【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、少なくとも1つの送信アンテナを有する第1ネットワーク・ノードと少なくとも1つの受信アンテナを有する第2ネットワーク・ノードとの間で提供される無線通信チャネルのチャネル状態情報を提供する方法であって、少なくとも1つの受信アンテナによってチャネルを介して送信アンテナのうちの少なくとも1つから受信される信号からチャネル内の少なくとも1つのサブチャネルの時間領域で
分解可能な各タップの特性を判定するステップと、特性を少なくとも1つのベクトルに
アレンジするステップと、ベクトルの階層コードブックの第1レベルで複数のコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって少なくとも1つのベクトルを量子化するステップと、複数のコードブック・ベクトルのうちの1つへのインデックスの指示を第1ネットワーク・ノードに提供するステップとを含む方法が提供される。
【0006】
第1の態様は、フィードバックされるチャネル状態情報の正確さを高めることが、シグナリング・オーバヘッドを増やし、したがって、フィードバックされるチャネル状態情報の正確さとフィードバック・オーバヘッドとの間にトレードオフがあることを認めるものである。第1の態様は、少なくとも1つのサブチャネルの時間領域応答特性を判定することによって、支配的タップ(dominant tap)(すなわち、一次信号およびすべての二次信号または反射信号)を識別することによってこれらの時間領域特性の支配的態様に関する情報を提供することと、時間領域応答特性に関するより重要でない情報を送信する必要なしに第1ネットワーク・ノードがその送信を適合させるのに十分な情報を第1ネットワーク・ノードに提供する、これらのタップに関する情報(そのタイミング、振幅、および位相など)を送信することとが可能であることをも認めるものである。その情報を用いて、第1ネットワーク・ノードによって行われる送信を適合させることが可能である。
【0007】
したがって、チャネル内の少なくとも1つのサブチャネルの時間領域で
分解可能な各タップの特性が、受信アンテナによって受信された信号から判定される。したがって、受信信号のすべての特性を判定する必要はない。これらのタップは、たとえば、それらがある所定の信号しきい値を超えるという点で識別されることが可能であり、ならびにタップを区別可能にすることができるのに十分なだけ時間的に分離されることが可能である。その後、
分解可能なタップの特性は、少なくとも1つのベクトルに
アレンジされる。特性をこのベクトルに
アレンジすることは、効率的なグループ化を提供し、このグループ化がなければ、後続の量子化ステップの利益を達成することがむずかしくなる。その後、後続の1つまたは複数のベクトルが、ベクトルの階層コードブックを使用して量子化される。ベクトルのそのような階層コードブックが、階層コードブックの各レベルで複数のコードブック・ベクトルを提供し、このレベルのそれぞれが、たとえばコードブック・ベクトルがたとえば量子化されるベクトルへの最もよい一致であること、そのベクトルへの最良一致であること、または最小の誤差を提供することなどの所定の判断基準に基づいて選択可能であることを了解されたいが、階層コードブックの使用が、量子化されるベクトルをよりよく表すことができるさらなるコードブック・ベクトルへの後続の洗練を可能にするので、他の選択判断基準を適用できることをも了解されたい。その後、選択されたコードブック・ベクトルへのインデックスを、第1ネットワーク・ノードに提供することができる。したがって、選択されたベクトル自体を送信するのではなく、そのベクトルへのインデックスだけを提供する必要があり、これが、通常はより少数のビットを用いて表現可能であることを了解されたい。第1ネットワーク・ノードは、ベクトルのコードブックのコピーをも有するが、その後、選択されたベクトルを識別し、そのコードブック・ベクトルからの各サブチャネルの時間領域で
分解可能な各タップの近似特性を判定するのにそのベクトルを利用し、それ相応にその送信を適合させることができる。したがって、提供されるチャネル状態フィードバック情報の量を、各
分解可能なタップの識別する特性だけの組合せを介して、これらの特性を量子化するための階層コードブックの利用によって、劇的に減らすことができ、これが、これらの特性のベクトルへの
アレンジのゆえに可能であることがわかる。そのような手法は、フィードバックされる情報の量を最小にしながら、チャネル状態情報の十分に正確な指示を第1ネットワーク・ノードに提供することを可能にする。
【0008】
一実施形態では、量子化するステップは、ベクトルごとに、ベクトルの複数の階層コードブックのうちの1つから第1レベルでの複数のコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって、少なくとも1つのベクトルを量子化するステップを含む。したがって、異なるコードブックを、量子化されるベクトルごとに提供することができる。これが、ベクトルごとに適切なコードブックを選択することを可能にすることを了解されたい。
【0009】
一実施形態では、この方法は、ベクトルの階層コードブックの階層的に関連するレベルから複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって少なくとも1つのベクトルを再量子化するステップと、複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つへのインデックスの指示を第1ネットワーク・ノードに提供するステップとを含む。したがって、ベクトルの量子化を、そのインデックスが前に第1基地局に助言されたベクトルに関連するコードブック・ベクトルを選択することによって、連続して洗練することができる。この連続的洗練は、チャネル状態情報の改善された指示を経時的に第1ネットワーク・ノードに戻すことを可能にする。
【0010】
一実施形態では、ベクトルの階層コードブックの階層的に関連するレベルからの複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つは、階層コードブックの子レベルからの複数の子コードブック・ベクトルのうちの1つを含む。したがって、経時的にゆっくりと変化するベクトルについて、その量子化の後続の洗練を、以前に第1ネットワーク・ノードに指示されたコードブック・ベクトルの子コードブック・ベクトルを選択することによって可能にすることができる。そのような子コードブック・ベクトルは、通常、以前に助言された親コードブック・ベクトルのより近い洗練である。
【0011】
一実施形態では、ベクトルの階層コードブックの階層的に関連するレベルからの複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つは、階層コードブックの親レベルからの複数の親コードブック・ベクトルのうちの1つを含む。したがって、よりすばやく時間変動する特性について、ベクトルを量子化するより適当なコードブック・ベクトルを選択するために、階層コードブックの親レベルにトラバースすることが必要である場合がある。
【0012】
一実施形態では、この方法は、量子化するステップの前に、少なくとも1つのベクトルを前処理するステップを含む。
【0013】
一実施形態では、この方法は、前処理が正規化を含む時に、正規化するステップによって作られる少なくとも1つのスカラ値を量子化し、少なくとも1つのスカラの指示を第1ネットワーク・ノードに提供するステップを含む。したがって、量子化プロセスの効率を、量子化を実行する前にベクトルを正規化することによってさらに改善することができる。また、正規化されたベクトルの量子化と同様に、正規化プロセス中に作られるスカラを量子化する必要もあり、これを、階層コードブックを介してまたは任意の他の適当なプロセスによって達成することもできる。
【0014】
一実施形態では、判定するステップは、少なくとも1つのサブチャネル上で経時的に受信された信号を所定のしきい値と比較することによって、少なくとも1つの受信アンテナによってチャネルを介して少なくとも1つの送信アンテナから受信される信号からチャネル内の少なくとも1つのサブチャネルの時間領域で
分解可能な各タップの特性を判定するステップを含む。他の技法を利用して、各
分解可能なタップの時間領域特性を判定できることを了解されたい。
【0015】
一実施形態では、第1ネットワーク・ノードは、少なくともM個の送信アンテナを含み、第2ネットワーク・ノードは、少なくともN個の受信アンテナを含み、判定するステップは、少なくともN個の受信アンテナによってチャネルを介して少なくともM個の送信アンテナから受信される信号からチャネル内の各サブチャネルの時間領域で
分解可能なL個のタップの特性を判定するステップであって、Lは正の整数である、ステップを含む。
【0016】
一実施形態では、
アレンジするステップは、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で
分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともN個の受信アンテナのそれぞれの特性のベクトルに
アレンジするステップであって、各ベクトルは1×Mの次元を有する、ステップを含む。
【0017】
一実施形態では、
アレンジするステップは、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で
分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともM個の送信アンテナのそれぞれの特性のベクトルに
アレンジするステップであって、各ベクトルは1×Nの次元を有する、ステップを含む。
【0018】
一実施形態では、
アレンジするステップは、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で
分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともN個の受信アンテナのそれぞれの特性のN個のベクトルの連結に
アレンジするステップであって、N個のベクトルのそれぞれは1×Mの次元を有する、ステップを含む。
【0019】
一実施形態では、
アレンジするステップは、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で
分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともM個の送信アンテナのそれぞれの特性のM個のベクトルの連結に
アレンジするステップであって、M個のベクトルのそれぞれは1×Nの次元を有する、ステップを含む。
【0020】
一実施形態では、
アレンジするステップは、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で
分解可能なL個のタップの特性を少なくともM個の送信アンテナのそれぞれおよび少なくともN個の受信アンテナのそれぞれの特性のベクトルに
アレンジするステップであって、各ベクトルは、1×Lの次元を有する、ステップを含む。
【0021】
一実施形態では、ネットワーク・ノードは、M個を超える送信アンテナを含み、M個の送信アンテナは、選択の結果を第2ネットワーク・ノードにシグナリングする第1ネットワーク・ノードによってまたは選択の結果を第1ネットワーク・ノードにシグナリングする第2ネットワーク・ノードによってのいずれかでM個を超える送信アンテナから選択される。
【0022】
一実施形態では、第2ネットワーク・ノードは、N個を超える受信アンテナを含み、N個の受信アンテナは、選択の結果を第2ネットワーク・ノードにシグナリングする第1ネットワーク・ノードによってまたは選択の結果を第1ネットワーク・ノードにシグナリングする第2ネットワーク・ノードによってのいずれかでN個を超える受信アンテナから選択される。
【0023】
第2の態様によれば、コンピュータ上で実行される時に第1の態様の方法ステップを実行するように動作可能なコンピュータ・プログラム製品が提供される。
【0024】
第3の態様によれば、少なくとも1つの受信アンテナを有するネットワーク・ノードであって、少なくとも1つの送信アンテナを有する別のネットワーク・ノードとネットワーク・ノードとの間に提供される無線通信チャネルのチャネル状態情報を提供するように動作可能であり、少なくとも1つの受信アンテナによってチャネルを介して少なくとも1つの送信アンテナから受信される信号からチャネル内の少なくとも1つのサブチャネルの時間領域で
分解可能な各タップの特性を判定するように動作可能な判定論理と、特性を少なくとも1つのベクトルに
アレンジするように動作可能な
アレンジメント論理と、ベクトルの階層コードブックの第1レベルで複数のコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって少なくとも1つのベクトルを量子化するように動作可能な量子化論理と、複数のコードブック・ベクトルのうちの1つへのインデックスの指示を別のネットワーク・ノードに提供するように動作可能な提供論理とを含むネットワーク・ノードが提供される。
【0025】
一実施形態では、量子化論理は、ベクトルごとに、ベクトルの複数の階層コードブックのうちの1つから第1レベルでの複数のコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって、少なくとも1つのベクトルを量子化するように動作可能である。
【0026】
一実施形態では、量子化論理は、ベクトルの階層コードブックの階層的に関連するレベルから複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって少なくとも1つのベクトルを再量子化するように動作可能であり、提供論理は、複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つへのインデックスの指示を第1ネットワーク・ノードに提供するように動作可能である。
【0027】
一実施形態では、ベクトルの階層コードブックの階層的に関連するレベルからの複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つは、階層コードブックの子レベルからの複数の子コードブック・ベクトルのうちの1つを含む。
【0028】
一実施形態では、ベクトルの階層コードブックの階層的に関連するレベルからの複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つは、階層コードブックの親レベルからの複数の親コードブック・ベクトルのうちの1つを含む。
【0029】
一実施形態では、量子化論理は、量子化の前に、少なくとも1つのベクトルを前処理するように動作可能である。
【0030】
一実施形態では、量子化論理は、前処理が正規化を含む時に、正規化するステップによって作られる少なくとも1つのスカラ値を量子化するように動作可能であり、提供論理は、少なくとも1つのスカラの指示を第1ネットワーク・ノードに提供するように動作可能である。
【0031】
一実施形態では、判定論理は、少なくとも1つのサブチャネル上で経時的に受信された信号を所定のしきい値と比較することによって、少なくとも1つの受信アンテナによってチャネルを介して少なくとも1つの送信アンテナから受信される信号からチャネル内の少なくとも1つのサブチャネルの時間領域で
分解可能な各タップの特性を判定するように動作可能である。
【0032】
一実施形態では、第1ネットワーク・ノードは、少なくともM個の送信アンテナを含み、第2ネットワーク・ノードは、少なくともN個の受信アンテナを含み、判定論理は、少なくともN個の受信アンテナによってチャネルを介して少なくともM個の送信アンテナから受信される信号からチャネル内の各サブチャネルの時間領域で
分解可能なL個のタップの時間を判定するように動作可能であり、Lは正の整数である。
【0033】
一実施形態では、
アレンジメント論理は、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で
分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともN個の受信アンテナのそれぞれの特性のベクトルに
アレンジするように動作可能であり、各ベクトルは、1×Mの次元を有する。
【0034】
一実施形態では、
アレンジメント論理は、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で
分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともM個の送信アンテナのそれぞれの特性のベクトルに
アレンジするように動作可能であり、各ベクトルは、1×Nの次元を有する。
【0035】
一実施形態では、
アレンジメント論理は、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で
分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともN個の受信アンテナのそれぞれの特性のN個のベクトルの連結に
アレンジするように動作可能であり、N個のベクトルのそれぞれは、1×Mの次元を有する。
【0036】
一実施形態では、
アレンジメント論理は、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で
分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともM個の送信アンテナのそれぞれの特性のM個のベクトルの連結に
アレンジするように動作可能であり、M個のベクトルのそれぞれは、1×Nの次元を有する。
【0037】
一実施形態では、
アレンジメント論理は、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で
分解可能なL個のタップの特性を少なくともM個の送信アンテナのそれぞれおよび少なくともN個の受信アンテナのそれぞれの特性のベクトルに
アレンジするように動作可能であり、各ベクトルは、1×Lの次元を有する。
【0038】
一実施形態では、第1ネットワーク・ノードは、M個を超える送信アンテナを含み、M個の送信アンテナは、選択の結果を第2ネットワーク・ノードにシグナリングする第1ネットワーク・ノードによってまたは選択の結果を第1ネットワーク・ノードにシグナリングする第2ネットワーク・ノードによってのいずれかでM個を超える送信アンテナから選択される。
【0039】
一実施形態では、第2ネットワーク・ノードは、N個を超える受信アンテナを含み、N個の受信アンテナは、選択の結果を第2ネットワーク・ノードにシグナリングする第1ネットワーク・ノードによってまたは選択の結果を第1ネットワーク・ノードにシグナリングする第2ネットワーク・ノードによってのいずれかでN個を超える受信アンテナから選択される。
【0040】
この手法を介して、チャネル状態情報フィードバックの正確さを、所与のフィードバック・オーバヘッドについて改善でき、あるいは、フィードバック・オーバヘッドを、所与の正確さについて減らすことができることがわかる。
【0041】
さらに、特定の態様および好ましい態様が、添付の独立請求項および従属請求項に示される。従属請求項の特徴を、適当におよび特許請求の範囲に明示的に示されているもの以外の組合せで、独立請求項の特徴と組み合わせることができる。
【0042】
本発明の実施形態を、これから添付図面を参照してさらに説明する。