特許第6000303号(P6000303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000303
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】表示モジュール
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20160915BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20160915BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20160915BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20160915BHJP
【FI】
   G03B21/14 Z
   G03B21/00 D
   G02B5/02 B
   F21S2/00 453
   F21S2/00 454
   F21S2/00 457
   F21S2/00 456
   F21S2/00 458
   F21S2/00 451
   F21S2/00 459
   F21S2/00 461
   F21S2/00 455
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-120894(P2014-120894)
(22)【出願日】2014年6月11日
(65)【公開番号】特開2015-11345(P2015-11345A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2014年6月12日
(31)【優先権主張番号】61/839,877
(32)【優先日】2013年6月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/217,300
(32)【優先日】2014年3月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507111368
【氏名又は名称】立景光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】李 悦榮
(72)【発明者】
【氏名】范姜 冠旭
【審査官】 関根 裕
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/138501(WO,A1)
【文献】 特開2003−307728(JP,A)
【文献】 特開2003−007114(JP,A)
【文献】 特開2013−050694(JP,A)
【文献】 特開2001−311904(JP,A)
【文献】 特表2005−521197(JP,A)
【文献】 特開平10−326515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
G03B 21/00
G02B 5/02
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明ビームを提供するために設けられる光源と、
第1の面と、前記第1の面と相対する第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とをつなぐ入射面とを有する導光板と、
前記導光板に接続され、前記照明ビームの伝播方向を変えるために設けられる光学構造体と、
変調ビームを形成するため、前記照明ビームの偏光状態を変調することができる反射型表示ユニットと、
前記変調ビームを画像ビームへとフィルタリングする反射型偏光子と
を含み、
前記照明ビームが、前記入射面を透過し前記導光板に入り、
前記第2の面が、前記反射型表示ユニットと前記第1の面との間に配置され、
前記第1の面が、前記第2の面と前記反射型偏光子との間に配置されており、
前記光学構造体が、前記導光板の内部に配置されたパターン化光散乱構造体であり、
前記第1の面上で前記導光板と前記反射型偏光子との間に形成され、前記光学構造体からの迷光を吸収または反射するために設けられるパターン化コーティングをさらに含み、
前記第1の面に直交する方向から見て、前記パターン化コーティングの形状と分配位置が前記光学構造体の形状と分配位置に対応する表示モジュール。
【請求項2】
実像または虚像を形成するため、前記反射型偏光子からの前記画像ビームの経路上に配置された画像形成レンズをさらに含む請求項に記載の表示モジュール。
【請求項3】
前記反射型表示ユニットがマイクロディスプレイである請求項1または2に記載の表示モジュール。
【請求項4】
前記導光板が、前記第1の面と前記第2の面とをつなぐ、前記入射面に相対する第3の面をさらに含み、
前記第3の面に配置される反射器をさらに含む請求項1からのいずれか1項に記載の表示モジュール。
【請求項5】
前記入射面に配置される光カップリング光学ユニットをさらに含む請求項1からのいずれか1項に記載の表示モジュール。
【請求項6】
前記光源が、
非偏光ビームを放射するために設けられる少なくとも1つの発光素子と、
前記非偏光ビームの経路上に配置され、前記非偏光ビームを偏光ビームへとフィルタリングするために設けられる偏光子と
を含み、
前記照明ビームは前記偏光ビームである請求項1からのいずれか1項に記載の表示モジュール。
【請求項7】
前記反射型表示ユニットと前記第2の面との間の前記画像ビームの経路上に配置された焦点レンズをさらに含む請求項1からのいずれか1項に記載の表示モジュール。
【請求項8】
前記第1の面が、前記導光板の内部の第1の媒質と、前記導光板の外部の第2の媒質との界面であり、
前記第1の媒質の屈折率が、前記第2の媒質の屈折率よりも大きい請求項1からのいずれか1項に記載の表示モジュール。
【請求項9】
前記第2の面が、前記導光板の内部の第1の媒質と、前記導光板の外部の第3の媒質との界面であり、
前記第1の媒質の屈折率が、前記第3の媒質の屈折率よりも大きい請求項1からのいずれか1項に記載の表示モジュール。
【請求項10】
前記光学構造体の屈折率が、前記導光板の屈折率とは異なる請求項1からのいずれか1項に記載の表示モジュール。
【請求項11】
前記パターン化コーティングの材料が、黒色の樹脂、クロム、またはアルミニウムを含む請求項1から10のいずれか1項に記載の表示モジュール。
【請求項12】
前記光源が偏光光源であり、前記照明ビームが偏光ビームである請求項1から11のいずれか1項に記載の表示モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示モジュールと導光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置の表示領域において、照明ビームを画像ビームへと変換するために、様々な種類の空間光変調器、例えば、透過型液晶表示パネル、LCOS(liquid-crystal-on-silicon)パネル、またはDMD(digital micro-mirror device)、が適用されている。透過型液晶表示パネルの光効率はLCOSパネルよりも低く、DMDのコストはLCOSパネルよりも高い。
【0003】
一般的に、LCOSパネルを用いる投影機において、S偏光ビームは偏光ビームスプリッター(polarizing beam splitter, PBS)によりLCOSパネルに反射される。そして、LCOSパネルはS偏光ビームを他の偏光状態の偏光ビームへと変調し、その偏光ビームをPBSへと反射する。PBSは偏光ビームを画像ビームへと分解し、画像ビームはその後、画像形成レンズへと転送される。最後に、画像形成レンズは、スクリーンに画像を形成するため画像ビームをスクリーンに投影するか、または空気や他の仮想画像面に虚像を形成する。
【0004】
LCOSパネルを用いる投影機において、PBSのビーム分割面はLCOSパネルに対し約45度傾斜しており、このためPBSはLCOSパネルと画像形成レンズとの間の大きな空間を占有する。その結果、画像形成レンズとLCOSパネルとの間の距離が長くなり、投影機は厚く大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PBSを用いた従来の投影機の厚みは大きい。加えて、PBSの厚みも大きい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの実施形態は、光源と、導光板と、光学構造体と、反射型表示ユニットと、反射型偏光子とを含む、表示モジュールを提供する。光源は照明ビームを提供するために設けられる。導光板は第1の面と、第1の面に相対する第2の面と、第1の面と第2の面とをつなぐ入射面とを有する。照明ビームは入射面を通過し導光板へと入る。光学構造体は導光板に接続され、照明ビームの伝播方向を変えるために設けられる。反射型表示ユニットは、変調ビームを形成するため、照明ビームの偏光状態を変調することができる。第2の面は、反射型表示ユニットと第1の面との間に配置される。第1の面は、第2の面と反射型偏光子との間に配置され、反射型偏光子は変調ビームを画像ビームへとフィルタリングする。
【0007】
本発明の1つの実施形態は、導光板と光学構造体とを含む導光装置を提供する。導光板は第1の面と、第1の面に相対する第2の面と、第1の面と第2の面とをつなぐ入射面とを有する。光線は入射面を通過して導光板へと入る。光学構造体は導光板内部にあり、光線の伝播方向を変えるために設けられる。
【発明の効果】
【0008】
上記に基づき、本発明の実施形態による表示モジュールにおいて、導光板と、光学構造体と、反射型偏光子は、照明ビームを反射型表示ユニットへと導くために設けられる。導光板の厚みは小さいことから、この表示モジュールの厚みと体積は小さくなる。さらに、本発明の実施形態の導光装置において、光線の伝播方向を変えるために光学構造体が設けられることから、この導光装置は光線を均一に分配することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明のさらなる理解のため、添付図面を含んでおり、これらは本明細書に併合され本明細書の一部を成すものである。これら図面は本発明の実施形態を示しており、本明細書に記述と共に、本発明の原理を説明するものである。
【0010】
図1】本発明の1つの実施形態による表示モジュールの概略的断面図である。
図2】本発明の別の実施形態による表示モジュールの概略的断面図である。
図3】本発明の別の実施形態による表示モジュールの概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を例として、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図面および説明において、同一または類似の部材に言及するため、同一の符号が用いられる。
【0012】
図1は本発明の1つの実施形態による表示モジュールの概略的断面図である。図1について、本実施形態の表示モジュール100は、光源110と、導光板120と、光学構造体130と、反射型表示ユニット140と、反射型偏光子150とを含む。光源110は照明ビームP、つまり光線、を提供するために設けられる。本実施形態において、光源110は少なくとも1つの発光素子112(図1では例示的に1つの発光素子が示される)と偏光子114を含む。発光素子112は非偏光ビームUを放射するために設けられる。偏光子114は非偏光ビームUの経路上に配置され、非偏光ビームUを偏光ビームへとフィルタリングするために設けられ、ここで、照明ビームPは偏光ビームである。詳細には、偏光子114は、非偏光ビームUの第1の偏光方向を有する一部を透過させ、非偏光ビームUの第2の偏光方向を有する一部を発光素子112へと反射させる、反射型偏光子である。偏光子114は、反射型偏光性フィルム(dual brightness enhancement film, DBEF)またはその他の反射型偏光子であってもよい。しかし、その他の実施形態において、偏光子114は、非偏光ビームUの第1の偏光方向を有する一部を透過させ、非偏光ビームUの第2の偏光方向を有する一部を吸収する、吸収型偏光子であってもよい。本実施形態において、第1の偏光方向は、第2の偏光方向に対し垂直である。その他の実施形態において、光源110は偏光子114を含まず、光源110は非偏光ビームを提供でき、つまり、照明ビームPが非偏光ビームであることができる。しかし、その他の実施形態において、光源110は、例えばレーザー光源といった、偏光型光源であることができ、このとき照明ビームPは偏光ビームであり、光源110は偏光子114を含まない。
【0013】
本実施形態において、発光素子112はLED(light-emitting diode)であり、例えば白色LEDである。白色LEDは、青色光を放射するために設けられた青色LEDと、青色LEDを覆う封止材を有することができる。青色光が封止材の蛍光体を励起するとき、蛍光体は青色光を黄色光へと変換することができる。変換されていない青色光と黄色光とが混合し白色光、つまり非偏光ビームU、を形成する。しかし、その他の実施形態において、光源110は、例えば原色といった、複数の色の光をそれぞれ放射する複数の発光素子を含むことができる。例えば、光源110は、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ放射するために設けられる赤色LEDと、緑色LEDと、青色LEDを含むことができる。第2の偏光方向を有し、偏光子114によって反射される非偏光ビームの一部(例えば青色部分)は、LEDの封止材の蛍光体(例えば黄色蛍光体)を励起することにより光の再利用を達成し、光源110の光効率を向上させる。また別の実施形態において、光源110は、照明ビームPを形成するために複数の色のレーザー光をそれぞれ放射する、例えばレーザーダイオードといった、レーザー照射機を含むことができる。
【0014】
導光板120は、第1の面122と、第1の面122に相対する第2の面124と、第1の面122と第2の面124とをつなぐ入射面126とを有する。照明ビームPは入射面126を通過して導光板120へと入る。
【0015】
本実施形態において、第1の面122は、導光板120内部の第1の媒質(即ち導光板120の材料)と、導光板120外部の第2の媒質(例えば空気)との界面であり、第1の媒体の屈折率は第2の媒体の屈折率よりも大きい。さらに、本実施形態において、第2の面124は、第1の媒質(即ち導光板120の材料)と、導光板120外部の第3の媒質(例えば空気)との界面であり、第1の媒体の屈折率は第3の媒体の屈折率よりも大きい。その結果、入射面126からの照明ビームPは、第1の面122と第2の面124とにより繰り返し全反射され、照明ビームPは、入射面126に相対し第1の面122と第2の面124とをつなぐ第3の面128へと伝播されることができる。
【0016】
光学構造体130は導光板120に接続され、照明ビームPの伝播方向を変えるために設けられる。本実施形態において、光学構造体130は導光板120内部に配置されたパターン化光散乱構造体(patterned scattering structure)である。光学構造体130は、導光板120に配列された複数の副構造体132を含むことができる。光学構造体130の屈折率は導光板120の屈折率とは異なる、もしくは、光学構造体130は何らかの光散乱材料により作られることができる。その結果、入射面126からの照明ビームPが光学構造体130に入射するとき、光学構造体130は、例えば照明ビームPを散乱させるといったように、照明ビームPの伝播方向を変える。照明ビームPの伝播方向が変えられることから、照明ビームPの一部は、臨界角よりも小さい角度で第1の面122と第2の面124へと入射する。その結果、光学構造体130により散乱させられた照明ビームPは、第1の面122と第2の面124とを透過する。言葉を変えると、上述の照明ビームPの全反射は光学構造体130により乱される。ある実施形態において、光学構造体130の屈折率が導光板120の屈折率と異なるとき、光学構造体130と導光板120との間の界面の一部は全反射(total internal reflection, TIR)表面を形成する。即ち、入射面126からの照明ビームPがTIR表面に入射するとき、入射角が臨界角よりも大きいことから、照明ビームPはTIR表面により反射型表示ユニット140へと全反射される。
【0017】
第1の面122は、第2の面124と反射型偏光子150との間に配置される。本実施形態において、反射型偏光子150は第1の偏光方向の光(例えばS偏光された光)を反射し、第2の偏光方向の光(P偏光された光)を透過させる。入射面126からの照明ビームPは第1の偏光方向を有していることから、光学構造体130により散乱され第1の面122を透過した照明ビームPは、反射型偏光子150により第1の面122へと反射され、その後、導光板120に伝播される。
【0018】
第2の面124は、反射型表示ユニット140と第1の面122との間に配置される。反射型偏光子150により反射された照明ビームPは、反射型表示ユニット140へ到達するため、第1の面122と第2の面124とを順に透過する。加えて、光学構造体130により散乱させられた照明ビームPの一部は、第2の面124へ伝播され、反射型表示ユニット140へ到達するため第2の面124を透過する。光学構造体130の副構造体132により散乱された照明ビームPのその他の部分は、第1の面122(または第2の面124)へと伝播され、そして第1の面122(または第2の面124)により全反射され、その後、他の光学構造体130の副構造体132により散乱される。副構造体132により二回以上散乱された照明ビームPのいくらかは、第2の面124を透過し、反射型表示ユニット140へ到達し、副構造体132により二回以上散乱された照明ビームPのその他は、第1の面122または第2の面124により全反射され、そして、他の副構造体132により散乱される。
【0019】
本実施形態において、反射型偏光子150は第1の面122上に配置されているとはいえ、反射型偏光子150と第1の面122との間には空隙が存在し得る。その結果、第1の面122は空気と導光板120の材料との界面となり得る。
【0020】
本実施形態において、表示モジュール100は、第3の面128上に配置された反射器160をさらに含む。反射器160は、第2の面124を透過しない照明ビームPの一部を反射することから、この照明ビームPの一部はまだ導光板120内を伝播され得る。その結果、光学構造体130により散乱された照明ビームPの、第2の面124を透過し、反射型表示ユニット140に到達する確率は増加する。従って、表示モジュール100の光効率と均一性は向上する。
【0021】
反射型表示ユニット140は、変調ビームMを形成するため、照明ビームPの偏光状態を変調することができる。反射型表示ユニット140は、マイクロディスプレイであってもよい。本実施形態において、反射型表示ユニット140は、照明ビームPを変調し反射するために設けられたLCOS(liquid-crystal-on-silicon)パネルである。例えば、照明ビームPの少なくとも一部はS偏光ビームからP偏光ビームへと変調されることができ、円偏光または楕円偏光状態のビーム、または照明ビームPは変調されず、S偏光ビームのままとされる。言葉を変えると、変調ビームMは、S偏光ビーム、P偏光ビーム、円偏光ビーム、楕円偏光ビーム、またはこれらの組合せを含むことができる。その他の実施形態において、反射型表示ユニット140は、例えばデジタル・マイクロミラー・デバイス(digital micro-mirror device, DMD)といった、微小電気機械システム(micro-electromechanical system, MEMS)ディスプレイであり得る。
【0022】
反射型偏光子150は変調ビームMを画像ビームIへとフィルタリングする。本実施形態において、反射型偏光子150は、変調ビームMの、例えばP偏光といった、第2の偏光方向である一部を透過させ、変調ビームMの、例えばS偏光といった、第1の偏光方向である一部を反射する。結果として、反射型偏光子150を透過した第2の偏光方法の変調ビームMの一部が画像ビームIを形成する。
【0023】
本実施形態において、表示モジュール100は、スクリーン上に実像を形成するか、空気またはその他の仮想結像面に虚像を形成するため、反射型偏光子150からの画像ビームIの経路上に配置された、画像形成レンズ170をさらに含む。もし画像形成レンズ170がスクリーン上に実像を形成する場合、表示モジュール100は実像投影機である。もし画像形成レンズ170が空気またはその他の仮想結像面に虚像を形成する場合、表示モジュール100は、例えばヘッドマウントディスプレイ(head-mounted display, HMD)またはヘッドアップディスプレイ(head-up display, HUD)といった、虚像表示装置である。変調ビームMの全ての部分が第2の偏光方向を有する場合、実像または虚像は白色のフレームを形成する。変調ビームMの全ての部分が第1の偏光方向を有する場合、実像または虚像は黒色のフレームを形成する。もし変調ビームMの一部が、例えば円偏光状態、楕円偏光状態、P偏光状態、S偏光状態といった、様々な偏光状態を有する場合、変調ビームMの様々な部分は、反射型偏光子150異なる位置で透過し、画像フレームが形成される。
【0024】
本実施形態の表示モジュール100において、導光板120と、光学構造体130と、反射型偏光子150は、照明ビームPを反射型表示ユニット140へと導くために設けられる。偏光ビームスプリッター(PBS)と比較し、導光板は厚みが小さいため、表示モジュールの厚みと体積は小さくなる。即ち、表示モジュール100は超薄型化することができる。その結果、HMD、HUD、または投影機の体積を効果的に減少できる。1つの実施形態において、導光板120の厚みTは10mmよりも小さくすることができる。
【0025】
本実施形態において、表示モジュール100は、光源110からの照明ビームPを集めるために設けられ、入射面126上に配置された、光カップリング光学ユニット180をさらに含む。光カップリング光学ユニット180は、例えば凸レンズといったレンズか、または、例えば凸面といった曲面であり得る。本実施形態において、導光板120と、光学構造体130と、反射器160と、光カップリング光学ユニット180と、反射型偏光子150とは、導光装置を形成する。
【0026】
本実施形態において、表示モジュール100は、反射型表示ユニット140と第2の面124との間の画像ビームIの経路上に配置された、焦点レンズ190をさらに含む。画像形成レンズ170と焦点レンズ190は、反射型表示ユニット140に焦点を合しており、即ち、対象面は反射型表示ユニット140上にある。その結果、人間の目は反射型表示ユニット140により形成された画像を、光学構造体130に影響されることなしに、明瞭に見ることができる。高い画像品質を維持するため、副構造体132間の間隙は、副構造体132の幅よりも大きく、即ち、副構造体132の全領域が、導光板120の全領域のうちに占有する割合は小さい。その他の実施形態において、表示モジュール100の厚みをさらに減少させるため、焦点レンズ190は使用されず、画像形成レンズ170は反射型表示ユニット140に焦点を合わせるようにすることもできる。
【0027】
図2は本発明の別の実施形態による表示モジュールの概略的断面図である。図2について、本実施形態の表示モジュール100aは、図1の表示モジュール100に類似しており、これらの間の差異は以下である。本実施形態において、光学構造体130aは、第1の面122と第2の面124との少なくともどちらか1つに配置されたパターン化光散乱構造体である。図2は、第1の面122と第2の面124との両方に配置された光学構造体130aを例示的に示している。より具体的には、光学構造体130aは、第1の面122上に配置された第1のパターン化光散乱構造体1301と、第2の面124上に配置された第2のパターン化光散乱構造体1302とを含む。第1のパターン化光散乱構造体1301は、第1の面122上に分配された複数の微小構造体13012を含むことができ、第2のパターン化光散乱構造体1302は第2の面124上に分配された複数の微小構造体13022を含むことができる。微小構造体13012と13022は、照明ビームPの全反射を乱すため、照明ビームPを散乱し、これは照明ビームPが反射型表示ユニット140へと伝播されることをもたらす。その他の実施形態において、表示モジュール100aは、第1の面122上に配置された第1のパターン化光散乱構造体1301を含むが、第2の面124上に配置された第2のパターン化光散乱構造体1302を有さないことができる。逆に、表示モジュール100aは、第2の面124上に配置された第2のパターン化光散乱構造体1302を含むが、第1の面122上に配置された第1のパターン化光散乱構造体1301を有さないことができる。微小構造体13012と13022は、突起(例えば、図2に示される微小構造体13022)か、凹部(例えば、図2に示される微小構造体13012)か、導光板120に配置または埋め込まれた、導光板120とは異なる屈折率を有する物質か、導光板120に配置または埋め込まれた光散乱物質であり得る。図1の光学構造体130と図2の光学構造体130aの平面図は、点状、縞状、長尺状、直線状、曲線状、島状、等である。
【0028】
図3は本発明の別の実施形態による表示モジュールの概略的断面図である。図3について、本実施形態の表示モジュール100bは、図1の表示モジュール100に類似しており、これらの間の差異は以下である。本実施形態の表示モジュール100bは、第1の面122上と光学構造体130の上方に形成されたパターン化コーティング(patterned coating)210をさらに含み、パターン化コーティング210は光学構造体130からの迷光を反射または吸収するために設けられる。本実施形態において、パターン化コーティング210は導光板120と反射型偏光子150との間に位置する。さらに、パターン化コーティング210の形状と分配位置は、光学構造体130の形状と分配位置に対応する。例えば、パターン化コーティング210は、副構造体132それぞれの上方に位置する、複数のパターン212を含み、各パターン212の幅は各副構造体132の幅よりも僅かに大きい。本実施形態において、パターン化コーティング210の材料は、黒色の樹脂、クロム、またはアルミニウムを含み、黒色の樹脂とクロムは迷光を吸収し、アルミニウムは迷光を反射する。
【0029】
まとめると、本発明の本実施形態による表示モジュールにおいて、導光板と、光学構造体と、反射型偏光子は、照明ビームを反射型表示ユニットへと導くために設けられる。PBSと比較し、導光板は厚みが小さいため、表示モジュールの厚みと体積は小さくなる。即ち、表示モジュールは超薄型化することができる。その結果、HMD、HUD、または投影機の体積を効果的に減少できる。さらに、本実施形態による導光装置において、光学構造体は光線の伝播方向を変えるために設けられることから、導光装置は均一に光線を分配できる。
【0030】
本発明の技術思想から離れることなく、本発明の構造への多様な改変や変形がされうることは、当業者にとって明白である。上述から、本発明の改変や変形が後述の請求項の範囲およびその同等に含まれるならば、本発明はこれらを包含することを意図する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
上述の表示モジュールと導光装置は、例えば微小投影系といった、投影系に用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
100、100a、100b:表示モジュール
110:光源
112:発光素子
114:偏光子
120:導光板
122:第1の面
124:第2の面
126:入射面
128:第3の面
130、130a:光学構造体
1301:第1のパターン化光散乱構造体
13012:微小構造体
1302:第2のパターン化光散乱構造体
13022:微小構造体
132:副構造体
140:反射型表示ユニット
150:反射型偏光子
160:反射器
170:画像形成レンズ
180:光カップリング光学ユニット
190:焦点レンズ
210:パターン化コーティング
212:パターン
I:画像ビーム
M:変調ビーム
P:照明ビーム
U:非偏光ビーム
図1
図2
図3