特許第6000312号(P6000312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000312
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】ガスコンロ装置
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   F24C3/12 L
   F24C3/12 S
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-190111(P2014-190111)
(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公開番号】特開2016-61495(P2016-61495A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】森口 誠治
(72)【発明者】
【氏名】丸田 さやか
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009-139009(JP,A)
【文献】 特開2003-130332(JP,A)
【文献】 特開平9-303762(JP,A)
【文献】 特開平10-9577(JP,A)
【文献】 特開2012-7807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火位置から点火位置まで押し込むことによりガスバーナに点火し、点火後は燃焼位置まで後退し、その燃焼位置から再度押し込むことによりガスバーナが消火して上記消火位置に戻る点消火ボタンを備え、消火位置から点火位置まで押し込む途中でオンになる第1接点と、第1接点がオンになったまま点消火ボタンが点火位置まで到達するとオンになる第2接点とを有し、点消火ボタンが点火位置から燃焼位置まで戻ると、第1接点はオンのまま維持されるが第2接点はオフになり、さらに燃焼位置から消火位置に戻ると第1接点がオフになるように設定され、この第1接点がオンからオフになることによって点消火ボタンが消火位置まで戻ったことを報知する報知手段が作動するガスコンロ装置において、第1接点がオンになり、その後第2接点がオンになる前に第1接点がオフになる場合には、上記報知手段を作動させないことを特徴とするガスコンロ装置。
【請求項2】
電池を作動電源とする制御部を備え、上記第1接点がオンになると制御部への通電が開始され、第1接点がオフになると、制御部は所定の動作を行った後に自己の動作により制御部自らへの通電を停止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のガスコンロ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押し込み操作によってガスコンロの点消火を行う点消火ボタンと、この点消火ボタンの押し込み位置によってオンになる第1接点および第2接点を備えたガスコンロ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁安全弁を備えたガス流量制御装置であって、点消火ボタンを押し込むと、弁軸が奥に移動し、その弁軸の先端で電磁安全弁の弁体を強制的に開弁させるものが知られている。このようなガス流量制御装置では、弁軸の途中にさらに元弁となる弁体を取り付け、点消火ボタンを押し込むと最初に元弁が開弁し、さらに押し込むことによって電磁安全弁が開弁するように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものでは、点消火ボタンの押し込み位置によってオンになる2個の接点が設けられており、そのうちの第1接点は元弁が開弁するタイミングでオンになり、残りの第2接点は電磁安全弁が開弁するタイミングでオンになるように設定されている。
【0004】
したがって、第1接点がオンになり、さらに第2接点がオンになった時点でスパーカを作動させてガスバーナに点火を行い、その後、第1接点がオフになると、元弁が閉弁してガスバーナへのガスの供給が停止した状態、すなわちガスバーナが消火状態になったことを検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−196937号公報(段落0025)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のガス流量制御装置を組み込んだガスコンロ装置では、消火操作によって第1接点がオフになり、ガスバーナへのガスの供給が停止され、ガスバーナが消火する状態になったことを使用者に報知するため、ブザーなどの報知手段を設けることが考えられる。
【0007】
ところが、第1接点がオン状態からオフ状態になった際にブザーを鳴動させるように構成すると、例えば点消火ボタンに不用意に接触して意図せずに若干押し込んでしまったような場合に、先行してオンになる第1接点はオンになったが最後の点火位置まで押し込まれていないので第2接点はオンにならず、従ってガスバーナには点火されない場合にも、消火状態になったことを報知するブザーが鳴動してしまい、ガスコンロ装置の使い勝手が悪くなるという不具合が生じる。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、不用意に点消火ボタンを押し込んでしまった場合に、ガスバーナに点火されなかったときにはブザーなどの報知手段が作動しないようにしたガスコンロ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明によるガスコンロ装置は、消火位置から点火位置まで押し込むことによりガスバーナに点火し、点火後は燃焼位置まで後退し、その燃焼位置から再度押し込むことによりガスバーナが消火して上記消火位置に戻る点消火ボタンを備え、消火位置から点火位置まで押し込む途中でオンになる第1接点と、第1接点がオンになったまま点消火ボタンが点火位置まで到達するとオンになる第2接点とを有し、点消火ボタンが点火位置から燃焼位置まで戻ると、第1接点はオンのまま維持されるが第2接点はオフになり、さらに燃焼位置から消火位置に戻ると第1接点がオフになるように設定され、この第1接点がオンからオフになることによって点消火ボタンが消火位置まで戻ったことを報知する報知手段が作動するガスコンロ装置において、第1接点がオンになり、その後第2接点がオンになる前に第1接点がオフになる場合には、上記報知手段を作動させないことを特徴とする。
【0010】
点消火ボタンが点火位置まで押し込まれていない場合にはガスバーナが点火しておらず、従って、そのような場合には第1接点がオンからオフになったとしてもガスバーナが点火状態から消火状態に変わったわけではないので、報知手段を作動させないようにした。
【0011】
なお、電池を作動電源とする制御部を備え、上記第1接点がオンになると制御部への通電が開始され、第1接点がオフになると、制御部は所定の動作を行った後に自己の動作により制御部自らへの通電を停止するように構成されたガスコンロ装置に適用することが考えられる。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明は、第2接点がオンになる前に第1接点がオフになった場合には、例え第1接点がオンからオフに変わっても報知手段を作動させないので、意図せず点消火ボタンを途中まで押し込んでしまったような場合に報知手段が作動せず、ガスコンロ装置の使い勝手がよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明によるガスコンロを正面から見た斜視図
図2】ガスコンロ内の配管状態を示す図
図3】火力調節装置の斜視図
図4】位置センサであるマイクロスイッチの作動状態を示す図
図5】第1接点および第2接点のオンオフによる動作を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照して、1は本発明によるガスコンロ装置の一例である。このガスコンロ装置1の上面にはガラス製の天板11が設けられており、その天板11には3個のガスバーナ11a、11b、11cが設けられている。一方、このガスコンロ1の前面パネル12には各ガスバーナ11a、11b、11cの点消火操作及び火力調節操作を行うための火力調節装置13a、13b、13cが設けられている。また、前面パネル12の略中央にはグリル庫14が設けられており、グリル庫14内には上火バーナ14aと下火バーナ14bとが設置されている。そして、上火バーナ14aと下火バーナ14bの点消火及び火力調節は火力調節装置15によって行われる。
【0015】
図2を参照して、本実施の形態では、ガスの供給管路は4本に並列に分岐され、その分岐された供給管路の各々に火力調節装置13a、13b、13c,15が設けられている。そのうちの火力調節装置13aを例に説明すると、火力調節装置13a内には点消火を行うための開閉弁部2と火力調節を行うための流量調節部3とを備えている。
【0016】
開閉弁部2内には手動操作により開弁される元弁21aと電磁安全弁の弁体22aとが直列に設けられている。一方、流量調節部3には電動アクチュエータとしてモータ31が連結されており、モータ31を駆動させることにより流量を増減するように構成されている。なお、火力調節装置13b、13cは共に火力調節装置13aと同じ構造であるが、火力調節装置15は開閉弁部2は同じ構造であるものの流量調節部3の構造が他のものと相違する。
【0017】
火力調節装置15の流量調節部3は並列な2系統に分岐され、その各々に電磁力によって開閉する開閉弁15a、15bが設けられ、かつ、両開閉弁15a、15bをバイパスするオリフィス16が設けられている。従って、例えば開閉弁15aが開弁すれば上火バーナ14aの火力は強火になり、開閉弁15aが閉弁すればオリフィス16を通るガスによって弱火になる。
【0018】
図3および図4を参照して、引き続き火力調節装置13aを例に、火力調節装置13aの構造を説明する。
【0019】
4は操作つまみであり、点消火時に押し込まれ、また火力調節時には外周面をつままれて回動されるものである。操作つまみ4は常に手前側に向かって付勢されている。操作つまみ4が消火位置から付勢力に抗して押し込まれると、角筒状のガイド部材5内に収納されている部材に設けられたドッグ6が、この部材と共に押されて奥側に移動する。そして、ドッグ6が設けられている部材は奥に向かって移動することにより、開閉弁部2内に収納されている元弁と電磁安全弁の弁体とを強制的に開弁させて、同じく電磁安全弁内に収納されている電磁石にその弁体を押接させる。
【0020】
図示しない制御部からその電磁石に直流電力が供給されると電磁石は励磁して弁体を開弁状態に吸着保持する。その状態で操作つまみ4に対する押し込み力を解除すると、操作つまみ4は上記付勢力によって手前側の火力調節位置まで突出する。消火する際には、操作つまみ4を消火位置を越えるまで一旦押し込んで押し込み力を解除すると、元弁と電磁安全弁とが閉弁されるとともに操作つまみ4は消火位置まで戻ってその位置で保持される。
【0021】
操作つまみ4が火力調節位置まで突出している状態で操作つまみ4を回動すると、ギヤトレインを介して回転センサであるロータリーエンコーダ41の回転軸が回転して、操作つまみ4の回動量に比例したパルス信号を上記制御部に出力する。制御部はこのパルス信号を受信すると、火力調節部3のモータ31を駆動して、流量を調節するように構成されている。
【0022】
ガイド部材5の正面から見て左側面にはドッグ6の前後位置によってオンオフする2つの接点を内蔵したマイクロスイッチ51が取り付けられている。このマイクロスイッチ51には2個の接点SW1,SW2が設けられている。第1接点SW1は制御部への通電を開始する位置を検知するための位置センサで有り、第2接点SW2は点火位置まで押し込まれていることを検知する位置センサである。
【0023】
図4に示すように、ドッグ6が手前から奥に向かって移動すると、最初に第1接点SW1がONになる。さらに操作つまみ4を押し込んで操作つまみ4が点火位置に到達すると、第2接点SW2がオンする。なお、点火位置で操作つまみ4に対する押し込み力を解除すると、上述のように操作つまみ4は火力調節位置まで手前側に後退して突出するが、ドッグ6が形成されている部材は図示しないストッパ機構によって、第1接点SW1がオン状態となる位置まで戻った状態で保持される。
【0024】
図に示すように、マイクロスイッチ51はガイド部材5の側面に形成された3本の爪5aで抱き込まれるようにして固定されている。なお、2本の突起5bがマイクロスイッチ51に形成されている取り付け穴に挿通されることによりマイクロスイッチ51の位置決めを行っている。従って、マイクロスイッチ51をガイド部材5に取り付ける際にネジを使用していない。
【0025】
操作つまみ4が消火位置にある状態ではドッグ6はプランジャ部51aを押し下げていないので、マイクロスイッチ51に内蔵されている第1接点SW1,第2SW2は共にオフの状態になっている(図4(a))。この状態から、操作つまみ4が押し込まれると、ドッグ6は後方、すなわち図4では左側に移動するので、ドッグ6は(b)に示すように、プランジャ部51aを押し下げ、第1接点SW1をオンにする。この時点では、第2接点SW2はオフのままである。
【0026】
さらに操作つまみ4を点火位置まで押し込むと、(c)に示すように、ドッグ6はプランジャ部51aをさらに押し込み、第2接点SW2をオンにする。
【0027】
上記第1接点SW1がONになると、図外の制御部に通電が開始される。本実施の形態のガスコンロ1は作動用の電源として乾電池を内蔵している。すべての操作つまみ4が消火位置にある状態では、制御部を作動させる必要がないので、制御部への通電は停止している。そして、いずれかの操作つまみ4が点火すべく押し込まれると、点火位置に到達する前に、図4(b)に示すように、第1接点SW1がオンとなって制御部に通電が開始され、続いて第2接点SW2がONになることによって、その操作つまみ4が点火位置まで押し込まれたことを制御部が検知することになる。なお、既にいずれかの操作つまみ4が火力調節位置に有り、制御部に通電されている状態で他の操作つまみ4が押し込まれ、新たに第1接点SW1がオンになった場合、制御部には既に通電されているので、制御部は新たに第1接点SW1がオンになったことを検知する。
【0028】
図5を参照して、上記構成で、点火操作がされ、上述のように第1接点SW1がオンになって制御部への通電が開始されると、制御部は直ちに電磁安全弁(SV)の電磁石へ保持電流の通電を開始する(S1)。そして、続けて操作つまみ4が点火位置まで押し込まれて第2接点SW2がオンになるのを待機するが(S2)、第2接点SW2がオンになる前に第1接点SW1がオフになると(S3)、電磁石への保持電流を停止する。そして制御部はブザーなどの報知手段を作動させること無く所定の処理を行った後、自らへの通電を停止する。
【0029】
これに対して、第2接点SW2がオンになると、操作つまみ4が点火位置まで押し込まれたものとして、イグナイタを作動させると共に、ブザーを作動させて点火時の報知音を発音する。なお、このときの報知音は,例えば単音を2回続けて発音する。
【0030】
ガスバーナに点火したことを確認するが(S6)、点火が確認されるまでに消火操作がされて第1接点SW1がオフになると(S7)、電磁石への通電を停止し、イグナイタを停止させ(S8)、さらに消火時の報知音、例えば1回の長音を発音して(S9)、制御部は所定の処理を行った後、自らへの通電を停止する。
【0031】
これに対して、点火確認されるまでに第1接点SW1がオフにならなければ、イグナイタを停止させ(S10)、点火を完了させる。
【0032】
点火完了後は火力調節を行って調理をするが、消火操作がされて第1接点SW1がオフになると(S11)、上述と同じく、電磁石への通電を停止し、さらに消火時の報知音を発音して(S9)、制御部は所定の処理を行った後、自らへの通電を停止する。
【0033】
上記実施の形態では、1つの操作つまみに点消火機能と火力調節機能の双方の機能を具備させたが、点消火機能は操作つまみで行い、火力調節機能は、例えば、タクタイルスイッチ等別個の操作部で行うようにしてもよい。
【0034】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0035】
1 ガスコンロ
2 開閉弁部
3 流量調節部
4 操作つまみ
5 ガイド部材
13a 火力調節装置
13b 火力調節装置
15 火力調節装置
31 モータ
41 ロータリーエンコーダ
51 マイクロスイッチ
6 ドッグ
SW1 第1接点
SW2 第2接点
図1
図2
図3
図4
図5