特許第6000305号(P6000305)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000305
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】チャネル状態情報フィードバック
(51)【国際特許分類】
   H04J 99/00 20090101AFI20160915BHJP
   H04B 7/04 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   H04J15/00
   H04B7/04
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-142914(P2014-142914)
(22)【出願日】2014年7月11日
(62)【分割の表示】特願2012-547491(P2012-547491)の分割
【原出願日】2011年1月6日
(65)【公開番号】特開2014-220826(P2014-220826A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2014年7月14日
(31)【優先権主張番号】10360001.1
(32)【優先日】2010年1月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100170601
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 孝
(72)【発明者】
【氏名】ボッカルディ,フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】ワイルド,ソーステン
【審査官】 羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/156319(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/011652(WO,A1)
【文献】 特開2007−251924(JP,A)
【文献】 特開2009−033744(JP,A)
【文献】 特開2004−032679(JP,A)
【文献】 特表2013−516878(JP,A)
【文献】 Nevio Benvenuto, Ermanna Conte, Stefano Tomasin, Matteo Trivellato,Joint Low-Rate Feedback and Channel Quantization for the MIMO Broadcast Channel,AFRICON 2007,2007年 9月,pp.1-7
【文献】 Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Signalling Aspects of Adaptable Codebooks[online], 3GPP TSG-RAN WG1#58b R1-093776,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_58b/Docs/R1-093776.zip>,2009年10月
【文献】 Matteo Trivellato, Federico Boccardi, Howard Huang,On transceiver design and channel quantization for downlink multiuser MIMO systems with limited feedback,Selected Areas in Communications, IEEE Journal on,2008年10月,Volume:26, Issue: 8 ,P.1494-1504
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 99/00
H04B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともM個の送信アンテナを有する第1ネットワーク・ノードと少なくともN個の受信アンテナを有する第2ネットワーク・ノードとの間で提供される無線通信チャネルのチャネル状態情報を提供する方法であって、
前記少なくともN個の受信アンテナによって前記チャネルを介して前記少なくともM個の送信アンテナから受信される信号から前記チャネル内の少なくとも1つのサブチャネルの時間領域で分解可能な複数のタップの各々の特性値を判定するステップと、
前記複数のタップの各々の前記特性値の集合を少なくとも1つのベクトルにアレンジするステップと、
ベクトルの階層コードブックの各レベルのうちのいずれかである第1レベルで複数のコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって前記少なくとも1つのベクトルを量子化するステップと、
複数のコードブック・ベクトルのうちの前記1つへのインデックスの指示を前記第1ネットワーク・ノードに提供するステップと
を含み、
各々の前記タップは、所定の信号しきい値を超えるという点で識別されることが可能であり、
MおよびNのうちの少なくとも1つは、1より大きい整数値であり、
判定する前記ステップは、
前記少なくともN個の受信アンテナによって前記チャネルを介して前記少なくともM個の送信アンテナから受信される信号から前記チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能なL個のタップの特性を判定するステップであって、Lは正の整数である、ステップ
を含む、方法。
【請求項2】
量子化する前記ステップは、
ベクトルごとに、ベクトルの複数の階層コードブックのうちの1つから第1レベルでの複数のコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって、前記少なくとも1つのベクトルを量子化するステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ベクトルの前記階層コードブックの階層的に関連するレベルから複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって前記少なくとも1つのベクトルを再量子化するステップと、
複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの前記1つへのインデックスの指示を前記第1ネットワーク・ノードに提供するステップと
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ベクトルの前記階層コードブックの階層的に関連するレベルからの複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの前記1つは、前記階層コードブックの子レベルからの複数の子コードブック・ベクトルのうちの1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ベクトルの前記階層コードブックの階層的に関連するレベルからの複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの前記1つは、前記階層コードブックの親レベルからの複数の親コードブック・ベクトルのうちの1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
量子化する前記ステップの前に、前記少なくとも1つのベクトルを前処理するステップ
を含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記前処理が正規化を含む時に、正規化する前記ステップによって作られる少なくとも1つのスカラ値を量子化し、前記少なくとも1つのスカラの指示を前記第1ネットワーク・ノードに提供するステップ
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
アレンジする前記ステップは、
前記チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能な前記L個のタップの前記特性値の集合を各タップの前記少なくともN個の受信アンテナのそれぞれの特性のベクトルにアレンジするステップ
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
アレンジする前記ステップは、
前記チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能な前記L個のタップの前記特性値の集合を各タップの前記少なくともM個の送信アンテナのそれぞれの特性のベクトルにアレンジするステップ
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
アレンジする前記ステップは、
前記チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能な前記L個のタップの前記特性値の集合を各タップの各受信アンテナの特性のベクトルの連結にアレンジするステップ
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
アレンジする前記ステップは、
前記チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能な前記L個のタップの前記特性値の集合を各タップの各送信アンテナの特性のベクトルの連結にアレンジするステップ
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
アレンジする前記ステップは、
前記チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能な前記L個のタップの前記特性値の集合を前記少なくともM個の送信アンテナのそれぞれおよび前記少なくともN個の受信アンテナのそれぞれの特性のベクトルにアレンジするステップであって、各ベクトルは、1×Lの次元を有する、ステップ
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
コンピュータ上で実行される時に、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法ステップを実行するように動作可能なコンピュータ・プログラム。
【請求項14】
少なくともN個の受信アンテナを有する第1のネットワーク・ノードであって、少なくともM個の送信アンテナを有する第2のネットワーク・ノードと前記第1のネットワーク・ノードとの間に提供される無線通信チャネルのチャネル状態情報を提供するように動作可能であり、
前記少なくともN個の受信アンテナによって前記チャネルを介して前記少なくともM個の送信アンテナから受信される信号から前記チャネル内の少なくとも1つのサブチャネルの時間領域で分解可能な複数のタップの各々の特性値を判定するように動作可能な判定論理と、
前記複数のタップの各々の前記特性値の集合を少なくとも1つのベクトルにアレンジするように動作可能なアレンジメント論理と、
ベクトルの階層コードブックの各レベルのうちのいずれかである第1レベルで複数のコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって前記少なくとも1つのベクトルを量子化するように動作可能な量子化論理と、
複数のコードブック・ベクトルのうちの前記1つへのインデックスの指示を前記別のネットワーク・ノードに提供するように動作可能な提供論理と
を含み、
各々の前記タップは、所定の信号しきい値を超えるという点で識別されることが可能であり、
MおよびNのうちの少なくとも1つは、1より大きい整数値であり、
前記判定論理は、前記少なくともN個の受信アンテナによって前記チャネルを介して前記少なくともM個の送信アンテナから受信される信号から前記チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能なL個のタップの特性を判定するように動作可能であり、Lは正の整数である、第1のネットワーク・ノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャネル状態情報をフィードバックする装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システム内の基地局は、その基地局に関連する地理的区域すなわちセル内のユーザ機器に無線接続性を提供する。基地局とユーザ機器のそれぞれとの間の無線通信リンクは、通常、基地局からユーザ機器へ情報を送信する1つまたは複数のダウンリンク(または順方向)チャネルと、ユーザ機器から基地局へ情報を送信する1つまたは複数のアップリンク(または逆方向)チャネルとを含む。基地局およびオプションでユーザ機器が複数のアンテナを含む時には、MIMO(multiple−input−multiple−output)技術を使用することができる。たとえば、複数のアンテナを含む基地局は、複数のユーザ機器に複数の独立の別個の信号を同時に同一の周波数帯で送信することができる。
【0003】
たとえば、基地局にM個のアンテナ、ユーザ機器にN個のアンテナを有するセルラ・システムを検討されたい。そのような通信システムでは、基地局とユーザ機器との間の無線チャネルを、N×M個のリンク(サブチャネル)に関して記述することができる。各リンクは、通常、時間変動する複素利得(すなわち、振幅および位相)を有する。無線チャネルが広帯域である(すなわち、チャネルの遅延広がり(delay spread)を超えるシンボル・レート)場合には、複素利得は、送信される信号の帯域幅にわたって変化する。したがって、無線チャネルの全体的な状態を、一連の複素重みとして記述することができる。このチャネル状態情報は、基地局が卓越チャネル状態に最も適切な形でユーザ機器に送信される信号をマッチングするためにその信号の特性を適合させることを可能にするために、ユーザ機器によって測定され、基地局にフィードバックされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チャネル状態情報フィードバックを提供する技法が存在するが、それらの技法は、それぞれ、それ自体の短所を有する。したがって、チャネル状態情報を提供する改善された技法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、少なくとも1つの送信アンテナを有する第1ネットワーク・ノードと少なくとも1つの受信アンテナを有する第2ネットワーク・ノードとの間で提供される無線通信チャネルのチャネル状態情報を提供する方法であって、少なくとも1つの受信アンテナによってチャネルを介して送信アンテナのうちの少なくとも1つから受信される信号からチャネル内の少なくとも1つのサブチャネルの時間領域で分解可能な各タップの特性を判定するステップと、特性を少なくとも1つのベクトルにアレンジするステップと、ベクトルの階層コードブックの第1レベルで複数のコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって少なくとも1つのベクトルを量子化するステップと、複数のコードブック・ベクトルのうちの1つへのインデックスの指示を第1ネットワーク・ノードに提供するステップとを含む方法が提供される。
【0006】
第1の態様は、フィードバックされるチャネル状態情報の正確さを高めることが、シグナリング・オーバヘッドを増やし、したがって、フィードバックされるチャネル状態情報の正確さとフィードバック・オーバヘッドとの間にトレードオフがあることを認めるものである。第1の態様は、少なくとも1つのサブチャネルの時間領域応答特性を判定することによって、支配的タップ(dominant tap)(すなわち、一次信号およびすべての二次信号または反射信号)を識別することによってこれらの時間領域特性の支配的態様に関する情報を提供することと、時間領域応答特性に関するより重要でない情報を送信する必要なしに第1ネットワーク・ノードがその送信を適合させるのに十分な情報を第1ネットワーク・ノードに提供する、これらのタップに関する情報(そのタイミング、振幅、および位相など)を送信することとが可能であることをも認めるものである。その情報を用いて、第1ネットワーク・ノードによって行われる送信を適合させることが可能である。
【0007】
したがって、チャネル内の少なくとも1つのサブチャネルの時間領域で分解可能な各タップの特性が、受信アンテナによって受信された信号から判定される。したがって、受信信号のすべての特性を判定する必要はない。これらのタップは、たとえば、それらがある所定の信号しきい値を超えるという点で識別されることが可能であり、ならびにタップを区別可能にすることができるのに十分なだけ時間的に分離されることが可能である。その後、分解可能なタップの特性は、少なくとも1つのベクトルにアレンジされる。特性をこのベクトルにアレンジすることは、効率的なグループ化を提供し、このグループ化がなければ、後続の量子化ステップの利益を達成することがむずかしくなる。その後、後続の1つまたは複数のベクトルが、ベクトルの階層コードブックを使用して量子化される。ベクトルのそのような階層コードブックが、階層コードブックの各レベルで複数のコードブック・ベクトルを提供し、このレベルのそれぞれが、たとえばコードブック・ベクトルがたとえば量子化されるベクトルへの最もよい一致であること、そのベクトルへの最良一致であること、または最小の誤差を提供することなどの所定の判断基準に基づいて選択可能であることを了解されたいが、階層コードブックの使用が、量子化されるベクトルをよりよく表すことができるさらなるコードブック・ベクトルへの後続の洗練を可能にするので、他の選択判断基準を適用できることをも了解されたい。その後、選択されたコードブック・ベクトルへのインデックスを、第1ネットワーク・ノードに提供することができる。したがって、選択されたベクトル自体を送信するのではなく、そのベクトルへのインデックスだけを提供する必要があり、これが、通常はより少数のビットを用いて表現可能であることを了解されたい。第1ネットワーク・ノードは、ベクトルのコードブックのコピーをも有するが、その後、選択されたベクトルを識別し、そのコードブック・ベクトルからの各サブチャネルの時間領域で分解可能な各タップの近似特性を判定するのにそのベクトルを利用し、それ相応にその送信を適合させることができる。したがって、提供されるチャネル状態フィードバック情報の量を、各分解可能なタップの識別する特性だけの組合せを介して、これらの特性を量子化するための階層コードブックの利用によって、劇的に減らすことができ、これが、これらの特性のベクトルへのアレンジのゆえに可能であることがわかる。そのような手法は、フィードバックされる情報の量を最小にしながら、チャネル状態情報の十分に正確な指示を第1ネットワーク・ノードに提供することを可能にする。
【0008】
一実施形態では、量子化するステップは、ベクトルごとに、ベクトルの複数の階層コードブックのうちの1つから第1レベルでの複数のコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって、少なくとも1つのベクトルを量子化するステップを含む。したがって、異なるコードブックを、量子化されるベクトルごとに提供することができる。これが、ベクトルごとに適切なコードブックを選択することを可能にすることを了解されたい。
【0009】
一実施形態では、この方法は、ベクトルの階層コードブックの階層的に関連するレベルから複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって少なくとも1つのベクトルを再量子化するステップと、複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つへのインデックスの指示を第1ネットワーク・ノードに提供するステップとを含む。したがって、ベクトルの量子化を、そのインデックスが前に第1基地局に助言されたベクトルに関連するコードブック・ベクトルを選択することによって、連続して洗練することができる。この連続的洗練は、チャネル状態情報の改善された指示を経時的に第1ネットワーク・ノードに戻すことを可能にする。
【0010】
一実施形態では、ベクトルの階層コードブックの階層的に関連するレベルからの複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つは、階層コードブックの子レベルからの複数の子コードブック・ベクトルのうちの1つを含む。したがって、経時的にゆっくりと変化するベクトルについて、その量子化の後続の洗練を、以前に第1ネットワーク・ノードに指示されたコードブック・ベクトルの子コードブック・ベクトルを選択することによって可能にすることができる。そのような子コードブック・ベクトルは、通常、以前に助言された親コードブック・ベクトルのより近い洗練である。
【0011】
一実施形態では、ベクトルの階層コードブックの階層的に関連するレベルからの複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つは、階層コードブックの親レベルからの複数の親コードブック・ベクトルのうちの1つを含む。したがって、よりすばやく時間変動する特性について、ベクトルを量子化するより適当なコードブック・ベクトルを選択するために、階層コードブックの親レベルにトラバースすることが必要である場合がある。
【0012】
一実施形態では、この方法は、量子化するステップの前に、少なくとも1つのベクトルを前処理するステップを含む。
【0013】
一実施形態では、この方法は、前処理が正規化を含む時に、正規化するステップによって作られる少なくとも1つのスカラ値を量子化し、少なくとも1つのスカラの指示を第1ネットワーク・ノードに提供するステップを含む。したがって、量子化プロセスの効率を、量子化を実行する前にベクトルを正規化することによってさらに改善することができる。また、正規化されたベクトルの量子化と同様に、正規化プロセス中に作られるスカラを量子化する必要もあり、これを、階層コードブックを介してまたは任意の他の適当なプロセスによって達成することもできる。
【0014】
一実施形態では、判定するステップは、少なくとも1つのサブチャネル上で経時的に受信された信号を所定のしきい値と比較することによって、少なくとも1つの受信アンテナによってチャネルを介して少なくとも1つの送信アンテナから受信される信号からチャネル内の少なくとも1つのサブチャネルの時間領域で分解可能な各タップの特性を判定するステップを含む。他の技法を利用して、各分解可能なタップの時間領域特性を判定できることを了解されたい。
【0015】
一実施形態では、第1ネットワーク・ノードは、少なくともM個の送信アンテナを含み、第2ネットワーク・ノードは、少なくともN個の受信アンテナを含み、判定するステップは、少なくともN個の受信アンテナによってチャネルを介して少なくともM個の送信アンテナから受信される信号からチャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能なL個のタップの特性を判定するステップであって、Lは正の整数である、ステップを含む。
【0016】
一実施形態では、アレンジするステップは、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともN個の受信アンテナのそれぞれの特性のベクトルにアレンジするステップであって、各ベクトルは1×Mの次元を有する、ステップを含む。
【0017】
一実施形態では、アレンジするステップは、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともM個の送信アンテナのそれぞれの特性のベクトルにアレンジするステップであって、各ベクトルは1×Nの次元を有する、ステップを含む。
【0018】
一実施形態では、アレンジするステップは、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともN個の受信アンテナのそれぞれの特性のN個のベクトルの連結にアレンジするステップであって、N個のベクトルのそれぞれは1×Mの次元を有する、ステップを含む。
【0019】
一実施形態では、アレンジするステップは、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともM個の送信アンテナのそれぞれの特性のM個のベクトルの連結にアレンジするステップであって、M個のベクトルのそれぞれは1×Nの次元を有する、ステップを含む。
【0020】
一実施形態では、アレンジするステップは、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能なL個のタップの特性を少なくともM個の送信アンテナのそれぞれおよび少なくともN個の受信アンテナのそれぞれの特性のベクトルにアレンジするステップであって、各ベクトルは、1×Lの次元を有する、ステップを含む。
【0021】
一実施形態では、ネットワーク・ノードは、M個を超える送信アンテナを含み、M個の送信アンテナは、選択の結果を第2ネットワーク・ノードにシグナリングする第1ネットワーク・ノードによってまたは選択の結果を第1ネットワーク・ノードにシグナリングする第2ネットワーク・ノードによってのいずれかでM個を超える送信アンテナから選択される。
【0022】
一実施形態では、第2ネットワーク・ノードは、N個を超える受信アンテナを含み、N個の受信アンテナは、選択の結果を第2ネットワーク・ノードにシグナリングする第1ネットワーク・ノードによってまたは選択の結果を第1ネットワーク・ノードにシグナリングする第2ネットワーク・ノードによってのいずれかでN個を超える受信アンテナから選択される。
【0023】
第2の態様によれば、コンピュータ上で実行される時に第1の態様の方法ステップを実行するように動作可能なコンピュータ・プログラム製品が提供される。
【0024】
第3の態様によれば、少なくとも1つの受信アンテナを有するネットワーク・ノードであって、少なくとも1つの送信アンテナを有する別のネットワーク・ノードとネットワーク・ノードとの間に提供される無線通信チャネルのチャネル状態情報を提供するように動作可能であり、少なくとも1つの受信アンテナによってチャネルを介して少なくとも1つの送信アンテナから受信される信号からチャネル内の少なくとも1つのサブチャネルの時間領域で分解可能な各タップの特性を判定するように動作可能な判定論理と、特性を少なくとも1つのベクトルにアレンジするように動作可能なアレンジメント論理と、ベクトルの階層コードブックの第1レベルで複数のコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって少なくとも1つのベクトルを量子化するように動作可能な量子化論理と、複数のコードブック・ベクトルのうちの1つへのインデックスの指示を別のネットワーク・ノードに提供するように動作可能な提供論理とを含むネットワーク・ノードが提供される。
【0025】
一実施形態では、量子化論理は、ベクトルごとに、ベクトルの複数の階層コードブックのうちの1つから第1レベルでの複数のコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって、少なくとも1つのベクトルを量子化するように動作可能である。
【0026】
一実施形態では、量子化論理は、ベクトルの階層コードブックの階層的に関連するレベルから複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つを選択することによって少なくとも1つのベクトルを再量子化するように動作可能であり、提供論理は、複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つへのインデックスの指示を第1ネットワーク・ノードに提供するように動作可能である。
【0027】
一実施形態では、ベクトルの階層コードブックの階層的に関連するレベルからの複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つは、階層コードブックの子レベルからの複数の子コードブック・ベクトルのうちの1つを含む。
【0028】
一実施形態では、ベクトルの階層コードブックの階層的に関連するレベルからの複数の階層的に関連するコードブック・ベクトルのうちの1つは、階層コードブックの親レベルからの複数の親コードブック・ベクトルのうちの1つを含む。
【0029】
一実施形態では、量子化論理は、量子化の前に、少なくとも1つのベクトルを前処理するように動作可能である。
【0030】
一実施形態では、量子化論理は、前処理が正規化を含む時に、正規化するステップによって作られる少なくとも1つのスカラ値を量子化するように動作可能であり、提供論理は、少なくとも1つのスカラの指示を第1ネットワーク・ノードに提供するように動作可能である。
【0031】
一実施形態では、判定論理は、少なくとも1つのサブチャネル上で経時的に受信された信号を所定のしきい値と比較することによって、少なくとも1つの受信アンテナによってチャネルを介して少なくとも1つの送信アンテナから受信される信号からチャネル内の少なくとも1つのサブチャネルの時間領域で分解可能な各タップの特性を判定するように動作可能である。
【0032】
一実施形態では、第1ネットワーク・ノードは、少なくともM個の送信アンテナを含み、第2ネットワーク・ノードは、少なくともN個の受信アンテナを含み、判定論理は、少なくともN個の受信アンテナによってチャネルを介して少なくともM個の送信アンテナから受信される信号からチャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能なL個のタップの時間を判定するように動作可能であり、Lは正の整数である。
【0033】
一実施形態では、アレンジメント論理は、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともN個の受信アンテナのそれぞれの特性のベクトルにアレンジするように動作可能であり、各ベクトルは、1×Mの次元を有する。
【0034】
一実施形態では、アレンジメント論理は、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともM個の送信アンテナのそれぞれの特性のベクトルにアレンジするように動作可能であり、各ベクトルは、1×Nの次元を有する。
【0035】
一実施形態では、アレンジメント論理は、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともN個の受信アンテナのそれぞれの特性のN個のベクトルの連結にアレンジするように動作可能であり、N個のベクトルのそれぞれは、1×Mの次元を有する。
【0036】
一実施形態では、アレンジメント論理は、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能なL個のタップの特性を各タップの少なくともM個の送信アンテナのそれぞれの特性のM個のベクトルの連結にアレンジするように動作可能であり、M個のベクトルのそれぞれは、1×Nの次元を有する。
【0037】
一実施形態では、アレンジメント論理は、チャネル内の各サブチャネルの時間領域で分解可能なL個のタップの特性を少なくともM個の送信アンテナのそれぞれおよび少なくともN個の受信アンテナのそれぞれの特性のベクトルにアレンジするように動作可能であり、各ベクトルは、1×Lの次元を有する。
【0038】
一実施形態では、第1ネットワーク・ノードは、M個を超える送信アンテナを含み、M個の送信アンテナは、選択の結果を第2ネットワーク・ノードにシグナリングする第1ネットワーク・ノードによってまたは選択の結果を第1ネットワーク・ノードにシグナリングする第2ネットワーク・ノードによってのいずれかでM個を超える送信アンテナから選択される。
【0039】
一実施形態では、第2ネットワーク・ノードは、N個を超える受信アンテナを含み、N個の受信アンテナは、選択の結果を第2ネットワーク・ノードにシグナリングする第1ネットワーク・ノードによってまたは選択の結果を第1ネットワーク・ノードにシグナリングする第2ネットワーク・ノードによってのいずれかでN個を超える受信アンテナから選択される。
【0040】
この手法を介して、チャネル状態情報フィードバックの正確さを、所与のフィードバック・オーバヘッドについて改善でき、あるいは、フィードバック・オーバヘッドを、所与の正確さについて減らすことができることがわかる。
【0041】
さらに、特定の態様および好ましい態様が、添付の独立請求項および従属請求項に示される。従属請求項の特徴を、適当におよび特許請求の範囲に明示的に示されているもの以外の組合せで、独立請求項の特徴と組み合わせることができる。
【0042】
本発明の実施形態を、これから添付図面を参照してさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】一実施形態による無線遠隔通信ネットワークの主要コンポーネントを示す図である。
図2】タップ特性を判定する技法を示す図である。
図3】例の階層コードブック構造を示す図である。
図4】階層コードブック構造の例の利用を示す図である。
図5】階層コードブック構造の例の利用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
概要
図1に、一実施形態による無線遠隔通信ネットワーク、全般的に10の基地局20およびユーザ機器30の配置を示す。基地局20およびユーザ機器30は、第1ネットワーク・ノードおよび第2ネットワーク・ノードの例であるが、本技法を適用できるネットワーク・ノードの他の例が存在し、実際に、基地局およびユーザ機器の機能性を逆転できることを了解されたい。明瞭さのために1つの基地局およびユーザ機器だけが図示されているが、多数のそのような基地局およびユーザ機器をそのような無線遠隔通信ネットワーク内で展開できることを了解されたい。各基地局20は、M個のアンテナを備えるが、各ユーザ機器30は、N個のアンテナを備える。通常、MおよびNのうちの少なくとも1つは、1より大きい整数値である。MIMO無線チャネルが、基地局20とユーザ機器との間で確立され、サブチャネルが、基地局20およびユーザ機器30の各アンテナの間で提供される。下でより詳細に説明されるように、各サブチャネルは、基地局20の任意の1つのアンテナとユーザ機器30の任意の1つのアンテナとの間のさまざまな信号経路を表す複数のタップを有する。通常、これらのアンテナの間の直接経路とすることができる第1タップが存在する。通常、これらのアンテナの間の二次経路または反射経路である後続タップが存在する。送信された信号を、これらのタップのうちの任意の1つまたは複数あるいはその組合せから復号可能とすることができることを了解されたい。
【0045】
各基地局20は、それからチャネル状態情報を導出できる少なくとも1つの階層コードブックへのインデックスの指示を受信するように適合された少なくとも1つの処理手段と、このチャネル状態情報に基づいてその送信を調整する手段とを含む。
【0046】
各ユーザ機器30は、無線送信を使用するネットワーク内での信号の送信および受信に関するモバイル端末の機能性を含む。さらに、ユーザ機器30は、基地局20のアンテナとユーザ機器30のアンテナとの間の少なくとも1つのサブチャネルに関する時間領域での少なくとも1つのチャネル・インパルス応答を判定し、タップを識別するために前記少なくとも1つのチャネル・インパルス応答を事前定義のしきい値と比較し、前記事前定義のしきい値より大きい電力を有する少なくとも1つのチャネル・インパルス応答の1つまたは複数の期間に関連する少なくとも1つの複素係数すなわち分解可能なタップのそれぞれの係数だけを判定するように適合された少なくとも1つの処理手段を含む。ユーザ機器30は、これらの複素係数を1つまたは複数のベクトルにアレンジする手段と、少なくとも1つの階層コードブックを使用してこれらのベクトルを量子化する手段と、階層コードブックから選択されたベクトルを識別するインデックスを基地局にシグナリングする手段とをも含む。
【0047】
分解可能なタップの係数の識別、これらの係数のベクトルへのアレンジ、および基地局への送信のためにインデックスを識別するための階層コードブックを使用するこれらのベクトルの量子化の組合せは、チャネル状態情報を提供することに対する特に効率的な技法を提供する。
【0048】
タップ特性判定
M個のアンテナのうちの第m基地局送信アンテナと包括的ユーザのN個のアンテナのうちの第nユーザ機器受信アンテナとの間のリンクに関するベースバンド・チャネル時間領域応答表現は、次のように表される。
【0049】
【数1】
ここで、
【0050】
【数2】
は、このリンクに関する分解可能な経路の集合を表す。例のサブチャネルに関するそのようなベースバンド・チャネル時間領域応答表現は、下でより詳細に説明されるように、ユーザ機器30によって導出可能であり、図2Cに絵図的に示されている。
【0051】
次の例では、|Δnm|=L∀n,mと仮定する。言い替えると、分解可能な経路の個数が、異なるリンクについて同一であり、タップのタイミングが、各サブチャネルについて同一であると仮定する。
【0052】
基地局20は、サブチャネルのそれぞれを介してダウンリンクでデータ信号およびパイロット信号を送信する。ユーザ機器30は、データおよびパイロットを受信し、好ましくはパイロットを使用してチャネル推定を実行し、このチャネル推定は、アンテナ対アンテナ・リンクあたりのすなわちサブチャネルごとおよび副搬送波あたりの、いわゆるチャネル伝達関数(channel transfer function、CTF)をもたらす。
【0053】
この例では、ユーザ機器30内で実行される逆高速フーリエ変換(IFFT)によって、チャネル伝達関数(CTF)を周波数領域から時間領域に変換し、各アンテナ対アンテナ・リンクのチャネル・インパルス応答(CIR)をもたらすことができる。しかし、他の技法を使用してこの時間領域情報を導出できることを了解されたい。
【0054】
図2Aでは、経時的なチャネル・インパルス応答の振幅が、アンテナ対アンテナ・リンクごとにすなわちサブチャネルごとに示されている。この例では、レーク受信器内で実行される手順に似た、ユーザ機器30内で実行される経路プロファイリング手順が、サブチャネル・インパルス応答の最上位タップすなわち最大の電力を有するタップを識別するのに使用されるが、他の技法を使用することができる。各単一のアンテナ対アンテナ・リンクのチャネル・インパルス応答の振幅が、時間平均をとられ、最大の電力を有するタップが、識別される。
【0055】
経路プロファイリングは、低域フィルタ、たとえば一次無限インパルス応答フィルタを使用して時間上とすべてのアンテナ対アンテナ・リンク上との両方でチャネル・インパルス応答の絶対値すなわち振幅の平均をとることによって実現される。時間上またはアンテナ対アンテナ・リンク上での平均化は、すばやくフェージングする成分がない、電力遅延プロファイルと呼ばれるチャネル・インパルス応答をもたらす。時間上およびアンテナ上で平均をとられるそのような電力遅延プロファイルすなわちチャネル・インパルス応答を、図2Bに示す。たとえば雑音レベル、干渉レベル、およびあるマージンの組合せによってまたはユーザ機器30内の受信器の感度レベルによって定義されるあるしきい値未満のすべてのタップは、雑音の多いタップのためにフィードバック・リソースを浪費するのを防ぐために、削除される。図2Bでは、しきい値は、破線によって示される。好ましくは、タップ割当で、サンプリング・レートの範囲内である、選択されたタップの間のある最小距離が保たれる。
【0056】
時間上およびアンテナ上で平均をとられたチャネル・インパルス応答の振幅があるしきい値より大きい期間について、すなわち、タップについて、チャネル・インパルス応答の複素係数が、アンテナ対アンテナ・リンクごとに判定される。好ましくは、チャネル・インパルス応答は、期間内の複素係数の判定の前に、アンテナ対アンテナ・リンクごとに時間平均をとられる。言い替えると、複素係数は、各アンテナ対アンテナ・リンクの瞬間チャネル・インパルス応答から、割り当てられたタップの遅延の位置でとられる。
【0057】
図2Cに示されているように、タップの複素係数の振幅すなわち期間内のチャネル・インパルス応答の振幅が、経時的にアンテナ対アンテナ・サブチャネルごとに示されている。
【0058】
係数アレンジメント
第n受信アンテナで見られるチャネル行列Hnを、次のように定義することができる。
【0059】
【数3】
【0060】
一実施形態では、チャネル行列を次のように編成して、送信相関と受信相関との両方を取り込むことができる。
【0061】
【数4】
【0062】
【数5】
は、列をその2ノルムによって正規化することによって、H(t)から定義することができる。
【0063】
【数6】
ベクトル量子化手法が、
【0064】
【数7】
をフィードバックするのに使用され、スカラ量子化手法を、‖h(t)‖,l=1,…,Lをフィードバックするのに使用することができる。
【0065】
ベクトル量子化を、チャネル表現からの任意の適切なベクトルに適用できることを了解されたい。上の実施形態は、各タップでのリンク・ベクトルの連結にベクトル量子化を適用する。しかし、他の実施形態は、各タップで受信アンテナごとに独立に、または各タップで送信アンテナごとに独立に、または1つもしくは複数のリンクのタップに対応する係数のベクトルについて、個々のベクトルにベクトル量子化を適用することができる。
【0066】
ベクトル量子化
異なる量子化コードブックを、正規化されたチャネル行列
【0067】
【数8】
の列ごとに作成することができる。C,i=1,…,Lは、
【0068】
【数9】
に関連するコードブックである。一般に、各コードブックは、異なる分解能が異なる経路の量子化に使用されるように、異なるサイズを有することができる。たとえば、より多数のビットを、支配的経路の量子化に使用することができる。基地局20とユーザ機器30との両方が、同一のコードブックを共有する。一実施形態では、基地局20は、ユーザ機器30での格納のためにユーザ機器30にコードブックを送信するように動作可能である。
【0069】
第iコードブックに使用されるビット数を、次のように表し、
=log|C
【0070】
【数10】
のすべての列をシグナリングするためのビットの総数に対する次の制約を使用する。
【0071】
【数11】
【0072】
,i=1,…,Lおよびb,i=1,…,Lを、所与の判断基準に従って最適化できることを了解されたい。階層量子化を使用する経時的な量子化の連続的洗練が、これから説明されるように使用される。
【0073】
チャネル方向
【0074】
【数12】
のフィードバック
階層フィードバック手法は、チャネルが十分にゆっくり変化しつつある場合に、フィードバックを複数のフィードバック間隔にわたって集計でき、その結果、集計されたビットが、より大きいコードブックをインデクシングするようになると仮定するものである。
【0075】
図3からわかるように、各量子化コードブックを、第jレベルのすべての符号語が同一のj−1個の上位ビットを有する形で、2進木構造を使用して編成することができる。そのような構造を、階層量子化のイネーブラとして使用することができる。
【0076】
階層量子化法を、2つのメッセージすなわち基本的なフィードバック・メッセージおよび洗練されたフィードバック・メッセージを参照して説明することができる。基本的なフィードバック・メッセージは、2進木のレベルbで最良の量子化符号語を、通常はそのインデックスを指定することによって指定するb個のビットを基地局20に送り返すことによって入手される。洗練されたフィードバック・メッセージは、次のように入手される。期間t−1に、一実施形態で、基地局20とユーザ機器30との両方が、l(t−1)>bレベルに属する符号語
【0077】
【数13】
を共有すると仮定する。基地局20およびユーザ機器30が、レベルbから始めてレベルl(t−1)まで、選択された符号語のシーケンスを保存する必要があることを了解されたい。l(t−1)=bのケースは、特定のケースとして入手することができ、ここで、「上向き」移動は、bレベルの新しい符号語に対応する。
【0078】
【数14】
の場合には、新しい候補が、l(t−1)+b−1レベルで選択され、
【0079】
【数15】
から始まる部分木内の位置を示すb−1個のビットが、基地局20に送り返され、1つのビットが、木内の「下向き」移動をシグナリングするのに使用される。
【0080】
【数16】
の場合には、新しい候補が、l(t−1)−(b−1)レベルで選択され、
【0081】
【数17】
から始まる部分木内の位置を示すb−1個のビットが、基地局20に送り返され、1つのビットが、木内の「上向き」経路をシグナリングするのに使用される。
【0082】
図4および5に示された次の2つの例を検討されたい。
【0083】
図4では、第t期間に、量子化符号語の洗練(「下向き」)が、l(t−1)=3から開始して行われる。レベル5の新しいベクトルが、基地局20に送り返される。第t+1期間には、第2の洗練(「下向き」)が、l(t)=5から開始して行われる。レベル7の新しいベクトルが、基地局に送り返される。
【0084】
図5では、第t期間に、量子化符号語の洗練(「下向き」)が、l(t−1)=3から開始して行われる。レベル5の新しいベクトルが、基地局20に送り返される。第t+1期間には、チャネル変動に起因して、
【0085】
【数18】
が属するのと同一の部分木内で、「上向き」の移動が基地局20にシグナリングされる。
【0086】
所与の木レベル内の符号語をシグナリングするのにbi−1個のビットを、木内の「上向き」または「下向き」の移動をシグナリングするのに1ビットを使用する、前に説明した実施形態を、xiビットが所与の木レベル内の所与の符号語をシグナリングするのに使用され、yiビットが木内の移動をシグナリングするのに使用されるケースに一般化することができる。これらのxi、yiを、木内のレベル、ユーザ、…の関数とすることができる。
【0087】
チャネル・ノルム‖h(t)‖,i=1,…,Lのフィードバック
スカラ‖h(t)‖,i=1,…,Lを、スカラ量子化の伝統的手法を使用して量子化することができる。階層コードブックを使用する連続的量子化を適用することもできることを了解されたい。
【0088】
したがって、効率的なチャネル状態フィードバックの2つの手法が組み合わされる。第1の手法は、フィードバックが複数のフィードバック間隔にわたって洗練され、その結果、集計されたビットがより大きいコードブックをインデクシングするようになる、いわゆる階層フィードバック手法である。第2の手法は、いわゆる時間領域圧縮フィードバック手法である。この組み合わされた技法は、圧縮時間領域フィードバック情報の異なるフィードバック間隔での連続的洗練を可能にする。
【0089】
諸実施形態は、一次局および二次局のそれぞれの1つまたは複数のアンテナに適用可能な、一次局と二次局との間の無線チャネルの時間領域表現のフィードバック(二次局から一次局への)の連続的洗練の方法を提供する。
【0090】
諸実施形態は、チャネル状態情報の以前にフィードバックされた時間領域表現の階層的洗練をフィードバックすることによって、チャネル状態情報フィードバックの正確さを経時的に改善できることを認めるものである。
【0091】
したがって、諸実施形態は、チャネル状態情報の時間領域表現を時間領域表現の階層量子化によって連続的に洗練できる方法を提供する。
【0092】
一実施形態では、この方法のステップは、二次局で、
1.M個の一次局アンテナからN個の二次局アンテナへの無線チャネルの時間領域表現を構成することと(M≧1かつN≧1である)、
2.時間領域表現の要素を1つまたは複数のベクトルに集めることと、
3.階層コードブックの第1レベルを含む第1の所定の量子化コードブックに従ってそのまたは各ベクトルを量子化することと、
4.量子化されたベクトル(1つまたは複数)を一次局にシグナリングすることと、
5.階層コードブックの第2レベルを含む第2の所定の量子化コードブックに従って少なくとも1つのベクトルの量子化を洗練することと、
6.少なくとも1つのベクトルの洗練された量子化を一次局にシグナリングすることと
を含む。
【0093】
時間領域表現の要素を1つまたは複数のベクトルに集めるステップは、異なる実施形態でさまざまな形で実行することができる。一実施形態では、量子化される各ベクトルは、第lチャネル・タップの第n受信アンテナのリンク係数の1×Mベクトルである。もう1つの実施形態では、量子化される各ベクトルは、第lチャネル・タップの第m受信アンテナのリンク係数の1×Nベクトルである。もう1つの実施形態では、量子化される各ベクトルは、第iチャネル・タップの第n受信アンテナのリンク係数のN個の1×Mベクトルの連結である。もう1つの実施形態では、量子化される各ベクトルは、第lチャネル・タップの第m受信アンテナのリンク係数のM個の1×Nベクトルの連結である。もう1つの実施形態では、量子化される各ベクトルは、第n受信アンテナおよび第m送信アンテナのリンク係数の1×Lベクトルである。もう1つの実施形態では、量子化される各ベクトルは、上記のうちの1つまたは複数の別の連結または部分的連結である。
【0094】
当業者は、さまざまな上で説明した方法のステップをプログラムされたコンピュータによって実行できることをたやすく認めるであろう。本明細書では、いくつかの実施形態は、機械可読またはコンピュータ可読であり、機械実行可能またはコンピュータ実行可能な命令のプログラムを符号化するプログラム・ストレージ・デバイス、たとえばディジタル・データ記憶媒体を含むことも意図されており、ここで、前記命令は、前記上で説明された方法のステップの一部またはすべてを実行する。プログラム・ストレージ・デバイスを、たとえば、ディジタル・メモリ、磁気ディスクおよび磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハード・ドライブ、または光学的に可読のディジタル・データ記憶媒体とすることができる。実施形態は、上で説明された方法の前記ステップを実行するためにプログラムされたコンピュータを含むことも意図されている。
【0095】
「プロセッサ」または「ロジック」としてラベルを付けられたすべての機能ブロックを含む、図面に示されたさまざまな要素の機能を、専用ハードウェアならびに適当なソフトウェアに関連するソフトウェアを実行できるハードウェアの使用を介して提供することができる。プロセッサによって提供される時に、機能を、単一の専用プロセッサによって、単一の共有されるプロセッサによって、またはそのうちのいくつかを共有できる複数の個々のプロセッサによって提供することができる。さらに、用語「プロセッサ」、「コントローラ」、または「ロジック」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行できるハードウェアに排他的に言及すると解釈されてはならず、限定なしに、ディジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワーク・プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、ソフトウェアを格納する読取り専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、および不揮発性ストレージを暗黙のうちに含むことができる。従来のおよび/またはカスタムの、他のハードウェアを含めることもできる。同様に、図面に示されたすべてのスイッチは、概念的なものにすぎない。その機能を、プログラム論理の動作を介して、専用ロジックを介して、プログラム制御および専用ロジックの相互作用を介して、または手動でさえ実行することができ、特定の技法は、文脈からより具体的に理解されるように、実装者によって選択可能である。
【0096】
当業者は、本明細書のすべてのブロック図が、本発明の原理を実施する例示的な回路網の概念的な図を表すことを了解するに違いない。同様に、すべてのフロー・チャート、流れ図、状態遷移図、擬似コード、および類似物が、コンピュータ可読媒体内で実質的に表すことができ、コンピュータまたはプロセッサが明示的に図示されていようといまいと、そのようなコンピュータまたはプロセッサによってそのように実行できる、さまざまなプロセスを表すことを了解されたい。
【0097】
この説明および図面は、単に本発明の原理を例示するものである。したがって、当業者が、本明細書で明示的に説明されまたは図示されてはいないが、本発明の原理を実施し、本発明の趣旨および範囲に含まれる、さまざまな配置を考案できることを了解されたい。さらに、本明細書で列挙されたすべての例は、特に、技術を促進することに本発明人(1つまたは複数)によって貢献される本発明の原理および概念を読者が理解するのを助けるための教育的目的のみのためであることが主に意図され、そのような具体的に列挙された例および条件への限定を伴わないものと解釈されなければならない。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態ならびにその特定の例を列挙する本明細書のすべての言明は、その同等物を包含することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5