくは合併症を治療、改善、および/またはその進行を抑制することを含み得る。
【0010】
様々な実施形態において、肺疾患、障害または損傷を治療する提供される方法は、手術、ステロイド療法、非ステロイド療法、抗生物質療法、抗ウイルス療法、抗真菌療法、免疫抑制剤療法、抗感染薬療法、降圧療法および栄養補給剤からなる群から選択される1つ以上の追加の治療方法と組み合わせて、遺伝子Toll様受容体2(TLR2)を阻害することを含む。様々な実施形態において、追加的治療は、肺障害、疾患または損傷を治療するための提供される方法の前、後、またはそれと同時に施される。様々な実施形態において、肺疾患、障害または損傷を治療する提供される方法は、免疫抑制剤療法と組み合わせて遺伝子Toll様受容体2(TLR2)を阻害することを含む。様々な実施形態において、肺疾患、障害または損傷を治療する提供される方法は、手術、ステロイド療法、非ステロイド療法、抗生物質療法、抗ウイルス療法、抗真菌療法、抗菌療法、免疫抑制剤療法、抗感染薬療法、降圧療法および栄養補給剤からなる群から選択される1つ以上の追加の治療方法と組み合わせて、遺伝子Toll様受容体2(TLR2)およびToll様受容体4(TLR4)を阻害することを含む。様々な実施形態において、肺疾患、障害または損傷を治療する提供される方法は、免疫抑制剤療法と組み合わせて遺伝子Toll様受容体2(TLR2)および遺伝子Toll様受容体4(TLR4)を下方制御することを含む。
【0011】
ある特定の実施形態において、提供される方法は、以下の1つ以上を含み得る。
【0012】
A.TLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグから選択される治療薬剤、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の投与、あるいは、
【0013】
B.治療上効果的な量の少なくとも2種の治療薬剤の、例えば同時または逐次的な併用投与であって、少なくとも1種の治療薬剤は、遺伝子TLR2を下方制御するためのものであり、少なくとも1種の治療薬剤は、遺伝子TLR4を下方制御するためのものであり、治療薬剤は、(i)TLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および(ii)TLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグから選択される、併用投与、あるいは、
【0014】
C.少なくとも2種の治療薬剤の組み合わせであって、少なくとも1種の治療薬剤は、遺伝子TLR2を下方制御するためのものであり、少なくとも1種の治療薬剤は、遺伝子TLR4を下方制御するためのものであり、治療薬剤は、(i)TLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および(ii)TLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグから選択される、治療薬剤の組み合わせ、ならびに薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物の投与、あるいは、
【0015】
D.遺伝子TLR2およびTLR4ならびに/または遺伝子TLR2およびTLR4の遺伝子産物を下方制御することができる治療薬剤を含む医薬組成物の投与。そのような単一薬剤の限定されない例は、PCT特許公開番号WO2007/091269に開示される、一列の、および分岐したRNAi分子である。
【0016】
一態様において、遺伝子TLR2の発現/活性/機能を標的化、低下、下方制御または阻害する治療薬剤、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを含む医薬が提供される。本明細書において提供されるような組み合わせとして有用である治療薬剤は、有機小分子化学化合物、タンパク質、抗体またはその断片、ペプチド、ペプチド模倣薬および核酸分子を含むが、これらに限定されない。
【0017】
別の態様において、遺伝子(i)TLR2および(ii)TLR4の発現/活性/機能を標的化、低下、下方制御または阻害する少なくとも2種の治療薬剤を含む医薬であって、少なくとも1種の治療薬剤は、遺伝子TLR2を下方制御し、少なくとも1種の治療薬剤は、遺伝子TLR4を下方制御し、治療薬剤は、(i)TLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および(ii)TLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグから選択される医薬が提供される。本明細書において提供されるような組み合わせとして有用である治療薬剤は、有機小分子、タンパク質、抗体またはその断片、ペプチド、ペプチド模倣薬および核酸分子を含むが、これらに限定されない。
【0018】
いくつかの実施形態において、治療薬剤は、核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、各核酸分子は、TLR2およびTLR4から選択される標的遺伝子をコード化するヌクレオチド配列(例えばmRNA配列)、例えば、
− 配列番号1により例示されるヒトTLR2の配列をコード化するmRNA(gi|68160956|ref|NM_003264.3|ホモサピエンスtoll様受容体2(TLR2)、mRNA)、または
− 配列番号2により例示されるヒトTLR4の配列をコード化するmRNA(gi|207028550|ref|NR_024169.1|ホモサピエンスtoll様受容体4(TLR4)、転写変異体4、非コード化RNA)、または
− 配列番号3により例示されるヒトTLR4の配列をコード化するmRNA(gi|207028620|ref|NM_138554.3|ホモサピエンスtoll様受容体4(TLR4)、転写変異体1、mRNA)、または
− 配列番号4により例示されるヒトTLR4の配列をコード化するmRNA(gi|207028451|ref|NR_024168.1|ホモサピエンスtoll様受容体4(TLR4)、転写変異体3、非コード化RNA)
に結合する、アンチセンス分子、低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA (miRNA)または低分子ヘアピンRNA(shRNA)からなる群から独立して選択される。
【0019】
様々な実施形態において、各核酸分子は、dsRNA分子またはsiRNA分子であるか、またはそれらを含む。様々な実施形態において、核酸分子は、(a)センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、(b)核酸分子の各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、ヒトTLR2(例えば配列番号1)またはTLR4(例えば配列番号2〜4)をコード化するmRNAの配列に相補的であり、(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、アンチセンス鎖の配列に相補的であり、ヒトTLR2(例えば配列番号1)またはTLR4(例えば配列番号2〜4)をコード化するmRNAの17から40ヌクレオチド配列を含む。
【0020】
本明細書において提供される医薬品は、例えば、薬学的に許容される担体中の治療薬剤を含む薬学的組成物であってもよい。本明細書において提供される医薬品は、例えば、薬学的に許容される担体中に第1および第2の治療薬剤を混合物で含む薬学的組成物であってもよい。代替として、医薬品は、例えば、第1の治療薬剤の調製物および第2の治療薬剤の調製物、ならびに、任意選択で、それを必要とする患者への調製物の同時、逐次的または別個の投与のための説明書を含むキットであってもよい。
【0021】
第1の態様において、肺移植の受容者における原発性移植片機能不全(PGD)の症状を予防または低減する方法であって、治療上効果的な量の少なくとも1種のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および治療上効果的な量の少なくとも1種のTLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを受容者に投与し、それにより受容者におけるPGDの症状を予防または低減することを含む方法が提供される。様々な実施形態において、PGDの症状は、炎症、急性移植片拒絶、移植片拒絶、虚血−再灌流傷害、再灌流傷害、肺機能障害、閉塞性細気管支炎、血液酸素供給障害、炎症性サイトカイン産生の亢進、顆粒球の移植片内および気道内蓄積、肺水腫および低酸素血を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、肺移植の受容者は、原発性移植片機能不全(PGD)を発症するリスクがある、またはその治療を受けているヒトである。いくつかの実施形態において、本明細書において提供される方法は、例えば、冷虚血関連PGDの症状を予防または低減するための使用であってもよい。代替として、方法は、例えば、温虚血関連PGDの症状を予防または低減するためのものであってもよい。
【0023】
様々な実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および少なくとも1種のTLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの投与は、肺水腫の低減、血液酸素供給の増加、血液酸素供給の保存、肺機能の改善、受容者における肺機能の保存および移植された肺の肺機能の改善の1つ以上をもたらす。
【0024】
様々な実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤は、肺移植の前、間または後に肺移植の受容者に投与される。
【0025】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤は、同一の製剤で受容者に併用投与される。代替として、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤は、異なる製剤で受容者に併用投与される。
【0026】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤は、同じ経路で受容者に併用投与される。別の実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤は、異なる経路で受容者に併用投与される。様々な実施形態において、方法は、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤の同時投与を含む。いくつかの実施形態において、方法は、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤の別個の投与を含む。いくつかの実施形態において、方法は、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤の組み合わせた投与を含む。別の実施形態において、方法は、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤の逐次投与を含む。
【0027】
様々な実施形態において、肺移植の受容者における原発性移植片機能不全(PGD)の症状を予防または低減する提供される方法は、手術、ステロイド療法、非ステロイド療法、抗ウイルス療法、抗真菌療法、抗菌療法、免疫抑制剤療法、抗感染薬療法、降圧療法、栄養補給剤およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加的治療をさらに含む。様々な実施形態において、追加的治療は、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤の投与の前、後、またはそれと同時に施される。いくつかの実施形態において、追加的治療は、免疫抑制剤療法を含む。
【0028】
様々な実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤の投与経路は、全身投与または局所投与から選択される。様々な実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤の肺移植の受容者への投与方法は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、門脈内、皮下、直接注射、気管内注入、吸入、鼻腔内、肺内およびポンプを介した肺への投与を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤は、吸入により肺移植の受容者に投与される。別の実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤は、気管内注入により肺移植の受容者に投与される。
【0029】
肺移植の受容者における原発性移植片機能不全(PGD)の症状を予防または低減する提供される方法の様々な実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤は、それぞれ、有機小分子、タンパク質、抗体またはその断片、ペプチド、ペプチド模倣薬および核酸分子からなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の阻害剤は、核酸分子を含む。他の実施形態において、各阻害剤は、核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、各阻害剤は、核酸分子を含み、第1の核酸分子は、TLR2遺伝子をコード化するヌクレオチド配列に結合する二本鎖オリゴヌクレオチドであり、第2の核酸分子は、TLR4遺伝子をコード化するヌクレオチド配列に結合する二本鎖オリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、一方から他方へ一列に結合するか、またはRNAistar構成においてアニールされる。
【0030】
いくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドは、
(a)センス鎖およびアンチセンス鎖を備え、
(b)各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、
(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR2をコード化するmRNAの配列に相補的であり、
(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、アンチセンス鎖に相補的であり、
第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、
(a)センス鎖およびアンチセンス鎖を備え、
(b)各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、
(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR4をコード化するmRNAの配列に相補的であり、
(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、アンチセンス鎖に相補的である。
【0031】
様々な実施形態において、TLR2のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号1に記載され、TLR4のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3および配列番号4のいずれか1つに記載される。
【0032】
いくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、受容者に同一の製剤で併用投与される。他の実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、受容者に異なる製剤で併用投与される。いくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、受容者に同じ経路で併用投与される。いくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、受容者に異なる経路で併用投与される。様々な実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドの肺移植の受容者への投与形態は、別個、組み合わせ、同時および逐次投与を含む群から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、受容者に1回投与されるように製剤化される。他の実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、受容者に少なくとも1日1回投与されるように製剤化される。さらに他の実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、受容者への複数投与用に製剤化される。
【0034】
肺移植の受容者における原発性移植片機能不全(PGD)の症状を予防または低減する提供される方法のいくつかの実施形態において、少なくとも1種の二本鎖オリゴヌクレオチドは、独立して、構造(A1)を有し、
(A1) 5’ (N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−(N’)y −z" 5’ (センス鎖)
式中、NおよびN’のそれぞれは、修飾されていなくてもよい、もしくは修飾されていてもよいリボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が次のNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせであり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、xおよびyのそれぞれは、独立して17から40の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAに対するアンチセンス配列を含む。
【0035】
構造(A1)の様々な実施形態において、TLR2のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号1に記載され、TLR4のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3および配列番号4のいずれか1つに記載される。
【0036】
構造(A1)のいくつかの好ましい実施形態において、x=y=19である。
【0037】
構造(A1)のいくつかの実施形態において、(N)xは、配列番号723〜1440、2247〜3052、7076〜8312および8459〜8604を有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、(N’)yは、配列番号5〜722、1441〜2246、5839〜7075および8313〜8458を有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択される相補的センス鎖オリゴヌクレオチドを含む。
【0038】
肺移植の受容者における原発性移植片機能不全(PGD)の症状を予防または低減する提供される方法の様々な実施形態において、TLR2遺伝子をコード化するヌクレオチド配列に結合する少なくとも1種の二本鎖オリゴヌクレオチド、およびTLR4遺伝子をコード化するヌクレオチド配列に結合する少なくとも1種の二本鎖オリゴヌクレオチドの投与は、それぞれTLR2発現およびTLR4発現の下方制御をもたらす。
【0039】
肺移植の受容者における原発性移植片機能不全(PGD)の症状を予防または低減する提供される方法のいくつかの実施形態において、少なくとも1種の二本鎖化合物は、独立して、構造(A2))を有し、
(A2) 5’ N1−(N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−N2−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
式中、N2、NおよびN’のそれぞれは、独立して、非修飾もしくは修飾リボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が隣接するNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から39の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAにおける連続的配列に相補的であり、
N1は、(N)xに共有結合しており、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAと一致せず、
N1は、ウリジン、修飾ウリジン、リボチミジン、修飾リボチミジン、デオキシリボチミジン、修飾デオキシリボチミジン、リボアデニン、デオキシリボアデニンおよび修飾デオキシリボアデニンからなる群から選択される部分であり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、N2−(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせである。
【0040】
構造(A2)の様々な実施形態において、TLR2のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号1に記載され、TLR4のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3および配列番号4のいずれか1つに記載される。
【0041】
構造(A2)のいくつかの好ましい実施形態において、x=y=18である。
【0042】
構造(A2)のいくつかの実施形態において、(N)xの配列は、配列番号4153〜5252、5546〜5838、10319〜12032、および12085〜12136を有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるアンチセンス鎖オリゴヌクレオチドを含み、(N’)yの配列は、配列番号3053〜4152、5253〜5545、8605〜10318、および12033〜12084を有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるセンス鎖オリゴヌクレオチドを含む。
【0043】
第2の態様において、治療を必要とする患者における肺障害、疾患または損傷を治療するための方法であって、少なくとも1種のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および少なくとも1種のTLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの治療上効果的な組み合わせを患者に投与し、それにより患者における肺障害、疾患または損傷を治療することを含む方法が提供される。様々な実施形態において、肺障害、疾患または損傷は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺移植に伴う障害および肺気腫から選択される。いくつかの実施形態において、肺障害、疾患または損傷は、肺移植に伴う障害である。様々な実施形態において、肺移植に伴う肺障害は、炎症、移植片拒絶、一次生着不全、虚血−再灌流傷害、再灌流傷害、再灌流肺水腫、同種移植片機能不全、急性移植片機能不全、肺再移植反応、閉塞性細気管支炎および原発性移植片機能不全(PGD)からなる群から選択される。一実施形態において、肺移植に伴う肺障害は、PGDである。
【0044】
治療を必要とする患者における肺障害、疾患または損傷を治療するための提供される方法のいくつかの実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤は、同一の製剤で受容者に併用投与される。別の実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤は、異なる製剤で受容者に併用投与される。様々な実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤は、同じ経路で受容者に併用投与される。別の実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤は、異なる経路で受容者に併用投与される。様々な実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤の投与形態は、別個、組み合わせ、同時および逐次投与を含む群から選択される。
【0045】
いくつかの実施形態において、治療を必要とする患者における肺障害、疾患または損傷を治療するための提供される方法は、手術、ステロイド療法、非ステロイド療法、抗ウイルス療法、抗真菌療法、抗菌療法、免疫抑制剤療法、抗感染薬療法、降圧療法、栄養補給剤およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加的治療をさらに含む。いくつかの実施形態において、追加的治療は、免疫抑制剤療法を含む。様々な実施形態において、追加的治療は、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤の投与の前、後、またはそれと同時に施される。
【0046】
治療を必要とする患者における肺障害、疾患または損傷を治療するための提供される方法のいくつかの実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤を患者に投与することは、全身投与または局所投与を含む。様々な実施形態において、投与方法は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、門脈内、皮下、直接注射、気管内注入、吸入、鼻腔内、肺内およびポンプを介した肺への投与を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、投与の方法は、吸入を含む。いくつかの実施形態において、投与の方法は、気管内注入を含む。
【0047】
治療を必要とする患者における肺障害、疾患または損傷を治療するための提供される方法のいくつかの実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤および少なくとも1種のTLR4阻害剤は、それぞれ、有機小分子、タンパク質、抗体またはその断片、ペプチド、ペプチド模倣薬および核酸分子からなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の阻害剤は、核酸分子を含む。他の実施形態において、各阻害剤は、核酸分子を含む。治療を必要とする患者における肺障害、疾患または損傷を治療するための提供される方法の様々な実施形態において、第1の核酸分子は、TLR2遺伝子をコード化するヌクレオチド配列に結合する二本鎖オリゴヌクレオチドであり、第2の核酸分子は、TLR4遺伝子をコード化するヌクレオチド配列に結合する二本鎖オリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、一方から他方へ一列に結合するか、またはRNAistar構成においてアニールされる。
【0048】
治療を必要とする患者における肺障害、疾患または損傷を治療するための提供される方法のいくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドは、
(a)センス鎖およびアンチセンス鎖を備え、
(b)各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、
(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR2をコード化するmRNAの配列に相補的であり、
(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、アンチセンス鎖に相補的であり、
第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、
(a)センス鎖およびアンチセンス鎖を備え、
(b)各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、
(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR4をコード化するmRNAの配列に相補的であり、
(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、アンチセンス鎖に相補的である。
【0049】
様々な実施形態において、TLR2のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号1に記載され、TLR4のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3および配列番号4のいずれか1つに記載される。
【0050】
いくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者に同一の製剤で併用投与される。他の実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者に異なる製剤で併用投与される。いくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者に同じ経路で併用投与される。いくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者に異なる経路で併用投与される。様々な実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドの肺移植の受容者への投与形態は、別個、組み合わせ、同時および逐次投与を含む群から選択される。
【0051】
いくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者に1回投与されるように製剤化される。他の実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者に少なくとも1日1回投与されるように製剤化される。他の実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者への複数投与用に製剤化される。
【0052】
治療を必要とする患者における肺障害、疾患または損傷を治療するための提供される方法のいくつかの実施形態において、少なくとも1種の二本鎖オリゴヌクレオチドは、構造(A1)を有し、
(A1) 5’ (N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−(N’)y −z" 5’ (センス鎖)
式中、NおよびN’のそれぞれは、修飾されていなくてもよい、もしくは修飾されていてもよいリボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が次のNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせであり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、xおよびyのそれぞれは、独立して17から40の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAに対するアンチセンス配列を含む。
【0053】
構造(A1)の様々な実施形態において、TLR2のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号1に記載され、TLR4のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3および配列番号4のいずれか1つに記載される。
【0054】
構造(A1)のいくつかの好ましい実施形態において、x=y=19である。
【0055】
構造(A1)のいくつかの実施形態において、(N)xは、配列番号723〜1440、2247〜3052、7076〜8312および8459〜8604を有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、(N’)yは、配列番号5〜722、1441〜2246、5839〜7075および8313〜8458を有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるセンス鎖オリゴヌクレオチドを含む。
【0056】
治療を必要とする患者における肺障害、疾患または損傷を治療するための提供される方法のいくつかの実施形態において、少なくとも1種の二本鎖化合物は、構造(A2)を有し:
(A2) 5’ N1−(N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−N2−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
式中、N2、NおよびN’のそれぞれは、独立して、非修飾もしくは修飾リボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が隣接するNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から39の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAにおける連続的配列に相補的であり、
N1は、(N)xに共有結合しており、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAと一致せず、
N1は、ウリジン、修飾ウリジン、リボチミジン、修飾リボチミジン、デオキシリボチミジン、修飾デオキシリボチミジン、リボアデニン、デオキシリボアデニンおよび修飾デオキシリボアデニンからなる群から選択される部分であり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、N2−(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせである。
【0057】
構造(A2)の様々な実施形態において、TLR2のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号1に記載され、TLR4のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3および配列番号4のいずれか1つに記載される。
【0058】
構造(A2)のいくつかの好ましい実施形態において、x=y=18である。
【0059】
構造(A2)のいくつかの実施形態において、(N)xの配列は、配列番号4153〜5252、5546〜5838、10319〜12032、および12085〜12136を有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、(N’)yの配列は、配列番号3053〜4152、5253〜5545、8605〜10318、および12033〜12084を有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるセンスオリゴヌクレオチドを含む。
【0060】
別の態様において、少なくとも1種のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および少なくとも1種のTLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、ならびに薬学的に許容される担体を含む組成物が提供される。様々な実施形態において、各阻害剤は、有機小分子、タンパク質、抗体またはその断片、ペプチド、ペプチド模倣薬および核酸分子からなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態において、各阻害剤は、有機小分子、タンパク質、抗体またはその断片、および核酸分子からなる群から独立して選択される。
【0061】
提供される組成物のいくつかの実施形態において、各阻害剤は、核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、第1の核酸分子は、TLR2遺伝子をコード化するヌクレオチド配列に結合する二本鎖オリゴヌクレオチドであり、第2の核酸分子は、TLR4遺伝子をコード化するヌクレオチド配列に結合する二本鎖オリゴヌクレオチドである。組成物のいくつかの実施形態において、核酸分子は、一列に結合するか、またはRNAistar構成においてアニールされる。
【0062】
提供される組成物のいくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドは、
(a)センス鎖およびアンチセンス鎖を備え、
(b)各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、
(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR2をコード化するmRNAの配列に相補的であり、
(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、アンチセンス鎖に相補的であり、
第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、
(a)センス鎖およびアンチセンス鎖を備え、
(b)各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、
(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR4をコード化するmRNAの配列に相補的であり、
(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、アンチセンス鎖に相補的である。
【0063】
様々な実施形態において、TLR2のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号1に記載され、TLR4のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3および配列番号4のいずれか1つに記載される。
【0064】
いくつかの実施形態において、組成物中の各二本鎖オリゴヌクレオチドの量は、独立して約0.05mgから約10.0mgの範囲である。
【0065】
提供される組成物のいくつかの実施形態において、少なくとも1種の二本鎖オリゴヌクレオチドは、独立して、構造(A1)を有し、
(A1) 5’ (N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−(N’)y −z" 5’ (センス鎖)
式中、NおよびN’のそれぞれは、修飾されていなくてもよい、もしくは修飾されていてもよいリボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が次のNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせであり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から40の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAに対するアンチセンス配列を含む。
【0066】
組成物の様々な実施形態において、構造(A1)中、TLR2のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号1に記載され、TLR4のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3および配列番号4のいずれか1つに記載される。
【0067】
組成物のいくつかの好ましい実施形態において、構造(A1)中、x=y=19である。
【0068】
組成物のいくつかの実施形態において、少なくとも1種の二本鎖オリゴヌクレオチド化合物は、独立して、構造(A2)を有し、
(A2) 5’ N1−(N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−N2−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
式中、N2、NおよびN’のそれぞれは、独立して、非修飾もしくは修飾リボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が隣接するNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から39の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAにおける連続的配列に相補的であり、
N1は、(N)xに共有結合しており、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAと一致せず、
N1は、ウリジン、修飾ウリジン、リボチミジン、修飾リボチミジン、デオキシリボチミジン、修飾デオキシリボチミジン、リボアデニン、デオキシリボアデニンおよび修飾デオキシリボアデニンからなる群から選択される部分であり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、N2−(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせである。
【0069】
提供される組成物の様々な実施形態において、構造(A2)中、TLR2のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号1に記載され、TLR4のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3および配列番号4のいずれか1つに記載される。
【0070】
提供される組成物のいくつかの好ましい実施形態において、構造(A2)中、x=y=18である。
【0071】
いくつかの実施形態において、提供される組成物は、受容者に1回投与されるように製剤化される。他の実施形態において、提供される組成物は、受容者に少なくとも1日1回投与されるように製剤化される。さらに他の実施形態において、提供される組成物は、受容者への複数投与用に製剤化される。
【0072】
別の態様において、任意選択で取扱説明書と共に、少なくとも2種の治療薬剤を備えるキットであって、少なくとも1種の薬剤は、TLR2阻害剤を含み、第2の薬剤は、TLR4阻害剤を含むキットが提供される。
【0073】
提供されるキットのいくつかの実施形態において、各治療薬剤は、有機小分子、タンパク質、抗体またはその断片、ペプチド、ペプチド模倣薬および核酸分子からなる群から独立して選択される。キットのいくつかの実施形態において、少なくとも1種の治療薬剤は、核酸分子を含む。提供されるキットの他の実施形態において、各治療薬剤は、核酸分子を含む。
【0074】
提供されるキットのいくつかの実施形態において、第1の核酸分子は、TLR2遺伝子をコード化するヌクレオチド配列に結合する二本鎖オリゴヌクレオチドであり、第2の核酸分子は、TLR4遺伝子をコード化するヌクレオチド配列に結合する二本鎖オリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、一方から他方へ一列に結合するか、またはRNAistar構成においてアニールされる。
【0075】
提供されるキットのいくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドは、
(a)センス鎖およびアンチセンス鎖を備え、
(b)各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、
(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR24をコード化するmRNAの配列に相補的であり、
(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、アンチセンス鎖に相補的であり、
第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、
(a)センス鎖およびアンチセンス鎖を備え、
(b)各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、
(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR4をコード化するmRNAの配列に相補的であり、
(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、アンチセンス鎖に相補的である。
【0076】
提供されるキットの様々な実施形態において、TLR2のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号1に記載され、TLR4のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3および配列番号4のいずれか1つに記載される。
【0077】
キットのいくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、受容者への同一の製剤での併用投与用に製剤化される。他の実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者に異なる製剤で併用投与される。いくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者に同じ経路で併用投与される。いくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者に異なる経路で併用投与される。様々な実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドの肺移植の受容者への投与形態は、別個、組み合わせ、同時および逐次投与を含む群から選択される。
【0078】
提供されるキットのいくつかの実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者に1回投与されるように製剤化される。他の実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者に少なくとも1日1回投与されるように製剤化される。他の実施形態において、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者への複数投与用に製剤化される。
【0079】
提供されるキットのいくつかの実施形態において、少なくとも1種の二本鎖オリゴヌクレオチドは、独立して、構造(A1)を有し、
(A1) 5’ (N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−(N’)y −z" 5’ (センス鎖)
式中、NおよびN’のそれぞれは、修飾されていなくてもよい、もしくは修飾されていてもよいリボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が次のNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせであり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から40の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAに対するアンチセンス配列を含む。
【0080】
提供されるキットの様々な実施形態において、構造(A1)中、TLR2のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号1に記載され、TLR4のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3および配列番号4のいずれか1つに記載される。
【0081】
提供されるキットのいくつかの好ましい実施形態において、構造(A1)中、x=y=19である。
【0082】
提供されるキットのいくつかの実施形態において、少なくとも1種の二本鎖オリゴヌクレオチドは、独立して、構造(A2)有し、
(A2) 5’ N1−(N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−N2−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
式中、N2、NおよびN’のそれぞれは、独立して、非修飾もしくは修飾リボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が隣接するNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から39の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAにおける連続的配列に相補的であり、
N1は、(N)xに共有結合しており、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAと一致せず、
N1は、ウリジン、修飾ウリジン、リボチミジン、修飾リボチミジン、デオキシリボチミジン、修飾デオキシリボチミジン、リボアデニン、デオキシリボアデニンおよび修飾デオキシリボアデニンからなる群から選択される部分であり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、N2−(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせである。
【0083】
提供されるキットの様々な実施形態において、構造(A2)中、TLR2のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号1に記載され、TLR4のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3および配列番号4のいずれか1つに記載される。
【0084】
提供されるキットのいくつかの好ましい実施形態において、構造(A2)中、x=y=18である。
【0085】
別の態様において、A)(i)TLR2阻害剤を含む少なくとも1つの用量単位、および(ii)TLR4阻害剤を含む少なくとも1つの用量単位から選択される少なくとも2つの別個の用量単位と、B)用量単位の取扱説明書を含む添付文書とを備えるパッケージが提供される。
【0086】
提供されるパッケージの様々な実施形態において、TLR2阻害剤は、TLR2遺伝子をコード化するヌクレオチド配列に結合する二本鎖オリゴヌクレオチドであり、TLR4阻害剤は、TLR4遺伝子をコード化するヌクレオチド配列に結合する二本鎖オリゴヌクレオチドである。
【0087】
提供されるパッケージのいくつかの実施形態において、TLR2阻害剤は、
(a)センス鎖およびアンチセンス鎖を備える二本鎖オリゴヌクレオチドであり、
(b)各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、
(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR2をコード化するmRNAの配列に相補的であり、
(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、アンチセンス鎖に相補的であり、
TLR4阻害剤は、
(a)センス鎖およびアンチセンス鎖を備える二本鎖オリゴヌクレオチドであり、
(b)各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、
(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR4をコード化するmRNAの配列に相補的であり、
(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、アンチセンス鎖に相補的である。
【0088】
提供されるパッケージのいくつかの実施形態において、用量単位は、同じ経路で患者に併用投与される。パッケージの他の実施形態において、用量単位は、異なる経路で患者に併用投与される。様々な実施形態において、用量単位の投与形態は、別個、組み合わせ、同時および逐次投与を含む群から選択される。
【0089】
提供されるパッケージのいくつかの実施形態において、用量単位は、患者に1回投与されるように設計される。他の実施形態において、用量単位は、患者に少なくとも1日1回投与されるためのものである。他の実施形態において、用量単位は、患者への複数投与用である。
【0090】
提供されるパッケージのいくつかの実施形態において、少なくとも1種の二本鎖オリゴヌクレオチドは、独立して、構造(A1)を有し、
(A1) 5’ (N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−(N’)y −z" 5’ (センス鎖)
式中、NおよびN’のそれぞれは、修飾されていなくてもよい、もしくは修飾されていてもよいリボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が次のNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせであり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から40の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAに対するアンチセンス配列を含む。
【0091】
提供されるパッケージのいくつかの実施形態において、少なくとも1種の二本鎖オリゴヌクレオチドは、独立して、構造(A2)を有し、
(A2) 5’ N1−(N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−N2−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
式中、N2、NおよびN’のそれぞれは、独立して、非修飾もしくは修飾リボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が隣接するNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から39の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAにおける連続的配列に相補的であり、
N1は、(N)xに共有結合しており、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAと一致せず、
N1は、ウリジン、修飾ウリジン、リボチミジン、修飾リボチミジン、デオキシリボチミジン、修飾デオキシリボチミジン、リボアデニン、デオキシリボアデニンおよび修飾デオキシリボアデニンからなる群から選択される部分であり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、N2−(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせである。
【0092】
提供されるキットまたは提供されるパッケージの様々な実施形態において、説明書または添付文書は、治療薬剤または用量単位が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺移植に伴う障害および肺気腫からなる群から選択される肺疾患、損傷または障害に罹患している患者の治療における使用に好適であることを示す。提供されるキットまたは提供されるパッケージのいくつかの実施形態において、説明書または添付文書は、治療薬剤または用量単位が、肺移植に伴う障害に罹患している患者の治療における使用に好適であることを示す。
【0093】
提供されるキットまたは提供されるパッケージのいくつかの実施形態において、肺移植に伴う肺障害は、炎症、移植片拒絶、一次生着不全、虚血−再灌流傷害、再灌流傷害、再灌流肺水腫、同種移植片機能不全、急性移植片機能不全、肺再移植反応、閉塞性細気管支炎および原発性移植片機能不全(PGD)からなる群から選択される。
別の態様において、肺移植の受容者における原発性移植片機能不全(PGD)の症状を予防または低減する方法であって、治療上効果的な量の少なくとも1種のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを受容者に投与し、それにより受容者におけるPGDの症状を予防または低減することを含む方法が提供される。
【0094】
提供される方法のいくつかの実施形態において、肺移植の受容者は、原発性移植片機能不全(PGD)の治療を受けているヒトである。いくつかの実施形態において、方法は、冷虚血関連PGDの症状を予防または低減するためのものである。他の実施形態において、方法は、温虚血関連PGDの症状を予防または低減するためのものである。提供される方法の様々な実施形態において、症状は、炎症、急性移植片拒絶、移植片拒絶、虚血−再灌流傷害、再灌流傷害、肺機能障害、閉塞性細気管支炎、血液酸素供給障害、炎症性サイトカイン産生の亢進、顆粒球の移植片内および気道内蓄積、肺水腫および低酸素血からなる群から選択される。
【0095】
提供される方法のいくつかの実施形態において、治療上効果的な量の少なくとも1種のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの投与は、肺水腫の低減、血液酸素供給の増加、血液酸素供給の保存、肺機能の改善、受容者における肺機能の保存および移植された肺の肺機能の改善の1つ以上をもたらす。
【0096】
提供される方法の様々な実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤は、肺移植の前、間または後に肺移植の受容者に投与される。
【0097】
様々な実施形態において、肺移植の受容者における原発性移植片機能不全(PGD)の症状を予防または低減する提供される方法は、手術、ステロイド療法、非ステロイド療法、抗ウイルス療法、抗真菌療法、抗菌療法、免疫抑制剤療法、抗感染薬療法、降圧療法、栄養補給剤およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加的治療をさらに含む。様々な実施形態において、追加的治療は、少なくとも1種のTLR2阻害剤の投与の前、後、またはそれと同時に施される。いくつかの実施形態において、追加的治療は、免疫抑制剤療法を含む。
【0098】
提供される方法の様々な実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤の投与経路は、全身投与または局所投与から選択される。
【0099】
様々な実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤の肺移植の受容者への投与方法は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、門脈内、皮下、直接注射、気管内注入、吸入、鼻腔内、肺内およびポンプを介した肺への投与を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤は、吸入により肺移植の受容者に投与される。別の実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤は、気管内注入により肺移植の受容者に投与される。
【0100】
肺移植の受容者における原発性移植片機能不全(PGD)の症状を予防または低減する提供される方法の様々な実施形態において、少なくとも1種のTLR2阻害剤は、有機小分子、タンパク質、抗体またはその断片、ペプチド、ペプチド模倣薬および核酸分子からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の阻害剤は、核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、核酸分子は、TLR2遺伝子をコード化するヌクレオチド配列に結合する二本鎖オリゴヌクレオチドである。
【0101】
肺移植の受容者における原発性移植片機能不全(PGD)の症状を予防または低減する提供される方法の様々な実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、
(a)センス鎖およびアンチセンス鎖を備え、
(b)各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、
(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR2をコード化するmRNAの配列に相補的であり、
(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、アンチセンス鎖に相補的である。
【0102】
提供される方法の様々な実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、受容者に1回投与されるように製剤化される。提供される方法のいくつかの実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、受容者に少なくとも1日1回投与されるように製剤化される。さらに他の実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、受容者への複数投与用に製剤化される。
【0103】
提供される方法の様々な実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、構造(A1)を有し、
(A1) 5’ (N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−(N’)y −z" 5’ (センス鎖)
式中、NおよびN’のそれぞれは、修飾されていなくてもよい、もしくは修飾されていてもよいリボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が次のNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせであり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、xおよびyのそれぞれは、独立して17から40の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xはTLR2をコード化するmRNAに対するアンチセンス配列を含む。
【0104】
提供される方法の様々な実施形態において、構造(A1)中、TLR2のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号1に記載される。
【0105】
提供される方法のいくつかの好ましい実施形態において、構造(A1)中、x=y=19である。
【0106】
提供される方法の様々な実施形態において、構造(A1)中、(N)xは、配列番号723〜1440および2247〜3052に存在するアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、(N’)yは、配列番号5〜722および1441〜2246に存在するセンス鎖オリゴヌクレオチドを含む。
【0107】
提供される方法の様々な実施形態において、二本鎖化合物は、構造(A2)を有し、
(A2) 5’ N1−(N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−N2−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
式中、N2、NおよびN’のそれぞれは、独立して、非修飾もしくは修飾リボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が隣接するNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から39の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAにおける連続的配列に相補的であり、
N1は、(N)xに共有結合しており、TLR2をコード化するmRNAと一致せず、
N1は、ウリジン、修飾ウリジン、リボチミジン、修飾リボチミジン、デオキシリボチミジン、修飾デオキシリボチミジン、リボアデニン、デオキシリボアデニンおよび修飾デオキシリボアデニンからなる群から選択される部分であり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、N2−(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせである。
【0108】
提供される方法の様々な実施形態において、構造(A2)中、TLR2のmRNAポリヌクレオチド配列は、配列番号1に記載される。
【0109】
提供される方法のいくつかの好ましい実施形態において、構造(A2)中、x=y=18である。
【0110】
提供される方法の様々な実施形態において、構造(A2)中、(N)xの配列は、配列番号4153〜5252および5546〜5838のいずれか1つから選択され、(N’)yの配列は、配列番号3053〜4152および5253〜5545のいずれか1つから選択される。
【0111】
提供される方法の様々な実施形態において、TLR2遺伝子をコード化するヌクレオチド配列に結合する少なくとも1種の二本鎖オリゴヌクレオチドの投与は、TLR2発現の下方制御をもたらす。
【0112】
別の態様において、任意選択で取扱説明書と共に、TLR2阻害剤を含む少なくとも1つの用量単位を備えるキットまたはパッケージであって、説明書は、用量単位が、呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺移植に伴う障害および肺気腫からなる群から選択される肺疾患、損傷または障害に罹患している患者の治療における使用に好適であることを示す、キットまたはパッケージが提供される。
【0113】
いくつかの実施形態において、提供されるキットまたはパッケージは、肺移植に伴う障害に罹患している患者の治療における使用のためのものである。
【0114】
提供されるキットまたはパッケージの様々な実施形態において、TLR2阻害剤は、有機小分子、タンパク質、抗体またはその断片、ペプチド、ペプチド模倣薬および核酸分子からなる群から選択される。キットまたはパッケージのいくつかの実施形態において、TLR2阻害剤は、有機小分子、タンパク質、抗体またはその断片、および核酸分子からなる群から選択される。キットまたはパッケージの他の実施形態において、TLR2阻害剤は、核酸分子を含む。
【0115】
提供されるキットまたはパッケージのいくつかの実施形態において、核酸分子は、TLR2遺伝子をコード化するヌクレオチド配列に結合する二本鎖オリゴヌクレオチドである。キットまたはパッケージのいくつかの実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、
(a)センス鎖およびアンチセンス鎖を備え、
(b)各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、
(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR2をコード化するmRNAの配列に相補的であり、
(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、アンチセンス鎖に相補的である。
【0116】
提供されるキットまたはパッケージのいくつかの実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者に1回投与されるように製剤化される。いくつかの実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者に少なくとも1日1回投与されるように製剤化される。提供されるキットまたはパッケージのいくつかの実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、患者への複数投与用に製剤化される。
【0117】
提供されるキットまたはパッケージのいくつかの実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、構造(A1)を有し、
(A1) 5’ (N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−(N’)y −z" 5’ (センス鎖)
式中、NおよびN’のそれぞれは、修飾されていなくてもよい、もしくは修飾されていてもよいリボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が次のNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせであり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から40の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xはTLR2をコード化するmRNAに対するアンチセンス配列を含む。
【0118】
提供されるキットまたはパッケージのいくつかの実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、構造(A2)を有し、
(A2) 5’ N1−(N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−N2−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
式中、N2、NおよびN’のそれぞれは、独立して、非修飾もしくは修飾リボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が隣接するNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から39の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAにおける連続的配列に相補的であり、
N1は、(N)xに共有結合しており、TLR2をコード化するmRNAと一致せず、
N1は、ウリジン、修飾ウリジン、リボチミジン、修飾リボチミジン、デオキシリボチミジン、修飾デオキシリボチミジン、リボアデニン、デオキシリボアデニンおよび修飾デオキシリボアデニンからなる群から選択される部分であり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、N2−(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせである。
【0119】
いくつかの実施形態において、キットまたはパッケージは、肺移植に伴う障害に罹患している患者の治療における使用のためのものである。様々な実施形態において、肺移植に伴う障害は、炎症、移植片拒絶、一次生着不全、虚血−再灌流傷害、再灌流傷害、再灌流肺水腫、同種移植片機能不全、急性移植片機能不全、肺再移植反応、閉塞性細気管支炎および原発性移植片機能不全(PGD)からなる群から選択される。
【0120】
別の態様において、肺移植の受容者における原発性移植片機能不全(PGD)の症状を治療または予防または低減するための医薬の調製のための、少なくとも1種のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および少なくとも1種のTLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、ならびに薬学的に許容される担体を含む組成物の使用が提供される。
【0121】
別の態様において、肺移植の受容者における原発性移植片機能不全(PGD)の症状を治療または予防または低減するための、少なくとも1種のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および少なくとも1種のTLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、ならびに薬学的に許容される担体を含む組成物の使用が提供される。
【0122】
提供される使用の様々な実施形態において、肺移植の受容者は、原発性移植片機能不全(PGD)の治療を受けているヒトである。いくつかの実施形態において、使用は、冷虚血関連PGDの症状を予防または低減するためのものである。他の実施形態において、使用は、温虚血関連PGDの症状を予防または低減するためのものである。
【0123】
使用の様々な実施形態において、症状は、炎症、急性移植片拒絶、移植片拒絶、虚血−再灌流傷害、再灌流傷害、肺機能障害、閉塞性細気管支炎、血液酸素供給障害、炎症性サイトカイン産生の亢進、顆粒球の移植片内および気道内蓄積、肺水腫および低酸素血からなる群から選択される。
【0124】
別の態様において、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、および肺気腫から選択される肺疾患、障害または損傷を治療または予防するための医薬の調製のための、少なくとも1種のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および少なくとも1種のTLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、ならびに薬学的に許容される担体を含む組成物の使用が提供される。
【0125】
別の態様において、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、および肺気腫から選択される肺疾患、障害または損傷を治療または予防するための、少なくとも1種のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および少なくとも1種のTLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、ならびに薬学的に許容される担体を含む組成物の使用が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0127】
本開示は、部分的に、治療を必要とする哺乳動物における肺障害、疾患または損傷を治療するための方法に関する。方法は、哺乳動物を治療するために効果的な量のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグから選択される少なくとも1種の治療薬剤を、哺乳動物に投与することを含み得る。方法は、少なくとも2種の治療薬剤を哺乳動物に投与することを含み得、少なくとも1種の治療薬剤は、TLR2遺伝子または遺伝子産物を標的とし、少なくとも1種の治療薬剤は、TLR4遺伝子または遺伝子産物を標的とする。いくつかの実施形態において、治療薬剤は、哺乳動物における肺障害、疾患または損傷を治療するために効果的な量の、(i)TLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および(ii)TLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを含む。本開示はまた、治療薬剤を含む組み合わせ、組成物、キットおよびパッケージに関する。
【0128】
いくつかの実施形態において、方法は、TLR2遺伝子の発現を低減および/またはその機能を阻害するために十分な量の少なくとも1種の治療薬剤を、哺乳動物に投与することを含み得る。いくつかの実施形態において、方法は、TLR2遺伝子およびTLR4遺伝子の両方の発現を低減および/またはその機能を阻害するために十分な量の少なくとも2種の治療薬剤の組み合わせまたは組み合わせた治療薬剤を、哺乳動物に投与することを含み得る。ある特定の実施形態において、肺疾患または損傷は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺気腫、肺移植誘導性急性移植片機能不全および肺移植後の閉塞性細気管支炎からなる群から選択される。ある特定の実施形態において、一次生着不全、虚血−再灌流傷害、再灌流傷害、再灌流肺水腫、同種移植片機能不全、肺再移植反応、肺移植後の閉塞性細気管支炎、および/または臓器移植、特に肺移植後の原発性移植片機能不全(PGD)の治療、予防または進行の軽減を含む、臓器移植、特に肺移植に伴う炎症および/または移植片拒絶を治療または予防するための併用療法のための組成物および方法が提供される。
【0129】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種の治療薬剤は、TLR2阻害剤である。いくつかの実施形態において、少なくとも2種の治療薬剤は、TLR2阻害剤およびTLR4阻害剤である。いくつかの実施形態において、少なくとも2種の治療薬剤は、例えば同時または逐次的に併用投与される。他の実施形態において、少なくとも2種の治療薬剤は、その組み合わせを含む医薬組成物として投与される。いくつかの実施形態において、治療薬剤は、遺伝子TLR2および遺伝子TLR4の両方ならびに/またはそれらの遺伝子産物の発現および/または活性を下方制御することができる単一薬剤として意図される組み合わされた阻害剤である。そのような単一薬剤の限定されない例は、PCT特許公開番号WO2007/091269に開示される、一列の、および分岐したRNAi分子である。
【0130】
一実施形態において、方法は、TLR2を標的とする治療上効果的な量の治療薬剤を投与することを含む。
【0131】
いくつかの実施形態において、方法は、(a)TLR2を標的とする治療上効果的な量の第1の治療薬剤、および(b)TLR4を標的とする治療上効果的な量の第2の治療薬剤を投与することを含む。
【0132】
一実施形態において、方法は、TLR2およびTLR4の両方を標的とする治療上効果的な量の組み合わされた阻害剤を投与することを含む。
【0133】
いくつかの実施形態において、治療薬剤は、TLR2阻害剤である。いくつかの実施形態において、阻害剤は、有機小分子化学化合物、タンパク質、抗体またはその断片、ペプチド、ペプチド模倣薬および核酸分子からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の治療薬剤は、核酸分子である。いくつかの実施形態において、治療薬剤は、核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、核酸分子は、遺伝子TLR2をコード化するヌクレオチド配列(例えばmRNA配列)、例えば、配列番号1により例示されるヒトTLR2の配列をコード化するmRNA(gi|68160956|ref|NM_003264.3|)に結合する、アンチセンス分子、低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA (miRNA)または低分子ヘアピンRNA(shRNA)からなる群から独立して選択される。
【0134】
いくつかの実施形態において、少なくとも2種の治療薬剤は、TLR2阻害剤およびTLR4阻害剤である。いくつかの実施形態において、各阻害剤は、有機小分子、タンパク質、抗体またはその断片、ペプチド、ペプチド模倣薬および核酸分子からなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の治療薬剤は、核酸分子である。いくつかの実施形態において、各治療薬剤は、核酸分子を含む。
【0135】
いくつかの実施形態において、各核酸分子は、TLR2およびTLR4から選択される標的遺伝子をコード化するヌクレオチド配列(例えばmRNA配列)、例えば、配列番号1により例示されるヒトTLR2の配列をコード化するmRNAまたは配列番号2〜4により例示されるヒトTLR4の配列をコード化するmRNAに結合する、アンチセンス分子、低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)または低分子ヘアピンRNA(shRNA)からなる群から独立して選択される。様々な実施形態において、各核酸分子は、dsRNA分子またはsiRNA分子である。
【0136】
様々な実施形態において、各治療薬剤は、核酸分子を含み、
(a)核酸分子は、センス鎖およびアンチセンス鎖を備え、
(b)核酸分子の各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、
(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR2をコード化するmRNA(例えば配列番号1)またはTLR4をコード化するmRNA(例えば配列番号2〜4)から選択されるmRNAの配列に相補的であり、
(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、アンチセンス鎖に相補的であり、TLR2をコード化するmRNA(例えば配列番号1)およびTLR4をコード化するmRNA(例えば配列番号2〜4)から選択されるmRNAの17から40ヌクレオチド配列を含む。
【0137】
様々な実施形態において、各治療薬剤は、構造(A1)を有する核酸分子を含み、
(A1) 5’ (N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−(N’)y −z" 5’ (センス鎖)
式中、NおよびN’のそれぞれは、修飾されていなくてもよい、もしくは修飾されていてもよいリボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が次のNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせであり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から40の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAに対するアンチセンス配列を含む。
【0138】
いくつかの実施形態において、TLR2 mRNAの配列は、配列番号1に記載される。様々な実施形態において、TLR2 siRNAオリゴヌクレオチドのセンスおよびアンチセンス鎖は、配列番号5〜722、1441〜2246、3053〜4152、および5253〜5545に記載されるセンス鎖配列、ならびに配列番号723〜1440、2247〜3052、4153〜5252および5546〜5838に記載されるアンチセンス鎖配列から選択される。いくつかの実施形態において、TLR4 mRNAの配列は、配列番号2、配列番号3または配列番号4に記載される。様々な実施形態において、TLR4 siRNAオリゴヌクレオチドのセンスおよびアンチセンス鎖は、配列番号5839〜7075、8313〜8458、8605〜10318、12033〜12084に記載されるセンス鎖配列、ならびに配列番号7076〜8312、8459〜8604、10319〜12032、12085〜12136に記載されるアンチセンス鎖配列から選択される。
【0139】
いくつかの実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチド化合物の(N)xは、配列番号723〜1440、2247〜3052、4153〜5252、5546〜5838、7076〜8312、8459〜8604、10319〜12032、12085〜12136に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、(N’)yの配列は、(N)xの配列に部分的に相補的である。いくつかの実施形態において、(N’)yの配列は、(N)xの配列に実質的に相補的である。いくつかの実施形態において、(N’)yの配列は、(N)xの配列に完全に相補的である。いくつかの実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチド化合物の(N)xは、TLR2_4、TLR2_7またはTLR4_4として特定される二本鎖RNA化合物内に存在するアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
【0140】
二本鎖オリゴヌクレオチドのいくつかの実施形態において、x=y=19である。様々な実施形態において、ZおよびZ’の両方が、二本鎖オリゴヌクレオチド化合物内に存在する。様々な実施形態において、ZおよびZ’の両方が、二本鎖オリゴヌクレオチド化合物内に存在せず、すなわち、二本鎖化合物は、両端において平滑末端を有する。いくつかの実施形態において、ZまたはZ’の少なくとも1つが、前記二本鎖オリゴヌクレオチド化合物内に存在する。
【0141】
いくつかの実施形態において、ZまたはZ’は、独立して、脱塩基デオキシリボース部分、脱塩基リボース部分、反転脱塩基デオキシリボース部分、反転脱塩基リボース部分、C3部分、C4部分、C5部分、アミノ−6部分から選択される非定型部分である。いくつかの好ましい実施形態において、ZまたはZ’は、C3部分およびアミノ−C6部分から独立して選択される。
【0142】
いくつかの実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチド化合物内のNまたはN’の少なくとも1つは、2’糖修飾リボヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、2’糖修飾は、アミノ、フルオロ、アルコキシまたはアルキル部分の存在を含む。いくつかの好ましい実施形態において、2’糖修飾は、アルコキシ部分の存在を含み、好ましくは、アルコキシ部分は、2’−O−メチル部分を含む。
【0143】
二本鎖オリゴヌクレオチド化合物のいくつかの実施形態において、(N)xは、交互する2’−O−メチル糖修飾リボヌクレオチドおよび非修飾リボヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態において、(N)xは、少なくとも5つの交互する2’−O−メチル糖修飾および非修飾リボヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、(N)xは、2位、4位、6位、8位、11位、13位、15位、17位および19位における2’−O−メチル糖修飾リボヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、(N)xは、1位、3位、5位、7位、9位、11位、13位、15位、17位および19位における2’−O−メチル糖修飾リボヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、(N)xは、2’−O−メチル糖修飾ピリミジンリボヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、(N)xにおける全てのピリミジンリボヌクレオチドは、2’−O−メチル糖修飾ピリミジンリボヌクレオチドを含む。
【0144】
いくつかの実施形態において、(N)xは、ミラーヌクレオチド、および2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに繋がったヌクレオチドから選択される、少なくとも1つの非定型部分を含む。いくつかの実施形態において、(N)xにおける非定型部分は、ミラーヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、(N)xにおけるミラーヌクレオチドは、L−デオキシリボヌクレオチド(L−DNA)である。様々な実施形態において、(N)xは、6位または7位(5’>3’)にL−DNA部分を含む。
【0145】
いくつかの実施形態において、(N’)yは、ミラーヌクレオチド、および2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに繋がったヌクレオチドから選択される、少なくとも1つの非定型部分を含む。いくつかの実施形態において、(N’)yにおける非定型部分は、ミラーヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、(N’)yにおけるミラーヌクレオチドは、L−デオキシリボヌクレオチド(L−DNA)である。いくつかの実施形態において、(N’)yは、1−17位および19位における非修飾リボヌクレオチドおよび3’の最後から2番目の位置(18位)における1つのL−DNAからなる。いくつかの実施形態において、(N’)yは、1−16位および19位における非修飾リボヌクレオチドおよび3’の最後から2番目の位置(17位および18位)における2つの連続するL−DNAからなる。いくつかの実施形態において、(N’)yにおける非定型部分は、2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに繋がったヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、(N’)yでは、2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに繋がったヌクレオチドは、さらに、3’−O−メチル(3’O−Me)糖修飾をさらに含む。
【0146】
様々な実施形態において、治療薬剤は、以下に記載の構造(A2)を有する二本鎖オリゴヌクレオチド化合物であり、
(A2) 5’ N1−(N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−N2−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
式中、N2、NおよびN’のそれぞれは、独立して、非修飾もしくは修飾リボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が隣接するNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から39の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNA(例えば配列番号1)およびTLR4をコード化するmRNA(例えば配列番号2〜4)から選択されるmRNAにおける連続的配列に相補的であり、
N1は、(N)xに共有結合しており、TLR2をコード化するmRNA(例えば配列番号1)およびTLR4をコード化するmRNA(例えば配列番号2〜4)から選択されるmRNAと一致せず、
N1は、ウリジン、修飾ウリジン、リボチミジン、修飾リボチミジン、デオキシリボチミジン、修飾デオキシリボチミジン、リボアデニン、デオキシリボアデニンおよび修飾デオキシリボアデニンからなる群から選択される部分であり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、N2−(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせである。
【0147】
構造(A)2に従う二本鎖オリゴヌクレオチド化合物のいくつかの実施形態において、x=y=18である。
【0148】
いくつかの実施形態において、(N)xは、配列番号1(ヒトTLR2 mRNA)における連続的配列に相補的である。いくつかの実施形態において、(N)xは、配列番号4153〜5252および5546〜5838のいずれか1つから選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、x=y=18であり、N1−(N)xは、配列番号723〜1440および2247〜3052のいずれか1つから選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、x=y=19またはx=y=20である。ある特定の好ましい実施形態において、x=y=18である。
【0149】
いくつかの実施形態において、(N)xは、配列番号2(ヒトTLR4、転写変異体4、非コード化RNA)または配列番号3(ヒトTLR4、転写変異体1、mRNA)または配列番号4(ヒトTLR4、転写変異体3、非コード化RNA)における連続的配列に相補的である。いくつかの実施形態において、(N)xは、配列番号10319〜12032および12085〜12136のいずれか1つから選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、x=y=18であり、N1−(N)xは、配列番号7076〜8312および8459〜8604のいずれか1つから選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、x=y=19またはx=y=20である。ある特定の好ましい実施形態において、x=y=18である。
【0150】
いくつかの実施形態において、N1およびN2は、ワトソン−クリック塩基対を形成する。他の実施形態において、N1およびN2は、非ワトソン−クリック塩基対を形成する。いくつかの実施形態において、N1は、修飾リボアデノシンまたは修飾リボウリジンである。
【0151】
ある特定の実施形態において、N1は、リボアデノシン、修飾リボアデノシン、デオキシリボアデノシン、修飾デオキシリボアデノシンからなる群から選択される。他の実施形態において、N1は、リボウリジン、デオキシリボウリジン、修飾リボウリジン、および修飾デオキシリボウリジンからなる群から選択される。
【0152】
ある特定の実施形態において、N1は、リボアデノシン、修飾リボアデノシン、デオキシリボアデノシン、修飾デオキシリボアデノシンからなる群から選択され、N2は、リボウリジン、デオキシリボウリジン、修飾リボウリジン、および修飾デオキシリボウリジンからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、N1は、リボアデノシンおよび修飾リボアデノシンからなる群から選択され、N2は、リボウリジンおよび修飾リボウリジンからなる群から選択される。
【0153】
ある特定の実施形態において、N2は、リボアデノシン、修飾リボアデノシン、デオキシリボアデノシン、修飾デオキシリボアデノシンからなる群から選択され、N1は、リボウリジン、デオキシリボウリジン、修飾リボウリジン、および修飾デオキシリボウリジンからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、N1は、リボウリジンおよび修飾リボウリジンからなる群から選択され、N2は、リボアデニンおよび修飾リボアデニンからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、N1は、リボウリジンであり、N2は、リボアデニンである。
【0154】
(A2)のいくつかの実施形態において、(N)xは、配列番号4153〜5252および5546〜5838のいずれか1つから選択され、(N’)yは、配列番号3053〜4152および5253〜5545から選択される実質的に相補的な配列である。(A2)のいくつかの実施形態において、(N)xは、配列番号10319〜12032および12085〜12136のいずれか1つから選択され、(N’)yは、配列番号8605〜10318および12033〜12084から選択される実質的に相補的な配列である。いくつかの実施形態において、(N’)yの配列は、(N)xの配列に部分的に相補的である。いくつかの実施形態において、(N’)yの配列は、(N)xの配列に完全に相補的である。いくつかの実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチド化合物の(N)xは、TLR2_4、TLR2_7またはTLR4_4として特定される二本鎖RNA化合物内に存在するアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
【0155】
いくつかの実施形態において、投与方法は、全身投与である。いくつかの実施形態において、投与方法は、局所投与である。様々な実施形態において、投与方法は、気管内、吸入剤、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、門脈内、皮下、皮内、局所、注射による、またはポンプを介した標的肺組織への直接投与である。
【0156】
一態様において、TLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグから選択される少なくとも1種の治療薬剤、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
【0157】
別の態様において、(i)TLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および(ii)TLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグから選択される少なくとも2種の治療薬剤、ならびに薬学的に許容される担体を含む組み合わせが提供される。
【0158】
別の態様において、(i)TLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および(iii)TLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグから選択される少なくとも2種の治療薬剤の組み合わせ、ならびに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
【0159】
いくつかの実施形態において、組成物は、TLR2阻害剤からなる治療薬剤を含む。いくつかの実施形態において、組み合わせまたは組成物は、少なくとも2種の治療薬剤を含み、治療薬剤の少なくとも1種は、TLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであり、治療薬剤の少なくとも1種は、TLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。いくつかの実施形態において、組み合わせまたは組成物は、TLR2阻害剤およびTLR4阻害剤を含む。
【0160】
いくつかの実施形態において、TLR2阻害剤は、小分子化学化合物、タンパク質、抗体またはその断片、および核酸分子からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、TLR2阻害剤は、核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、核酸分子は、標的遺伝子TLR2をコード化するヌクレオチド配列(例えばmRNA配列)に結合する、低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)または低分子ヘアピンRNA(shRNA)から選択される。いくつかの実施形態において、核酸分子は、TLR2を標的とする二本鎖RNA(dsRNA)または低分子干渉RNA(siRNA)である。
【0161】
いくつかの実施形態において、各治療薬剤は、小分子化学化合物、タンパク質、抗体またはその断片、および核酸分子からなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態において、各治療薬剤は、核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、各核酸分子は、TLR2およびTLR4から選択される標的遺伝子をコード化するヌクレオチド配列(例えばmRNA配列)に結合する、低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)または低分子ヘアピンRNA(shRNA)から独立して選択される。いくつかの実施形態において、各核酸分子は、二本鎖RNA(dsRNA)または低分子干渉RNA(siRNA)である。いくつかの実施形態において、少なくとも2つのdsRNAまたはsiRNAは、TLR2を標的とするdsRNAまたはsiRNAおよびTLR4を標的とするdsRNAまたはsiRNAである。
【0162】
一実施形態において、方法は、TLR2を下方制御する治療上効果的な量の治療薬剤を含む。
【0163】
一実施形態において、方法は、(a)TLR2を下方制御する治療上効果的な量の第1の治療薬剤、および(b)TLR4を下方制御する治療上効果的な量の第2の治療薬剤を含む。
【0164】
別の態様において、任意選択で取扱説明書と共に、TLR2阻害剤からなる治療薬剤を含むキットが提供される。
【0165】
別の態様において、任意選択で取扱説明書と共に、少なくとも2種の治療薬剤を備えるキットであって、2種の薬剤は、TLR2阻害剤およびTLR4阻害剤からなる群から選択されるキットが提供される。
【0166】
キットのいくつかの実施形態において、各治療薬剤は、小分子化学化合物、タンパク質、抗体またはその断片、および核酸分子からなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態において、各治療薬剤は、核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、各核酸分子は、TLR2およびTLR4から選択される標的遺伝子をコード化するヌクレオチド配列(例えばmRNA配列)に結合する、低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)または低分子ヘアピンRNA(shRNA)から独立して選択される。いくつかの実施形態において、各核酸分子は、二本鎖RNA(dsRNA)または低分子干渉RNA(siRNA)である。いくつかの実施形態において、各核酸分子は、TLR2を標的とするdsRNAまたはTLR2を標的とするsiRNA、およびTLR4を標的とするdsRNAまたはTLR4を標的とするsiRNAからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも2つのsiRNAは、TLR2を標的とするdsRNAまたはsiRNAおよびTLR4を標的とするdsRNAまたはsiRNAからなる。
【0167】
いくつかの実施形態において、本明細書において提供されるキットは、任意選択で取扱説明書と共に、TLR2およびTLR4の両方からなる群から選択される少なくとも2種の遺伝子および/または遺伝子産物を下方制御することができる単一薬剤として意図される組み合わされた阻害剤を含む。
【0168】
いくつかの実施形態において、キットの各治療薬剤は、核酸分子を含み、
(a)核酸分子は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
(b)核酸分子の各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、
(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR2をコード化するmRNA(例えば配列番号1)およびTLR4をコード化するmRNA(例えば配列番号2〜4)から選択されるmRNAの配列に相補的であり、
(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、アンチセンス鎖に相補的であり、TLR2をコード化するmRNA(例えば配列番号1)およびTLR4をコード化するmRNA(例えば配列番号2〜4)から選択されるmRNAの17から40ヌクレオチド配列を含む。
【0169】
いくつかの実施形態において、キットの各治療薬剤は、構造(A1)を有する核酸分子を含み、
(A1) 5’ (N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−(N’)y −z" 5’ (センス鎖)
式中、NおよびN’のそれぞれは、修飾されていなくてもよい、もしくは修飾されていてもよいリボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が次のNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせであり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から40の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAに対するアンチセンス配列を含む。
【0170】
様々な実施形態において、二本鎖分子は、ガイド鎖(アンチセンス鎖)の5’末端ヌクレオチドにおいて標的mRNAに対するミスマッチを含む。したがって、いくつかの実施形態において、キットの各治療薬剤は、以下に記載の構造(A2)を有する二本鎖オリゴヌクレオチド化合物を含み、
(A2) 5’ N1−(N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−N2−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
式中、N2、NおよびN’のそれぞれは、独立して、非修飾もしくは修飾リボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が隣接するNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から39の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNA(例えば配列番号1)およびTLR4をコード化するmRNA(例えば配列番号2〜4)から選択されるmRNAにおける連続的配列に相補的であり、
N1は、(N)xに共有結合しており、TLR2をコード化するmRNA(例えば配列番号1)およびTLR4をコード化するmRNA(例えば配列番号2〜4)から選択されるmRNAと一致せず、
N1は、ウリジン、修飾ウリジン、リボチミジン、修飾リボチミジン、デオキシリボチミジン、修飾デオキシリボチミジン、リボアデニン、デオキシリボアデニンおよび修飾デオキシリボアデニンからなる群から選択される部分であり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、N2−(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせである。
【0171】
別の態様において、A)(i)TLR2阻害剤を含む用量単位、および(ii)TLR4阻害剤を含む用量単位から選択される少なくとも2つの別個の用量単位と、B)用量単位の取扱説明書を含む添付文書とを備えるパッケージが提供される。
【0172】
パッケージの別の実施形態において、各阻害剤は、核酸分子を含み、
(a)核酸分子は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
(b)核酸分子の各鎖は、独立して17から40ヌクレオチドの長さであり、
(c)アンチセンス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAの配列に相補的であり、
(d)センス鎖の17から40ヌクレオチド配列は、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAの17から40ヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖に相補的である。
【0173】
パッケージのいくつかの実施形態において、各阻害剤は、構造(A1)を有する核酸分子を含み、
(A1) 5’ (N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−(N’)y −z" 5’ (センス鎖)
式中、NおよびN’のそれぞれは、修飾されていなくてもよい、もしくは修飾されていてもよいリボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が次のNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせであり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から40の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAに対するアンチセンス配列を含む核酸分子を含む。
【0174】
様々な実施形態において、二本鎖分子は、ガイド鎖(アンチセンス鎖)の5’末端ヌクレオチドにおいて標的mRNAに対するミスマッチを含む。したがって、パッケージのいくつかの実施形態において、各阻害剤は、以下に記載の構造(A2)を有する二本鎖オリゴヌクレオチドを含み、
(A2) 5’ N1−(N)x − Z 3’ (アンチセンス鎖)
3’ Z’−N2−(N’)y−z" 5’ (センス鎖)
式中、N2、NおよびN’のそれぞれは、独立して、非修飾もしくは修飾リボヌクレオチド、または非定型部分であり、
(N)xおよび(N’)yのそれぞれは、それぞれの連続するNまたはN’が隣接するNまたはN’に共有結合により繋がっているオリゴヌクレオチドであり、
xおよびyのそれぞれは、独立して17から39の間の整数であり、
(N’)yの配列は、(N)xの配列に相補的であり、(N)xは、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAにおける連続的配列に相補的であり、
N1は、(N)xに共有結合しており、TLR2をコード化するmRNAおよびTLR4をコード化するmRNAから選択されるmRNAと一致せず、
N1は、ウリジン、修飾ウリジン、リボチミジン、修飾リボチミジン、デオキシリボチミジン、修飾デオキシリボチミジン、リボアデニン、デオキシリボアデニンおよび修飾デオキシリボアデニンからなる群から選択される部分であり、
z"は、存在してもよい、または存在しなくてもよいが、存在する場合、N2−(N’)yの5’末端に共有結合したキャッピング部分であり、
ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、存在する、または存在しないが、存在する場合、独立して、それが存在する鎖の3’末端に共有結合した1〜5個の連続するヌクレオチドもしくは非定型部分またはそれらの組み合わせである。
【0175】
キットまたはパッケージの様々な実施形態において、説明書または添付文書は、治療薬剤または用量単位(これらの複数を含む)が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺気腫、肺移植誘導性急性移植片機能不全および肺移植後の閉塞性細気管支炎からなる群から選択される疾患または状態に罹患している患者の治療における使用に好適であることを示す。キットまたはパッケージの様々な実施形態において、説明書または添付文書は、治療薬剤または用量単位が、一次生着不全、虚血−再灌流傷害、再灌流傷害、再灌流肺水腫、同種移植片機能不全、肺再移植反応、肺移植後の閉塞性細気管支炎、および/または臓器移植、特に肺移植後の原発性移植片機能不全(PGD)を含むがこれらに限定されない、臓器移植、特に肺移植に伴う炎症および/または移植片拒絶に罹患している、または罹患の危険性がある患者の治療における使用に好適であることを示す。
【0176】
様々な実施形態において、組成物は、TLR2遺伝子ならびに/またはDNAおよびmRNAを含むTLR2遺伝子産物の発現/活性/機能を下方制御または阻害する、1種以上の二本鎖核酸(dsNA)薬剤を含む。
【0177】
様々な実施形態において、組み合わせは、(i)TLR2および(ii)TLR4から選択される少なくとも2つの遺伝子ならびに/またはDNAおよびmRNAを含む遺伝子産物の発現/活性/機能を下方制御または阻害する、1種以上の二本鎖核酸(dsNA)薬剤を含む。
【0178】
ヒトTLR2の配列をコード化するmRNAは、配列番号1により例示され、ヒトTLR4の配列をコード化するmRNAは、配列番号2,配列番号3および配列番号4により例示される。
【0179】
一実施形態において、組成物は、TLR2を下方制御する少なくとも1種のdsNA分子を含む。
【0180】
別の実施形態において、組み合わせは、TLR2およびTLR4を下方制御する1種以上のdsNA薬剤を含む。一実施形態において、組み合わせは、TLR2を下方制御する少なくとも1種のdsNA分子およびTLR4を下方制御する少なくとも1種のdsNA分子を含む。
【0181】
いくつかの実施形態において、少なくともTLR2およびTLR4の両方を標的とするdsRNAを含むタンデムdsRNAが提供される。
【0182】
いくつかの実施形態において、RNAistarとしても知られる3分岐構造が提供される。前記3鎖オリゴヌクレオチドは、以下の一般構造を有するオリゴリボヌクレオチドを含み、
[表]
リンカーA、リンカーBまたはリンカーCのうちの1つ以上が存在し;鎖の極性および分子の一般構造が保持される限り、2つ以上のオリゴヌクレオチドおよびリンカーA〜Cのうちの1つ以上の任意の組み合わせが可能である。さらに、リンカーA〜Cのうちの2つ以上が存在する場合、それらは同一または異なってもよい。いくつかの実施形態において、「ギャップのある」RNAistar化合物が好ましく、化合物は、3つのRNA二重鎖を含む。
【0183】
以下の一般構造を有する3つのRNA二重鎖を形成する4つのリボヌクレオチド鎖からなる化合物:
[式1]
式中、オリゴA、オリゴB、オリゴC、オリゴD、オリゴEおよびオリゴFは、少なくとも19個の連続するリボヌクレオチドを表し、オリゴA、B、C、D、EおよびFのそれぞれにおけるそのような連続するリボヌクレオチドの18から40は、RNA二重鎖の鎖を含み、各リボヌクレオチドは、修飾されていてもよい、または修飾されていてもよく、
鎖1は、化合物の第1のRNA二重鎖のセンス部分またはアンチセンス部分であるオリゴAを含み、鎖2は、オリゴAにおける少なくとも19個のヌクレオチドに相補的であるオリゴBを含み、オリゴAおよびオリゴBは、一緒になって、第1の標的mRNAを標的とする第1のRNA二重鎖を形成し、
鎖1は、化合物の第2のRNA二重鎖のセンス部分またはアンチセンス鎖部分であるオリゴCをさらに含み、鎖3は、オリゴCにおける少なくとも19個のヌクレオチドに相補的であるオリゴDを含み、オリゴCおよびオリゴDは、一緒になって、第2の標的mRNAを標的とする第2のRNA二重鎖を形成し、
鎖4は、化合物の第3のRNA二重鎖のセンス部分またはアンチセンス鎖部分であるオリゴEを含み、鎖2は、オリゴEにおける少なくとも19個のヌクレオチドに相補的であるオリゴFをさらに含み、オリゴEおよびオリゴFは、一緒になって、第3の標的mRNAを標的とする第3のRNA二重鎖を形成し、
リンカーAは、オリゴAおよびオリゴCを共有結合させる部分であり、リンカーBは、オリゴBおよびオリゴFを共有結合させる部分であり、リンカーAおよびリンカーBは、同じまたは異なってもよい。
【0184】
いくつかの実施形態において、第1、第2および第3のRNA二重鎖は、同じ遺伝子、すなわちTLR2を標的とする。他の実施形態において、第1、第2または第3のsiRNA二重鎖のうちの2つは、同じmRNA、例えばTLR2を標的とし、第3のRNA二重鎖は、異なるmRNA、例えばTLR4を標的とする。他の実施形態において、第1、第2または第3のsiRNA二重鎖のうちの2つは、同じmRNA、例えばTLR4を標的とし、第3のRNA二重鎖は、異なるmRNA、例えばTLR2を標的とする。
【0185】
「Toll様受容体2」または「tlr−2」または「TLR−2」または「tlr2」または「TLR2」は、交換可能に使用され、任意のTLR2タンパク質活性を有する任意のToll様受容体2ペプチドまたはポリペプチドを指す。TLR2はまた、CD282(分化抗原群282)と指定されている。Toll様受容体2(またはより具体的にはヒトTLR2)は、配列番号1と同じまたは実質的に同じアミノ酸配列を有し得る。
【0186】
「Toll様受容体4」または「tlr−4」または「TLR−4」または「tlr4」または「TLR4」は、交換可能に使用され、任意のTLR4タンパク質活性を有する任意のToll様受容体4ペプチドまたはポリペプチドを指す。TLR4はまた、CD284(分化抗原群284)と指定されている。Toll様受容体4(またはより具体的にはヒトTLR4)は、配列番号2〜4と同じまたは実質的に同じアミノ酸配列を有し得る。
【0187】
本明細書において使用される場合、「TLR2およびTLR4をコード化するヌクレオチド配列」という用語は、それぞれTLR2およびTLR4タンパク質またはその一部をコード化するヌクレオチド配列を意味する。「TLR2およびTLR4をコード化するヌクレオチド配列」という用語はまた、TLR2およびTLR4コード化配列、例えばTLR2およびTLR4アイソフォーム、変異TLR2およびTLR4遺伝子、TLR2およびTLR4遺伝子のスプライス変異、ならびにTLR2およびTLR4遺伝子多型をも含むように意図される。TLR2およびTLR4をコード化する核酸配列は、TLR2およびTLR4をコード化するmRNA配列を含み、これらはまたTLR2 mRNAおよびTLR4 mRNAとも呼ばれ得る。ヒトTLR2の例示的配列は、配列番号1である。ヒトTLR4 mRNAの例示的配列は、配列番号2、配列番号3および配列番号4である。
【0188】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される阻害剤または治療薬剤は、TLR2およびTLR4から選択される遺伝子および/または遺伝子産物の発現および/または機能を下方制御または阻害することができる分子、化合物を含む。好ましくは、治療薬剤は、有機小分子、タンパク質、抗体またはその断片、ペプチド、ペプチド模倣薬および核酸分子からなる群から独立して選択される。
【0189】
抗体の例は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化またはヒト抗体、およびそれらの抗原結合性断片を含む。TLR2結合性抗体の例は、TLR2に対して惹起された抗ヒトTLR2抗体、マウスモノクローナル抗ヒトTLR2、ウサギ抗ヒトTLR2、ヤギ抗ヒトTLR2等である。
【0190】
抗体の例は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化またはヒト抗体、およびそれらの抗原結合性断片を含む。TLR4結合性抗体の例は、TLR4に対して惹起された抗ヒトTLR4抗体、マウスモノクローナル抗ヒトTLR4、ウサギ抗ヒトTLR4、ヤギ抗ヒトTLR4等である。
【0191】
いくつかの実施形態において、本開示の阻害剤または治療薬剤は、ペプチドを含む。「ペプチド」という用語は、本明細書において使用される場合、約2個から90個のアミノ酸残基からなる化合物を指し、1個のアミノ酸のアミノ基は、別のアミノ酸のカルボキシル基にペプチド結合により結合している。好ましいペプチド配列は、十分な程度まで細胞膜を通過し得るように、短く(例えば、3個から20個のアミノ酸の長さ)、親油性である。ペプチドは、例えば、酵素的または化学的な切断により、天然タンパク質から得られる、もしくは取り出されてもよく、または、従来のペプチド合成技術(例えば、固相合成)、もしくは分子生物学的技術を使用して調製されてもよい(Sambrook, J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)を参照されたい)。「ペプチド」は、任意の好適なL−および/またはD−アミノ酸、例えば、一般的なo−アミノ酸(例えば、アラニン、グリシン、バリン)、非α−アミノ酸(例えば、β−アラニン、4−アミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、サルコシン、スタチン)、および異常アミノ酸(例えば、シトルリン、ホモシトルリン、ホモセリン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン)を含み得る。ペプチド上のアミノ、カルボキシルおよび/または他の官能基は、自由(例えば非修飾)であってもよく、または、好適な保護基で保護されていてもよい。アミノおよびカルボキシル基の好適な保護基、ならびに保護基の付加または除去のための手段は、当該技術分野において知られており、例えば、Green and Wuts, ”Protecting Groups in Organic Synthesis”, John Wiley and Sons, 1991に開示されている。また、ペプチドの官能基は、当該技術分野において知られた方法を用いて誘導体化(例えば、アルキル化)されていてもよい。
【0192】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される阻害剤または治療薬剤は、ペプチド模倣薬を含む。「ペプチド模倣薬」という用語は、本明細書において使用される場合、ポリペプチドではないが、その構造の外観を模倣し、TLR2またはTLR4を阻害し得るペプチドと同じ官能基を有する分子を指す。ペプチド模倣薬は、例えば、TLR2またはTLR4のペプチド阻害剤を特定し、例えば安定性または活性を増加させることによりペプチドの特性を有利に改質するアミノ酸置換を使用して修飾することにより設計される。
【0193】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される阻害剤または治療薬剤は、核酸分子を含む。本明細書において使用される場合、「核酸分子」または「核酸」は、交換可能に使用され、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを指す。「核酸分子」の多様性が、本明細書においてより詳細に説明される。核酸分子は、本明細書に記載の修飾核酸分子および非修飾核酸分子の両方を包含する。核酸分子は、任意の組み合わせのデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を含み得る。
【0194】
本明細書において使用される場合、「ヌクレオチド」という用語は、糖(またはその類似体、または修飾糖)、ヌクレオチド塩基(またはその類似体、または修飾塩基)、およびリン酸基(またはその類似体、または修飾リン酸基)を有する化学部分を指す。ヌクレオチドは、本明細書に記載の修飾ヌクレオチドまたは非修飾ヌクレオチドの両方を包含する。本明細書において使用される場合、ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド(例えば、非修飾デオキシリボヌクレオチド)、リボヌクレオチド(例えば、非修飾リボヌクレオチド)、および修飾ヌクレオチド類似体を含み得、中でもロックされた核酸およびロックされていない核酸、ペプチド核酸、L−ヌクレオチド(ミラーヌクレオチドとも呼ばれる)、エチレン架橋核酸(ENA)、アラビノシド、PACE、6炭素糖を有するヌクレオチド、ならびに非ヌクレオチドとみなされることが多いヌクレオチド類似体(脱塩基ヌクレオチドを含む)を含む。いくつかの実施形態において、ヌクレオチドは、当該技術分野において知られた任意の修飾、および/または本明細書に記載の修飾等の任意の修飾により、糖、ヌクレオチド塩基および/またはリン酸基において修飾されてもよい。「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」は、本明細書において使用される場合、結合したヌクレオチドの鎖を指し、ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドは、同様に、当該技術分野において周知であるように、および/または本明細書において開示されるように、ヌクレオチド糖、ヌクレオチド塩基およびリン酸骨格において修飾を有してもよい。
【0195】
本明細書において使用される場合、「低分子干渉核酸」、「siNA」、または「低分子干渉核酸分子」という用語は、遺伝子発現またはウイルス複製を調整することができる任意の核酸分子を指す。好ましくは、siNAは、遺伝子発現またはウイルス複製を阻害または下方制御する。siNAは、限定されることなく、配列特異的RNA干渉(RNAi)を媒介することができる核酸分子、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖NA(dsNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉オリゴヌクレオチド、低分子干渉核酸、低分子干渉修飾オリゴヌクレオチド、化学修飾siRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)等を含む。本明細書において使用される場合、「低分子干渉核酸」、「siNA」、または「低分子核酸分子」は、本明細書の他の箇所でより詳細に説明される意味を有する。
【0196】
本明細書において使用される場合、「相補的」という用語は、核酸が、従来のワトソン−クリックまたは他の非従来的な種類により別の核酸配列と水素結合(複数を含む)を形成し得ることを意味する。本明細書に開示される核酸分子に関して、核酸分子のその相補的配列との結合自由エネルギーは、核酸の関連機能、例えばRNAi活性を進行させるのに十分である。核酸分子の結合自由エネルギーの決定は、当該技術分野において周知である(例えば、Turner et al., 1987, CSH Symp. Quant. Biol. LII pp. 123−133; Frier et al., 1986, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 83:9373−9377; Turner et al., 1987, J. Am. Chem. Soc. 109:3783−3785を参照されたい)。相補性パーセントは、第2の核酸配列と水素結合(例えば、ワトソン−クリック塩基対)を形成し得る核酸分子における連続残基のパーセンテージを示す(例えば、第1のオリゴヌクレオチドにおける全部で10個のヌクレオチドのうち、10個のヌクレオチドを有する第2の核酸配列に対し塩基対形成している5、6、7、8、9、または10個のヌクレオチドは、それぞれ50%、60%、70%、80%、90%、および100%相補的であることを表す)。「完全に相補的」とは、核酸配列の全ての連続残基が、第2の核酸配列における同数の連続残基と水素結合を形成することを意味する。一実施形態において、本明細書に開示される核酸分子は、1つ以上の標的核酸分子またはその一部に相補的な、約15個から約35個以上(例えば、約15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個または35個以上)のヌクレオチドを含む。
【0197】
本明細書において使用される場合、「センス領域」という用語は、dsNA分子のアンチセンス領域に(部分的または完全に)相補的なdsNA分子のヌクレオチド配列を指す。dsNA分子のセンス鎖は、標的核酸配列との相同性を有する核酸配列を含み得る。本明細書において使用される場合、「センス鎖」は、センス領域を含み、また追加のヌクレオチドを含み得る核酸分子を指す。センス鎖は、17から40ヌクレオチドの間の長さ、例えば、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40ヌクレオチドの長さであってもよい。
【0198】
本明細書において使用される場合、「アンチセンス領域」という用語は、標的核酸配列、好ましくは標的mRNAに(部分的または完全に)相補的なdsNA分子のヌクレオチド配列を指す。dsNA分子のアンチセンス鎖は、任意選択で、dsNA分子のセンス領域に相補的な核酸配列を含み得る。本明細書において使用される場合、「アンチセンス鎖」は、アンチセンス領域を含み、また追加のヌクレオチドを含み得る核酸分子を指す。アンチセンス鎖は、17から40ヌクレオチドの間の長さ、例えば、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40ヌクレオチドの長さであってもよい。
【0199】
本明細書において使用される場合、「実質的に相補的」という用語は、アンチセンス鎖が、センス鎖または標的mRNA等のオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列に相補的でない1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のヌクレオチドを含むことを意味する。いくつかの実施形態において、アンチセンス鎖は、対になっていない、すなわちセンス鎖または標的mRNAにおいて対応する相補的ヌクレオチドを有さない、1個、2個、または3個のヌクレオチドを含み得る。
【0200】
本明細書において使用される場合、「RNA」という用語は、少なくとも1つのリボヌクレオチド残基を含む分子を指す。
【0201】
本明細書において使用される場合、「二重鎖領域」という用語は、ワトソン−クリック塩基対形成、または相補的もしくは実質的に相補的なオリゴヌクレオチド鎖間の二重鎖を可能とする任意の他の様式により互いと塩基対を形成する、2つの相補的または実質的に相補的なオリゴヌクレオチドにおける領域を指す。例えば、21ヌクレオチド単位を有するオリゴヌクレオチド鎖は、21ヌクレオチド単位の別のオリゴヌクレオチドと塩基対を形成することができるが、「二重鎖領域」が19塩基対からなるように、各鎖の19塩基のみが相補的または実質的に相補的である。残りの塩基対は、例えば、5’および3’オーバーハングとして存在し得る。さらに、二重鎖領域内では100%の相補性は必要ではなく、二重鎖領域内では実質的な相補性が許容される。実質的な相補性とは、鎖が生物学的条件下でアニール可能であるような鎖間の相補性を指す。2つの鎖が生物学的条件下でアニール可能であるかどうかを実験的に決定するための技術は、当該技術分野において周知である。代替として、2つの鎖を合成し、生物学的条件下で共に加えて、それらが互いにアニールするかどうかを決定することができる。
【0202】
本明細書において使用される場合、「非塩基対形成ヌクレオチド類似体」という用語は、6デスアミノアデノシン(ネブラリン)、4−Me−インドール、3−ニトロピロール、5−ニトロインドール、Ds、Pa、N3−MeリボU、N3−MeリボT、N3−Me dC、N3−Me−dT、N1−Me−dG、N1−Me−dA、N3−エチル−dC、N3−Me dCを含むがこれらに限定されない、非塩基対形成部分を含むヌクレオチド類似体を意味する。いくつかの実施形態において、非塩基対形成ヌクレオチド類似体は、リボヌクレオチドである。他の実施形態において、非塩基対形成ヌクレオチド類似体は、デオキシリボヌクレオチドである。
【0203】
本明細書において使用される場合、「末端官能基」という用語は、限定されることなく、ハロゲン、アルコール、アミン、カルボン酸、エステル、アミド、アルデヒド、ケトン、エーテル基を含む。
【0204】
「脱塩基ヌクレオチド」または「脱塩基ヌクレオチド類似体」は、本明細書において使用される場合、本明細書および当該技術分野において、しばしば偽ヌクレオチドまたは非定型部分とも称され得る。ヌクレオチドは、一般的にリボースまたはデオキシリボース糖、ホスフェート、および塩基(DNAにおけるアデニン、グアニン、チミン、またはシトシン、RNAにおけるアデニン、グアニン、ウラシルまたはシトシン)からなる、核酸のモノマー単位であるが、脱塩基または偽ヌクレオチドは、塩基を有さず、したがって厳密には、当該技術分野においてこの用語が一般的に使用されるようなヌクレオチドではない。脱塩基デオキシリボース部分は、例えば、脱塩基デオキシリボース−3’−ホスフェート、1,2−ジデオキシ−D−リボフラノース−3−ホスフェート、1,4−アンヒドロ−2−デオキシ−D−リビトール−3−ホスフェートを含む。反転脱塩基デオキシリボース部分は、反転デオキシリボ脱塩基、3’,5’反転デオキシ脱塩基5’−ホスフェートを含む。
【0205】
「キャッピング部分」(または「z」)という用語は、本明細書において使用される場合、センス鎖の5’末端((N’)y)に共有結合し得る部分を含み、脱塩基リボース部分、脱塩基デオキシリボース部分、2’Oアルキル修飾を含む脱塩基リボースおよび脱塩基およびデオキシリボース部分に対する修飾、反転脱塩基リボースおよび脱塩基デオキシリボース部分ならびにそれらの修飾、C6−イミノ−Pi、L−DNAおよびL−RNAを含むミラーヌクレオチド、5’OMeヌクレオチド、ならびに4’,5’−メチレンヌクレオチドを含むヌクレオチド類似体、1−(β−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、カルボン酸ヌクレオチド、5’−アミノ−アルキルホスフェート、1,3−ジアミノ−2−プロピルホスフェート、3−アミノプロピルホスフェート、6−アミノヘキシルホスフェート、12−アミノドデシルホスフェート、ヒドロキシプロピルホスフェート、1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド、アルファ−ヌクレオチド、トレオ−ペントフラノシルヌクレオチド、非環式3’,4’−セコヌクレオチド、3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド、3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5’−5’−反転脱塩基部分、1,4−ブタンジオールホスフェート、5’−アミノ、ならびに架橋または非架橋メチルホスホネートおよび5’−メルカプト部分を含む。
【0206】
ある特定のキャッピング部分は、脱塩基リボースまたは脱塩基デオキシリボース部分、反転脱塩基リボースまたは反転脱塩基デオキシリボース部分、C6−アミノ−Pi、L−DNAおよびL−RNAを含むミラーヌクレオチドであってもよい。本明細書に開示されるような核酸分子は、1つ以上の反転ヌクレオチド、例えば反転チミジンまたは反転アデニンを使用して合成することができる(例えば、Takei, et al., 2002. JBC 277(26):23800−06を参照されたい)。
【0207】
構造(A1)および構造(A2)のいくつかの実施形態において、ZまたはZ’のうちの少なくとも1つが存在し、それが存在する鎖に共有結合した少なくとも2つの非ヌクレオチド部分を含む。いくつかの実施形態において、ZおよびZ’のそれぞれは、独立して、C3アルキル、C3アルコールまたはC3エステル部分を含む。いくつかの実施形態において、Z’は存在せず、Zは存在し、非ヌクレオチドC3部分を含む。いくつかの実施形態において、Zは存在せず、Z’は存在し、非ヌクレオチドC3部分を含む。例となる非ヌクレオチド部分は、以下に示されるアルキルおよび修飾アルキル部分を含む。
【化1】
【0208】
構造(A1)および(A2)のいくつかの実施形態において、NおよびN’のそれぞれは、非修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、NまたはN’のうちの少なくとも1つは、化学修飾ヌクレオチドまたは非定型部分を含む。いくつかの実施形態において、非定型部分は、ミラーヌクレオチド、脱塩基リボース部分および脱塩基デオキシリボース部分から選択される。いくつかの実施形態において、非定型部分は、ミラーヌクレオチド、好ましくはL−デオキシリボヌクレオチド(L−DNA)部分である。いくつかの実施形態において、NまたはN’の少なくとも1つは、2’−OMe糖修飾リボヌクレオチドを含む。
【0209】
「非定型部分」という用語は、本明細書において使用される場合、脱塩基部分、反転脱塩基部分、炭化水素(アルキル)部分およびそれらの誘導体を含む非ヌクレオチド部分を指し、デオキシリボヌクレオチド、修飾デオキシリボヌクレオチド、ミラーヌクレオチド(L−DNAまたはL−RNA)、非塩基対形成ヌクレオチド類似体および2’−5’ヌクレオチド間リン酸結合により隣接ヌクレオチドに繋がったヌクレオチド、LNAおよびエチレン架橋核酸を含む架橋核酸、結合修飾(例えば、PACE)および塩基修飾ヌクレオチド、ならびに本明細書において非定型部分と明示的に開示される追加的部分をさらに含む。
【0210】
本明細書において使用される場合、遺伝子発現に関する「阻害」、「下方制御」または「低減」という用語は、標的遺伝子の発現、または1つ以上のタンパク質もしくはタンパク質サブユニットをコード化するRNA分子もしくは等価RNA分子(例えば、mRNA)のレベル、または1つ以上のタンパク質もしくはタンパク質サブユニットの活性が、阻害因子(例えば本明細書に記載のような構造的特徴を有するdsNA等の核酸分子)の非存在下で観察されるものより下に低減されることを意味し、例えば、発現は、阻害剤の非存在下で観察されるものの90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%またはそれ未満まで低減され得る。
RNA干渉およびdsNA核酸分子
【0211】
RNA干渉は、低分子干渉RNA(siRNA)により媒介される、動物における配列特異的転写後遺伝子サイレンシングのプロセスを指す(Zamore et al., 2000, Cell, 101, 25−33; Fire et al., 1998, Nature, 391, 806; Hamilton et al., 1999, Science, 286, 950−951; Lin et al., 1999, Nature, 402, 128−129; Sharp, 1999, Genes & Dev., 13:139−141;およびStrauss, 1999, Science, 286, 886)。植物における対応するプロセス(Heifetz et al., 国際PCT公開番号WO99/61631)は、しばしば転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)またはRNAサイレンシングと呼ばれる。転写後遺伝子サイレンシングのプロセスは、外来遺伝子の発現を防止するために使用される進化的に保存された細胞防御メカニズムと考えられている(Fire et al., 1999, Trends Genet., 15, 358)。そのような外来遺伝子からの保護は、相同的一本鎖RNAまたはウイルスゲノムRNAを特異的に破壊する細胞応答を介して、ウイルス感染または宿主ゲノムへのトランスポゾン要素のランダム統合から得られる二本鎖RNA(dsRNA)の産生に対する応答において形成されている可能性がある。細胞内のdsRNAの存在は、まだ完全に特性決定する余地のあるメカニズムによりRNAi応答を誘発する。このメカニズムは、二本鎖RNA特異的リボヌクレアーゼが関与する他の知られたメカニズム、例えば、リボヌクレアーゼLによるmRNAの非特異的切断をもたらすタンパク質キナーゼPKRおよび2’,5’−オリゴアデニレートシンセターゼのdsRNA媒介活性化からもたらされるインターフェロン応答等とは異なるようである(例えば、米国特許第6,107,094号;米国特許第5,898,031号;Clemens et al., 1997, J. Interferon & Cytokine Res., 17, 503−524;Adah et al., 2001, Curr. Med. Chem., 8, 1189を参照されたい)。
【0212】
細胞内の高分子dsRNAの存在は、ダイサーと呼ばれるリボヌクレアーゼIII酵素の活性を刺激する(Bass, 2000, Cell, 101, 235;Zamore et al., 2000, Cell, 101, 25−33;Hammond et al., 2000, Nature, 404, 293)。ダイサーは、低分子干渉RNA(siRNA)として知られるdsRNAの低分子片へのdsRNA処理に関与する(Zamore et al., 2000, Cell, 101, 25−33;Bass, 2000, Cell, 101, 235;Berstein et al., 2001, Nature, 409, 363)。ダイサー活性から得られる低分子干渉RNAは、典型的には、約21から約23ヌクレオチドの長さであり、約19個の塩基対二重鎖を含む(Zamore et al., 2000, Cell, 101, 25−33;Elbashir et al., 2001, Genes Dev., 15, 188)。ダイサーはまた、翻訳制御に関連する、保存された構造のRNA前駆体からの21および22ヌクレオチド小分子RNA(stRNA)の切除に関連している(Hutvagner et al., 2001, Science, 293, 834)。また、RNAi応答は、siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な配列を有する一本鎖RNAの切断を媒介する、一般にRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれるエンドヌクレアーゼ複合体を特徴とする。標的RNAの切断は、siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な領域の中間で生じる(Elbashir et al., 2001, Genes Dev., 15, 188)。
【0213】
RNAiは、様々な系で研究されている。Fire et al., 1998, Nature, 391, 806で、C. elegansにおいて初めてRNAiが観察された。Bahramian and Zarbl, 1999, Molecular and Cellular Biology, 19, 274−283およびWianny and Goetz, 1999, Nature Cell Biol., 2, 70では、哺乳動物系におけるdsRNAにより媒介されたRNAiが説明されている。Hammond et al., 2000, Nature, 404, 293では、dsRNAが導入されたショウジョウバエ細胞におけるRNAiが説明されている。Elbashir et al., 2001, Nature, 411, 494およびTuschl et al., 国際PCT公開番号WO01/75164では、ヒト胎児腎臓およびHeLa細胞を含む培養された哺乳動物細胞への合成21ヌクレオチドRNAの二重鎖の導入により誘導されたRNAiが説明されている。ショウジョウバエ胚細胞溶解物における最近の研究(Elbashir et al., 2001, EMBO J., 20, 6877およびTuschl et al., 国際PCT公開番号WO01/75164)は、効率的なRNAi活性を媒介するために不可欠なsiRNAの長さ、構造、化学組成、および配列のある特定の要件を明らかにしている。
【0214】
核酸分子(例えば、本明細書に開示されるような構造的特徴を有する)は、配列特異的にRNA干渉「RNAi」または遺伝子サイレンシングを媒介することにより、遺伝子発現またはウイルス複製を阻害または下方制御することができる(例えば、Zamore et al., 2000, Cell, 101, 25−33;Bass, 2001, Nature, 411, 428−429;Elbashir et al., 2001, Nature, 411, 494−498;およびKreutzer et al., 国際PCT公開番号WO00/44895;Zernicka−Goetz et al., 国際PCT公開番号WO01/36646;Fire, 国際PCT公開番号WO99/32619;Plaetinck et al., 国際PCT公開番号WO00/01846;Mello and Fire, 国際PCT公開番号WO01/29058;Deschamps−Depaillette, 国際PCT公開番号WO99/07409;およびLi et al., 国際PCT公開番号WO00/44914;Allshire, 2002, Science, 297, 1818−1819;Volpe et al., 2002, Science, 297, 1833−1837;Jenuwein, 2002, Science, 297, 2215−2218;およびHall et al., 2002, Science, 297, 2232−2237;Hutvagner and Zamore, 2002, Science, 297, 2056−60;McManus et al., 2002, RNA, 8, 842−850;Reinhart et al., 2002, Gene & Dev., 16, 1616−1626;およびReinhart & Bartel, 2002, Science, 297, 1831を参照されたい)。
【0215】
二本鎖核酸分子は、2つの別個のポリヌクレオチド鎖から組み立てることができ、一方の鎖はセンス鎖であり、他方はアンチセンス鎖であり、アンチセンスおよびセンス鎖は、自己相補的であり(すなわち、各鎖は、他の鎖におけるヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む)、例えば、アンチセンス鎖およびセンスは、提供されるような核酸分子に関して本明細書に記載のような任意の長さおよび構造を有する二重鎖または二本鎖構造を形成し、例えば、二本鎖領域(二重鎖領域)は、約15から約40(例えば、約17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40塩基対)であり、アンチセンス鎖は、標的核酸分子(すなわち、TLR2およびTLR4 mRNA)におけるヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列を含む(例えば、本明細書における核酸分子の約17から約40ヌクレオチドが、標的核酸またはその一部に相補的である)。
【0216】
ある特定の態様および実施形態において、本明細書で提供される核酸分子(例えば、dsNA分子)は、「RISC長」分子であってもよく、または以下でより詳細に説明されるようなダイサー基質であってもよい。
【0217】
dsNA核酸分子は、別個のセンスおよびアンチセンス配列または領域を含み得、センスおよびアンチセンス領域は、当該技術分野において知られているようにヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカー分子により共有結合しているか、または代替として、イオン相互作用、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、および/またはスタッキング相互作用により非共有結合している。核酸分子は、標的遺伝子または標的mRNAのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み得る。核酸分子は、標的遺伝子の発現の阻害をもたらす様式で、標的遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用し得る。
【0218】
代替として、dsNA核酸分子は、単一のポリヌクレオチドから組み立てられるが、核酸分子の自己相補的センスおよびアンチセンス領域は、核酸ベースまたは非核酸ベースリンカー(複数を含む)を用いて結合し、すなわち、アンチセンス鎖およびセンス鎖は、折り重なって二重鎖領域を形成する(例えば、当該技術分野において周知の「ヘアピン」構造を形成する)アンチセンス領域およびセンス領域を有する1つの単一ポリヌクレオチドの一部である。そのようなdsNA核酸分子は、自己相補的センスおよびアンチセンス領域を有する、二重鎖、非対称二重鎖、ヘアピンまたは非対称ヘアピン二次構造を持つポリヌクレオチドであってもよく、アンチセンス領域は、別個の標的核酸分子(例えば、TLR2 mRNAもしくはTLR4 mRNA)におけるヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域は、標的核酸配列(すなわち、TLR2 mRNAの配列またはTLR4 mRNAの配列)に対応するヌクレオチド配列を有する。そのようなdsNA核酸分子は、2つ以上のループ構造ならびに自己相補的センスおよびアンチセンス領域を含むステムを有する環状一本鎖ポリヌクレオチドであってもよく、アンチセンス領域は、標的核酸分子(例えば、TLR2 mRNAもしくはTLR4 mRNA)におけるヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域は、標的核酸配列(例えば、TLR2 mRNAもしくはTLR4 mRNA)またはその一部に対応するヌクレオチド配列を有し、環状ポリヌクレオチドは、in vivoまたはin vitroで処理されて、RNAiを媒介することができる活性核酸分子を生成し得る。
核酸分子の化学修飾
【0219】
ある特定の態様および実施形態において、本明細書で提供される方法は、核酸治療薬剤を利用する。本明細書で提供される核酸分子(例えば、dsNA分子)は、1つ以上の修飾(または化学修飾)を含む。理論に束縛されないが、化学修飾は、核酸分子に、ヌクレアーゼ安定性、低減された標的外活性および/または低減された免疫刺激を含む有益な特性を付与する。ある特定の実施形態において、そのような修飾は、分子を標準的な(すなわち、標準的なアデニン、シトシン、ウラシル、またはグアニン部分を含む)リボヌクレオチドまたはRNA分子(これらは「非修飾」リボヌクレオチドまたは非修飾リボ核酸と呼ぶことができる)とは異なるものとする、核酸分子またはポリヌクレオチドに対する任意の変更を含む。アデニン、シトシン、チミン、またはグアニン部分により表される2’−デオキシ糖を有する従来のDNA塩基およびポリヌクレオチドは、「非修飾デオキシリボヌクレオチド」または「非修飾デオキシリボ核酸」と呼ぶことができ、したがって、「非修飾ヌクレオチド」または「非修飾核酸」という用語は、本明細書において使用される場合、異なるように明示されない限り、「非修飾リボヌクレオチド」または「非修飾リボ核酸」を指す。そのような修飾は、ポリヌクレオチドのヌクレオチド糖、ヌクレオチド塩基、ヌクレオチドリン酸基および/またはリン酸骨格に存在し得る。
【0220】
ある特定の実施形態において、本明細書に開示されるような修飾は、dsNA分子のRNAi活性を増加させるために、および/またはdsNA分子のin vivo安定性、特に血清中での安定性を増加させるために、および/またはdsNA分子のバイオアベイラビリティを増加させるために使用され得る。修飾の限定されない例は、限定されることなく、ヌクレオチド間もしくはヌクレオシド間結合、二本鎖核酸分子の任意の位置および鎖におけるデオキシリボヌクレオチドもしくはジデオキシリボヌクレオチド、好ましくはアミノ、フルオロ、メトキシ、アルコキシおよびアルキルから選択される修飾を2’位に有する核酸(例えば、リボ核酸)、2’−デオキシリボヌクレオチド、2’−O−メチルリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロリボヌクレオチド、「ユニバーサル塩基」ヌクレオチド、「非環式」ヌクレオチド、5−C−メチルヌクレオチド、ビオチン基、ならびに末端グリセリルおよび/または反転デオキシ脱塩基残基組み込み、立体障害分子、例えば蛍光分子等を含む。他のヌクレオチド修飾剤は、3’−デオキシアデノシン(コルジセピン)、3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)、2’,3’−ジデオキシイノシン(ddI)、2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン(3TC)、2’,3’−ジデヒドロ−2’,3’−ジデオキシチミジン(d4T)、ならびに3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)、2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン(3TC)および2’,3’−ジデヒロド−2’,3’−ジデオキシチミジン(d4T)のモノホスフェートヌクレオチドを含み得る。様々な修飾に関するさらなる詳細は、以下でより詳細に説明される。
【0221】
ノーザン配置を有する化学修飾ヌクレオチドの限定されない例は、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド(例えば、2’−O,4’−C−メチレン−(D−リボフラノシル)ヌクレオチド)、2’−メトキシエトキシ(MOE)ヌクレオチド、2’−メチル−チオ−エチル、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−クロロヌクレオチド、2’−アジドヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドを含む。ロックされた核酸、またはLNAは、例えば、Elman et al., 2005; Kurreck et al., 2002;Crinelli et al., 2002;Braasch and Corey, 2001;Bondensgaard et al., 2000;Wahlestedt et al., 2000;ならびに国際特許公開番号WO00/47599、WO99/14226、およびWO98/39352およびWO2004/083430に記載されている。本明細書で提供される治療薬剤の一実施形態において、LNAは、核酸分子のセンス鎖の5’末端に組み込まれる。
【0222】
化学修飾はまた、C2’−C3’結合が存在しない非ヌクレオチド非環式類似体であるロックされていない核酸、またはUNAを含む(UNAは真のヌクレオチドではないが、それらは本明細書において企図される「修飾」ヌクレオチドまたは修飾核酸の範囲に明示的に含まれる)。例となるUNAは、Nucleic Acids Symposium Series No. 52 p. 133−134 (2008)に開示されている。ある特定の実施形態において、本明細書に記載のような核酸分子(例えば、siNA分子)は、1つ以上のUNAまたは1つのUNAを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のような核酸分子(例えば、siNA分子)は、3’オーバーハングに1つまたは2つのUNAを含む3’オーバーハングを有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のような核酸分子(例えば、siNA分子)は、UNA(例えば、1つのUNA)をアンチセンス鎖に、例えばアンチセンス鎖の6位または7位に含む。
【0223】
また、化学修飾は、例えば本明細書に開示されるような非塩基対形成ヌクレオチド類似体を含む。化学修飾は、さらに、本明細書に開示されるような非定型部分を含む。
【0224】
また、化学修飾は、オリゴヌクレオチドの5’および/または3’部分の末端修飾を含み、キャッピング部分としても知られる。そのような末端修飾は、ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、脂質、ペプチドおよび糖、脱塩基リボース部分および脱塩基デオキシリボース部分から選択される。
【0225】
また、化学修飾は、6員の「六員環ヌクレオチド類似体」を含む。六員環ヌクレオチド類似体の例は、Allart, et al (Nucleosides & Nucleotides, 1998, 17:1523−1526;およびPerez−Perez, et al., 1996, Bioorg. and Medicinal Chem Letters 6:1457−1460)に開示されている。ヘキシトールおよびアルトリトールヌクレオチドモノマーを含む六員環ヌクレオチド類似体を含むオリゴヌクレオチドが、国際特許出願公開番号WO2006/047842に開示されている。
【0226】
また、化学修飾は、正常な自然発生的ヌクレオチドと比較して反転したキラリティを有する「ミラー」ヌクレオチドを含み、すなわちミラーヌクレオチドは、自然発生のD−ヌクレオチドの「L−ヌクレオチド」類似体であり得る(米国特許第6,602,858号を参照されたい)。ミラーヌクレオチドは、さらに、少なくとも1つの糖もしくは塩基修飾および/または骨格修飾、例えば、本明細書に記載のように、ホスホロチオエートまたはホスホネート部分等を含み得る。米国特許第6,602,858号は、少なくとも1つのL−ヌクレオチド置換を含む核酸触媒を開示している。ミラーヌクレオチドは、例えば、L−DNA(L−デオキシリボアデノシン−3’−ホスフェート(ミラーdA)、L−デオキシリボシチジン−3’−ホスフェート(ミラーdC)、L−デオキシリボグアノシン−3’−ホスフェート(ミラーdG)、L−デオキシリボチミジン−3’−ホスフェート(鏡像dT))およびL−RNA (L−リボアデノシン−3’−ホスフェート(ミラーrA)、L−リボシチジン−3’−ホスフェート(ミラーrC)、L−リボグアノシン−3’−ホスフェート(ミラーrG)、L−リボウラシル−3’−ホスフェート(ミラーdU)を含む。
【0227】
いくつかの実施形態において、修飾リボヌクレオチドは、修飾デオキシリボヌクレオチド、例えば5’末端位置(位置番号1)におけるヌクレオチドとして有用となり得る5’OMe DNA(5−メチル−デオキシリボグアノシン−3’−ホスフェート)、PACE(デオキシリボアデニン3’ホスホノアセテート、デオキシリボシチジン3’ホスホノアセテート、デオキシリボグアノシン3’ホスホノアセテート、デオキシリボチミジン3’ホスホノアセテートを含む。
【0228】
修飾は、本明細書に開示される核酸分子の1つ以上の鎖、例えばセンス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖に存在してもよい。ある特定の実施形態において、アンチセンス鎖は修飾を含み得、センス鎖は非修飾リボヌクレオチドのみを含み得る。
核酸塩基
【0229】
本明細書に開示される核酸の核酸塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、ウリジン等の非修飾リボヌクレオチド(プリンおよびピリミジン)を含み得る。一方または両方の鎖における核酸塩基は、天然および合成核酸塩基、例えば、チミン、キサンチン、ヒポキサンチン、イオノシン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよび他のアルキル誘導体、任意の「ユニバーサル塩基」ヌクレオチド、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシン、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(シュードウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、アミノ、チオール、チオアルキル、ヒドロキシルおよび他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−トリフルオロメチルおよび他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニン、デアザプリン、プリンおよびピリミジンの複素環置換類似体、例えば、アミノエチオキシフェノキサジン、プリンおよびピリミジンの誘導体(例えば、1−アルキル−、1−アルケニル−、ヘテロ芳香族−および1−アルキニル誘導体)ならびにそれらの互変異性体、8−オキソ−N
6−メチルアデニン、7−ジアザキサンチン、5−メチルシトシン、5−メチルウラシル、5−(1−プロピニル)ウラシル、5−(1−プロピニル)シトシンおよび4,4−エタノシトシン)で修飾され得る。好適な塩基の他の例は、非プリニルおよび非ピリミジニル塩基、例えば2−アミノピリジンおよびトリアジンを含む。
糖部分
【0230】
本明細書に開示される核酸の糖部分は、いかなる修飾も有さない2’−ヒドロキシル−ペントフラノシル糖部分を含み得る。代替として、糖部分は、例えば、2’−デオキシ−ペントフラノシル糖部分、D−リボース、ヘキソース、ペントフラノシル糖部分の2’位における修飾、例えば2’−O−アルキル(2’−O−メチルおよび2’−O−エチルを含む)、すなわち、2’−アルコキシ、2’−アミノ、2’−O−アリル、2’−S−アルキル、2’−ハロゲン(2’−フルオロ、クロロ、およびブロモを含む)、2’−メトキシエトキシ、2’−O−メトキシエチル、2’−O−2−メトキシエチル、2’−アリルオキシ(-OCH
2CH=CH
2)、2’−プロパルギル、2’−プロピル、エチニル、エテニル、プロペニル、CF、シアノ、イミダゾール、カルボキシレート、チオエート、C
1からC
10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリルもしくはアラルキル、OCF
3、OCN、O−、S−、もしくはN−アルキル、O−、S、もしくはN−アルケニル、SOCH
3、SO
2CH
3、ONO
2、NO
2、N
3、ヘテロジクロアルキル、ヘテロジクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノまたは置換シリル、中でも、例えば欧州特許EP 0 586 520 B1またはEP 0 618 925 B1に記載のもののように修飾されていてもよい。
【0231】
アルキル基は、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等)、分岐鎖アルキル基(イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル等)、シクロアルキル(脂環式)基(シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族基を含む。ある特定の実施形態において、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格内に6個以下の炭素原子(例えば、直鎖の場合C
1−C
6、分岐鎖の場合C
3−C
6)、より好ましくは4個以下の炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、その環構造内に3〜8個の炭素原子を有してもよく、より好ましくは環構造内に5個または6個の炭素原子を有してもよい。C
1−C
6という用語は、1個から6個の炭素原子を含有するアルキル基を含む。アルキル基は、置換アルキル基、例えば、炭化水素骨格の1つ以上の炭素上の水素を置き換える置換基を有するアルキル部分であってもよい。そのような置換基は、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を含み得る。
【0232】
アルコキシ基は、酸素原子に共有結合した置換および非置換アルキル、アルケニル、およびアルキニル基を含む。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ、およびペントキシ基を含む。置換アルコキシ基の例は、ハロゲン化アルコキシ基を含む。アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分等の基で置換されていてもよい。ハロゲン置換アルコキシ基の例は、これらに限定されないが、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ等を含む。
【0233】
いくつかの実施形態において、ペンタフロノシル環は、ペンタフロノシル環のC2′−C3′結合を有さない非環式誘導体で置き換えられていてもよい。例えば、非環式ヌクレオチドは、dNMPにおいて通常存在する2’−デオキシリボフラノシル糖を、2−ヒドロキシエトキシメチル基で置換し得る。
【0234】
ハロゲンは、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素を含む。
骨格
【0235】
本明細書に開示される核酸のヌクレオシドサブユニットは、ホスホジエステル結合により互いに結合していてもよい。ホスホジエステル結合は、任意選択で、他の結合により置換されていてもよい。例えば、ホスホロチオエート、チオホスフェート−D−リボースの実体、トリエステル、チオエート、2’−5’架橋骨格(5’−2’と呼ぶこともできる)、PACE、3’−(または−5’)デオキシ−3’−(または−5’)チオ−ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレネート、3’−(または−5’)デオキシホスフィネート、ボラノホスフェート、3’−(または−5’)デオキシ−3’−(または−5’)アミノホスホロアミデート、ホスホン酸水素、ホスホネート、ボラノリン酸エステル、ホスホロアミデート、アルキルまたはアリールホスホネートおよびホスホトリエステル修飾、例えばアルキルホスホトリエステル、ホスホトリエステルリン結合、5’−エトキシホスホジエステル、P−アルキルオキシホスホトリエステル、メチルホスホネート、および非リン含有結合、例えば、カーボネート、カルバメート、シリル、硫黄、スルホネート、スルホンアミド、ホルムアセタール、チオホルムアセチル、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾおよびメチレンオキシメチルイミノ結合。
【0236】
本明細書に開示される核酸分子は、ペプチド核酸(PNA)骨格を含み得る。PNA骨格は、ペプチド結合により結合した反復N−(2−アミノエチル)−グリシン単位を含む。プリン、ピリミジン、天然および合成塩基等の様々な塩基が、メチレンカルボニル結合により骨格に結合している。
末端リン酸基
【0237】
修飾は、末端リン酸基において形成され得る。異なる安定化化学の限定されない例が、例えば核酸配列の3’−端を安定化するために使用され得るが、(1)[3−3’]−反転デオキシリボース、(2)デオキシリボヌクレオチド、(3)[5’−3’]−3’−デオキシリボヌクレオチド、(4)[5’−3’]−リボヌクレオチド、(5)[5’−3’]−3’−O−メチルリボヌクレオチド、(6)3’−グリセリル、(7)[3’−5’]−3’−デオキシリボヌクレオチド、(8)[3’−3’]−デオキシリボヌクレオチド、(9)[5’−2’]−デオキシリボヌクレオチド、および(10)[5−3’]−ジデオキシリボヌクレオチドを含む。例となる化学修飾末端リン酸基は、以下に示されるものを含む。
[式2]
複合体
【0238】
本明細書において提供されるような修飾ヌクレオチドおよび核酸分子(例えば、dsNA分子)は、複合体、例えば、化学修飾核酸分子に共有結合した複合体を含み得る。複合体の限定されない例は、Vargeese et al., 米国出願第10/427,160号に記載の複合体およびリガンドを含む。複合体は、生分解性リンカーを介して核酸分子(例えば、siNA分子)に共有結合してもよい。複合体分子は、化学修飾核酸分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖の3’−端に結合してもよい。複合体分子は、化学修飾核酸分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖の5’−端に結合してもよい。複合体分子は、化学修飾核酸分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、もしくは両方の鎖の3’−端および5’−端、またはそれらの任意の組み合わせに結合してもよい。一実施形態において、複合体分子は、化学修飾核酸分子の細胞等の生体系への送達を促進する分子を含み得る。別の実施形態において、化学修飾核酸分子に結合した複合体分子は、ポリエチレングリコール、ヒト血清アルブミン、または細胞取込みを媒介し得る細胞受容体のリガンドである。化学修飾核酸分子に結合し得る、本明細書において企図される具体的な複合体分子の例は、Vargeese et al., 米国出願第10/201,394号に記載されている。
リンカー
【0239】
本明細書において提供される核酸分子(例えば、dsNA)分子は、核酸のセンス領域を核酸のアンチセンス領域に繋げるヌクレオチド、非ヌクレオチド、または混合ヌクレオチド/非ヌクレオチドリンカーを含み得る。ヌクレオチドリンカーは、2ヌクレオチド以上の長さであり得、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドの長さであってもよい。ヌクレオチドリンカーは、核酸アプタマーであってもよい。「アプタマー」または「核酸アプタマー」という用語は、本明細書において使用される場合、標的分子に特異的に結合する核酸分子を指し、核酸分子は、その天然の環境において標的分子により認識される配列を含む配列を有する。代替として、アプタマーは、標的分子(例えば、TLR2 mRNAおよびTLR4 mRNA)に結合する核酸分子であってもよく、標的分子は通常核酸に結合しない。例えば、アプタマーは、タンパク質のリガンド結合ドメインに結合し、それにより自然発生的リガンドのタンパク質との相互作用を防止するように使用され得る。これは、限定されない例であり、当業者には、当該技術分野において一般に知られている技術を使用して他の実施形態が容易に形成され得ることが認識される。例えば、Gold et al.; 1995, Annu. Rev. Biochem., 64, 763;Brody and Gold, 2000, J. Biotechnol., 74, 5;Sun, 2000, Curr. Opin. Mol. Ther., 2, 100;Kusser, 2000, J. Biotechnol., 74, 27;Hermann and Patel, 2000, Science, 287, 820;およびJayasena, 1999, Clinical Chemistry, 45, 1628を参照されたい。
【0240】
非ヌクレオチドリンカーは、脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質、ポリ炭化水素、または他のポリマー化合物(例えば、2個から100個のエチレングリコール単位を有するもの等のポリエチレングリコール)を含み得る。具体例は、Seela and Kaiser, Nucleic Acids Res. 1990, 18:6353およびNucleic Acids Res. 1987, 15:3113;Cload and Schepartz, J. Am. Chem. Soc. 1991, 113:6324;Richardson and Schepartz, J. Am. Chem. Soc. 1991, 113:5109;Ma et al., Nucleic Acids Res. 1993, 21:2585およびBiochemistry 1993, 32:1751;Durand et al., Nucleic Acids Res. 1990, 18:6353;McCurdy et al., Nucleosides & Nucleotides 1991, 10:287;Jschke et al., Tetrahedron Lett. 1993, 34:301;Ono et al., Biochemistry 1991, 30:9914;Arnold et al., 国際公開番号WO89/02439;Usman et al., 国際公開番号WO 95/06731号;Dudycz et al., 国際公開番号WO 95/11910ならびにFerentz and Verdine, J. Am. Chem. Soc. 1991, 113:4000により説明されるものを含む。
5’端、3’端およびオーバーハング
【0241】
本明細書に開示される核酸分子(例えば、dsNA分子)は、両端において平滑末端であってもよく、両端にオーバーハングを有してもよく、または平滑およびオーバーハング端の組み合わせであってもよい。オーバーハングは、センスまたはアンチセンス鎖の5’−または3’−端において生じ得る。
【0242】
二本鎖核酸分子(例えば、dsNA)の5’−および/または3’−端は、平滑末端であってもよく、またはオーバーハングを有してもよい。センス鎖またはアンチセンス鎖において、5’−端は平滑末端であってもよく、3’−端はオーバーハングを有する。他の実施形態において、センス鎖またはアンチセンス鎖において、3’−端は平滑末端であってもよく、5’−端はオーバーハングを有する。さらに他の実施形態において、5’−端および3’−端の両方が平滑末端であるか、または5’−端および3’−端の両方がオーバーハングを有する。
【0243】
核酸の一方または両方の鎖の5’−および/または3’−端は、自由ヒドロキシル基を含み得る。任意の核酸分子鎖の5’−および/または3’−端は、化学修飾を含むように修飾されてもよい。そのような修飾は、核酸分子を安定化し得、例えば、3’−端は、核酸分子修飾の存在により増加した安定性を有し得る。端修飾の例(例えば末端キャップ)は、これらに限定されないが、脱塩基、デオキシ脱塩基、反転(デオキシ)脱塩基、グリセリル、ジヌクレオチド、非環式ヌクレオチド、アミノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、CN、CF、メトキシ、イミダゾール、カルボキシレート、チオエート、C
1からC
10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリルまたはアラルキル、OCF
3、OCN、O-、S-、またはN−アルキル、O-、S-、またはN−アルケニル、SOCH
3、SO
2CH
3、ONO
2、NO
2、N
3、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノまたは置換シリル、中でも欧州特許EP586,520およびEP 618,925に記載のもの、ならびに本明細書に開示される他の修飾を含む。
【0244】
核酸分子は、平滑末端、すなわちいかなるオーバーハングヌクレオチドも含まない端を有するもの含む。核酸分子は、1つ以上の平滑末端を含み得る。平滑末端核酸分子は、核酸分子の各鎖に存在するヌクレオチドの数に等しい複数の塩基対を有する。核酸分子は、1つの平滑末端を含み得、例えば、アンチセンス鎖の5’−端およびセンス鎖の3’−端は、いかなるオーバーハングヌクレオチドも有さない。核酸分子は、1つの平滑末端を含み得、例えば、アンチセンス鎖の3’−端およびセンス鎖の5’−端は、いかなるオーバーハングヌクレオチドも有さない。核酸分子は、2つの平滑末端を含み得、例えば、アンチセンス鎖の3’−端およびセンス鎖の5’−端、ならびにアンチセンス鎖の5’−端およびセンス鎖の3’−端は、いかなるオーバーハングヌクレオチドも有さない。平滑末端核酸分子内に存在する他のヌクレオチドは、例えば、核酸分子の活性を調整するために、例えばRNA干渉を媒介するために、ミスマッチ、バルジ、ループ、またはゆらぎ塩基対を含み得る。
【0245】
本明細書において提供される核酸分子(例えば、dsNA分子)のある特定の実施形態において、分子の少なくとも1つの端は、少なくとも1つのヌクレオチドのオーバーハング(例えば、1個から8個のオーバーハングヌクレオチド)を有する。例えば、本明細書に開示される二本鎖核酸分子の一方または両方の鎖は、5’−端または3’−端またはその両方にオーバーハングを有してもよい。オーバーハングは、核酸分子のセンス鎖およびアンチセンス鎖のいずれかまたは両方に存在してもよい。オーバーハングの長さは、1つのヌクレオチドまで小さくてもよく、また1から8ヌクレオチド以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7または8ヌクレオチドまで長くてもよく、いくつかの実施形態において、オーバーハングは、2、3、4、5、6、7または8ヌクレオチドであり、例えば、オーバーハングは、2ヌクレオチドであってもよい。オーバーハングを形成するヌクレオチド(複数を含む)は、デオキシリボヌクレオチド(複数を含む)、リボヌクレオチド(複数を含む)、天然および非天然核酸塩基、または、本明細書に開示されるような糖、塩基もしくはリン酸基において修飾された任意のヌクレオチドを含み得る。二本鎖核酸分子は、5’−および3’−オーバーハングの両方を有してもよい。5’−および3’−端におけるオーバーハングは、異なる長さであってもよい。オーバーハングは、デオキシリボヌクレオチドであってもよい少なくとも1つの核酸修飾を含み得る。1つ以上のデオキシリボヌクレオチドは、5’−末端にあってもよい。核酸分子の各反対鎖の3’−端は、オーバーハングを有さなくてもよく、より好ましくはデオキシリボヌクレオチドオーバーハングではない。1つ以上のデオキシリボヌクレオチドは、3’−末端にあってもよい。dsRNAの各反対鎖の5’−端は、オーバーハングを有さなくてもよく、より好ましくはデオキシリボヌクレオチドオーバーハングではない。鎖の5’−または3’−端におけるオーバーハングは、1個から8個(例えば、約1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個または8個)の不対ヌクレオチドであってもよく、好ましくは、オーバーハングは、2〜3個の不対ヌクレオチドであり、より好ましくは、2個の不対ヌクレオチドである。核酸分子は、約1から約20(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、1、15、16、17、18、19または20)、好ましくは1〜8(例えば、約1、2、3、4、5、6、7または8)ヌクレオチドのオーバーハング端を有する二重鎖核酸分子、例えば、約19塩基対および3’−末端モノヌクレオチド、ジヌクレオチド、またはトリヌクレオチドオーバーハングを有する約21ヌクレオチドの二重鎖を含み得る。本明細書で提供される核酸分子は、平滑末端を有する二重鎖核酸分子を含み得、両端が平滑であるか、または代替として、端の一方が平滑である。本明細書に開示される核酸分子は、1つ以上の平滑末端を含み得、すなわち、平滑末端は、いかなるオーバーハングヌクレオチドも有さない。一実施形態において、平滑末端核酸分子は、核酸分子の各鎖に存在するヌクレオチドの数に等しい複数の塩基対を有する。核酸分子は、1つの平滑末端を含み得、例えば、アンチセンス鎖の5’−端およびセンス鎖の3’−端は、いかなるオーバーハングヌクレオチドも有さない。核酸分子は、1つの平滑末端を含み得、例えば、アンチセンス鎖の3’−端およびセンス鎖の5’−端は、いかなるオーバーハングヌクレオチドも有さない。核酸分子は、2つの平滑末端を含み得、例えば、アンチセンス鎖の3’−端およびセンス鎖の5’−端、ならびにアンチセンス鎖の5’−端およびセンス鎖の3’−端は、いかなるオーバーハングヌクレオチドも有さない。ある特定の好ましい実施形態において、核酸化合物は、平滑末端を有する。平滑末端dsNA分子内に存在する他のヌクレオチドは、例えば、核酸分子の活性を調整してRNA干渉を媒介するために、ミスマッチ、バルジ、ループ、またはゆらぎ塩基対を含み得る。
【0246】
多くの実施形態において、本明細書に記載のような核酸分子(例えば、dsNA分子)のオーバーハングヌクレオチドの1つ以上、または全ては、本明細書に記載のように修飾され、例えば、ヌクレオチドの1つ以上、または全ては、2’−デオキシヌクレオチドであってもよい。
核酸化合物の修飾の量、場所およびパターン
【0247】
本明細書に開示される核酸分子(例えば、dsNA分子)は、核酸分子内に存在するヌクレオチドの総数のパーセンテージとして、修飾ヌクレオチドを含み得る。したがって、核酸分子は、約5%から約100%の修飾ヌクレオチド(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%修飾のヌクレオチド)を含み得る。所与の核酸分子内に存在する修飾ヌクレオチドの実際のパーセンテージは、核酸内に存在するヌクレオチドの総数に依存する。核酸分子が一本鎖である場合、修飾パーセントは、一本鎖核酸分子内に存在するヌクレオチドの総数に基づき得る。同様に、核酸分子が二本鎖である場合、修飾パーセントは、センス鎖、アンチセンス鎖、またはセンスおよびアンチセンス鎖の両方に存在するヌクレオチドの総数に基づき得る。
【0248】
本明細書に開示される核酸分子は、核酸分子内の全ヌクレオチドのパーセンテージとして、非修飾RNAを含み得る。したがって、核酸分子は、約5%から約100%の非修飾ヌクレオチド(例えば、核酸分子内に存在する全ヌクレオチドの約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%)を含み得る。
【0249】
核酸分子(例えば、dsNA分子)は、約1個から約5個、具体的には約1個、2個、3個、4個、もしくは5個のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1個以上(例えば、約1個、2個、3個、4個、5個もしくはそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、および/または1個以上(例えば、約1個、2個、3個、4個、5個もしくはそれ以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、ならびに任意選択で、センス鎖の3−端、5’−端または3’−および5’−端の両方に末端キャップ分子を含むセンス鎖を含み得、アンチセンス鎖は、約1個から約5個もしくはそれ以上、具体的には約1個、2個、3個、4個、5個もしくはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1個以上(例えば、約1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個もしくはそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、および/または1個以上(例えば、約1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個もしくはそれ以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、ならびに任意選択で、アンチセンス鎖の3’−端、5’−端、または3’−および5’−端の両方に末端キャップ分子を含む。核酸分子は、約1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上を含み得、センスおよび/またはアンチセンス核酸鎖のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ、2’−O−メチルおよび/または2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾されており、約1個から約5個もしくはそれ以上、例えば約1個、2個、3個、4個、5個もしくはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または3’−端、5’−端、もしくは3’−および5’−端の両方の末端キャップ分子は、同じもしくは異なる鎖に存在する、または存在しない。
【0250】
核酸分子は、核酸分子の各鎖に、約1個から約5個またはそれ以上(具体的には、約1個、2個、3個、4個、5個またはそれ以上)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。
【0251】
核酸分子は、例えば一方または両方の核酸配列鎖の3’−端、5’−端、または3’−端および5’−端の両方に、2’−5’ヌクレオチド間結合を含み得る。さらに、2’−5’ヌクレオチド間結合(複数を含む)は、一方または両方の核酸配列鎖内の様々な他の位置に存在してもよく、例えば、siNA分子の一方または両方の鎖におけるピリミジンヌクレオチドの全てのヌクレオチド間結合を含む約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくはそれ以上が、2’−5’ヌクレオチド間結合を含み得、または、siNA分子の一方または両方の鎖におけるプリンヌクレオチドの全てのヌクレオチド間結合を含む約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくはそれ以上が、2’−5’ヌクレオチド間結合を含み得る。
【0252】
化学修飾低分子干渉核酸(dsNA)分子は、アンチセンス領域(アンチセンス領域に存在する任意の(例えば、1つ以上または全ての)ピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全てのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであるか、または代替として、複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである)、またアンチセンス領域に存在する任意の(例えば、1つ以上または全て)のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドであるか、または代替として、複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである))を含み得る。
【0253】
化学修飾低分子干渉核酸(dsNA)分子は、アンチセンス領域(アンチセンス領域に存在する任意の(例えば、1つ以上または全ての)ピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全てのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであるか、または代替として、複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである)、またアンチセンス領域に存在する任意の(例えば、1つ以上または全て)のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドである(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドであるか、または代替として、複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドである))を含み得る。
【0254】
細胞内の、またはin vitro系で再構築されたTLR2および/またはTLR4に対してRNA干渉(RNAi)を媒介し得る化学修飾低分子干渉核酸(dsNA)分子は、センス領域(センス領域内に存在する1つ以上のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全てのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであるか、または代替として、複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである)、またセンス領域内に存在する1つ以上のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドであるか、または代替として、複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである))、ならびにアンチセンス領域(アンチセンス領域内に存在する1つ以上のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全てのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであるか、または代替として、複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである)、またアンチセンス領域内に存在する1つ以上のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドである(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドであるか、または代替として、複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドである))を含み得る。センス領域および/またはアンチセンス領域は、末端キャップ修飾、例えば、任意選択でセンスおよび/またはアンチセンス配列の3’−端、5’−端、または3’−端および5’−端に存在する任意の修飾を有してもよい。センスおよび/またはアンチセンス領域は、さらに、任意選択で、約1個から約4個(例えば、約1個、2個、3個、または4個の)2’−デオキシリボヌクレオチドを有する3’−末端ヌクレオチドオーバーハングを含み得る。オーバーハングヌクレオチドは、さらに、1つ以上(例えば、約1個、2個、3個、4個またはそれ以上)のホスホロチオエート、ホスホノアセテート、および/またはチオホスホノアセテートヌクレオチド間結合を含み得る。センス領域におけるプリンヌクレオチドは、代替として、2’−O−メチルプリンヌクレオチドであってもよく(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドであるか、または代替として、複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドである)、またアンチセンス領域に存在する1つ以上のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドである(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドであるか、または代替として、複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドである)。センス領域における1つ以上のプリンヌクレオチドは、代替として、プリンリボヌクレオチドであってもよく(例えば、全てのプリンヌクレオチドがプリンリボヌクレオチドであるか、または代替として、複数のプリンヌクレオチドがプリンリボヌクレオチドである)、またアンチセンス領域に存在する任意のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドである(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドであるか、または代替として、複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドである)。センス領域における、および/またはアンチセンス領域に存在する1つ以上のプリンヌクレオチドは、代替として、2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メトキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドからなる群から選択され得る(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メトキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドからなる群から選択されるか、または代替として、複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メトキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドからなる群から選択される)。
【0255】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のような核酸分子(例えば、dsNA分子)は、修飾ヌクレオチド(例えば、1つの修飾ヌクレオチド)をアンチセンス鎖に、例えばアンチセンス鎖の6位または7位に含む。
核酸化合物の修飾パターンおよび交互修飾
【0256】
本明細書で提供される核酸分子(例えば、dsNA分子)は、修飾および非修飾核酸のパターンを有し得る。ヌクレオチドの連続的広がりにおけるヌクレオチドの修飾のパターンは、単一のヌクレオチド、または標準的なホスホジエステル結合により、もしくは少なくとも部分的にホスホロチオエート結合により互いに共有結合したヌクレオチドの群内に含有される修飾であってもよい。したがって、本明細書において企図されるような「パターン」は、反復単位を含み得るとしても、必ずしも反復単位を含まなければならないわけではない。本明細書で提供される核酸分子(例えば、dsNA分子)と併せて使用され得る修飾パターンの例は、Giese, 米国特許第7,452,987号に開示されるものを含む。例えば、本明細書で提供される核酸分子(例えば、dsNA分子)は、Giese 米国特許第7,452,987号の
図2に図式的に示されるパターン等の、それと同様の、またはそれと同じ修飾パターンを有するものを含む。
【0257】
修飾ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドの群は、センス鎖またはアンチセンス鎖の5’−端または3’−端にあってもよく、隣接ヌクレオチドまたはヌクレオチドの群は、修飾ヌクレオチドまたは群の両側部上に配列し、隣接ヌクレオチドまたは群は、修飾されていないか、または前のヌクレオチドまたはヌクレオチド群の同じ修飾を有さない。しかしながら、隣接ヌクレオチドまたはヌクレオチド群は、異なる修飾を有してもよい。修飾ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチド群のそれぞれ、および非修飾もしくは異なる修飾のヌクレオチドまたは非修飾もしくは異なる修飾のヌクレオチド群のこの配列は、1回以上反復されてもよい。
【0258】
いくつかのパターンにおいて、鎖の5’−末端ヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、一方他のパターンにおいて、鎖の5’−末端ヌクレオチドは、非修飾ヌクレオチドである。いくつかのパターンにおいて、鎖の5’−端は、修飾ヌクレオチドの群で開始し、一方他のパターンにおいて、5’−末端は、ヌクレオチドの非修飾群である。このパターンは、核酸分子の第1の広がりもしくは第2の広がり、またはその両方にあってもよい。
【0259】
核酸分子の一方の鎖の修飾ヌクレオチドは、他方の鎖の修飾または非修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチド群に位置的に相補的であってもよい。
【0260】
修飾群が重複しないように、他方の鎖の修飾のパターンに対して一方の鎖上の修飾または修飾パターンの間に相シフトがあってもよい。1つの場合において、シフトは、センス鎖のヌクレオチドの修飾群がアンチセンス鎖のヌクレオチドの非修飾群に対応するような、およびその逆が成り立つようなシフトである。
【0261】
修飾群が重複するような修飾のパターンの部分的シフトがあってもよい。所与の鎖における修飾ヌクレオチドの群は、任意選択で同じ長さであってもよいが、異なる長さであってもよい。同様に、所与の鎖における非修飾ヌクレオチドの群は、任意選択で同じ長さまたは異なる長さであってもよい。
【0262】
いくつかのパターンにおいて、鎖の末端における第2の(最後から2番目の)ヌクレオチドは、非修飾ヌクレオチドであるか、または非修飾ヌクレオチドの群の開始部であってもよい。好ましくは、この非修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチドの非修飾群は、センス鎖およびアンチセンス鎖のいずれか、またはその両方の5’−端に位置し、さらにより好ましくは、センス鎖の末端に位置する。非修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチドの非修飾群は、センス鎖の5’−端に位置してもよい。一実施形態において、パターンは、交互する単一修飾および非修飾ヌクレオチドからなる。
【0263】
いくつかの二本鎖核酸分子において、2’−O−メチル修飾ヌクレオチドおよび非修飾ヌクレオチドまたは2’−O−メチル修飾されていないヌクレオチドは、両方の鎖に交互に組み込まれ、交互する2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、および修飾されていない、または少なくとも2’−O−メチル修飾を含まないヌクレオチドのパターンをもたらす。ある特定の実施形態において、2’−O−メチル修飾および非修飾の同じ配列が第2の鎖上に存在し、他の実施形態において、交互する2’−O−メチル修飾ヌクレオチドは、センス鎖にのみ存在し、アンチセンス鎖には存在せず、さらに他の実施形態において、交互する2’−O−メチル修飾ヌクレオチドは、アンチセンス鎖にのみ存在し、センス鎖には存在しない。ある特定の実施形態において、第1の鎖上の2’−O−メチル修飾ヌクレオチドが第2の鎖上の非修飾ヌクレオチド(複数を含む)と塩基対を形成するように、またはその逆が成り立つように、2つの鎖の間に相シフトがある。この具体的な構成、すなわち両方の鎖上の2’−O−メチル修飾および非修飾ヌクレオチド(複数を含む)の塩基対形成は、ある特定の実施形態において特に好ましい。ある特定の実施形態において、交互する2’−O−メチル修飾ヌクレオチドのパターンは、核酸分子全体にわたり、または二重鎖領域全体にわたり存在する。他の実施形態において、交互する2’−O−メチル修飾ヌクレオチドのパターンは、核酸の一部にのみ、または二重鎖領域の一部にのみ存在する。
【0264】
「相シフト」パターンにおいて、アンチセンス鎖が5’端で2’−O−メチル修飾ヌクレオチドで開始し、その結果第2のヌクレオチドが非修飾である場合、第3、第5、第7等のヌクレオチドは、このように再び2’−O−メチル修飾であり、一方第2、第4、第6、第8等のヌクレオチドは、非修飾ヌクレオチドであることが好ましくなり得る。
例となる飾場所および核酸化合物のパターン
【0265】
例示的パターンが以下でより詳細に提供されるが、本明細書に開示される核酸分子および当該技術分野において知られているものの全ての可能な特性に関するパターンの全ての順列が企図される(例えば、特性は、これらに限定されないが、センス鎖の長さ、アンチセンス鎖の長さ、二重鎖領域の長さ、ハングオーバーの長さ、二本鎖核酸分子の一方の端または両端が平滑であるかまたはオーバーハングを有するか、修飾核酸の場所、修飾核酸の数、修飾の種類、二重オーバーハング核酸分子が各側部のオーバーハング上に同じまたは異なる数のヌクレオチドを有するか、1種または複数種の修飾が核酸分子内に使用されているか、および連続修飾/非修飾ヌクレオチドの数を含む)。以下で提供される全ての詳細な例に関して、二重鎖領域は19ヌクレオチドであるように示されているが、本明細書で提供される核酸分子は、1から40ヌクレオチドの長さの範囲の二重鎖領域を有し得、二重鎖領域の各鎖は、独立して17〜40ヌクレオチドの長さである。例示的パターンが本明細書で提供される。
【0266】
核酸分子は、修飾核酸の単一または連続セットを含む両端上に、平滑末端を有し得る。また、修飾核酸は、センス鎖またはアンチセンス鎖に沿った任意の位置に位置し得る。核酸分子は、約1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、または40個の連続修飾ヌクレオチドの群を含み得る。修飾核酸は、核酸鎖の1%、2%、3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または100%を構成し得る。すぐ下の例の修飾核酸は、センス鎖のみ、アンチセンス鎖のみ、またはセンス鎖およびアンチセンス鎖両方にあってもよい。
核酸鎖における切れ目およびギャップ
【0267】
本明細書で提供される核酸分子(例えば、siNA分子)は、切れ目またはギャップを有する鎖、好ましくはセンス鎖を有し得る。したがって、核酸分子は、3つ以上の鎖、例えば、国際特許出願番号PCT/US07/081836に開示されている部分二重鎖RNA(mdRNA)を有し得る。切れ目またはギャップのある鎖を有する核酸分子は、RISC長(例えば、約15から25ヌクレオチド)またはダイサー基質長(例えば、約25から30ヌクレオチド)であってもよい。
ダイサー基質
【0268】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される核酸分子(例えば、siNA分子)は、例えばRossi, 米国特許出願第20050244858号に記載のように、活性核酸分子を生成するようにin vivoで処理された前駆体「ダイサー基質」分子、例えば二本鎖核酸であってもよい。ある特定の条件および状況において、例えば約25から30ヌクレオチドのこれらの比較的長いdsRNA siNA種は、予想外にも、有効性および作用期間の点で効果的な結果をもたらし得ることが判明している。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、より長いdsRNA種は、細胞の細胞質における酵素ダイサーの基質として機能すると考えられる。二本鎖核酸をより短いセグメントに切断することに加え、ダイサーは、切断されたdsRNAから得られた単鎖切断生成物の、標的遺伝子から得られた細胞質RNAの破壊を担うRNA誘導サイレンシング複合体(RISC複合体)への組込みを促進し得る。
【0269】
ダイサー基質は、ダイサーによる処理を向上させるある特定の特性を有し得る。ダイサー基質は、ダイサーにより処理されて活性核酸分子を生成するような十分な長さのものであり、以下の特性の1つ以上をさらに含み得る:(i)dsRNAは非対称であり、例えば第1の鎖(アンチセンス鎖)に3′オーバーハングを有する、ならびに(ii)dsRNAは、第2の鎖(センス鎖)に修飾3′端を有し、ダイサー結合の方向およびdsRNAの活性siRNAへの処理を誘導する。ある特定の実施形態において、ダイサー基質における最長の鎖は、24〜30ヌクレオチドであってもよい。
【0270】
ダイサー基質は、対称または非対称であってもよい。ダイサー基質は、22〜28個のヌクレオチドを含むセンス鎖および24〜30個のヌクレオチドを含み得るアンチセンス鎖を有してもよく、したがって、いくつかの実施形態において、得られるダイサー基質は、アンチセンス鎖の3′端上にオーバーハングを有し得る。ダイサー基質は、25ヌクレオチドの長さのセンス鎖、および3’−オーバーハングを有する27ヌクレオチドの長さを有するアンチセンス鎖を有し得る。オーバーハングは、1〜3ヌクレオチド、例えば2ヌクレオチドであってもよい。また、センス鎖は、5′リン酸基を有してもよい。
【0271】
本明細書で提供される他のsiNA分子のように、ダイサー基質のアンチセンス鎖は、生物学的条件下、例えば真核細胞の細胞質内でアンチセンス鎖にアニールする任意の配列を有してもよい。
【0272】
ダイサー基質は、当該技術分野において知られているように、および/または他の核酸分子(例えば、siNA分子)に関して本明細書に記載の様に、ヌクレオチド塩基、糖またはリン酸骨格に対する任意の修飾を有してもよい。ある特定の実施形態において、ダイサー基質は、センス鎖の3’端に位置する好適な修飾剤によるダイサー処理のために修飾されたセンス鎖を有してもよく、すなわち、dsRNAは、ダイサー結合および処理の方向を誘導するように設計される。好適な修飾剤は、デオキシリボヌクレオチド、ジデオキシリボヌクレオチド、非環式ヌクレオチド等のヌクレオチド、および蛍光分子等の立体障害分子を含む。非環式ヌクレオチドは、デオキシヌクレオシドモノホスフェート(dNMP)において通常存在する2’−デオキシリボフラノシル糖を、2−ヒドロキシエトキシメチル基で置換する。ダイサー基質siNA分子において使用され得る他のヌクレオチド修飾剤は、3’−デオキシアデノシン(コルジセピン)、3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)、2’,3’−ジデオキシイノシン(ddI)、2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン(3TC)、2’,3’−ジデヒドロ−2’,3’−ジデオキシチミジン(d4T)、ならびに3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)、2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン(3TC)および2’,3’−ジデヒロド−2’,3’−ジデオキシチミジン(d4T)のモノホスフェートヌクレオチドを含む。一実施形態において、デオキシヌクレオチドが修飾剤として使用される。ヌクレオチド修飾剤が利用される場合、それらは、ダイサー基質の長さが変化しないようにリボヌクレオチドを置き換えることができる(例えば、1〜3ヌクレオチド修飾剤、または2ヌクレオチド修飾剤が、センス鎖の3’端上のリボヌクレオチドと置換される)。立体障害分子が利用される場合、それらは、アンチセンス鎖の3’端上でリボヌクレオチドに結合し得る。したがって、ある特定の実施形態において、鎖の長さは、修飾剤の組込みにより変化しない。ある特定の実施形態において、アンチセンス鎖のダイサー処理の方向を誘導するように、dsRNA内の2つのDNA塩基が置換される。さらなる実施形態において、2つの末端DNA塩基は、センス鎖の3’−端上の2つのリボヌクレオチドと置換され、センス鎖の3’端およびアンチセンス鎖の5’端上の二重鎖の平滑末端を形成し、2ヌクレオチドRNAオーバーハングは、アンチセンス鎖の3’−端上に位置する。これは、平滑末端上にDNA、およびオーバーハング端上にRNA塩基を有する、非対称組成である。
【0273】
ある特定の実施形態において、修飾は、修飾によって核酸分子がダイサーの基質として機能することが妨げられないように、ダイサー基質に含まれる。一実施形態において、ダイサー基質のダイサー処理を向上させる1つ以上の修飾が形成される。より効果的なRNAi生成をもたらす1つ以上の修飾が形成されてもよい。より大きなRNAi効果を補助する1つ以上の修飾が形成されてもよい。細胞に送達される各ダイサー基質当たりのより大きな有効性をもたらす1つ以上の修飾が形成される。修飾は、3’−末端領域、5’−末端領域、3’−末端および5’−末端領域の両方、または配列内の様々な位置に組み込まれてもよい。修飾により核酸分子がダイサーの基質として機能することが妨げられない限り、任意の数および組み合わせの修飾がダイサー基質内に組み込まれてもよい。複数の修飾が存在する場合、それらは、同じまたは異なってもよい。塩基、糖部分、リン酸骨格、およびそれらの組み合わせへの修飾が企図される。いずれかの5’−末端がリン酸化されてもよい。
【0274】
ダイサー基質のセンスおよびアンチセンス鎖は、完全に相補的である必要はない。それらは、生物学的条件下でアニールし、標的配列に十分相補的なsiRNAを生成するダイサーの基質を提供するように実質的に相補的であればよい。
【0275】
ダイサー基質の鎖の1つ、特にアンチセンス鎖の領域は、少なくとも19ヌクレオチドの配列長を有してもよく、これらのヌクレオチドは、アンチセンス鎖の3’端に隣接する21ヌクレオチド領域にあり、標的遺伝子から生成されたRNAのヌクレオチド配列に十分相補的である。また、ダイサー基質は、以下の追加的特性の1つ以上を有し得る:(a)アンチセンス鎖は、対応する21−merから右シフトを有する(すなわち、アンチセンス鎖は、対応する21−merと比較した場合分子の右側のヌクレオチドを含む)、(b)鎖は、完全に相補的でなくてもよい、すなわち、鎖は、単純なミスマッチ対を含有してもよい、および(c)ロックされた核酸(複数を含む)等の塩基修飾がセンス鎖の5’端に含まれてもよい。
【0276】
ダイサー基質核酸分子のアンチセンス鎖は、22〜28ヌクレオチドの長さを与えるように5’−端上に1〜9個のリボヌクレオチドを含むように修飾されてもよい。アンチセンス鎖が21ヌクレオチドの長さを有する場合、1〜7個のリボヌクレオチド、または2〜5個のリボヌクレオチドおよび/または4個のリボヌクレオチドが、3’−端上に付加されてもよい。付加されたリボヌクレオチドは、任意の配列を有し得る。付加されたリボヌクレオチドは、標的遺伝子配列に相補的であってもよいが、標的配列とアンチセンス鎖との間の完全な相補性は必要ではない。すなわち、得られるアンチセンス鎖は、標的配列に十分に相補的である。そこで、センス鎖は、24〜30個のヌクレオチドを有し得る。センス鎖は、生物学的条件下でアンチセンス鎖にアニールするように、アンチセンス鎖に実質的に相補的であってもよい。一実施形態において、アンチセンス鎖は、ダイサー処理を誘導するために修飾3’−端を含有するように合成されてもよい。センス鎖は、3’オーバーハングを有してもよい。アンチセンス鎖は、ダイサー結合および処理のために修飾3’−端を含有するように合成されてもよく、センス鎖は、3’オーバーハングを有してもよい。
TLR2およびTLR4を阻害するための方法および組成物
【0277】
様々な態様において、哺乳動物における肺疾患、障害または損傷を治療するためのTLR2発現の阻害のための組成物および方法が提供される。様々な実施形態において、方法は、哺乳動物を治療するために効果的な量のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグから選択される少なくとも1種の治療薬剤を、哺乳動物に投与することを含む。様々な実施形態において、治療薬剤は、小分子化学化合物、タンパク質、抗体またはその断片、および核酸分子からなる群から選択される。
【0278】
様々な態様において、哺乳動物における肺疾患、障害または損傷を治療するためのTLR2およびTLR4発現の阻害のための組成物および方法が提供される。様々な実施形態において、方法は、哺乳動物を治療するために効果的な量の(i)TLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および(ii)TLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグから選択される少なくとも2種の治療薬剤を、哺乳動物に投与することを含む。様々な実施形態において、各治療薬剤は、小分子化学化合物、タンパク質、抗体またはその断片、および核酸分子からなる群から独立して選択される。
【0279】
いくつかの実施形態において、治療薬剤は、少なくとも2種の遺伝子TLR2およびTLR4の両方ならびに/またはそれらの遺伝子産物の発現および/または活性を阻害することができる単一薬剤として意図される組み合わされた阻害剤である。そのような単一薬剤の限定されない例は、PCT特許公開番号WO2007/091269に開示される、一列の、および分岐したRNAi分子である。
【0280】
いくつかの実施形態において、核酸小分子は、TLR2およびTLR4遺伝子発現に対するRNA干渉を媒介し得る、または媒介する、低分子干渉核酸(siNA)、二本鎖核酸(dsNA)、干渉RNA(RNAi)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、および低分子ヘアピンRNA(shRNA)分子から選択される。また、本明細書に開示される組成物および方法は、一次生着不全、虚血−再灌流傷害、再灌流傷害、再灌流肺水腫、同種移植片機能不全、肺再移植反応、肺移植後の閉塞性細気管支炎、および/または臓器移植、特に肺移植後の原発性移植片機能不全(PGD)の治療、予防または進行の軽減を含む、臓器移植、特に肺移植に伴う炎症および/または移植片拒絶の治療または予防に有用である。
【0281】
本明細書で提供される核酸分子(複数を含む)および/または方法は、例えば、Genbank Accession番号NM_003264.3(TLR2)、NR_024169.1(TLR4)、NM_138554.3(TLR4)およびNR_024168.1(TLR4)で参照されるRNAをコード化する遺伝子(複数を含む)の発現を下方制御するために使用することができる。
【0282】
本明細書で提供される組成物、方法およびキットは、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺気腫、一次生着不全、虚血−再灌流傷害、再灌流傷害、再灌流肺水腫、同種移植片機能不全、肺再移植反応、肺移植後の閉塞性細気管支炎、および/または臓器移植、特に肺移植後の原発性移植片機能不全(PGD)等の疾患、状態または障害の維持および/または発達に関連したTLR2およびTLR4タンパク質をコード化するTLR2およびTLR4タンパク質および/または遺伝子の発現を、独立して、または組み合わさって調整(例えば、下方制御)する、1種以上の核酸分子(例えば、dsNA)および方法を含み得る(例えば、GenBank Accession番号NM_003264.3、NR_024169.1、NM_138554.3およびNR_024168.1で参照される、それらの配列を含む配列をコード化する遺伝子、または、遺伝子または遺伝子ファミリー配列が配列相同性を共有するTLR2およびTLR4遺伝子ファミリーメンバー)。例となる遺伝子TLR2およびTLR4に関して、様々な態様および実施形態の説明が提供される。しかしながら、様々な態様および実施形態はまた、他の関連したTLR2およびTLR4遺伝子、例えばある特定のTLR2およびTLR4遺伝子に関連したホモログ遺伝子および転写変異体、ならびに多型(例えば、単一ヌクレオチド多型(SNP))も対象とする。したがって、様々な態様および実施形態はまた、例えば本明細書に記載の疾患、特質、または状態の維持または発達に関与する信号伝達または遺伝子発現のTLR2およびTLR4媒介経路に関与する他の遺伝子も対象とする。これらの追加的遺伝子は、本明細書においてTLR2およびTLR4遺伝子に関して説明される方法を使用して、標的部位に関して分析することができる。したがって、他の遺伝子の調整およびそのような他の遺伝子の調整の効果は、本明細書に記載のように実行、決定および測定することができる。
【0283】
一実施形態において、本明細書で提供される組成物および方法は、TLR2遺伝子(例えば、配列番号1で例示されるヒトTLR2)の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(dsNA)分子を含み、核酸分子は、約17から約40塩基対を含む。
【0284】
一実施形態において、本明細書で提供される組成物および方法は、TLR2遺伝子およびTLR4遺伝子(例えば、配列番号1で例示されるヒトTLR2、および配列番号2、配列番号3または配列番号4で例示されるヒトTLR4)の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(dsNA)分子を含み、核酸分子は、約17から約40塩基対を含む。
【0285】
一実施形態において、本明細書に開示される核酸は、遺伝子または遺伝子ファミリー配列が配列相同性を共有する、TLR2および/もしくはTLR4遺伝子またはTLR2および/もしくはTLR4遺伝子ファミリーの発現を阻害するために使用され得る。そのような相同的配列は、当該技術分野において知られているように、例えば配列アラインメントを使用して識別され得る。核酸分子は、例えば、完全に相補的な配列を使用して、または追加の標的配列を提供し得る非正規型塩基対、例えばミスマッチおよび/またはゆらぎ塩基対を組み込むことにより、そのような相同的配列を標的とするように設計され得る。ミスマッチが識別される場合、非正規型塩基対(例えば、ミスマッチおよび/またはゆらぎ塩基)を使用して、2つ以上の遺伝子配列を標的とする核酸分子を生成することができる。限定されない例において、UUおよびCC塩基対等の非正規型塩基対を使用して、配列相同性を共有する異なるTLR2および/またはTLR4標的の配列を標的とすることができる核酸分子が生成される。したがって、本明細書に開示されるdsRNAを使用することの1つの利点は、相同的遺伝子間で保存されるヌクレオチド配列に相補的な核酸配列を含むように単一の核酸を設計することができるということである。この手法において、異なる遺伝子を標的とするために2つ以上の核酸分子を使用する代わりに、単一の核酸を使用して、2つ以上の遺伝子の発現を阻害することができる。
【0286】
核酸分子は、TLR2および/またはTLR4ファミリー遺伝子等の遺伝子ファミリー(複数を含む)に対応する保存された配列を標的とするために使用することができる。したがって、複数のTLR2および/またはTLR4標的を標的とする核酸分子は、治療効果の増大を提供することができる。さらに、核酸は、様々な用途における遺伝子機能の経路を特性決定するために使用することができる。例えば、核酸分子は、経路内の標的遺伝子(複数を含む)の活性を阻害し、遺伝子機能分析、mRNA機能分析、または翻訳分析において、特性決定されていない遺伝子(複数を含む)の機能を決定するために使用することができる。核酸分子は、医薬品開発に向けて、様々な疾患および状態に関与する潜在的標的遺伝子経路を決定するために使用することができる。核酸分子は、例えば、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺気腫、肺移植後の閉塞性細気管支炎、ならびに/または臓器移植誘導性急性移植片機能不全、特に肺移植誘導性急性移植片機能不全に関連した炎症および/もしくは移植片拒絶に関与する遺伝子発現の経路を理解するために使用することができる。
【0287】
一実施形態において、本明細書で提供される組成物および方法は、TLR2に対するRNAi活性を有する核酸分子を含む。別の実施形態において、本明細書で提供される組成物および方法は、TLR2 RNAに対するRNAi活性を有する核酸分子およびTLR4 RNAに対するRNAi活性を有する核酸分子を含み、核酸分子は、TLR2および/またはTLR4コード化配列を有する任意のRNAに相補的な配列を含む。別の実施形態において、核酸分子は、TLR2および/またはTLR4 RNAに対するRNAi活性を有してもよく、核酸分子は、変異体TLR2および/またはTLR4コード化配列、例えば、本明細書に記載のような肺疾患、障害または損傷の維持および/または発達に関連する当該技術分野において知られた他の変異TLR2および/またはTLR4遺伝子を有するRNAに相補的な配列を含む。別の実施形態において、本明細書に開示される核酸分子は、TLR2および/またはTLR4遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用し、それによりそれぞれTLR2および/またはTLR4遺伝子発現のサイレンシングを媒介し得るヌクレオチド配列を含み、例えば、核酸分子は、TLR2および/またはTLR4遺伝子のクロマチン構造またはメチル化パターンを調整し、TLR2および/またはTLR4遺伝子の転写を防止する細胞プロセスにより、TLR2および/またはTLR4遺伝子発現の制御を媒介する。
抗体療法
【0288】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるような阻害剤または治療薬剤は、抗体を含む。「抗体」または「抗体(複数)という用語が使用される場合、これは、無傷抗体、例えばポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体(mAb)、およびそれらのタンパク質分解断片、例えばFabまたはF(ab’)
2フラグメントを含むように意図される。さらに、キメラ抗体、ヒトおよびヒト化抗体、組み換えおよび改変抗体、ならびにそれらの断片が、提供される方法および組成物の範囲内に含まれる。さらに、抗体の可変領域をコード化するDNAは、他の抗体をコード化するDNAに挿入されて、キメラ抗体を生成し得る(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)。一本鎖抗体は、本発明の範囲内に含まれる。一本鎖抗体は、抗原結合能力を有し、免疫グロブリン軽鎖および重鎖の可変領域に相同性または類似したアミノ酸配列を含む、一本鎖複合ポリペプチドであってもよい(繋がったVH−VLまたは一本鎖Fv(ScFv))。V
HおよびV
Lの両方は、天然モノクローナル抗体配列を複製してもよく、または、鎖の一方または両方が、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる米国特許第5,091,513号に記載の種類のCDR−FRコンストラクトを含み得る。軽鎖および重鎖の可変領域に類似した別個のポリペプチドは、ポリペプチドリンカーにより互いに保持される。そのような一本鎖抗体の生成方法は、特にV
HおよびV
L鎖のポリペプチド構造をコード化するDNAが知られている場合、例えば、参照によりそれぞれの全内容が本明細書に組み込まれる米国特許第4,946,778号、米国特許第5,091,513号および米国特許第5,096,815号に記載の方法に従って達成され得る。
【0289】
さらに、CDRグラフトを行って、親和性または特異性を含む抗体分子のある特定の特性を改変してもよい。CDRグラフトの限定されない例は、米国特許第5,225,539号に記載されている。
治療方法
【0290】
本明細書において、治療を必要とする哺乳動物における肺障害または損傷を治療するための方法であって、哺乳動物を治療するために効果的な量のTLR2阻害剤または薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグから選択される少なくとも1種の治療薬剤を、哺乳動物に投与することを含む方法が提供される。
【0291】
様々な実施形態において、治療薬剤は、小分子化学化合物、タンパク質、抗体またはその断片、ペプチド、ペプチド模倣薬および核酸分子からなる群から選択される。
【0292】
本明細書において、治療を必要とする哺乳動物における肺障害または損傷を治療するための方法であって、哺乳動物を治療するために効果的な量の(i)少なくとも1種のTLR2阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および(ii)少なくとも1種のTLR4阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグから選択される少なくとも2種の治療薬剤を、哺乳動物に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、治療薬剤は、TLR2遺伝子またはその遺伝子産物およびTLR4遺伝子またはその遺伝子産物の両方の発現および/または活性を阻害することができる単一薬剤として意図される組み合わされた阻害剤である。
【0293】
様々な実施形態において、各治療薬剤は、小分子化学化合物、タンパク質、抗体またはその断片、ペプチド、ペプチド模倣薬および核酸分子からなる群から独立して選択される。
【0294】
一実施形態において、核酸分子は、疾患または状態(例えば、本明細書に記載のような肺疾患、障害または損傷)に関連したTLR2およびTLR4ハプロタイプ多型から生じるTLR2およびTLR4タンパク質の発現を下方制御または阻害するために使用され得る。TLR2およびTLR4遺伝子、またはTLR2およびTLR4タンパク質もしくはRNAレベルの分析を、そのような多型を有する対象、または本明細書に記載の特質、状態、もしくは疾患を発症する危険性のある対象を特定するために使用することができる。これらの対象は、治療、例えばTLR2および/またはTLR4遺伝子発現に関連した疾患の治療に有用な、本明細書に開示される核酸分子および他の任意の組成物による治療に適している。したがって、TLR2および/またはTLR4タンパク質またはRNAレベルの分析を使用して、治療の種類および対象の治療における治療過程を決定することができる。TLR2および/またはTLR4タンパク質またはRNAレベルの監視を用いて、治療の成果を予測すると共に、本明細書に記載の特質、状態、または疾患に関連したある特定のTLR2および/またはTLR4タンパク質のレベルおよび/または活性を調整する化合物および組成物の有効性を決定することができる。
【0295】
好ましい実施形態において、治療される対象は、温血動物であり、特に、ヒトおよびヒト以外の霊長類を含む哺乳動物である。
【0296】
本明細書で提供されるような核酸小分子、例えばTLR2および/またはTLR4遺伝子発現に対するRNA干渉を媒介することのできる、または媒介する、低分子干渉核酸(siNA)、二本鎖核酸(dsNA)、干渉RNA(RNAi)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、および低分子ヘアピンRNA(shRNA)分子を使用した、TLR2およびTLR4発現の阻害のための組成物および方法が提供される。また、本明細書に開示される組成物および方法は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺気腫、肺移植後の閉塞性細気管支炎および肺移植誘導性急性移植片機能不全等の様々な肺障害および損傷の治療に有用である。また、本明細書に開示される組成物および方法は、一次生着不全、虚血−再灌流傷害、再灌流傷害、再灌流肺水腫、同種移植片機能不全、肺再移植反応、肺移植後の閉塞性細気管支炎、および/または臓器移植、特に肺移植後の原発性移植片機能不全(PGD)の治療、予防または進行の軽減を含む、臓器移植、特に肺移植に伴う炎症および/または移植片拒絶の治療または予防に有用である。
【0297】
個々の、または他の薬剤と組み合わせた、もしくは併用した本明細書に開示される核酸分子は、TLR2および/またはTLR4に関連した疾患、特質、状態および/または障害、例えば臓器移植、特に肺移植に伴う肺障害または損傷および移植片拒絶の予防または治療に使用することができる。
【0298】
本明細書に開示される核酸分子は、TLR2および/またはTLR4の発現を、配列特異的に下方制御することができる。核酸分子は、TLR2および/またはTLR4 mRNAに少なくとも部分的に相補的(アンチセンス)な連続ヌクレオチドを含む、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み得る。
【0299】
いくつかの実施形態において、TLR2および/またはTLR4に特異的なdsRNAは、他のdsRNAと併せて使用され得る。
【0300】
肺障害および損傷は、本明細書に開示されるような核酸分子を使用してRNA干渉により治療され得る。例となる肺障害および損傷は、本明細書に開示される。本明細書に開示される核酸分子は、TLR2および/またはTLR4の発現を、配列特異的に阻害し得る。
【0301】
肺損傷の治療は、当該技術分野において知られた好適な技術を使用してPaO2のレベルを決定することにより監視することができる。また、治療は、当該技術分野において知られた好適な技術を使用して異なる細胞集団(例えば、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球)の全および差分気管支肺胞洗浄(BAL)カウントを決定することにより監視することができる。また、治療は、罹患組織の細胞内のTLR2および/もしくはTLR4 mRNAのレベルまたはTLR2および/もしくはTLR4タンパク質のレベルを決定することにより監視することができる。また、治療は、罹患臓器または組織の非侵襲的走査により、例えばコンピュータ断層撮影、核磁気共鳴弾性率計測、および当該技術分野において知られた他の好適な技術により監視することができる。
【0302】
対象または生物におけるTLR2関連疾患または状態を治療または予防するための方法は、対象または生物におけるTLR2遺伝子の発現の下方制御に好適な条件下で、対象または生物を本明細書で提供されるような核酸分子と接触させることを含み得る。対象または生物におけるTLR2およびTLR4関連疾患または状態を治療または予防するための方法は、対象または生物におけるTLR2およびTLR4遺伝子の発現の下方制御に好適な条件下で、対象または生物を本明細書で提供されるような核酸分子と接触させることを含み得る。
【0303】
対象または生物における肺疾患、障害または損傷を治療または予防するための方法は、対象または生物におけるTLR2遺伝子の発現の下方制御に好適な条件下で、対象または生物を核酸分子と接触させることを含み得る。
【0304】
対象または生物における肺疾患、障害または損傷を治療または予防するための方法は、対象または生物におけるTLR2遺伝子の発現の下方制御に好適な条件下で、対象または生物を核酸分子と接触させること、および両方のTLR4遺伝子の発現の下方制御に好適な条件下で、核酸分子と接触させることを含み得る。
【0305】
対象または生物における、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺気腫、肺移植後の閉塞性細気管支炎、および臓器移植、特に肺移植に伴う移植片拒絶からなる群から選択される1つ以上の肺疾患または障害を治療または予防するための方法は、対象または生物におけるTLR2遺伝子の発現の下方制御に好適な条件下で、対象または生物を核酸分子と接触させることを含み得る。
【0306】
対象または生物における、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺気腫、肺移植後の閉塞性細気管支炎、および臓器移植、特に肺移植に伴う移植片拒絶からなる群から選択される1つ以上の肺疾患または障害を治療または予防するための方法は、対象または生物におけるTLR2遺伝子の発現の下方制御に好適な条件下で、対象または生物を核酸分子と接触させること、およびTLR4遺伝子の発現の下方制御に好適な条件下で、核酸分子と接触させることを含み得る。
【0307】
様々な実施形態において、肺疾患、障害または損傷を治療する提供される方法は、手術、ステロイド療法、非ステロイド療法、抗ウイルス療法、抗真菌療法、免疫抑制剤療法、抗感染薬療法、降圧療法および栄養補給剤からなる群から選択される1つ以上の追加の治療方法と組み合わせて、遺伝子Toll様受容体2(TLR2)を阻害することを含む。様々な実施形態において、肺疾患、障害または損傷を治療する提供される方法は、免疫抑制剤療法と組み合わせて遺伝子Toll様受容体2(TLR2)を下方制御することを含む。
【0308】
様々な実施形態において、肺疾患、障害または損傷を治療する提供される方法は、手術、ステロイド療法、非ステロイド療法、抗ウイルス療法、抗真菌療法、免疫抑制剤療法、抗感染薬療法、降圧療法および栄養補給剤からなる群から選択される1つ以上の追加の治療方法と組み合わせて、遺伝子Toll様受容体2(TLR2)およびToll様受容体4(TLR4)を下方制御することを含む。様々な実施形態において、肺疾患、障害または損傷を治療する提供される方法は、免疫抑制剤療法と組み合わせてToll様受容体2(TLR2)遺伝子を下方制御すること、およびToll様受容体4(TLR4)遺伝子を下方制御することを含む。
肺障害および損傷
【0309】
本明細書に開示される方法および組成物は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺気腫、ならびに、一次生着不全、虚血−再灌流傷害、再灌流傷害、再灌流肺水腫、同種移植片機能不全、肺再移植反応、肺移植後の閉塞性細気管支炎、および/または原発性移植片機能不全(PGD)を含むがこれらに限定されない、肺移植の医学的合併症を経験している、罹患している、または罹患する危険性のある対象の治療に有用である。
【0310】
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
ARDSは、心原性肺水腫の証拠のない、両側性の肺浸潤および重度の低酸素血症を特徴とする急性状態と定義される。急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、びまん性肺胞障害(DAD)および肺毛細管内皮損傷に関連する。初期段階は滲出性であると説明され、一方後期段階は、線維増殖性の特徴を有する。
【0311】
初期ARDSは、肺胞への流体の流入をもたらす肺胞−毛細管関門透過性を特徴とする。肺胞−毛細管関門は、毛細管内皮細胞および肺胞の上皮層により形成される。したがって、血管内皮または肺胞上皮への損傷をもたらす様々な障害が、ARDSをもたらし得る。主な損傷部位は、血管内皮(例えば、敗血症)または肺胞上皮(例えば、胃内容物の吸引)に集中し得る。
【0312】
内皮への損傷は、増加した毛細管透過性およびタンパク質が豊富な流体の肺胞腔への流入をもたらす。また、肺胞内膜細胞への損傷は、肺水腫形成を促進する。2つの型の肺胞上皮細胞が存在する。肺胞上皮の90%を占めるI型細胞が容易に損傷される。I型細胞への損傷により、流体の肺胞への侵入の増加、および肺胞腔からの流体のクリアランスの低下の両方が可能となる。II型細胞は、サーファクタントの産生、イオン輸送、ならびに細胞損傷後のI型細胞への増殖および分化を含む、いくつかの重要な機能を有する。II型細胞への損傷は、サーファクタントの産生の低下、ならびにその結果としてのコンプライアンスの低下および肺胞虚脱をもたらす。肺における正常修復プロセスへの干渉は、線維症の発症に繋がる可能性がある。
【0313】
ARDSは、重度の低酸素血症へと繋がる肺内シャントの顕著な増加を引き起こす。適切な組織酸素供給および生命を維持するために高い吸入酸素濃度が必要であるが、呼気終末陽圧(PEEP)による肺加圧等の追加的措置を必要とすることが多い。ARDSは、一貫して、肺高血圧を伴う。肺動脈血管収縮は、換気血流不均等に寄与する可能性が高く、ARDSにおける低酸素血症のメカニズムの1つである。症候群が解消すると肺動脈圧の正常化が生じる。疾病率は高い。ARDSに罹患した患者は、長期化した入院経過を有する可能性があり、しばしば院内感染、特に人工呼吸器関連肺炎を発症する。さらに、患者は、多くの場合、著しい体重減少および筋衰弱を経験し、退院後数か月にわたり機能障害が持続する場合がある。ARDSにおける死亡のほとんどは、原発性の肺の原因ではなく敗血症または多臓器機能不全に起因し得るが、より少量の1回換気量を用いた人工呼吸器の最近の成功は、直接的死亡原因としての肺損傷の役割を示唆し得る。
【0314】
急性肺損傷(ALI)
急性肺損傷(ALI)は、低酸素血症、非心原性肺水腫、低肺コンプライアンスおよび拡散した毛細管漏出を特徴とするびまん性不均一肺損傷である。ALIは、限局性または全身性炎症、主に敗血症の任意の刺激により引き起こされる。
【0315】
2つの形態のALIが存在する。一次ALIは、肺への直接的損傷(例えば肺炎)により引き起こされる。二次ALIは、間接的障害(例えば、膵臓炎)により引き起こされる。2つの段階がある。すなわち肺胞−毛細管界面の破壊、タンパク質が豊富な流体の間質および肺胞腔への漏出、ならびにサイトカインの過剰放出および好中球の移動を特徴とする急性段階がある。後の回復段階は、線維増殖および肺組織の修復を特徴とする。
【0316】
中心となる病状は、毛細管−内皮界面の破壊であり、これは、実際には、2つの別個の関門−肺胞の内皮および基底膜を指す。ALIの急性段階において、この関門の透過性の増加が見られ、タンパク質が豊富な流体は毛細管から漏出する。2つの型の肺胞上皮細胞が存在し、1型肺細胞は、細胞表面領域の90%に相当し、容易に損傷を受ける。2型肺細胞は、損傷に対してより耐久性であり、これは、これらの細胞がサーファクタントを産生し、イオンを輸送し、1型細胞に増殖および分化するため重要である。
【0317】
内皮および肺胞上皮への損傷は、肺と血液との間の開いた界面の形成をもたらし、肺からの微生物の拡散を全身的に促進し、全身性炎症反応を助長する。さらに、上皮細胞への損傷は、空隙から流体を拍出する肺の能力を低下させる。流体が充填された空隙、サーファクタントの損失、微小血管血栓症および無秩序な修復(線維症をもたらす)は、安静時肺容量を低減し(低下したコンプライアンス)、換気血流不均等、左右シャントおよび呼吸仕事量を増加させる。さらに、肺単位のリンパ排液が抑制され、急性損傷により衝撃を受けるようであり、これは血管外流体の蓄積に寄与する。
【0318】
患者は、低い肺容量、無気肺、コンプライアンスの損失、換気血流不均等(死腔換気の増加)、および左右シャントを有する。臨床的特徴は、重度の呼吸困難、頻呼吸、および抵抗性の低酸素血である。
【0319】
長期化した炎症および肺細胞の破壊は、線維芽細胞増殖、ヒアリン膜形成および肺線維症をもたらす。この線維化性肺胞炎は、最初の障害から5日後という早期に明確となり得る。その後の回復は、生理的予備力の低下、およびさらなる肺障害への罹患しやすさの増加を特徴とし得る。広範囲の微小血管血栓症は、肺高血圧、心筋機能障害および全身性低血圧をもたらし得る。
【0320】
肺線維症(特発性)
特発性肺線維症(IPF)は、病理組織学的に通常の間質性肺炎の存在を特徴とする特発性間質性肺炎である。通常の間質性肺炎の顕著な病理学的特徴は、健康な肺、間質性炎症、線維症、および蜂の巣状の変化の交互領域を有する不均一な斑紋状の外観である。炎症よりも線維症が支配的である。特発性肺線維症は、不良な予後の前兆であり、現在まで、肺移植以外に、特発性肺線維症の治療のための利用可能な証明された効果的治療法はない。
【0321】
特発性肺線維症の病因は、未だ不明確であるが、特発性肺線維症(IPF)の発病に関する現在の仮説では、感受性宿主における誘発物質(例えば、煙、環境汚染物質、環境粉塵、ウイルス感染、胃食道逆流症、持続吸引)への暴露が、最初の肺胞上皮損傷をもたらし得る。この損傷は、肺胞上皮細胞の活性化をもたらし得るが、これは、線維芽/筋線維芽病巣の形成と共に間葉細胞の移動、増殖および活性化を誘発し、肺実質の不可逆的破壊と共に細胞外基質の過剰蓄積をもたらす。
【0322】
特発性肺線維症の他の可能性のある原因が、家族性の肺線維症の研究を通して認識されている。家族性肺線維症は、特発性肺線維症の全ての症例の20%を占める。血清サーファクタントタンパク質Cにおける遺伝子変異が、家族性肺線維症に罹患した幾人かの個人において発見されている。血清サーファクタントタンパク質Cにおけるこれらの変異は、II型肺胞上皮細胞に損傷を与える可能性があると考えられている。さらに、変異テロメラーゼが家族性特発性肺線維症と関連していると説明されている。
【0323】
ブレオマイシン誘導性肺線維症
ブレオマイシンは、細菌Streptomyces verticillusの株から単離された糖ペプチド抗生物質である。ブレオマイシンは、構造的に関連した化合物のファミリーを指す。抗癌剤として使用される場合、化学療法的形態は、主にブレオマイシンA2およびB2である。これは、DNAの破壊をもたらすことにより作用する。この薬剤は、頭頸部、頸部、および食道の扁平上皮細胞癌、胚細胞腫瘍、精巣癌、ならびにホジキンおよび非ホジキンリンパ腫の両方を含む様々な悪性腫瘍の治療に使用される。他の抗癌薬(例えば、シクロホスファミドおよびメトトレキセート等)は、ブレオマイシンと同様に肺線維症をもたらし得る。
【0324】
ブレオマイシン治療の重度の合併症は、肺線維症/間質性肺線維症(線維化性肺胞炎とも呼ばれる)および肺機能障害である。肺損傷の他のより一般的でない形態は、器質化肺炎および過敏性肺炎を含む。
【0325】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患(COLD)、慢性閉塞性気道疾患(COAD)、慢性気流制限(CAL)および慢性閉塞性呼吸器疾患(CORD)としても知られる慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、気道が狭窄する、一般に共存する肺疾患の組である慢性気管支炎および肺気腫を指す。これは、肺への、または肺からの空気流の制限をもたらし、息切れを引き起こす。臨床診療においては、COPDは、肺機能試験におけるその特徴的に低い気流により定義される。喘息とは対照的に、この制限は、可逆性が低く、通常、経時的に徐々に悪化する。
【0326】
COPDは、最も一般的には肺における異常炎症反応を誘発する喫煙からの有害な粒子またはガスにより引き起こされる。より大きな気道における炎症反応は、慢性気管支炎として知られ、これは、臨床的に、人々が定期的に痰を喀出する場合に診断される。肺胞において、炎症反応は、肺気腫として知られるプロセスである肺組織の破壊を引き起こす。COPDの自然経過は、急性増悪と呼ばれる時折の症状の突然の悪化を特徴とし、そのほとんどは、感染症または空気汚染により引き起こされる。
【0327】
気腫性破壊および末梢気道炎症は共に、個々の患者において組み合わせとして見られることが多く、COPDとして知られる範囲をもたらす。肺気腫が中程度または重度である場合、細気管支疾患よりもむしろ弾性収縮力の損失が、気道制限のメカニズムである。対照的に、肺気腫が軽度である場合、細気管支異常が、肺機能における障害の最大の原因となる。肺気腫における気道閉塞は、多くの場合不可逆的であり、炎症による気管支収縮が、制限された量の可逆性の原因である。
【0328】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)における病変は、太い(中央)気道、小(末梢)細気管支、および肺実質に生じる。発症メカニズムは明確ではないが、多様なメカニズムが関与する可能性が最も高い。増加した数の活性化多形核白血球およびマクロファージが、抗タンパク分解酵素により効果的に対抗され得ないようにエラスターゼを放出し、肺破壊をもたらす。主な侵害物質は、ヒト白血球エラスターゼであり、プロテイナーゼ3およびマクロファージ誘導マトリックスプロテイナーゼ、システインプロテイナーゼ、ならびにプラスミノーゲン活性化因子に対して可能な相乗的役割が示唆されている。さらに、喫煙においてフリーラジカルにより引き起こされた増加した酸化ストレス、食細胞により放出された酸化剤、および多形核白血球が全て、暴露された細胞のアポトーシスまたは壊死をもたらし得る。促進された老化および自己免疫メカニズムもまた、COPDの発病において役割を有するものとして提起されている。
【0329】
慢性気管支炎
慢性気管支炎は、肺における気管支(中程度の大きさの気道)の慢性炎症である。これは、一般に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の2つの形態のうちの1つとみなされている。これは、臨床的に、連続した2年のうち少なくとも3ヶ月間の、痰および粘液を生成する持続性の咳と定義される。粘液腺肥大が、慢性気管支炎の組織学的特徴である。気道内において説明される構造的変化は、萎縮、限局性扁平上皮化生、線毛の異常、可変量の気道平滑筋過形成、炎症、および気管支壁肥厚を含む。好中球増加症が気道内腔で発症し、好中球浸潤物が粘膜下層に蓄積する。呼吸細気管支は、単核炎症プロセス、粘液栓塞による内腔閉塞、杯細胞化生、平滑筋過形成、および線維症による歪みを示す。これらの変化は、支持肺胞付着の損失と併せて、気道壁を変形させ気道内腔を狭窄することにより気流制限をもたらす。
【0330】
肺気腫
肺気腫は、主に息切れを引き起こす肺の長期進行性疾患である。肺気腫に罹患した人々において、肺の物理的形状および機能を支持するために必要な組織が破壊されている。これは、COPDの群に含まれる。肺胞と呼ばれるより小さい嚢の周囲の肺組織の破壊により、呼気後にこれらの空気嚢がその機能的形状を保持できなくなるため、肺気腫は、閉塞性肺疾患と呼ばれる。これは、多くの場合、喫煙または空気汚染への長期暴露により引き起こされる。
【0331】
肺気腫は、3つの形態型を有する。第1の型である小葉中心性肺気腫は、呼吸細気管支および肺細葉の中央部分に制限された限局性の破壊を特徴とする。この形態の肺気腫は、喫煙に関連し、上葉において最も重篤である。第2の型である汎細葉性肺気腫は、終末細気管支に対し遠位の肺胞全体が関与する。汎細葉性型は、下葉領域において最も重篤であり、一般に、ホモ接合性α1−アンチトリプシン(AAT)欠損を有する患者において発症する。第3の型である遠位細葉性肺気腫または傍隔壁型肺気腫は、最も一般的でない形態であり、遠位気道構造、肺胞管、および嚢が関与する。この形態の肺気腫は、線維性中隔または胸膜に局在化し、水疱の形成をもたらす。肺尖水疱が気胸を引き起こす可能性がある。傍隔壁型肺気腫は、気流閉塞に関連しない。
【0332】
肺移植およびその合併症
「肺移植」という用語は、患者の罹患肺が、部分的または全体的に、供与者からの肺により置き換えられる外科手術を包含するように意図される。ある特定の状況においては異種移植が企図され得るが、通常同種移植が好ましい。
【0333】
肺移植は、進行した/末期の肺疾患に罹患した患者に対する最適な治療となっている。肺移植の適応症は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧、嚢胞性線維症、特発性肺線維症、およびアイゼンメンゲル症候群を含む。典型的には、片肺移植、両側連続移植、組み合わせ心肺移植、および肺葉移植の4つの異なる外科的手技が使用され、臓器の大部分は死亡した供与者から得られる。過去数十年内に、供与者管理、臓器保存、免疫抑制計画、および感染性合併症の制御が実質的に改善され、移植手術の外科的手技が発達した。それにもかかわらず、原発性移植片機能不全(PGD)は、肺移植の推定10%から25%に発症し、肺受容者の初期移植後疾病および死亡の主要な原因となっている(Lee JC and Christie JD. 2009. Proc Am Thorac Soc, vol. 6: 39−46)。PGDは、胸部X線におけるびまん性浸潤および異常酸素供給により定義される急性肺損傷として現れる。ここで、再灌流傷害、急性拒絶、およびその後の慢性移植片機能不全の間の関係を示唆するいくつかの証拠がある。閉塞性細気管支炎/閉塞性細気管支炎症候群(BOS)としても知られる慢性拒絶が、5年生存率がわずか50%である主要な理由であり、これは他のほとんどの固形臓器移植より著しく悪い。研究者は、最近、他の危険因子とは独立してPGDがBOS発症の危険性を増加すること、およびPGDの重症度がBOSの増加した危険性に直接関連することを実証している(Daud SA, Yusen RD et al. 2007 Am J Respir Crit Care Med. 2007;175(5):507−513)。
【0334】
肺移植後の閉塞性細気管支炎
閉塞性細気管支炎、およびその臨床的に相関する閉塞性細気管支炎症候群は、移植後5年生存した患者の最大50〜60%に発症する。ほとんどの患者において、閉塞性細気管支炎は、増強された免疫抑制に対する応答が低い進行性のプロセスであり、術後3年目以降に起こる死亡の30%超を占める。閉塞性細気管支炎の発症から5年後の生存率はわずか30〜40%であり、移植から5年後の生存率は、閉塞性細気管支炎に罹患していない患者よりも、罹患した患者において20〜40%低い。
【0335】
閉塞性細気管支炎の診断は、組織学に基づくが、経気管支的肺生検を用いて組織学的な証拠を得るのは、多くの場合困難である。したがって、1993年、International Society for Heart and Lung Transplantation (ISHLT)の後援による委員会は、FEV
1の変化に基づく、BOSと呼ばれる閉塞性細気管支炎の臨床的説明を提案した。各患者に対して、安定な移植後ベースラインFEV
1がBOS段階0と定義され、FEV
1の減少を経験する患者において、BOSの1から3の進行段階が、減少の大きさに従い定義される。この分類システムは、世界中の移植センターにより、閉塞性細気管支炎の有用な説明因子として適用されているが、その肺機能における小さな変化を検出する能力に関して懸念されている。この懸念は、最近、BOSの改訂された分類システムの策定へと繋がったが、これは、中間呼気流量(FE
25−75)および/またはFEV
1における減少として定義される新たな「潜在的BOS」段階(BOS 0−p)を含む。FEF
25−75 を含める根拠は、この変数がBOSの発症時FEV
1前に低下することを示した心肺および両側肺受容者における研究によるものである。新たなBOS 0−p段階は、医者に注意喚起し、BOSの代理マーカーを使用した厳密な機能的監視および徹底した評価の必要性を示すことを意図する。しかしながら、片肺の受容者、特に肺気腫に罹患した受容者における段階BOS 0−pの有用性を確立する必要性が、未だ存在する。
【0336】
閉塞性細気管支炎の病理組織学的特徴は、末梢気道の上皮細胞および上皮下構造の損傷および炎症が、感染性上皮再生および異常組織修復により過度の線維増殖をもたらすことを示唆している。他の臓器同種移植片の慢性機能不全を説明するものとして提案されている「損傷応答」の概念と並行して、単独でまたは組み合わさって作用する同種免疫依存的および非依存的メカニズムにより、気道損傷が生じ得る。進化しつつある概念は、閉塞性細気管支炎が、様々な障害が同様の組織学的および臨床的結果をもたらし得る「最終的な一般経路」の病変を表すということである。しかしながら、非移植個人においてこの症候群が稀であることは、同種免疫依存的メカニズムが、通常極めて重要な役割を果たすことを示唆している。
核酸分子および薬学的製剤の送達
【0337】
核酸分子は、単独でまたは他の治療薬と組み合わせて、肺疾患、損傷、特質、状態および/または障害を予防または治療するための使用に適合され得る。核酸分子は、対象への投与のためのリポソームを含む送達ビヒクル、担体および希釈剤ならびにそれらの塩を含み得、また/あるいは薬学的に許容される製剤中に存在してもよい。
【0338】
本明細書に開示される核酸分子は、それ自体化合物として(すなわち、裸の核酸分子)、または薬学的に許容される塩として送達または投与されてもよく、また単独で、または1種以上の薬学的に許容される担体、溶媒、希釈剤、賦形剤、アジュバントおよび/もしくはビヒクルとの組み合わせで、活性成分として送達または投与されてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される核酸分子は、担体または希釈剤と共に調製された裸の分子の直接的適用により、標的組織に送達される。
【0339】
「裸の核酸分子」という用語は、例えば、ウイルスベクター、ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム製剤、リポフェクチンまたは沈殿剤等を含む、細胞への進入を補助、促進または容易化するように作用する任意の送達ビヒクルを含まない核酸分子を指す。例えば、PBS中のsiRNAは「裸のsiRNA」である。
【0340】
核酸分子は、核酸分子および担体もしくは希釈剤、または、例えば、ウイルスベクター、ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム製剤、リポフェクチンもしくは沈殿剤等の細胞への進入を補助、促進もしくは容易化するように作用する任意の他の送達ビヒクルの直接的適用により、対象に送達または投与され得る。所望の対象への核酸の導入を容易化するポリペプチドは、米国特許出願公開第20070155658号に記載されている(例えば、2,4,6−トリグアニジノトリアジンおよび2,4,6−トラミドサルコシルメラミン等のメラミン誘導体、ポリアルギニンポリペプチド、ならびに交互するグルタミンおよびアスパラギン残基を含むポリペプチド)。
【0341】
核酸分子の送達のための方法は、Akhtar et al., Trends Cell Bio., 2: 139 (1992);Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics, ed. Akhtar, (1995), Maurer et al., Mol. Membr. Biol., 16: 129−140 (1999);Hofland and Huang, Handb. Exp. Pharmacol., 137: 165−192 (1999);およびLee et al., ACS Symp. Ser., 752: 184−192 (2000);米国特許第6,395,713号;米国特許第6,235,310号;米国特許第5,225,182号;米国特許第5,169,383号;米国特許第5,167,616号;米国特許第4,959217号;米国特許第4.925,678号;米国特許第4,487,603号;および米国特許第4,486,194号、ならびにSullivan et al., PCT WO94/02595;PCT WO00/03683およびPCT WO02/08754;ならびに米国特許出願公開第2003077829号に記載されている。これらのプロトコルは、事実上任意の核酸分子の送達に利用することができる。核酸分子は、これらに制限されないが、リポソームへのカプセル化、イオントフォレシスにより、または生分解性ポリマー、ヒドロゲル、シクロデキストリン(例えば、Gonzalez et al., Bioconjugate Chem., 10: 1068−1074 (1999);Wang et al., 国際PCT出願番号WO03/47518およびWO03/46185を参照されたい)、ポリ(乳酸−コ−グリコール)酸(PLGA)およびPLCAミクロスフェア(例えば、米国特許第6,447,796号および米国特許出願公開第2002130430号を参照されたい)、生分解性ナノカプセル、ならびに生体接着性ミクロスフェア等の他のビヒクルへの組み込みにより、またはタンパク質ベクター(O’Hare and Normand, 国際PCT出願番号WO 00/53722)によることを含む、当業者に知られた様々な方法で細胞に投与することができる。代替として、核酸組成物/組み合わせは、直接注射、経口注入、吸入または注入ポンプの使用により局所的に送達される。本明細書で提供されるような核酸分子の直接注射は、例えば気管内、皮下、筋肉内、もしくは皮内であるかに関わらず、標準的な針およびシリンジの方法を使用して、または、針を使用しない技術、例えばConry et al., Clin. Cancer Res., 5: 2330−2337 (1999)およびBarry et al., 国際PCT公開番号WO99/31262に記載のもの等により行うことができる。本明細書で提供される分子は、医薬品として使用することができる。医薬品は、対象における疾患状態を予防、その発生を調節、または治療(症状をある程度、好ましくは症状の全てを軽減)する。
【0342】
核酸分子は、カチオン性脂質と複合化されても、リポソーム内に封入されても、または別様に標的細胞もしくは組織に送達されてもよい。核酸または核酸複合体は、バイオポリマーへの組み込みあり、またはなしで、直接的な皮膚適用、経皮的適用、または注射により、関連組織にex vivoまたはin vivoで局所投与されてもよい。
【0343】
送達系は、ポリ(エチレングリコール)脂質を含有する表面修飾リポソーム(PEG修飾もしくは長期循環リポソームまたはステルスリポソーム)を含む。これらの製剤は、標的組織内での薬剤の蓄積を増加するための方法を提供する。このクラスの薬物担体は、単核食細胞系(MPSまたはRES)によるオプソニン化および排除に抵抗し、それによってカプセル化薬剤のより長い血液循環時間および向上した組織暴露を可能とする(Lasic et al. Chem. Rev. 1995, 95, 2601−2627;Ishiwata et al., Chem. Pharm. Bull. 1995, 43, 1005−1011)。
【0344】
核酸分子は、ポリエチレンイミン(例えば、直鎖もしくは分岐鎖PEI)、ならびに/または、例えばポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−N−アセチルガラクトースアミン(PEI−PEG−GAL)もしくはポリエチレンイミンポリエチレン−グリコール−トリ−N−アセチルガラクトースアミン(PEI−PEG−triGAL)誘導体、グラフト化PEI、例えばガラクトースPEI、コレステロールPEI、抗体誘導体化PEI、およびそのポリエチレングリコールPEI(PEG−PEI)誘導体を含むポリエチレンイミン誘導体と製剤化または複合化されてもよい(例えば、Ogris et al., 2001, AAPA PharmSci, 3, 1−11;Furgeson et al., 2003, Bioconjugate Chem., 14, 840−847;Kunath et al., 2002, Pharmaceutical Research, 19, 810−817;Choi et al., 2001, Bull. Korean Chem. Soc., 22, 46−52;Bettinger et al., 1999, Bioconjugate Chem., 10, 558−561;Peterson et al., 2002, Bioconjugate Chem., 13, 845−854;Erbacher et al., 1999, Journal of Gene Medicine Preprint, 1, 1−18;Godbey et al., 1999, PNAS USA, 96, 5177−5181;Godbey et al., 1999, Journal of Controlled Release, 60, 149−160;Diebold et al., 1999, Journal of Biological Chemistry, 274, 19087−19094;Thomas and Klibanov, 2002, PNAS USA, 99, 14640−14645;Sagara, 米国特許第6,586,524号および米国特許出願公開第20030077829号を参照されたい)。
【0345】
核酸分子は、膜破壊剤、例えば米国特許出願公開第20010007666号に記載のもの等と複合化されてもよい。また、膜破壊剤(複数を含む)および核酸分子は、カチオン性脂質またはヘルパー脂質分子、例えば米国特許第6,235,310号に記載のそれらの脂質と複合化されてもよい。
【0346】
核酸分子は、肺送達、例えば、吸入デバイスまたは噴霧器によるエアロゾルまたは噴霧乾燥製剤の吸入により送達または投与され得、関連肺組織への核酸分子の迅速な局所的取込みを提供する。微粉化された核酸組成物の呼吸可能な乾燥粒子を含有する固体粒子組成物は、乾燥または凍結乾燥された核酸組成物を粉砕し、次いで微粉化された組成物を、例えば400メッシュの篩に通過させて、粗大凝集物を破壊または分離することにより調製され得る。本明細書で提供される核酸組成物を含む固体粒子組成物は、任意選択で、エアロゾルの形成を容易化するように作用する分散剤、および他の治療化合物を含有してもよい。好適な分散剤は、乳糖であり、これは、任意の好適な比、例えば1対1の重量比で、核酸化合物とブレンドされてもよい。
【0347】
液体粒子のエアロゾルは、本明細書に開示される核酸分子を含み得、任意の好適な手段、例えば噴霧器により生成され得る(例えば、米国特許第4,501,729号を参照されたい)。噴霧器は、狭いベンチュリ開口を通した圧縮ガス、典型的には空気もしくは酸素の加速を用いて、または超音波撹拌を用いて、活性成分の溶液または懸濁液を治療エアロゾルミストに転換する市販の機器である。噴霧器での使用に好適な製剤は、製剤の最大40%w/w、好ましくは20%w/w未満の量の液体担体中の活性成分(複数を含む)を含む。担体は、典型的には、水または希釈アルコール水溶液であり、好ましくは、例えば塩化ナトリウムまたは他の好適な塩の添加により、体液と等張化されている。任意選択の添加剤は、製剤が無菌に調製されていない場合は保存料、例えばメチルヒドロキシベンゾエート、酸化防止剤、香味料、揮発性油、緩衝剤および乳化剤、ならびに他の製剤界面活性剤を含む。活性組成物および界面活性剤を含む固体粒子のエアロゾルは、同様に、任意の固体粒子エアロゾル発生器を用いて生成され得る。対象に固体粒子治療薬を投与するためのエアロゾル発生器は、上で説明されたように、呼吸可能な粒子を生成し、所定量の治療組成物を含有するある体積のエアロゾルを、ヒトへの投与に好適な速度で発生する。固体粒子エアロゾル発生器の1つの例となる種類は、吸入器である。吸気による投与に好適な製剤は、吸入器を用いて送達され得る微粉砕粉末を含む。吸入器において、粉末、例えば、本明細書に記載の治療を行うのに効果的なその一定量が、典型的にはゼラチンまたはプラスチックで作製されたカプセルまたはカートリッジ内に含有され、これらがin situで穿孔または開放され、吸入後デバイスを通して引き出された空気により、または手動操作のポンプを用いて粉末が送達される。吸入器内で使用される粉末は、活性成分のみ、または活性成分(複数を含む)、好適な粉末希釈剤、例えば乳糖、および任意選択の界面活性剤を含む粉末ブレンドからなる。活性成分(複数を含む)は、典型的には、製剤の0.1w/wから100w/wを含む。第2の種類の例となるエアロゾル発生器は、定量吸入具を含む。定量吸入具は、典型的には、液化噴射剤中の活性成分の懸濁液または溶液製剤を含有する加圧エアロゾル分配器である。使用中、これらの機器は、一定体積を送達するように構成された弁を通して製剤を放出し、活性成分(複数を含む)を含有する微粒子スプレーを生成する。好適な噴射剤は、ある特定のクロロフルオロカーボン化合物、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンおよびそれらの混合物を含む。製剤は、さらに、1つ以上の共溶媒、例えばエタノール、乳化剤および他の製剤界面活性剤、例えばオレイン酸またはソルビタントリオレエート、酸化防止剤、ならびに好適な香味剤を含有し得る。肺送達のための他の方法は、例えば、米国特許出願公開第20040037780号、および米国特許第6,592,904号;米国特許第6,582,728号;米国特許第6,565,885号に記載されている。
【0348】
送達系は、例えば、水性および非水性ゲル、クリーム、多重エマルジョン、マイクロエマルジョン、リポソーム、軟膏、水溶液および非水溶液、ローション、エアロゾル、炭化水素系ならびに粉末を含み得、可溶化剤、透過促進剤(例えば、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコールおよびアミノ酸)、ならびに親水性ポリマー(例えば、ポリカルボフィルおよびポリビニルピロリドン)等の賦形剤を含有し得る。一実施形態において、薬学的に許容される担体は、リポソームまたは経皮促進剤である。本明細書で提供される組成物および方法に従い使用され得るリポソームの例は、(1)CellFectin、カチオン性脂質N,NI,NII,NIII−テトラメチル−N,NI,NII,NIII−テトラパルミト−y−スペルミンおよびジオレイルホスファチジル−エタノールアミン(DOPE)の1:1.5(M/M)リポソーム製剤(GIBCO BRL)、(2)Cytofectin GSV、カチオン性脂質およびDOPEの2:1(M/M)リポソーム製剤(Glen Research)、(3)DOTAP (N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)−N,N,N−トリ−メチル−アンモニウムメチルサルフェート)(Boehringer Manheim)、ならびに(4)リポフェクタミン、ポリカチオン性脂質DOSPA、中性脂質DOPEの3:1(M/M)リポソーム製剤(GIBCO BRL)およびジアルキル化アミノ酸(DiLA2)を含む。
【0349】
核酸分子は、バイオコンジュゲート、例えばVargeese et al., 米国出願第10/427,160号;米国特許第6,528,631号;米国特許第6,335,434号;米国特許第6,235,886号;米国特許第6,153,737号;米国特許第5,214,136号;米国特許第5,138,045号に記載のような核酸複合体を含み得る。
核酸分子の発現
【0350】
本明細書に開示される組成物、方法およびキットは、核酸分子の発現を可能とする様式で本明細書で提供されるような少なくとも1種の核酸分子をコード化する核酸配列を含む発現ベクターを含み得る。dsRNAの鎖を発現することができる核酸分子または1つ以上のベクターを細胞の環境内に導入する方法は、細胞の型およびその環境の構成に依存する。核酸分子またはベクターコンストラクトは、細胞内に直接(すなわち、細胞内に)導入されるか、または細胞外へ、腔内、間質腔内、生物の循環中に導入される、経口的に導入される、またはdsRNAを含有する溶液中に生物もしくは細胞を浸漬することにより導入されてもよい。細胞は、好ましくは、哺乳動物細胞であり、より好ましくはヒト細胞である。発現ベクターの核酸分子は、センス領域およびアンチセンス領域を含み得る。アンチセンス領域は、TLR2遺伝子およびTLR4遺伝子から選択される遺伝子をコード化するRNAまたはDNA配列に相補的な配列を含み得、センス鎖は、アンチセンス領域に相補的な配列を含み得る。核酸分子は、相補的なセンスおよびアンチセンス領域を有する2つの異なる鎖を含み得る。核酸分子は、相補的なセンスおよびアンチセンス領域を有する単一の鎖を含み得る。
【0351】
標的RNA分子と相互作用して標的RNA分子(例えば、本明細書においてGenbank Accession番号で参照される標的RNA分子)をコード化する遺伝子を下方制御する核酸分子は、DNAまたはRNAベクター中に挿入される転写単位から発現されてもよい。組み換えベクターは、DNAプラスミドまたはウイルスベクターであってもよい。ウイルスベクターを発現する核酸分子は、これに限定されないが、アデノ関連ウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、またはアルファウイルスをベースとして構築されてもよい。核酸分子を発現することができる組み換えベクターは、本明細書に記載のように送達され、標的細胞内で持続してもよい。代替として、核酸分子の一時的発現を提供するウイルスベクターが使用されてもよい。そのようなベクターは、必要に応じて繰り返し投与されてもよい。核酸分子は、発現すると、遺伝子に結合し、RNA干渉(RNAi)を介して遺伝子の機能または発現を下方制御する。核酸分子発現ベクターの送達は、例えば静脈内もしくは筋肉内投与による、肺への直接投与による、例えば気管内注射による、対象から外植された標的細胞に投与し、続いて対象内に再導入することによる、または所望の標的細胞内への導入を可能とする任意の他の手段による、全身送達であってもよい。
【0352】
発現ベクターは、核酸分子の発現を可能とする様式で本明細書に開示される少なくとも1種の核酸分子をコード化する核酸配列を含み得る。例えば、発現ベクターは、核酸二重鎖の一方もしくは両方の鎖、または核酸二重鎖に自己ハイブリダイズする単一の自己相補的な鎖をコード化してもよい。核酸分子をコード化する核酸配列は、核酸分子の発現を可能とする様式で動作可能に結合してもよい。そのような発現ベクターの限定されない例は、Paul et al., 2002, Nature Biotechnology, 19, 505;Miyagishi and Taira, 2002, Nature Biotechnology, 19, 497;Lee et al., 2002, Nature Biotechnology, 19, 500;およびNovina et al., 2002, Nature Medicine, advance online publication doi:10.1038/nm725に記載されている。発現ベクターはまた、哺乳動物(例えばヒト)細胞内に含まれてもよい。
【0353】
発現ベクターは、同じまたは異なってもよい2つ以上の核酸分子をコード化する核酸配列を含み得る。発現ベクターは、Genbank Accession番号NM_003264.3(TLR2)、NR_024169.1(TLR4)、NM_138554.3(TLR4)またはNR_024168.1(TLR4)で参照される核酸分子に相補的な核酸分子の配列を含み得る。
【0354】
発現ベクターは、a)転写開始領域(例えば、真核生物pol I、IIまたはIII開始領域)、b)転写終結領域(例えば、真核生物pol I、IIまたはIII終結領域)、c)イントロンならびにd)核酸分子の少なくとも1つをコード化する核酸配列であって、核酸分子の発現および/または送達を可能とする様式で開始領域および終結領域に動作可能に結合した核酸配列のうちの1つ以上を含み得る。ベクターは、任意選択で、核酸分子をコード化する配列の5’−側もしくは3’−側に動作可能に結合したタンパク質のオープンリーディングフレーム(ORF)、および/またはイントロン(介在配列)を含み得る。
【0355】
核酸分子配列の転写は、真核細胞RNAポリメラーゼI(pol I)、RNAポリメラーゼII(pol II)、またはRNAポリメラーゼIII(pol III)のプロモーターから駆動され得る。pol IIまたはpol IIIプロモーターからの転写は、全ての細胞内で高レベルで発現され、所与の細胞型における所与のpol IIプロモーターのレベルは、近くに存在する遺伝子調節配列(エンハンサー、サイレンサー等)の性質に依存する。真核細胞RNAポリメラーゼが適切な細胞内に発現する限り、真核細胞RNAポリメラーゼプロモーターも使用される(Elroy−Stein and Moss, 1990, PNAS USA, 87, 6743−7;Gao and Huang 1993, Nucleic Acids Res., 21, 2867−72;Lieber et al., 1993, Methods Enzymol., 217, 47−66;Zhou et al., 1990, Mol. Cell. Biol., 10, 4529−37)。幾人かの研究者は、そのようなプロモーターから発現された核酸分子が、哺乳動物細胞内で機能し得ることを実証している(例えば、Kashani−Sabet et al., 1992, Antisense Res. Dev., 2, 3−15;Ojwang et al., 1992, PNAS USA, 89, 10802−6;Chen et al., 1992, Nucleic Acids Res., 20, 4581−9;Yu et al., 1993, PNAS USA, 90, 6340−4;L’Huillier et al., 1992, EMBO J., 11, 4411−8;Lisziewicz et al., 1993, PNAS USA, 90, 8000−4;Thompson et al., 1995, Nucleic Acids Res., 23, 2259;Sullenger & Cech, 1993, Science, 262, 1566)。より具体的には、U6核内低分子RNA(snRNA)、トランスファーRNA(tRNA)およびアデノウイルスVA RNAをコード化する遺伝子から得られたもの等の転写単位が、細胞中の高濃度の所望のRNA分子、例えばsiNAの生成に有用である(Thompson et al., supra;Couture and Stinchcomb, 1996, supra;Noonberg et al., 1994, Nucleic Acid Res., 22, 2830;Noonberg et al., 米国特許第5,624,803号;Good et al., 1997, Gene Ther., 4, 45;Beigelman et al., 国際PCT公開番号WO96/18736)。上記核酸転写単位は、これらに制限されないが、プラスミドDNAベクター、ウイルスDNAベクター(例えばアデノウイルスもしくはアデノ関連ウイルスベクター)、またはウイルスRNAベクター(例えばレトロウイルスもしくはアルファウイルスベクター)を含む、哺乳動物細胞への導入のための様々なベクターに組み込むことができる(Couture and Stinchcomb, 1996 supraを参照されたい)。
【0356】
核酸分子は、真核生物プロモーターから細胞内に発現され得る(例えば、Izant and Weintraub, 1985, Science, 229, 345;McGarry and Lindquist, 1986, PNAS USA 83, 399;Scanlon et al., 1991, PNAS USA, 88, 10591−5;Kashani−Sabet et al., 1992, Antisense Res. Dev., 2, 3−15;Dropulic et al., 1992, J. Virol., 66, 1432−41;Weerasinghe et al., 1991, J. Virol., 65, 5531−4;Ojwang et al., 1992, PNAS USA, 89, 10802−6;Chen et al., 1992, Nucleic Acids Res., 20, 4581−9;Sarver et al., 1990 Science, 247, 1222−1225;Thompson et al., 1995, Nucleic Acids Res., 23, 2259;Good et al., 1997, Gene Therapy, 4, 45)。当業者には、適切なDNA/RNAベクターから、真核細胞内に任意の核酸を発現させることができることが理解される。そのような核酸の活性は、酵素核酸による一次転写産物からの放出により増強され得る(Draper et al., PCT WO93/23569およびSullivan et al., PCT WO94/02595;Ohkawa et al., 1992, Nucleic Acids Symp. Ser., 27, 15−6;Taira et al., 1991, Nucleic Acids Res., 19, 5125−30;Ventura et al., 1993, Nucleic Acids Res., 21, 3249−55;Chowrira et al., 1994, J. Biol. Chem., 269, 25856)。
【0357】
ウイルス粒子内に封入されたウイルスコンストラクトは、細胞への発現コンストラクトの効率的導入および発現コンストラクトによりコード化されたdsRNAコンストラクトの転写の両方を達成することとなるであろう。
【0358】
経口導入のための方法は、RNAと生物の食物との直接混合、および、食物として使用される種がRNAを発現するように操作され、次いで影響を受ける生物に供給される操作的手法を含む。物理的方法を使用して、核酸分子溶液を細胞に導入してもよい。核酸を導入する物理的方法は、核酸分子を含有する溶液の注入、核酸分子により被覆された粒子による暴露、RNAの溶液への細胞もしくは生物の含浸、または核酸分子の存在下での細胞膜の電気穿孔を含む。
【0359】
脂質媒介担体輸送、リン酸カルシウム等の化学物質媒介輸送等の、細胞に核酸を導入するための当該技術分野において知られた他の方法が使用されてもよい。したがって、核酸分子は、以下の活動のうちの1つ以上を実行する成分と共に導入されてもよい:細胞によるRNA取り込みの向上、二重鎖のアニールの促進、アニールされた鎖の安定化、または標的遺伝子の阻害の別様での増加。
核酸製剤
【0360】
核酸分子またはベクターコンストラクトは、好適な製剤、例えばLipofectamine(商標)2000(Invitrogen、CA、USA)、ビタミンA結合リポソーム中の液体製剤を使用して、細胞に導入され得る(Sato et al. Nat Biotechnol 2008;26:431−442, PCT特許公開番号WO2006/068232)。また、脂質製剤は、例えば、静脈内、筋肉内、もしくは腹腔内注射、または気管内注射により、あるいは経口もしくは吸入または当該技術分野において知られているような他の方法により、動物に投与され得る。製剤が、動物、例えば哺乳動物、より具体的にはヒトへの投与に好適である場合、製剤はまた、薬学的に許容されるものである。オリゴヌクレオチドを投与するための薬学的に許容される製剤が既知であり、使用することができる。いくつかの場合において、卵母細胞を用いた研究の場合のように、核酸分子、例えばdsRNAを緩衝液または生理食塩水中で製剤化し、製剤化されたdsRNAを標的臓器または標的細胞に直接注射することが好ましくなり得る。また、dsRNA二重鎖の直接注射が行われてもよい。dsRNAを導入する好適な方法に関しては、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2004/0203145号、米国特許出願公開第20070265220号を参照されたい。
【0361】
肺障害または損傷を治療するための薬学的に許容される製剤は既知であり、本明細書に開示される治療的組み合わせの投与に使用することができる。いくつかの場合において、本明細書に開示される治療組成物は、全身送達のための静脈内投与用に、または、例えば鼻腔内投与用のエアロゾルとして、または、例えば鼻腔内注入用の点鼻薬として、または気管内注入に好適なものとして製剤化されてもよい。
【0362】
ポリマーナノカプセルまたはマイクロカプセルは、カプセル化または結合核酸分子、例えばdsRNAの、細胞への輸送および放出を容易にする。それらは、例えば特にポリブチルシアノアクリレートを含むポリマーおよびモノマー材料を含む。材料および製造方法の概要は、公開されている(Kreuter, 1991を参照されたい)。重合/ナノ粒子生成ステップにおいてモノマーおよび/またはオリゴマー前駆体から形成されるポリマー材料自体は、ポリマー材料の分子量および分子量分布と同様に従来技術から知られており、ナノ粒子製造の分野における当業者は通常の技術に従い好適に選択することができる。
【0363】
核酸分子は、マイクロエマルジョンとして製剤化されてもよい。マイクロエマルジョンは、単一の光学的に等方性で熱力学的に安定な溶液である、水、油および両親媒性物質の系である。典型的には、マイクロエマルジョンは、まず、油を界面活性剤水溶液に分散させ、次いで十分な量の第4の成分、一般的には中間鎖長のアルコールを添加して透明な系を形成することにより調製される。
【0364】
マイクロエマルジョンの調製に使用され得る界面活性剤は、限定されないが、単独の、または共界面活性剤と組み合わされた、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、Brij 96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、テトラグリセロールモノラウレート(ML310)、テトラグリセロールモノオレエート(MO310)、ヘキサグリセロールモノオレエート(PO310)、ヘキサグリセロールペンタオレエート(PO500)、デカグリセロールモノカプレート(MCA750)、デカグリセロールモノオレエート(MO750)、デカグリセロールセキオレエート(SO750)、デカグリセロールデカオレエート(DA0750)を含む。共界面活性剤、通常はエタノール、1−プロパノールおよび1−ブタノール等の短鎖アルコールは、界面活性剤膜に貫通し、結果的に界面活性剤分子の間に生成された隙間により不規則膜を形成することにより、界面流動性を増加させるように作用する。
【0365】
水溶性架橋ポリマー
送達製剤は、1つ以上の分解性架橋脂質部分、1つ以上のPEI部分、および/または1つ以上のmPEG(PEGのメチルエーテル誘導体(メトキシポリ(エチレングリコール))を含む、水溶性分解性架橋ポリマーを含み得る。
【0366】
分解性架橋脂質部分は、以下のスキームAに示されるように、ポリエチレンイミン(PEI)と反応することができる。
スキームA
【化2】
【0367】
スキームAに示される反応は、PEIおよびジアクリレート(I)を、エタノール、メタノールまたはジクロロメタン等の相互溶媒中で、好ましくは室温で数時間撹拌して混合し、次いで溶媒を蒸発させて得られるポリマーを回収することによって行うことができる。いかなる具体的理論にも束縛されることを望まないが、PEIとジアクリレート(I)との間の反応は、PEIの1つ以上のアミンとジアクリレートの二重結合(複数を含む)との間のマイケル反応が関与すると考えられている(J. March, Advanced Organic Chemistry 3
rd Ed., pp. 711−712 (1985)を参照されたい)。スキームAに示されるジアクリレートは、米国特許出願第11/216,986号(米国特許出願公開第2006/0258751号)に記載のような様式で調製され得る。
【0368】
PEIの分子量は、好ましくは約200ダルトンから25,000ダルトン、より好ましくは400ダルトンから5,000ダルトン、さらにより好ましくは600ダルトンから2,000ダルトンの範囲内である。PEIは、分岐鎖または直鎖であってもよい。
【0369】
PEIのジアクリレートに対するモル比は、好ましくは、約1:2から約1:20の範囲内である。カチオン性リポポリマーは、約500ダルトンから約1,000,000ダルトンの範囲内、好ましくは約2,000ダルトンから約200,000ダルトンの範囲内であり得る。分子量は、PEG標準を使用したサイズ排除クロマトグラフィーにより、またはアガロースゲル電気泳動法により決定することができる。
【0370】
カチオン性リポポリマーは、好ましくは分解性、より好ましくは生分解性であり、例えば、加水分解、酵素切断、還元、光切断、および超音波からなる群から選択される機序により分解可能である。いかなる具体的な理論にも束縛されることを望まないが、細胞内での式(II)のカチオン性リポポリマーの分解は、エステル結合の酵素切断および/または加水分解により進行すると考えられている。
【0371】
合成は、上述のように分解性脂質部分をPEI部分と反応させることにより行うことができる。次いで、mPEG(PEGのメチルエーテル誘導体(メトキシポリ(エチレングリコール))を添加して、分解性架橋ポリマーを形成する。好ましい実施形態において、反応は、室温で行われる。反応生成物は、クロマトグラフィー技術を含む当該技術分野において知られた任意の手段により単離され得る。好ましい実施形態において、反応生成物は、沈殿に続く遠心分離により除去され得る。
用量および用量単位
【0372】
投与される有用な用量および具体的な投与形態は、当業者には容易に明らかなように、細胞型、またはin vivoでの使用の場合、年齢、体重ならびに具体的な受容者およびその治療領域、使用される具体的な核酸および送達方法、企図される治療もしくは診断における使用、ならびに製剤の形態、例えば懸濁剤、エマルジョン、ミセルもしくはリポソーム等の因子に依存して変動する。典型的には、用量は、より低いレベルで投与され、所望の効果が達成されるまで増加される。
【0373】
核酸の送達に脂質が使用される場合、投与される脂質化合物の量は変動し得、また一般に投与される核酸の量に依存する。例えば、核酸に対する脂質化合物の重量比は、好ましくは約1:1から約30:1であり、約5:1から約10:1の重量比がより好ましい。
【0374】
核酸分子の好適な用量単位は、単回投与または短期間(例えば、1〜5分)もしくは長期間(例えば、数時間)の間隔で行われる一連の投与の計画において、受容者の体重1キログラム当たり1日当たり約0.001ミリグラムから20〜100ミリグラムの範囲内、または体重1キログラム当たり1日当たり0.01ミリグラムから20ミリグラムの範囲内、または体重1キログラム当たり1日当たり0.01ミリグラムから10ミリグラムの範囲内、または体重1キログラム当たり1日当たり0.1ミリグラムから5ミリグラムの範囲内、または体重1キログラム当たり1日当たり0.1ミリグラムから2.5ミリグラムの範囲内であってもよい。
【0375】
ある特定の実施形態において、核酸分子の好適な用量単位は、単回投与または短期間(例えば、1〜5分)もしくは長期間(例えば、数時間)の間隔で行われる一連の投与の計画において、受容者の体重1キログラム当たり1日当たり約0.01mg、0.02mg、0.03mg、0.04mg、0.05mg、0.0.6mg、0.07mg、0.08mg、0.09mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1.0mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg、2.0mg、2.1mg、2.2mg、2.3mg、2.4mg、2.5mg、2.6mg、2.7mg、2.8mg、2.9mg、3.0mg、3.1mg、3.2mg、3.3mg、3.4mg、3.5mg、3.6mg、3.7mg、3.8mg、3.9mg、4.0mg、4.1mg、4.2mg、4.3mg、4.4mg、4.5mg、4.6mg、4.7mg、4.8mg、4.9mg、5.0mg、5.1mg、5.2mg、5.3mg、5.4mg、5.5mg、5.6mg、5.7mg、5.8mg、5.9mg、6.0mg、6.1mg、6.2mg、6.3mg、6.4mg、6.5mg、6.6mg、6.7mg、6.8mg、6.9mg、7.0mg、7.1mg、7.2mg、7.3mg、7.4mg、7.5mg、7.6mg、7.7mg、7.8mg、7.9mg、8.0mg、8.1mg、8.2mg、8.3mg、8.4mg、8.5mg、8.6mg、8.7mg、8.8mg、8.9mg、9.0mg、9.1mg、9.2mg、9.3mg、9.4mg、9.5mg、9.6mg、9.7mg、9.8mg、9.9mg、10.0mg、10.1mg、10.2mg、10.3mg、10.4mg、10.5mg、10.6mg、10.7mg、10.8mg、10.9mg、11.0mg、11.1mg、11.2mg、11.3mg、11.4mg、11.5mg、11.6mg、11.7mg、11.8mg、11.9mg、12.0mg、12.1mg、12.2mg、12.3mg、12.4mg、12.5mg、12.6mg、12.7mg、12.8mg、12.9mg、13.0mg、13.1mg、13.2mg、13.3mg、13.4mg、13.5mg、13.6mg、13.7mg、13.8mg、13.9mg、14.0mg、14.1mg、14.2mg、14.3mg、14.4mg、14.5mg、14.6mg、14.7mg、14.8mg、14.9mg、15.0mg、15.1mg、15.2mg、15.3mg、15.4mg、15.5mg、15.6mg、15.7mg、15.8mg、15.9mg、16.0mg、16.1mg、16.2mg、16.3mg、16.4mg、16.5mg、16.6mg、16.7mg、16.8mg、16.9mg、17.0mg、17.1mg、17.2mg、17.3mg、17.4mg、17.5mg、17.6mg、17.7mg、17.8mg、17.9mg、18.0mg、18.1mg、18.2mg、18.3mg、18.4mg、18.5mg、18.6mg、18.7mg、18.8mg、18.9mg、19.0mg、19.1mg、19.2mg、19.3mg、19.4mg、19.5mg、19.6mg、19.7mg、19.8mg、19.9mg、20.0mgの範囲内であってもよい。
【0376】
核酸分子の好適な量が導入され得るが、これらの量は、標準的方法を用いて実験的に決定することができる。細胞の環境における個々の核酸分子種の効果的な濃度は、約1フェムトモル、約50フェムトモル、100フェムトモル、1ピコモル、1.5ピコモル、2.5ピコモル、5ピコモル、10ピコモル、25ピコモル、50ピコモル、100ピコモル、500ピコモル、1ナノモル、2.5ナノモル、5ナノモル、10ナノモル、25ナノモル、50ナノモル、100ナノモル、500ナノモル、1マイクロモル、2.5マイクロモル、5マイクロモル、10マイクロモル、100マイクロモルまたはそれ以上であってもよい。
【0377】
各治療薬剤の用量は、体重1kg当たり約0.01μgから約1g(例えば、体重1kg当たり0.1μg、0.25μg、0.5μg、0.75μg、1μg、2.5μg、5μg、10μg、25μg、50μg、100μg、250μg、500μg、1mg、2.5mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、250mg、もしくは500mg、または1g)から独立して選択され得る。
【0378】
ある特定の実施形態において、体重1キログラム当たり1日当たり約0.1mgから約140mg程度の用量レベルが、上述の条件(対象当たり1日当たり約0.5mgから約7g)の治療において有用である。単回投薬形態を生成するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、治療される受容者および特定の投与形態に依存して変動する。用量単位剤形は、一般に、約1mgから約500mgの間の活性成分を含有する。
【0379】
ある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物は、剤形当たり約0.05mg、0.06mg、0.07mg、0.08mg、0.09mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1.0mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg、2.0mg、2.1mg、2.2mg、2.3mg、2.4mg、2.5mg、2.6mg、2.7mg、2.8mg、2.9mg、3.0mg、3.1mg、3.2mg、3.3mg、3.4mg、3.5mg、3.6mg、3.7mg、3.8mg、3.9mg、4.0mg、4.1mg、4.2mg、4.3mg、4.4mg、4.5mg、4.6mg、4.7mg、4.8mg、4.9mg、5.0mg、5.1mg、5.2mg、5.3mg、5.4mg、5.5mg、5.6mg、5.7mg、5.8mg、5.9mg、6.0mg、6.1mg、6.2mg、6.3mg、6.4mg、6.5mg、6.6mg、6.7mg、6.8mg、6.9mg、7.0mg、7.1mg、7.2mg、7.3mg、7.4mg、7.5mg、7.6mg、7.7mg、7.8mg、7.9mg、8.0mg、8.1mg、8.2mg、8.3mg、8.4mg、8.5mg、8.6mg、8.7mg、8.8mg、8.9mg、9.0mg、9.1mg、9.2mg、9.3mg、9.4mg、9.5mg、9.6mg、9.7mg、9.8mg、9.9mg、または10.0mgの用量レベルで組成物中に存在する。
【0380】
いかなる特定の対象に対する具体的な用量レベルも、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康、性別、食生活、投与時間、治療の頻度、投与経路、排泄速度、混合薬、および療法を受けている特定の疾患の重症度を含む、様々な要因に依存することが理解される。
【0381】
用量および頻度を含む治療を継続するための計画は、初期応答および臨床判断により導くことができる。
【0382】
気管内注入、エアロゾル製剤の吸入等による肺からの投与経路が好ましいが、特定の投与においては他の経路、例えば鼻、喉、気管支組織または肺の粘膜に対するもの等が必要となり得る。また、極微針により、または超音波もしくはレーザにより加えられるエネルギーにより送達が駆動される能動的システムを含む経皮投与経路が使用されてもよい。
【0383】
本明細書に開示される治療組成物は、好ましくは、肺損傷、障害、疾患に罹患している対象または肺移植を受けた対象の肺に、組成物/組み合わせを含有するエアロゾルの吸入により、鼻腔内もしくは気管内注入により、または通気機器による吸入(例えば、意識のない患者への投与のため)により投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチド組成物は、肺移植を受けた対象の肺に、吸入により投与される。医薬組成物の肺送達に関するさらなる詳細については、Weiss et al., Human Gene Therapy 1999. 10:2287−2293;Densmore et al., Molecular therapy 1999. 1:180−188;Gautam et al., Molecular Therapy 2001. 3:551−556;およびShahiwala & Misra, AAPS PharmSciTech 2004. 24;6(3):E482−6を参照されたい。さらに、米国特許出願公開第2004/0063654号には、dsRNAの呼吸用製剤が記載されている。米国特許出願公開第2004/0063654号には、dsRNAの呼吸用製剤が記載されている。参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる、本発明の譲受人の1人に対する国際特許公開番号WO2008/132723は、呼吸器系へのdsRNAの治療送達を開示している。
【0384】
各治療薬剤の用量は、独立して決定される。
【0385】
本明細書に開示される核酸分子を含む医薬組成物は、1日1回(q.d.)、1日2回(b.i.d.)、1日3回(t.i.d.)、1日4回(q.i.d.)、または医学的に適切な任意の期間に任意の間隔で投与され得る。しかしながら、治療薬剤はまた、1日にわたり適切な間隔で投与される、2、3、4、5、6またはそれ以上の部分用量を含有する用量単位で投薬されてもよい。その場合、それに対応して、全1日用量単位を達成するために、各部分用量に含有される核酸分子はより少なくてもよい。また、用量単位は、例えば、薬物送達ポンプを使用して、または、数日間にわたりdsRNAの持続的および一貫した放出を提供する従来の持続放出製剤を使用して、数日間にわたる単回投与用に配合されてもよい。持続放出製剤は、当該技術分野において周知である。用量単位は、対応する複数の1日用量を含有してもよい。組成物は、核酸の複数の単位の合計が十分な用量を含有するように配合されてもよい。
医薬組成物、キット、および容器
【0386】
患者への投与のための、遺伝子TLR2の発現/活性/機能を標的化、低下、下方制御または阻害する少なくとも1種の治療薬剤(例えば、有機小分子化学化合物、タンパク質、抗体、ペプチド、ペプチド模倣薬および核酸分子)を含む組成物、キット、容器および製剤が提供される。
【0387】
また、患者への投与のための、遺伝子TLR2の発現/活性/機能を標的化、低下、下方制御または阻害する少なくとも1種の治療薬剤、および遺伝子TLR4の発現/活性/機能を標的化、低下、下方制御または阻害する少なくとも1種の治療薬剤の、少なくとも2種の治療薬剤(例えば、有機小分子、タンパク質、抗体、ペプチド、ペプチド模倣薬および核酸分子)を含む組成物、キット、容器および製剤が提供される。
【0388】
キットは、少なくとも1つの容器および少なくとも1つのラベルを含み得る。好適な容器は、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、および試験管を含む。容器は、ガラス、金属またはプラスチック等の様々な材料から形成され得る。容器は、アミノ酸(複数種を含む)、小分子(複数種を含む)、核酸(複数種を含む)、タンパク質(複数種を含む)、ペプチド(複数種を含む)、ペプチド模倣薬(複数種を含む)、細胞集団(複数種を含む)および/または抗体(複数種を含む)を保持することができる。一実施形態において、容器は、本明細書に記載の状態の治療、診断、予後診断または予防に効果的な組成物を保持し、無菌アクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、静脈注射用溶液バッグ、または皮下注射用針により貫通可能なストッパーを有するバイアルであってもよい)。組成物中の活性薬剤は、TLR2に特異的に結合することができる、および/またはTLR2の機能を調整することができる核酸分子(複数種を含む)であってもよい。組成物中の活性薬剤は、TLR4に特異的に結合することができる、および/またはTLR4の機能を調整することができる核酸分子(複数種を含む)であってもよい。組成物中の活性薬剤は、TLR2およびTLR4に特異的に結合することができる、ならびに/またはTLR2およびTLR4の機能を調整することができる核酸分子(複数種を含む)であってもよい。
【0389】
キットは、さらに、関連した適応症および/もしくは指示、試薬および他の組成物、または本明細書に記載のような目的で使用されるツールを含み得る。
【0390】
キットは、さらに、薬学的に許容される緩衝剤、例えばリン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液および/またはデキストロース溶液を含む第2の容器を含み得る。キットは、さらに、他の緩衝剤、希釈剤、充填剤、撹拌器、シリンジ、ならびに/または、適応症および/もしくは使用説明を有する添付文書を含む、商業的観点および使用者の観点から望ましい他の構成要素を含み得る。
【0391】
使用前に治療薬剤が封入される単位用量アンプルまたは複数用量容器は、その薬学的に効果的な用量または複数の効果的用量に好適な、ある量の治療薬剤または治療薬剤を含有する溶液を閉じ込めた密閉容器を含み得る。治療薬剤は、無菌製剤として封入され、密閉容器は、使用まで製剤の無菌性を保持するように設計される。
【0392】
治療薬剤分子が封入される容器は、ラベルされてもよく、ラベルは、政府機関、例えば食品医薬品局により規定された形態の通知を有してもよく、この通知は、ヒトへの投与のための治療物質の製造、使用、または販売の、連邦法の下での機関による承認を反映する。
【0393】
連邦法は、ヒトの治療における医薬組成物の使用は、連邦政府の機関により承認されなければならないとしている。アメリカ合衆国において、施行は、米国食品医薬品法第301−392条(21 U.S.C. § 301−392)に詳しく記述されるそのような承認を確保するために適切な規則を発表する食品医薬品局の管轄である。動物の組織から作製された製品を含む生物学的材料に関する規則は、合衆国法典第42編(公衆衛生と厚生)第262条(42 U.S.C. § 262)に定められている。ほとんどの国では同様の承認が必要である。規則は国ごとに異なるが、個々の手続きは当業者に周知であり、本明細書で提供される組成物および方法は、好ましくはそれに従って準拠する。
【0394】
したがって、本明細書において、患者への投与に好適な薬学的に許容される注射用担体中の溶液としての核酸分子の組み合わせ、および医薬製剤の製造、使用、または販売を規制する政府機関により規定される形態の容器に関連した通知を含み得る医薬品が提供され、この通知は、ヒトへの投与のための核酸を含む溶液の製造、使用、または販売の、機関による承認を反映する。本明細書に開示される組成物、キットおよび方法は、ラベルまたは添付文書を含む、本明細書に開示される核酸分子を封入することを含み得る。ラベルは、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷、肺線維症(特発性)、ブレオマイシン誘導性肺線維症、人工呼吸器誘導性肺損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺気腫、肺移植後の閉塞性細気管支炎および肺移植誘導性急性移植片機能不全、ならびに単独もしくは他の療法と組み合わせた細胞もしくは組織におけるTLR2の発現の下方制御、または、単独もしくは他の療法と組み合わせたTLR2およびTLR4の発現の下方制御に関連する、またはそれに応答する任意の他の疾患または状態を含む、ヒトにおける肺障害または損傷の治療または予防のための使用等の核酸分子の使用にの適応症を含み得る。ラベルは、TLR2遺伝子の発現の低減における使用の適応症を含み得る。ラベルは、TLR2遺伝子およびTLR4遺伝子の発現の低減における使用の適応症を含み得る。「添付文書」は、適応症、用法、投与、禁忌、封入された製品と組み合わせられるべき治療製品、および/またはそのような治療製品の使用に関する警告等に関する情報を含有する、治療製品の商業的パッケージに慣例的に含まれる説明書を指すように使用される。
【0395】
当業者には、当該技術分野において知られた他の肺障害/損傷の治療、薬物および療法が、本明細書に開示される治療的組み合わせと容易に組み合わせることができ、したがって本明細書において企図されることが認識される。
【0396】
ここで、本明細書で提供される方法および組成物を、以下の限定されない実施例を参照することによってより詳細に説明する。
【実施例1】
【0397】
TLR2およびTLR4遺伝子に対する活性dsRNA化合物の配列の生成およびdsRNA化合物の生成
専用アルゴリズムおよび本明細書に開示される遺伝子の既知の配列を使用して、dsRNA化合物のアンチセンスおよび対応するセンス配列を生成した。アルゴリズムに加えて、20、21、22、および23merオリゴマー配列が、19mer配列の5’および/または3’伸長により生成される。この方法を使用して生成された配列は、対応するmRNA配列のセグメントに完全に相補的である。
【0398】
配列番号5〜12,136は、本明細書に開示されるdsRNA化合物の調製に有用なオリゴヌクレオチド配列を提供する。各配列は、5’から3’の方向で示されている。
【0399】
各遺伝子に対して、ヒト遺伝子発現を標的とするための最良の配列としての専用アルゴリズムにおけるそれらのスコアに基づいて優先順位付けされた、19merセンスおよび対応するアンチセンスオリゴヌクレオチド配列の別個のリストがある。
【0400】
本明細書に開示されるsiRNA化合物は、本明細書において下記に記載の任意の方法により合成される。
【実施例2】
【0401】
TLR2およびTLR4遺伝子を標的とするdsRNA化合物の阻害活性の評価
ヒトHeLaまたはヒトPC3細胞へのdsRNA化合物の導入により、dsRNA化合物の阻害活性をin vitroで評価する。
【0402】
dsRNA導入用細胞の調製
HeLa細胞(American Type Culture Collection)を、Czauderna, et al.(NAR, 2003. 31:670−82)に記載のように培養する。
【0403】
6ウェルプレートの各ウェルで、1日後に30〜50%の密集度に達するように、1X105ヒトHeLa細胞(ATCC、カタログ番号CCL−2)を2mLの成長培地中でインキュベートする。次いで、細胞を37±1℃、5% CO2インキュベータ内で24時間インキュベートする。植菌から1日後、細胞培養培地をウェル毎に1.5mLの新鮮な成長培地と交換する。
【0404】
dsRNA導入
インキュベーション後、0.0035nMから100nMの範囲の最終濃度(細胞培養ウェル中の最終dsRNA濃度)で、Lipofectamine(商標)2000試薬(Invitrogen)を使用してdsRNA化合物を細胞に導入する。次いで、細胞を37±1℃、5% CO2インキュベータ内で48時間インキュベートする。
【0405】
導入効率の決定のために、同様に、DDIT4遺伝子転写産物を標的とするCy3標識化dsRNAの20nM溶液を、細胞に導入する。
【0406】
陰性対照として、同様に、40nMおよび100nMの最終濃度でスクランブル配列dsRNA(CNL_1)を細胞に導入する。
【0407】
リアルタイムqPCR(qPCR)のためのRNA調製
導入から48時間後、細胞を採取し、EZ−RNAキット[Biological Industries (#20−410−100)]を使用して単離された細胞からRNAを抽出する。
【0408】
蛍光顕微鏡により導入効率を試験した。
【0409】
in vitroでの阻害活性の決定
qPCR分析を使用して、本明細書に開示される特定のdsRNA化合物を使用した遺伝子発現の下方制御のパーセントを決定する。dsRNA導入細胞試料のそれぞれから調製されたテンプレートRNAとして使用して、標的遺伝子mRNAの相対量を決定する。対非導入対照試料に対するdsRNA治療試料における標的遺伝子mRNA量の比に基づいて、dsRNA活性を決定する。
【0410】
本明細書に開示される化学修飾dsRNA化合物をin vitroで試験すると、標的遺伝子発現を下方制御することが示される。
【実施例3】
【0411】
dsRNA化合物の安定性
本明細書に開示されるdsRNA化合物のヌクレアーゼ耐性を、ヒト血清および/または管支肺胞洗浄液(BALF)中で試験する。
【0412】
安定性試験のために、dsRNA化合物を、必要な最終濃度(例えば、7μM)までヒト血清または管支肺胞洗浄液(BALF)中に希釈する。5μLの一定量を、15μLの1.5xTBE投入緩衝液に移し、液体窒素中で急速凍結し、−20℃に移す。これが「時点0」を表す。残りのdsRNA溶液を、5μLの一定量に分割し、これらを37℃で30分間、1時間、6時間、8時間、10時間、16時間または24時間インキュベートする。
【0413】
インキュベーション後、dsRNA化合物試料を15μLの1.5xTBE投入緩衝液に移す。5μLの投入緩衝液中の各dsRNA化合物を、非変性20%ポリアクリルアミドゲル上に投入し、電気泳動を行う。陽性対照、二本鎖移動参照(非関連、19塩基対、平滑末端、類似した化学修飾を有する二本鎖RNA)および一本鎖移動参照(化学修飾を有する非関連ssRNA)、ならびに時点0試料を、同じゲル上に投入し、並行して電気泳動を行う。
【0414】
dsRNA可視化のために、ゲルを臭化エチジウム溶液(1.0μg/μL)で染色する。
【0415】
ヒト血清および/または管支肺胞洗浄液(BALF)中でのインキュベーション後にPAGE上でdsRNA試料の移動パターンを検査することにより、本明細書に開示されるdsRNA化合物の安定性を決定する。
【実施例4】
【0416】
同所性血管新生含気肺移植のマウスモデルにおけるdsRNAの有効性
長期冷虚血および免疫拒絶の両方による原発性移植片機能不全の予防における本明細書に記載のdsRNA化合物の治療有効性を、肺移植の同系および同種異系マウス同所性モデルにおいて試験した。マウスにおける同所性血管新生含気左肺移植の方法は、肺動脈、肺静脈および気管支の吻合のためのカフ技術を利用する。この方法は、いくつかの出版物(Okazaki et al., Am J Transplant, 2007; 7:1672−9およびKrupnick et al. Nature Protocols, 2009; vol.4 No. 1:86−93)において報告されている。
【0417】
dsRNA試験化合物
TLR4を標的とする1種のdsRNA化合物(TLR4_4_S500と指定される)ならびにTLR2を標的とする2種dsのRNA化合物(TLR2_7_S73およびTLR2_4_S73と指定される)を、肺移植の同系マウス同所性モデルにおいて試験した。TLR4を標的とする1種のdsRNA化合物(TLR4_4_S500と指定される)ならびにTLR2を標的とする1種のdsRNA化合物(TLR2_4_S73と指定される)を、肺移植の同種異系マウス同所性モデルにおいて試験した。増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)を対象とするdsRNA化合物(EGFP_5_S763と指定される)および/またはビヒクル(リン酸緩衝液(PBS))を、これらの実験において陰性対照として機能した。
【0418】
表1は、肺移植の同系および同種異系マウス同所性モデルにおいて試験されたdsRNA化合物を列挙する。
【表1】
【0419】
表2は、肺移植の同系および同種異系マウス同所性モデルにおいて試験されたdsRNA化合物のセンス鎖およびアンチセンス鎖配列を記載する。表2は、さらに、異種間データを記載する。
【表2】
【0420】
表3は、肺移植の同系および同種異系マウス同所性モデルにおいて試験されたdsRNA化合物のセンス鎖およびアンチセンス鎖修飾パターンを記載する。
【表3】
【0421】
用量および投与
肺移植手術の最後(吻合開口直後)に、気管内注入により非移植者にdsRNA化合物を投与した。6μg/マウス、12.5μg/マウス、25μg/マウスおよび50μg/マウスの用量の個々のdsRNA化合物を、これらの動物モデルにおいて試験した。
マウス同系肺移植(C57Bl/6→C57Bl/6)
【0422】
実験計画
供与マウスおよび受容マウスは両方ともC57BL/6マウスであった。移植前に、ヒト肺移植片の保存に使用される溶液と同様の成分を有する低デキストロース溶液中での18時間の低温保管による肺移植片の長期低温保存によって虚血再灌流傷害を誘導した(18時間の冷虚血時間(CIT))。この方法は、移植から24時間後に原発性移植片機能不全に一致する症状を誘導した。灌流から5〜10分以内に、対照siRNA、TLR2、TLR4またはTLR2およびTLR4の両方に特異的な25μg/マウス(または本明細書に記載のような異なる用量)のsiRNAを、気管に投与した。24時間後に肺受容マウスを肺損傷に関して評価した。
【0423】
投与
dsRNA溶液の肺への気管内注入により、1用量のdsRNA化合物またはdsRNA化合物の組み合わせを、0日目に吻合開口直後に投与する。
【0424】
評価
以下によって測定されるように肺機能を評価することにより、肺受容マウスを移植から24時間後に評価した。
・肉眼的病理学−肺水腫の出現、
・移植後肺における肺機能:PaO2、左肺動脈の動脈血の酸素供給
・細胞浸潤物の気道内蓄積、および
・気管支肺胞洗浄(BAL)細胞の総量および差異計数
【0425】
結果
この同系モデルにおいて、長期冷虚血(18時間CIT)に暴露されたマウス同系移植片は、移植から24時間後に測定すると、酸素供給障害、肺水腫、炎症性サイトカイン産生の増加、ならびに顆粒球の移植片内および気道内蓄積を示す。対照的に、1時間低温保存された移植片(1時間CIT)の肺被移植マウスは、移植から24時間後に肺損傷の証拠はほとんど有さなかった。
【0426】
TLR2に特異的なdsRNA、またはTLR2に特異的なdsRNAおよびTLR4に特異的なdsRNAの組み合わせで治療された肺受容マウスは、(ビヒクルまたはEGFPに特異的なdsRNAで治療された)他の治療群および陰性対照動物と比較して、有意に良好な機能および有意に少ないBAL細胞浸潤物を有していた。
【0427】
図1(N=5/群の代表的画像)は、25μg/マウスの用量のTLR2に特異的なdsRNA(すなわちTLR2_4_S73)、および25μg/マウスの用量のTLR4に特異的なdsRNA(すなわちTLR4_4_S500)の組み合わせの投与が、この肺移植マウスモデルにおいて効率的に肺水腫を低減したことを示す。TLR2に対するdsRNAおよびTLR4に対するdsRNAの組み合わせで治療された肺のいずれにおいても、明らかな浮腫は観察されなかった。TLR2_7_S73およびTLR4_4_S500の組み合わせ(それぞれ25μg/マウスの用量)においても同様の結果が得られた。12.5μg/マウスの用量のTLR2 dsRNA化合物およびTLR4 dsRNA化合物(TLR2_7_S73およびTLR4_4_S500)のそれぞれにおいても、同様の結果が得られたが、ビヒクルまたはEGFPを標的とするdsRNAで治療された動物においては、明確な浮腫が出現した。
【0428】
図2は、肺移植から24時間後に測定された受容マウス肺機能障害が、TLR2に特異的なdsRNAおよびTLR4に特異的なdsRNAの組み合わせで治療されたマウスにおいて、TLR2に特異的なdsRNA単独で治療されたマウスと同様に修復されたが、TLR4を対象とするdsRNA単独で治療されたマウスにおいては修復されなかったことを示す。
【0429】
TLR2に特異的なdsRNAおよびTLR4に特異的なdsRNAの以下の2つの組み合わせを、これらの実験において1:1の比で試験した。
(ii)それぞれ25μg/マウスのTLR2_7_S73およびTLR4_4_S500の組み合わせ、全治療薬量:50μg/マウス、ならびに
(iii)それぞれ25μg/マウスのTLR2_4_S73およびTLR4_4_S500の組み合わせ、全治療薬量:50μg/マウス、ならびに
【0430】
追加の動物群を、個々のTLR2に特異的なdsRNAまたは個々のTLR4に特異的なdsRNAで試験した。
【0431】
以下の2つのTLR2に特異的なdsRNAを実験において試験した:25μg/マウスの用量のTLR2_4_S73ならびに25μg/マウスおよび50μg/マウスの用量のTLR2_7_S73。
【0432】
以下の1つのTLR4に特異的なdsRNAを実験において試験した:25μg/マウスおよび50μg/マウスの用量のTLR4_4_S500。
【0433】
陰性対照動物は、ビヒクルで処置した。
【0434】
試験品(dsRNA TLR2およびTLR4 dsRNAの組み合わせ、TLR2に特異的なdsRNA、TLR4に特異的なdsRNA、またはビヒクルを含む組成物)を、吻合の開口および再灌流の開始直後に投与した。
【0435】
図2は、二重標的dsRNA組成物(TLR2_7_S73およびTLR4_4_S500(N= 5)またはTLR2_4_S73およびTLR4_4_S500(N= 3)を含む)の、各dsRNA化合物25μg/マウスの用量での投与が、肺機能を有意に保存し、血液酸素供給をほぼ正常レベル(PaO2=500〜530mmHg)に保持したことを示す。
【0436】
TLR2を特異的に標的とするdsRNA化合物単独(TLR2_7_S73(N= 3)またはTLR2_4_S73(N= 5))の、個々のdsRNA化合物25μg/マウスの用量での投与もまた、肺機能の保存において有意に効果的であり、血液酸素供給を、1時間CIT対照群に対して得られたレベルと同様のレベルに保持した。より高い用量(50μg/マウス)のTLR2を特異的に標的とするdsRNA化合物単独(TLR2_7_S73;(N= 5))でも、同様の結果が得られた。
【0437】
重大なことには、TLR2遺伝子の異なる領域を標的とする2つの異なるdsRNA TLR2化合物(TLR2_7_S73およびTLR2_4_S73)でも同様の結果が得られた。
【0438】
TLR4を特異的に標的とするdsRNA化合物単独(TLR4_4_S500)の、25μg/マウス(N=2)または50μg/マウス(N=3)の用量での投与は、肺機能の保存において効果的ではなく、血液酸素供給を、ビヒクル対照群に対して得られたレベルと同様のレベルに保持した。
【0439】
図3は、肺移植から24時間後に測定された、受容マウス肺機能障害が、TLR2に特異的なdsRNAおよびTLR4に特異的なdsRNAの組み合わせ(
図3において「siRNAカクテル」として特定される)で治療されたマウスにおいて修復されたことを示す。TLR2_7_S73およびTLR4_4_S500の組み合わせを、これらの実験において1:1の比で使用した。以下の用量を試験した。
(i)それぞれ25μg/マウスのTLR2_7_S73およびTLR4_4_S500の組み合わせ、全治療薬量:50μg/マウス、
(ii)それぞれ12.5μg/マウスのTLR2_7_S73およびTLR4_4_S500の組み合わせ、全治療薬量:25μg/マウス、ならびに
(iii)それぞれ6μg/マウスのTLR2_7_S73およびTLR4_4_S500の組み合わせ、全治療薬量:12μg/マウス
【0440】
陰性対照動物は、ビヒクルまたはEGFPに特異的なdsRNA(EGFP_5_S763)で、50μg/マウス、25μg/マウスまたは12.5μg/マウスの用量で処置した。
【0441】
試験品(TLR2 dsRNAおよびTLR4 dsRNA、またはビヒクル、またはEGFPに特異的なdsRNA(
図3において「対照siRNA」と特定される)を含む組成物)を、吻合の開口および再灌流の開始直後に投与した。
【0442】
図3は、1時間の低温移植片保存(再灌流対照)後の肺移植の後、肺機能の悪化がごく僅かである(PaO2=363±31mmHg)が、低温保存時間の延長(18時間CIT)は、受容マウスの肺機能の劇的な低下をもたらし(ビヒクル群に対してPaO2=170±13mmHg)、重度のPGD(グレード3;ISHLT定義)を示すことを示す。二重標的siRNA組成物(TLR2_7_S73およびTLR4_4_S500を含む)の、各dsRNA化合物25μg/マウスの用量での投与は、肺機能を有意に(P<0.005)保存し(PaO2=435±64)、血液酸素供給をほぼ正常レベル(PaO2=500〜530mmHg)に保存した。同じ用量の非標的化対照dsRNA(50μg/マウスの用量のEGFP_5_S763)の投与は、肺機能を改善しなかった。
【0443】
二重標的dsRNA組成物(TLR2_7_S73およびTLR4_4_S500を含む)の、各dsRNA化合物12.5μg/マウスの用量での投与もまた、肺機能の保存において有意に効果的(P<0.05)であり、血液酸素供給を、1時間CIT対照群に対して得られたレベルと同様のレベルに保持した。同じ用量の非標的化対照dsRNA(25μg/マウスの用量のEGFP_5_S763)の投与は、肺機能を改善しなかった。
【0444】
二重標的dsRNA組成物(TLR2_7_S73およびTLR4_4_S500を含む)の、各dsRNA化合物6μg/マウスの用量での投与は、肺機能の保存において効果的ではなく、血液酸素供給を、ビヒクルおよび非標的化対照dsRNA(50μg/マウス、25μg/マウスおよび12.5μg/マウスの用量のEGFP_5_S763)で得られたレベルと同様のレベルに保持した。
【0445】
図4は、TLR2に特異的なdsRNAおよびTLR4に特異的なdsRNAの組み合わせ(TLR2_4_S73およびTLR4_4_S500)、ならびにTLR2に特異的なdsRNA(TLR2_4_S73)を含む個々の処置が、顆粒球の気道内蓄積を減少させたことを示す。PGDの病態生理学的特徴の1つは、間質肺空間への細胞浸潤物の急速な流入であり、これは、典型的には、患者の胸部X線検査において検出される。これと一致して、18時間のCIT後に肺移植を受けたマウス(ビヒクル群)における全気管支肺胞洗浄(BAL)細胞の計数は、1時間のCIT後に肺移植を受けたマウスにおけるカウントよりも有意に(P<0.01)高かった(それぞれ24±6対9±4細胞×10^5/肺)(N=2)。TLR2に特異的なdsRNAおよびTLR4に特異的なdsRNAの組み合わせ(TLR2_4_S73およびTLR4_4_S500;(N=5))による、各dsRNA化合物25μg/マウスの用量での処置、ならびにTLR2に特異的なdsRNA(TLR2_4_S73)を含む、50μg/マウス(N=2)の用量または25μg/マウス(N= 5)の用量での個々の処置は、長期低温保存に関連した細胞BAL浸潤を減少させた。さらに、TLR2に特異的なdsRNAおよびTLR4に特異的なdsRNAの組み合わせによる処置、ならびにTLR2に特異的なdsRNAを含む個々の処置は、肺気道内の顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)蓄積を減少させた。
【0446】
TLR4を特異的に標的とするdsRNA化合物単独(TLR4_4_S500)の、50μg/マウス(N= 2)の用量での投与は、顆粒球の気道内蓄積の減少において効果的ではなく、顆粒球の気道内蓄積を、50μg/マウス(N=2)、25μg/マウス(N=5)または12.5μg/マウス(N= 5)の用量のビヒクルおよび非標的化対照dsRNA(EGFP_5_S763)で得られたレベルと同様のレベルに保持した。
マウス同種異系肺移植(Balb/C→C57Bl/6)
【0447】
実験計画
このモデルにおいて、長期冷虚血は、免疫抑制により媒介される肺同種移植片受容を防止する。このモデルにおいて、Balb/c肺が、18時間の冷虚血時間(CIT)に供され、術後0日目に抗CD40L、および2日目にCTLA4Igの免疫抑制剤で処置されるC57Bl/6受容マウスに移植される。1時間保管された同種移植片を受容した受容マウスとは対照的に、18時間保管されたものは、IFNγ
+ CD8
+ T細胞の顕著な移植片内蓄積と共に、急激にその同種移植片を拒絶した。
【0448】
評価
移植から7日後に以下を評価することにより、肺受容マウスを評価した。
・移植片内IFNγ+CD8+T細胞の存在量(FACSによる)
・移植片拒絶の組織病理学的徴候、Aスコア
【0449】
投与
dsRNA溶液の肺への気管内注入により、2用量のdsRNA化合物またはdsRNA化合物の組み合わせを、肺移植後0日目および1日目に吻合開口直後に投与する。
【0450】
結果
TLR2に特異的なdsRNAおよびTLR4に特異的なdsRNAの組み合わせ(TLR2_4_S73およびTLR4_4_S500、「siRNAカクテル」として特定される)の、各dsRNA化合物25μg/マウス(N=5)の用量での投与、またはTLR2に特異的なdsRNA単独(TLR2_4_S73)の、25μg/マウス(N=4)の用量での投与は、同種異系移植における移植片内IFNγ+CD8+T細胞の存在量を減少させた。この同種異系モデルにおいて、長期冷虚血は、免疫抑制により媒介される肺同種移植片受容を妨げる。このモデルにおいて、Balb/c肺が、18時間の冷虚血時間(18CIT)に供され、術後(POD)0日目に抗CD40L、およびPOD2日目にCTLA4Igで処置されるC57BL/6(B6)受容マウスに移植される。これらの免疫抑制試薬は共に、大手製薬会社により現在前臨床開発段階にあり、一緒に使用される場合、一般に、二重共刺激阻止処置(DCB)と呼ばれる。1時間(1CIT)保管された同種移植片を受容した受容マウス(N=6−)とは対照的に、18CIT Balb/c→DCB+ B6肺受容マウス(N=6)は、IFNγ+CD8+Tの顕著な移植片内蓄積と共に、急激にその同種移植片を拒絶した(
図5A、上パネル)。この拒絶はまた、組織病理学的評価によっても明らかであった(
図6A、B)。
【0451】
このモデルにおいて、対照dsRNA(EGFP_5_S763)処置肺受容マウス(N=3)は、同種移植組織片における著しく増加したIFNγ+CD8+T細胞蓄積と共に、急激にその同種移植片を拒絶した。対照的に、0日目および1日目にTLR2に特異的なdsRNAおよびTLR4に特異的なdsRNAの組み合わせ(TLR2_4_S73およびTLR4_4_S500、「siRNAカクテル」として特定される(N= 5))で処置された被移植マウスは、有意に増加した移植片内IFNγ
+ CD8
+ T細胞の存在量を有する(
図5A、B)と共に、急性拒絶の有意により低い組織学的証拠を有していた(
図6A、B)。
【0452】
これらの実験は、TLR2に特異的なdsRNA化合物、またはTLR2およびTLR4に特異的なdsRNA化合物の組み合わせを使用したTLR標的化機能が、肺移植片損傷を有意に改善/予防することを示す。TLR2またはTLR2-およびTLR4−dsRNA治療受容マウスにおける肺機能は、1時間低温保存されたグラフトの肺受容マウスと同様であったが、これは、この方法が肺移植の受容マウスにおける原発性移植片機能不全の予防/治療において有用となり得ることを示すy。これらの実験手順およびdsRNA治療は、主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)ミスマッチ供与マウスおよび受容マウスにおいて行うことができる。
【実施例5】
【0453】
dsRNAオリゴヌクレオチドセンスおよびアンチセンス対。
配列表は、本明細書に開示される方法の実施に有用な二本鎖オリゴヌクレオチド化合物を生成するためのセンスおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0454】
TLR2二本鎖オリゴヌクレオチドのセンスおよびアンチセンス鎖は、配列番号5〜722、1441〜2246、3053〜4152、および5253〜5545に記載されるセンス鎖配列、ならびに配列番号723〜1440、2247〜3052、4153〜5252および5546〜5838に記載されるアンチセンス鎖配列において提供される。
【0455】
TLR4二本鎖オリゴヌクレオチドのセンスおよびアンチセンス鎖は、配列番号5839〜7075、8313〜8458、8605〜10318、12033〜12084に記載されるセンス鎖配列、ならびに配列番号7076〜8312、8459〜8604、10319〜12032、12085〜12136に記載されるアンチセンス鎖配列において提供される。
【0456】
本明細書において言及または引用される、論文、特許および特許出願、ならびに他の全ての文献および電子的に入手可能な情報の内容は、それぞれの個々の出版物が具体的および個々に参照により組み込まれることが示されるのと同じ程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0457】
出願人は、任意のそのような論文、特許、特許出願、または他の物理的および電子的文献からのありとあらゆる資料および情報を、本出願に物理的に組み込む権利を保有する。
【0458】
本発明の範囲および精神から逸脱せずに、本明細書に開示される本発明に様々な置換および修正が行われてもよいことが、当業者には容易に明らかであろう。したがって、そのような追加の実施形態は、本発明および以下の特許請求の範囲内である。本開示は、当業者に、哺乳動物における肺障害または損傷を治療するための改善された活性を有する治療的組み合わせの生成に向けて、本明細書に記載の様々な組み合わせを試験することを教示する。そのような改善された活性は、例えば、改善された安定性、改善されたバイオアベイラビリティ、RNAiを媒介する細胞応答の改善された活性化を含み得る。したがって、本明細書に記載の具体的実施形態は限定的ではなく、改善された活性を有する治療的組み合わせの特定に向けて、追加の具体的な組み合わせが必要以上の実験を行うことなく試験され得ることが、当業者には容易に理解され得る。
【0459】
本明細書で例示的に説明される本発明は、本明細書で具体的に開示されていない任意の要素(複数を含む)、制限(複数を含む)がない場合に好適に実践することができる。したがって、例えば、本発明の説明の文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)、「a」および「an」および「the」という用語ならびに同様の呼称は、本明細書において別段の指定がない限り、または文脈により明確に矛盾しない限り、単数および複数の両方を対象とするものと解釈されるべきである。「備える」、「有する」、「含む」、「含有する」等の用語は、拡張できるものとして、および制限されることなく読み取られるものとする(例えば、「含むがこれらに限定されない」を意味する)。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段に指定されない限り、単にその範囲に含まれるそれぞれの別個の値を個々に参照する簡潔な方法として機能することを意図し、それぞれの別個の値は、本明細書において個々に列挙されたように本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書において別段に指定されない限り、または文脈により明確に矛盾しない限り、任意の好適な順番で行うことができる。本明細書に記載のありとあらゆる例、または例示的言語(例えば、「等」)の使用は、単に本発明をより良く例示することを意図し、別段に請求されない限り、本発明の範囲を制限しない。本明細書におけるいかなる言語も、任意の請求されていない要素を本発明の実践に不可欠なものとして示すものと解釈されるべきではない。さらに、本明細書において使用されている用語および表現は、説明のために用いられており、制限を目的とせず、そのような用語および表現の使用において、示され説明される特徴またはその一部のいかなる等価物をも除外する意図はなく、請求される本発明の範囲内で様々な修正が可能であることが理解される。したがって、本発明は好ましい実施形態および任意選択の特徴により具体的に開示されているが、本明細書に開示される具現化される本発明の修正および変型が当業者により成されてもよく、またそのような修正および変型は、本発明の範囲内とみなされることが理解されるべきである。
【0460】
本明細書において、本発明を幅広く一般的に説明した。一般的開示内に含まれるより狭い種および亜属の分類のそれぞれもまた、本発明の一部を成す。これは、切り取られた材料が具体的に本明細書に列挙されているか否かとは無関係に、任意の主題を属から除く但し書きまたは否定的制限を有する本発明の一般的説明を含む。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。さらに、本発明の特徴または態様が、マーカッシュ群に関して説明されている場合、それにより本発明がまた、マーカッシュ群の任意の個々の要素または要素の部分集合に関しても説明されることが、当業者に認識される。