【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題は、請求項1および請求項15による本発明による成形体であって、いわば予備調製された立体形の中間生成物として準備でき、本質的に粉末状のPMMA材料の加工特性を有する成形体によって解決できる。同様に、前記課題は、請求項8に記載の本発明による方法および請求項19に記載のキットならびに請求項16および17記載の使用によって解決される。本発明の好ましい実施形態は、従属形式請求項に述べられ、かつ発明の詳細な説明において詳説されている。本発明によれば、所望の粉末量が定義された溶剤混合物と混合される。
【0005】
本発明の対象は、複数のポリマー粒子から形成されている立体成形体であって、前記ポリマー粒子は、粉末状の粒子、粉末、粒状物、ペレット、造粒物、球状粒子、押出物、特に小さい棒状体もしくは当業者に公知の形および/または種々の粒子の混合物を含み、かつ前記粒子は、ポリマー粒子同士の接点で互いに少なくとも部分的に共に固着、特に接着されており、かつ前記ポリマー粒子は、有機ポリマーからなる立体成形体である。好ましくは、前記成形体は、複数のポリマー粒子からなる。一つの選択肢においては、前記複数のポリマー粒子と、少なくとも1種のモノマーとからなる成形体は、以下に挙げられるものを含む。種々の粒子の混合物は、特に同じまたは異なる形状の粒子であってもよい。一つの選択肢によれば、好ましくは同じ形状であるが、異なる粒度の粒子が前記成形体中に存在してよい。好ましいポリマー粒子は、1種の定義された直径または異なる直径を有する球状粒子である。球状粒子は、本質的に丸形である。前記粒子は、ビーズ形を有してもよい。特に好ましい球状のポリマー粒子は、1.8以下の、特に1.5以下の、好ましくは1.25以下の、特に好ましくは1.1以下のアスペクト比を有する。粒度は、好ましくは1〜150μmの範囲であり、種々の粒度のフラクションが共に混合されていることが好ましい。好ましくは、1〜50μmの、特に1〜30μmの一つのフラクションと、75〜150μmの第二のフラクションの粒子を一つの成形体へと加工することができる。より多くの粒度のフラクションの粒子を使用することもできる。
【0006】
前記立体成形体は、ポリマー粒子、特に粉末状のポリマー粒子を、溶剤、溶剤混合物で、任意にそれぞれモノマーと一緒に処理し、こうして粒子の表面だけを濡らし、かつ表面的に有機粒子を溶かし、または濡らすことによって得られる。それは、ポリマー粒子の、好ましくはポリマービーズの軽い膨潤において、後の接点に現れうる。従って、ポリマー粒子と、任意にモノマーと一緒の溶剤との定義された比率は、粒子が激しく溶けるのを避けるために定義された粒度で選択すべきである。ポリマー粒子、特に球状粒子または粉末と、任意にモノマーを含む溶剤との質量比は、約100:20未満の範囲、特に100:15である。膨潤時間は、通常は、1〜2分である。
【0007】
溶剤量と任意のモノマー量は、ポリマービーズが個々のビーズ同士の接点でのみ膨潤して接着し、粉末および生ずる成形体の多孔性は本質的に損なわれないように選択される。
【0008】
本発明の骨子は、利用者側での加工特性を粉末と比べて本質的に変えないために、緩く緻密化されていないポリマー粒子の多孔性に相当する高多孔質の成形体が形成されることである。PMMA粒子は、しばしば定義された直径を有するビーズの形で存在する。
【0009】
成形体の製造のためには、一般に、種々の直径の粒子のフラクションを使用することができる。種々のフラクションの粒子を使用することの利点は、補綴物の製造のための軟塊の製造のためのモノマーとの後の反応に際して加工時間を調整できる可能性である。
【0010】
特に、成形体の製造のためには、水、少量の短鎖アルコール、例えばエタノールもしくはメタノールまたはケトン、例えばアセトンもしくはMMAからなる混合物が有用であることが実証された。従って、アルコールまたはケトンの水性混合物は、成形体の製造に際して使用するのが好ましい。
【0011】
本発明によれば、ポリマー粒子、好ましくはPMMA粉末を、任意にモノマーを含む溶剤、溶剤混合物中で分散させ、そして型内に流し込み、任意に加圧することもできる。
【0012】
ポリマー粒子、好ましくはポリマー粉末への溶剤の作用時間の後に、溶剤は、引き続きゆっくりと室温で蒸発または気化によって、好ましくは軽く高めた温度(例えば50℃)でおよび/または真空下に除去される。
【0013】
生じた成形体は、それが更なる製造工程および処理工程、例えば離型、包装などを、機械的な損傷なく持ちこたえるほど安定である。
【0014】
こうして製造された成形体は、定義された機械的安定性を有する。更に、該成形体は多孔質である。成形体の多孔性は、該多孔質成形体によって取り込まれる、好ましくは吸い込まれうるモノマーを用いる後の加工に適合される。従って、本発明の対象は、多孔質の立体成形体であって、少なくとも1種のモノマー、好ましくはMMAを短時間で取り込み、特に吸い込み、かつ崩壊してペースト状もしくはクリーム状の注型成形可能な、圧縮成形可能なもしくは射出成形可能な軟塊となる立体成形体である。
【0015】
本発明による多孔質の成形体は、主成分が(メタ)メタクリレートである液体を取り込むことができ、特に吸い込むことができる。好ましくは、前記液体の80質量%超が、MMAを含有し、特に90質量%以上がMMAならびに任意に架橋剤、開始剤、促進剤、活性化剤および/または別の補助物質および/または作用物質を含有する。引き続き、該成形体は、少なくとも部分的に崩壊して複数のポリマー粒子となるか、または短い混合の後に、好ましくは特に約30秒にわたりかき混ぜた後に、注型成形可能な、圧縮成形可能なまたは射出成形可能なポリマー軟塊に加工することができる。
【0016】
このようにして、前記ポリマー粒子を、予備調製された計量供給物における後の加工のために、定義された量のMMA(液体)を用いて短時間で、好ましくは約1〜5分にわたり、好ましくは30秒にわたり、補綴物材料、つまり注型成形可能な、圧縮成形可能なまたは射出成形可能な軟塊に加工するために提供することが実現される。従って、本発明によれば、好ましくは成形体は定義された量のモノマーと一緒にキットで提供される。好ましくは、必要とされるモノマー量は、ガラス瓶にねじで取り付けた瓶ディスペンサーを介して提供される。特に好ましくは、前記キットは、多数の予備調製された成形体ならびに相応に定義された量のモノマーを含む。前記モノマーは、規定量を計量供給するバイアル、フラスコまたはカートリッジ中に個別にパッケージされてキット中に存在してよい。
【0017】
本発明による成形体の一つの具体的な利点は、その加工特性および重合特性が、緩いポリマー粒子の前記特性と、特に緩い粉末の前記特性と本質的に相違しないことである。製造された歯科製品の特性は、本質的に再現性のあるものである。それというのも、それぞれの補綴物について、材料比が常に同じであるため同じ混合比に調整されるからである。
【0018】
従って、前記成形体の相応の寸法決定によって、定義された量のポリマー粒子を、定義された「中間生成物」の種類で準備できる。前記成形体は、あらゆる考えられる形状を有してよく、好ましい形は、本質的に、直方体、立方体、棒状体、円柱体、ストランド、球体、円錐台、円板、環状体、ハニカム形、丸みのある凸体(卵形)、四面体または多面体の形である。前記成形体は、単独または複数で包装材、例えば袋または箱にパッケージすることができる。本発明による成形体は、全て同じまたは異なる形状を有してよい。好ましくは、前記予備成形物は、本質的に同じ質量を有する。
【0019】
前記成形体もしくは予備成形物の相応の寸法決定によって、定義された粉末量を、歯科用総補綴物のために相応の大きさの1つのブロック、例えば30gのブロックの形の成形体によって、または歯科用総補綴物のために複数の同じ大きさのブロック、例えば10gの3つのブロックの形の成形体によって、または歯科用部分補綴物のために複数の異なる大きさのブロック、例えば10gのブロック1つと5gのブロック1つの形の成形体によって計量供給できる。従って、異なる質量、例えば1g、2.5g、5g、10g、15g、20gなどの質量の成形体を準備することによって、ポリマー粒子のあらゆる所望の量を、モジュールシステムのように編成できる。モノマーの量は、好ましくは、前記キットにおいてそれぞれ適切な量で予備調製されるか、または相応の計量供給装置によって準備される。ブロックの代わりに、円柱状の成形体を製造することもできる。
【0020】
前記ポリマー粒子は、本発明によれば、アクリレートポリマーおよび/またはメタクリレートポリマーを含む有機ポリマーから形成されている。
【0021】
本発明によれば、アクリレート粉末またはメタクリレート粉末としてのポリマー粒子は、幾何学的に定義された安定な形で成形体として存在し、補綴物材料の製造のために使用される。
【0022】
同様に本発明の対象は、複数のポリマー粒子、特に球状粒子からなる立体成形体であって、該成形体の密度が、緩い粒子床の密度とほぼ同様であるか、または好ましくはほぼ同一の立体成形体である。ここで、粒子床の密度は、1.1997g/cm
3であってよく、かつそこから製造された成形体の密度は、1.1978g/cm
3であってよい。従って、本発明による成形体は、好ましくは1.5g/cm
3以下の密度、特に1.4g/cm
3未満の、1.3g/cm
3以下の、特に好ましくは1.2g/cm
3以下の密度を有する。好ましくは、前記粒子床の多孔性は、本質的に前記固体においても保たれたままである。前記ポリマー粒子は、粉末状粒子、粉末、粒状物、球状粒子、特に1.4以下のアスペクト比を有するもの、ペレット、造粒物、押出物および/または種々の粒子の混合物を含み、それらの粒子は、成形体中でポリマー粒子同士の接点で互いに少なくとも部分的に共に固着、特に接着されており、かつ前記ポリマー粒子は、有機ポリマー、例えばアクリレートポリマーおよび/またはメタクリレートポリマーを含む。特に、同じ形と粒度の緩いポリマー粒子の多孔性の95%以上、90%以上、85%以上、80%以上、75%以上または70%以上である多孔性を有する成形体は、本発明の趣旨に含まれる。本発明による多孔性は、緩い粒子および成形体のそれぞれの比表面積を介して間接的に測定できる。
【0023】
同様に、成形体であって、その成形体の比表面積が、該成形体が製造されたポリマー粒子の、特に緩い流動可能なポリマー粒子の、すなわち接点で互いに結合されていないポリマー粒子の比表面積の70%以上、特に75%以上、好ましくは80%以上、有利には85%以上、特に有利には90%以上、または95%以上である成形体は、本発明の趣旨に含まれる。
【0024】
本発明によれば、成形体であって、多孔質でありかつ該成形体の多孔性は、その成形体が(メタ)メタクリレートを短時間で取り込む、特に吸い込むような多孔性である成形体が開示される。更に、前記成形体は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に複数のポリマー粒子へと崩壊するか、または規定の時間にわたり加工可能な、注型成形可能な、圧縮成形可能なもしくは射出成形可能なポリマー軟塊へと崩壊する。好ましくは、前記成形体は、モノマーと接触した後、2分間にわたって注型成形可能な、圧縮成形可能なまたは射出成形可能な軟塊に加工することができる。
【0025】
更に、本発明の対象は、幾何学的に定義された立体形の成形体であって、特に圧力負荷に対して寸法安定(耐圧性は、1MPa以上、好ましくは1.5MPa以上、有利には2.0MPa以上、特に有利には2.25MPa以上である)な成形体である。好ましくは、2.45MPaまで、または2.45MPa以上である。それに加えてまたはその代わりに、前記成形体は、0.1MPa以上の、特に0.2MPa以上の、好ましくは0.3MPa以上の、特に有利には0.4MPa以上の、0.44MPa以上の間接引張強さを有する。本発明による製造された成形体は、2.45MPaの耐圧性を有する。前記成形体の間接引張強さは、0.44MPaであった。前記耐圧性は、DIN EN ISO 9917-1(付録D)に従って測定され、かつ間接引張強さは、ADA-規格第27に従って測定される。
【0026】
本発明による成形体は、メチルメタクリレート、エチレンメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、テトラヒドロフリルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メチルアクリレート、エチレンアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、前記(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含む混合物から選択される(メタ)アクリレート基を含むモノマーの少なくとも1つをベースとするポリマー、例えばホモポリマーおよび/またはコポリマーおよび/または上述のモノマーの1種もしくは少なくとも2種を含むコポリマーを含むポリマー粒子を含む。更に、前記ポリマーは、歯科用モノマー、例えばMMAなどの歯科用モノマーの混合物と付加的に少なくとも1種の架橋剤を含んでもよい。典型的な架橋剤は、BDMA、1,4−ブタンジオール−ジメタクリレート(1,4−BDMA)またはペンタエリトリトールテトラアクリレート、ウレタンジメタクリレート(UDMA)、Bis-GMAモノマー(ビスフェノールA−グリシジルメタクリレート)である。希釈剤として、易流動性のアクリレート、例えばトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)およびジエチレングリコールジメタクリレート(DEGMA)などが使用される。更なる架橋剤は、以下に、2、3、4、5もしくは6つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマーを含むコポリマーを含むポリマー粒子としても開示されている。
【0027】
同様に、1つだけの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマーをベースとする、または前記の(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2つの混合物をベースとするポリマー粒子も本発明の趣旨に含まれる。
【0028】
本発明による特に好ましい成形体は、該成形体が、前記ポリマー粒子の互いに少なくとも部分的に共に固着されている接点にモノマーを含有し、特に前記粒子は、それらの接点でモノマーによって接着されており、かつ前記モノマーが、アクリレート、メチルメタクリレート、エチレンメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、テトラヒドロフリルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メチルアクリレート、エチレンアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートおよび/または前記(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含有する混合物から選択される(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする。
【0029】
骨セメント、埋没材などの製造のためには、前記成形体は、硬化性モノマー、例えばアクリレートもしくはメタクリレートまたはそれらの混合物と接触され、好ましくは染み込まされ、相応して加工され、好ましくは型内に入れられる。その後に硬化を行うことができる。硬化は、自己硬化、放射線硬化、特に光硬化および/または熱硬化によって行うことができる。例えば、紫外光での照射によっておよび/または加熱によって熱的に行うことができる。前記モノマーと一緒にまたは別個に、通常の光開始剤、活性化剤、安定化剤、高温硬化性開始剤ならびに他の通常の添加物質もしくは補助物質が提供される。
【0030】
本発明の更なる一実施形態は、成形体の製造方法ならびに該方法によって得られる成形体であって、
(i)複数のポリマー粒子、特に有機ポリマーの複数のポリマー粒子を、
(ii)それぞれ任意に少なくとも1種のモノマーを含む溶剤または溶剤混合物で処理して、混合物を得て、
(iii)前記混合物を成形し、
(iv)溶剤もしくは溶剤混合物を除去し、
(v)前記成形体を得る
ことによる前記製造方法ならびに成形体に関する。
【0031】
本発明によれば、(ii)において、ポリマー粒子を溶解することができるモノマーを、好ましくは、同様に前記ポリマー粒子を溶解することができ、かつ揮発性である溶剤または溶剤混合物と一緒に使用する。その一方で、本発明によれば同様に、アルコール/水またはケトン/水の混合物を使用することが好ましい。好ましくは、(ii)において、それぞれ任意に少なくとも1種のモノマーを含む溶剤または溶剤混合物として、1〜4個の炭素原子を有する少なくとも1種の短鎖アルコール、例えばメタノール、エタノールもしくはケトン、例えばアセトン、上述のアルコールもしくはケトンの水性混合物、(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレートを含む少なくとも1種のモノマー、または該モノマーと少なくとも1種のアルコールもしくはケトンとの混合物が使用される。
【0032】
前記ポリマー粒子を接着または溶かすためには、好ましくは(ii)において、モノマーであって、(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレートを含み、かつアクリレート、メチルメタクリレート、エチレンメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、テトラヒドロフリルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メチルアクリレート、エチレンアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートおよび/または前記(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含有する混合物から選択されるモノマーを使用できる。
【0033】
好ましい一つの別形によれば、前記方法において(ii)として、それぞれ任意に少なくとも1種のモノマーを含む溶剤もしくは溶剤混合物であって、a)メタノールおよび/またはエタノールを含む少なくとも1種のアルコール、b)アセトンを含む少なくとも1種のケトン、c)(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレートを含む、任意に少なくとも1種のアルコールとの混合物における少なくとも1種のモノマーまたは(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレートを含む、任意に少なくとも1種のケトンとの混合物における少なくとも1種のモノマー、好ましくはMMAなどのモノマーであって、少なくとも1種のケトン、好ましくはアセトンとの混合物におけるモノマー、またはd)メタノールもしくはエタノールの水性混合物を含む溶剤もしくは溶剤混合物が使用される。本発明によれば、MMAは、少なくとも1種のアルコール、好ましくはエタノールとの混合物において使用される。
【0034】
好ましくは、溶剤もしくは溶剤混合物であって、それぞれ任意に少なくとも1種のモノマーを含むものは、1:200〜50〜100の質量比で、特に2:100〜15:100の質量比で使用される。特に好ましい混合物であって、それを用いて非常に安定な成形体が得られる混合物は、約100質量部のポリマー粒子に対して、4〜10質量部のエタノールおよびモノマー、例えばMMAの混合物を含む。
【0035】
更に好ましくは、溶剤とモノマーの混合物は、1〜30質量部の溶剤を1〜5質量部のモノマーに対して含み、特に5〜20質量部の溶剤を1〜5質量部のモノマーに対して含む。本発明によれば、約14質量部の溶剤が、約1部のモノマーに対して使用される。
【0036】
成形体の製造のために、前記方法は、工程(ii)および/または(iii)において、溶剤または溶剤混合物がポリマー粒子を表面的に濡らし、任意に前記ポリマーを溶かすことで行われる。濡らされ部分的に溶かされた後に、溶剤または溶剤混合物は揮発され、従って成形体は乾燥される。その際、前記成形体はその安定性を獲得する。
【0037】
本発明による方法により得られた混合物は、工程(iii)において成形体の形成のために型内に移され、特に圧粉体が形成され、そこから乾燥によって成形体が形成される。本発明によれば、(iii)において前記混合物は型内に移され、特に前記型は、直方体、立方体、棒状体、円柱体、ストランド、球体、丸みのある凸体(卵形)、四面体または多面体の雌型であり、好ましくは前記型は、それぞれ一方が開いているか、あるいは開放できるものである。成形体の形成のためには、上述の型は、1つの部分から、2つの部分から、またはそれより多くの部分から形成されていてよい。必要であれば、ポリマー粒子同士の接点を十分に圧着させ、後の乾燥に際して前記接点間で十分な結合を保証するために、前記混合物は型内で定義された圧力で加圧されてよい。
【0038】
乾燥のために、(iv)において、前記溶剤または溶剤混合物は、好ましくは蒸発、熱の供給によって、任意に真空中で除去される。特に適切には、溶剤の乾燥または揮発は、20〜60℃の温度で、好ましくは約50℃付近の温度で、任意に真空中で行われる。
【0039】
同様に、本発明の対象は、ポリマー粒子の再現可能な計量供給のための前記成形体の使用である。本発明による成形体は、個別に包装することを必要とせずに、多くの用途のために再現的かつ非常に正確な計量供給を可能にする。好ましくは、前記成形体は、歯科補綴物、組織学、金属組織学、獣医学における埋没材の製造に際してポリマー粒子を計量供給するために使用される。
【0040】
更に、本発明の対象は、前記成形体を、アクリレート、メチルメタクリレート、エチレンメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、テトラヒドロフリルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メチルアクリレート、エチレンアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートを含む(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレートおよび/または前記(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含む混合物を含む少なくとも1種のモノマーと一緒に、放射線硬化性および/または熱硬化性または自己硬化性である、ペースト状またはクリーム状の、注型成形可能な、圧縮成形可能なまたは射出成形可能なポリマー軟塊を製造するために用いる使用である。
【0041】
特に好ましくは、前記成形体は、補綴物、歯科補綴物、補綴物材料、組織学、金属組織学における埋没材、骨セメント、獣医学における補綴物、多孔質基材のための、基材の組織の調製のための金属組織学に際しての、材料試験における透明な包埋物切片(Schliffeinbettung)のための埋没材の製造におけるポリマー粒子の計量供給のために、回路基板の試験のための埋没材として、電子素子の試験のための埋没材として、半導体技術における試験のための埋没材として、マイクロエレクトロニクス素子の試験のための埋没材として、オプトエレクトロニクスにおける試験のための埋没材として、医療装置技術における試験のための埋没材として、および/または医療機器の試験のための埋没材として、基材の材料試験に際しての埋没材もしくは埋没材料として使用される。
【0042】
更なる一実施形態によれば、本発明の対象は、少なくとも1種の成形体(a)、特に多数の成形体と、それとは別個に、少なくとも1種の定義された量の少なくとも1種の予備調製された重合可能なモノマー(b)とを有するキットであって、
(a)前記の少なくとも1種の本発明による成形体は、
(a1)以下の(b)中に可溶性の少なくとも1種の有機ポリマーから形成されており、かつ
(b)(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレート、特にアクリレート、メチルメタクリレート、エチレンメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、テトラヒドロフリルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メチルアクリレート、エチレンアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートおよび/または前記(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含有する混合物から選択されるラジカル重合可能なモノマーの少なくとも1種の定義された量を含み、場合により前記キットは、
(c)光開始剤および場合により活性化剤の含分と、任意に
(d)少なくとも1種の光開始剤および/または少なくとも1種の熱硬化性もしくは自己硬化性の開始剤
を含むキットである。
【0043】
前記キットにおけるモノマー(b)は、軟塊の製造に、例えば骨セメントまたは歯科補綴物の製造に用いられる。好ましくは、前記モノマーは、(a)および(b)からなる再現可能な混合物を製造するために、定義された分量で分けられているか、または分けることが可能である。
【0044】
同様に、前記ポリマー粒子は、少なくとも2つの異なる(メタ)アクリレート基を有するコポリマーを含んでよく、その際、コモノマーは、2つ、3つ、4つ、5つの(メタ)アクリレート基および/または6つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマーまたは前記(メタ)アクリレートの少なくとも2つの混合物を基礎としている。
【0045】
以下に、コポリマー中でおよび/または(ii)におけるモノマーもしくはコモノマーとしてならびに任意に前記成形体を後に補綴物もしくは埋没材へと加工する際に使用できる好適なコモノマーを挙げる:少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレートであって、エタンジオールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート(400)もしくは(600)、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールメタクリレート、ビスフェノールA−ジメタクリレート、ビスフェノールA−ジメタクリレート誘導体、例えばエトキシル化2−ビスフェノールA−ジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス−4−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルプロパン(Bis-GMA)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、少なくとも2つのメタクリレート基を有するウレタンメタクリレート、エタンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(400)もしくは(600)、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、デカンジオールジアクリレート、ドデカンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、ビスフェノールA−ジアクリレート、ビスフェノールA−ジアクリレート誘導体、例えばエトキシル化2−ビスフェノールA−ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、2,2−ビス−4−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルプロパン(Bis-GMA)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートおよび/または少なくとも2つのアクリレート基を有するウレタンアクリレートまたは前記(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含有する混合物から選択される(メタ)アクリレート。
【0046】
コポリマー中でおよび/または(ii)におけるモノマーもしくはコモノマーとしてならびに任意に前記成形体を後に補綴物もしくは埋没材へと加工する際に使用できる更なる好適なコモノマーは、3〜6つの(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレートであって、(i)3つの(メタ)アクリレート基を有するものは、エトキシル化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化5−ペンタエリトリトールトリアクリレート、プロポキシル化(5.5)グリセリルトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートから選択され、かつ/または(ii)4つの(メタ)アクリレート基を有するものは、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシル化(4)ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、エトキシル化(4)ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレートから選択され、かつ/または(iii)5つの(メタ)アクリレート基を有するものは、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、i−ペンタエリトリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジ(テトラメチロールメタン)ペンタメタクリレートから選択され、かつ/または(iv)6つの(メタ)アクリレート基を有するものは、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレートから選択される(メタ)アクリレートである。同様に、(メタ)アクリレートのオリゴマー、特にウレタン−ジアクリレートオリゴマーが適している。
【0047】
以下で、本発明を実施例をもとにより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。